JP2019147744A - 線香及びその製造方法 - Google Patents

線香及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019147744A
JP2019147744A JP2018031836A JP2018031836A JP2019147744A JP 2019147744 A JP2019147744 A JP 2019147744A JP 2018031836 A JP2018031836 A JP 2018031836A JP 2018031836 A JP2018031836 A JP 2018031836A JP 2019147744 A JP2019147744 A JP 2019147744A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
incense stick
base material
incense
volatile
fatty acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018031836A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6626912B2 (ja
Inventor
正昭 杉浦
Masaaki Sugiura
正昭 杉浦
和紀 高畑
Kazunori Takahata
和紀 高畑
泰平 西口
Taihei NISHIGUCHI
泰平 西口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fumakilla Ltd
Original Assignee
Fumakilla Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fumakilla Ltd filed Critical Fumakilla Ltd
Priority to JP2018031836A priority Critical patent/JP6626912B2/ja
Priority to MYPI2020004366A priority patent/MY194501A/en
Priority to PCT/JP2019/004701 priority patent/WO2019163571A1/ja
Priority to SG11202007796TA priority patent/SG11202007796TA/en
Priority to MX2020008308A priority patent/MX2020008308A/es
Publication of JP2019147744A publication Critical patent/JP2019147744A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6626912B2 publication Critical patent/JP6626912B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01MCATCHING, TRAPPING OR SCARING OF ANIMALS; APPARATUS FOR THE DESTRUCTION OF NOXIOUS ANIMALS OR NOXIOUS PLANTS
    • A01M1/00Stationary means for catching or killing insects
    • A01M1/20Poisoning, narcotising, or burning insects
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A01AGRICULTURE; FORESTRY; ANIMAL HUSBANDRY; HUNTING; TRAPPING; FISHING
    • A01NPRESERVATION OF BODIES OF HUMANS OR ANIMALS OR PLANTS OR PARTS THEREOF; BIOCIDES, e.g. AS DISINFECTANTS, AS PESTICIDES OR AS HERBICIDES; PEST REPELLANTS OR ATTRACTANTS; PLANT GROWTH REGULATORS
    • A01N25/00Biocides, pest repellants or attractants, or plant growth regulators, characterised by their forms, or by their non-active ingredients or by their methods of application, e.g. seed treatment or sequential application; Substances for reducing the noxious effect of the active ingredients to organisms other than pests
    • A01N25/20Combustible or heat-generating compositions

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Pest Control & Pesticides (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Environmental Sciences (AREA)
  • Insects & Arthropods (AREA)
  • Agronomy & Crop Science (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Dentistry (AREA)
  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Catching Or Destruction (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

【課題】線香に含まれる薬剤による効力を高める。【解決手段】線香基材に揮散性薬剤が含まれた線香において、分子量が400以上の脂肪酸エステルが含まれている。【選択図】図1

Description

本発明は、揮散性の薬剤を含む線香及びその製造方法に関する。
一般に、害虫を駆除するための線香として蚊取り線香と呼ばれるものが知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特許文献1には、クレー等の無機物にピレスロイド系等の殺虫薬剤を配合した無機物層を基材層の厚さの1/3以下の厚さに形成し、その無機物層を基材層の上、下または側面の一部もしくは全部に設けることが開示されている。
特許文献2〜4には、所定の化学式で示されるエステル化合物と、鎖式飽和炭化水素系溶剤や脂環式飽和炭化水素系溶剤との混合物を線香基材に塗布することが開示されている。
特許文献5には、殺虫薬剤を含有する殺虫液に常温難揮発性の成分を含有させた液を生成し、この常温難揮発性の成分を含有する液を線香基材の処理面に処理することが開示されている。
特公昭46−28119号公報 特開2005−200403号公報 特開2005−298477号公報 特開2006−256991号公報 特許第4183790号公報
上記特許文献1では、殺虫薬剤を基材層の上や下等に層状に設けるようにしているが、線香の場合、殺虫薬剤は線香基材の燃焼時の熱の影響等を受けやすく、その熱が殺虫効力に影響を与えることが考えられ、特許文献1のように殺虫薬剤を層状に設けたとしてもその殺虫効力がどの程度であるのか、特許文献1には記載されておらず不明である。
また、特許文献2〜4のように殺虫薬剤を線香基材に塗布する場合、殺虫薬剤の線香基材深さ方向についての分布はなりゆきで決定されることになり、線香基材の燃焼時の熱の影響を受けて殺虫効力が低下してしまうおそれがある。
また、線香としては、殺虫薬剤以外にも香料を含んだものもあり、このような線香においても、含まれる香料をできるだけ少なくしながら十分な効果を得たいという要求がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、線香に含まれる薬剤による効力を高めることにある。
上記目的を達成するために、本発明では、分子量が所定以上のエステル類が含まれるようにした。
第1の発明は、線香基材に揮散性薬剤が含まれた線香において、分子量が400以上の脂肪酸エステルが含まれていることを特徴とする。
この構成によれば、分子量が400以上の脂肪酸エステルを含んでいることで、線香の燃焼時に薬剤が揮散し易くなり、薬剤の有効蒸散率が向上する。
第2の発明は、上記脂肪酸エステルの分子量は500以上であることを特徴とする。
この構成によれば、薬剤の有効蒸散率がより一層向上する。
第3の発明は、上記脂肪酸エステルは、ステアリン酸3−イソアミル−6−メチル−2−ヘプチル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル及びトリオレイン酸グリセロールのうち、少なくとも1つを含んでいることを特徴とする。
すなわち、ステアリン酸3−イソアミル−6−メチル−2−ヘプチル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル及びトリオレイン酸グリセロールは常温で液体であるため、線香の製造工程で線香基材に含ませる際の作業性が良好になる。
第4の発明は、上記揮散性薬剤はピレスロイド系化合物であることを特徴とする。
この構成によれば、ステアリン酸3−イソアミル−6−メチル−2−ヘプチル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル及びトリオレイン酸グリセロールは、いずれもピレスロイド系化合物との相溶性が良好であるため、線香の製造工程において脂肪酸エステルとピレスロイド系化合物とを混合した上で線香基材に含ませる際の作業性が良好になる。
第5の発明は、上記脂肪酸エステル及び上記揮散性薬剤は、上記線香基材に塗布されていることを特徴とする。
この構成によれば、揮散性薬剤が線香基材の外層部の留まりやすくなり、燃焼時の熱が薬剤に対して悪影響を及ぼし難くなる。
第6の発明は、上記線香基材の総厚みの1/16の厚みを有する基材外層部に、上記線香基材の全体に含まれる上記揮散性薬剤の30%以上が含まれていることを特徴とする。
この構成によれば、揮散性薬剤の30%以上が基材外層部に偏在することになる。この基材外層部の厚みは線香基材の総厚みの1/16であり、総厚みに対して十分に薄くなっている。総厚みの1/16の基材外層部に薬剤の30%以上が偏在していることで、燃焼時には基材外層部から揮散性薬剤が揮散し易くなり、燃焼時の熱が揮散性薬剤に対して悪影響を及ぼし難くなる。よって、薬剤による効力が高まる。
第7の発明は、線香基材に揮散性薬剤が含まれた線香の製造方法において、分子量が400以上の脂肪酸エステルと上記揮散性薬剤とを混合して塗布原液を得た後、該塗布原液を上記線香基材に塗布することを特徴とする。
第8の発明は、上記塗布原液は、溶剤としてノルマルパラフィンを含んでいることを特徴とする。
本発明によれば、分子量が400以上の脂肪酸エステルを含んでいるので、薬剤の有効蒸散率が向上し、薬剤による効力を高めることができる。
実施形態に係る線香の断面図である。 忌避試験方法を説明する図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る線香1の断面を示すものである。図1に示す断面は、線香1の延びる方向に直交する方向の断面である。線香1は、例えば直線状に延びる形状であってもよいし、渦巻き状に延びる形状であってもよく、形状は特に限定されるものではない。また、線香1の断面形状についても矩形断面、円形断面、楕円形断面等の各種形状とすることができる。この実施形態では、線香1が渦巻き状に延びる形状であり、断面形状が図1に示すように矩形に近い形状とされていて4つの角部が円弧に近い形状となっている。尚、図1中における符号L1、L2で示す破線は、後述する薬剤の分布を説明する際に説明の便宜を図るために記載しているだけであり、実際の線香1には無い線である。
線香1は、線香基材2に揮散性薬剤及び所定の分子量以上の脂肪酸エステルが含まれたものである。揮散性薬剤としては、殺虫薬剤(ピレスロイド系化合物)、各種香料等を挙げることができる。殺虫薬剤としては、例えばジメフルトリン、トランスフルトリン、アレスリン、dl,d-T80-アレスリン、dl,d-T-アレスリン、d,d-T-アレスリン、プラレトリン、メトフルトリン、メパフルトリン、レノフルトリン、エムペントリン、ピレトリン、プロフルトリン、ヘプタフルトリン、テトラフルメトリン、フタルスリン、レスメトリン、フェノトリン、ペルメトリン、シフェノトリン、イミプロトリン等を挙げることができる。
脂肪酸エステルは、分子量が400以上のものであればよい。また、脂肪酸エステルは、常温で液体のものを選択することができる。さらに、揮散性薬剤としてピレスロイド系化合物を使用する場合には、ピレスロイド系化合物との相溶性が良好な脂肪酸エステルを選択することができる。このような条件を満たす脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸3−イソアミル−6−メチル−2−ヘプチル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル及びトリオレイン酸グリセロール等を挙げることができる。これら脂肪酸エステルのうち、少なくとも1つを含んでいればよく、任意の2つ以上を含んでいてもよい。その他、分子量が400以上の脂肪酸エステルを使用することもできる。
ステアリン酸3−イソアミル−6−メチル−2−ヘプチルは、分子式がC2754であり、分子量は411である。イソステアリン酸2−ヘキシルデシルは、分子式がC3468であり、分子量は509である。トリオレイン酸グリセロールは、分子式がC57104であり、分子量は885である。また、脂肪酸エステルは、分子量が500以上のものから選択するのが好ましく、より好ましいのは分子量が600以上の脂肪酸エステルである。
線香基材2は、木粉、紙、パルプ等の可燃性を持った燃焼材と、燃焼材を固めるためのコーンスターチ等からなる結合剤とを少なくとも含んでいる。線香基材2には、着色料等が含まれていてもよい。
線香1は、揮散性薬剤の濃度分布が線香基材2の深さ方向について不均一になるように製造されている。すなわち、線香基材2の総厚みT1の1/16の厚みT2を有する基材外層部2aに、線香基材2の全体に含まれる揮散性薬剤の30%以上が含まれている。基材外層部2aは、線香基材2の外表面と、破線L1との間の部分であり、線香基材2の表面(図1における上面)、側面、裏面(図1における下面)の全体に亘って設けられている。破線L1は、線香基材2の総厚みT1の1/16の厚みの範囲を特定するために示しており、線香基材2の断面形状と相似な枠状の線である。基材外層部2aには、線香基材2の全体に含まれる揮散性薬剤の50%以上が含まれているのが好ましく、線香基材2の全体に含まれる揮散性薬剤の60%以上が基材外層部2aに含まれているのがより好ましい。例えば、線香基材2の総厚みT1が4mmである場合には、総厚みT1の1/16の厚みT2は0.25mmになるので、基材外層部2aの厚みは0.25mmである。この場合、線香基材2の基材外層部2aを除く部分が内層部となり、この内層部には、揮散性薬剤の残りが含まれることになる。尚、T2は0.3mm以下が好ましく、より好ましくは0.25mm以下である。
また、線香基材2の総厚みT1の1/8の厚みT3を有する基材外層部2bに、線香基材2の全体に含まれる揮散性薬剤の50%以上が含まれている構成であってもよい。この場合、基材外層部2bは、線香基材2の外表面と、破線L2との間の部分であり、線香基材2の表面、側面、裏面の全体に亘って設けられている。破線L2は、線香基材2の総厚みT1の1/8の厚みの範囲を特定するために示しており、線香基材2の断面形状と相似な枠状の線であり、破線L1の内側に位置している。例えば、線香基材2の総厚みT1が4mmである場合には、総厚みT1の1/8の厚みT3は0.5mmになるので、基材外層部2bの厚みは0.5mmである。この場合、線香基材2の基材外層部2bを除く部分が内層部となり、この内層部には、揮散性薬剤の残りが含まれることになる。
揮発性薬剤は、線香基材2の表面側及び裏面側の一方にのみ含浸させるようにしてもよいし、線香基材2の表面側及び裏面側の両方に含浸させるようにしてもよい。また、揮発性薬剤を表面側及び裏面側と、側面とに含浸させるようにしてもよい。
(線香1の製造方法)
次に、上記のように構成された線香1の製造方法について説明する。まず、線香基材2と、線香基材2に塗布する塗布原液とを用意する。塗布原液は、上記揮散性薬剤と、上記脂肪酸エステルと、溶剤とを含んでいる。溶剤としては、例えばパラゾール134等のノルマルパラフィン、ヘキサン、エタノール、水等を挙げることができ、これらのうち、任意の1種または複数種を混合して用いることもできる。揮散性薬剤の量は、例えば1つの線香1につき、3.75mg程度に設定することができるが、これに限られるものではなく、効力を考慮して任意に設定することができる。
そして、予め準備している線香基材2に塗布原液を塗布し、線香基材2の総厚みの1/16の厚みを有する基材外層部2aに、線香基材2の全体に含まれる薬剤の30%以上を含ませる。これは、溶剤の種類や溶剤の量による薬剤の希釈度合い等によって実現することができる。
また、予め準備している線香基材2に塗布原液を塗布し、線香基材2の総厚みの1/8の厚みを有する基材外層部2bに、線香基材2の全体に含まれる薬剤の50%以上を含ませるようにしてもよい。これも、溶剤の種類や溶剤の量による薬剤の希釈度合い等によって実現することができる。
Figure 2019147744
塗布原液は、各脂肪酸エステルと溶剤を1:1で混合し、少量のジメフルトリン(0.52%w/w)を加えたものである。
表1は比較例1〜3及び実施例1〜3の有効蒸散率を示したものである。表1における「有効蒸散率(%)」は、線香1を燃やしたときに、当該線香1に含まれていたジメフルトリン(揮発性薬剤)のうち、どれくらいの量が効力を発揮する状態で揮散したかを示す値である。有効蒸散率が100%であれば、線香1に含まれていたジメフルトリンの全てが効力を発揮する状態で揮散したことになり、反対に0%であれば、線香1に含まれていたジメフルトリンの全てが効力を発揮しなかったことになる。測定方法としては、例えば線香1を燃やして排出された気体を全て回収してガスクロマトグラフィ等の計測機器を使用してジメフルトリンの量を測定する。そして、線香1の燃焼した部分に含まれていたジメフルトリンに対する、回収されたジメフルトリンの量の割合を求め、それを有効蒸散率とすることができる。
比較例1は練り込み製法で得られた線香である。表1の「練り込み製法」とは、線香基材を構成する木粉や結合剤に、揮散性薬剤としてのジメフルトリン3.75mgを練り込んだ後、固めることによって線香を得る製造方法である。ジメフルトリン3.75mgを練り込む木粉の量は、一般的な渦巻き線香の1本分の量である。この練り込み製法によって得られた線香の場合、深さ方向についてジメフルトリンの濃度は略均一になる。内層部には、総薬量(3.75mg)から基材外層部2bの薬量を差し引いた量が存在することになる。薬量はwt%で表すことができる。
比較例2、3及び実施例1〜3は、線香基材2に塗布原液を塗布して得られた塗布線香である。比較例2は、ジメフルトリン3.75mgを溶剤としてのnパラフィン(ノルマルパラフィン)に溶解させて塗布原液を得た後、該塗布原液を線香基材2に塗布した塗布線香である。nパラフィンとしては、例えばパラゾール134を用いることができ、これは以下の例においても同様である。比較例3は、ジメフルトリン3.75mgとステアリン酸ブチルとを、溶剤としてのnパラフィンに溶解させて塗布原液を得た後、該塗布原液を線香基材2に塗布した塗布線香である。ステアリン酸ブチルは、分子式がC2244であり、分子量は341である。
実施例1は、ジメフルトリン3.75mgと、ステアリン酸3−イソアミル−6−メチル−2−ヘプチルと、溶剤としてのnパラフィンとを混合して塗布原液を得た後、該塗布原液を線香基材2に塗布した塗布線香である。
実施例2は、ジメフルトリン3.75mgと、イソステアリン酸2−ヘキシルデシルと、溶剤としてのnパラフィンとを混合して塗布原液を得た後、該塗布原液を線香基材2に塗布した塗布線香である。
実施例3は、ジメフルトリン3.75mgと、トリオレイン酸グリセロールと、溶剤としてのnパラフィンとを混合して塗布原液を得た後、該塗布原液を線香基材2に塗布した塗布線香である。
比較例1の練り込み製法の有効蒸散率は70%、比較例2のnパラフィンを溶剤とした場合の有効蒸散率は79%、比較例3のnパラフィンを溶剤として分子量が400未満の脂肪酸エステルを含んでいる場合の有効蒸散率は80%であった。一方、実施例1〜3のnパラフィンを溶剤として分子量が400以上の脂肪酸エステルを含んでいる場合の有効蒸散率は88%〜94%の高い値であった。溶剤は水、エタノール、ヘキサンであってもよく、どの溶剤であっても、分子量が400以上の脂肪酸エステルを含んでいることにより、比較例1〜3に比べて高い有効蒸散率を得ることができる。
また、表1の実施例1〜3は、基材外層部2aに線香基材2の全体に含まれる薬剤の30%以上を含ませる、または、基材外層部2bに線香基材2の全体に含まれる薬剤の50%以上を含ませる具体的な方法とその結果について示すものである。
尚、基材外層部2a、2bに含まれる揮散性薬剤の量を求める場合には、まず、基材の厚さをノギスにて測定しながら基材外層部2a、2bの厚さに相当する量を削り取り、削り取った部分に含まれる薬剤の量をガスクロマトグラフィを用いて測定する。基材外層部2a、2b以外の部分(内層部)に含まれる薬剤の量も測定する。
(忌避試験)
次に、忌避試験について説明する。図2に示すように恒温試験室100を用意する。試験室100の大きさは約8畳である。試験室100の室温は28℃である。試験室100には、空気を試験室100に取り入れるための空気取入用窓101が2つ設けられるとともに、空気を試験室100から排出するための空気排出用窓102が1つ設けられている。試験室100の換気は、1時間当たり10回となるように空気の流入量及び排出量を設定した。供試剤は線香1である。供試虫104は、ネッタイイエカの雌の成虫(ジャカルタD系)とし、50匹を容器に入れて準備した。誘引源は人間103とした。試験方法は、Free Fly、0スタート、人おとり法である。
まず、図2に示すように、試験室100の片隅に供試虫104を配置し、試験室100の床面近傍において当該試験室100の中央付近に供試剤としての線香1を設置した。また、試験室100の供試虫104を設置した隅と対角線上の隅に誘引源となるヒト103を配置した。
そして、線香1の点火と同時に供試虫50匹の入った容器の蓋をそっと開けて供試虫を試験室100内に放した。供試虫を放してから1時間経過するまで経時的にヒトに対する吸血飛来数を記録した(処理室吸血数)。図示しない線香の無い試験室(無処理室)においても同様に供試虫50匹を放してヒトに対する吸血飛来数を記録した(無処理室吸血数)。次式より吸血阻止率を算出する。
吸血阻止率(%)=(C−T)/C×100
C:無処理室吸血数
T:処理室吸血数
Figure 2019147744
表2の「忌避率」は上記吸血阻止率のことである。表2の「効力比」は比較例1の忌避効力を100としたときの相対比である。表2に示すように、比較例1では効力比が100、比較例2では効力比が108であったのに対し、実施例2では効力比が116、実施例3では効力比が118であった。また表2には記載していないが、表1の結果に基づくと、実施例1も効力比が大幅に高い値になる。
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、線香基材2に揮散性薬剤が含まれた線香1において、分子量が400以上の脂肪酸エステルが含まれていることで、線香1の燃焼時に薬剤が揮散し易くなり、薬剤の有効蒸散率が向上し、薬剤による効力を高めることができる。
また、上記実施形態では、揮散性薬剤がジメフルトリンである場合について説明したが、揮散性薬剤が例えばトランスフルトリン、アレスリン等のピレスロイド系化合物であっても同様な結果となる。また、揮散性薬剤が香料の場合には、香料の効力を高めることができる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
上記実施形態では、塗布原液を線香基材に塗布することによって本発明の実施形態に係る線香1を得るようにしているが、これに限らず、分子量が400以上の脂肪酸エステルと、揮散性薬剤とを、線香基材を構成する木粉や結合剤に練り込んだ後、固めることによって本発明の実施形態に係る線香1を得ることもできる。この場合も、分子量が400以上の脂肪酸エステルを含む線香1とすることができるので、塗布線香と同様な作用効果を奏することができる。
以上説明したように、本発明は、例えば殺虫用線香や芳香用線香に使用することができる。
1 線香
2 線香基材
2a 基材外層部
2b 基材外層部
本発明は、揮散性の薬剤を含む線香及びその製造方法に関する。
一般に、害虫を駆除するための線香として蚊取り線香と呼ばれるものが知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特許文献1には、クレー等の無機物にピレスロイド系等の殺虫薬剤を配合した無機物層を基材層の厚さの1/3以下の厚さに形成し、その無機物層を基材層の上、下または側面の一部もしくは全部に設けることが開示されている。
特許文献2〜4には、所定の化学式で示されるエステル化合物と、鎖式飽和炭化水素系溶剤や脂環式飽和炭化水素系溶剤との混合物を線香基材に塗布することが開示されている。
特許文献5には、殺虫薬剤を含有する殺虫液に常温難揮発性の成分を含有させた液を生成し、この常温難揮発性の成分を含有する液を線香基材の処理面に処理することが開示されている。
特公昭46−28119号公報 特開2005−200403号公報 特開2005−298477号公報 特開2006−256991号公報 特許第4183790号公報
上記特許文献1では、殺虫薬剤を基材層の上や下等に層状に設けるようにしているが、線香の場合、殺虫薬剤は線香基材の燃焼時の熱の影響等を受けやすく、その熱が殺虫効力に影響を与えることが考えられ、特許文献1のように殺虫薬剤を層状に設けたとしてもその殺虫効力がどの程度であるのか、特許文献1には記載されておらず不明である。
また、特許文献2〜4のように殺虫薬剤を線香基材に塗布する場合、殺虫薬剤の線香基材深さ方向についての分布はなりゆきで決定されることになり、線香基材の燃焼時の熱の影響を受けて殺虫効力が低下してしまうおそれがある。
また、線香としては、殺虫薬剤以外にも香料を含んだものもあり、このような線香においても、含まれる香料をできるだけ少なくしながら十分な効果を得たいという要求がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、線香に含まれる薬剤による効力を高めることにある。
上記目的を達成するために、本発明では、分子量が所定以上のエステル類が含まれるようにした。
第1の発明は、線香基材に揮散性薬剤としてジメフルトリン、トランスフルトリン及びアレスリンのうち、少なくとも1つが含まれた線香において、肪酸エステルとしてステアリン酸3−イソアミル−6−メチル−2−ヘプチル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル及びトリオレイン酸グリセロールのうち、少なくとも1つが含まれており、上記線香基材の総厚みの1/16の厚みを有する基材外層部に、上記線香基材の全体に含まれる上記揮散性薬剤の30%以上が含まれていることを特徴とする。
この構成によれば、分子量が400以上の脂肪酸エステルを含んでいることで、線香の燃焼時に薬剤が揮散し易くなり、薬剤の有効蒸散率が向上する
また、ステアリン酸3−イソアミル−6−メチル−2−ヘプチル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル及びトリオレイン酸グリセロールは常温で液体であるため、線香の製造工程で線香基材に含ませる際の作業性が良好になる。
また、ステアリン酸3−イソアミル−6−メチル−2−ヘプチル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル及びトリオレイン酸グリセロールは、いずれもピレスロイド系化合物との相溶性が良好であるため、線香の製造工程において脂肪酸エステルとピレスロイド系化合物とを混合した上で線香基材に含ませる際の作業性が良好になる。
また、揮散性薬剤の30%以上が基材外層部に偏在することになる。この基材外層部の厚みは線香基材の総厚みの1/16であり、総厚みに対して十分に薄くなっている。総厚みの1/16の基材外層部に薬剤の30%以上が偏在していることで、燃焼時には基材外層部から揮散性薬剤が揮散し易くなり、燃焼時の熱が揮散性薬剤に対して悪影響を及ぼし難くなる。よって、薬剤による効力が高まる。
の発明は、上記脂肪酸エステル及び上記揮散性薬剤は、上記線香基材に塗布されていることを特徴とする。
この構成によれば、揮散性薬剤が線香基材の外層部の留まりやすくなり、燃焼時の熱が薬剤に対して悪影響を及ぼし難くなる
の発明は、線香基材に揮散性薬剤としてジメフルトリン、トランスフルトリン及びアレスリンのうち、少なくとも1つが含まれた線香の製造方法において、肪酸エステルとしてステアリン酸3−イソアミル−6−メチル−2−ヘプチル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル及びトリオレイン酸グリセロールのうち、少なくとも1つと上記揮散性薬剤とを混合して塗布原液を得た後、該塗布原液を上記線香基材に塗布することにより、上記線香基材の総厚みの1/16の厚みを有する基材外層部に、上記線香基材の全体に含まれる上記揮散性薬剤の30%以上を含ませることを特徴とする。
の発明は、上記塗布原液は、溶剤としてノルマルパラフィンを含んでいることを特徴とする。
本発明によれば、分子量が400以上の脂肪酸エステルを含んでいるので、薬剤の有効蒸散率が向上し、薬剤による効力を高めることができる。
実施形態に係る線香の断面図である。 忌避試験方法を説明する図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る線香1の断面を示すものである。図1に示す断面は、線香1の延びる方向に直交する方向の断面である。線香1は、例えば直線状に延びる形状であってもよいし、渦巻き状に延びる形状であってもよく、形状は特に限定されるものではない。また、線香1の断面形状についても矩形断面、円形断面、楕円形断面等の各種形状とすることができる。この実施形態では、線香1が渦巻き状に延びる形状であり、断面形状が図1に示すように矩形に近い形状とされていて4つの角部が円弧に近い形状となっている。尚、図1中における符号L1、L2で示す破線は、後述する薬剤の分布を説明する際に説明の便宜を図るために記載しているだけであり、実際の線香1には無い線である。
線香1は、線香基材2に揮散性薬剤及び所定の分子量以上の脂肪酸エステルが含まれたものである。揮散性薬剤としては、殺虫薬剤(ピレスロイド系化合物)、各種香料等を挙げることができる。殺虫薬剤としては、例えばジメフルトリン、トランスフルトリン、アレスリン、dl,d-T80-アレスリン、dl,d-T-アレスリン、d,d-T-アレスリン、プラレトリン、メトフルトリン、メパフルトリン、レノフルトリン、エムペントリン、ピレトリン、プロフルトリン、ヘプタフルトリン、テトラフルメトリン、フタルスリン、レスメトリン、フェノトリン、ペルメトリン、シフェノトリン、イミプロトリン等を挙げることができる。
脂肪酸エステルは、分子量が400以上のものであればよい。また、脂肪酸エステルは、常温で液体のものを選択することができる。さらに、揮散性薬剤としてピレスロイド系化合物を使用する場合には、ピレスロイド系化合物との相溶性が良好な脂肪酸エステルを選択することができる。このような条件を満たす脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸3−イソアミル−6−メチル−2−ヘプチル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル及びトリオレイン酸グリセロール等を挙げることができる。これら脂肪酸エステルのうち、少なくとも1つを含んでいればよく、任意の2つ以上を含んでいてもよい。その他、分子量が400以上の脂肪酸エステルを使用することもできる。
ステアリン酸3−イソアミル−6−メチル−2−ヘプチルは、分子式がC2754であり、分子量は411である。イソステアリン酸2−ヘキシルデシルは、分子式がC3468であり、分子量は509である。トリオレイン酸グリセロールは、分子式がC57104であり、分子量は885である。また、脂肪酸エステルは、分子量が500以上のものから選択するのが好ましく、より好ましいのは分子量が600以上の脂肪酸エステルである。
線香基材2は、木粉、紙、パルプ等の可燃性を持った燃焼材と、燃焼材を固めるためのコーンスターチ等からなる結合剤とを少なくとも含んでいる。線香基材2には、着色料等が含まれていてもよい。
線香1は、揮散性薬剤の濃度分布が線香基材2の深さ方向について不均一になるように製造されている。すなわち、線香基材2の総厚みT1の1/16の厚みT2を有する基材外層部2aに、線香基材2の全体に含まれる揮散性薬剤の30%以上が含まれている。基材外層部2aは、線香基材2の外表面と、破線L1との間の部分であり、線香基材2の表面(図1における上面)、側面、裏面(図1における下面)の全体に亘って設けられている。破線L1は、線香基材2の総厚みT1の1/16の厚みの範囲を特定するために示しており、線香基材2の断面形状と相似な枠状の線である。基材外層部2aには、線香基材2の全体に含まれる揮散性薬剤の50%以上が含まれているのが好ましく、線香基材2の全体に含まれる揮散性薬剤の60%以上が基材外層部2aに含まれているのがより好ましい。例えば、線香基材2の総厚みT1が4mmである場合には、総厚みT1の1/16の厚みT2は0.25mmになるので、基材外層部2aの厚みは0.25mmである。この場合、線香基材2の基材外層部2aを除く部分が内層部となり、この内層部には、揮散性薬剤の残りが含まれることになる。尚、T2は0.3mm以下が好ましく、より好ましくは0.25mm以下である。
また、線香基材2の総厚みT1の1/8の厚みT3を有する基材外層部2bに、線香基材2の全体に含まれる揮散性薬剤の50%以上が含まれている構成であってもよい。この場合、基材外層部2bは、線香基材2の外表面と、破線L2との間の部分であり、線香基材2の表面、側面、裏面の全体に亘って設けられている。破線L2は、線香基材2の総厚みT1の1/8の厚みの範囲を特定するために示しており、線香基材2の断面形状と相似な枠状の線であり、破線L1の内側に位置している。例えば、線香基材2の総厚みT1が4mmである場合には、総厚みT1の1/8の厚みT3は0.5mmになるので、基材外層部2bの厚みは0.5mmである。この場合、線香基材2の基材外層部2bを除く部分が内層部となり、この内層部には、揮散性薬剤の残りが含まれることになる。
揮発性薬剤は、線香基材2の表面側及び裏面側の一方にのみ含浸させるようにしてもよいし、線香基材2の表面側及び裏面側の両方に含浸させるようにしてもよい。また、揮発性薬剤を表面側及び裏面側と、側面とに含浸させるようにしてもよい。
(線香1の製造方法)
次に、上記のように構成された線香1の製造方法について説明する。まず、線香基材2と、線香基材2に塗布する塗布原液とを用意する。塗布原液は、上記揮散性薬剤と、上記脂肪酸エステルと、溶剤とを含んでいる。溶剤としては、例えばパラゾール134等のノルマルパラフィン、ヘキサン、エタノール、水等を挙げることができ、これらのうち、任意の1種または複数種を混合して用いることもできる。揮散性薬剤の量は、例えば1つの線香1につき、3.75mg程度に設定することができるが、これに限られるものではなく、効力を考慮して任意に設定することができる。
そして、予め準備している線香基材2に塗布原液を塗布し、線香基材2の総厚みの1/16の厚みを有する基材外層部2aに、線香基材2の全体に含まれる薬剤の30%以上を含ませる。これは、溶剤の種類や溶剤の量による薬剤の希釈度合い等によって実現することができる。
また、予め準備している線香基材2に塗布原液を塗布し、線香基材2の総厚みの1/8の厚みを有する基材外層部2bに、線香基材2の全体に含まれる薬剤の50%以上を含ませるようにしてもよい。これも、溶剤の種類や溶剤の量による薬剤の希釈度合い等によって実現することができる。
Figure 2019147744
塗布原液は、各脂肪酸エステルと溶剤を1:1で混合し、少量のジメフルトリン(0.52%w/w)を加えたものである。
表1は比較例1〜3及び実施例1〜3の有効蒸散率を示したものである。表1における「有効蒸散率(%)」は、線香1を燃やしたときに、当該線香1に含まれていたジメフルトリン(揮発性薬剤)のうち、どれくらいの量が効力を発揮する状態で揮散したかを示す値である。有効蒸散率が100%であれば、線香1に含まれていたジメフルトリンの全てが効力を発揮する状態で揮散したことになり、反対に0%であれば、線香1に含まれていたジメフルトリンの全てが効力を発揮しなかったことになる。測定方法としては、例えば線香1を燃やして排出された気体を全て回収してガスクロマトグラフィ等の計測機器を使用してジメフルトリンの量を測定する。そして、線香1の燃焼した部分に含まれていたジメフルトリンに対する、回収されたジメフルトリンの量の割合を求め、それを有効蒸散率とすることができる。
比較例1は練り込み製法で得られた線香である。表1の「練り込み製法」とは、線香基材を構成する木粉や結合剤に、揮散性薬剤としてのジメフルトリン3.75mgを練り込んだ後、固めることによって線香を得る製造方法である。ジメフルトリン3.75mgを練り込む木粉の量は、一般的な渦巻き線香の1本分の量である。この練り込み製法によって得られた線香の場合、深さ方向についてジメフルトリンの濃度は略均一になる。内層部には、総薬量(3.75mg)から基材外層部2bの薬量を差し引いた量が存在することになる。薬量はwt%で表すことができる。
比較例2、3及び実施例1〜3は、線香基材2に塗布原液を塗布して得られた塗布線香である。比較例2は、ジメフルトリン3.75mgを溶剤としてのnパラフィン(ノルマルパラフィン)に溶解させて塗布原液を得た後、該塗布原液を線香基材2に塗布した塗布線香である。nパラフィンとしては、例えばパラゾール134を用いることができ、これは以下の例においても同様である。比較例3は、ジメフルトリン3.75mgとステアリン酸ブチルとを、溶剤としてのnパラフィンに溶解させて塗布原液を得た後、該塗布原液を線香基材2に塗布した塗布線香である。ステアリン酸ブチルは、分子式がC2244であり、分子量は341である。
実施例1は、ジメフルトリン3.75mgと、ステアリン酸3−イソアミル−6−メチル−2−ヘプチルと、溶剤としてのnパラフィンとを混合して塗布原液を得た後、該塗布原液を線香基材2に塗布した塗布線香である。
実施例2は、ジメフルトリン3.75mgと、イソステアリン酸2−ヘキシルデシルと、溶剤としてのnパラフィンとを混合して塗布原液を得た後、該塗布原液を線香基材2に塗布した塗布線香である。
実施例3は、ジメフルトリン3.75mgと、トリオレイン酸グリセロールと、溶剤としてのnパラフィンとを混合して塗布原液を得た後、該塗布原液を線香基材2に塗布した塗布線香である。
比較例1の練り込み製法の有効蒸散率は70%、比較例2のnパラフィンを溶剤とした場合の有効蒸散率は79%、比較例3のnパラフィンを溶剤として分子量が400未満の脂肪酸エステルを含んでいる場合の有効蒸散率は80%であった。一方、実施例1〜3のnパラフィンを溶剤として分子量が400以上の脂肪酸エステルを含んでいる場合の有効蒸散率は88%〜94%の高い値であった。溶剤は水、エタノール、ヘキサンであってもよく、どの溶剤であっても、分子量が400以上の脂肪酸エステルを含んでいることにより、比較例1〜3に比べて高い有効蒸散率を得ることができる。
また、表1の実施例1〜3は、基材外層部2aに線香基材2の全体に含まれる薬剤の30%以上を含ませる、または、基材外層部2bに線香基材2の全体に含まれる薬剤の50%以上を含ませる具体的な方法とその結果について示すものである。
尚、基材外層部2a、2bに含まれる揮散性薬剤の量を求める場合には、まず、基材の厚さをノギスにて測定しながら基材外層部2a、2bの厚さに相当する量を削り取り、削り取った部分に含まれる薬剤の量をガスクロマトグラフィを用いて測定する。基材外層部2a、2b以外の部分(内層部)に含まれる薬剤の量も測定する。
(忌避試験)
次に、忌避試験について説明する。図2に示すように恒温試験室100を用意する。試験室100の大きさは約8畳である。試験室100の室温は28℃である。試験室100には、空気を試験室100に取り入れるための空気取入用窓101が2つ設けられるとともに、空気を試験室100から排出するための空気排出用窓102が1つ設けられている。試験室100の換気は、1時間当たり10回となるように空気の流入量及び排出量を設定した。供試剤は線香1である。供試虫104は、ネッタイイエカの雌の成虫(ジャカルタD系)とし、50匹を容器に入れて準備した。誘引源は人間103とした。試験方法は、Free Fly、0スタート、人おとり法である。
まず、図2に示すように、試験室100の片隅に供試虫104を配置し、試験室100の床面近傍において当該試験室100の中央付近に供試剤としての線香1を設置した。また、試験室100の供試虫104を設置した隅と対角線上の隅に誘引源となるヒト103を配置した。
そして、線香1の点火と同時に供試虫50匹の入った容器の蓋をそっと開けて供試虫を試験室100内に放した。供試虫を放してから1時間経過するまで経時的にヒトに対する吸血飛来数を記録した(処理室吸血数)。図示しない線香の無い試験室(無処理室)においても同様に供試虫50匹を放してヒトに対する吸血飛来数を記録した(無処理室吸血数)。次式より吸血阻止率を算出する。
吸血阻止率(%)=(C−T)/C×100
C:無処理室吸血数
T:処理室吸血数
Figure 2019147744
表2の「忌避率」は上記吸血阻止率のことである。表2の「効力比」は比較例1の忌避効力を100としたときの相対比である。表2に示すように、比較例1では効力比が100、比較例2では効力比が108であったのに対し、実施例2では効力比が116、実施例3では効力比が118であった。また表2には記載していないが、表1の結果に基づくと、実施例1も効力比が大幅に高い値になる。
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、線香基材2に揮散性薬剤が含まれた線香1において、分子量が400以上の脂肪酸エステルが含まれていることで、線香1の燃焼時に薬剤が揮散し易くなり、薬剤の有効蒸散率が向上し、薬剤による効力を高めることができる。
また、上記実施形態では、揮散性薬剤がジメフルトリンである場合について説明したが、揮散性薬剤が例えばトランスフルトリン、アレスリン等のピレスロイド系化合物であっても同様な結果となる。また、揮散性薬剤が香料の場合には、香料の効力を高めることができる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
上記実施形態では、塗布原液を線香基材に塗布することによって本発明の実施形態に係る線香1を得るようにしているが、これに限らず、分子量が400以上の脂肪酸エステルと、揮散性薬剤とを、線香基材を構成する木粉や結合剤に練り込んだ後、固めることによって本発明の実施形態に係る線香1を得ることもできる。この場合も、分子量が400以上の脂肪酸エステルを含む線香1とすることができるので、塗布線香と同様な作用効果を奏することができる。
以上説明したように、本発明は、例えば殺虫用線香や芳香用線香に使用することができる。
1 線香
2 線香基材
2a 基材外層部
2b 基材外層部

Claims (8)

  1. 線香基材に揮散性薬剤が含まれた線香において、
    分子量が400以上の脂肪酸エステルが含まれていることを特徴とする線香。
  2. 請求項1に記載の線香において、
    上記脂肪酸エステルの分子量は500以上であることを特徴とする線香。
  3. 請求項1に記載の線香において、
    上記脂肪酸エステルは、ステアリン酸3−イソアミル−6−メチル−2−ヘプチル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル及びトりオレイン酸グリセロールのうち、少なくとも1つを含んでいることを特徴とする線香。
  4. 請求項3に記載の線香において、
    上記揮散性薬剤はピレスロイド系化合物であることを特徴とする線香。
  5. 請求項3または4に記載の線香において、
    上記脂肪酸エステル及び上記揮散性薬剤は、上記線香基材に塗布されていることを特徴とする線香。
  6. 請求項1から5のいずれか1つに記載の線香において、
    上記線香基材の総厚みの1/16の厚みを有する基材外層部に、上記線香基材の全体に含まれる上記揮散性薬剤の30%以上が含まれていることを特徴とする線香。
  7. 線香基材に揮散性薬剤が含まれた線香の製造方法において、
    分子量が400以上の脂肪酸エステルと上記揮散性薬剤とを混合して塗布原液を得た後、該塗布原液を上記線香基材に塗布することを特徴とする線香の製造方法。
  8. 請求項7に記載の線香の製造方法において、
    上記塗布原液は、溶剤としてノルマルパラフィンを含んでいることを特徴とする線香の製造方法。
JP2018031836A 2018-02-26 2018-02-26 線香及びその製造方法 Active JP6626912B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018031836A JP6626912B2 (ja) 2018-02-26 2018-02-26 線香及びその製造方法
MYPI2020004366A MY194501A (en) 2018-02-26 2019-02-08 Incense stick and method for manufacturing same
PCT/JP2019/004701 WO2019163571A1 (ja) 2018-02-26 2019-02-08 線香及びその製造方法
SG11202007796TA SG11202007796TA (en) 2018-02-26 2019-02-08 Incense stick and method for manufacturing same
MX2020008308A MX2020008308A (es) 2018-02-26 2019-02-08 Barra de incienso y su metodo de fabricacion.

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018031836A JP6626912B2 (ja) 2018-02-26 2018-02-26 線香及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019147744A true JP2019147744A (ja) 2019-09-05
JP6626912B2 JP6626912B2 (ja) 2019-12-25

Family

ID=67687094

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018031836A Active JP6626912B2 (ja) 2018-02-26 2018-02-26 線香及びその製造方法

Country Status (5)

Country Link
JP (1) JP6626912B2 (ja)
MX (1) MX2020008308A (ja)
MY (1) MY194501A (ja)
SG (1) SG11202007796TA (ja)
WO (1) WO2019163571A1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7058855B2 (ja) * 2017-08-10 2022-04-25 フマキラー株式会社 線香の製造方法

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4628119B1 (ja) * 1968-12-27 1971-08-14
JPS5428818A (en) * 1977-08-05 1979-03-03 Fumakilla Ltd Method of enhancing effect of pesticide smoked in short time
JPH0640828A (ja) * 1992-07-17 1994-02-15 Sumitomo Chem Co Ltd 殺虫組成物
JP2005200403A (ja) * 2003-12-18 2005-07-28 Sumitomo Chemical Co Ltd 殺虫線香の製造方法及び殺虫線香
JP2005298477A (ja) * 2004-03-17 2005-10-27 Sumitomo Chemical Co Ltd 殺虫線香の製造方法及び殺虫線香
JP2006256991A (ja) * 2005-03-16 2006-09-28 Sumitomo Chemical Co Ltd 殺虫線香の製造方法及び殺虫線香
JP2008013547A (ja) * 2006-06-07 2008-01-24 Earth Chem Corp Ltd 蚊取線香及び蚊取線香中の薬剤の安定化方法
JP2011012056A (ja) * 2009-06-02 2011-01-20 Dainippon Jochugiku Co Ltd 害虫防除方法
CN105685021A (zh) * 2016-01-18 2016-06-22 中山榄菊日化实业有限公司 一种杀虫剂母液及其应用

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4628119B1 (ja) * 1968-12-27 1971-08-14
JPS5428818A (en) * 1977-08-05 1979-03-03 Fumakilla Ltd Method of enhancing effect of pesticide smoked in short time
JPH0640828A (ja) * 1992-07-17 1994-02-15 Sumitomo Chem Co Ltd 殺虫組成物
JP2005200403A (ja) * 2003-12-18 2005-07-28 Sumitomo Chemical Co Ltd 殺虫線香の製造方法及び殺虫線香
JP2005298477A (ja) * 2004-03-17 2005-10-27 Sumitomo Chemical Co Ltd 殺虫線香の製造方法及び殺虫線香
JP2006256991A (ja) * 2005-03-16 2006-09-28 Sumitomo Chemical Co Ltd 殺虫線香の製造方法及び殺虫線香
JP2008013547A (ja) * 2006-06-07 2008-01-24 Earth Chem Corp Ltd 蚊取線香及び蚊取線香中の薬剤の安定化方法
JP2011012056A (ja) * 2009-06-02 2011-01-20 Dainippon Jochugiku Co Ltd 害虫防除方法
CN105685021A (zh) * 2016-01-18 2016-06-22 中山榄菊日化实业有限公司 一种杀虫剂母液及其应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP6626912B2 (ja) 2019-12-25
MX2020008308A (es) 2020-09-21
MY194501A (en) 2022-11-30
SG11202007796TA (en) 2020-09-29
WO2019163571A1 (ja) 2019-08-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5341269B2 (ja) 害虫防除方法
JP7381124B2 (ja) 薬剤の有効蒸散率の向上方法
JP6965394B2 (ja) 害虫防除製品、及び害虫防除方法
JP2023113861A (ja) 殺虫効力増強剤、害虫防除方法、及び加熱蒸散用水性殺虫剤組成物
JP2020120672A (ja) 水性処方薬液加熱蒸散用吸液芯、及びその製造方法、並びに当該水性処方薬液加熱蒸散用吸液芯を用いた水性処方薬液加熱蒸散方法
WO2019163571A1 (ja) 線香及びその製造方法
TWI586274B (zh) 害蟲防除製品及害蟲防除方法
JP2023014145A (ja) 害虫侵入阻止製品、及び害虫侵入阻止方法
WO2020195619A1 (ja) 線香及び線香を用いた薬剤の蒸散方法
KR950002846B1 (ko) 전기 훈증기용 살충 조성물
JP2018104475A (ja) 加熱蒸散用水性殺虫剤組成物、及び加熱蒸散用水性殺虫剤組成物の加熱蒸散方法
ITRM940564A1 (it) "insetticida che vaporizza a caldo, producente esalazioni, per uccide mosche e metodo per uccidere mosche con esso"
JP2019104720A (ja) 板状線香
JP7152613B2 (ja) ゴキブリ類駆除用エアゾール、及びゴキブリ類駆除方法
JP2021159036A (ja) 線香及び線香を用いた薬剤の蒸散方法
JP3909716B2 (ja) ハエ及び蚊取り線香
JP2004143151A5 (ja)
WO1994009080A1 (en) Regulation agent for vaporability of heat-vaporized medicine for liquid absorbing core, and method of regulating vaporability of heat-vaporized medicine
JPH10316506A (ja) 加熱蒸散式害虫駆除剤およびそれを利用した害虫駆除方法
JPH02177844A (ja) 加熱蒸散体
JPH10203905A (ja) ハエ取線香

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190208

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190409

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190610

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191119

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191202

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6626912

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250