JPH10316506A - 加熱蒸散式害虫駆除剤およびそれを利用した害虫駆除方法 - Google Patents

加熱蒸散式害虫駆除剤およびそれを利用した害虫駆除方法

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JPH10316506A
JPH10316506A JP12274697A JP12274697A JPH10316506A JP H10316506 A JPH10316506 A JP H10316506A JP 12274697 A JP12274697 A JP 12274697A JP 12274697 A JP12274697 A JP 12274697A JP H10316506 A JPH10316506 A JP H10316506A
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JP
Japan
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insect
heat
pest control
growth inhibitor
transpiration
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JP12274697A
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Takashi Sugiyama
隆史 杉山
Hiroaki Inoue
裕章 井上
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Fumakilla Ltd
Original Assignee
Fumakilla Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 昆虫成長阻害剤を長期間にわたって加熱蒸散
させることによる加熱蒸散式害虫駆除剤である。 【解決手段】 有効成分として昆虫成長阻害剤を使用
し、対象害虫のライフサイクル以上の長期間にわたって
昆虫成長阻害剤を安定蒸散させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加熱蒸散害虫駆除剤お
よびその駆除方法に関し、さらに詳しくは害虫駆除液中
に多孔質吸液芯の一部を浸漬して該芯に害虫駆除液を吸
液すると共に、該芯の上部を間接加熱することにより吸
液された害虫駆除液を蒸散させる。また、害虫駆除液を
多孔質マットに含浸させ、電熱器などの適当な方法で加
熱して徐々に害虫駆除剤を蒸散させる。さらに、木粉、
タブ粉、除虫菊抽出粕、デンプンなどと害虫駆除剤を混
練し、押し出したのちに所定の形状に打抜き乾燥したも
のの先に火をつけて害虫駆除剤を蒸散させる加熱蒸散害
虫駆除剤およびそれを利用した害虫駆除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、害虫を駆除するために殺虫剤が使
用されている。しかし、代表的な殺虫剤である有機リン
系殺虫剤やカーバメイト系殺虫剤は、使用者への影響に
問題があり、近年使用が減少傾向にある。また哺乳類に
対して比較的安全であるといわれるピレスロイド系殺虫
剤も抵抗性害虫の発現により、効果の低下が問題になり
つつある。そこで殺虫剤を用いず害虫を駆除する方法と
して昆虫成長阻害剤を用いた方法が、特開平2−247
102号公報や特開平5−301801号公報に記載さ
れているが、前者は浄化槽という限られた空間での効果
であり、広い空間での効果は期待できない。また後者は
合成樹脂に昆虫成長阻害剤を加熱混練して得られる合成
樹脂組成物であるため、害虫が接触しない限り効果の発
現は期待できない。またこの他にも水和剤や毒餌剤が考
えられているが、頻繁に害虫が接触または摂食する必要
があるため安定した効果が得られない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】駆除を目的とした害虫
の成長を阻害する種々の方法はあるものの長期間安定し
た効果を広範囲にわたって維持するには、充分満足でき
る駆除方法ではなかった。従って、本発明の目的は、上
記のような問題を解消し、長期間に亘って昆虫成長阻害
剤を有効に蒸散させ、害虫を広範囲にわたって駆除でき
る加熱蒸散害虫駆除剤を提供し、さらに害虫駆除方法に
利用するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の加熱蒸散式害虫
駆除剤は、上記目的を達成するため昆虫成長阻害剤を溶
剤等に溶解させた害虫駆除液中に多孔質吸液芯の一部を
浸漬して、該芯に害虫駆除液を吸液すると共に、該芯の
上部を間接加熱することにより吸液された害虫駆除液を
蒸散させる加熱蒸散害虫駆除剤である。
【0005】また、パルプ、綿等の繊維板等の基材に昆
虫成長阻害剤を含有する害虫駆除液を保持させたもの、
あるいは各種無機物質および/または有機物質からなる
空隙を有した多孔質体に昆虫成長阻害剤を含有する害虫
駆除液を保持させたもの、
【0006】あるいは昆虫成長阻害剤を含有する害虫駆
除液をゲルまたはペースト状にし、発熱体を用いて加熱
蒸散させることを特徴とするものである。
【0007】また、昆虫成長阻害剤を木粉等の基剤と混
合し、これにタブ粉、デンプン等の粘着剤を添加し混合
する。
【0008】さらに色素、防カビ剤、水を添加して混練
し、押し出し成形後、所定の形に打抜いて乾燥させる。
この害虫駆除剤の先端に火をつけることにより、燃焼部
から数mm離れた部位から加熱蒸散させることを特徴と
するものである。
【0009】昆虫成長阻害剤の有効成分としては、以下
のものが挙げられるが、なんら限定されるものではな
い。 (幼若ホルモン作用物質) ・ピリプロキシフェン:2−〔1−メチル−2−(4−
フェノキシフェノキシ)エトキシ〕ピリジン ・フェノキシカルブ:エチル〔2−(4−フェノキシフ
ェノキシ)エチル〕カーバメート (キチン合成阻害剤) ・ジフルベンズロン:N−〔〔(4−クロロフェニル)
アミノ〕カルボニル〕−2,6−ジフロロベンズアミド ・シロマジン:N−シクロプロピル−1,3,5−トリ
アジン−2,4,6−トリアミン ・テフルベンズロン:N−〔〔((3,5−ジクロロ−
2,4−ジフロロフェニエル)アミノ〕カルボニル〕−
2,6−ジフロロベンズアミド
【0010】これらのうち安全性、工業的入手性、効
果、蒸散性等の点から2−〔1−メチル−2−(4−フ
ェノキシフェノキシ)エトキシ〕ピリジンを用いること
が好ましい。
【0011】また、本発明において多孔質吸液芯の一部
に浸漬し、該芯に吸液すると共に、該芯の上部を間接加
熱する吸液式加熱蒸散剤の場合、昆虫成長阻害剤として
2−〔1−メチル−2−(4−フェノキシフェノキシ)
エトキシ〕ピリジンを用いた害虫駆除液は10重量%以
下の濃度が好ましく、多孔質吸液芯の上部は110〜2
00℃の温度で間接加熱されることが好ましい。
【0012】
【発明の作用および態様】本発明者は、上記したような
加熱蒸散害虫駆除剤により対象害虫のライフサイクル以
上の期間にわたって昆虫成長阻害剤を蒸散させることを
見い出した。このことは害虫のある限られたステージに
おいて効果が発現する昆虫成長阻害剤の特徴を鑑みた害
虫駆除方法である。
【0013】また加熱蒸散させた場合、蒸気の平均粒子
径が小さいため、拡散性に優れ、隙間等へも容易に入り
込むことができる。これにより害虫の全個体に効果がお
よぶため、取りこぼしが少なく、結果として害虫の駆除
効果が向上する。さらに長期間苛酷な環境で使用されて
も、常に新しい昆虫成長阻害剤が害虫に作用するため、
紫外線等の光や酸化による分解等も少なく効果の低下が
少ないことも見い出した。
【0014】ここで本発明の実施態様について述べる。
吸液式加熱蒸散駆除剤の場合、吸液芯として無機粉末お
よび有機粉末を糊剤で粘結あるいは、熱可塑性樹脂で焼
結させた多孔質吸液芯を用いるとともに、昆虫成長阻害
剤を炭素数12〜18の脂肪族飽和炭化水素に溶解さ
せ、これを害虫駆除液として用いることにより、110
〜200℃、好ましくは130〜170℃の加熱温度
で、害虫駆除効果を示すに十分な蒸散量で上記昆虫成長
阻害剤を蒸散させることができる。
【0015】また多孔質基剤に昆虫成長阻害剤、酸化防
止剤としてBHT、蒸散量調節剤としてステアリン酸ブ
チル、溶剤として炭素数12〜18の脂肪族飽和炭化水
素を保持させた加熱蒸散剤の場合、多孔質基剤は無機物
質および有機物質いずれも昆虫成長阻害剤の熱分解は少
なく、高い有効蒸散率が得られ、長期にわたって有効か
つ安定した害虫駆除効果を持続させることができる。
【0016】また、昆虫成長阻害剤を木粉と混合し、こ
れに粘着剤として、タブ粉、デンプンを添加し混合、さ
らに色素、防カビ剤、水を添加して混練し、押し出し成
形後、所定の形に打抜き、乾燥させた燃焼式加熱蒸散剤
の場合も昆虫成長阻害剤の熱分解は少なく、高い有効蒸
散率が得られ、長期にわたり有効かつ安定した害虫駆除
効果を持続させることができる。
【0017】なお、上記の実施態様は一例であり、なん
らこれに限定されるものではない。例えば害虫駆除液を
調整するための溶剤としては、水性、油性どちらでもよ
く、水、メチルアルコール、エチルアルコール等のアル
コール類、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピ
ル、ステアリン酸ブチル等のエステル類、ヘキサン、ケ
ロシン、パラフィン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、
キシレン等の芳香族炭化水素類、さらにエチレングリコ
ール、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテ
ル類を例示できる。
【0018】また、昆虫成長阻害剤や溶剤、その他の添
加剤による臭気をマスキングし、芳香を付与させるため
に、天然および人工の各種香料を用いることができ、例
えば動物性、植物性の天然香料、炭化水素、アルコー
ル、ケトン、ラクトン、オキシド、エステル類等の人工
香料などであり、これらの1種を単独で使用できる他、
2種類以上を混合して使用することもできる。
【0019】また、昆虫成長阻害剤の分解やそれにとも
なう多孔質吸液芯の目詰り防止としては、2,2′−メ
チレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−
ブチルフェノール)、4,4′−メチレンビス(2−メ
チル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリ
デンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、4,4′−メチレンビス(2,6−t−ブチ
ルフェノール)、
【0020】ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
1,1,3,−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)ブタン、テトラキス〔メチレ
ン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシシンナメ
ート)〕メタン、BHT、BHA、3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシアニソール、メルカプトベンズイ
ミダゾール、ジラウリル−チオ−ジ−プロピオネート、
2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブ
チル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチ
ル−4−エチルフェノール、α−トコフェロール、
【0021】アスコルビン酸、エリソルビン酸、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、オ
クタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ヒドロシンナメート、フェニル−β−ナフチルアミン、
N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,
2,4−トリメチル−12−ジヒドロキノリンポリマ
ー、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−
ジヒドロキノリン、2,2−チオビス(4−メチル−6
−t−ブチルフェノール)、3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチル
エステル、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジルホスホン酸エチル)カルシウム:ポリエチ
レンワックス、
【0022】オクチル化ジフェニルアミン、トリス〔2
−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシヒ
ドロ−シンナモイルオキシル)エチル〕イソシアヌレー
ト、トリス−(4−t−ブチル−2,6−ジメチル−3
−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビ
ス〔1,1−ジ−メチル−2−{β−(3−t−ブチル
−4−ヒドロキシ−5−メチル−フェニル)プロピオニ
ルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキザ
スピロ〔5,5〕ウンデカン、ジトリデシル−3,3′
−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チ
オジプロピオネート、ジステアリル−3,3′−チオジ
プロピオネート等の化合物が挙げられる。
【0023】これらの化合物は、単独でも、また2種以
上を組み合わせて混合使用することもできる。また添加
方法として害虫駆除液中に添加することや得られた吸液
芯に添加することが考えられるが、任意である。また、
さらに、過酸化物分解剤と一般に呼ばれる酸化防止剤と
して、ジラウリルチオジプロピオネート(DLTP)や
ジステアリルチオジプロピオネート(DSTP)を、前
記酸化防止剤と組み合わせて、混合使用することもでき
る。
【0024】さらには蒸散性を調節するために、パラフ
ィン類、グリコール類、エーテル類およびワックス類が
使用できる。さらに、安定剤としてパラアミノ安息香酸
類、桂皮酸類、サリチル酸類、ベンゾフェノン類および
ベンゾトリアゾール類の紫外線吸収剤を用いることによ
り、保管時、使用時の耐光性を一段と向上させることが
できる。
【0025】また、初期的効果を必要とする場合におい
ては、殺虫剤と併用することも可能であり、たとえば、
初期的効果を必要とする場合においては、殺虫剤と混合
して用いることも可能である。
【0026】殺虫剤として例えば、天然ピレトリン、ア
レスリン、dl・d−T80−アレスリン、dl・d−
T−アレスリン、d・d−T−アレスリン、d・d−T
80−プラレトリン、フタルスリン、dl・d−T80
−フタルスリン、レスメトリン、dl・d−T80−レ
スメトリン、フラメトリン、ペルメトリン、フェノトリ
ン、フェンバレレート、シペルメトリン、シフェノトリ
ン、エンペントリン、テラレスリン、エトフェンプロッ
クス、テフルスリン、フェンプロパトリン、フェンフル
スリン、トラロメトリンなどのピレスロイド系殺虫剤、
ダイアジノン、フェニトロチオン、ピリダフェンチオ
ン、マラチオン、クロルピリホス、フェンチオン、ジク
ロルボス、プロペタンホス、アベイト、プロチオホス、
ホキシム、アザメチホスなどの有機リン系殺虫剤、その
他、メトキサジアゾン、イミダクロプリド、アセタミプ
ロリドなどが挙げられるが、なんらこれらに限定される
ものではない。
【0027】また本発明の駆除剤は、チャバネゴキブ
リ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブ
リ、ヤマトゴキブリなどのゴキブリ類、イエバエ、ヒメ
イエバエ、センチニクバエ、ケブカクロバエ、キイロシ
ョウジョウバエ、ノミバエ、チョウバエなどのハエ類、
ネコノミ、イズノミ、ヒトノミなどのノミ類、イガ、コ
イガ、ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシな
どの衣料害虫、ノシメマダラメイガ、コクヌストモド
キ、コクゾウなどの貯穀害虫、マルカメムシ、チャバネ
アオカメムシ、スコットカメムシなどのカメムシ類、シ
ラミ類などの様々な害虫に対して有効であり、使用場面
としても一般家庭、倉庫、工場、飲食店など多様な場面
に、使用が可能である。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、実施例を示して本発明につ
いて具体的に説明する。なお本発明はこれらの実施例の
みに限定されるものではない。 実施例1 石膏4重量部、クレー4重量部、ケイソウ土4重量部、
ガラス繊維1重量部、セルロース粉1重量部、デンプン
0.2重量部、CMC0.2重量部からなる材料を水と
混合し、押し出し成形した後、乾燥し、それぞれ直径7
mm、長さ74mmの多孔質吸液芯を作製し、図面に示
す加熱蒸散器にセットした。
【0030】容器内の内容液は、2−〔1−メチル−2
−(4−フェノキシフェノキシ)エトキシ〕ピリジン
(以下、有効成分という。)300mgをジエチレング
リコールモノブチルエーテルに完全に溶解させたものと
し、内容量は45mlとする。
【0031】加熱蒸散器に通電して、上記吸液芯の上面
部を表1に示すような種々の芯表面温度となるように加
熱し、各加熱時間当りの有効成分蒸散量および有効蒸散
率を所定時間毎に測定した。
【0032】なお、有効成分蒸散量および有効蒸散率の
測定方法は以下のとおりとする。蒸散した蒸気を所定時
間毎にシリカゲル充填カラムで単位時間捕集した後、ア
セトンで抽出、抽出液をガスクロマトグラフィー法を用
いて定量分析し、有効成分蒸散量(mg/hr)を求め
る。
【0033】また、この単位時間における内容液の重量
減少量(mg/hr)を求め、下式により有効蒸散率を
算出する。
【数1】 試験結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】上記結果から明らかなように、110℃以
上、好ましくは130℃以上の加熱温度が必要であり、
このような加熱温度においては、長期間非常に安定した
蒸散量が得られ、なおかつ配合した有効成分が効率的に
蒸散することが確認された。
【0036】一方、加熱温度が200℃以上になると、
有効成分の分解等は認められなかったものの安全性の面
を考慮するとあまり好ましくなく、さらに長期間有効成
分を蒸散し続けることがかなり困難となるため、加熱温
度はそれ以下が適当であると考えられる。
【0037】実施例2 実施例1と同様の多孔質吸液芯を使用し、加熱温度を1
50℃、有効成分の溶液中の濃度を0.5、2.0、
5.0、10.0および12.0W/V%とし、同様の
試験を行い、有効成分蒸散量および有効蒸散率を所定時
間毎に測定した。なお、溶剤は実施例1と同様のものと
し、内容量は15mlとした。試験結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】上記結果から溶液中の有効成分濃度を変化
させることにより、有効成分の蒸散量は変化するが、変
化割合が同様でないため、有効使用期間をも変化させる
ことが可能であることが明らかとなった。これにより同
一の加熱条件で、安定した蒸散量をさらに長期間まで得
ることが可能になった。
【0040】しかしながら、本実施例では有効成分濃度
が10.0%と12.0%では蒸散量はほとんど変わら
ず、むしろ使用後期には12.0%製剤の有効蒸散量お
よび有効蒸散率がやや減少する傾向が認められた。この
結果から有効成分化合物を効率よく使用するためには、
溶液中の有効成分濃度を10.0%以下にすることがよ
り好ましいと考えられる。
【0041】実施例3 幅35mm、長さ22mm、厚さ3.0mmの含浸用多
孔質マット(コットンファイバー50%、パルプファイ
バー50%)に1枚あたり有効成分25,50,100
または200mg、ステアリン酸ブチル20mg、酸化
防止剤としてBHT20mg、色素0.5mgの害虫成
長阻害液を含浸させ、害虫成長阻害剤とする。該害虫成
長阻害剤を図2のように加熱蒸散器を載置し、約160
℃で加熱させ、各加熱時間当りの有効成分蒸散量および
有効蒸散率を所定時間毎に測定した。
【0042】なお、有効成分蒸散量の測定方法は以下の
とおりとする。蒸散した蒸気を所定時間毎にシリカゲル
充填カラムで所定時間補集した後、アセトンで抽出をお
こない、抽出液をガスクロマトグラフィー法を用いて定
量分析し、有効成分蒸散量(mg/hr)を求める。試
験結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】上記結果から含浸用多孔質マットの有効成
分量を変化させることにより、有効成分の蒸散量は変化
するが、変化割合が同様でないため、有効使用期間をも
変化させることが可能であることが明らかとなった。こ
れにより同一の加熱条件で、安定した蒸散量はさらに長
期間まで得ることが可能になった。
【0045】実施例4 昆虫成長阻害剤を所定量、木粉を適量、除虫菊抽出粕3
0重量%、茶粉20重量%を混合し、これに粘着剤とし
て、タブ粉15重量%、デンプン2重量%を添加し混
合、さらに色素0.2、水適量を添加して混練し、押し
出し成形後、所定の形に打抜き、乾燥させたものの先端
に火をつけ、各加熱時間当りの有効成分蒸散量および有
効蒸散率を所定時間毎に測定した。なお、有効成分蒸散
量は測定方法は以下のとおりとする。
【0046】蒸散した蒸気を所定時間毎にシリカゲル充
填カラムで所定時間補集した後、アセトンで抽出をおこ
ない、抽出液をガスクロマトグラフィー法を用いて定量
分析し、有効成分蒸散量(mg/hr)を求める。ま
た、この単位時間における内容液の重量減少量(mg/
hr)を求め、下式により有効蒸散率を算出する。
【数2】 試験結果を表4に示す。
【0047】
【表4】
【0048】上記結果から有効成分濃度を変化させるこ
とにより、有効成分の蒸散量は調節することが可能であ
ることがわかる。また有効蒸散率は有効成分濃度が高く
なると、低下する傾向にあるが、いずれも問題のない範
囲であった。これにより所定の蒸散量を安定して蒸散さ
せることが可能であることが明らかになった。
【0049】実施例5 供試虫の逃亡を防止するため内壁面にタルクを塗布した
アクリル製容器(25×25×10cm)内に、ベニヤ
板製のシェルター、固形飼料、水、そしてチャバネゴキ
ブリ(Blattella germanica)終齢
幼虫30個体を入れ、上部をナイロン製ネット(14メ
ッシュ)で覆ったものを試験容器とした。室外との空気
の流通をなくすために目張りした8畳の部屋を試験室と
して、実施例1の例No.4で得られた供試剤を床面中
央部に1個、試験容器を床面の4隅に各1個設置した。
観察は2週間毎に行い、経時的に羽化虫数、奇形虫数、
卵鞘数などをカウントした。試験は室温20〜25℃条
件下で実施し、観察時以外は出入り口の開閉を行わなか
った。試験結果を表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】実施例6 深さ約3cmとなるようハエ用飼育用培地(水0.5:
粉末飼料0.25:フスマ0.25)を敷き詰めたポリ
カップ(上面径12cm、高さ8cm)内に、イエバエ
(Musca domestica)2日齢幼虫50個
体を放飼し、上部をナイロン製ネット(14メッシュ)
で覆ったものを試験容器とした。室外との空気の流通を
なくすために目張りした8畳の部屋を試験室として、実
施例5で使用した供試剤と同様の供試剤を床面中央部に
1個、試験容器を床面の4隅に各1個設置した。処理後
2週間目に観察を行い、蛹化数、羽化虫数、奇形虫数な
どをカウントした。試験は室温20〜25℃条件下で実
施し、観察時以外は出入り口の開閉を行わなかった。試
験結果を表6に示す。
【0052】
【表6】
【0053】実施例7 ノミ用飼育用培地(乾燥酵母0.01:粉末飼料0.1
3:乾燥牛血0.02:砂0.84)100gを敷き詰
めたポリカップ(上面径12cm、高さ8cm)内に、
ヒトノミ(Pulex irritans)終齢幼虫1
00個体を放飼し、上部をナイロン製ネット(14メッ
シュ)で覆ったものを試験容器とした。室外との空気の
流通をなくすために目張りした8畳の部屋を試験室とし
て、実施例5で使用した供試剤と同様の供試剤を床面中
央部に1個、試験容器を床面の4隅に各1個設置した。
処理後2週間目に観察を行い、羽化虫数、死亡虫数、奇
形虫数、異常蛹数などをカウントした。試験は室温20
〜25℃条件下で実施し、観察時以外は出入り口の開閉
を行わなかった。試験結果を表7に示す。
【0054】
【表7】
【0055】実施例8 チャバネゴキブリが発生している飲食店街の隣接しない
2店舗の厨房を試験場所とした。各試験場所の面積は3
0.4m2 および18.8m2 であり、前者を処理区、
後者を無処理区とした。供試剤の効力は、処理前後の粘
着トラップ(5個/試験区)への捕獲数の変動から評価
した。
【0056】供試剤処理前に1週間発生状況を調査した
後、処理区の対角線上の2隅に実施例5で使用した供試
剤と同様の供試剤各1個ずつ、計2個を設置した。その
後、処理前と同様に粘着トラップを配置し、その捕獲数
を調べた。調査は1週間おきに210日後まで行った。
試験結果を表8に示す。
【0057】
【表8】
【0058】実施例9 チャバネゴキブリが発生している飲食店街の隣接しない
2店舗の厨房を試験場所とした。各試験場所の面積は3
3.2m2 および18.8m2 であり、前者を処理区、
後者を無処理区とした。供試剤の効力は、処理前後の粘
着トラップ(5個/試験区)への捕獲数の変動から評価
した。
【0059】供試剤処理前に1週間発生状況を調査した
後、処理区の対角線上の2隅に実施例1の例No.6の
供試剤の害虫駆除液にペルメトリン1200mgを加え
たものを、各1個ずつ、計2個を設置した。その後、処
理前と同様に粘着トラップを配置し、その捕獲数を調べ
た。調査は1週間おきに210日後まで行った。試験結
果を表9に示す。
【0060】
【表9】
【0061】
【発明の効果】本発明の加熱蒸散式害虫駆除剤は、有効
成分として昆虫成長阻害剤を使用し、対象害虫のライフ
サイクル以上の長期間にわたって昆虫成長阻害剤を安定
蒸散させることができる。このことは害虫のある限られ
たステージにおいて効果が発現する昆虫成長阻害剤の特
徴を鑑みた害虫駆除剤である。
【0062】また蒸気の平均粒子径が小さく、拡散性に
優れ、隙間等へも容易に入り込むことができる。このこ
とは、効果が全個体の害虫におよぶため、取りこぼしが
少なく、結果として害虫の駆除効果が向上する。また従
来の殺虫剤との併用もできるため、お互いの特徴をいか
した害虫駆除方法も可能である。さらに、高い有効蒸散
率が得られるため経済的に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するのに適した装置の一具
体例を示す縦断面図である。
【図2】本発明の方法を実施するのに適した他の装置の
一具体例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…容器、2…害虫駆除液、4…発熱体、7…多孔質吸
液芯、8…害虫駆除剤、9…発熱体、11…安全カバ
ー。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 昆虫成長阻害剤を長期間にわたって加熱
    蒸散させることによる加熱蒸散式害虫駆除剤。
  2. 【請求項2】 昆虫成長阻害剤として2−〔1−メチル
    −2−(4−フェノキシフェノキシ)エトキシ〕ピリジ
    ンを用いた請求項1記載の加熱蒸散式害虫駆除剤。
  3. 【請求項3】 害虫駆除液中に多孔質吸液芯の一部を浸
    漬して該芯に害虫駆除液を吸液すると共に、該芯の上部
    を間接加熱することにより吸液された害虫駆除液を蒸散
    させる請求項1記載の加熱蒸散式害虫駆除剤。
  4. 【請求項4】 害虫駆除液中の昆虫成長阻害剤濃度が1
    0重量%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載
    の加熱蒸散式害虫駆除剤。
  5. 【請求項5】 多孔質吸液芯の上部を110〜200℃
    の温度に間接加熱することで特徴とする請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の加熱蒸散式害虫駆除剤。
  6. 【請求項6】 無機物質および/または有機物質からな
    る空隙を有した多孔質体に害虫駆除剤を保持させたも
    の、あるいは害虫駆除剤をゲル状またはペースト状に
    し、発熱体を用いて加熱蒸散させることを特徴とする請
    求項1記載の加熱蒸散式害虫駆除剤。
  7. 【請求項7】 無機粉末および/または有機粉末と害虫
    駆除剤を混練し、成形乾燥させたものを燃焼させること
    により、加熱蒸散させる請求項1記載の加熱蒸散式害虫
    駆除剤。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の加熱蒸散式害虫駆除剤と
    殺虫剤を併用することを特徴とする害虫駆除剤。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の加
    熱蒸散式害虫駆除剤を用いて、長期間にわたり蒸散させ
    る害虫駆除方法。
JP12274697A 1997-05-14 1997-05-14 加熱蒸散式害虫駆除剤およびそれを利用した害虫駆除方法 Pending JPH10316506A (ja)

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