JP2019138032A - ガラス板保持構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】乗物や建物の開口部に取り付けられたガラス板からの騒音の侵入を抑制できるガラス板保持構造を提供する。【解決手段】乗物または建物の開口部1aに取り付けられるガラス板2を保持するガラス板保持構造が、25℃で周波数100〜20000Hzにおける損失正接(tanδ)が0.20〜2.00である重合体組成物からなり、ガラス板2に当接する制振部材3を含む。【選択図】図1

Description

本発明はガラス板保持構造に関する。
乗物や建物等において外部から室内への騒音の侵入が問題になる場合がある。特に、乗物や建物のドアや窓などの開口部に取り付けられているガラス板を通って騒音が室内へ伝わり易い。そこで、ガラス板保持構造を工夫することによって、ガラス板を介した騒音の侵入を抑制することが考えられている。例えば特許文献1は、ドアガラスの下辺部を挟持して振動を抑制する制振部材を有するドアガラス保持構造を開示している。
特開2017−166164号公報
特許文献1に開示されているドアガラス保持構造の制振部材を用いると、ガラス板を介した騒音の侵入をある程度抑制できるが、十分な効果があるとは言えず、騒音侵入をさらに抑制することが望まれている。特に耳障りな高周波数(例えば約2000Hz〜約16000Hz)の音が外部から室内に侵入するのを抑制する機構の実現が求められている。
そこで、本発明の目的は、乗物や建物の開口部に取り付けられたガラス板からの騒音の侵入を抑制できるガラス板保持構造を提供することにある。
本発明の乗物または建物の開口部に取り付けられるガラス板を保持するガラス板保持構造は、25℃で周波数100〜20000Hzにおける損失正接(tanδ)が0.20〜2.00である重合体組成物からなり、ガラス板に当接する制振部材を含む。
本発明のガラス板保持構造によると、乗物や建物の開口部に取り付けられたガラス板からの騒音の侵入を抑制できる。
本発明のガラス板保持構造を含む建物用窓を示す分解斜視図である。 図1に示すガラス板保持構造のガラス板と制振部材を示す斜視図である。 図1に示す建物用窓の要部を示す断面図である。 図1に示す建物用窓の変形例の要部を示す断面図である。 本発明のガラス板保持構造を含む自動車用ドアを示す正面図である。 本発明の実施例と比較例のガラス板保持構造の遮音性を測定するための音響特性測定システムの一例を示す模式図である。 本発明の実施例と比較例のガラス板保持構造の周波数と損失正接(tanδ)の関係を示すグラフである。 本発明の実施例と比較例のガラス板保持構造の周波数と遮音量の関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1〜3は、本発明の一実施形態のガラス板保持構造を含む窓を示している。具体的には、例えば建物の筐体1の一部に設けられている開口部である窓穴1aを覆うようにガラス板2が取り付けられている。四角形状のガラス板2は、全周縁部(4辺)が、本発明のガラス板保持構造を構成する1対の四角形の枠状の制振部材3によって挟み込まれている。さらに、ガラス板の筐体1側の面と反対側の面に接する制振部材3が、制振部材3よりも一回り大きい四角形の枠状の固定フレーム4によって外側から覆われ、図示しないねじ等によって固定フレーム4が筐体1に固定されている。このように、1対の制振部材3に全周縁部が挟み込まれたガラス板2が固定フレーム4によって筐体1に固定されて、嵌め殺しの窓が構成されている。この窓においては、制振部材3がガラス板2の振動を効果的に抑制するため、ガラス板2の遮音特性が良好である。その結果、この窓を介して外部から室内へ騒音が侵入することが軽減される。
このようにガラス板2の振動を抑制して騒音の侵入の軽減を図ることができる本実施形態の制振部材3は、高分子材料である重合体を含む重合体組成物である。この重合体組成物の、25℃で周波数100〜20000Hzにおける損失正接(tanδ)は0.20〜2.00、好ましくは0.25〜1.75、より好ましくは0.30〜1.50、さらに好ましくは0.35〜1.25である。損失正接(tanδ)は動的粘弾性によって測定される。損失正接(tanδ)が低すぎると、遮音特性の向上が十分に得られない可能性がある。一方、損失正接(tanδ)が高すぎると、制振部材3としての永久ひずみが大きくなる可能性がある。
この制振部材3を構成する重合体組成物は、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体とゴム成分とを含有することが好ましい。それらの配合量は、ゴム成分100質量部に対し、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体が10〜500質量部、好ましくは25〜400質量部、より好ましくは50〜300質量部である。4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体が少なすぎると、遮音特性の向上が十分に得られない可能性があり、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体が多すぎると、制振部材としての永久ひずみが大きくなる可能性がある。これらの成分の詳細について以下に説明する。
<4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体>
本実施形態の制振部材3を構成する重合体組成物に含まれる4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体について説明する。4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンは、通常、4−メチル−1−ペンテンを除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンであり、直鎖状または分岐状のα−オレフィン、環状オレフィン、芳香族ビニル化合物、共役ジエン、官能基化ビニル化合物、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィン等であってよい。
直鎖状のα−オレフィンとしては、炭素原子数が2〜20、好ましくは2〜15、より好ましくは2〜10である、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。好ましくはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンである。
分岐状のα−オレフィンとしては、炭素原子数が5〜20、好ましくは5〜15である、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセンなどが挙げられる。
環状オレフィンとしては、炭素原子数が3〜20、好ましくは5〜15である、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロへプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、ビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン等のモノまたはポリアルキルスチレンなどが挙げられる。
共役ジエンとしては、炭素原子数が4〜20、好ましくは4〜10である、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエンなどが挙げられる。
官能基化ビニル化合物としては、水酸基含有オレフィン、ハロゲン化オレフィン、(メタ)アクリル酸、プロピオン酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸、10−ウンデセン酸などの不飽和カルボン酸、アリルアミン、5−ヘキセンアミン、6−ヘプテンアミンなどの不飽和アミン、(2,7−オクタジエニル)コハク酸無水物、ペンタプロペニルコハク酸無水物、不飽和カルボン酸から得られた無水物などの不飽和カルボン酸無水物、不飽和カルボン酸から得られたハロゲン化物などの不飽和カルボン酸ハライド、4−エポキシ−1−ブテン、5−エポキシ−1−ペンテン、6−エポキシ−1−ヘキセン、7−エポキシ−1−ヘプテン、8−エポキシ−1−オクテン、9−エポキシ−1−ノネン、10−エポキシ−1−デセン、11−エポキシ−1−ウンデセン等の不飽和エポキシ化合物、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−アクロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのエチレン性不飽和シラン化合物等が挙げられる。
水酸基含有オレフィンとしては、水酸基含有のオレフィン系化合物であれば特に制限されないが、例えば末端水酸基化オレフィン系化合物が挙げられる。末端水酸基化オレフィン系化合物としては、ビニルアルコール、アリルアルコール、水酸化−1−ブテン、水酸化−1−ペンテン、水酸化−1−ヘキセン、水酸化−1−オクテン、水酸化−1−デセン、水酸化−1−ウンデセン、水酸化−1−ドデセン、水酸化−1−テトラデセン、水酸化−1−ヘキサデセン、水酸化−1−オクタデセン、水酸化−1−エイコセン等の、炭素原子数2〜20、好ましくは2〜15の直鎖状の水酸化−α−オレフィン、水酸化−3−メチル−1−ブテン、水酸化−3−メチル−1−ペンテン、水酸化−4−メチル−1−ペンテン、水酸化−3−エチル−1−ペンテン、水酸化−4,4−ジメチル−1−ペンテン、水酸化−4−メチル−1−ヘキセン、水酸化−4,4−ジメチル−1−ヘキセン、水酸化−4−エチル−1−ヘキセン、水酸化−3−エチル−1−ヘキセンなどの、好ましくは炭素数が5〜20、より好ましくは5〜15の分岐状の水酸化−α−オレフィンが挙げられる。
ハロゲン化オレフィンとしては、塩素、臭素、ヨウ素等の周期表第17族原子を有するハロゲン化−α−オレフィンが挙げられる。具体的には、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化−1−ブテン、ハロゲン化−1−ペンテン、ハロゲン化−1−ヘキセン、ハロゲン化−1−オクテン、ハロゲン化−1−デセン、ハロゲン化−1−ドデセン、ハロゲン化−1−ウンデセン、ハロゲン化−1−テトラデセン、ハロゲン化−1−ヘキサデセン、ハロゲン化−1−オクタデセン、ハロゲン化−1−エイコセン等の、炭素原子数が2〜20、好ましくは2〜15の直鎖状のハロゲン化−α−オレフィン、ハロゲン化−3−メチル−1−ブテン、ハロゲン化−4−メチル−1−ペンテン、ハロゲン化−3−メチル−1−ペンテン、ハロゲン化−3−エチル−1−ペンテン、ハロゲン化−4,4−ジメチル−1−ペンテン、ハロゲン化−4−メチル−1−ヘキセン、ハロゲン化−4,4−ジメチル−1−ヘキセン、ハロゲン化−4−エチル−1−ヘキセン、ハロゲン化−3−エチル−1−ヘキセンなどの、好ましくは炭素原子数が5〜20、より好ましくは5〜15の分岐状のハロゲン化−α−オレフィンが挙げられる。
以上説明した4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンとして用いられる物質のうち、特に好適なのは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、水酸化−1−ウンデセンである。さらに、柔軟性、軽量性、制振性などの点から、炭素原子数が2〜10の直鎖状のα−オレフィンが好適であり、特にエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンが好ましく、中でもエチレンおよびプロピレンがより好ましく、さらにプロピレンが特に好ましい。そして、この4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンは、例示した物質のうちの1種類のみであってもよく、例示した物質のうちの2種類以上の組み合せであってもよい。
この4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体は、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の共重合成分を含んでいてもよい。この4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体は、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(i)と、4−メチル−1−ペンテンを除く炭素原子数2〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種以上のα−オレフィンから導かれる構成単位(ii)と、任意に非共役ポリエンから導かれる構成単位(iii)とを有することが好ましい。これらの構成単位(i)と構成単位(ii)と構成単位(iii)の含有比率は、構成単位(i)、(ii)、(iii)の合計を100モル%とすると、好ましくは構成単位(i)が16〜95モル%、構成単位(ii)が5〜84モル%、構成単位(iii)が0〜10モル%である。より好ましくは、構成単位(i)が26〜90モル%、構成単位(ii)が10〜74モル%、構成単位(iii)が0〜7モル%であり、さらに好ましくは、構成単位(i)が61〜85モル%、構成単位(ii)が15〜39モル%、構成単位(iii)が0〜5モル%である。
構成単位(iii)に関する非共役ポリエンとしては、たとえば、炭素原子数が5〜20、好ましくは5〜10である、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等を挙げることができる。
また、この4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体の極限粘度[η]は、加工性の観点から0.5〜5.0dL/gの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.6〜4.0dL/g、特に好ましくは0.7〜3.5dL/gである。極限粘度[η]の調整方法は特に制限されないが、重合中に水素分子を併用し重合体の分子量を調整することで、極限粘度[η]を調整することができる。
そして、この4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体は、制振部材3の機械特性や加工性の観点から、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5、より好ましくは1.2〜3.0、特に好ましくは1.5〜2.5である。
<ゴム成分>
本実施形態の制振部材3を構成する重合体組成物に含まれるゴム成分としては、具体的には、例えばエチレン・α―オレフィン共重合体、特にエチレン・プロピレン共重合体(EPM)およびエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体、特にエチレン・プロピレン・非共役ポリエン共重合体(EPDM)等のエチレン系ゴム;イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴム;クロロプレンゴム(CR);アクリルゴム(ACM);エチレンアクリルゴム(AEM);シリコーンゴム(Q);エピクロロヒドリンゴム(CO、ECO);ウレタンゴム(Q);クロロスルフォン化ポリエチレン(CSM)等の一般的に原料ゴムと称されている重合体を挙げることができる。このゴム成分は、例示した物質のうちの1種類のみであってもよく、例示した物質のうちの2種類以上の組み合せであってもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体としては、エチレンと炭素原子数が3〜20のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン,4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン−1、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは、単独で用いることもでき、または2種類以上の組み合わせで用いることもできる。
ゴム成分は、耐熱老化性、耐候性、耐オゾン性の点で、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体を含むことが特に好ましい。ゴム成分におけるエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の含有量は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%である。そして、柔軟性の観点から、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体において、エチレンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは40〜72質量%、より好ましくは42〜66質量%、さらに好ましくは44〜62質量%である。一方、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体において、非共役ポリエンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは2〜15質量%、より好ましくは5〜14質量%、さらに好ましくは7〜12質量%である。
エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体のα−オレフィンは、前述したエチレン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンと同様であってよく、炭素原子数が3〜10のα−オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が特に好ましい。
このエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体の非共役ポリエンとしては、例えば、炭素原子数が5〜20、好ましくは5〜10である、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等を挙げることができる。このうち、ジシクロペンタジエン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等が特に好ましい。
<軟化材>
本実施形態の制振部材3を構成する重合体組成物は、前述した4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体およびゴム成分に加え、軟化材を含有することが好ましい。軟化材の配合量は、ゴム成分100質量部に対して5〜300質量部、好ましくは10〜250質量部、より好ましくは15〜200質量部である。軟化材が少なすぎると、遮音特性の向上が十分に得られない可能性があり、軟化材が多すぎると、制振部材としての永久ひずみが大きくなる可能性がある。
軟化材の具体例としては、パラフィンオイル等のプロセスオイル(例えば「ダイアナプロセスオイル PS−430」(商品名:出光興産株式会社製)など)、潤滑油、流動パラフィン、石油アスファルト、およびワセリン等の石油系軟化材;コールタール、およびコールタールピッチ等のコールタール系軟化材;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、およびヤシ油等の脂肪油系軟化材;蜜ロウ、カルナウバロウ、およびラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、およびラウリン酸亜鉛等の脂肪酸またはその塩;ナフテン酸、パイン油、およびロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、およびクマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、およびジオクチルセバケート等のエステル系軟化材;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油、トール油、およびサブ(ファクチス)などが挙げられる。なかでも、石油系軟化材が好ましく、特にプロセスオイル、その中でもパラフィンオイルが好ましい。軟化材は、例示した物質のうちの1種類のみであってもよく、例示した物質のうちの2種類以上の組み合せであってもよい。
<結晶性ポリオレフィン樹脂>
本実施形態の制振部材3を構成する重合体組成物は、前述した4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体およびゴム成分に加え、結晶性ポリオレフィン樹脂を含んでいてもよい。結晶性ポリオレフィン樹脂は、耐熱性や成形加工性の観点から、融点が70℃以上200℃以下であることが好ましく、80℃以上170℃以下であることがより好ましい。
この結晶性ポリオレフィン樹脂は、α−オレフィンの単独重合体またはα−オレフィンの共重合体である。結晶性ポリオレフィン樹脂がα−オレフィンの共重合体である場合には、最も含有モル比率が多いα−オレフィンが90モル%以上含有されていることが好ましい。結晶性ポリオレフィン樹脂のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、および1−デセンなどが挙げられる。特に耐熱性や成形加工性の観点から、この結晶性ポリオレフィン樹脂はプロピレン系重合体であることが好ましい。ただし、結晶性ポリオレフィン樹脂がプロピレン系以外のポリオレフィン樹脂を含有していてもよい。プロピレン系重合体はアイソタクチック構造を有するものでもよいし、シンジオタクチック構造を有するものでもよいし、これらの構造の混ざったものでもよいし、これらに加えて一部アタクチック構造を含むものでもよい。プロピレン系重合体は、プロピレンの単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、またはプロピレンの単独重合体と非晶性もしくは低結晶性のプロピレン・エチレンランダム共重合体とのブロック共重合体である。他のα−オレフィンの例としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテンが挙げられ、プロピレン系重合体における他のα−オレフィンの量は、10モル%以下であることが好ましい。
<架橋剤>
本実施形態の制振部材3を構成する重合体組成物がエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体など架橋可能な成分を含む場合には、これらの成分が架橋されてもよい。その場合、重合体組成物に架橋剤を含有させて架橋する。架橋剤としては、イオウ系化合物、有機過酸化物架橋剤、フェノール樹脂を含むフェノール系架橋剤等を用いることができる。イオウ系化合物を用いる場合には、各種の加硫促進剤を併用してもよい。有機過酸化物架橋剤を用いる場合には、各種の架橋助剤を併用してもよい。架橋を行う方法としては、ゴム成分など架橋可能な成分と架橋剤とを含む重合体組成物を加熱処理して架橋を行う方法や、ゴム成分など架橋可能な成分と結晶性樹脂性ポリオレフィン樹脂とを含む混合物を、前述した架橋剤が存在する条件の下で動的架橋させる方法などが挙げられる。
<その他の配合剤>
本実施形態の制振部材3を構成する重合体組成物は、前述したように4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体、ゴム成分、軟化材、結晶性ポリオレフィン樹脂、架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤等を含むことに加えて、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、補強剤、充填剤、加工助剤、活性剤、架橋剤、架橋遅延剤、吸湿剤、酸化防止剤、粘着付与剤、防カビ剤、潤滑剤、難燃剤、受酸剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、発泡剤、磁性紛、などが配合されていてもよい。これらの配合剤は、配合目的に応じた量だけ適宜に混入される。この重合体組成物は、前述した成分を混合することにより得ることができ、その調整方法は特に限定されないが、バンバリーミキサ、インターミキサ、ニーダーなどの密閉式混練機、一軸押出機や二軸押出機などの押出機、オープンロールなどで混練することで調整できる。この混練は単一の装置を用いて行っても、複数種類の装置を併用して行ってもよい。また、制振部材の成形方法は特に限定されず、公知の様々な方法により制振部材を成形することができる。成形方法としては、プレス成形、押出成形、射出成形、カレンダー成形等が挙げられる。また、これらの成形方法で得られた成形体を裁断したり、接着したりして、制振部材を形成することもできる。
<他の実施形態>
図1〜3に示すガラス板保持構造は、嵌め殺しの建物用窓において、1対の制振部材3によってガラス板2の縁部を挟み込む構成であるが、この構成に限定されるわけではない。例えば、図4に示すように、ガラス板2の縁部を包み込む断面コ字状の制振部材3を用いることもできる。また、図示しないが、本実施形態のガラス板保持構造は、嵌め殺しの窓ではなく開閉可能な窓に取り付けられるガラス板2を保持する構成であってもよく、建物用ドア(例えば開き戸や引き戸)に取り付けられるガラス板2を保持する構成であってもよい。さらに、本実施形態のガラス板保持構造は、図5に示すような自動車用ドアに取り付けられるガラス板2を保持する構成であってもよく、図示しないが自動車用窓に取り付けられるガラス板2(例えばフロントガラスやリアウィンドウなど)を保持する構成であってもよい。いずれの構成においても、ガラス板保持構造の制振部材3が、ガラス板2の一部(例えば縁部)を両面から挟み込むか、断面コ字状の形状でガラス板2の縁部を包み込むか、またはガラス板2の片面の一部に接するように配置されている。そして、ガラス板2が移動可能な構成においては、制振部材3とガラス板2とが互いに固定されて制振部材3がガラス板2と一緒に移動可能であってもよい。または、制振部材3がガラス板2に接するだけで固定されておらず、ガラス板2が制振部材3に対して相対的に摺動するのを許容する形態であってもよい。
これらの様々な構成のガラス板保持構造の制振部材3も、前述したように、25℃で周波数100〜20000Hzにおける損失正接(tanδ)が0.20〜2.00、好ましくは0.25〜1.75、より好ましくは0.30〜1.50、さらに好ましくは0.35〜1.25である重合体組成物を含む。そして、この重合体組成物は、前述した様々な物質(材料)のいずれかを含むものであることが好ましい。
さらに、本発明のガラス板保持構造は、建物用ドアや建物用窓、または自動車用ドアや自動車用窓等に採用可能であり、様々な環境温度の下で使用されることが想定される。そこで、重合体組成物に含まれる前述した様々な材料、例えばゴム成分等の具体的な材料の選択や、それらの材料の配合割合や、混入されるオイル(例えば軟化剤)の配合割合等を調整することによって、特定の温度範囲における損失正接(tanδ)をより精緻に調整することができる。すなわち、本発明のガラス板およびガラス板保持構造が使用される環境温度に応じて、損失正接(tanδ)が0.20〜2.00の範囲内で特に適切な値になるように調整することができる。特に、制振部材3が4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体とゴム成分とを含有する重合体組成物から構成されていると、前述したように材料の種類や配合割合を調整することで、それぞれの使用環境(温度)に応じた損失正接(tanδ)を有するようにすることが容易に可能である。
次に、本発明のより具体的な実施例について説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(測定方法および評価方法)
まず、以下に示す実施例および比較例において実施する測定および評価について説明する。
[遮音性評価]
本発明の各実施例および各比較例では、ガラス板保持構造を含む窓の遮音性を測定して評価している。この遮音性評価は、例えば図6に示す音響特性測定システムにより測定可能である。この音響特性測定システムは、2つの室、すなわち第1の室である残響室9と、第2の室である半無響室10または無響室とを有する。残響室9と半無響室10は隣接しており、壁の一部(隔壁部11)を共有している。残響室9は内壁が金属板等の反響板から構成されている。半無響室10は、床面を除く内壁が吸音構造(図示しない吸音部材が内壁のほぼ全体に設けられた構造)である。床面を含めてすべての内壁が吸音構造である室は無響室と呼ばれる。本発明の第2の室は半無響室10であっても無響室であってもよい。隔壁部11には、残響室9と半無響室10とを連通させる開口部が設けられており、この開口部が図1に示す窓穴1aに相当する。この開口部1aに対向して、図1〜3に示すようなガラス板2を含むガラス板保持構造13が設けられている。
具体的には、長さ26cm×幅26cm×厚さ5mmのガラス板2を、外形寸法の長さ26cm×幅26cm、内形寸法の長さ20cm×幅20cm、厚さ5mmの1対の枠状の制振部材3で挟み込んだ上で、制振部材3を5%圧縮させた状態で、ガラス板2が開口部1aを覆うように、固定フレーム4によって隔壁部11に固定する。こうして、ガラス板2を開口部1aに対向する位置に保持したまま、残響室9内のスピーカー14から発音する。発生する音の一例は、400Hz以上のほぼすべての周波数にわたって一定の音圧レベル(約100dB)を有する。そして半無響室2のマイクロフォン15によって収録した音の音圧レベルSPL1と、ガラス板2およびガラス板保持構造を開口部1aに対向する位置に保持せず、それ以外は前記したのと同じ条件の下で収録した音の音圧レベルSPL0とに基づいて、以下の式から遮音量を算出する。
遮音量[dB]=SPL0[dB]−SPL1[dB]
[オレフィン系共重合体の組成]
本発明のガラス板保持構造の制振部材を構成する重合体組成物のうち、特にオレフィン系共重合体中の4−メチル−1−ペンテン及びα−オレフィンの含有率(モル%)を、13C−NMRによる測定値から求めた。具体的には、日本電子株式会社製ECP500型核磁気共鳴装置(商品名)を用いて、測定温度:120℃、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン、積算回数:1万回以上にて、共重合体の13C−NMRのスペクトルを測定した。重合体組成物のゴム成分であるエチレン・プロピレン・非共役ジエンランダム共重合体の、各構成単位の重量分率(重量%)は、13C−NMRによる測定値から求めた。日本電子株式会社製ECX400P型核磁気共鳴装置(商品名)を用いて、測定温度:120℃、測定溶媒:オルトジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=4/1、積算回数:8000回にて、共重合体の13CC−NMRのスペクトルを測定した。
[極限粘度]
オレフィン系共重合体の極限粘度[η]は、測定装置としてウベローデ粘度計を用い、デカリン溶媒中、135℃で測定した。具体的には、約20mgの粉末状の共重合体をデカリン25mlに溶解させた後、ウベローデ粘度計を用い、135℃のオイルバス中で比粘度ηSPを測定した。このデカリン溶液に5mlを加えて希釈した後、上記と同様にして比粘度ηSPを測定した。この希釈操作を2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηSP/Cの値を極限粘度[η](単位:dl/g)として求めた(式1参照)。
[η]=lim(ηSP/C) (C→0) ・・・式1
[重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)]
オレフィン系共重合体の極限重量平均分子量(Mw)、及び重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、標準ポリスチレン換算法により算出した。測定条件は、下記の通りである。
・測定装置:GPC(ALC/GPC 150−C plus型、示差屈折計検出器一体型、ウォーターズ コーポレーション(Waters Corporation)製商品名)
・カラム:東ソー株式会社製GMH6−HT(商品名)2本と東ソー株式会社製GMH−HTL(商品名)2本とを直列に接続した構成
・溶離液:o−ジクロロベンゼン
・カラム温度:140℃
・流量:1.0mL/min
[動的粘弾性測定]
本発明のガラス板保持構造の制振部材3と同じ材料を、厚さ2mmのシート状にプレス成形して、長さ20mm×幅10mm×厚さ2mmの短冊片を切り出した。ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社(TA Instruments Japan Inc.)製粘弾性測定装置ARES(商品名)を用いて、以下の測定条件で制振材料の動的粘弾性の周波数依存性を各温度で測定した。この測定で得られた結果について、測定装置に付属の解析ソフトTA Orchestratorを用い、基準温度25℃で、時間−温度換算則に従い、マスターカーブを作成し、損失正接(tanδ)の周波数依存性データを得た。
(測定条件)
・幾何形状タイプ(Geometry Type):Torsion Rectangular(ねじり矩形)
・周波数(Frequency):0.5〜10Hz
・温度(Temperature):−10、−5、0、5、10、15、20、25℃
・歪み(Strain):0.1%
[重合方法]
十分に窒素置換した容量1.5リットルの攪拌翼付ステンレス製オートクレーブに、23℃でノルマルヘキサン300ml(乾燥窒素雰囲気、活性アルミナ上で乾燥したもの)と、4−メチル−1−ペンテン450mlを装入した。このオートクレーブに、トリイソブチルアルミニウム(TIBAL)の1.0mmol/mlトルエン溶液を0.75ml装入し、攪拌機を回した。
次に、オートクレーブを内温60℃まで加熱し、全圧が0.40MPa(ゲージ圧)となるようにプロピレンで加圧した。続いて、予め調製しておいたメチルアルミノキサンをAl換算で1mmolと、ジフェニルメチレン(1−エチル−3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−t−ブチル−フルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.01mmol含むトルエン溶液0.34mlとを、窒素を用いてオートクレーブに圧入し、重合を開始した。重合反応中、オートクレーブ内温が60℃になるように温度調整した。重合開始から60分後、オートクレーブにメタノール5mlを窒素で圧入して重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。
こうして得られた溶媒を含む重合体を、100℃、減圧下で12時間乾燥することでオレフィン系共重合体を得た。このオレフィン系共重合体中の4−メチル−1−ペンテンから導かれる構造単位の含量は72mol%、プロピレンから導かれる構造単位の含量は28mol%であった。また、このオレフィン系共重合体の極限粘度[η]は1.5であり、重量平均分子量(Mw)は337,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。
[実施例1]
本発明の実施例1において、株式会社神戸製鋼所製混練機MIXTRON BB MIXER(BB−4型(商品名)、容積2.95L、ローター4WH)を用いて、充填率70%、ローター回転数50rpmにて、以下の物質を混練して、配合物を排出した。
・エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(EPDM)である三井化学株式会社製三井EPT 3110M(商品名)100質量部
(エチレンから導かれる構造単位:含有量56重量%、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)から導かれる構造単位:含有量5.0重量%、ムーニー粘度[ML1+4(125℃)]:78)
・前述した重合方法で得られたオレフィン系共重合体100質量部
・パラフィンオイル(出光興産株式会社製ダイアナプロセスオイルPW−90(商品名))110質量部
・カーボンブラック(旭カーボン株式会社製旭#60G(商品名))250質量部
・炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社製Silver-W(商品名))20質量部
・ステアリン酸(日油株式会社製粉末ステアリン酸さくら(商品名))2質量部
・脂肪酸エステル(エスアンドエスジャパン株式会社製ストラクトールWB212(商品名))2質量部
・活性亜鉛華(井上石灰工業株式会社製META−Z102(商品名))5質量部
・ポリエチレングリコール(ライオン株式会社製PEG#4000(商品名))1質量部
次いで、8インチオープンロールを用いて、ロール温度を前ロール/後ロール:70℃/70℃、前ロールの回転数12.5rpm、後ロールの回転数10.4rpmにて、前述した配合物に以下の物質を混練して、シート状に分出しした。
・硫黄(株式会社東知製アルファグランS−50EN(商品名)1.5質量部
・スルフェンアミド系加硫促進剤:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(三新化学工業株式会社製サンセラーCM(商品名))0.5質量部
・チアゾール系加硫促進剤:ジベンゾチアジルジスルフィド(三新化学工業株式会社製サンセラーCM(商品名))1質量部
・ジチオカルバメート系加硫促進剤:ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(三新化学工業株式会社製サンセラーBZ(商品名))1.5質量部
・ジチオカルバメート系加硫促進剤:ジエチルジチオカルバミン酸テルル(三新化学工業株式会社製サンセラーTE−G(商品名))0.2質量部
・チウラム系加硫促進剤:ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(三新化学工業株式会社製サンセラーTRA(商品名))0.7質量部
分出しされたシート状の混練物を、加熱プレスを用いて180℃で10分間プレス加硫することで、厚さ5mmおよび厚さ2mmのシートを得た。この厚さ5mmのシートを、外形寸法が長さ26cm×幅26cmで、内形寸法が長さ20cm×幅20cmの枠状になるように裁断して、図1〜3に示す制振部材3を形成した。この制振部材3を含むガラス板保持構造によってガラス板2を保持し、遮音性評価を行った。また制振部材3と同じ材料である厚さ2mmのシートを使用して、動的粘弾性測定を行った。この結果を図7,8に示す。
[実施例2]
前述した重合方法で得られたオレフィン系共重合体を100質量部ではなく250質量部用い、それ以外は実施例1と同じ方法で制振材料3、および制振部材3と同じ材料である厚さ2mmのシートを形成し、測定および評価を行った。この結果を図7,8に示す。
[比較例1]
オレフィン系共重合体を使用せず、パラフィンオイル(出光興産株式会社製ダイアナプロセスオイルPW−90(商品名))を110質量部ではなく20質量部用い、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製旭#60G(商品名))を250質量部ではなく60質量部用いて、それ以外は実施例1と同じ方法で制振材料3、および制振部材3と同じ材料である厚さ2mmのシートを形成し、測定および評価を行った。この結果を図7,8に示す。
[比較例2]
オレフィン系共重合体を使用せず、パラフィンオイル(出光興産株式会社製ダイアナプロセスオイルPW−90(商品名))を110質量部ではなく145質量部用い、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製旭#60G(商品名))を250質量部ではなく215質量部用いて、それ以外は実施例1と同じ方法で制振材料3、および制振部材3と同じ材料である厚さ2mmのシートを形成し、測定および評価を行った。この結果を図7,8に示す。
[評価]
図7,8を見ると、実施例1,2は25℃で周波数100〜20000Hzにおける損失正接(tanδ)が0.20〜2.00の範囲内であって、比較例1,2(25℃で周波数100〜20000Hzにおける損失正接(tanδ)が0.20未満)に比べて遮音量が大きいことが判る。特に、実施例1,2では、耳障りな騒音である高周波数(例えば約3000Hz〜約12500Hz)の音に対する遮音性が比較例1,2に比べて大幅に向上するという優れた効果が得られる。このことから、制振部材が、25℃で周波数100〜20000Hzにおける損失正接(tanδ)が0.20〜2.00の範囲にある重合体組成物からなることで、ガラス板を介した騒音の侵入を大幅に低減できることが判る。
1 筐体
1a 窓穴(開口部)
2 ガラス板
3 制振部材
4 固定フレーム
9 残響室
10 半無響室
11 隔壁部
13 ガラス板保持構造
14 スピーカー
15 マイクロフォン

Claims (17)

  1. 乗物または建物の開口部に取り付けられるガラス板を保持するガラス板保持構造であって、
    25℃で周波数100〜20000Hzにおける損失正接(tanδ)が0.20〜2.00である重合体組成物からなり、前記ガラス板に当接する制振部材を含むことを特徴とする、ガラス板保持構造。
  2. 前記重合体組成物は4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体を含むことを特徴とする、請求項1に記載のガラス板保持構造。
  3. 前記重合体組成物は、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体とゴム成分とを、前記ゴム成分100質量部に対し、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体を10〜500質量部の割合で含むことを特徴とする、請求項2に記載のガラス板保持構造。
  4. 前記ゴム成分が、エチレンと、炭素原子数3〜20のα−オレフィンと、非共役ポリエンからなる、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体と、を含むことを特徴とする、請求項3に記載のガラス板保持構造。
  5. 前記重合体組成物が軟化材をさらに含み、前記ゴム成分100質量部に対し、前記軟化材を5〜300質量部の割合で含むことを特徴とする、請求項3または4に記載のガラス板保持構造。
  6. 前記軟化材がパラフィンオイルであることを特徴とする、請求項5に記載のガラス板保持構造。
  7. 前記重合体組成物が、前記ゴム成分100質量部に対し、結晶性ポリオレフィン樹脂を10〜300質量部の割合で含むことを特徴とする、請求項3から6のいずれか1項に記載のガラス板保持構造。
  8. 前記ゴム成分が架橋されていることを特徴とする、請求項3から7のいずれか1項に記載のガラス板保持構造。
  9. 前記重合体組成物が架橋剤をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載のガラス板保持構造。
  10. 前記重合体組成物に含まれる4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体が、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位(i)と、炭素原子数2〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる構成単位(ii)と、非共役ポリエンから導かれる構成単位(iii)と、を含み、前記構成単位(i)、(ii)、(iii)の合計を100モル%として、前記構成単位(i)の含有比率が0〜10モル%、前記構成単位(ii)の含有比率が5〜84モル%、前記構成単位(iii)の含有比率が16〜95モル%であることを特徴とする、請求項2から9のいずれか1項に記載のガラス板保持構造。
  11. 4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体のα−オレフィンがプロピレンであることを特徴とする、請求項2から10のいずれか1項に記載のガラス板保持構造。
  12. 前記制振部材は前記ガラス板の縁部を挟持することを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載のガラス板保持構造。
  13. 前記制振部材は、前記ガラス板の表面に接触し、かつ前記ガラス板の前記制振部材に対する相対的な摺動を許容することを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載のガラス板保持構造。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載のガラス板保持構造と、前記ガラス板保持構造によって保持されている前記ガラス板とを含むことを特徴とする、建物用ドア。
  15. 請求項1から13のいずれか1項に記載のガラス板保持構造と、前記ガラス板保持構造によって保持されている前記ガラス板とを含むことを特徴とする、建物用窓。
  16. 請求項1から13のいずれか1項に記載のガラス板保持構造と、前記ガラス板保持構造によって保持されている前記ガラス板とを含むことを特徴とする、自動車用ドア。
  17. 請求項1から13のいずれか1項に記載のガラス板保持構造と、前記ガラス板保持構造によって保持されている前記ガラス板とを含むことを特徴とする、自動車用窓。
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