JPWO2006095854A1 - 防振材組成物 - Google Patents

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Abstract

光学ドライブの駆動装置やハードディスクドライブ(HDD)等に使用することのできる、柔軟性が高く、防振性、振動減衰性(制振性)、耐荷重性(復元性)に優れた防振材組成物を提供する。本発明は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)が、直鎖状低密度ポリエチレン(B)の存在下でヒドロシリル基含有化合物により架橋された組成物、石油系炭化水素樹脂(C)、及び、パラフィン系オイル(D)からなる防振材組成物に関する。

Description

本発明は、防振材組成物に関する。
光学ドライブやハードディスクドライブ(HDD)等の記録媒体駆動装置は、装置内部に記録媒体を記録及び/又は再生する記録媒体駆動部を備えており、この記録媒体駆動部には記録媒体を駆動するモータや、記録媒体を記録及び/又は再生するピックアップ手段などを搭載している。これらは機構上、外部及び内部からの振動に弱い。
このため、振動絶縁を目的として、記録媒体駆動装置には熱可塑性ゴム等からなるインシュレーターが装着されている。そのような記録媒体駆動装置用インシュレーター等に使用することのできる防振材には、防振性及び振動減衰性(制振性)に優れていることが求められる。防振性は防振材の柔軟性と関係しており、柔軟性が高いものほどシステム全体の固有振動数を低減できるため、振動の伝達率は下がる(防振性が向上する)。また振動減衰性を高めることで、振動の伝達をより抑制することが可能となる。
従来、この記録媒体駆動装置用インシュレーターの材料としては、シリコーンゴム、ブチルゴム等の一般ゴム材料やゲル、オイルダンパー等が使用されている。これらのうちゴム材料は、その硬度が、JIS−A硬度で20〜50度前後である。しかしこれらのゴム材料のロスファクターはあまり大きくないため、共振周波数周辺における振動伝達率が高く、特に一般に低速回転で行われる記録媒体への書き込みの際に防振が十分でなくなり、エラーの原因となることが多かった。このため、ゴム材料を防振材料として用いる場合には、肉薄成形などの方法により複雑な形状に成形し、材料の特性ではなし得ない低周波数域における防振性を、防振材の形状を工夫することで達成してきた。しかしながら、肉薄にするとインシュレーターの強度が低下し、成形時に損傷を受けやすいことから、生産性を上げることが困難であった。さらに、加硫ゴムにおいては、加硫剤である硫黄が残留して電子部品に影響を与える懸念があり、シリコーンゴムでは、低分子量シリコーンによる接点障害の可能性があるという問題があった。
このように、柔軟性が高い防振材を得るためには、従来用いられている、JIS−A硬度で20〜50度のゴム材料では問題が多かった。そのため、最近は肉薄成形等の複雑な成形を行わなくても柔軟性が高いものが得られるようJIS−A硬度で硬度10度以下のものが求められている。
しかしより柔軟な低硬度の材料、例えばゲルなどの低硬度の材料を用いた場合、圧縮により変形し易く、防振性が経時的に低下したり、材料中の低分子量成分がブリードしたりすることから、防振を要するディスクなどに悪影響を与える懸念がある。また柔軟性を高めると、荷重による防振材の変形が大きくなり、「へたり」が起こりやすくなる傾向があることから、防振材の復元性を高める(圧縮永久歪みを小さくする)必要がある。
防振材用の材料として特許文献1及び特許文献2にて提案されているイソブチレン系ブロック共重合体はやはり圧縮永久歪みが大きく、復元性の面で問題があった。
一方、復元性の改良されたイソブチレン系エラストマーとしては、特許文献3及び特許文献4において、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体をポリオレフィン存在下で動的架橋する方法が提案されている。この方法により圧縮永久歪みの小さいイソブチレン系エラストマーが得られるものの、JIS−A硬度で10度以下のものは得られておらず、光学ドライブの駆動装置やHDDなどに使用するためには柔軟性が充分でない。
このように光学ドライブの駆動装置やHDD等の記録媒体駆動装置用のインシュレーターとして使用することのできる、柔軟性が高く、防振性、振動減衰性(制振性)、耐荷重性(復元性)等に優れた防振材用材料の開発が求められている。
特開2003−49043号公報 国際公開第03/27183号パンフレット 国際公開第03/2654号パンフレット 国際公開第04/44050号パンフレット
本発明の目的は、従来技術に鑑み、光学ドライブの駆動装置やハードディスクドライブ(HDD)等に使用することのできる、柔軟性が高く、防振性、振動減衰性(制振性)、耐荷重性(復元性)に優れた防振材組成物を提供することにある。
本発明者らは、ポリオレフィン種として直鎖状低密度ポリエチレンを使用し、石油系炭化水素樹脂とパラフィン系オイルを組み合わせることで、優れた復元性と制振性を維持しながら、硬度がJIS−A硬度で10度以下の非常に柔軟な防振材組成物が得られることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)が、直鎖状低密度ポリエチレン(B)の存在下でヒドロシリル基含有化合物により架橋された組成物、石油系炭化水素樹脂(C)、及び、パラフィン系オイル(D)からなる防振材組成物に関する。
好ましい実施態様としては、さらに、芳香族ビニル系単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)とイソブチレン単位を主体とする重合体ブロック(b)からなるブロック共重合体(E)を含む上記防振材組成物に関する。
好ましい実施態様としては、上記(A)成分100重量部に対し、上記(B)成分を5〜50重量部、上記(C)成分を50〜300重量部、上記(D)成分を100〜400重量部及び上記(E)成分を0〜50重量部含有する上記防振材組成物に関する。
好ましい実施態様においては、上記(A)成分の末端のアルケニル基が、アリルトリメチルシランと塩素の置換反応により末端に導入されたアリル基である。
好ましい実施態様においては、上記(A)成分は、重量平均分子量が1,000〜500,000であって、1分子当たり平均0.2個以上のアルケニル基を末端に有するイソブチレン系重合体である。
好ましい実施態様においては、上記成分(A)の主鎖を構成する全単量体単位のうち、イソブチレン単位が50重量%以上である。
好ましい実施態様においては、上記(C)成分が脂環式飽和炭化水素樹脂である。
好ましい実施態様においては、上記(E)成分が、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)−イソブチレンを主体とする重合体ブロック(b)−芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)の構造を有する、重量平均分子量が40,000〜200,000のトリブロック共重合体である。
本発明によれば、柔軟性が高く、防振性、振動減衰性(制振性)、耐荷重性(復元性)に優れた防振材組成物を提供することができる。特に、復元性と制振性を高いレベルに維持しながら従来得られなかったJIS−A硬度で10度以下の柔軟性を有する防振材組成物を得ることができる。
<末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)>
本発明において使用されるイソブチレン系重合体(A)は、イソブチレンを含む単量体成分を重合して得られるものである限り特に限定されないが、柔軟性、防振性、制振性の点で、重合体の主鎖を構成する単量体単位のうちイソブチレン単位が50重量%以上であるのが好ましく、70重量%以上であるのがより好ましく、90重量%以上であるのが特に好ましい。イソブチレンと共に使用されるイソブチレン以外の単量体は、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、芳香族ビニル系単量体、脂肪族オレフィン系単量体、ジエン系単量体、ビニルエーテル系単量体、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ビニル系単量体の例としては、スチレンをはじめ、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン等のα−アルキル置換スチレン;β−メチルスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、o−t−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−シクロヘキシルスチレン等の核アルキル置換スチレン;o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、2−メチル−4−クロロスチレン、ジクロロスチレン等の核ハロゲン化スチレン;1−ビニルナフタレン等のビニルナフタレン誘導体;インデン及びその誘導体;メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
上記脂肪族オレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、シクロヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキセン、オクテン、ノルボルネン等が挙げられる。
上記ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、エチリデンノルボルネン等が挙げられる。
上記ビニルエーテル系単量体としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、(n−、イソ)プロピルビニルエーテル、(n−、sec−、tert−、イソ)ブチルビニルエーテル、メチルプロペニルエーテル、エチルプロペニルエーテル等が挙げられる。
これらのうち、重合性の観点から、芳香族ビニル系単量体、ビニルエーテル系単量体が好ましく、制振特性のコントロールの点で芳香族ビニル系単量体がより好ましい。中でも、コストと物性及び生産性のバランスからスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンが特に好ましい。
イソブチレン系重合体(A)の構造については特に限定がなく、イソブチレンのホモ重合体、並びに、ランダム共重合体、ブロック共重合体及びグラフト共重合体等の共重合体等のいずれの構造のイソブチレン系重合体も使用することができる。
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)の分子量に特に制限はないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した場合の重量平均分子量が1,000から500,000が好ましく、5,000から200,000が特に好ましい。重量平均分子量が1,000未満の場合、防振材組成物が有する機械的な特性等が十分に発現されない場合があり、また、500,000を超える場合、防振材組成物の成形性等が大きく低下する傾向がある。なお本発明において重量平均分子量及び分子量分布は、通常、移動相としてクロロホルムを用い、ポリスチレンゲルカラムを使用したGPC測定を行ない、ポリスチレン換算による分子量として求めることができる。例えばGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析装置(システム:ウォーターズ(Waters)社製のGPCシステム、カラム:昭和電工(株)製のShodex K−804(ポリスチレンゲル))により、クロロホルムを移動相として用いて、ポリスチレンに換算すること等により求めることができる。
イソブチレン系重合体(A)が末端に有するアルケニル基とは、本発明の目的を達成するための(A)成分の架橋反応に対して活性のある炭素−炭素二重結合を含む基であれば特に制限されるものではない。具体例としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基を挙げることができる。
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)の末端へのアルケニル基の導入方法としては特開平3−152164号公報や特開平7−304909号公報に開示されているような、水酸基等の官能基を有する重合体に不飽和基を有する化合物を反応させて重合体に不飽和基を導入する方法が挙げられる。またハロゲン原子を有する重合体に不飽和基を導入するためにはアルケニルフェニルエーテルとのフリーデルクラフツ反応を行なう方法、ルイス酸存在下アリルトリメチルシラン等との置換反応を行なう方法、種々のフェノール類とのフリーデルクラフツ反応を行ない水酸基を導入した上でさらに上記のアルケニル基導入反応を行なう方法等が挙げられる。さらに米国特許第4316973号、特開昭63−105005号公報、特開平4−288309号公報に開示されているように単量体の重合時に不飽和基を導入することも可能である。この中でもアリルトリメチルシランと塩素の置換反応により末端にアリル基を導入したものが、アルケニル基の導入率の点から好ましい。
イソブチレン系重合体(A)の末端のアルケニル基の量は、必要とする特性によって任意に選ぶことができるが、架橋後の特性の観点から、上記末端のアルケニル基の量は、1分子当たり平均0.2個以上であるのが好ましく、平均0.5個以上であるのがより好ましく、平均1.0個以上であるのが最も好ましい。0.2個未満であると架橋による組成物物性の改善効果が十分に発揮されない場合がある。
<直鎖状低密度ポリエチレン(B)>
直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレンモノマーとα−オレフィンコモノマーを溶液重合、スラリー重合、気相重合等の中圧法により共重合して製造されるものである。α−オレフィンコモノマーとしては、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等があるが、本発明においては、柔軟性の点から、1−ヘキセン及び1−オクテンを使用した直鎖状低密度ポリエチレンが特に好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレン(B)としては、JIS K0061に準拠して測定した密度が0.900〜0.940g/cmのものを用いるのが好ましく、0.903〜0.935g/cmのものを用いるのがより好ましく、0.904〜930g/cmの範囲にあるものを用いるのが特に好ましい。密度が0.900g/cm未満であると、防振材の剛性が著しく低下するおそれがあり、また、密度が0.940g/cmより高いと防振材の強度が著しく低下するおそれがある。
直鎖状低密度ポリエチレン(B)の添加量は、イソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、5〜50重量部であるのが好ましく、10〜40重量部であるのが特に好ましい。5重量部より少ないと、(A)成分のイソブチレン系重合体が充分に分散せず、粗大粒子が発生する場合がある。50重量部より多くなると、防振材の柔軟性及び復元性が損なわれる傾向がある。
<ヒドロシリル基含有化合物>
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)の架橋物を得るためのヒドロシリル基含有化合物としては、特に制限はなく、各種のものを用いることができる。すなわち、一般式(I)又は(II)で表される鎖状ポリシロキサン;
SiO−[Si(RO]−[Si(H)(R)O]−[Si(R)(R)O]−SiR (I)
HR SiO−[Si(RO]−[Si(H)(R)O]−[Si(R)(R)O]−SiR H (II)
(式中、R及びRは炭素数1〜6のアルキル基、又は、フェニル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数7〜10のアラルキル基を示す。各R及びRは互いに同一でも異なっていてもよい。aは0≦a≦100、bは2≦b≦100、cは0≦c≦100を満たす整数を示す。)
一般式(III)で表される環状シロキサン;
Figure 2006095854
(式中、R及びRは炭素数1〜6のアルキル基、又は、フェニル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数7〜10のアラルキル基を示す。各R及びRは互いに同一でも異なっていてもよい。dは0≦d≦8、eは2≦e≦10、fは0≦f≦8の整数を表し、かつ3≦d+e+f≦10を満たす。)等の化合物を用いることができる。
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)とヒドロシリル基含有化合物は任意の割合で混合することができるが、反応性の面から、アルケニル基に対するヒドロシリル基のモル量が0.5〜10の範囲であるのが好ましく、さらに1〜5の範囲であることが好ましい。モル比が0.5より小さくなると架橋が不十分でべとつきが残ると共に、防振材組成物の圧縮永久歪みも悪化する傾向があり、モル比が10より大きくなると架橋後も活性なヒドロシリル基が大量に残るので、加水分解による水素ガスが発生し、防振材にクラックやボイドが生じやすい傾向がある。
<架橋反応>
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)とヒドロシリル基含有化合物との架橋反応は、2成分を混合して加熱することにより進行するが、反応をより迅速に進めるために、架橋触媒(ヒドロシリル化触媒)を添加することができる。このような架橋触媒としては特に限定されず、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル開始剤、および遷移金属触媒が挙げられる。
ラジカル開始剤としては特に限定されず、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのようなアシルペルオキシド、過安息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオキシケタール、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、1,1’−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾイソブチロバレロニトリルのようなアゾ化合物等を挙げることができる。
また、遷移金属触媒としても特に限定されず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジアルケニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh、RhCl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・HO、NiCl、TiCl等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもかまわない。これらのうち、得られる防振材組成物の相溶性、架橋効率、スコーチ安定性(未架橋組成物の貯蔵安定性)が良好であることから、白金ビニルシロキサンが最も好ましい。
架橋触媒の添加量としては特に制限はないが、(A)成分の末端のアルケニル基1molに対し、10−1〜10−8molの範囲で用いるのが良く、好ましくは10−3〜10−6molの範囲で用いるのがよい。10−8molより少ないと架橋が十分に進行しない傾向がある。また10−1mol以上用いても明確な効果は見られないため、経済性の面から、10−1molより少ないことが好ましい。
<石油系炭化水素樹脂(C)>
本発明において(C)成分として用いられる石油系炭化水素樹脂とは、別名「石油樹脂」とも呼ばれるものであって、石油系のスチームクラッキングによりエチレン、プロピレンなどを製造するエチレンプラントから副生する分解油留分に含まれるジオレフィン及びモノオレフィン類を単離せずに重合したものである。石油系炭化水素樹脂は一般的に、分解油留分のうちC留分を原料にした脂肪族系又はC系石油樹脂、C留分を原料にした芳香族系又はC系石油樹脂、両者を原料にしたものをC共重合石油樹脂、さらにC系石油樹脂を部分的に若しくは完全に水素化した脂環式飽和炭化水素樹脂等に分類される。本発明においては、これらのいずれの石油系炭化水素樹脂を用いても構わないが、樹脂の安定性が高く、イソブチレン系重合体(A)や直鎖状低密度ポリエチレン(B)との相溶性に優れることから、脂環式飽和炭化水素樹脂が好ましい。脂環式飽和炭化水素樹脂としては、例えばアルコンP−70、P−90、P−100、P−115、P−125、P−140、アルコンM−90、M−100、M−115、M−135(全て荒川化学工業株式会社製)等の市販品を挙げることができる。
(C)成分は制振性の指標となるtanδのピーク位置を調節し、目的とする使用条件(温度、周波数)に防振材の制振性を適合させる目的で添加する。(C)成分を添加することで、組成物のtanδピークは、より高温側、より低周波数側にシフトする。
石油系炭化水素樹脂(C)の配合量については特に限定がないが、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)を100重量部とした場合に、50〜300重量部であるのが好ましく、100〜300重量部であるのがより好ましい。50重量部未満の場合にも、300重量部を超えた場合にもいずれも防振材が充分な制振性を発現しない傾向がある。
<パラフィン系オイル(D)>
本発明の防振材組成物には、成形性や柔軟性を更に向上させるため、さらにパラフィン系オイル(D)を添加する。(D)成分の添加は、制振性の指標となるtanδのピーク位置を、より低温側、より高周波数側にシフトさせる効果があり、逆の効果を示す(C)成分の添加量とのバランスで、tanδのピーク位置を任意にコントロールすることが可能である。
パラフィン系オイル(D)の種類については特に限定されないが、物性的には、40℃における動粘度が5〜500mm/sであるのが好ましく、20〜400mm/sであるのが特に好ましい。(D)成分の動粘度が5mm/sより低いと、溶融混練時の揮発量が多くなる共に、ブリードが起こりやすくなる傾向があり、500mm/sより大きくなると、イソブチレン系重合体(A)との相溶性が低下し、(D)成分の柔軟性付与効果が損なわれる傾向がある。
本発明において使用できるパラフィン系オイルとしては、例えばダイアナプロセスPW32、PW90、PW150、PW380(出光興産株式会社製)、JOMOプロセスP200、P300、P400、P500、EPT750(株式会社ジャパンエナジー製)、プラストール35、65、155、455、2105(エクソンモービル有限会社製)等の市販品が挙げられる。
これらのパラフィン系オイル(D)は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。パラフィン系オイル(D)は、上記イソブチレン系重合体(A)の量を100重量部とした場合に、100〜400重量部用いるのが好ましく、150〜400重量部用いるのがより好ましい。上記(D)成分の量が100重量部より少ないと防振材に十分な柔軟性が付与されない傾向があり、400重量部より多くなるとブリードを生じる傾向がある。
<ブロック共重合体(E)>
本発明の防振材組成物は、柔軟性を損なわずに機械物性と成形流動性を改善する目的で、必要に応じてさらに芳香族ビニル系単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)とイソブチレン単位を主体とする重合体ブロック(b)からなるブロック共重合体(E)を含んでもよい。
芳香族ビニル系単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)は、ブロック中に芳香族ビニル系単量体単位を含んでいるものである限り特に限定されないが、ブロック(a)中に芳香族ビニル系単量体単位を50重量%以上含んでいるのが好ましく、70重量%以上含んでいるのがより好ましく、90重量%以上含んでいるのが特に好ましい。上記芳香族ビニル系単量体としては、イソブチレン系重合体(A)で使用できる芳香族ビニル系単量体として上記に例示したものと同様の単量体が挙げられる。なかでもコストと、防振材組成物の物性及び生産性のバランスから、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンが好ましい。
また、上記芳香族ビニル系化合物と共に用いられる芳香族ビニル系化合物以外の単量体は、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、脂肪族オレフィン類、イソプレン、ブタジエン、ジビニルベンゼン等のジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。具体的にはイソブチレン系重合体(A)で使用できる単量体として上記に例示したものが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
イソブチレン単位を主体とする重合体ブロック(b)とは、ブロック中にイソブチレン単量体単位を含んでいるものである限り特に限定されないが、柔軟性、防振性、制振性の点で、ブロック(b)中にイソブチレン単量体単位を50重量%以上含んでいるのが好ましく、70重量%以上含んでいるのがより好ましく、90重量%以上含んでいるのが特に好ましい。また、イソブチレンと共に重合されるイソブチレン以外の単量体は、カチオン重合可能な単量体であれば特に限定されないが、脂肪族オレフィン類、イソプレン、ブタジエン、ジビニルベンゼン等のジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。具体的にはイソブチレン系重合体(A)で使用できる単量体として上記に例示したものが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
ブロック共重合体(E)の構造としては、特に制限はないが、芳香族ビニル系単量体単位を主体とする重合体ブロックを(a)、イソブチレン単位を主体とする重合体ブロックを(b)として表す場合に、一般式:[(a)−(b)]で表されるブロック共重合体、一般式:(b)−[(a)−(b)]で表されるブロック共重合体及び[(a)−(b)]−(a)で表されるブロック共重合体からなる群(nは1以上の整数)より選択される少なくとも1種のブロック共重合体であることが好ましい。特に限定されないが、これらの中でも、加工時の取扱い容易性や、組成物の物性の点から、(a)−(b)型のジブロック共重合体、(a)−(b)−(a)型若しくは(b)−(a)−(b)型のトリブロック共重合体又はこれらの混合物がより好ましく、得られる防振材組成物の耐熱性、引っ張り強度が良好であることから、(a)−(b)−(a)のトリブロック共重合体であるのが特に好ましい。
またブロック共重合体(E)中におけるブロック(a)とブロック(b)の比率については特に制限はないが、物性と加工性のバランスから、イソブチレン単位を主体とする重合体ブロック(b)が95〜20重量%、芳香族ビニル系単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)が5〜80重量%であることが好ましく、イソブチレン単位を主体とする重合体ブロック(b)が90〜60重量%、芳香族ビニル系単量体単位を主体とする重合体ブロック(a))が10〜40重量%であることが特に好ましい。
ブロック共重合体(E)の分子量にも特に制限はないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定した重量平均分子量で40,000から200,000であるのが好ましく、50,000から150,000であるのが特に好ましい。重量平均分子量が40,000未満の場合、防振材組成物の引っ張り特性等の機械的な特性等が不十分となる傾向があり、また、200,000を超える場合、防振材組成物の成形性等の低下が著しい傾向がある。
(E)成分の添加量は、上記イソブチレン系重合体(A)の量を100重量部とした場合に0〜50重量部が好ましく、0〜30重量部が特に好ましい。50重量部より多くなると、防振材の復元性、耐熱性が悪化する傾向がある。
<他の添加成分>
また本発明の防振材組成物には、各用途に合わせた要求特性に応じて、物性を損なわない範囲で補強剤、充填剤を添加することができる。例えば、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、天然けい酸、合成けい酸(ホワイトカーボン)、金属酸化物(酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛)等の無機充填材、エチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM)、エチレン−ブテン共重合ゴム(EBM)、アモルファスポリαオレフィン(APAO)、エチレン−オクテン共重合体等の柔軟なオレフィン系ポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)やスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、またそれらを水素添加したスチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)やスチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等の熱可塑性エラストマー等を添加してもよい。なかでも、コストが安く、また防振材組成物に対し付与される機械強度が高い、等の観点から炭酸カルシウム、タルク、シリカが特に好ましい。
さらにそのほかにも、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系の酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、界面活性剤、難燃剤等の各種添加剤を適宜配合することができる。公知のカップリング剤、有機フィラー、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、軟化剤、着色剤、無機若しくは有機抗菌剤、滑剤又はシリコーンオイル等も加えることができる。上記帯電防止剤としては、炭素数12〜18のアルキル基を有するN,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−アルキルアミン類やグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。さらに、上記滑剤としては、脂肪酸アミドが好ましく、具体的にはエルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等が挙げられる。本発明の防振材組成物は粘着性が強くなる傾向があるため、粘着性を抑える目的で、滑剤やシリコーンオイルを添加することが好ましい。
また本発明の防振材組成物は内部に気泡を含有していてもよい。気泡を含有させることにより防振材の軽量化を図ることができる。
気泡を含有させる方法は特に限定されないが、例えば、ガラスバルーン、シリカバルーン等の無機中空フィラー、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体等からなる有機中空フィラーを配合する方法、各種発泡剤を混入する方法、また、混合時等に機械的に気体を混ぜ込む方法等を挙げることができる。
<防振材組成物の製造方法>
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)が、直鎖状低密度ポリエチレン(B)の存在下でヒドロシリル基含有化合物により架橋された組成物を得る方法は特に限定されないが、例えば以下に例示する方法によって製造することができる。
例えば、ラボプラストミル、ブラベンダー、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等のような密閉型又は開放型のバッチ式混練装置を用いて製造する場合は、予め混合した(A)成分、(B)成分及び架橋触媒等の混合物を混練装置に投入し、均一になるまで溶融混練し、次いでそれにヒドロシリル基含有化合物を添加して架橋反応を充分に進行させた後、溶融混練を停止する方法等が挙げられる。
また、単軸押出機、二軸押出機等のように、連続式の溶融混練装置を用いて製造する場合は、(A)成分、(B)成分及び架橋触媒等を予め押出機などの溶融混練装置によって均一になるまで溶融混練した後ペレット化し、そのペレットにヒドロシリル基含有化合物をドライブレンドした後、更に押出機やバンバリーミキサー等の溶融混練装置で溶融混練して、末端にアルケニル機を有するイソブチレン系重合体(A)を動的に架橋する方法や、(A)成分、(B)成分及び架橋触媒等を押出機等の溶融混練装置によって溶融混練し、そこに押出機のシリンダーの途中からヒドロシリル基含有化合物を添加して更に溶融混練し、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)を動的に架橋する方法等が挙げられる。
ここで、動的に架橋するとは、イソブチレン系重合体(A)及びヒドロシリル基含有化合物が存在する系を溶融混練下で、イソブチレン系重合体(A)の末端アルケニル基をヒドロシリル基含有化合物によって架橋させることをいう。通常の静的架橋と異なり、溶融混練下で架橋反応が進行することで、生成したポリマーネットワークが剪断力により分断され、架橋後も熱可塑性を示すことが特徴であり、これにより耐熱性等の物性が向上した防振材組成物を得ることができる。
溶融混練と同時に動的架橋を行なう上記方法は、溶融混練装置の設定温度が140〜240℃となるような温度範囲で溶融混練を行なうのが好ましく、150〜210℃の温度範囲で行なうのがさらに好ましい。溶融混練時の上記温度が140℃よりも低いと、直鎖状低密度ポリエチレン(B)の溶融が不十分となり、混練が不均一となる傾向がある。一方、溶融混練時の上記温度が240℃よりも高いと、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)の熱分解が起こりやすくなる傾向がある。
(C)成分の添加時は特に限定されず、イソブチレン系重合体(A)の架橋反応を行う前に添加してもよく、架橋後の組成物に添加してもよく、また架橋前と架橋後の両方で添加してもよい。(C)成分を添加することにより架橋条件に影響を及ぼす可能性があることから、(A)成分の架橋後に(C)成分を添加するのが好ましい。
また(D)成分及び必要に応じて添加される(E)成分や各種添加剤等の添加時についても特に限定されず、イソブチレン系重合体(A)の架橋反応を行う前に添加してもよく、架橋後の組成物に添加してもよく、また架橋前と架橋後の両方で添加してもよい。特に、(D)成分は、(A)成分及び(B)成分の混合を促進し、架橋反応の均一な進行を促すため、(A)成分100重量部に対して、5〜50重量部の(D)成分を架橋前に添加しておくことが好ましい。
(A)成分が架橋された組成物、(C)成分、(D)成分及び必要に応じて添加される(E)成分や各種添加剤等を含有する混合物を、上述のバッチ式混練装置や連続式の溶融混練装置等を用いて混合することにより本発明の防振材組成物を得ることができる。さらに必要に応じて機械的に混合した後、得られた防振材組成物を既存の方法を用いてペレット状に賦形することもできる。
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
尚、本発明に係る組成物について、以下の項目の評価を行った。
(分子量の測定)
製造例に示す重量平均分子量は以下に示すGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析装置で、クロロホルムを移動相として、ポリスチレンゲルカラムを使用したGPC測定を行ない、ポリスチレン換算の分子量を求めた。GPC測定はGPC分析装置(システム:ウォーターズ(Waters)社製のGPCシステム、カラム:昭和電工(株)製のShodex K−804(ポリスチレンゲル))で測定した。クロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
(末端アリル基数の測定)
イソブチレン系重合体を重クロロホルムに溶解してNMRを測定し、測定データから開始剤に対するアリル基の比を求めることにより、1分子あたりの末端アリル基数を測定した。
(スチレン含量)
ブロック共重合体を重クロロホルムに溶解してNMRを測定し、NMRチャートを得た。チャート中のイソブチレン由来のピーク(8H)とスチレン由来の芳香環のピーク(5H)との比率から、スチレンのモル分率を求めた。そのモル分率を、ユニット当たりの分子量を用いて重量分率に換算してスチレン含量(重量%)を算出した。なお、上記算出方法から理解されるとおり、スチレン含量とはブロック共重合体全体の重量に占めるスチレンモノマー由来のユニットの重量割合を表す。
(硬度)
JIS K 6253に準拠し、タイプAデュロメータを用いて硬度(JIS−A硬度)を測定した(単位:度)。試験片として12.0mm厚プレスシートを用いた。JIS−A硬度が10度以下のシートについては、ASKER−C硬度(単位:度)も併せて測定した。
(圧縮永久歪み)
JIS K−6262に準拠して測定した。試験片は12.0mm厚プレスシートを使用した。70℃×22時間、25%変形の条件にて測定した(単位:%)。
(動的粘弾性)
JIS K−6394(加硫ゴムおよび熱可塑性ゴムの動的性質試験方法)に準拠し、縦6mm×横5mm×厚さ2mmの試験片を切り出し、動的粘弾性測定装置DVA−200(アイティー計測制御社製)を用い、損失正接tanδを測定した。測定周波数は90Hz、歪みは0.05%とした。なお得られるtanδの値が大きいほど制振性に優れていることを示す。
下記実施例及び比較例においては、以下の原料を用いた。
・ポリオレフィン1:直鎖状低密度ポリエチレン、ウルトゼックス15150J(三井化学株式会社製)
・ポリオレフィン2:高密度ポリエチレン、ハイゼックス2200J(三井化学株式会社製)
・レジン1:脂環式飽和炭化水素樹脂、アルコンP−140(荒川化学工業株式会社製)
・レジン2:脂環式飽和炭化水素樹脂、アルコンP−100(荒川化学工業株式会社製)
・オイル1:パラフィン系オイル、JOMOプロセスP−500(株式会社ジャパンエナジー製)
・オイル2:パラフィン系オイル、ダイアナプロセスオイルPW−380(出光興産株式会社製)
・H−オイル(ヒドロシリル基含有化合物):ポリメチルハイドロジェンシロキサン、TSF−484(GE東芝シリコーン株式会社製)
・架橋触媒:0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジアルケニルジシロキサン錯体、3重量%キシレン溶液
(製造例1)
<イソブチレン系重合体(A)>
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、エチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)142mL及びトルエン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)427mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー277mL(2934mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.85g(3.7mmol)及びα−ピコリン0.68g(7.4mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン5.8mL(52.7mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から2.5時間撹拌を行った後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、アリルトリメチルシランの75%トルエン溶液1.68g(11mmol)を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから2時間後に、重合容器内の反応溶液を大量の水に加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を蒸発させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のイソブチレン系重合体(以下、APIBと略す)を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により分子量を測定したところ、重量平均分子量は45,500であった。NMR測定データから算出した末端アリル基の数は、一分子当たり平均2.0個であった。
(製造例2)
<(A)、(B)及び(D)成分からなる動的架橋組成物>
製造例1で得られたAPIB((A)成分)を26.0g、ポリオレフィン1((B)成分)を6.5g計量し、170℃に設定したラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製)を用いて2分間溶融混練し、オイル1((D)成分)を10.4g追加して、さらに2分間混練した。次いでヒドロシリル基含有化合物であるH−オイルを0.31g添加し、1分間混練した後、架橋触媒を14.8μl添加して、架橋が進行しトルクの値が最高値を示すまでさらに溶融混練した。トルクの最高値を示してから3分間混練後、動的架橋組成物(以下、MB1と略す)を取り出した。各成分の重量比は、(A)/(B)/(D)=100/25/40である。
(製造例3)
ポリオレフィン1の代わりにポリオレフィン2を用いた以外は、製造例2と同様の方法で比較用の動的架橋組成物(以下、MB2と略す)を作成した。
(製造例4)
<(E)成分>
500mLのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)21.2mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)256.6mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー60.5mLが入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.120gおよびN,N−ジメチルアセトアミド0.121gを加えた。次にさらに四塩化チタン1.02mLを加えて重合を開始した。重合開始から75分撹拌を行った後、続いて、スチレンモノマー8.02gを重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから75分後に、重合容器内の反応溶液を大量の水に加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を蒸発させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体(以下、SIBS1と略す)を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により分子量を測定したところ、重量平均分子量は130,000であった。また、NMR測定データから算出したスチレン含量は15wt%であった。
(製造例5)
500mLのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)97.6mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)140.5mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー47.7mL(505.3mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p− ジクミルクロライド0.097g(0.42mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド0.073g(0.84mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン1.66mL(15.12mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から75分撹拌を行った後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、スチレンモノマー13.71g(131.67mmol)を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから75分後に、重合容器内の反応溶液を大量の水に加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を蒸発させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体(以下、SIBS2と略す)を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により分子量を測定したところ、重量平均分子量は110,000であった。また、NMR測定データから算出したスチレン含量は30wt%であった。
(実施例1〜4及び比較例1〜3)
表1に示した割合で、全成分の合計量が40gとなるように計量し、170℃に設定したラボプラストミルを用いて5分間溶融混練し、防振材組成物を取り出した。得られた防振材組成物は190℃で加熱プレス(神藤金属工業株式会社製)にて容易にシート状に成形することができた。いずれの場合も、オイルのブリードは見られなかった。得られたシートの、硬度、20℃におけるtanδ及び圧縮永久歪みを上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
Figure 2006095854
実施例1〜4のシートにおいては、高い制振性(tanδ)と圧縮永久歪み50%以下という良好な復元性を維持しながら、JIS−A硬度10度以下の柔軟性を実現している。ポリオレフィンとして高密度ポリエチレンを使用した比較例3のシートは、実施例1と同様の配合組成であるにもかかわらず、JIS−A硬度は10度を超えてしまうことがわかる。また、従来の技術である比較例1、2のシートは、圧縮永久歪みが大きく、復元性に劣ることがわかる。
本発明によると、JIS−A硬度で10度未満の高い柔軟性を有しながら、防振性、振動減衰性(制振性)、耐荷重性(復元性)に優れた防振材組成物を提供することができる。そのため、本発明の防振材組成物は、インクジェットプリンター用弾性部材、記録媒体駆動装置用インシュレーター、HDD用ガスケット、及びHDD用衝撃吸収材として使用することができ、特に記録媒体駆動装置用インシュレーターとして好適に使用できる。

Claims (8)

  1. 末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)が、直鎖状低密度ポリエチレン(B)の存在下でヒドロシリル基含有化合物により架橋された組成物、石油系炭化水素樹脂(C)、及び、パラフィン系オイル(D)からなる防振材組成物。
  2. さらに、芳香族ビニル系単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)とイソブチレン単位を主体とする重合体ブロック(b)からなるブロック共重合体(E)を含む請求項1記載の防振材組成物。
  3. 前記(A)成分100重量部に対し、前記(B)成分を5〜50重量部、前記(C)成分を50〜300重量部、前記(D)成分を100〜400重量部及び前記(E)成分を0〜50重量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の防振材組成物。
  4. 前記(A)成分の末端のアルケニル基が、アリルトリメチルシランと塩素の置換反応により末端に導入されたアリル基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の防振材組成物。
  5. 前記(A)成分は、重量平均分子量が1,000〜500,000であって、1分子当たり平均0.2個以上のアルケニル基を末端に有するイソブチレン系重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の防振材組成物。
  6. 前記(A)成分の主鎖を構成する全単量体単位のうち、イソブチレン単量体単位が50重量%以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の防振材組成物。
  7. 前記(C)成分が脂環式飽和炭化水素樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の防振材組成物。
  8. 前記(E)成分が、芳香族ビニル系単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)−イソブチレン単位を主体とする重合体ブロック(b)−芳香族ビニル系単量体単位を主体とする重合体ブロック(a)の構造を有する、重量平均分子量が40,000〜200,000のトリブロック共重合体であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の防振材組成物。
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