JP2005023244A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴム弾性、柔軟性に優れ、特に圧縮永久歪み特性に優れた新規な熱可塑性エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)がポリエチレン系樹脂(B)との溶融混練時に、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)により動的に架橋された組成物、および該組成物を含有する熱可塑性エラストマー組成物であって、ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物により達成される。
【選択図】なし。
【解決手段】末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)がポリエチレン系樹脂(B)との溶融混練時に、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)により動的に架橋された組成物、および該組成物を含有する熱可塑性エラストマー組成物であって、ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物により達成される。
【選択図】なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性に優れ、特に圧縮永久歪み特性に優れた新規な熱可塑性エラストマー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、弾性を有する高分子材料としては、天然ゴムまたは合成ゴムなどのゴム類に架橋剤や補強剤などを配合して高温高圧下で架橋したものが汎用されている。しかしながらこの様なゴム類では、高温高圧下で長時間にわたって架橋及び成形を行う行程が必要であり、加工性に劣る。また架橋したゴムは熱可塑性を示さないため、熱可塑性樹脂のようにリサイクル成形が一般的に不可能である。そのため、通常の熱可塑性樹脂と同じように熱プレス成形、射出成形、及び押出し成形などの汎用の溶融成形技術を利用して成型品を簡単に製造することのできる熱可塑性エラストマーが近年種々開発されている。このような熱可塑性エラストマーには、現在、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、スチレン系、塩化ビニル系など種々の形式のポリマーが開発され、市販されている。
【0003】
これらのうちで、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、耐熱性、耐寒性、耐候性等に優れている。オレフィン系熱可塑性エラストマーは、架橋型と非架橋型に分けることができる。非架橋型熱可塑性エラストマーは、架橋反応を伴わないため品質のバラツキが少なくまた製造コストも安価である反面、性能面から両者を比較すると、引張強度や破断伸度、あるいはゴム的性質(たとえば永久伸び、圧縮永久歪)や耐熱性の点では、非架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマーに比べて架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマーの方が優れている。このことは、A.Y.Coranらの文献(非特許文献1)に詳細に記されているように、広く知られている。
【0004】
オレフィン系熱可塑性エラストマーには、非架橋型熱可塑性エラストマーと架橋型熱可塑性エラストマーとがあるが、架橋型熱可塑性エラストマーは非架橋型熱可塑性エラストマーに比べて耐熱性、圧縮永久歪みに優れている。
【0005】
架橋型熱可塑性エラストマーとしては、イソブチレンを主体とする重合体ブロックを含有するイソブチレン系ブロック共重合体とゴムの架橋物からなる熱可塑性重合体組成物が開示されている(特許文献1)。この組成物は、イソブチレン系ブロック共重合体の特徴を保持した上で圧縮永久歪特性が改善されてはいるものの、より良好な圧縮永久歪み特性を有する熱可塑性エラストマー組成物が求められている。
【0006】
従来公知のオレフィン系熱可塑性エラストマーよりも柔軟性を保ちつつ圧縮永久歪み性に優れた成形体を提供することができるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の出現が望まれている。
【0007】
【非特許文献1】
Rubber Chemistry and Technology、53巻 (1980年)、 141ページ
【0008】
【特許文献1】
再公表特許WO98/14518号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の従来技術の課題に鑑み、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、特に圧縮永久歪み特性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部が、ポリエチレン系樹脂(B)5〜100重量部との溶融混練時に、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)により動的に架橋された組成物を含有する熱可塑性エラストマー組成物であって、ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を、該動的に架橋された組成物100重量部に対して、0〜100重量部含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0011】
好ましい実施態様としては、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、さらに軟化剤(F)1〜300重量部含むことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0012】
好ましい実施態様としては、ポリエチレン系樹脂(B)が高密度ポリエチレンであることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0013】
好ましい実施態様としては、ポリプロピレン系樹脂(D)がランダムポリプロピレンであることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0014】
好ましい実施態様としては、芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)が、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)と、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(b)とからなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0015】
好ましい実施態様としては、芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)が、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)−イソブチレンを主体とする重合体ブロック(b)−芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)の構造を示す重量平均分子量が40000〜200000のトリブロック共重合体であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)が、ポリエチレン系樹脂(B)との溶融混練時に、ヒドロシリル基を持つポリシロキサン(C)により動的に架橋された組成物、及び該動的に架橋された組成物に、ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を、該動的架橋が終了した後に、混合してなる熱可塑性エラストマー組成物である。
【0017】
本発明の末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)とは、イソブチレンが50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占める重合体のことをいう。末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)、またはイソブチレンを主体とする重合体ブロック中の、イソブチレン以外の単量体は、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、イソプレン、ブタジエン、ジビニルベンゼン等のジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0018】
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)の数平均分子量に特に制限はないが、1,000から500,000が好ましく、5,000から200,000が特に好ましい。数平均分子量が1,000未満の場合、機械的な特性等が十分に発現されず、また、500,000を超える場合、成形性等の低下が大きい。
【0019】
本発明のアルケニル基とは、本発明の目的を達成するための(A)成分の架橋反応に対して活性のある炭素−炭素二重結合を含む基であれば特に制限されるものではない。具体例としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基を挙げることができる。
【0020】
本発明の末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)の末端へのアルケニル基の導入方法としては特開平3−152164号公報や特開平7−304909号公報に開示されているような、水酸基などの官能基を有する重合体に不飽和基を有する化合物を反応させて重合体に不飽和基を導入する方法が挙げられる。またハロゲン原子を有する重合体に不飽和基を導入するためにはアルケニルフェニルエーテルとのフリーデルクラフツ反応を行う方法、ルイス酸存在下アリルトリメチルシラン等との置換反応を行う方法、種々のフェノール類とのフリーデルクラフツ反応を行い水酸基を導入した上でさらに前記のアルケニル基導入反応を行う方法などが挙げられる。さらに米国特許第4316973号、特開昭63−105005号公報、特開平4−288309号公報に開示されているように単量体の重合時に不飽和基を導入することも可能である。この中でもアリルトリメチルシランと塩素の置換反応により末端にアリル基を導入したものが、確実性の点から好ましい。
【0021】
本発明のイソブチレン系重合体(A)の末端のアルケニル基の量は、必要とする特性によって任意に選ぶことができるが、架橋後の特性の観点から、1分子あたり少なくとも0.2個のアルケニル基を末端に有する重合体であることが好ましい。0.2個未満であると架橋による改善効果が十分に得られない場合がある。
【0022】
本発明で用いるポリエチレン系樹脂(B)とはエチレンの含有量が50〜100モル%である単独重合体または炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であり、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが例示され、得られる組成物の引張り特性、耐熱性の点で、特に高密度ポリエチレンが好ましい。ポリエチレン系樹脂(B)は末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)を動的に架橋させる時に使用される。また該動的に架橋された組成物に対しても使用することができる。動的架橋時に使用されるポリエチレン系樹脂(B)の配合量は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、5〜100重量部であることが好ましい。配合量が5重量部を下回ると圧縮永久歪み特性改善の効果が得られず、100重量部を越えると、ゴム弾性が乏しくなるという問題が生じる。
【0023】
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(D)とはプロピレンの含有量が50〜100モル%である単独重合体または炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であり、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンが例示され得られる組成物の引張り特性の点で、特にランダム共重合体が好ましい。α−オレフィンとしてはエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1等が例示され、これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0024】
本発明で用いる芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)は、特に制限はないが、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)とイソブチレン系重合体ブロック(b)からなるブロック共重合体であることが好ましい。
【0025】
芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体中の芳香族ビニル系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、インデン、ジビニルベンゼン、 N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン等が挙げられる。上記化合物の中でもコストと物性及び生産性のバランスからスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンが好ましく、その中から2種以上選んでもよい。
【0026】
イソブチレン系重合体ブロック(b)とは、イソブチレンが50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占めるブロックのことをいう。イソブチレン系重合体ブロック(b)のイソブチレン以外の単量体は、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、イソプレン、ブタジエン、ジビニルベンゼン等のジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0027】
芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)の構造としては、特に制限はないが、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)とイソブチレン系重合体ブロック(b)の組み合わせで、(a)−(b)−(a)のトリブロック共重合体が組成物の耐熱性、引っ張り強度の点で好ましい。
【0028】
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(a)の割合に関しては、特に制限はないが、物性と加工性のバランスから、イソブチレン系重合体ブロック(b)が95〜20重量%、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(a)が5〜80重量%であることが好ましく、イソブチレン系重合体ブロック(b)が90〜60重量%、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(a)が10〜40重量%であることが特に好ましい。
【0029】
芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)の数平均分子量にも特に制限はないが、15,000から500,000が好ましく、40,000から400,000が特に好ましい。数平均分子量が15,000未満の場合、機械的な特性等が十分に発現されず、また、500,000を超える場合、成形性等の低下が大きい。
【0030】
本発明の動的に架橋された組成物に、ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を、混合することができる。ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)の配合量は、該動的に架橋された組成物100重量部に対して、0〜100重量部であることが好ましい。ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)の配合量が100重量部を越えると、圧縮永久歪み特性の改善が乏しくなる傾向にある。
【0031】
ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)がポリエチレン系樹脂(B)との溶融混合時に動的に架橋された組成物に対して、すなわち、動的架橋後に混合される。動的架橋時に使用されるポリエチレン系樹脂(B)と動的架橋後に混合されるポリエチレン系樹脂(B)は同じものであっても、あるいは異なっていても良いが、相溶性の点から同じものであることが好ましい。
【0032】
本発明の末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)の架橋物を得るためのヒドロシリル基含有化合物としては、特に制限はないが、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)が好ましく、各種のものを用いることができる。その中でもヒドロシリル基を3個以上持ち、シロキサンユニットを3個以上500個以下持つヒドロシリル基含有ポリシロキサンが好ましく、ヒドロシリル基を3個以上持ち、シロキサンユニットを10個以上200個以下持つポリシロキサンがさらに好ましく、ヒドロシリル基を3個以上持ち、シロキサンユニットを20個以上100個以下持つポリシロキサンが特に好ましい。ヒドロシリル基が3個未満の含有量では架橋によるネットワークの十分な成長が達成されず最適なゴム弾性が得られない、またシロキサンユニットが501個以上あるとポリシロキサンの粘度が高く末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)へうまく分散が行われず、架橋反応にムラが発生し好ましくない。またポリシロキサンユニットが100個以下だとヒドロシリル化に必要なヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)を減少させることができるため好ましい。ここで言うポリシロキサンユニットとは以下の一般式(I)、(II)、(III)を指す。
[Si(R1)2O] (I)
[Si(H)(R2)O] (II)
[Si(R2)(R3)O] (III)
ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)として、一般式(IV)または(V)で表される鎖状ポリシロキサン;
R1 3SiO−[Si(R1)2O]a−[Si(H)(R2)O]b−[Si(R2)(R3)O]c−SiR1 3 (IV)
HR1 2SiO−[Si(R1)2O]a−[Si(H)(R2)O]b−[Si(R2)(R3)O]c−SiR1 2H (V)
(式中、R1およびR2は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R3は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。bは3≦b、a,b,cは3≦a+b+c≦500を満たす整数を表す。)
一般式(VI)で表される環状シロキサン;
【0033】
【化1】
(式中、R4およびR5は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R6は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。eは3≦b、d,e,fはd+e+f≦500を満たす整数を表す。)等の化合物を用いることができる。
【0034】
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)とヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)は任意の割合で混合することができるが、硬化性の面から、アルケニル基とヒドロシリル基のモル比が5〜0.1の範囲にあることが好ましく、さらに、2.5〜0.2であることが特に好ましい。モル比が5以上になると架橋が不十分でべとつきのある強度の小さい硬化物しか得られず、また、0.1より小さいと、硬化後も硬化物中に活性なヒドロシリル基が大量に残るので、クラック、ボイドが発生し、均一で強度のある硬化物が得られない。
【0035】
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)とヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)との架橋反応は、2成分を混合して加熱することにより進行するが、反応をより迅速に進めるために、ヒドロシリル化触媒を添加することができる。このようなヒドロシリル化触媒としては特に限定されず、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル開始剤、および遷移金属触媒が挙げられる。
【0036】
ラジカル開始剤としては特に限定されず、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド、過安息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオキシケタール等を挙げることができる。
【0037】
また、遷移金属触媒としても特に限定されず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジアルケニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3)3,RhCl3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3,PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもかまわない。これらのうち、相溶性、架橋効率、スコーチ安定性の点で、白金ビニルシロキサンが最も好ましい。
【0038】
触媒量としては特に制限はないが、(A)成分のアルケニル基1molに対し、10−1〜10−8molの範囲で用いるのが良く、好ましくは10−3〜10−6molの範囲で用いるのがよい。10−8molより少ないと硬化が十分に進行しない。またヒドロシリル化触媒は高価であるので10−1mol以上用いないのが好ましい。
【0039】
本発明の組成物には、成形性や柔軟性を更に向上させるため、さらに軟化剤(F)を添加することができる。軟化剤としては、ゴムの加工の際に用いられる鉱物油、または液状もしくは低分子量の合成軟化剤を用いることができる。鉱物油としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、及び芳香族系の高沸点石油成分が挙げられる。このなかでも架橋反応を阻害しないパラフィン系オイル(D)が好ましい。液状もしくは低分子量の合成軟化剤としては、特に制限はないが、ポリブテン、水添ポリブテン、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、ポリαオレフィン類等が挙げられる。
【0040】
これらの軟化剤は1種以上を用いることができる。軟化剤(F)の配合量は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、10〜300重量部であることが好ましい。配合量が300重量部を越えると、機械的強度の低下や成形性に問題が生じる。
【0041】
軟化剤(F)の添加工程は特に制限されず、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系ブロック共重合体(A)が架橋される前、及び架橋時に添加しても、架橋された後に添加しても良い。末端にアルケニル基を有するイソブチレン系ブロック共重合体(A)が架橋される前、架橋時、及び架橋後に添加される軟化剤は同じ軟化剤でも異なる軟化剤でも良い。
【0042】
また本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、各用途に合わせた要求特性に応じて、物性を損なわない範囲で補強剤、充填剤、例えばエチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−フ゜ロヒ゜レン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM)、エチレン−フ゛テン共重合ゴム(EBM)、アモルファスポリαオレフィン(APAO)、エチレン−オクテン共重合体などの柔軟なオレフィン系ポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)やスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、またそれらを水素添加したスチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)やスチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−イソブチレ−スチレンブロック共重合体(SIBS)などの熱可塑性エラストマー、さらにそのほかにも、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系の酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、界面活性剤、難燃剤、充填剤、補強剤等を適宜配合することができる。公知のカップリング剤、有機フィラー、無機フィラー、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、軟化剤、着色剤、無機ないし有機抗菌剤、滑剤、シリコンオイルなども加えることができる。無機フィラーとしては軽質炭酸カルシウム、重質ないし炭酸カルシウム、その他のカルシウム系充填材、ハードクレー、ソフトクレー、カオリンクレー、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、無定形シリカ、ウォラスナイト、合成ないし天然ゼオライト、ケイソウ土、ケイ砂、軽石粉、スレート粉、アルミナ、硫酸アルミニウム、硫酸ハ゛リウム、リトポン、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、水酸化マグネシウムやこれら充填材をシラン処理したもの等、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に配合可能なものであれば何でも良く、2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。たとえば、透明性の要求されない用途においては無機フィラーを含有させることによりブロッキング性が改良されまたコスト面で有利となる場合があり、また隠蔽性を付与することも可能である。また、無機フィラーとして水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を使用した場合には、難燃剤を併用することで優れた難燃性を付与できる場合がある。また前記ブロッキング防止剤としては、例えばシリカ、ゼオライト等が好適であり、これらは天然、合成の何れでもよくまた架橋アクリル真球粒子などの真球架橋粒子も好適である。また前記帯電防止剤としては、炭素数12〜18のアルキル基を有するN,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−アルキルアミン類やグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。さらに、前記滑剤としては、脂肪酸アミドが好ましく、具体的にはエルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等が挙げられる。
【0043】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の最も好ましい組成物としては、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部が、ポリエチレン系樹脂(B)5〜100重量部との溶融混練時に、ヒドロシリル基を3個以上持ち、シロキサンユニットを3個以上500個以下持つヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)により動的に架橋された組成物を含有する熱可塑性エラストマー組成物であって、ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)−イソブチレンを主体とする重合体ブロック(b)−芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)からなる芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を、該動的に架橋された組成物100重量部に対して、0〜100重量部含有するものである。
【0044】
溶融混練と同時に動的架橋を行う上記の方法を行うに当たっては、130〜210℃温度が好ましい。130℃よりも低い温度では、ポリエチレン系樹脂(B)の溶融が不十分となり、混練が不均一となる傾向があり、210℃よりも高い温度では、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系ブロック共重合体(A)の熱分解が進行する傾向がある。
【0045】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂組成物に対して一般に採用される成型方法及び成形装置を用いて成形でき、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形、ブロー成形などによって溶融成形できる。また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形性、圧縮永久歪み、ガスバリア特性に優れているため、パッキング材、シール材、ガスケット、栓体などの密封用材、CDダンパー、建築用ダンパー、自動車、車両、家電製品向け制振材等の制振材、防振材、自動車内装材、クッション材、日用品、電気部品、電子部品、スポーツ部材、グリップまたは緩衝材、電線被覆材、包装材、各種容器、文具部品として有効に使用することができる。
【0046】
【実施例】
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
尚、実施例に先立ち各種測定法、評価法、実施例について説明する。
【0047】
(硬度)
JIS K 6352に準拠し、試験片は12.0mm圧プレスシートを用いた。
(引張破断強度)
JIS K 6251に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
【0048】
(引張破断伸び)
JIS K 6251に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
【0049】
(圧縮永久歪み)
JIS K 6262に準拠し、試験片は12.0mm厚さプレスシートを使用した。100℃×22時間、25%変形の条件にて測定した。
また、以下に実施例及び比較例で用いた材料の略号とその具体的な内容は、次のとおりである。
また、以下に実施例及び比較例で用いた材料の略号とその具体的な内容は、次のとおりである。
【0050】
(実施例等記載成分の内容)
成分(A):
ARPIB:末端にアリル基を有するポリイソブチレン(製造例1)
成分(B):
PE1:高密度ポリエチレン、三井住友ポリオレフィン社製(商品名「ハイゼックス」2200J)
PE2:低密度ポリエチレン、三井住友ポリオレフィン社製(商品名「ハイゼックスL」900N)
PE3:直鎖状低密度ポリエチレン、三井住友ポリオレフィン社製(商品名「ハイゼックス」UJ580)
成分(D):
PP1:ポリプロピレン、グランドポリマー社製(商品名「グランドポリプロJ215W」ランダムポリプロピレン)
成分(E):
SIBS:スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(製造例2)
成分(C):ヒドロシリル基含有ポリシロキサン
架橋剤1:下記の化学式で表されるポリシロキサン
(CH3)3SiO−[Si(H)(CH3)O]48−Si(CH3)3
架橋触媒:
0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジアルケニルジシロキサン錯体、3重量%キシレン溶液
成分(F):軟化剤
OIL1: パラフィン系プロセスオイル、JOMO社製(商品名「P−500」)。
【0051】
(製造例1)[末端にアルケニル基を有するイソブチレン系共重合体(ARPIB)の製造]
2Lセパラブルフラスコに三方コック、および熱電対、攪拌シールをつけ、窒素置換を行った。窒素置換後、三方コックを用いて窒素をフローした。これにシリンジを用いてTol785ml、ECH265mlを加えた。溶剤添加後、カールフィッシャー水分系にて水分量を測定した。測定後、−70℃程度まで冷却した。IBモノマー277ml(2933mmol)を加えた。再度−70℃程度まで冷却後、p−DCC0.85g(3.7mmol)およびピコリン0.68g(7.4mmol)をTol10mlに溶解して加えた。反応系の内温が−74℃となり安定した時点で四塩化チタン19.3ml(175.6mmol)を加え重合を開始した。重合反応が終了した時点(90分)で、75%AS/Tol溶液1.68g(11.0mmol)を添加し、さらに2時間反応させた。その後、50℃程度に加熱した純水で失活し、さらに有機層を純水(70℃〜80℃)で3回洗浄し、有機溶剤を減圧下80℃にて除去しAPIBを得た。Mnが45500、Mw/Mnは1.10、含有アリル基が2.0/molである重合体が得られた。
【0052】
(製造例2)[スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)の製造]
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)456.1mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)656.5mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー232mL(2871mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p− ジクミルクロライド0.647g(2.8mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド1.22g(14mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン8.67mL(79.1mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から1.5時間同じ温度で撹拌を行った後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、あらかじめ−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー77.9g(748mmol)、n−ヘキサン23.9mLおよび塩化ブチル34.3mLの混合溶液を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから45分後に、約40mLのメタノールを加えて反応を終了させた。
【0053】
反応溶液から溶剤等を留去した後、トルエンに溶解し2回水洗を行った。さらにトルエン溶液を多量のメタノールに加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られた重合体の分子量を測定した。スチレン添加前のイソブチレン重合体のMnが50,000、Mw/Mnは1.40であり、スチレン重合後のブロック共重合体のMnが67,000、Mw/Mnが1.50であるブロック共重合体が得られた。
【0054】
(実施例1)
成分(A)ARPIB、成分(B)PE1、成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで成分(C)架橋剤1を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混連後取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにてシート状に容易に成形することができた。得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0055】
(実施例2)
成分(B)をPE2に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0056】
(実施例3)
成分(B)PE1の配合量を60部、成分(F)OIL1の配合量を150部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0057】
(実施例4)
成分(B)をPE2に変更した以外は実施例3と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0058】
(実施例5)
[工程1]成分(A)ARPIB、成分(B)PE1、成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで成分(C)架橋剤1を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混連後取り出した。
【0059】
[工程2]工程1で得られた組成物と成分(D)PP1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミルを用いて10分間溶融混練し取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにて容易にシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0060】
(実施例6)
成分(B)をPE2に変更した以外は実施例5と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0061】
(実施例7)
成分(B)をPE3に変更した以外は実施例5と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0062】
(実施例8)
[工程1]成分(A)ARPIB、成分(B)PE1、成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで成分(C)架橋剤1を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混連後取り出した。
【0063】
[工程2]工程1で得られた組成物と成分(D)PP1と成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミルを用いて10分間溶融混練し取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにて容易にシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0064】
(実施例9)
成分(B)をPE2に変更した以外は実施例8と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0065】
(実施例10)
表1に示した割合で配合し、実施例8と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0066】
(実施例11)
表1に示した割合で配合し、実施例8と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0067】
(実施例12)
表1に示した割合で配合し、実施例8と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0068】
(比較例1)
成分(A)ARPIB、成分(D)PP1、成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで成分(C)架橋剤1を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混連後取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにてシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0069】
(比較例2)
成分(D)PP1をPP2に変更した以外は比較例1と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0070】
(比較例3)
成分(D)PP1を成分(E)SIBSに変更した以外は比較例1と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0071】
(比較例4)
成分(D)PP1の配合量を60部、成分(F)OIL1の配合量を150部に変更した以外は比較例1と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0072】
(比較例5)
[工程1]成分(A)ARPIB、成分(D)PP1、成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで成分(C)架橋剤1を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混連後取り出した。
【0073】
[工程2]工程1で得られた組成物と成分(D)PP2を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミルを用いて10分間溶融混練し取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにて容易にシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0074】
(比較例6)
[工程1]成分(A)ARPIB、成分(D)PP1、成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで成分(C)架橋剤1を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混連後取り出した。[工程2]工程1で得られた組成物と成分(D)PP1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミルを用いて10分間溶融混練し取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにて容易にシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0075】
(比較例7)
[工程1]成分(A)ARPIB、成分(D)PP1、成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで成分(C)架橋剤1を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混連後取り出した。
【0076】
[工程2]工程1で得られた組成物と成分(E)SIBSを表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミルを用いて10分間溶融混練し取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにて容易にシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0077】
(比較例8)
成分(D)PP1を成分(D)PP2に変更した以外は比較例7と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0078】
【表1】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物、すなわち実施例1〜12は圧縮永久歪みが16〜33%と良好な値を示した。実施例1,2と比較例1〜3は使用した樹脂がポリエチレンとポリプロピレンとスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体と違うが各々の配合量は等しいものの引っ張り特性はほぼ同等であり、圧縮永久歪みは実施例1、2が優れている。同じ事が実施例3,4と比較例4の比較でもいえる。実施例12と比較例8は第2工程で加えた樹脂は同じだが第1工程で使用した成分が成分(B)PE1と成分(D)PP2と異なり、圧縮永久歪みは実施例12の方が優れている。
【0079】
【発明の効果】
このように、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、ゴム弾性に富み、特に良好な圧縮永久歪み特性を示す新規な熱可塑性エラストマー組成物である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性に優れ、特に圧縮永久歪み特性に優れた新規な熱可塑性エラストマー組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、弾性を有する高分子材料としては、天然ゴムまたは合成ゴムなどのゴム類に架橋剤や補強剤などを配合して高温高圧下で架橋したものが汎用されている。しかしながらこの様なゴム類では、高温高圧下で長時間にわたって架橋及び成形を行う行程が必要であり、加工性に劣る。また架橋したゴムは熱可塑性を示さないため、熱可塑性樹脂のようにリサイクル成形が一般的に不可能である。そのため、通常の熱可塑性樹脂と同じように熱プレス成形、射出成形、及び押出し成形などの汎用の溶融成形技術を利用して成型品を簡単に製造することのできる熱可塑性エラストマーが近年種々開発されている。このような熱可塑性エラストマーには、現在、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、スチレン系、塩化ビニル系など種々の形式のポリマーが開発され、市販されている。
【0003】
これらのうちで、オレフィン系熱可塑性エラストマーは、耐熱性、耐寒性、耐候性等に優れている。オレフィン系熱可塑性エラストマーは、架橋型と非架橋型に分けることができる。非架橋型熱可塑性エラストマーは、架橋反応を伴わないため品質のバラツキが少なくまた製造コストも安価である反面、性能面から両者を比較すると、引張強度や破断伸度、あるいはゴム的性質(たとえば永久伸び、圧縮永久歪)や耐熱性の点では、非架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマーに比べて架橋型のオレフィン系熱可塑性エラストマーの方が優れている。このことは、A.Y.Coranらの文献(非特許文献1)に詳細に記されているように、広く知られている。
【0004】
オレフィン系熱可塑性エラストマーには、非架橋型熱可塑性エラストマーと架橋型熱可塑性エラストマーとがあるが、架橋型熱可塑性エラストマーは非架橋型熱可塑性エラストマーに比べて耐熱性、圧縮永久歪みに優れている。
【0005】
架橋型熱可塑性エラストマーとしては、イソブチレンを主体とする重合体ブロックを含有するイソブチレン系ブロック共重合体とゴムの架橋物からなる熱可塑性重合体組成物が開示されている(特許文献1)。この組成物は、イソブチレン系ブロック共重合体の特徴を保持した上で圧縮永久歪特性が改善されてはいるものの、より良好な圧縮永久歪み特性を有する熱可塑性エラストマー組成物が求められている。
【0006】
従来公知のオレフィン系熱可塑性エラストマーよりも柔軟性を保ちつつ圧縮永久歪み性に優れた成形体を提供することができるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の出現が望まれている。
【0007】
【非特許文献1】
Rubber Chemistry and Technology、53巻 (1980年)、 141ページ
【0008】
【特許文献1】
再公表特許WO98/14518号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の従来技術の課題に鑑み、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、特に圧縮永久歪み特性に優れた熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部が、ポリエチレン系樹脂(B)5〜100重量部との溶融混練時に、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)により動的に架橋された組成物を含有する熱可塑性エラストマー組成物であって、ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を、該動的に架橋された組成物100重量部に対して、0〜100重量部含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0011】
好ましい実施態様としては、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、さらに軟化剤(F)1〜300重量部含むことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0012】
好ましい実施態様としては、ポリエチレン系樹脂(B)が高密度ポリエチレンであることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0013】
好ましい実施態様としては、ポリプロピレン系樹脂(D)がランダムポリプロピレンであることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0014】
好ましい実施態様としては、芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)が、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)と、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(b)とからなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0015】
好ましい実施態様としては、芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)が、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)−イソブチレンを主体とする重合体ブロック(b)−芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)の構造を示す重量平均分子量が40000〜200000のトリブロック共重合体であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)が、ポリエチレン系樹脂(B)との溶融混練時に、ヒドロシリル基を持つポリシロキサン(C)により動的に架橋された組成物、及び該動的に架橋された組成物に、ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を、該動的架橋が終了した後に、混合してなる熱可塑性エラストマー組成物である。
【0017】
本発明の末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)とは、イソブチレンが50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占める重合体のことをいう。末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)、またはイソブチレンを主体とする重合体ブロック中の、イソブチレン以外の単量体は、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、イソプレン、ブタジエン、ジビニルベンゼン等のジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0018】
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)の数平均分子量に特に制限はないが、1,000から500,000が好ましく、5,000から200,000が特に好ましい。数平均分子量が1,000未満の場合、機械的な特性等が十分に発現されず、また、500,000を超える場合、成形性等の低下が大きい。
【0019】
本発明のアルケニル基とは、本発明の目的を達成するための(A)成分の架橋反応に対して活性のある炭素−炭素二重結合を含む基であれば特に制限されるものではない。具体例としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基を挙げることができる。
【0020】
本発明の末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)の末端へのアルケニル基の導入方法としては特開平3−152164号公報や特開平7−304909号公報に開示されているような、水酸基などの官能基を有する重合体に不飽和基を有する化合物を反応させて重合体に不飽和基を導入する方法が挙げられる。またハロゲン原子を有する重合体に不飽和基を導入するためにはアルケニルフェニルエーテルとのフリーデルクラフツ反応を行う方法、ルイス酸存在下アリルトリメチルシラン等との置換反応を行う方法、種々のフェノール類とのフリーデルクラフツ反応を行い水酸基を導入した上でさらに前記のアルケニル基導入反応を行う方法などが挙げられる。さらに米国特許第4316973号、特開昭63−105005号公報、特開平4−288309号公報に開示されているように単量体の重合時に不飽和基を導入することも可能である。この中でもアリルトリメチルシランと塩素の置換反応により末端にアリル基を導入したものが、確実性の点から好ましい。
【0021】
本発明のイソブチレン系重合体(A)の末端のアルケニル基の量は、必要とする特性によって任意に選ぶことができるが、架橋後の特性の観点から、1分子あたり少なくとも0.2個のアルケニル基を末端に有する重合体であることが好ましい。0.2個未満であると架橋による改善効果が十分に得られない場合がある。
【0022】
本発明で用いるポリエチレン系樹脂(B)とはエチレンの含有量が50〜100モル%である単独重合体または炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であり、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが例示され、得られる組成物の引張り特性、耐熱性の点で、特に高密度ポリエチレンが好ましい。ポリエチレン系樹脂(B)は末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)を動的に架橋させる時に使用される。また該動的に架橋された組成物に対しても使用することができる。動的架橋時に使用されるポリエチレン系樹脂(B)の配合量は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、5〜100重量部であることが好ましい。配合量が5重量部を下回ると圧縮永久歪み特性改善の効果が得られず、100重量部を越えると、ゴム弾性が乏しくなるという問題が生じる。
【0023】
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂(D)とはプロピレンの含有量が50〜100モル%である単独重合体または炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であり、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンが例示され得られる組成物の引張り特性の点で、特にランダム共重合体が好ましい。α−オレフィンとしてはエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1等が例示され、これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0024】
本発明で用いる芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)は、特に制限はないが、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)とイソブチレン系重合体ブロック(b)からなるブロック共重合体であることが好ましい。
【0025】
芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体中の芳香族ビニル系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、インデン、ジビニルベンゼン、 N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン等が挙げられる。上記化合物の中でもコストと物性及び生産性のバランスからスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンが好ましく、その中から2種以上選んでもよい。
【0026】
イソブチレン系重合体ブロック(b)とは、イソブチレンが50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占めるブロックのことをいう。イソブチレン系重合体ブロック(b)のイソブチレン以外の単量体は、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、イソプレン、ブタジエン、ジビニルベンゼン等のジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0027】
芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)の構造としては、特に制限はないが、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)とイソブチレン系重合体ブロック(b)の組み合わせで、(a)−(b)−(a)のトリブロック共重合体が組成物の耐熱性、引っ張り強度の点で好ましい。
【0028】
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(a)の割合に関しては、特に制限はないが、物性と加工性のバランスから、イソブチレン系重合体ブロック(b)が95〜20重量%、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(a)が5〜80重量%であることが好ましく、イソブチレン系重合体ブロック(b)が90〜60重量%、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(a)が10〜40重量%であることが特に好ましい。
【0029】
芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)の数平均分子量にも特に制限はないが、15,000から500,000が好ましく、40,000から400,000が特に好ましい。数平均分子量が15,000未満の場合、機械的な特性等が十分に発現されず、また、500,000を超える場合、成形性等の低下が大きい。
【0030】
本発明の動的に架橋された組成物に、ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を、混合することができる。ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)の配合量は、該動的に架橋された組成物100重量部に対して、0〜100重量部であることが好ましい。ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)の配合量が100重量部を越えると、圧縮永久歪み特性の改善が乏しくなる傾向にある。
【0031】
ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)がポリエチレン系樹脂(B)との溶融混合時に動的に架橋された組成物に対して、すなわち、動的架橋後に混合される。動的架橋時に使用されるポリエチレン系樹脂(B)と動的架橋後に混合されるポリエチレン系樹脂(B)は同じものであっても、あるいは異なっていても良いが、相溶性の点から同じものであることが好ましい。
【0032】
本発明の末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)の架橋物を得るためのヒドロシリル基含有化合物としては、特に制限はないが、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)が好ましく、各種のものを用いることができる。その中でもヒドロシリル基を3個以上持ち、シロキサンユニットを3個以上500個以下持つヒドロシリル基含有ポリシロキサンが好ましく、ヒドロシリル基を3個以上持ち、シロキサンユニットを10個以上200個以下持つポリシロキサンがさらに好ましく、ヒドロシリル基を3個以上持ち、シロキサンユニットを20個以上100個以下持つポリシロキサンが特に好ましい。ヒドロシリル基が3個未満の含有量では架橋によるネットワークの十分な成長が達成されず最適なゴム弾性が得られない、またシロキサンユニットが501個以上あるとポリシロキサンの粘度が高く末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)へうまく分散が行われず、架橋反応にムラが発生し好ましくない。またポリシロキサンユニットが100個以下だとヒドロシリル化に必要なヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)を減少させることができるため好ましい。ここで言うポリシロキサンユニットとは以下の一般式(I)、(II)、(III)を指す。
[Si(R1)2O] (I)
[Si(H)(R2)O] (II)
[Si(R2)(R3)O] (III)
ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)として、一般式(IV)または(V)で表される鎖状ポリシロキサン;
R1 3SiO−[Si(R1)2O]a−[Si(H)(R2)O]b−[Si(R2)(R3)O]c−SiR1 3 (IV)
HR1 2SiO−[Si(R1)2O]a−[Si(H)(R2)O]b−[Si(R2)(R3)O]c−SiR1 2H (V)
(式中、R1およびR2は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R3は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。bは3≦b、a,b,cは3≦a+b+c≦500を満たす整数を表す。)
一般式(VI)で表される環状シロキサン;
【0033】
【化1】
(式中、R4およびR5は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R6は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。eは3≦b、d,e,fはd+e+f≦500を満たす整数を表す。)等の化合物を用いることができる。
【0034】
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)とヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)は任意の割合で混合することができるが、硬化性の面から、アルケニル基とヒドロシリル基のモル比が5〜0.1の範囲にあることが好ましく、さらに、2.5〜0.2であることが特に好ましい。モル比が5以上になると架橋が不十分でべとつきのある強度の小さい硬化物しか得られず、また、0.1より小さいと、硬化後も硬化物中に活性なヒドロシリル基が大量に残るので、クラック、ボイドが発生し、均一で強度のある硬化物が得られない。
【0035】
末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)とヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)との架橋反応は、2成分を混合して加熱することにより進行するが、反応をより迅速に進めるために、ヒドロシリル化触媒を添加することができる。このようなヒドロシリル化触媒としては特に限定されず、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル開始剤、および遷移金属触媒が挙げられる。
【0036】
ラジカル開始剤としては特に限定されず、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド、過安息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオキシケタール等を挙げることができる。
【0037】
また、遷移金属触媒としても特に限定されず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジアルケニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3)3,RhCl3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3,PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもかまわない。これらのうち、相溶性、架橋効率、スコーチ安定性の点で、白金ビニルシロキサンが最も好ましい。
【0038】
触媒量としては特に制限はないが、(A)成分のアルケニル基1molに対し、10−1〜10−8molの範囲で用いるのが良く、好ましくは10−3〜10−6molの範囲で用いるのがよい。10−8molより少ないと硬化が十分に進行しない。またヒドロシリル化触媒は高価であるので10−1mol以上用いないのが好ましい。
【0039】
本発明の組成物には、成形性や柔軟性を更に向上させるため、さらに軟化剤(F)を添加することができる。軟化剤としては、ゴムの加工の際に用いられる鉱物油、または液状もしくは低分子量の合成軟化剤を用いることができる。鉱物油としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、及び芳香族系の高沸点石油成分が挙げられる。このなかでも架橋反応を阻害しないパラフィン系オイル(D)が好ましい。液状もしくは低分子量の合成軟化剤としては、特に制限はないが、ポリブテン、水添ポリブテン、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、ポリαオレフィン類等が挙げられる。
【0040】
これらの軟化剤は1種以上を用いることができる。軟化剤(F)の配合量は、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、10〜300重量部であることが好ましい。配合量が300重量部を越えると、機械的強度の低下や成形性に問題が生じる。
【0041】
軟化剤(F)の添加工程は特に制限されず、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系ブロック共重合体(A)が架橋される前、及び架橋時に添加しても、架橋された後に添加しても良い。末端にアルケニル基を有するイソブチレン系ブロック共重合体(A)が架橋される前、架橋時、及び架橋後に添加される軟化剤は同じ軟化剤でも異なる軟化剤でも良い。
【0042】
また本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、各用途に合わせた要求特性に応じて、物性を損なわない範囲で補強剤、充填剤、例えばエチレン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−フ゜ロヒ゜レン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM)、エチレン−フ゛テン共重合ゴム(EBM)、アモルファスポリαオレフィン(APAO)、エチレン−オクテン共重合体などの柔軟なオレフィン系ポリマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)やスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、またそれらを水素添加したスチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)やスチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−イソブチレ−スチレンブロック共重合体(SIBS)などの熱可塑性エラストマー、さらにそのほかにも、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系の酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、界面活性剤、難燃剤、充填剤、補強剤等を適宜配合することができる。公知のカップリング剤、有機フィラー、無機フィラー、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、軟化剤、着色剤、無機ないし有機抗菌剤、滑剤、シリコンオイルなども加えることができる。無機フィラーとしては軽質炭酸カルシウム、重質ないし炭酸カルシウム、その他のカルシウム系充填材、ハードクレー、ソフトクレー、カオリンクレー、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、無定形シリカ、ウォラスナイト、合成ないし天然ゼオライト、ケイソウ土、ケイ砂、軽石粉、スレート粉、アルミナ、硫酸アルミニウム、硫酸ハ゛リウム、リトポン、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、水酸化マグネシウムやこれら充填材をシラン処理したもの等、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に配合可能なものであれば何でも良く、2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。たとえば、透明性の要求されない用途においては無機フィラーを含有させることによりブロッキング性が改良されまたコスト面で有利となる場合があり、また隠蔽性を付与することも可能である。また、無機フィラーとして水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を使用した場合には、難燃剤を併用することで優れた難燃性を付与できる場合がある。また前記ブロッキング防止剤としては、例えばシリカ、ゼオライト等が好適であり、これらは天然、合成の何れでもよくまた架橋アクリル真球粒子などの真球架橋粒子も好適である。また前記帯電防止剤としては、炭素数12〜18のアルキル基を有するN,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−アルキルアミン類やグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。さらに、前記滑剤としては、脂肪酸アミドが好ましく、具体的にはエルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等が挙げられる。
【0043】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の最も好ましい組成物としては、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部が、ポリエチレン系樹脂(B)5〜100重量部との溶融混練時に、ヒドロシリル基を3個以上持ち、シロキサンユニットを3個以上500個以下持つヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)により動的に架橋された組成物を含有する熱可塑性エラストマー組成物であって、ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)−イソブチレンを主体とする重合体ブロック(b)−芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)からなる芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を、該動的に架橋された組成物100重量部に対して、0〜100重量部含有するものである。
【0044】
溶融混練と同時に動的架橋を行う上記の方法を行うに当たっては、130〜210℃温度が好ましい。130℃よりも低い温度では、ポリエチレン系樹脂(B)の溶融が不十分となり、混練が不均一となる傾向があり、210℃よりも高い温度では、末端にアルケニル基を有するイソブチレン系ブロック共重合体(A)の熱分解が進行する傾向がある。
【0045】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂組成物に対して一般に採用される成型方法及び成形装置を用いて成形でき、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形、ブロー成形などによって溶融成形できる。また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形性、圧縮永久歪み、ガスバリア特性に優れているため、パッキング材、シール材、ガスケット、栓体などの密封用材、CDダンパー、建築用ダンパー、自動車、車両、家電製品向け制振材等の制振材、防振材、自動車内装材、クッション材、日用品、電気部品、電子部品、スポーツ部材、グリップまたは緩衝材、電線被覆材、包装材、各種容器、文具部品として有効に使用することができる。
【0046】
【実施例】
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。
尚、実施例に先立ち各種測定法、評価法、実施例について説明する。
【0047】
(硬度)
JIS K 6352に準拠し、試験片は12.0mm圧プレスシートを用いた。
(引張破断強度)
JIS K 6251に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
【0048】
(引張破断伸び)
JIS K 6251に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
【0049】
(圧縮永久歪み)
JIS K 6262に準拠し、試験片は12.0mm厚さプレスシートを使用した。100℃×22時間、25%変形の条件にて測定した。
また、以下に実施例及び比較例で用いた材料の略号とその具体的な内容は、次のとおりである。
また、以下に実施例及び比較例で用いた材料の略号とその具体的な内容は、次のとおりである。
【0050】
(実施例等記載成分の内容)
成分(A):
ARPIB:末端にアリル基を有するポリイソブチレン(製造例1)
成分(B):
PE1:高密度ポリエチレン、三井住友ポリオレフィン社製(商品名「ハイゼックス」2200J)
PE2:低密度ポリエチレン、三井住友ポリオレフィン社製(商品名「ハイゼックスL」900N)
PE3:直鎖状低密度ポリエチレン、三井住友ポリオレフィン社製(商品名「ハイゼックス」UJ580)
成分(D):
PP1:ポリプロピレン、グランドポリマー社製(商品名「グランドポリプロJ215W」ランダムポリプロピレン)
成分(E):
SIBS:スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(製造例2)
成分(C):ヒドロシリル基含有ポリシロキサン
架橋剤1:下記の化学式で表されるポリシロキサン
(CH3)3SiO−[Si(H)(CH3)O]48−Si(CH3)3
架橋触媒:
0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジアルケニルジシロキサン錯体、3重量%キシレン溶液
成分(F):軟化剤
OIL1: パラフィン系プロセスオイル、JOMO社製(商品名「P−500」)。
【0051】
(製造例1)[末端にアルケニル基を有するイソブチレン系共重合体(ARPIB)の製造]
2Lセパラブルフラスコに三方コック、および熱電対、攪拌シールをつけ、窒素置換を行った。窒素置換後、三方コックを用いて窒素をフローした。これにシリンジを用いてTol785ml、ECH265mlを加えた。溶剤添加後、カールフィッシャー水分系にて水分量を測定した。測定後、−70℃程度まで冷却した。IBモノマー277ml(2933mmol)を加えた。再度−70℃程度まで冷却後、p−DCC0.85g(3.7mmol)およびピコリン0.68g(7.4mmol)をTol10mlに溶解して加えた。反応系の内温が−74℃となり安定した時点で四塩化チタン19.3ml(175.6mmol)を加え重合を開始した。重合反応が終了した時点(90分)で、75%AS/Tol溶液1.68g(11.0mmol)を添加し、さらに2時間反応させた。その後、50℃程度に加熱した純水で失活し、さらに有機層を純水(70℃〜80℃)で3回洗浄し、有機溶剤を減圧下80℃にて除去しAPIBを得た。Mnが45500、Mw/Mnは1.10、含有アリル基が2.0/molである重合体が得られた。
【0052】
(製造例2)[スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)の製造]
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)456.1mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)656.5mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー232mL(2871mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p− ジクミルクロライド0.647g(2.8mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド1.22g(14mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン8.67mL(79.1mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から1.5時間同じ温度で撹拌を行った後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、あらかじめ−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー77.9g(748mmol)、n−ヘキサン23.9mLおよび塩化ブチル34.3mLの混合溶液を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから45分後に、約40mLのメタノールを加えて反応を終了させた。
【0053】
反応溶液から溶剤等を留去した後、トルエンに溶解し2回水洗を行った。さらにトルエン溶液を多量のメタノールに加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られた重合体の分子量を測定した。スチレン添加前のイソブチレン重合体のMnが50,000、Mw/Mnは1.40であり、スチレン重合後のブロック共重合体のMnが67,000、Mw/Mnが1.50であるブロック共重合体が得られた。
【0054】
(実施例1)
成分(A)ARPIB、成分(B)PE1、成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで成分(C)架橋剤1を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混連後取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにてシート状に容易に成形することができた。得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0055】
(実施例2)
成分(B)をPE2に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0056】
(実施例3)
成分(B)PE1の配合量を60部、成分(F)OIL1の配合量を150部に変更した以外は実施例1と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0057】
(実施例4)
成分(B)をPE2に変更した以外は実施例3と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0058】
(実施例5)
[工程1]成分(A)ARPIB、成分(B)PE1、成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで成分(C)架橋剤1を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混連後取り出した。
【0059】
[工程2]工程1で得られた組成物と成分(D)PP1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミルを用いて10分間溶融混練し取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにて容易にシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0060】
(実施例6)
成分(B)をPE2に変更した以外は実施例5と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0061】
(実施例7)
成分(B)をPE3に変更した以外は実施例5と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0062】
(実施例8)
[工程1]成分(A)ARPIB、成分(B)PE1、成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで成分(C)架橋剤1を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混連後取り出した。
【0063】
[工程2]工程1で得られた組成物と成分(D)PP1と成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミルを用いて10分間溶融混練し取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにて容易にシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0064】
(実施例9)
成分(B)をPE2に変更した以外は実施例8と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0065】
(実施例10)
表1に示した割合で配合し、実施例8と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0066】
(実施例11)
表1に示した割合で配合し、実施例8と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0067】
(実施例12)
表1に示した割合で配合し、実施例8と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0068】
(比較例1)
成分(A)ARPIB、成分(D)PP1、成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで成分(C)架橋剤1を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混連後取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにてシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0069】
(比較例2)
成分(D)PP1をPP2に変更した以外は比較例1と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0070】
(比較例3)
成分(D)PP1を成分(E)SIBSに変更した以外は比較例1と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0071】
(比較例4)
成分(D)PP1の配合量を60部、成分(F)OIL1の配合量を150部に変更した以外は比較例1と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0072】
(比較例5)
[工程1]成分(A)ARPIB、成分(D)PP1、成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで成分(C)架橋剤1を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混連後取り出した。
【0073】
[工程2]工程1で得られた組成物と成分(D)PP2を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミルを用いて10分間溶融混練し取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにて容易にシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0074】
(比較例6)
[工程1]成分(A)ARPIB、成分(D)PP1、成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで成分(C)架橋剤1を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混連後取り出した。[工程2]工程1で得られた組成物と成分(D)PP1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミルを用いて10分間溶融混練し取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにて容易にシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0075】
(比較例7)
[工程1]成分(A)ARPIB、成分(D)PP1、成分(F)OIL1を表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて3分間溶融混練し、次いで成分(C)架橋剤1を表1に示した割合で添加し、架橋触媒を12μl添加後、トルクの値が最高値を示すまで170℃でさらに溶融混練し動的架橋を行った。トルクの最高値を示してから5分間混連後取り出した。
【0076】
[工程2]工程1で得られた組成物と成分(E)SIBSを表1に示した割合で合計40gになるように配合し、170℃に設定したラボプラストミルを用いて10分間溶融混練し取り出した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにて容易にシート状に成形することができた。得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した。それぞれのシートの物性を表1に示す。
【0077】
(比較例8)
成分(D)PP1を成分(D)PP2に変更した以外は比較例7と同様にして樹脂組成物を成形し、物性を評価した。それぞれの物性を表1に示す。
【0078】
【表1】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物、すなわち実施例1〜12は圧縮永久歪みが16〜33%と良好な値を示した。実施例1,2と比較例1〜3は使用した樹脂がポリエチレンとポリプロピレンとスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体と違うが各々の配合量は等しいものの引っ張り特性はほぼ同等であり、圧縮永久歪みは実施例1、2が優れている。同じ事が実施例3,4と比較例4の比較でもいえる。実施例12と比較例8は第2工程で加えた樹脂は同じだが第1工程で使用した成分が成分(B)PE1と成分(D)PP2と異なり、圧縮永久歪みは実施例12の方が優れている。
【0079】
【発明の効果】
このように、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟性、ゴム弾性に富み、特に良好な圧縮永久歪み特性を示す新規な熱可塑性エラストマー組成物である。
Claims (6)
- 末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部が、ポリエチレン系樹脂(B)5〜100重量部との溶融混練時に、ヒドロシリル基含有ポリシロキサン(C)により動的に架橋された組成物を含有する熱可塑性エラストマー組成物であって、ポリエチレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(D)、及び芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を、該動的に架橋された組成物100重量部に対して、0〜100重量部含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
- 末端にアルケニル基を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、さらに軟化剤(F)1〜300重量部含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- ポリエチレン系樹脂(B)が高密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- ポリプロピレン系樹脂(D)がランダムポリプロピレンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)が、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)と、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(b)とからなることを特徴とする請求項1〜3に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
- 芳香族ビニル系ブロック共重合体(E)が、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)−イソブチレンを主体とする重合体ブロック(b)−芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(a)の構造を示す重量平均分子量が40000〜200000のトリブロック共重合体であることを特徴とする請求項5に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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