JP2006176590A - 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 量産性に優れ、品質バラツキの少ない引張特性の優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる熱可塑性エラストマー組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】 不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)及び熱可塑性樹脂(B)及び架橋剤(C)を少なくとも含む原料を押出機により溶融混練し、イソブチレン系重合体(A)の不飽和結合を架橋剤(C)により動的に架橋して熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法において、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)を、押出機の異なる投入口から投入する。
【選択図】 図1
【解決手段】 不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)及び熱可塑性樹脂(B)及び架橋剤(C)を少なくとも含む原料を押出機により溶融混練し、イソブチレン系重合体(A)の不飽和結合を架橋剤(C)により動的に架橋して熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法において、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)を、押出機の異なる投入口から投入する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、圧縮永久歪み特性、ガスバリア性、及び制振性に優れた熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に関するものである。
従来、弾性を有する高分子材料としては、天然ゴムまたは合成ゴムなどのゴム類に架橋剤や補強剤などを配合して高温高圧下で架橋したものが汎用されている。しかしながらこの様なゴム類では、高温高圧下で長時間にわたって架橋及び成形を行う工程が必要であり、加工性に劣る。また架橋したゴムは熱可塑性を示さないため、通常、熱可塑性樹脂のようにリサイクル成形を行うことができない。そのため、通常の熱可塑性樹脂と同じように熱プレス成形、射出成形、及び押出し成形などの汎用の溶融成形技術を利用して成形品を簡単に製造することのできる熱可塑性エラストマーが近年種々開発されている。このような熱可塑性エラストマーとしては、現在、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、スチレン系、塩化ビニル系などの種々の形式のポリマーが開発・市販されている。
このような熱可塑性エラストマーは、架橋型と非架橋型に分けることができる。非架橋型熱可塑性エラストマーは、架橋反応を伴わないため品質のバラツキが少なく、また製造コストも安価である反面、性能面から両者を比較すると、引張強度や破断伸度、あるいはゴム的性質(たとえば永久伸び、圧縮永久歪)や耐熱性の点では、非架橋型の熱可塑性エラストマーに比べて架橋型の熱可塑性エラストマーの方が優れている。
架橋型の熱可塑性エラストマーは、特許文献1等に開示されている。これらの熱可塑性エラストマーは、一旦架橋させる前に粉砕工程を含む方法や、予備混練工程を含む方法を用いて製造されており工程数が多くなり、量産性に優れているとは言えない。
また、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体を架橋成分とする熱可塑性エラストマー組成物は特許文献2に記載されているように公知であるがバンバリーミキサー等のバッチ式で作製した熱可塑性エラストマー組成物は品質のバラツキが大きく、さらなる品質の安定性が望まれている。
量産性に優れ、品質バラツキの少ない、引張特性の優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる熱可塑性エラストマー組成物の製造方法を提供する。
本発明者らは鋭意検討の結果、上記課題は、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)及び熱可塑性樹脂(B)及び架橋剤(C)を少なくとも含む原料を押出機により溶融混練し、イソブチレン系重合体(A)の不飽和結合を架橋剤(C)により動的に架橋して熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法であって、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)を押出機の異なる投入口から投入することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法により達成されることを見出した。
本発明により量産性に優れ、品質バラツキの少ない、引張特性の優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることができる熱可塑性エラストマー組成物の製造が可能となる。
本発明の製造方法によって製造される熱可塑性エラストマー組成物に含有される不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)とは、イソブチレンが50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上を占める重合体のことをいう。イソブチレン系重合体(A)中の、イソブチレン以外の単量体は、カチオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されないが、芳香族ビニル類、脂肪族オレフィン類、イソプレン、ブタジエン、ジビニルベンゼン等のジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
イソブチレン系重合体(A)の数平均分子量に特に制限はないが、1,000から500,000が好ましく、5,000から200,000が特に好ましい。数平均分子量が1,000未満の場合、機械的な特性等が十分に発現されず、また、500,000を超える場合、成形性等の低下が大きい。
本発明における不飽和結合とは、本発明の目的を達成するための(A)成分の架橋反応に対して活性のある炭素−炭素二重結合であれば特に制限されるものではない。具体例としては、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の脂肪族不飽和炭化水素基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環式不飽和炭化水素基を挙げることができる。
イソブチレン系重合体(A)の不飽和結合の導入方法としては特開平3−152164号公報や特開平7−304909号公報に開示されているような、水酸基などの官能基を有する重合体に不飽和基を有する化合物を反応させて重合体に不飽和基を導入する方法が挙げられる。またハロゲン原子を有する重合体に不飽和基を導入するためにはアルケニルフェニルエーテルとのフリーデルクラフツ反応を行う方法、ルイス酸存在下アリルトリメチルシラン等との置換反応を行う方法、種々のフェノール類とのフリーデルクラフツ反応を行い水酸基を導入した上でさらに前記のアルケニル基導入反応を行う方法などが挙げられる。さらに米国特許第4316973号明細書、特開昭63−105005号公報、特開平4−288309号公報に開示されているように単量体の重合時に不飽和基を導入することも可能である。この中でもアリルトリメチルシランと塩素の置換反応により末端にアリル基を導入したものが、確実性の点から好ましい。
イソブチレン系重合体(A)の末端の不飽和結合の量は、必要とする特性によって任意に選ぶことができるが、架橋後の特性の観点から、1分子あたり少なくとも0.2個のアルケニル基を末端に有する重合体であることが好ましい。0.2個未満であると架橋による改善効果が十分に得られない場合がある。
本発明の製造方法によって製造される熱可塑性エラストマー組成物に含有される熱可塑性樹脂(B)としては特に限定されず、例えば、プラスチック類、ゴム類、及び熱可塑性エラストマー類よりなる群から選択される少なくとも1種が使用できる。プラスチック類としては、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ABS、MBS、アクリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド等が挙げられる。ゴム類としては、例えば、ポリエーテル、ポリブタジエン、天然ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム等が挙げられる。
上記熱可塑性エラストマー類としては、例えば、ポリスチレンブロック等とポリブタジエンやポリイソプレンブロック等からなるブロック共重合体であるスチレン系(芳香族ビニル系熱可塑性エラストマー)、ポリプロピレン等のポリオレフィン成分とエチレン−プロピレンゴム等のゴム成分からなるオレフィン系、結晶性及び非結晶性ポリ塩化ビニルからなる塩化ビニル系、ポリウレタンブロックとポリエーテルブロック等からなるブロック共重合体であるウレタン系、ポリエステルブロックとポリエーテルブロック等からなるブロック共重合体であるポリエステル系、及び、ポリアミドブロックとポリエーテルブロック等からなるブロック共重合体であるアミド系等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂はプラスチック類、ゴム類、及び熱可塑性エラストマー類の分類に関わらず、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
上記熱可塑性樹脂のうち、加工性、柔軟性、及び強度の点で、ポリプロピレン及びポリエチレン等のオレフィン系樹脂、及び/又は芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーが好ましい。更に、オレフィン系樹脂としてはポリエチレンが好ましく、芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーとしては、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックとイソブチレン系重合体ブロックからなるブロック共重合体が好ましい。
芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体中の芳香族ビニル系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、メトキシスチレン、インデン、ジビニルベンゼン、 N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン等が挙げられる。上記化合物の中でもコストと物性及び生産性のバランスからスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンが好ましく、その中から2種以上選んでもよい。
また、ブロック共重合体の構造としては特に制限はないが、AB型あるいはABA型が好ましい。すなわち、芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)が好ましい。
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体の割合に関しては、特に制限はないが、物性と加工性のバランスから、イソブチレン系重合体ブロックなどのソフトセグメントが95〜20重量部、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックが5〜80重量部であることが好ましく、イソブチレン系重合体ブロックが90〜60重量部、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックが10〜40重量部であることが特に好ましい。
芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーの数平均分子量にも特に制限はないが、15,000から500,000が好ましく、40,000から400,000が特に好ましい。数平均分子量が15,000未満の場合、機械的な特性等が十分に発現されず、また、500,000を超える場合、成形性等の低下が大きい。
不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)を架橋する手段は特に制限はないが、副生成物の発生がなく、また不要な副反応を起こさない等の利点から、架橋剤(C)としてヒドロシリル基含有化合物を用いて架橋することが好ましい。
架橋剤(C)としてのヒドロシリル基含有化合物は特に制限はなく、各種のものを用いることができる。すなわち、一般式(I)または(II)で表される鎖状ポリシロキサン;
R1 3SiO−[Si(R1)2O]a−[Si(H)(R2)O]b−[Si(R2)(R3)O]c−SiR1 3 (I)
HR1 2SiO−[Si(R1)2O]a−[Si(H)(R2)O]b−[Si(R2)(R3)O]c−SiR1 2H (II)
(式中、R1およびR2は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R3は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。aは0≦a≦100、bは2≦b≦100、cは0≦c≦100を満たす整数を示す。)
一般式(III)で表される環状シロキサン;
R1 3SiO−[Si(R1)2O]a−[Si(H)(R2)O]b−[Si(R2)(R3)O]c−SiR1 3 (I)
HR1 2SiO−[Si(R1)2O]a−[Si(H)(R2)O]b−[Si(R2)(R3)O]c−SiR1 2H (II)
(式中、R1およびR2は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R3は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。aは0≦a≦100、bは2≦b≦100、cは0≦c≦100を満たす整数を示す。)
一般式(III)で表される環状シロキサン;
架橋剤としてヒドロシリル基含有化合物を使用する場合、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)とヒドロシリル基含有化合物は任意の割合で混合することができるが、架橋性の面から、アルケニル基とヒドロシリル基のモル比(アルケニル基のモル数/ヒドロシリル基モル数)が5〜0.05の範囲にあることが好ましく、さらに、2.5〜0.1であることが特に好ましい。モル比が5以上になると硬化が不十分でべとつきのある強度の小さい架橋物しか得られず、また、0.05より小さいと、架橋後も架橋物中に活性なヒドロシリル基が大量に残るので、クラック、ボイドが発生し、均一で強度のある架橋物が得られない。
熱可塑性エラストマー組成物には、架橋触媒(D)を含有させてもよい。架橋触媒(D)としては特に制限はないが、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル開始剤、および遷移金属触媒が挙げられる。
ラジカル開始剤としては特に限定されず、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド、過安息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオキシケタール等を挙げることができる。
また、遷移金属触媒としても特に限定されず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジアルケニルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3)3,RhCl3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3,PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもかまわない。触媒量としては特に制限はないが、(A)成分のアルケニル基1molに対し、10-1〜10-8molの範囲で用いるのが良く、好ましくは10-3〜10-6molの範囲で用いるのがよい。10-8molより少ないと硬化が十分に進行しない。またヒドロシリル化触媒は高価であるので10-1mol以上用いないのが好ましい。これらのうち、相溶性、架橋効率、スコーチ安定性の点で、白金ビニルシロキサンが最も好ましい。
(D)として遷移金属触媒を使用するときは更に(D)を有機溶剤で希釈することが好ましい。(D)を単独で(A)及び(B)と混練した場合、樹脂焼けが発生し、得られる組成物が茶褐色に変色してしまうためである。更にこの変色を抑えるためには架橋触媒(D)は有機溶剤によって5重量%以下に希釈されることが好ましい。
上記、有機溶剤としては特に制限はないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素系、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系、アセトン、エタノール、ブタノール、ブチルクロライド、ピリジン等のヘテロ原子含有炭化水素等が挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。また、得られる熱可塑性エラストマー組成物中に有機溶剤が残存した場合、製品とした場合に有機溶剤がブリードするなどの不具合が生じるため、有機溶剤の沸点は160℃以下であることが好ましく、特に、溶融混練時に直ちに揮発せず、且つ架橋混練時にほぼ残存しないトルエン、及びキシレンが好ましい。
本発明によって製造される組成物には可塑剤を使用してもよい。可塑剤は特に制限されないが、例えば、ゴムの加工の際に用いられる鉱物油、または液状もしくは低分子量の合成軟化剤が挙げられ、これらは1種以上を用いることができる。
鉱物油としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、及び芳香族系の高沸点石油成分が挙げられる。液状もしくは低分子量の合成軟化剤としては、特に制限はないが、ポリブテン、水添ポリブテン、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、ポリαオレフィン類等が挙げられる。これらの可塑剤は1種以上を用いることができる。このなかでも架橋反応を阻害しないパラフィン系オイル及び/又はポリブテンが好ましい。可塑剤の配合量は、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、10〜300重量部であることが好ましい。配合量が300重量部を越えると、機械的強度の低下や成形性に問題が生じる。
鉱物油としては、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、及び芳香族系の高沸点石油成分が挙げられる。液状もしくは低分子量の合成軟化剤としては、特に制限はないが、ポリブテン、水添ポリブテン、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、ポリαオレフィン類等が挙げられる。これらの可塑剤は1種以上を用いることができる。このなかでも架橋反応を阻害しないパラフィン系オイル及び/又はポリブテンが好ましい。可塑剤の配合量は、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、10〜300重量部であることが好ましい。配合量が300重量部を越えると、機械的強度の低下や成形性に問題が生じる。
また本発明の組成物には、さらには、各用途に合わせた要求特性に応じて、物性を損なわない範囲で補強剤、充填剤、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系の酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、界面活性剤、難燃剤、抗菌剤、滑剤、シリコンオイル等を適宜配合することができる。
本発明に用いる押出機には単軸または二軸押出機等を用いることができる。このうち、原料の分散・混合が容易な二軸押出機が好ましい。二軸押出機には非かみ合い型同方向回転、かみ合い型同方向回転、非かみ合い型異方向回転、かみ合い型異方向回転が含まれる。二軸押出機の中ではかみ合い型同方向回転が好ましい。二軸押出機のバレル直径に対する長さ(L/D)は、好ましくは30〜100、より好ましくは40〜75である。二軸押出機の設定温度は、好ましくは150〜300℃であり、より好ましくは150〜230℃である。滞留時間は架橋反応が十分に進む時間とする必要がある。好ましくは30秒〜10分、より好ましくは1〜5分である。また、二軸押出機のスクリューより与えるせん断速度は動的な架橋を促進するために好ましくは、20〜1,000sec−1より好ましくは50〜200sec−1である。
不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)、架橋剤(C)を含有する熱可塑性エラストマー組成物においては、求められる組成物の物性に応じそれぞれの配合部数を変化させることができる。
それぞれの原料を押出機に投入する際は、例えば二軸押出機の場合では、イソブチレン系重合体(A)は加温タンク等で可塑化させ、ギヤポンプで二軸押出機へ投入し、熱可塑性樹脂(B)や必要に応じて添加される補強剤、充填剤、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系の酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、界面活性剤、難燃剤、抗菌剤、滑剤、シリコンオイル等は、例えば定重量式フィーダにてホッパーから二軸押出機に投入したり、サイドフィーダから二軸押出機に投入する。架橋剤(C)や架橋触媒(D)、可塑剤は、例えば液体添加ポンプで二軸押出機へ投入する。
押出機への投入の際は、イソブチレン系重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)は、異なる投入口より(すなわち、時間差をもって)投入する。同じ投入口から同時に投入すると、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)により熱可塑性樹脂(B)を溶融しにくくし、架橋ゴムの粒径が粗大になるからである。また、架橋剤(C)と架橋触媒(D)も、異なる投入口より(すなわち、時間差をもって)投入するのが望ましい。これらを同じ投入口から同時に投入すると、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)と架橋剤(C)の架橋反応が部分的に起こってしまい、架橋密度の高い部分と低い部分が生じやすくなってしまうからである。
本発明の製造方法によって得られた熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂組成物に対して一般に採用される成形方法及び成形装置を用いて成形でき、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形、ブロー成形などによって溶融成形できる。また、本発明の製造方法によって得られた熱可塑性エラストマー組成物は、成形性、圧縮永久歪み特性に優れているため、パッキング材、シール材、ガスケット、栓体などの密封用材、CDダンパー、建築用ダンパー、自動車、車両、家電製品向け制振材等の制振材、防振材、自動車内装材、クッション材、日用品、電気部品、電子部品、スポーツ部材、グリップまたは緩衝材、電線被覆材、包装材、各種容器、文具部品として有効に使用することができる。
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。尚、実施例に先立ち各種測定法、実施例に使用した原料成分について説明する。
(圧縮永久歪み)JIS K 6262に準拠し、試験片は12.5mm厚さプレスシートを使用した。100℃×22時間、25%変形の条件にて測定した
(硬度)JIS K 6252に準拠し、試験片は12.0mm圧プレスシートを用いた。
(引張最大強度)JIS K 6251に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(引張破断伸び)JIS K 6251に準拠し、試験片は2mm厚プレスシートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
(実施例等記載原料成分の内容)
実施例及び比較例で用いた材料の略号とその具体的な内容は、次のとおりである。
PE:高密度ポリエチレン、三井化学社製(商品名「HI−ZEX2200J」)
SIBS:スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体
APIB:末端にアリル基を有するポリイソブチレン
可塑剤1:パラフィン系プロセスオイル、出光興産社製(商品名「PW380」)
可塑剤2:パラフィン系プロセスオイル、JOMO社製(商品名「P−500」)
架橋剤(ヒドロシリル基含有化合物):シロキサン、GE東芝シリコーン社製(商品名「TSF−484」)
架橋触媒1:0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジアルケニルジシロキサン錯体の3重量%キシレン溶液と可塑剤を1:200の重量比を混合したもの
架橋触媒2:0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジアルケニルジシロキサン錯体の3重量%キシレン溶液と可塑剤を1:50の重量比を混合したもの
架橋触媒3:0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジアルケニルジシロキサン錯体の3重量%キシレン溶液
実施例及び比較例で用いた材料の略号とその具体的な内容は、次のとおりである。
PE:高密度ポリエチレン、三井化学社製(商品名「HI−ZEX2200J」)
SIBS:スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体
APIB:末端にアリル基を有するポリイソブチレン
可塑剤1:パラフィン系プロセスオイル、出光興産社製(商品名「PW380」)
可塑剤2:パラフィン系プロセスオイル、JOMO社製(商品名「P−500」)
架橋剤(ヒドロシリル基含有化合物):シロキサン、GE東芝シリコーン社製(商品名「TSF−484」)
架橋触媒1:0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジアルケニルジシロキサン錯体の3重量%キシレン溶液と可塑剤を1:200の重量比を混合したもの
架橋触媒2:0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジアルケニルジシロキサン錯体の3重量%キシレン溶液と可塑剤を1:50の重量比を混合したもの
架橋触媒3:0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジアルケニルジシロキサン錯体の3重量%キシレン溶液
(製造例1)[スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)の製造]
500mLのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)95.4mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)135mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー54.4mL(576mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.178g(0.77mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド0.124g(1.42mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン1.69mL(15.44mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から75分撹拌を行った後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、スチレンモノマー13.83g(132.8mmol)を重合容器内に添加した。スチレンモノマーを添加してから45分後に、大量の水に加えて反応を終了させた。
500mLのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)95.4mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)135mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー54.4mL(576mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.178g(0.77mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド0.124g(1.42mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン1.69mL(15.44mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から75分撹拌を行った後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、スチレンモノマー13.83g(132.8mmol)を重合容器内に添加した。スチレンモノマーを添加してから45分後に、大量の水に加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を蒸発させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体(SIBS)を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られた重合体の分子量を測定したところ、Mnが64,000、Mw/Mnが1.2であった。また、NMRから算出したスチレン含量は30%であった。
(製造例2)[末端にアリル基を有するポリイソブチレン(APIB)の製造]
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、エチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)142mL及びトルエン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)427mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー277mL(2934mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.85g(3.7mmol)及びα−ピコリン0.68g(7.4mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン5.8mL(52.7mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から2.5時間撹拌を行った後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、アリルトリメチルシランの75%トルエン溶液1.68g(11mmol)を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから2時間後に、大量の水に加えて反応を終了させた。
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、エチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)142mL及びトルエン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)427mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー277mL(2934mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.85g(3.7mmol)及びα−ピコリン0.68g(7.4mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン5.8mL(52.7mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から2.5時間撹拌を行った後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、アリルトリメチルシランの75%トルエン溶液1.68g(11mmol)を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから2時間後に、大量の水に加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を蒸発させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られた重合体の分子量を測定した。Mnが45500、Mw/Mnが1.10である末端にアリル基を有するポリイソブチレンが得られた。NMRから算出した末端アリル基の数は、一分子当たり2.0であった。
(実施例1)
図1のような添加構成のかみ合い型同方向回転二軸押出機(神戸製鋼所社製、スクリュー直径59mm、L/D=72)を用いた。表1に示す押出条件・添加構成・添加量で押出し、ペレット化した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにてシート状に成形し、得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した結果を表2に示す。標準偏差は連続運転中のペレットを10分毎に6点連続してサンプリングして求めた。
図1のような添加構成のかみ合い型同方向回転二軸押出機(神戸製鋼所社製、スクリュー直径59mm、L/D=72)を用いた。表1に示す押出条件・添加構成・添加量で押出し、ペレット化した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにてシート状に成形し、得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した結果を表2に示す。標準偏差は連続運転中のペレットを10分毎に6点連続してサンプリングして求めた。
(実施例2〜3)
図1のような添加構成のかみ合い型同方向回転二軸押出機(テクノベル社製、スクリュー直径15mm、L/D=60)を用いた。表1に示す押出条件・添加構成・添加量で押出し、ペレット化した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにてシート状に成形し、得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した結果を表2に示す。
図1のような添加構成のかみ合い型同方向回転二軸押出機(テクノベル社製、スクリュー直径15mm、L/D=60)を用いた。表1に示す押出条件・添加構成・添加量で押出し、ペレット化した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにてシート状に成形し、得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した結果を表2に示す。
(比較例1)
図1のような添加構成のかみ合い型同方向回転二軸押出機(テクノベル社製、スクリュー直径15mm、L/D=60)を用いた。表1に示す押出条件・添加構成・添加量でPEとAPIBを同じ投入口から投入して押出し、ペレット化した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにてシート状に成形し、得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した結果を表2に示す。
図1のような添加構成のかみ合い型同方向回転二軸押出機(テクノベル社製、スクリュー直径15mm、L/D=60)を用いた。表1に示す押出条件・添加構成・添加量でPEとAPIBを同じ投入口から投入して押出し、ペレット化した。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにてシート状に成形し、得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引っ張り特性を上記方法に従って測定した結果を表2に示す。
(比較例2)
75Lバンバリーミキサー(日本ロール製造社製)を蒸気圧0.7MPaで加温し、表3の配合で動的に架橋を行った。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにてシート状に成形し、得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引張り特性を上記方法に従って測定した結果を表2に示す。標準偏差は連続して6バッチ製造し、1バッチにつき1点サンプリングして求めた。
75Lバンバリーミキサー(日本ロール製造社製)を蒸気圧0.7MPaで加温し、表3の配合で動的に架橋を行った。得られた熱可塑性エラストマー組成物は190℃で神藤金属工業社製、加圧プレスにてシート状に成形し、得られたシートの、硬度、圧縮永久歪み、引張り特性を上記方法に従って測定した結果を表2に示す。標準偏差は連続して6バッチ製造し、1バッチにつき1点サンプリングして求めた。
表1〜3からは、本発明の製造方法によって得られた熱可塑性エラストマー組成物(実施例1〜3特に実施例3)は、本発明とは投入方法が異なる比較例1と比べて引張特性および圧縮永久歪が優れていることがわかる。更に実施例1〜3の組成物は、溶融混練方法の異なる比較例2の組成物に比べて、品質バラツキの小さいことがわかる。
以上のように、本発明にかかる製造方法によれば、引張特性および圧縮永久歪に優れ、品質バラツキの小さい熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
1…二軸押出機
2…ホッパー
3…ダイス
4…投入口1
5…投入口2
6…投入口3
7…投入口4
2…ホッパー
3…ダイス
4…投入口1
5…投入口2
6…投入口3
7…投入口4
Claims (4)
- 不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)及び熱可塑性樹脂(B)及び架橋剤(C)を少なくとも含む原料を押出機により溶融混練し、イソブチレン系重合体(A)の不飽和結合を架橋剤(C)により動的に架橋して熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法であって、不飽和結合を有するイソブチレン系重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)を押出機の異なる投入口から投入することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 架橋触媒(D)を更に含む熱可塑性エラストマー組成物の製造方法であって、架橋剤(C)と架橋触媒(D)を異なる投入口から投入することを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 架橋剤(C)がヒドロシリル基含有化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 押出機が二軸押出機であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
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JP2009179688A (ja) * | 2008-01-30 | 2009-08-13 | Kaneka Corp | 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000309637A (ja) * | 1999-02-23 | 2000-11-07 | Sumitomo Chem Co Ltd | 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法、熱可塑性エラストマー組成物および自動車内装部品 |
JP2003268122A (ja) * | 2002-03-14 | 2003-09-25 | Sumitomo Chem Co Ltd | 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 |
JP2004204182A (ja) * | 2002-12-26 | 2004-07-22 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 |
-
2004
- 2004-12-21 JP JP2004369723A patent/JP2006176590A/ja active Pending
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