JP2019135949A - 味覚付与剤及び飲食品の味覚向上方法 - Google Patents

味覚付与剤及び飲食品の味覚向上方法 Download PDF

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【課題】 本発明は、経口摂取物(とりわけ飲食品)に添加することにより、経口摂取物に味覚を付与する味覚付与剤及び該味覚付与剤を添加した経口摂取物並びに経口摂取物への味覚付与方法を提供することを目的とする。【解決手段】 焙煎茶葉、とりわけほうじ茶の粉砕物を、経口摂取物(とりわけ飲食品)に添加することにより、該経口摂取物に味覚(とりわけ塩味及び旨味)を付与することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、焙煎茶葉の粉砕物及び/又は抽出物を有効成分とする味覚付与剤及びこれを添加した経口摂取物並びに焙煎茶葉の粉砕物を添加することにより経口摂取物に味覚を付与する方法に関する。
現代の生活においては、飲食品をはじめとする様々な飲食物が日常に溢れており、我々の生活に彩りを与えている。その一方で、豊かな食生活に起因する様々な健康問題が生じており社会問題となりつつある。
かかる健康問題には様々な種類があるが、例えばそのひとつとして塩分の過剰摂取が挙げられる。塩分は生命体維持に必須の成分であり、これを適度に添加した飲食物はその刺激的味覚により美味しく感じられる傾向にあるが、塩分を長期間に亘り過剰に摂取すると、高血圧、腎疾患、心疾患等の疾病要因となる。ある統計によれば、世界の成人の4分の3が、1日推奨量の2倍近くの塩分を摂取しているとの報告もあり、世界的な問題でもある。
このような問題を解決するために、様々な観点から各種提案がなされている。例えば、特許文献1は、ナトリウム塩の中でも血圧上昇への影響が少ないグルコン酸ナトリウムを主成分とする機能性食塩組成物を提案している。また、特許文献2は、酵母エキス、芳香性の穀粉および低ナトリウム塩を含む一般塩の代替物を提案している。さらに、特許文献3は、通常量より少ない食塩および食塩味強化量のカプセル化アンモニウム塩を食品または飲料に含ませる、食塩味を強化した組成物を提案している。また、特許文献4は、昆布由来の分子量200未満の揮発性成分を含有することを特徴とする塩味増強剤を提案している。また、特許文献5は、塩基性塩化マグネシウムを有効成分として含有する塩味付与製剤を提案している。また、特許文献6は、コショウ、ショウガ、クローブ及びシナモンの各香辛料抽出物の混合物を含有する塩味増強剤を提案している。
しかし、上述の先行技術文献は、新たな化合物を塩分の代替物として用いるものであったり、天然由来であっても精製に困難を伴うものであったり、複数種類の素材を併用しなければならない等、実施にあたって必ずしも簡便といえるものではなかった。
WO98/02051 特表2009−537134 特開平6−237732 特開2011−229524 特開2012−090538 特開2012−239398
本発明は、天然由来であって且つ簡便に作製することができる味覚付与剤を提供することを目的とする。
本発明は、焙煎茶葉、とりわけほうじ茶の粉砕物及び/又は抽出物を、経口摂取物(とりわけ飲食品)に添加することにより、該経口摂取物に味覚(とりわけ塩味及び旨味)を付与することを提案する。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1] 焙煎茶葉の粉砕物及び/又は抽出物を有効成分とする味覚付与剤。
[2] 飲食品に添加するものであることを特徴とする、上記[1]に記載の味覚付与剤。
[3] 前記味覚が、塩味及び旨味のいずれか又は両方であることを特徴とする、上記[1]又は[2]に記載の味覚付与剤。
[4] 焙煎茶葉の粉砕物の配合割合が、飲食品に対して0.01〜15重量%であることを特徴とする、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の味覚付与剤。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれかに記載の味覚付与剤を配合した飲食物。
[6] 前記飲食品が、穀物製品又は液状飲食物であることを特徴とする、上記[1]〜[5]ののいずれかに記載の飲食物。
[7] 前記焙煎茶葉がほうじ茶であることを特徴とする、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の味覚付与剤。
[8]焙煎茶葉の粉砕物及び/又は抽出物を飲食品に添加することを特徴とする、飲食品の味覚付与方法。
[9]前記焙煎茶葉がほうじ茶であることを特徴とする、上記[8]に記載の味覚付与方法。
[10]前記味覚が、旨味及び/又は塩味であることを特徴とする、上記[8]又は[9]に記載の味覚付与方法。
[11]飲食品に対して0.01〜15重量%の焙煎茶葉の粉砕物及び/又は抽出物を配合することを特徴とする、上記[8]〜[10]のいずれかに記載の味覚付与方法。
本発明が提案する味覚付与剤及び味覚付与方法によれば、経口摂取物(とりわけ飲食品)に他の添加物を全く使用しない又はその使用量を低減させたとしても、当該味覚を付与又は増強することができる。
特に、本発明が提案する味覚付与剤及び味覚付与方法をその一態様である塩味付与剤及び塩味付与方法として実施した場合、経口摂取物(とりわけ飲食品)に塩味を全く使用しない又はその使用量を低減することができるため、飲食品における減塩効果を得ることができる。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
(茶葉)
本発明における茶葉は、茶樹Camellia sinensisの葉若しくは茎又はこれらを原料とするものである。かかる茶樹の品種、産地及び収穫時期は、特に限定されるものではない。また、茶葉は、その発酵工程の程度により不発酵茶、半発酵茶、発酵茶、後発酵茶に大別されるが、本発明における茶葉は、かかる発酵程度に限定されるものではないが、不発酵茶(緑茶)を好適に用いることができる。
(焙煎茶葉)
本発明における焙煎茶葉は、茶葉を焙煎処理したものをいう。かかる焙煎処理は、本発明の効果を奏する焙煎茶葉が得られる限りにおいて、その処理方法や条件は特に限定されるものではない。また、本発明における焙煎茶葉として、ほうじ茶を好適に用いることができる。
(焙煎茶葉の粉砕物)
本発明における焙煎茶葉は、その一部又は全部を粉砕処理して得た粉砕物として好適に用いることができる(焙煎茶葉の粉砕物)。なお、かかる粉砕処理は、石臼、ボールミル、パワーミル、ピンミル、ジェットミルなどの粉砕機を用いて粉砕して微粉状にすることができる。また、粉末茶の具体例としては、抹茶などを挙げることができる。
なお、茶葉の焙煎処理と粉砕処理の順序は、本発明の効果を奏する焙煎茶葉が得られる限りにおいて特に限定されるものではないが、加工処理を均一にする観点から、焙煎処理した後に粉砕処理するのが好ましい。
(焙煎茶葉の抽出物)
本発明における焙煎茶葉の抽出物は、焙煎茶葉やその粉砕物を抽出して得た抽出液、該抽出液を濃縮した濃縮液、及び前記抽出液又は濃縮液を粉体化した粉体物を包含する総称である。かかる焙煎茶葉の抽出物は、前記態様のいずれか1種又は2種以上で使用することができるが、焙煎茶葉やその粉砕物を抽出して得た抽出液(焙煎茶葉の抽出液)を単独で使用するのが調製の簡便性から好ましい。但し、焙煎茶葉の抽出物を添加する経口摂取物の性質にも依存するため、かかる選択は適宜行うことができる。
また、本発明における焙煎茶葉粉砕物の諸物性は特に限定されるものではないが、例えば、焙煎茶は粉末の表面色(ハンターLab)においてL値が15〜35であり、a値が-2〜6であり、b値が2〜21、好ましくはL値が15〜32であり、a値が-1〜6であり、b値が2〜19、より好ましくはL値が15〜30であり、a値が0〜6であり、b値が2〜17、さらに好ましくはL値が17〜29であり、a値が1〜6であり、b値が3〜16、最も好ましくはL値が19〜29であり、a値が2〜6であり、b値が5〜16であるものを用いることができる。
さらに、本発明における焙煎茶葉粉砕物のカテキン類量は特に限定されるものではないが、0.2〜13g/100gが好ましく、0.2〜12g/100gがより好ましく、0.5〜11g/100gがさらに好ましく、1〜10g/100gが最も好ましい。
なお、本発明におけるカテキン類とは、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの8種カテキン類を総称したものをいう。
また、本発明における焙煎茶葉粉砕物の糖類量は特に限定されるものではないが、0〜4.6重量%が好ましく、0〜4.5重量%がより好ましく、0.1〜4.3重量%がさらに好ましく、0.1〜4重量%が最も好ましい。
なお、本発明における糖類とは、単糖であるグルコース及びフルクトースと、二糖であるスクロース、三糖であるラフィノース及び四糖であるスタキオースを総称したものをいう。
また、本発明における焙煎茶葉粉砕物のアミノ酸類は特に限定されるものではないが、15〜2500mg/100gが好ましく、15〜1250mg/100gがより好ましく、20〜800mg/100gがさらに好ましく、20〜750mg/100gが最も好ましい。
なお、本発明におけるアミノ酸類とは、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、グルタミン、アルギニン、アラニン及びテアニンを総称したものをいう。
(味覚付与)
本発明における味覚付与とは、焙煎茶葉の粉砕物を添加することにより添加対象物に味覚上の特性を付与することをいう。味覚上の特性を付与するものであるから、添加対象物は、その性質上、経口摂取物に限られる。なお、本発明における経口摂取物は、各種食品や各種飲料(各種飲食物)を包含するものであるが、かかる飲食品以外であっても経口により摂取されるものも包含するものであり、例えば経口投与薬の各種を挙げることができる。かかる経口摂取薬の剤形は、本発明の味覚付与剤を添加できる限りにおいて特に限定されるものではなく、例えば粉末、錠剤、カプセル、顆粒、ペースト、シロップなどを挙げることができる。この場合、摂取目的となる有効成分の他、かかる剤形を形成するための副原料を使用するのが通例である。なお、経口摂取薬の目的は、特に限定されるものではない。
また、本発明における経口摂取物は、経口により体内摂取するものを包含するのは勿論であるが、添加対象物を口腔内に取り込んだ後に経口で体外に排出するものも包含する。なお、かかる添加対象物としては、例えばチューインガムなどを挙げることができる。
また、本発明における味覚付与剤の添加対象物は、ヒトが経口摂取するものに対して好適に用いることができるが、ヒト以外の生物、例えば家畜や愛玩動物などが経口摂取するものに対しても用いることができる。このような場合、例えば飼料やペットフードのような態様で用いることになる。
(飲食物)
本発明における飲食物の種類は、本発明の効果を奏する焙煎茶葉が得られる限りにおいて、特に限定されるものではない。かかる飲食物としては、食肉、魚介類、野菜類、果実類等の生鮮食品、加工畜産物、加工水産物、加工果実、加工野菜、加工穀類、乳製品、油脂類、大豆加工食品、調味料、パン類、ケーキ類、菓子類、麺類、液状飲食物などが挙げられる。
かかる加工穀類としては小麦製品や米製品を挙げることができ、さらに小麦製品としてはパスタやパン、米製品としては米飯を挙げることができる。また、かかる液状飲食物としては、つゆやスープ等を挙げることができる他、嚥下食、流動食、ゼリー、プリン等の咀嚼せずに飲み込むことがきできる飲食品も含まれる。
添加対象である経口摂取物に対する本発明の味覚付与剤の添加量は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されるものではないが、例えば経口摂取物に対して0.01〜15重量%、好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜7重量%、最も好ましくは0.1〜5重量%の味覚付与剤を添加することができる。なお、抽出液として使用する場合は、抽出効率をもって茶固形を算出した。
なお、本発明における味覚付与剤は、経口摂取物に対して単独で用いることもできるが、1種又は2種以上の他の素材と併用して用いることもできる。この場合、本発明における味覚付与剤と他の素材とを予め混合して経口摂取物に対して添加することもできる。
なお、本発明における味覚付与剤の効果は、味覚上のものであるため官能評価で確認できるが、例えば味覚センサーなどの機器で確認することもできる。特に、味覚センサーなどの機器では、塩味や旨味などの味覚上の特性を数値化して確認することができる。
(塩味付与)
本発明における味覚付与剤は、塩味付与剤として好適に用いることができる。より具体的には、焙煎茶葉の粉砕物を添加することにより添加対象物に塩味を付与することができる。
本発明における塩味付与剤の効果は、味覚上のものであるため官能評価で確認できるが、例えば味覚センサーなどの機器で確認することもできる。特に、味覚センサーなどの機器では、味覚上の特性として塩味を数値化して確認することができる。
(旨味付与)
本発明における味覚付与剤は、旨味付与剤として好適に用いることができる。より具体的には、焙煎茶葉の粉砕物を添加することにより添加対象物に旨味を付与することができる。
本発明における旨味付与剤の効果は、味覚上のものであるため官能評価で確認できるが、例えば味覚センサーなどの機器で確認することもできる。特に、味覚センサーなどの機器では、味覚上の特性として旨味を数値化して確認することができる。
以下、本発明を下記実施例及び比較例に基づいてさらに説明する。
<試験1:炊飯米>
・サンプル調製
市販の生米(静岡こしひかり無洗米 株式会社遠州米穀社製)150gと、該生米に対して0.5重量%の食塩(0.75g)に水を加えて、市販の炊飯器(JJ-M31A マイコンジャー炊飯器 ハイアール社製)を用いて炊飯米350gを得た。次に、得られた炊飯米から25gを分取したものに水100mLを加えて粥にした(工程1)。
また、市販のほうじ茶粉末(伊藤園社製)0.075gを熱水100mL(95℃)で2分間抽出することにより、ほうじ茶抽出液を得た(工程2)。なお、使用したほうじ茶粉末は、炊飯米25gに対して0.3重量%である。
次に、工程1で得た粥と、工程2で得たほうじ茶抽出液とを混合し、遠心分離(AX-310 TOMY)(3000rpm、10分)した後、上清をサンプル液とした(実施品)。なお、比較例としては、工程1で得た粥を使用した(比較品)。
・味覚センサー分析
前出の実施品及び比較品について味覚センサー試験を実施し、各サンプルにつき酸味、塩味、旨味、苦味、渋味、旨味コク、苦味雑味、渋味刺激の8種類について測定した。その結果を表1に示す。なお、味覚センサー試験においては、試験結果における目盛りが1以上の差があると官能評価で識別できるとされている。
測定の結果、実施品は、比較品と比較して、塩味、旨味及び渋味刺激が顕著に高く、とりわけ塩味及び旨味の評価項目については1程度の差があった。
なお、ほうじ茶抽出液の代わりにほうじ茶粉末を使用した試験も実施した。具体的には、ほうじ茶抽出液の代わりにほうじ茶粉末を使用する以外は、上述のサンプル調製方法に従って調製した。
また、炊飯米に対してほうじ茶粉末5.0重量%を加えたものについても、酸味、塩味、旨味、苦味、渋味、旨味コク、苦味雑味、渋味刺激の8種類について測定した。測定の結果、比較品と比較して、塩味、旨味及び渋味刺激が顕著に高く、とりわけ塩味及び旨味の評価項目については1以上の差があった。
Figure 2019135949
<試験2:めんつゆ>
・サンプル調製
市販のほうじ茶(伊藤園社製)を用意してほうじ茶抽出液を調製した。溶媒1L当たり7gのほうじ茶葉を用意し、90℃の熱水で90秒間抽出した後、メッシュで濾過してほうじ茶抽出液を得た。また、市販の緑茶(伊藤園社製)を用意して、同様の手法により緑茶抽出液を用意した。
次に、市販の濃縮めんつゆ(商品名:「濃いだし本つゆ」,キッコーマン食品社製)を70g毎に3本用意した。また、濃縮つゆを希釈するための割り材としては、前記ほうじ茶抽出液、前記緑茶抽出液、及びコントロールとして熱水の3種類を用意した。
そして、めんつゆ70gに対して割り材としてのほうじ茶抽出液350gを混合して得た混合液1(実施品1)と、めんつゆ70gに対して割り材としての緑茶抽出液350gを混合して得た混合液2(実施品2)と、めんつゆ70gに対して熱水350gを混合して得た混合液3(比較品)とをそれぞれ得た。
・味覚センサー分析
前出の実施品1〜2及び比較品について味覚センサー試験を実施し、各サンプルにつき酸味、塩味、旨味(先味)、旨味(後味)、苦味(先味)、苦味(後味)の6種類について測定した。また、前出の実施品1〜2及び比較品について味覚センサー試験を実施し、酸味、塩味、旨味(先味)、旨味(後味)の4種類について測定した。
その結果を表2〜3に示す。なお、味覚センサー試験においては、試験結果における目盛りが1以上の差があると官能評価で識別できるとされている。
測定の結果、実施品1〜2は、比較品と比較して、塩味及び旨味の評価項目が顕著に高く1程度の差があった。
Figure 2019135949
Figure 2019135949
<試験3:食パン>
・サンプル調製
市販のパンミックス(日本フーズ株式会社製)315gと付属のイースト菌2.7gに水200gを加えたものに対して、市販のほうじ茶粉末(伊藤園製)15gを添加した。これを市販のホームベーカリー(SHV−722、シロカ株式会社製)を用いることにより、ほうじ茶粉末配合パン530gを得た。なお、一般的に、パンミックスの食塩相当量は5.3g(ミックス1袋315gあたり)である。前記ほうじ茶粉末配合パン20gを採取したものに対して水100gを加え、遠心分離(AX-310 TOMY)(3000rpm、10分)した後、上清をサンプル液(実施品)とした。
また、比較品としては、市販のほうじ茶粉末を添加しないこと以外は、前記サンプル品と同様の方法にて調製した。
・官能評価
脂質類を含有する飲食品については、味覚センサー試験において正しい測定結果を得ることが困難であるため、本試験におけるパンについては、味覚センサー試験の代わりに官能評価試験を実施した。
なお、官能評価は、9人のパネラーが上記の実施品と比較品とを食し、実施品と比較品のいずれにおいて塩味をより感じたか又はどちらでもないとの評価させることにより実施した。その結果、パネラー全員が、実施品(ほうじ茶粉末を配合したパン)の方が、比較品(ほうじ茶粉末を配合しないパン)よりも塩味をより感じたとの結果を得た。
Figure 2019135949
<試験4:スコーン>
・サンプル調製
市販の薄力粉(日本製粉社製)125gと強力粉(日本製粉社製)125gをふるいがけ(目開き355μm)して、ベーキングパウダー(大宮食糧工業社製)6g、グラニュー糖(フジ日本精糖社製)68g、食塩0.3gを加えて、市販のほうじ茶粉末(伊藤園社製)を15g添加した後、ショートニング(雪印メグミルク社製)45gを加えて、全体がなじむまで混ぜ合わせた。これに市販の卵(イセ食品社製)60g、牛乳(雪印メグミルク社製)110cc、果糖ぶどう糖液糖(日本食品化工社製)15gを加えて混ぜ合わせスコーン生地を作成した。この生地を長方形型(縦10cm、横2.5cm)を用いて1cmの厚さに型抜きし、オーブン(RCK−20AS、リンナイ社製)を用いて150℃、17分間加熱してほうじ茶スコーン559.3gを得た。
・官能評価結果
上述のとおり、脂質類を含有する飲食品については、味覚センサー試験において正しい測定結果を得ることが困難であるため、ショートニングを配合したスコーンについては、味覚センサー試験の代わりに官能評価試験を実施した。
なお、官能評価は、8人のパネラーが上記の実施品と比較品とを食し、実施品と比較品のいずれにおいて塩味をより感じたか又はどちらでもないとの評価させることにより実施した。その結果、パネラーの大多数に相当する7人が、実施品(ほうじ茶粉末を配合したスコーン)の方が、比較品(ほうじ茶粉末を配合しないスコーン)よりも塩味をより感じたとの結果を得た。
Figure 2019135949
・味覚センサー分析
上述のとおり、脂質類を含有する飲食品については、味覚センサー試験において正しい測定結果を得ることが困難であるため、ショートニングを配合しない以外は実施品(ほうじ茶粉末を配合したスコーン)と同様に作製したスコーンについて、味覚センサー試験を実施した。また、比較品としては、ショートニングを配合しない以外は比較品(ほうじ茶粉末を配合しないスコーン)と同様に作製したスコーンを用いた。
前記ほうじ茶粉末配合スコーン20gを採取したものに対して水100gを加え、遠心分離(AX-310 TOMY)(3000rpm、10分)した後、上清をサンプル液(実施品)とした。
また、比較品としては、市販のほうじ茶粉末を添加しないこと以外は、前記サンプル品と同様の方法にて調製した。
前出の実施品及び比較品について味覚センサー試験を実施し、各サンプルにつき酸味、塩味、旨味、苦味、渋味、旨味コク、苦味雑味、渋味刺激の8種類について測定した。なお、測定は、比較品(ショートニングを配合しない、ほうじ茶粉末を配合しないスコーン)について上記8種類の評価項目を全て「1」と設定した上で、実施品(ショートニングを配合しない、ほうじ茶粉末を配合したスコーン)についての各評価項目が相対的に取る値を調べる方法にて実施した。なお、味覚センサー試験においては、試験結果における目盛りが1以上の差があると官能評価で識別できるとされている。
Figure 2019135949
その結果、表6に示すとおり、実施品は、比較品と比較して、旨味を除く全ての項目について高い値となった。なかでも、酸味、塩味、旨味コク、苦味雑味、渋味刺激の5種類について特に高い値となった。
<考察>
上記試験の結果から、緑茶及びほうじ茶が、飲食物に対して塩味及び旨味を付与する効果を有することが明らかになった。






Claims (11)

  1. 焙煎茶葉の粉砕物及び/又は抽出物を有効成分とする味覚付与剤。
  2. 飲食品に添加するものであることを特徴とする、請求項1に記載の味覚付与剤。
  3. 前記味覚が、塩味又は旨味のいずれか又は両方であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の味覚付与剤。
  4. 焙煎茶葉の粉砕物の配合割合が、飲食品に対して0.01〜15重量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の味覚付与剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の味覚付与剤を配合した飲食物。
  6. 前記飲食品が、穀物製品又は液状飲食物であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の飲食物。
  7. 前記焙煎茶葉がほうじ茶であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の味覚付与剤。
  8. 焙煎茶葉の粉砕物及び/又は抽出物を飲食品に添加することを特徴とする、飲食品の味覚付与方法。
  9. 前記焙煎茶葉がほうじ茶であることを特徴とする、請求項8に記載の味覚付与方法。
  10. 前記味覚が、旨味及び/又は塩味であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の味覚付与方法。
  11. 飲食品に対して0.01〜15重量%の焙煎茶葉の粉砕物及び/又は抽出物を配合することを特徴とする、請求項8〜10のいずれかに記載の味覚付与方法。

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