JP2019119293A - エアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このエネルギ吸収部によれば、くさびロックの内部に沿ってくさびを移動させることによりストラップとともにエアバッグ袋体を移動させて、乗員を好適に拘束することができる(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献1のエアバッグ装置には、衝撃エネルギの吸収量を段階的に制御するという構成についても開示がない。
さらに、エアバッグ袋体の内部からガスを排出して衝撃エネルギを吸収する構造は、衝撃エネルギを安定的に吸収する工夫が求められる。
このように、エアバッグ袋体を荷重反力で支えながら移動させることにより、乗員に作用する衝撃エネルギを機械的な制御で好適に吸収することができる。
乗員を各袋体で拘束した状態において、エアバッグ袋体に荷重反力をかけながらエアバッグ袋体を移動させることにより、乗員を全方位において好適に保護できる。
また、エアバッグ袋体にベントホールを形成する必要がないので、衝撃エネルギを吸収するための構造(すなわち、エネルギ吸収部)を簡素にでき、エアバッグ装置のコスト低減や、軽量化を図ることができる。
さらに、エネルギ吸収部は、エアバッグ袋体のベントホールからガスを排出して衝撃エネルギを吸収するという構成ではなく、エアバッグ袋体を荷重反力で支えながら移動させる機械的な制御で衝撃エネルギを吸収する構成である。これにより、衝撃エネルギをエネルギ吸収部で安定的に吸収できる。
これに対して、エネルギ吸収部は、機械的な制御により衝撃エネルギを吸収する構成とされている。よって、エアバッグ袋体の内部にインフレータから供給するガス量の制御などを行うことなく、衝撃エネルギを多段階的に吸収することが可能になる。
この場合、夫々の低荷重、中荷重、高荷重に対応させて、乗員の拘束始期から拘束後期おいて荷重反力を変化させることが好ましい。
これにより、エアバッグ装置を多種の車両に採用することが可能になり、エアバッグ装置の用途を拡大できる。
この場合、夫々の低荷重、中荷重、高荷重に対応させて、乗員の拘束始期から拘束後期おいて荷重反力を多段階的に変化させることが好ましい。
これにより、エアバッグ装置を多種の車両に採用することが可能になり、エアバッグ装置の用途を拡大できる。
また、板状部材の板厚寸法を変えることにより、荷重反力を簡単に調整できる。例えば、板状部材の板厚寸法を比較的小さく設定することにより、荷重反力を簡単に低く調整できる。また、板状部材の板厚寸法を比較的大きく設定することにより、荷重反力を簡単に高く調整できる。
さらに、板状部材の板厚寸法を前端部側から後端部側へ向けて段階的に大きくすることにより、荷重反力を段階的に調整できる。これにより、乗員に作用する衝撃エネルギを多段階的に吸収することも可能である。
そこで、請求項5において、エアバッグ袋体を収納状態で板状部材の上方に支持するようにした。よって、エアバッグ袋体が接合フランジに接触することを板状部材で防止できる。これにより、エアバッグ袋体を接合フランジから保護でき、エアバッグ袋体の品質を一層高めることができる。
また、板状部材を先端から切断するエネルギ吸収部として、例えば、板状部材の先端に湾曲状のカッタを配置し、カッタにかけたワイヤを板状部材の一方の面に固定し、板状部材の他方の面側のワイヤにエアバッグ袋体の上部を連結する構成が考えられる。
この構成によれば、カッタが滑車の役割を果たし、エアバッグ袋体の上部の移動量を大きく確保できる。これにより、エネルギ吸収部の小型化を図ることができる。
また、滑車にかけたワイヤをエアバッグ袋体の引張入力で引っ張ることにより滑車を可動させる構成とした。よって、ワイヤの引張量(すなわち、エアバッグ袋体の上部の移動量)を大きく確保できる。これにより、エネルギ吸収部の小型化を図ることができる。
さらに、板状部材の板厚寸法を前端部側から後端部側へ向けて段階的に大きくすることにより、荷重反力を段階的に調整できる。これにより、乗員に作用する衝撃エネルギを多段階的に吸収することも可能である。
さらに、板状部材の板厚寸法を前端部側から後端部側へ向けて段階的に大きくすることにより、荷重反力を段階的に調整できる。これにより、乗員に作用する衝撃エネルギを多段階的に吸収することも可能である。
また、膨張展開したエアバッグ袋体で乗員を拘束することにより、エアバッグ袋体が移動する際には、エアバッグ袋体の移動に追従して折り畳まれた連通部を伸長させることができる。これにより、乗員を好適に拘束した状態を保つようにエアバッグ袋体を良好に移動させることができる。
また、膨張展開したエアバッグ袋体で乗員を拘束することにより、エアバッグ袋体が移動する際には、エアバッグ袋体の移動に追従して蛇腹状の連通部を伸長させることができる。これにより、乗員を好適に拘束した状態を保つようにエアバッグ袋体を良好に移動させることができる。
図1に示すように、車両10は、インストルメントパネル12と、ドライバシート13と、パッセンジャシート14と、ステアリングホイール16と、エアバッグ装置20とを備えている。
実施形態においては、パッセンジャシート14に着座した乗員22の上半身22aを拘束して保護するエアバッグ装置20を代表例として説明する。
エアバッグ袋体31は、第1の袋体35と、第2の袋体36と、第3の袋体37と、第1流路41(図3参照)と、複数の第2流路42(図3参照)とを備えている。
第1の袋体35、第2の袋体36および第3の袋体37は、収納状態に折り畳まれ、車両10のルーフライニング44の上方に収容(搭載)されている。
エアバッグ袋体31は、第1の袋体35と、第2の袋体36と、第3の袋体37が収納状態に折り畳まれた状態においてU字状に形成されている。
エアバッグ袋体31は、例えば、ナイロン織布などの機密で柔軟な材料が用いられ、ポリアミド糸などを用いて袋状に形成される。また、エアバッグ袋体31の内面に耐熱性を有するゴム、シリコンなどがコーティングされることが好ましい。
また、第2の袋体36は、上端36aが前ルーフメンバに沿って配置され、フロント窓ガラス47の車幅方向内側において下方に膨出展開される。この状態において、第2の袋体36は、乗員22の上半身22aの車体前方(前方)側に配置される。
さらに、第3の袋体37は、上端37aが中央ルーフレールに沿って配置され、車幅方向中央において下方に膨出展開される。この状態において、第3の袋体37は、乗員22の上半身22aの車幅方向左側(他側方)に配置される。
これにより、エアバッグ袋体31は、乗員22の上半身22aの前方および両側方を囲むように膨張展開する。「乗員22の上半身22aの前方および両側方」を「乗員22の上半身22aの全方位」という。
図2、図3に示すように、第2の袋体36は、膨張展開した状態において、乗員22の上半身22aの車体前方側に配置され、上端36aの長さ寸法L1より下端36bの長さ寸法L2が小さくなるように台形状に形成されている。
第1の袋体35の上端35aのうち上後コーナ部(第1の袋体の上端)35dにインフレータ32が取り付けられている。インフレータ32は、例えば、右側のルーフレール(すなわち、車体)に取り付けられている。
第1の袋体35の上端35a、第2の袋体36の上端36a、および第3の袋体37の上端37aが連なり、エアバッグ袋体31の上辺31aが形成されている。また、第1の袋体35の下端35b、第2の袋体36の下端36b、および第3の袋体37の下端37bが連なり、エアバッグ袋体31の下辺31bが形成されている。
エアバッグ袋体31の上辺31aは、エアバッグ袋体31の下辺31bよりも長さ寸法が大きく形成されている。
具体的には、第1流路41は、右側の部位が第1の袋体35の上後コーナ部35dから第1の袋体35の下前コーナ部35eまで下方へ向けて対角線状に延びている。換言すれば、第1流路41の右側の部位は、第1の袋体35から第2の袋体36へ下方に向けて形成されている。
さらに、第1流路41は、左側の部位が第3の袋体37の下前コーナ部37dから第3の袋体37の上後コーナ部37eまで上方に向けて対角線状に延びている。換言すれば、第1流路41の左側の部位は、第2の袋体36の下部36eから第3の袋体37の上方に向けて形成されている。
第1の袋体35の上後コーナ部35dにインフレータ32が取り付けられている。よって、第1の袋体35の上後コーナ部35dは、インフレータ32を介して右側のルーフレール(すなわち、車体)に取り付けられている。
また、第3の袋体37の上後コーナ部37eに第1流路41の開口部51が形成されている。さらに、第3の袋体37の上後コーナ部37eは、取付部53を介して車体に取り付けられている。
よって、第1流路41の始端部41aは、第1の袋体35の上後コーナ部35dを介して右側のルーフレール(すなわち、車体)に連結されている。また、第1流路41の終端部41bは、第3の袋体37の上後コーナ部37eを介して車体に連結されている。
第1流路41および複数の第2流路42にインフレータ32からガスが注入される。よって、第1の袋体35、第2の袋体36および第3の袋体37の全域にガスが供給(充填)される。これにより、エアバッグ袋体31を全域において膨張展開させることができる。
図2、図4に示すように、車両10に衝撃荷重が入力することにより、インフレータ32が作動してガスを発生する。発生したガスが第1流路41に矢印Aの如く流入する。第1流路41に流入したガスは、第1流路41を経て第3の袋体の上後コーナ部37eまで矢印Bの如く導かれる。さらに、第1流路41に流入したガスは、複数の第2流路42に矢印Cの如く導かれる。
また、第2の袋体36の左端36dに第3の袋体37の前端37cが一体に形成されている。よって、第3の袋体37は下端(下部)37bが上端(上部)37aより乗員22の上半身22a側(すなわち、車幅方向外側)に引き寄せられた状態に配置される。
同様に、第3の袋体37は、上端37aの長さ寸法L5より下端37bの長さ寸法L6が小さくなるように台形状に形成される。第3の袋体37は、第2の袋体36の上端36aに対して上端35aが角度θ1で下り勾配に傾斜されている。
よって、第2の袋体36は下端36b(下部36e)が上端(上部)36aより乗員22の上半身22a側(すなわち、車体後方側)に引き寄せられた状態に配置される。
換言すれば、第1の袋体35、第2の袋体36および第3の袋体37は、上端35a,36a,37aから下端35b,36b,37bへ向けて乗員22の上半身22aに近づくように傾斜状に膨張展開する。
よって、第1流路41を第1の袋体35から第2の袋体36を経て第3の袋体37まで一本のガス流路として連続させることができる。すなわち、エアバッグ袋体31のインフレータ32側の端部(すなわち、上後コーナ部)35dから、インフレータ32の反対側の端部(すなわち、上左コーナ部)37eまで一本の第1流路41で連続させることができる。
また、第1流路41の始端部41aは、第1の袋体35の上後コーナ部35dを介して右側のルーフレール(すなわち、車体)に連結されている。また、第1流路41の終端部41bは、第3の袋体37の上後コーナ部37eを介して車体に連結されている。
よって、ガスが充填された第1流路41でエアバッグ袋体31の下端35b,36b,37bを内側(すなわち、乗員22の上半身22a側)に引き寄せる張力を一層好適に発生させることができる。これにより、第1の袋体35、第2の袋体36、第3の袋体37で乗員22の上半身22aを一層良好に拘束することができる。
第1〜第6のエネルギ吸収部71〜76は同様の構成であり、以下、第1エネルギ吸収部71を「エネルギ吸収部71」として詳しく説明して、第2〜第6のエネルギ吸収部71の詳しい説明を省略する。
支持ブラケット81は、取付プレート87と、一対の支持部88とを備えている。取付プレート87は、例えば矩形状に形成され、車体(ルーフなど)に取り付けられている。取付プレート87の両側部中央87a,87bに一対の支持部88が間隔をおいて固定されている。一対の支持部88間に第1〜第3の支持ロッド82〜84が支持されている。
第2支持ロッド83は、第1支持ロッド82および第3支持ロッド84の各頂部82a,84aより取付プレート87側に底部83aが配置されている。第1支持ロッド82および第3支持ロッド84の各頂部82a,84aは、取付プレート87の反対側に位置する部位である。第2支持ロッド83の底部83aは、取付プレート87側に位置する部位である。
よって、エアバッグ袋体31が接合フランジに接触することを吸収プレート85で防止できる。これにより、エアバッグ袋体31を接合フランジから保護でき、エアバッグ袋体31の品質を一層高めることができる。
すなわち、吸収プレート85は、エアバッグ袋体31を保護するプロテクタとしての役割を兼用している。
連通部94は、上後コーナ部35dにおいて、第1流路41(図3参照)の始端部41aに周壁95の基端部95aが連結されている。周壁95は、中空状に形成され、折曲部位96が重ね合わされた状態に折り曲げられている。重ね合わされた折曲部位96が縫製部97により縫合されている。
インフレータ32を経てエアバッグ袋体31の第1流路41にガスを供給する際に、ガスを連通部94からエアバッグ袋体31に円滑に供給できる。これにより、エアバッグ袋体31を膨張展開させることができる。
図8、図4に示すように、車両10(図1参照)に衝撃荷重が入力することにより、インフレータ32が作動してガスを発生する。発生したガスが連通部94を経て第1流路41に矢印Aの如く流入する。第1流路41に流入したガスは、第1流路41を経て第3の袋体の上後コーナ部37eまで矢印Bの如く導かれる。さらに、第1流路41に流入したガスは、複数の第2流路42に矢印Cの如く導かれる。
ここで、第1の袋体35の上前コーナ部35fに第1エネルギ吸収部71が連結されている。また、第1の袋体35の上中央部35gに第2エネルギ吸収部72が連結されている。さらに、第1の袋体35の上後コーナ部35dに第3エネルギ吸収部73が連結されている。
一方、第3の袋体37の上前コーナ部37fに第4エネルギ吸収部74が連結されている。また、第3の袋体37の上中央部37gに第5エネルギ吸収部75が連結されている。さらに、第3の袋体37の上後コーナ部37eに第6エネルギ吸収部76が連結されている。
よって、吸収プレート85が荷重F1で引っ張られることにより、吸収プレート85が第1〜第3の支持ロッド82〜84でしごかれるように変形しながら矢印F方向に移動する。これにより、上前コーナ部35f(すなわち、エアバッグ袋体31)に荷重反力を発生するとともに、エアバッグ袋体31の矢印E方向への移動を許容することができる。
このように、エアバッグ袋体31を荷重反力で支えながら矢印Eの如く移動させることにより、乗員22の上半身22aに作用する衝撃エネルギを機械的な制御で好適に吸収することができる。
乗員22の上半身22aを各袋体35〜37で拘束した状態において、エアバッグ袋体31に荷重反力をかけながらエアバッグ袋体31を矢印E方向に移動させることにより、乗員22の上半身22aを全方位において好適に保護できる。
また、エアバッグ袋体31にベントホールを形成する必要がないので、衝撃エネルギを吸収するための構造(すなわち、エネルギ吸収部71)を簡素にでき、エアバッグ装置20のコスト低減や、軽量化を図ることができる。
さらに、第1〜第6のエネルギ吸収部71〜76は、エアバッグ袋体31のベントホールからガスを排出して衝撃エネルギを吸収するという構成ではなく、エアバッグ袋体31を荷重反力で支えながら移動させる機械的な制御で衝撃エネルギを吸収する構成である。これにより、乗員22の上半身22aに作用する衝撃エネルギを第1〜第6のエネルギ吸収部71〜76の機械的な制御で安定的に吸収できる。
まず、第1実施形態の第1変形例としてエネルギ吸収部110を図13に基づいて説明する。
図13に示すように、エネルギ吸収部110は、第1実施形態の吸収プレート85を吸収プレート(板状部材)112に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の吸収プレート85と同様である。
吸収プレート112は、第1実施形態の吸収プレート85の板厚寸法T1と比べて板厚寸法T2が大きく設定されている。吸収プレート112は、第1実施形態の吸収プレート85と同様に、第1〜第3の支持ロッド82〜84で略中央部112aが取付プレート87側に向けてV字状に折り曲げられる。
このように、吸収プレート85,112の板厚寸法T1,T2を変えることにより、荷重反力を拘束始期から拘束後期へ向けて多段階的に高くなるように変化させることができる。これにより、エネルギ吸収部110の用途を一層広げることができる。
(第2変形例)
図14に示すように、エネルギ吸収部115は、第1実施形態の吸収プレート85を吸収プレート(板状部材)116に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の吸収プレート85と同様である。
吸収プレート116は、第1領域116a、第2領域116b、および第3領域116cを有する。第1領域116aは、吸収プレート116の先端部116dから中央部116eまでの領域である。第1領域116aは、一定の板厚寸法T3で平坦に形成されている。
吸収プレート116は、第1実施形態の吸収プレート85と同様に、第1〜第3の支持ロッド82〜84で第1領域116aが取付プレート87側に向けてV字状に折り曲げられる。
これに対して、ベントホールからガスを排出して衝撃エネルギを吸収する構成によれば、衝撃エネルギを多段階的(段階的)に吸収する場合に、インフレータからエアバッグ袋体の内部に供給するガス量を制御する必要があり、多段階的に吸収する対応は難しい。
図15〜図17に示すように、エネルギ吸収部120は、例えば、支持部材122と、取付ブラケット123と、吸収プレート(板状部材)124と、カッタ125と、牽引ワイヤ126と、連結テザー(連結ストラップ)127とを備えている。
支持部材122は、例えば、取付ブラケット123で車体(具体的には、ルーフ)129に沿って取り付けられている。支持部材122の内部において、支持部材122に沿って吸収プレート124が設けられている。吸収プレート124は、鋼板、樹脂板により矩形の帯状に形成されている。吸収プレート124は、例えば、先端部124aが板厚寸法T5に形成され、その他の部位124bが板厚寸法T6に形成されている。先端部124aの板厚寸法T5より、その他の部位124bの板厚寸法T6が大きく形成されている。
ガイド部125bに牽引ワイヤ126がかけられ、牽引ワイヤ126の基端部126aが吸収プレート124の基端部124dに固定部材133で取り付けられている。牽引ワイヤ126の先端部126bは、連結テザー127を介して、第1の袋体35の上端35aのうち上前コーナ部35fに連結されている。
この状態において、カッタ125の刃先125aが切欠131に接触されている。
吸収プレート124を先端124cから切断することにより、エネルギ吸収部120で荷重反力を発生させることができる。これにより、上前コーナ部35f(すなわち、エアバッグ袋体31)に荷重反力を発生するとともに、エアバッグ袋体31の矢印I方向への移動を許容することができる。
また、第2実施形態のエネルギ吸収部120によれば、カッタ125が滑車の役割を果たす。これにより、エアバッグ袋体31の上部(具体的には、上前コーナ部35f)の移動量を大きく確保でき、エネルギ吸収部120の小型化を図ることができる。
図18、図19に示すように、エネルギ吸収部140は、例えば、支持部材142と、固定滑車143と、第1可動滑車(滑車)144と、第1カッタ145と、第2可動滑車(滑車)146と、第2カッタ147と、第1吸収プレート(板状部材)148と、第2吸収プレート(板状部材)149と、牽引ワイヤ151と、連結テザー(連結ストラップ)152とを備えている。
第1案内部154に沿って移動自在に第1可動滑車144が支持されている。第1可動滑車144の上端部144aから同軸上に第1カッタ145が上方へ向けて突出されている。また、第2案内部155に沿って移動自在に第2可動滑車146が支持されている。第2可動滑車146の上端部146aから同軸上に第2カッタ147が上方へ向けて突出されている。
この状態において、第1カッタ145が第1吸収プレート148の切欠148aに接触されている。また、第2カッタ147が第2吸収プレート149の切欠148aに接触されている。
ここで、第1吸収プレート148の板厚寸法T7は、第2吸収プレート149の板厚寸法T8より小さく設定されている。
第1可動滑車144の移動が完了した状態において、牽引ワイヤ151のけん引力により第2可動滑車146とともに第2カッタ147を矢印L方向に移動する。第2カッタ147が移動することにより、第2吸収プレート149の切欠149a(すなわち、先端149b)から切り線149c(想像線で示す)に沿って第2吸収プレート149が第2カッタ147で切断される。
このように、第1吸収プレート148、第2吸収プレート149を切断することにより、エネルギ吸収部140で荷重反力を発生させることができる。これにより、上前コーナ部35f(すなわち、エアバッグ袋体31)に荷重反力を発生するとともに、エアバッグ袋体31の矢印 方向への移動を許容することができる。
また、第3実施形態のエネルギ吸収部140によれば、第1可動滑車144、第2可動滑車146を可動させる構成とした。これにより、エアバッグ袋体31の上部(具体的には、上前コーナ部35f)の移動量を大きく確保でき、エネルギ吸収部140の小型化を図ることができる。
図20に示すように、エネルギ吸収部170は、例えば、収納箱172と、吸収プレート(板状部材)173と、連結テザー(連結ストラップ)174とを備えている。
収納箱172は、巻き取られた吸収プレート173を収納可能に箱状に形成され、前壁172aに開口部176が形成されている。吸収プレート173は、基端部173a側から渦巻き状に巻き取られ、巻き取られた部位177(以下、巻取部という)が収納箱172の内部に収納されている。
このように、吸収プレート173を巻き取った状態で収納することにより、エネルギ吸収部170の収納スペースを小さく抑えることができる。
エアバッグ袋体31の上前コーナ部35fに連結テザー174を介して吸収プレート173の先端部173bに連結されている。
よって、吸収プレート173が荷重F4で引っ張られることにより、吸収プレート173が渦巻き状の状態から矢印N方向に引き延ばされる。これにより、上前コーナ部35f(すなわち、エアバッグ袋体31)に荷重反力を発生するとともに、エアバッグ袋体31の矢印M方向への移動を許容することができる。
さらに、吸収プレート173の板厚寸法を前端部側から後端部側へ向けて段階的に大きくすることにより、荷重反力を段階的に調整できる。これにより、乗員22の上半身22a(図9参照)に作用する衝撃エネルギを多段階的に吸収することも可能である。
図22に示すように、エネルギ吸収部200は、例えば、箱部材202と、吸収プレート(板状部材)203と、連結テザー(連結ストラップ)204とを備えている。
箱部材202は、吸収プレート203を収納可能に箱状に形成され、前壁202aに開口部206が形成されている。開口部206は、吸収プレート203の幅寸法W3より小さな幅寸法W4で形成されている。
吸収プレート203の開口部206から車体前方に向けて連結部208が貫通されている。連結部208は、吸収プレート203の先端部203aの車幅方向中央に形成されている。連結部208は、エアバッグ袋体31の上前コーナ部35fに連結テザー204、固定部材209を介して連結されている。
エアバッグ袋体31の上前コーナ部35fに連結テザー127を介して吸収プレート203の連結部208に連結されている。
これにより、拘束始期において乗員22の上半身22aに必要以上に大きな荷重反力が作用することを抑え、拘束後期において比較的大きな荷重反力を乗員22の上半身22aに作用させることができる。したがって、乗員22の上半身22aを好適に拘束して、乗員22の上半身22aに作用する衝撃エネルギを機械的な制御で好適に吸収できる。
図24に示すように、連通部220は、周壁221と、内周壁223とを備えている。
周壁221は、第1の袋体35の上端35aの上後コーナ部35dとインフレータ32を連通するように筒状に形成されている。さらに、周壁221は蛇腹状に折り曲げられた蛇腹部225(蛇腹状に収縮された周壁)を有する。これにより、周壁221は、蛇腹部225により収縮された状態に保たれている。周壁221を蛇腹状に収縮することにより、収縮した周壁221を中空状に保つことができる。
周壁221の内部には内周壁223が収納されている。内周壁223は、第1の袋体35の上端35aの上後コーナ部35dとインフレータ32を連通するように筒状に形成されている。
図26に示すように、エネルギ吸収部230は、第2実施形態のエネルギ吸収部120に移動抑制機構231を備えたもので、その他の構成は第2実施形態のエネルギ吸収部120と同様である。移動抑制機構231は、車幅方向への移動を抑制するように構成されている。具体的には、移動抑制機構231は、例えば、支持プレート232と、ストッパ233と、ストッパブロック234とを備えている。
なお、第2実施形態ではエネルギ吸収部120を第1の袋体35の上端35aに設けた例について説明したが、第7実施形態においては、構成の理解を容易にするために、エネルギ吸収部230を第3の袋体37の上端37aに設ける例について説明する。
牽引ワイヤ126の先端部126b側には、ストッパ233が嵌合された状態で取り付けられている。ストッパ233は、開口部232aより車体前方側に配置されている。また、ストッパ233は、外周面233aが車体前方に向けて暫時縮径するように形成されている。すなわち、ストッパ233の外周面233aは、円錐台状に形成されている。
上プレート235の外側傾斜辺と下プレート236の外側傾斜辺とに側面プレート237が連結されている。側面プレート237は、基端部から先端部へ向けて(すなわち、車体前方へ向けて)、車幅方向内側に傾斜するように傾斜状に形成されている。側面プレート237は、ストッパ溝部238を有する。ストッパ溝部238は、上溝壁238aと、下溝壁238bと、溝底部238cとを有する。
上溝壁238aおよび下溝壁238bは、車幅方向外側に向けて漸次互いに近づく方向に傾斜状に形成されている(図29参照)。溝底部238cは、車幅方向外側に向けて漸次車体前方に近づく方向に傾斜状に形成されている(図27参照)。
ストッパ溝部238は、牽引ワイヤ126の傾斜角θ2(図28参照)が、ある程度大きな場合にストッパ233を受け入れ可能な位置に配置されている。さらに、ストッパ溝部238(すなわち、上溝壁238a、下溝壁238bおよび溝底部238c)は、ストッパ233を受け入れた状態において、ストッパ233の外周面233aに沿う傾斜面に形成されている。
よって、上前コーナ部35fの引張入力により牽引ワイヤ126の先端部126bが矢印I方向に引っ張られる。よって、牽引ワイヤ126が引き出されることにより、カッタ125(図16参照)が移動して吸収プレート124がカッタ125で切断される。
これにより、エアバッグ袋体31の上前コーナ部37fに荷重反力を発生するとともに、エアバッグ袋体31の矢印I方向(すなわち、車体前方)への移動を許容できる。
まず、牽引ワイヤ126の傾斜角θ2が、例えば、延長線242に対して30度と比較的小さい場合を図27に基づいて説明する。
図27に示すように、車体前方からの衝撃荷重に対応させる場合に、牽引ワイヤ126の傾斜角θ2が延長線242に対して30度と比較的小さく傾斜することが考えられる。この状態において、ストッパ233は、ストッパブロック234に対して離れた位置に配置されている。
これにより、上前コーナ部37f(すなわち、エアバッグ袋体31)に荷重反力を発生するとともに、エアバッグ袋体31の矢印Q方向への移動を許容することができる。
この場合、ストッパ233は、ストッパブロック234のストッパ溝部238に進入して収容される。ストッパ233は、外周面233aが基端部に向けて拡径するようにテーパ状に形成されている。よって、牽引ワイヤ126に入力した矢印R方向の荷重で、牽引ワイヤ126が車幅方向外側に引き出されることを移動抑制機構231で阻止できる。これにより、エアバッグ袋体31で乗員22の上半身22a(図9参照)を拘束した状態において、エアバッグ袋体31が車幅方向に移動することを抑制できる。この結果、エアバッグ袋体31により乗員22の上半身22aを一層良好に拘束することができる。
例えば、前記第1実施形態〜第7実施形態によれば、エアバッグ装置20として、パッセンジャシート14に着座した乗員を拘束して保護するエアバッグ装置20を代表例として説明したが、これに限らない。その他の例として、例えばドライバシート13に着座した運転者や、後部シートに着座した乗員に適用することも可能である。
あるいは、リヤシートにおいて、車幅方向左側に着座した乗員と、車幅方向右側に着座した乗員との両方をまとめて拘束して保護するようにエアバッグ装置20を構成することも可能である。
ここで、エアバッグ装置20を備える車両10に応じて、エアバッグ装置20で乗員を拘束する際に、エアバッグ装置20に作用する荷重は変化する。一例として、小型車両や大型車両により、エアバッグ装置20で乗員を拘束する際に、エアバッグ装置20に作用する荷重は変化する。
この場合、夫々の低荷重、中荷重、高荷重に対応させて、乗員の拘束始期から拘束後期おいて荷重反力を変化させることが好ましい。
これにより、エアバッグ装置20を多種の車両10に採用することが可能になり、エアバッグ装置20の用途を拡大できる。
これにより、第1〜第6のエネルギ吸収部71〜76の荷重反力を変えることにより、エアバッグ袋体31で拘束する乗員22の部位(例えば、胸部や頭部)ごとに荷重反力を調整できる。この結果、エアバッグ袋体31で乗員22の上半身22aを一層良好に拘束して保護することができる。
20…エアバッグ装置
22…乗員
22a…乗員の上半身
31…エアバッグ袋体
32…インフレータ
33…エネルギ吸収ユニット
35…第1の袋体
35a…上端(上部)
36…第2の袋体
37…第3の袋体
37a…上端(上部)
71〜76…第1〜第6のエネルギ吸収部(エネルギ吸収部)
85,112,116,124,173,203…吸収プレート(板状部材)
94,220…連通部
95,221…周壁
96…折曲部位
97…縫製部
110,115,120,140,170,200…エネルギ吸収部
124c…吸収プレートの先端
125…カッタ
131…切欠
143…固定滑車
144,146…第1、第2の可動滑車(滑車)
148,149…第1、第2の吸収プレート(板状部材)
202…箱部材
206…開口部
208…連結部
223…内周壁
225…蛇腹部(蛇腹状に収縮された周壁)
231…移動抑制機構
Claims (15)
- 少なくとも一人の乗員の前方および両側方を囲むように膨張展開するエアバッグ装置であって、
一体に形成され、前記乗員の一側方、前方、他側方に膨張展開される第1の袋体、第2の袋体、および第3の袋体を有するエアバッグ袋体と、
前記第1の袋体の上部および前記第3の袋体の上部を車体に連結し、前記乗員の拘束時に、前記エアバッグ袋体を支える荷重反力を発生するとともに、前記エアバッグ袋体の移動を許容するエネルギ吸収部と、
を備えることを特徴とするエアバッグ装置。 - 前記エネルギ吸収部は、
前記乗員を拘束する前記荷重反力が、前記乗員の拘束始期より拘束後期おいて変化するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。 - 前記エネルギ吸収部は、
前記乗員を拘束する前記荷重反力が拘束始期から拘束後期へ向けて多段階に変化するように構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のエアバッグ装置。 - 前記エネルギ吸収部は、
前記乗員の拘束時に、板状部材を変形させることにより、前記荷重反力を発生するとともに、前記エアバッグ袋体の移動を許容するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。 - 前記板状部材の上方には、前記エアバッグ袋体が収納状態で支持されることを特徴とする請求項4に記載のエアバッグ装置。
- 前記エネルギ吸収部は、
前記板状部材を先端から切断することにより、前記荷重反力を発生するとともに、前記エアバッグ袋体の移動を許容するように構成されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のエアバッグ装置。 - 前記エネルギ吸収部は、
滑車を可動させることにより、前記荷重反力を発生するとともに、前記エアバッグ袋体の移動を許容するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。 - 前記エネルギ吸収部は、
前記板状部材が巻き取られた状態から引き延ばされることにより、前記荷重反力を発生するとともに、前記エアバッグ袋体の移動を許容するように構成されていることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。 - 前記エネルギ吸収部は、
前記上部に連結部を介して連結された板状部材と、
前記板状部材を収納し、かつ、前記連結部を貫通するとともに、前記板状部材の幅寸法より小さな幅寸法で形成された開口部を有する箱部材と、を備え、
前記板状部材が前記開口部から引き出される際に、前記板状部材が変形して前記荷重反力を発生することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。 - 前記エアバッグ袋体に連通部を介して連通され、前記連通部を経て前記エアバッグ袋体にガスを供給することにより前記エアバッグ袋体を膨張展開するインフレータを備え、
前記連通部は、伸縮自在に形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。 - 前記連通部は、筒状に形成され、周壁が折り畳まれて重ね合された状態に収縮されていることを特徴とする請求項10に記載のエアバッグ装置。
- 前記連通部は、筒状に形成され、周壁が蛇腹状に収縮されていることを特徴とする請求項10に記載のエアバッグ装置。
- 前記連通部の内部に設けられた内周壁を備え、
前記内周壁は、
前記エアバッグ袋体の膨張展開の際に前記蛇腹状に収縮された周壁の伸長を抑え、前記膨張展開したエアバッグ袋体で前記乗員を拘束する際に前記蛇腹状に収縮された周壁の伸長を許容することを特徴とする請求項12に記載のエアバッグ装置。 - 前記エネルギ吸収部は、前記エアバッグ袋体の車幅方向への移動を抑制する移動抑制機構を備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
- 前記エネルギ吸収部は複数設けられ、各エネルギ吸収部の発生する荷重反力が異なる値に設定されていることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のエアバッグ装置。
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