JP2019119057A - インク膜形成用原版、パターン形成方法、パターン膜形成方法、およびパターン膜形成装置 - Google Patents

インク膜形成用原版、パターン形成方法、パターン膜形成方法、およびパターン膜形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】デジタルでのパターンの書き換えが容易であり、かつ耐久性に優れるインク膜形成用原版を提供する。【解決手段】外部刺激に応答して水との親和性が可逆的に変化する刺激応答性化合物と、樹脂と、を含む表面層を有する、インク膜形成用原版。【選択図】なし

Description

本発明は、インク膜形成用原版およびそのパターン形成方法、当該原版を用いたパターン膜形成方法ならびにパターン膜形成装置に関する。
平版印刷は、代表的には2種類の方法がある。一つは、親水部と疎水部とを平版表面上に設け、あらかじめ水に浸すことで親水部を水で濡らし、水と混和しないインクを該平版表面上に塗布することで疎水部のみにインクを有する液膜構造を形成し、これを転写することで印刷を実施する方法である。もう一つは、感光層とシリコーンゴム層とが順に積層された平版に対して、部分露光と現像とにより一部の感光層をシリコーンゴム層とともに、またはシリコーンゴム層のみを除去する。これにより、水を用いずに、シリコーンゴム層が表面になる非画像部と、少なくともシリコーンゴム層が除去された画像部とを有するパターンが形成された平版を用いて印刷する、水なし平版印刷の方法である。
平版印刷では、刷版表面に凸形状または凹形状を有しないように一見思われるが、たとえば、水なし平版印刷法では、平版上に形成された画像部と非画像部との間には少なくともシリコーンゴム層の厚み以上の段差があり、厳密には平坦ということはできない。また、塗布、露光、および現像の工程を経て平版を形成するため、その工数は長大で、簡易な工程で形成できるものではない。さらにその製造工程からわかるように、該平版が有するパターンを容易に書き換えることはできない。
すなわち、従来の平版印刷(アナログ印刷)の場合、一度印刷パターンを形成した平版を変更することは容易ではなく、異なる印刷物を印刷する度に、平版を新たに初めから作製する必要があり、平版作製の度に時間のロスが発生したりコストが増大したりするという問題がある。
この時間のロスやコストを削減する手段として、アナログ印刷の分野においても、デジタルで平版を作製すること、すなわち、デジタル製版が進められている。デジタル製版に関する技術として、たとえば、特許文献1では、単一材料からなるインク膜用表面を有する第一および第二ブランケットを用いるパターン膜形成方法が提案されている。単一材料からなる表面に対して、部分的に化学的または物理的処理を施すことにより、高付着性部位と低付着性部位とからなるインク膜用表面(高付着性部位と低付着性部位との段差は100nm以下である)を形成し、ブランケット材料と同一の材料を上塗りし硬化することで書き換えることができるという技術である。また、特許文献1では、単一材料が機能性分子(光応答性分子または温度応答性分子)の場合、上塗り工程を経ずとも書き換えることが可能であるとしている。
特開2016−175192号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、平版表面が単一材料からなるため、平版の耐久性に劣るという問題を有していた。
そこで、本発明は、デジタルでのパターンの書き換えが容易であり、かつ耐久性に優れるインク膜形成用原版を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を積み重ねた。その結果、外部刺激に応答して水との親和性が可逆的に変化する刺激応答性化合物と樹脂とを含む表面層を有するインク膜形成用原版により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、デジタルでのパターンの書き換えが容易であり、かつ耐久性に優れるインク膜形成用原版が提供されうる。
本発明の一実施形態に係るパターン膜形成装置を示す概略図である。 評価に使用した画像パターンを示す図である。 評価に使用した細線の交点を示す図である。
本発明は、外部刺激に応答して水との親和性が可逆的に変化する刺激応答性化合物と樹脂とを含む表面層を有するインク膜形成用原版である。当該構成を有するインク膜形成用原版は、デジタルでのパターンの書き換えが容易であり、かつ耐久性に優れる。なお、本発明のインク膜形成用原版を、以下、「印刷原版」または「原版」とも称する。
なぜ、本発明の原版により上記効果が得られるのか、詳細は不明であるが、下記のようなメカニズムが考えられる。なお、下記のメカニズムは推測によるものであり、本発明は下記メカニズムに何ら制限されるものではない。
上述の特許文献1に記載の技術のような、単一材料からなる表面を有する原版を用いる場合、書き換えと画出しとを繰り返すと、単一材料の劣化により原版の表面が損傷しもろくなって、細線の再現性が悪くなるという、原版の耐久性に問題があることが判明した。
これに対して、本発明の原版は、外部刺激に応答して水との親和性が可逆的に変化する刺激応答性化合物と樹脂とを含む表面層を有する。該表面層は、刺激応答性化合物のみならず樹脂も含むため、刺激応答性化合物への機械的負荷の低減や刺激応答性化合物の分解の抑制等が可能となり、表面層の強度を増すことができる。また、刺激応答性化合物の速い刺激応答性も維持される。したがって、本発明の原版は、デジタルでのパターンの書き換えが容易であり、かつパターンの書き換えを繰り返しても、小さい文字や細かな画像を鮮明に再現性良く印刷できるという耐久性に優れる。
以下、本発明のインク膜形成用原版の構成について、詳細に説明する。
なお、本明細書中、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、本明細書中、特記しない限り、操作および物性等の測定は、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で行う。
[インク膜形成用原版]
〔原版の構成〕
本発明のインク膜形成用原版は、通常、支持体上に刺激応答性化合物および樹脂を含む表面層が配置されてなる。
(支持体)
支持体の形状は、特に制限されず、平板状、円筒状等が挙げられる。
支持体の材料も、特に制限されないが、たとえば、アルミニウム、アルミニウム合金(アルミニウムとマグネシウムまたは/およびケイ素との合金など)、鉄、ステンレス等の金属、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、スチレン−ブタジエンゴム等のプラスチックが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
支持体は、単層、多層のいずれの形態を有していてもよい。また、多層である場合、各層は異なる材料で構成されていてもよい。
(表面層)
<樹脂>
表面層に含まれる樹脂としては、特に制限されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも用いることができる。
熱可塑性樹脂の例としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、およびこれらの共重合体等が挙げられる。
熱硬化性樹脂の例としては、たとえば、固形エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂(尿素樹脂)、ベンゾグアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、架橋型アクリル樹脂(たとえば、架橋型ポリメチルメタクリレート樹脂)、架橋型ポリスチレン樹脂、およびポリアミック酸樹脂(加熱によりイミド化させポリイミド構造が形成される樹脂)等が挙げられる。
上記樹脂は、1種単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。また、たとえば、ビニル重合セグメント(ビニル樹脂セグメント)とポリエステル重合セグメント(ポリエステル樹脂セグメント)とを有する樹脂など、2種以上の重合セグメント(樹脂セグメント)が互いに結合してなるハイブリッド樹脂を用いてもよい。
これらの中でも、刺激応答性化合物の水との親和性の変化がより起こりやすいという観点から、熱可塑性樹脂が好ましく、スチレンアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリオレフィン樹脂がより好ましい。
表面層に含まれる樹脂は、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。樹脂の市販品の例としては、星光PMC株式会社製のVS−1063(重量平均分子量:5,500)、US−1071(重量平均分子量:10,000)、X−1(重量平均分子量:18,000)、YS−1274(重量平均分子量:19,000)、VS−1047(重量平均分子量:10,000)、RS−1191(重量平均分子量:6,500)等が挙げられる。
表面層に含まれる樹脂の重量平均分子量は、特に制限されないが、5,000〜30,000であることが好ましく、8,000〜20,000であることがより好ましい。
表面層中の樹脂の含有量は、表面層に含まれる刺激応答性化合物および樹脂の合計質量に対して、30〜80質量%であることが好ましく、40〜70質量%であることがより好ましい。このような範囲であれば、速い刺激応答性を維持しつつ、表面層の強度を向上させることができる。
なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値を採用する。
<刺激応答性化合物>
刺激応答性化合物とは、外部刺激に応答して、その性質を可逆的に変化させる化合物をいう。本発明においては、外部刺激に応答して水との親和性が可逆的に変化する刺激応答性化合物を用いる。
また、外部刺激に応答して水との親和性が可逆的に変化するとは、外部刺激を与えられた化合物が、外部刺激に応答して、親水性と疎水性との間で可逆的に変化することをいう。
ここで、「親水性と疎水性との間で可逆的に変化する」とは、具体的には、外部刺激に応答することで分子の存在状態が変わり、親水性と疎水性とが変化することである。上記の分子の存在状態とは、分子構造、分子の凝集状態のことを指す。たとえば、光応答性化合物であれば、光に応答して分子構造が変わることで、ヒドロキシ基が表面に配向するかしないかで親水性と疎水性とを制御することができ、温度応答性化合物であれば、温度に応答して分子の凝集状態が変わることで、親水性と疎水性とを制御することができる。
上記外部刺激としては、特に限定されるものではないが、たとえば、光、温度変化、圧力、電場、pH等を挙げることができる。
刺激応答性化合物の例としては、光に応答して水との親和性が可逆的に変化する光応答性化合物、温度変化に応答して水との親和性が可逆的に変化する温度応答性化合物、電場に応答して水との親和性が可逆的に変化する電場応答性化合物、pHに応答して水との親和性が可逆的に変化するpH応答性化合物等が挙げられる。
該刺激応答性化合物は、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。また、該刺激応答性化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。なかでも、水との親和性の変化速度が速いという観点から、光応答性化合物または温度応答性化合物が好ましい。
以下、好適な刺激応答性化合物である光応答性化合物および温度応答性化合物について説明する。
<光応答性化合物>
本発明に係る光応答性化合物は、光照射により立体異性化または構造異性化(シス−トランス異性化、光開環反応等)を起こし、水との親和性が可逆的に変化する化合物である。かような化合物としては、具体的には、親水性基を含むアゾベンゼン構造を有する化合物、親水性基を含むスピロピラン構造を有する化合物、親水性基を含むスチルベン構造を有する化合物、親水性基を含むジアリールエテン構造を有する化合物等が挙げられる。これらの化合物は、高分子または該高分子の架橋体の形態であってもよい。
これらの中でも、水との親和性の変化速度が速いとの観点から、光照射によりシス−トランス異性化を起こす、親水性基を含むアゾベンゼン構造を有する化合物または親水性基を含むスチルベン構造を有する化合物が好ましい。
親水性基の例としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、メルカプト基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、アミノ基等が挙げられる。これら親水性基は、1種でもまたは2種以上組み合わされてもよい。なかでも、水との親和性の変化速度が速いとの観点から、親水性基はヒドロキシ基であることが好ましい。
親水性基を含むアゾベンゼン構造を有する化合物は、具体的には、下記化学式(1)で表される化合物が好ましい。
上記化学式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、親水性基であり、RおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基またはアルコキシ基であり、m1およびm2は、それぞれ独立して、0〜4の整数であり、ただしm1+m2は1〜8の整数である。
上記化学式(1)中のRおよびRは、それぞれ独立して、親水性基である。親水性基の例は、上述の通りである。なお、m1+m2が2〜8の整数である場合、複数の親水性基は互いに同じでもよいし異なっていてもよい。
上記化学式(1)中のRおよびRは、それぞれ独立して、炭素数1〜18のアルキル基または炭素数1〜18のアルコキシ基である。
炭素数1〜18のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基などの直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソアミル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、t−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、1−メチルデシル基、1−ヘキシルヘプチル基などの分枝状のアルキル基;等が挙げられる。
炭素数1〜18のアルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基などの直鎖状のアルコキシ基:イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、4−メチル−2−ペンチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、1−メチルヘキシルオキシ基、t−オクチルオキシ基、1−メチルヘプチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−プロピルペンチルオキシ基、2,2−ジメチルヘプチルオキシ基、2,6−ジメチル−4−ヘプチルオキシ基、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ基、1−メチルデシルオキシ基、1−ヘキシルヘプチルオキシ基などの分枝状のアルコキシ基;等が挙げられる。
親水性基を含むアゾベンゼン構造を有する化合物のさらに具体的な例としては、下記化学式(2)〜(3)で表される化合物が好ましく挙げられる。
親水性基を含むスチルベン構造を有する化合物は、具体的には、下記化学式(4)で表される化合物が好ましい。
上記化学式(4)中、R〜R10は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、または親水性基であり、この際、R〜R10の少なくとも1つは親水性基である。
炭素数1〜6のアルコキシ基の例としては、たとえば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基が挙げられる。
親水性基の例は、上述の通りである。
親水性基を含むスチルベン構造を有する化合物のさらに具体的な例としては、下記化学式(5)で表される化合物(イソラポンチゲニン、3,4’,5−トリヒドロキシ−3’−メトキシ−trans−スチルベン)が好ましく挙げられる。
また、高分子の形態である光応答性化合物の例としては、下記化学式(6)で表される高分子が好ましく挙げられる。
上記化学式(6)中、xは繰り返し単位の数であり、高分子領域であれば特に制限されないが、たとえば200〜1000の範囲である。
上記光応答性化合物は、1種単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。また、上記光応答性化合物は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。
親水性基を含むアゾベンゼン構造を有する化合物の合成方法の例としては、以下の方法が挙げられる。
たとえば、上記化学式(2)で表されるアゾベンゼン化合物の合成方法としては、下記反応式Aで示される方法が挙げられる。2−クロロ−4−アミノフェノールと亜硝酸ナトリウムとを冷却下で反応させてジアゾニウム塩を合成し、これと2−クロロフェノールと反応させたのちに、n−ブロモヘキサンを反応させて中間体Bを合成する。次いで、得られた中間体Bを高温高圧下で水酸化ナトリウム水溶液と反応させ、酸で処理することにより、上記化学式(2)で表されるアゾベンゼン化合物(アゾベンゼン誘導体(1))を得ることができる。
たとえば、上記化学式(3)で表されるアゾベンゼン化合物(アゾベンゼン誘導体(3))の合成方法としては、上記反応式A中の中間体Bを、液体アンモニア中カリウムアミドと反応させる方法が挙げられる(下記反応式B参照)。
たとえば、上記化学式(6)で表される高分子の合成方法としては、下記反応式Cで示される方法が挙げられる。上記反応式Aと同様の方法で、ジアゾニウム塩を合成し、2−クロロフェノールと反応させ中間体Cを得て、続いてn−ブロモヘキサノールと反応させることで、中間体Dを合成する。次いで、中間体Dとアクリル酸塩化物とを、トリエチルアミン存在下で反応させ、アゾベンゼン構造を含むアクリレートモノマー(中間体E)とした後、クロロ基をヒドロキシ基へと変換し、中間体Fを得る。得られた中間体Fを、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を用いる重合反応を行うことにより、上記化学式(6)で表されるアゾベンゼン化合物(アゾベンゼン誘導体(ポリマー2))を得ることができる。
<温度応答性化合物>
本発明に係る温度応答性化合物は、温度変化に応答して水との親和性が可逆的に変化する化合物である。温度応答性化合物は、水に対する臨界溶解温度(CST)において、疎水性(または親水性)から親水性(または疎水性)に可逆的に変化する。温度応答性化合物としては、
(1)臨界溶解温度未満(このときの臨界溶解温度を特に「下限臨界溶解温度(LCST)」という)の温度で親水性を示すが、同温度以上の温度で疎水性を示す温度応答性化合物
(2)臨界溶解温度以上(このときの臨界溶解温度を特に「上限臨界溶解温度(UCST)」という)の温度で親水性を示すが、同温度未満の温度で疎水性を示す温度応答性化合物
のいずれも用いることができる。
温度応答性化合物としては、特に制限されないが、アクリル系高分子およびメタクリル系高分子等が挙げられる。具体例としては、たとえば、ポリ(N−n−プロピルアクリルアミド)(LCST:21℃)、ポリ(N−n−プロピルメタクリルアミド)(LCST:27℃)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(LCST:32℃)、ポリ(N−イソプロピルメタクリルアミド)(LCST:43℃)、ポリ(N−エトキシエチルアクリルアミド)(LCST:約35℃)、ポリ(N−テトラヒドロフルフリルアクリルアミド)(LCST:約28℃)、ポリ(N−テトラヒドロフルフリルメタクリルアミド)(LCST:約35℃)、ポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)(LCST:32℃)、ポリ−N,N−エチルメチルアクリルアミド(LCST:56℃)、ポリ(N−エチルアクリルアミド)、ポリ(N−シクロプロピルアクリルアミド)(LCST:45℃)、ポリ(N−シクロプロピルメタクリルアミド)等のN−置換(メタ)アクリルアミド由来の構成単位を有する高分子、ポリ(N−アクリロイルピロリジン)、ポリ(N−アクリロイルピペリジン)、ポリメチルビニルエーテル、およびこれらの共重合体等が挙げられる。
温度応答性化合物としては、他にも、メチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース等のアルキル置換セルロース誘導体、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドとのブロック共重合体等のポリアルキレンオキサイドブロック共重合体等が例示できる。
これら温度応答性化合物の中でも、末端をカルボン酸基、アミン基、マレイミド基などの官能基に変性することが容易であるという観点、あるいはメタクリル酸と共重合させることでpH応答性を付与することができるという観点などから、N−置換(メタ)アクリルアミド由来の構成単位を有する高分子が好ましい。
これらの温度応答性化合物は、特に制限されないが、単量体を放射線照射によって重合することにより、または溶液重合することにより得られうるものである。
単量体としては、それを重合することにより得られる単独重合体が温度応答性を示すもの(以下「温度応答性単量体」とも称する)を用いることができる。温度応答性単量体としては、特に限定されないが、たとえば、N−(またはN,N−ジ)置換(メタ)アクリルアミド化合物、環状基を有する(メタ)アクリルアミド化合物、およびビニルエーテル化合物等が挙げられる。温度応答性化合物は、1種の温度応答性単量体を重合することにより得られる単独重合体であってもよいし、2種以上の温度応答性単量体を重合することにより得られる共重合体であってもよい。共重合体は、グラフト共重合体、ブロック共重合体、ランダム共重合体のいずれであってもよい。
また、温度応答性化合物は、必要に応じて、上記の温度応答性単量体に加えて、温度応答性を阻害しない範囲内において、それ自体は温度応答性単量体に該当しない単量体成分を重合することにより得られる共重合体であってもよい。該共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、およびグラフト共重合体のいずれであってもよい。
さらに、温度応答性化合物は、これらの高分子の架橋体であってもよい。温度応答性高分子が架橋体である場合、かかる架橋体としては、たとえば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−n−プロピルアミド、N−ビニル−n−ブチルアミド、N−ビニルイソブチルアミド、N−ビニル−t−ブチルアミド等のN−ビニルアルキルアミド;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルアルキルエーテル;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド;2−エチル−2−オキサゾリン、2−n−プロピル−2−オキサゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン等の2−アルキル−2−オキサゾリン等の単量体またはこれら単量体の2種以上を、架橋剤の存在下で重合して得られる高分子を挙げることができる。
上記架橋剤としては、従来公知のものを適宜選択して用いればよいが、たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、トリレンジイソシアネート、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の重合性官能基を有する架橋性モノマー;グルタールアルデヒド;多価アルコール;多価アミン;多価カルボン酸;カルシウムイオン、亜鉛イオン等の金属イオン等を好適に用いることができる。これらの架橋剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記の温度応答性化合物の分子量も特に限定されるものではないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される数平均分子量が3,000以上であることが好ましい。
上記温度応答性化合物は、1種単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。また、上記温度応答性化合物は、市販品を用いてもよいし、上述のように合成によって得られたものを用いてもよい。
表面層における刺激応答性化合物の含有量は、表面層に含まれる刺激応答性化合物および樹脂の合計質量を100質量%として、20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。このような範囲であれば、表面層の強度を向上させることができるとともに、速い刺激応答性を維持することができる。
(その他の成分)
本発明に係る表面層は、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、可塑剤、金属酸化物粒子等をさらに含有していてもよい。表面層の厚さ(乾燥厚さ)は、特に制限されないが、3〜30μmであることが好ましく、5〜10μmであることがより好ましい。
[接着層]
本発明のインク膜形成用原版は、表面層が接着層を介して支持体上に配置されてなるものであってもよい。
接着層の形成に用いられる接着剤(以下、接着層形成用接着剤とも称する)としては、特に制限されず、硬化性樹脂、および必要に応じて重合開始剤、溶媒等を含む硬化性組成物が好ましい。
硬化性樹脂は、活性エネルギー線(たとえば、紫外線、可視光線、X線、電子線等)硬化型、熱硬化型であってもよいが、好ましくは活性エネルギー線硬化型であり、より好ましくは紫外線硬化型である。硬化性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。また、硬化性樹脂は、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。
紫外線硬化型樹脂としては、たとえば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂が好ましい。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂としては、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。紫外線硬化型ポリオールアクリレート樹脂としては、市販品を用いてもよく、市販品としては、サートマー(登録商標)SR295、350、399(サートマー社製)などを挙げることができる。
重合開始剤は、使用する硬化性樹脂の種類に応じて、公知の光重合開始剤、熱重合開始剤等を適宜選択して使用することができる。接着層形成用接着剤は、市販品、合成品のいずれを使用してもよい。
活性エネルギー線を照射して接着剤を硬化させる場合、照射条件(光源の種類、照射強度、照射時間等)は適宜選択することができる。光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等の公知の光源を使用することができる。照射強度は、特に制限されないが、たとえば、10〜200mW/cmである。また、照射時間も、特に制限されないが、たとえば1〜10分である。加熱により接着剤を硬化させる場合も、加熱温度や加熱時間は適宜調節することができる。
接着層の厚さ(乾燥厚さ)は、特に制限されないが、0.5〜3μmであることが好ましい。
[インク膜形成用原版の製造方法]
インク膜形成用原版の製造方法は、特に制限されないが、たとえば、刺激応答性化合物および樹脂を含む表面層形成用溶液を調製した後、支持体上に当該溶液を塗布し乾燥することによって、表面層を設ける方法が挙げられる。
表面層形成用溶液に用いられる溶媒としては、特に制限されず、たとえば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトールなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテートなどのエステル系溶媒;トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶媒などが挙げられる。これら溶媒は、単独でもまたは2種以上を組み合わせても用いることができる。
表面層形成用溶液中の樹脂および刺激応答性化合物の合計含有量は、特に制限されないが、30〜60質量%であることが好ましい。
表面層を支持体上に塗布する方法としては、たとえば、回転塗布法;浸漬法;たれ流し法;ロールコーター、ロッドコーター、カーテンコーター、スライドコーター、ドクターナイフ、スクリーンコーター、スロットコーター、押出しコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、インクジェットコーター等の液体フィルムコーティング装置を使用する方法;等が挙げられる。
塗布液を塗布した後、必要に応じて風乾し、次いで、真空乾燥機等を用いて乾燥することにより、インク膜形成用原版を得ることができる。真空乾燥機を用いる場合の乾燥温度は、特に制限されないが、25〜40℃が好ましい。また、乾燥時間も特に制限されないが、1〜4時間が好ましい。
支持体と表面層との間に接着層を有する原版を製造する場合は、上記[接着層]の項で説明した方法により支持体上に接着層を設けた後、該接着層上に表面層を形成すればよい。
[パターン膜形成装置およびパターン膜形成方法]
本発明は、本発明の原版を用いたパターン膜形成装置(印刷装置)についても提供する。当該装置は、インク膜形成用原版と、前記原版の表面層に外部刺激を付与して、親水性部位および疎水性部位からなるパターンを形成する書き込み手段と、前記パターン上にインク膜を形成するインク膜形成手段と、前記インク膜が形成された原版に対して、ブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことで、前記ブランケットのインク膜用表面に、前記パターンの疎水性部位上に形成されたインク膜のみを転写する第1の転写手段と、転写されたインク膜を有する前記ブランケットに対して、被印刷体を相対的に押し当て引き離すことで、前記被印刷体表面にインク膜を転写する第2の転写手段と、を有することが好ましい。
また、本発明は、上記原版を用いたパターン膜形成方法(印刷方法)についても提供する。当該方法は、本発明のインク膜形成用原版の表面層に外部刺激を付与して、親水性部位および疎水性部位からなるパターンを形成する第1の書き込み工程と、前記パターン上にインク膜を形成する工程と、前記インク膜が形成された原版に対して、ブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことで、前記ブランケットのインク膜用表面に前記パターンの疎水性部位上に形成されたインク膜のみを転写する工程と、転写されたインク膜を有する前記ブランケットに対して、被印刷体を相対的に押し当て引き離すことで、前記被印刷体表面にインク膜を転写する工程と、を有することが好ましい。
以下、本発明に係るパターン膜形成装置(または方法)を構成する各手段(または工程)について、適宜図1を参照しながら説明する。ただし、本発明に用いられるパターン膜形成装置としては、下記の形態および図示例に限定されるものではない。図1は、ブランケット3を使用した例であるが、本発明はこれに限定されず、ブランケット3を使用せず直接インクローラー5から版胴2に装着された原版1上にインクを付着させインク膜を形成した後、インク膜を直接被印刷体に転写する形態であってもよい。また、以下では被印刷体8の上方からインクを供給する例を説明するが、被印刷体8の下方からインクを供給しても構わない。
図1は、本発明の一実施形態に係るパターン膜形成装置10を示す概略図である。パターン膜形成装置10は、インク膜形成用原版1、版胴2、ブランケット3、圧胴4、インクローラー5、水ローラー6、および書き込み手段である単色レーザー光源7を有する。
本発明の一実施形態に係るパターン膜形成方法においては、版胴2に装着された原版1の表面層に対して、単色レーザー光源7から発せられる光(外部刺激、図1の矢印)が付与され、親水性部位および疎水性部位からなるパターンが形成される。
原版1の表面層に形成された親水性部位に水ローラー6から供給される水が付着した後、インクローラー5から供給されるインクが、版胴2との接点において、版胴2に装着された原版1の表面層に付着する。これにより、原版1上にインク膜が形成される。形成されたインク膜は、ブランケット3との接点において、ブランケット3のインク膜用表面に転写される。ブランケット3に付着したインク膜は、圧胴4上に配置された被印刷体8との接点において、被印刷体8に転写される。被印刷体8を必要に応じて乾燥することにより、印刷物が得られる。インクローラーや各胴、ブランケットの回転スピードは特に限定されるものではなく、インクや被印刷体の性状等に応じて、適宜設定することができる。
[書き込み手段(第1の書き込み工程、第2の書き込み工程)]
原版1の表面層が光応答性化合物を含む場合、書き込み手段は、発光ダイオード(LED)、単色レーザー光源等の公知の光源でありうる。また、原版1の表面層が温度応答性化合物を含む場合、書き込み手段は、赤外線ランプ、単色レーザー光源等でありうる。書き込み用手段は、単独でもまたは2つ以上を組み合わせて設置してもよい。
版胴2に設けられるインク膜形成用原版1に対して、書き込み手段から部分的に外部刺激を付与することにより、原版1の表面層に親水性部位および疎水性部位からなるパターンが形成される。なお、本明細書において、「部分的に外部刺激を付与する」とは、書き込む画像パターンの画像部または非画像部のいずれかに外部刺激を付与することをいう。
上述したように、本発明に係る刺激応答性化合物は、光応答性化合物または温度応答性化合物が好ましい。すなわち、書き込み手段により付与される外部刺激は、光または温度変化であることが好ましい。
原版1の表面層が光応答性化合物を含む場合、外部刺激は光である。その際、書き込み手段(好ましくは単色レーザー光源)から照射される光の波長領域は、200〜400nmであることが好ましく、280〜400nmであることがより好ましい。このような波長領域であれば、より細かい領域に光を照射でき、小さい文字や細かい画像をより鮮明に再現することができる。また、表面層が受けるエネルギーが大きすぎないため、表面層が劣化しにくく、繰り返しの書き換え操作にも耐えうるものとなる。
書き込み時の照射光量は、たとえば1〜10J/cmの範囲であることが好ましい。この範囲内であれば、小さい文字や細かい画像を鮮明に書き込むことができ、表面層にも負荷をかけ過ぎずに書き込みを行うことができる。
原版の表面層が温度応答性化合物を含む場合、外部刺激は温度変化である。上述したように、本発明で用いられる温度応答性化合物は、臨界溶解温度を有するため、この臨界溶解温度を通過させるように、表面層に温度変化を付与し、原版1の表面層に親水性部位および疎水性部位からなるパターンを形成させる。この際、用いられる書き込み手段は、波長700〜900nmの光を発する単色レーザー光源であることが好ましい。この書き込み手段により部分的な加熱が行われ、上記パターンが形成される。
書き込み手段として各種の光源を用いる場合、外部刺激が付与された刺激応答性化合物のみ水との親和性が変化するように、光源から発せられる光をピンスポット状で照射することが好ましい。このような方法としては、光源からの光を光ファイバーで導光する照射方式が挙げられる。しかしながら、必要な光量を供給できるものであれば、画像パターンの投影等による照射方式を採用することも可能である。
上記のように書き込み工程(第1の書き込み工程)を行うことにより、原版1の表面層に、親水性部位および疎水性部位からなるパターンが形成される。したがって、本発明は、本発明の原版が有する表面層に対して外部刺激を付与し、親水性部位および疎水性部位からなるパターンを形成する第1の書き込み工程を有する、パターン形成方法をも提供する。当該形成方法において付与される外部刺激は、上述のように、光または温度変化であることが好ましい。また、当該形成方法において付与される外部刺激は、上述のように、波長280〜400nmの領域の光であることが好ましい。
書き込み手段は、少なくとも画像パターンを変化させて異なる印刷物を印刷する際に作動させることができればよく、同じ印刷物を複数枚印刷する場合には、使用しなくてもよい。すなわち、一度の書き込みにより、表面層に形成されたパターンがそのまま維持されるので、転写手段により連続してインク膜を転写することにより、再書き込みを伴わずに複数枚の印刷を行うことができる。また、表面層に形成されたパターンは、後述の消去工程により消去され、さらに同じ表面層上に外部刺激を付与し、親水性部位および疎水性部位からなるパターンを形成する第2の書き込み工程を行うことにより、容易に書き換えが可能である。このように、消去工程と書き込み工程とを繰り返すことにより、複数の印刷パターンを一つの原版表面で形成することができる。本発明の原版は、このような繰り返しを行っても、小さい文字や細かな画像を鮮明に再現性良く印刷できるという耐久性に優れる。
原版1の表面層に形成された親水性部位および疎水性部位からなるパターンは、版胴2の回転に伴って移動し、インク膜形成に供される。
[インク膜形成手段(工程)]
本発明の一実施形態に係るパターン膜形成装置において、インク膜形成手段は、たとえば、図1に示すようなインクローラー5である。
インク膜形成手段は、上記書き込み工程で形成したパターンに対し、インクを塗布して、インク膜を形成するものである。なお、本明細書において、「インク膜形成」とは、インクが被印刷体8に転写可能な状態でパターンの所定位置(親水性部位または疎水性部位)に保持されることをいう。
インクとしては、被印刷体8に転写可能なものであれば特に制限されず、水性インク、油性インク、エマルションインク等の公知のインクを使用することができる。水性インクを用いた場合は、パターンの親水性部位にインク膜が形成される。油性インクやエマルションインクを用いた場合は、パターンの疎水性部位にインク膜が形成される。
形成されたインク膜は、原版1が設けられた版胴2の回転に伴って移動し、ブランケット3と当接するように送られる。
[第1の転写手段(工程)]
本発明の一実施形態に係るパターン膜形成装置において、第1の転写手段は、たとえば図1に示すように、ブランケット3である。
第1の転写工程では、上記インク膜形成工程で形成されたインク膜を有する原版1に対して、ブランケット3のインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことで、パターン上に形成されたインク膜を転写する。
上記のように、インク膜が形成される位置は、インクの種類によって親水性部位や疎水性部位でありうるが、疎水性インクは粘度が比較的高く、転写する際に像崩れを起こしにくいという観点から、疎水性部位上のインク膜のみをブランケットに転写する形態が好ましい。
ブランケット3の材料は、インク膜が転写されるものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。
ブランケット3上に残存したインク膜は、たとえば、図示していないクリーニングブレード等により除去される。
[第2の転写手段(工程)]
本発明の一実施形態に係るパターン膜形成装置において、第2の転写手段は、たとえば図1に示すように、圧胴4である。
第2の転写工程では、転写されたインク膜を有するブランケット3に対して、圧胴4により被印刷体8を相対的に押し当て引き離すことで、被印刷体8の表面にインク膜が転写される。
圧胴4の材料は、特に限定されず、公知のものを使用することができる。
被印刷体8は、インク膜が転写されるものであれば特に限定されず、たとえば、紙や樹脂フィルム、樹脂製や金属製の板状物(シートなど)、布等を用いることができる。
[消去手段(工程)]
本発明のパターン膜形成装置は、原版1の表面層に対して外部刺激を付与してパターンを消去する消去手段をさらに有することが好ましい。
原版の表面層が光応答性化合物を含む場合、当該消去手段は、水との親和性の変化速度の観点から、可視光(好ましくは波長400〜600nmの領域の可視光)を発する単色レーザー光源や発光ダイオードでありうる。
原版の表面層が温度応答性化合物を含む場合、当該消去手段としては、たとえば、5〜20℃の冷風を発生することができる冷風発生装置、5〜20℃の恒温槽等が挙げられる。
このような消去手段によりパターンが消去され、原版の表面層は外部刺激を付与する前と同様の性状を有するようになる。その後、上記の書き込み工程を再び行うことで、表面層に新たなパターンを形成することができる。すなわち、本発明の原版は、デジタルでのパターンの書き換えが容易である。
よって、本発明に係るパターン膜形成方法は、上記転写工程後に、原版が有する表面層に対して外部刺激を付与することによりパターンを消去する消去工程をさらに有することが好ましい。また、本消去工程で用いられる外部刺激は、光または温度変化であることが好ましい。さらに、本消去工程で用いられる外部刺激は、可視光であることが好ましい。
消去手段は、少なくとも画像パターンを変化させて異なる印刷物を印刷する際に作動させることができればよく、同じ印刷物を複数枚印刷する場合には、使用しなくてもよい。上述のように、第1の書き込み工程により表面層に形成されたパターンは、消去工程により消去され、同じ表面層上に外部刺激を付与し、親水性部位および疎水性部位からなるパターンを形成する第2の書き込み工程をさらに行うことにより、容易に書き換えが可能である。このように、消去工程と書き込み工程とを繰り返すことにより、複数の印刷パターンを一つの原版表面で形成することができる。本発明の原版は、このような繰り返しを行っても、小さい文字や細かな画像を鮮明に再現性良く印刷できるという耐久性に優れる。
なお、書き込み手段および消去手段は、版胴2、ブランケット3、および圧胴4が設けられている筐体と同じ筐体内に設けられていてもよいし、版胴2、ブランケット3、および圧胴4が設けられている筐体の外部に設けられていてもよい。書き込み手段および消去手段が、版胴2、ブランケット3、および圧胴4が設けられている筐体と同じ筐体内に設けられていれば、版胴2に設置される原版1の表面層に対する第1の書き込み工程、消去工程、さらにその後の第2の書き込み工程まで連続して繰り返し行うことができる。同じ画像パターンを連続で印刷したい場合は、消去工程およびその後の第2の書き込み工程を行わずに、印刷することが可能である。また、一度被印刷体8に転写した後、消去工程を経て、再び同じ画像を原版1の表面層に書き込むことで、同じ画像パターンを連続で印刷することも可能である。
本発明のパターン膜形成装置(方法)は、上記手段(工程)以外の他の手段(工程)を有していてもよい。たとえば、パターン膜形成方法においては、第1の書き込み工程の前に、原版の表面層全体に外部刺激を与え、表面層全体に含まれる刺激応答性化合物の水との親和性を変化させる工程(疎水性→親水性、または親水性→疎水性)を行った後、第1の書き込み工程以降の工程を行う方法を採用してもよい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」または「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」または「質量%」を表す。
<上記化学式(2)で表されるアゾベンゼン化合物(アゾベンゼン誘導体(1))の合成>
4−アミノ−2−クロロフェノール(8.61g、60mmol)に2.4N塩酸 75mLを加えた後、0℃で冷却攪拌しながら、亜硝酸ナトリウム(4.98g、72mmol)を蒸留水6mLに溶解した溶液を加え、0℃で60分間攪拌を続けた。この溶液に、2−クロロフェノール(7.71g、60mmol)と20%水酸化ナトリウム水溶液24mLとの混合溶液を加え20時間攪拌した。析出した沈殿を濾過し、固形物を水で洗浄した。得られた固体を、酢酸エチルとヘキサンとの混合液を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、中間体A(構造は前記反応式Aを参照)を得た。この中間体A(2.83g、10mmol)に、DMF100mL、1−ブロモヘキサン(9.90g、60mmol)、および炭酸カリウム(6.91g、50mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した後、室温(25℃)で20時間攪拌を続けた。溶媒を減圧留去後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。これを濾過した後、溶媒を減圧留去し、得られた固形物を酢酸エチルとヘキサンとの混合液を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、中間体B(構造は前記反応式Aを参照)を得た。この中間体B(2.58g、5mmol)に20%水酸化ナトリウム水溶液12mLを加え、340℃、150atmで2時間攪拌した後、1.2N塩酸10mLを加え、室温(25℃)で1時間攪拌した。酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。これを濾過した後、溶媒を減圧留去し、得られた固形物を酢酸エチルとヘキサンとの混合液を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、アゾベンゼン誘導体(1)(上記化学式(2)参照)を得た。
<上記化学式(6)で表されるアゾベンゼン化合物(アゾベンゼン誘導体(ポリマー2))の合成>
3−クロロ−4−(ヘキシルオキシ)アニリン(13.66g、60mmol)に2.4N塩酸75mLを加えた後、0℃で冷却攪拌しながら、亜硝酸ナトリウム(4.98g、72mmol)を蒸留水6mLに溶解した溶液を加え、0℃で60分間攪拌を続けた。この溶液に、2−クロロフェノール(7.71g、60mmol)と20%水酸化ナトリウム水溶液24mLとの混合溶液を加え、20時間攪拌した。析出した沈殿を濾過し、固形物を水で洗浄した。得られた固体を、酢酸エチルとヘキサンとの混合液を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、中間体C(構造は前記反応式Cを参照)を得た。この中間体C(7.35g、20mmol)にDMF100mL、3−ブロモ−1−ヘキサノール(10.9g、60mmol)、および炭酸カリウム(6.91g、50mmol)を加え、80℃で2時間攪拌した後、室温(25℃)で20時間攪拌を続けた。溶媒を減圧留去後、酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。これを濾過した後、溶媒を減圧留去し、得られた固形物を酢酸エチルとヘキサンとの混合液を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、中間体D(構造は前記反応式Cを参照)を得た。この中間体D(4.67g、10mmol)に、テトラヒドロフラン100mLを加え、中間体Dのテトラヒドロフラン溶液を調製した。別途、アクリロイルクロリド(1.09g、12mmol)とトリエチルアミン(2.43g、24mmol)とを加えたところに、中間体Dのテトラヒドロフラン溶液を0℃で滴下し、引き続き、0℃で30分攪拌した後、室温(25℃)まで昇温させ、さらに室温(25℃)で2時間攪拌した。得られた反応液を水、飽和食塩水で洗浄した後、溶媒を減圧留去し、メタノールで再結晶することにより、中間体Eを得た。この中間体E(2.61g、5mmol)に20%水酸化ナトリウム水溶液12mLを加え、340℃、150atmで2時間攪拌した後、1.2N塩酸 10mLを加え、室温(25℃)で1時間攪拌した。酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。これを濾過した後、溶媒を減圧留去し、得られた固形物を酢酸エチルとヘキサンとの混合液を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、中間体Fを得た。この中間体F(1.45g、3mmol)に、ベンゼン/テトラヒドロフラン混合溶媒(質量比1:1)40mLを加え、さらに、重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を中間体Fに対して20質量%加え、70℃で20時間攪拌した。その後、エタノールを用いて再沈殿させることにより、アゾベンゼン誘導体(ポリマー2)(上記化学式(6)参照)を得た。得られたポリマー2は、上記化学式(6)中の繰り返し単位であるxが500程度であった。
<上記化学式(3)で表されるアゾベンゼン化合物(アゾベンゼン誘導体(3))の合成>
中間体B(2.26g、5mmol)に液体アンモニア20mL、およびカリウムアミド(0.33g、6mmol)を加え、室温(25℃)で5時間攪拌した。得られた反応液を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。これを濾過した後、溶媒を減圧留去し、得られた固形物を酢酸エチルとヘキサンとの混合液を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することにより、アゾベンゼン誘導体(3)(上記化学式(3)参照)を得た。
(実施例1:インク膜形成用原版(M−1)の作製)
ジクロロメタン 1200質量部、トルエン 1200質量部、光応答性化合物である上記で合成したアゾベンゼン誘導体(1)380質量部、および熱可塑性樹脂であるスチレンアクリル樹脂(星光PMC株式会社製、US−1071、重量平均分子量:10,000)1520質量部を50℃で1時間攪拌混合し、溶液を得た。この溶液を、ペイントシェーカーを用いて室温(25℃)で30分間よく分散させた後、支持体である電解研磨された平板状のアルミニウム基板(縦360mm×横180mm)に、ブレードコーターを用いて乾燥後の厚さが6μmになるように塗布した。塗布後30分間風乾し、次いで、真空乾燥機を用いて30℃で2時間乾燥し、インク膜形成用原版(M−1)を得た。
(実施例2:インク膜形成用原版(M−2)の作製)
ジクロロメタン 1200質量部、トルエン 1200質量部、光応答性化合物である上記で合成したアゾベンゼン誘導体(1)570質量部、および熱可塑性樹脂であるスチレンアクリル樹脂(星光PMC株式会社製、US−1071、重量平均分子量:10,000)1330質量部を50℃で1時間攪拌混合し、溶液を得た。この溶液を、ペイントシェーカーを用いて室温(25℃)で30分間よく分散させた後、支持体である電解研磨された平板状のアルミニウム基板(縦360mm×横180mm)に、ブレードコーターを用いて乾燥後の厚さが6μmになるように塗布した。塗布後30分間風乾し、次いで、真空乾燥機を用いて30℃で2時間乾燥し、インク膜形成用原版(M−2)を得た。
(実施例3:インク膜形成用原版(M−3)の作製>
ジクロロメタン 600質量部、トルエン 600質量部、光応答性化合物である上記で合成したアゾベンゼン誘導体(1)570質量部、および熱可塑性樹脂であるスチレンアクリル樹脂(星光PMC株式会社製、US−1071)380質量部を50℃で1時間攪拌混合し、溶液を得た。この溶液を、ペイントシェーカーを用いて室温(25℃)で30分間よく分散させた後、支持体である電解研磨された平板状のアルミニウム基板(縦360mm×横180mm)に、ブレードコーターを用いて乾燥後の厚さが6μmになるように塗布した。塗布後30分間風乾し、次いで、真空乾燥機を用いて30℃で2時間乾燥し、インク膜形成用原版(M−3)を得た。
(実施例4:インク膜形成用原版(M−4)の作製)
ジクロロメタン 600質量部、トルエン 600質量部、光応答性化合物である上記で合成したアゾベンゼン誘導体(1)1330質量部、および熱可塑性樹脂であるスチレンアクリル樹脂(星光PMC株式会社製、US−1071)380質量部を50℃で1時間攪拌混合し、溶液を得た。この溶液を、ペイントシェーカーを用いて室温(25℃)で30分間よく分散させた後、支持体である電解研磨された平板状のアルミニウム基板(縦360mm×横180mm)に、ブレードコーターを用いて乾燥後の厚さが6μmになるように塗布した。塗布後30分間風乾し、次いで、真空乾燥機を用いて30℃で2時間乾燥し、インク膜形成用原版(M−4)を得た。
(実施例5:インク膜形成用原版(M−5)の作製)
ジクロロメタン 1200質量部、トルエン 1200質量部、光応答性化合物である上記で合成したアゾベンゼン誘導体(ポリマー2)570質量部、および熱可塑性樹脂であるスチレンアクリル樹脂(星光PMC株式会社製、US−1071)1330質量部を50℃で1時間攪拌混合し、溶液を得た。この溶液を、ペイントシェーカーを用いて室温(25℃)で30分間よく分散させた後、支持体である電解研磨された平板状のアルミニウム基板(縦360mm×横180mm)に、ブレードコーターを用いて乾燥後の厚さが6μmになるように塗布した。塗布後30分間風乾し、次いで、真空乾燥機を用いて30℃で2時間乾燥し、インク膜形成用原版(M−5)を得た。
(実施例6:インク膜形成用原版(M−6)の作製)
テトラヒドロフラン 1200質量部、トルエン 1200質量部、温度応答性化合物であるポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(SIGMA−ALDRICH社製、806471−1G)570質量部、および熱可塑性樹脂であるスチレンアクリル樹脂(星光PMC株式会社製、US−1071)1330質量部を室温(25℃)で1時間攪拌混合し、溶液を得た。この溶液を、ペイントシェーカーを用いて室温(25℃)で30分間よく分散させた後、支持体である電解研磨された平板状のアルミニウム基板(縦360mm×横180mm)に、ブレードコーターを用いて乾燥後の厚さが6μmになるように塗布した。塗布後30分間風乾し、次いで、真空乾燥機を用いて30℃で2時間乾燥し、インク膜形成用原版(M−6)を得た。
(実施例7:インク膜形成用原版(M−7)の作製)
ジクロロメタン 1200質量部、トルエン 1200質量部、光応答性化合物である上記で合成したアゾベンゼン誘導体(1)570質量部、および熱硬化性樹脂である固形エポキシ樹脂(DIC株式会社製、7050)1330質量部を50℃で1時間攪拌混合し、溶液を得た。この溶液を、ペイントシェーカーを用いて室温(25℃)で30分間よく分散させた後、支持体である電解研磨された平板状のアルミニウム基板(縦360mm×横180mm)に、ブレードコーターを用いて乾燥後の厚さが6μmになるように塗布した。塗布後30分間風乾し、次いで、真空乾燥機を用いて30℃で2時間乾燥し、インク膜形成用原版(M−7)を得た。
(実施例8:インク膜形成用原版(M−8)の作製)
ジクロロメタン 1200質量部、トルエン 1200質量部、光応答性化合物である上記で得られたアゾベンゼン誘導体(3)570質量部、および熱可塑性樹脂であるスチレンアクリル樹脂(星光PMC株式会社製、US−1071)1330質量部を50℃で1時間攪拌混合し、溶液を得た。この溶液を、ペイントシェーカーを用いて室温(25℃)で30分間よく分散させた後、支持体である電解研磨された平板状のアルミニウム基板(縦360mm×横180mm)に、ブレードコーターを用いて乾燥後の厚さが6μmになるように塗布した。塗布後30分間風乾し、次いで、真空乾燥機を用いて30℃で2時間乾燥し、インク膜形成用原版(M−8)を得た。
(実施例9:インク膜形成用原版(M−9)の作製)
ジクロロメタン 1200質量部、トルエン 1200質量部、光応答性化合物である上記化学式(5)で表されるスチルベン誘導体(1)(東京化成工業株式会社製、製品コード:I0804、イソラポンチゲニン)570質量部、および熱可塑性樹脂であるスチレンアクリル樹脂(星光PMC株式会社製、US−1071)1330質量部を50℃で1時間攪拌混合し、溶液を得た。この溶液を、ペイントシェーカーを用いて室温(25℃)で30分間よく分散させた後、支持体である電解研磨された平板状のアルミニウム基板(縦360mm×横180mm)に、ブレードコーターを用いて乾燥後の厚さが6μmになるように塗布した。塗布後30分間風乾し、次いで、真空乾燥機を用いて30℃で2時間乾燥し、インク膜形成用原版(M−9)を得た。
(比較例1:インク膜形成用原版(M−10)の作製)
ジクロロメタン 360質量部、トルエン 360質量部、および光応答性化合物である上記で得られたアゾベンゼン誘導体(1)570質量部を50℃で1時間攪拌混合し、溶液を得た。この溶液を、ペイントシェーカーを用いて室温(25℃)で30分間よく分散させた後、支持体である電解研磨された平板状のアルミニウム基板(縦360mm×横180mm)に、ブレードコーターを用いて乾燥後の厚さが6μmになるように塗布した。塗布後30分間風乾し、次いで、真空乾燥機を用いて30℃で2時間乾燥し、インク膜形成用原版(M−10)を得た。
インク膜形成用原版(M−1)〜(M−10)の構成を、下記表1に示す。なお、「刺激応答性化合物含有量」は、表面層における刺激応答性化合物と樹脂との合計質量に対する刺激応答性化合物の含有量を示す。
(実施例10)
図1に示すような構成を有するパターン膜形成装置の版胴の表面に接着層を設け、さらにその上にインク膜形成用原版(M−1)をくくりつけて設置し、波長365nmの単色レーザー光を、図2に示す画像パターン(細線の幅:0.1mm)の非画像部に対して照射量2J/cmで照射した。これにより、光照射部、すなわち、非画像部が親水性部位となり、画像部が疎水性部位となるパターンを有するインク膜形成用表面(m10)を形成した。
インク膜形成用表面(m10)の画像部(疎水性部位)に、インクローラーを用いて疎水性インクを塗布し、インク膜を形成した。インク膜を有するインク膜形成用原版(M−1)に対して、ブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことで、インク膜をブランケットに転写した。このインク膜を有するブランケットに対して、被印刷体としてのJ紙A3を相対的に押し当て引き離すことでインク膜を紙の表面に転写し、印字画像を得た(この印字画像を「初期」とする。以下同様)。さらに、この印字画像を連続で1000枚出力した(この1000枚目の印字画像を「1000枚画出し後」とする。以下同様)。その後、消去工程として、インク膜形成用表面(m10)の全面に波長365nmの単色レーザー光を照射した。光照射を行った後、インク膜形成用表面(m10)の全面に水ローラーを用いて水を塗布したところ、水をはじいたことから、書き込み操作前の原版と同様の疎水性表面が得られたことを確認した。
さらに、波長365nmの単色レーザー光を、出力画像の非画像部に照射量2J/cmで照射する書き込みにより、光応答性化合物を構造変化(光異性化)させて、光照射部、すなわち、非画像部が親水性部位となり、画像部が疎水性部位となるパターンを形成した。
このパターンの疎水性部位に、インクローラーを用いてインクを塗布し、インク膜を形成した。このインク膜を有する原版に対して、ブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことでインク膜をブランケットに転写した。さらに、インク膜を有するブランケットに対して、被印刷体としての紙を相対的に押し当て引き離すことでインク膜を紙の表面に転写し、印字画像を得て、この印字画像を連続で1000枚出力した(この1000枚目の印字画像を「書き込み工程および1000枚画出し後」とする。以下同様)。
(実施例11〜14、実施例16〜18、比較例2)
インク膜形成用原版を下記表2のように変更したこと以外は、実施例10と同様にして、印字画像の出力を行った。
(実施例15)
図1に示すような構成を有するパターン膜形成装置の版胴にインク膜形成用原版(M−6)を設置し、出力画像の画像部が40℃になるように、波長800nmの単色レーザー光を出力画像の画像部に照射した。この光照射により、画像部は加熱され疎水性部位となり、光照射されていない(加熱されていない)非画像部は親水性部位となり、パターンが形成された。このようにして、インク膜形成用表面(m15)を作製した。
インク膜形成用表面(m15)の画像部(疎水性部位)に、インクローラーを用いて、疎水性インクを塗布し、インク膜を形成した。インク膜を有する原版(M−6)に対して、ブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことで、インク膜をブランケットに転写した。このインク膜を有するブランケットに対して、被印刷体としての紙を相対的に押し当て引き離すことでインク膜を紙の表面に転写し、印字画像を得た。さらに、この印字画像を連続で1000枚出力した。その後、冷風発生装置から発生する冷風(冷風温度:10℃)をインク膜形成用表面(m15)にあて、表面(m15)の温度を30℃にした。この後、インク膜形成用表面(m15)の全面に水ローラーを用いて水を塗布したところ、一様に濡れたことから、書き込み操作前の原版と同様の親水性表面が得られたことを確認した。
さらに、照射部が40℃になるように、波長800nmの単色レーザー光を、出力画像の画像部が40℃になるように画像部に照射する書き込みにより、画像部が疎水性部位となり、光照射していない非画像部が親水性部位となるパターンを形成した。
このパターンの疎水性部位に、インクローラーを用いてインクを塗布し、インク膜を形成した。このインク膜を有する原版に対して、ブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことでインク膜をブランケットに転写した。さらに、インク膜を有するブランケットに対して、被印刷体としての紙を相対的に押し当て引き離すことでインク膜を紙の表面に転写し、印字画像を得て、この印字画像を連続で1000枚出力した。
(実施例19)
図1に示すようなパターン膜形成装置の版胴にインク膜形成用原版(M−2)を設置し、波長365nmの単色レーザー光を、原版(M−2)の表面層全体に照射量2J/cmで照射した。これにより、原版(M−2)の表面層全体が親水性部位となった。次いで、波長465nmの単色レーザー光を、図2に示す出力画像の画像部に対して照射量2J/cmで照射した。これにより、光照射部、すなわち、画像部が疎水性部位となり、非画像部が親水性部位となるパターンを有するインク膜形成用表面(m19)を形成した。
インク膜形成用表面(m19)の画像部(疎水性部位)に、インクローラーを用いてインクを塗布し、インク膜を形成した。このインク膜を有するインク膜形成用原版(M−2)に対して、ブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことで、インク膜をブランケットに転写した。さらに、このインク膜を有するブランケットに対して、被印刷体としての紙を相対的に押し当て引き離すことでインク膜を紙の表面に転写し、印字画像を得た。さらに、この印字画像を連続で1000枚出力した。その後、消去工程として、インク膜形成用表面(m19)に波長365nmの単色レーザー光を照射した。光照射を行った後、インク膜形成用表面(m19)の全面に水ローラーを用いて水を塗布したところ、一様に濡れたことから、書き込み操作前の原版と同様の親水性表面が得られたことを確認した。
さらに、波長465nmの単色レーザー光を、出力画像の非画像部に照射量2J/cmで照射する書き込みにより、光応答性化合物を構造変化(光異性化)させて、光照射部、すなわち、非画像部が親水性部位となり、画像部が疎水性部位となるパターンを形成した。
このパターンの疎水性部位に、インクローラーを用いてインクを塗布し、インク膜を形成した。このインク膜を有する原版に対して、ブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことでインク膜をブランケットに転写した。さらに、インク膜を有するブランケットに対して、被印刷体としての紙を相対的に押し当て引き離すことでインク膜を紙の表面に転写し、印字画像を得て、この印字画像を連続で1000枚出力した。
[評価方法]
<細線再現性>
上記で得られた画像パターンの「初期」、「1000枚画出し後」、および「書き込み工程および1000枚画出し後」の印字画像を、デジタルマイクロスコープ「VHX−600」(株式会社キーエンス製)にて拡大した。その得られたモニター画像から、インジケーターにより細線の線幅や、交点での細線の線幅などを観察し、下記基準によりランク付けした。A〜Dが合格である。また、図3は、評価に使用した細線の交点を示す図であり、太実線丸印が4直線の交点、細実線丸印が3直線の交点、破線丸印が2直線の交点である:
A:細線や交点で線幅が太くなっている箇所は見られない
B:4直線の交点で線が太くなっている
C:3直線の交点で線が太くなっている
D:2直線の交点で線が太くなっている
E:細線自体が太くなっている。
評価結果を下記表2に示す。
上記表2から明らかなように、本発明の原版を用いた場合、デジタルでのパターンの書き換えが容易であり、かつ耐久性に優れることが分かった。実施例19は、原版M−2が有する表面層全面に光照射を行い、一度表面層を親水性にした後、パターン膜形成を行った例であるが、このような場合でも、本発明の原版は良好な耐久性を有することが分かった。
1 インク膜形成用原版、
2 版胴、
3 ブランケット、
4 圧胴、
5 インクローラー、
6 水ローラー、
7 単色レーザー光源、
8 被印刷体、
10 パターン膜形成装置。

Claims (20)

  1. 外部刺激に応答して水との親和性が可逆的に変化する刺激応答性化合物と、樹脂と、を含む表面層を有する、インク膜形成用原版。
  2. 前記刺激応答性化合物は、光応答性化合物または温度応答性化合物である、請求項1に記載のインク膜形成用原版。
  3. 前記光応答性化合物は、親水性基を有するアゾベンゼン化合物または親水性基を有するスチルベン化合物である、請求項2に記載のインク膜形成用原版。
  4. 前記親水性基はヒドロキシ基である、請求項3に記載のインク膜形成用原版。
  5. 前記温度応答性化合物が、N−置換(メタ)アクリルアミド由来の構成単位を有する高分子である、請求項2に記載のインク膜形成用原版。
  6. 前記樹脂が熱可塑性樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインク膜形成用原版。
  7. 前記表面層における前記刺激応答性化合物の含有量は、前記表面層に含まれる前記刺激応答性化合物と前記樹脂との合計質量を100質量%として、20〜70質量%である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク膜形成用原版。
  8. 前記表面層における前記刺激応答性化合物の含有量は、前記表面層に含まれる前記刺激応答性化合物と前記樹脂との合計質量を100質量%として、30〜60質量%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク膜形成用原版。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク膜形成用原版が有する表面層に対して、外部刺激を付与し、親水性部位および疎水性部位からなるパターンを形成する第1の書き込み工程を有する、パターン形成方法。
  10. 前記外部刺激は、光または温度変化である、請求項9に記載のパターン形成方法。
  11. 前記外部刺激は、波長280〜400nmの領域の光である、請求項9または10に記載のパターン形成方法。
  12. 前記親水性部位および疎水性部位からなるパターンは、
    前記パターンに外部刺激を付与してパターンを消去する消去工程と、
    前記消去工程の後に、外部刺激を付与し、親水性部位および疎水性部位からなるパターンを形成する第2の書き込み工程と、
    をさらに行うことにより書き換え可能である、請求項9〜11のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  13. インク膜形成用原版の表面層に外部刺激を付与して、親水性部位および疎水性部位からなるパターンを形成する第1の書き込み工程と、
    前記パターン上にインク膜を形成する工程と、
    前記インク膜が形成された原版に対して、ブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことで、前記ブランケットのインク膜用表面に前記パターンの疎水性部位上に形成されたインク膜のみを転写する第1の転写工程と、
    転写されたインク膜を有する前記ブランケットに対して、被印刷体を相対的に押し当て引き離すことで、前記被印刷体表面にインク膜を転写する第2の転写工程と、
    を有する、パターン膜形成方法であって、
    前記インク膜形成用原版に、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク膜形成用原版を用いる、パターン膜形成方法。
  14. 前記被印刷体表面にインク膜を転写する工程の後に、前記パターンに外部刺激を付与してパターンを消去する消去工程をさらに有する、請求項13に記載のパターン膜形成方法。
  15. 前記消去工程で用いられる外部刺激は、光または温度変化である、請求項14に記載のパターン膜形成方法。
  16. 前記消去工程で用いられる外部刺激は、可視光である、請求項14または15に記載のパターン膜形成方法。
  17. 前記パターンは、前記消去工程の後に、外部刺激を付与し、親水性部位および疎水性部位からなるパターンを形成する第2の書き込み工程をさらに行うことにより書き換え可能である、請求項14〜16のいずれか1項に記載のパターン膜形成方法。
  18. インク膜形成用原版と、
    前記原版の表面層に外部刺激を付与して、親水性部位および疎水性部位からなるパターンを形成する書き込み手段と、
    前記パターン上にインク膜を形成するインク膜形成手段と、
    前記インク膜が形成された原版に対して、ブランケットのインク膜用表面を相対的に押し当て引き離すことで、前記ブランケットのインク膜用表面に、前記パターンの疎水性部位上に形成されたインク膜のみを転写する第1の転写手段と、
    転写されたインク膜を有する前記ブランケットに対して、被印刷体を相対的に押し当て引き離すことで、前記被印刷体表面にインク膜を転写する第2の転写手段と、
    を有する、パターン膜形成装置であって、
    前記インク膜形成用原版は、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインク膜形成用原版である、パターン膜形成装置。
  19. 前記パターンに外部刺激を付与して、パターンを消去する消去手段をさらに有する、請求項18に記載のパターン膜形成装置。
  20. 前記親水性部位および疎水性部位からなるパターンは、
    前記パターンに外部刺激を付与してパターンを消去する消去工程と、
    前記消去工程の後に、外部刺激を付与し、親水性部位および疎水性部位からなるパターンを形成する書き込み工程と、
    をさらに行うことにより書き換え可能である、請求項18または19に記載のパターン膜形成装置。
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