JPH11352671A - オフセット印刷用刷版、その製法および刷版の再生法 - Google Patents
オフセット印刷用刷版、その製法および刷版の再生法Info
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- JPH11352671A JPH11352671A JP16211298A JP16211298A JPH11352671A JP H11352671 A JPH11352671 A JP H11352671A JP 16211298 A JP16211298 A JP 16211298A JP 16211298 A JP16211298 A JP 16211298A JP H11352671 A JPH11352671 A JP H11352671A
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- Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 親疎水性変化に対する繰返し耐久性、および
光熱応答性分子の不安定構造の安定性に関する問題がな
く、さらに刷版基材を再使用することによって、高画質
・低価格のオフセット印刷用刷版を提供する。 【解決手段】 光熱応答性分子の双極子モーメントの変
化によって親疎水性が逆転する現像剤を冷暗所での光熱
応答性分子と同種の親疎水性を示す溶媒に分散または溶
解させ、現像液溶媒とは逆の親疎水性を示す表面を有す
る刷版基材に現像液を接触させる手段、画像書込光λ1
を現像液に露光させ現像剤の親疎水性を変化させて刷版
基材表面に付着させる手段、加熱および加圧により現像
剤を刷版基材に定着させる手段、加熱および(または)
波長λ2の光を照射して現像剤粒子表面の親疎水性をも
とに戻す手段を利用してオフセット印刷用刷版を製造す
る。
光熱応答性分子の不安定構造の安定性に関する問題がな
く、さらに刷版基材を再使用することによって、高画質
・低価格のオフセット印刷用刷版を提供する。 【解決手段】 光熱応答性分子の双極子モーメントの変
化によって親疎水性が逆転する現像剤を冷暗所での光熱
応答性分子と同種の親疎水性を示す溶媒に分散または溶
解させ、現像液溶媒とは逆の親疎水性を示す表面を有す
る刷版基材に現像液を接触させる手段、画像書込光λ1
を現像液に露光させ現像剤の親疎水性を変化させて刷版
基材表面に付着させる手段、加熱および加圧により現像
剤を刷版基材に定着させる手段、加熱および(または)
波長λ2の光を照射して現像剤粒子表面の親疎水性をも
とに戻す手段を利用してオフセット印刷用刷版を製造す
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフセット印刷用
刷版、その製法および刷版の再生法に関するものであ
り、さらに詳しくは、たとえば現像液に分散させた現像
剤粒子の表面層、または現像液に溶解した現像剤高分子
の側鎖に含まれる光熱応答性分子の双極子モーメントの
大きさを、光および(または)熱により可逆的に変化さ
せて親疎水性を制御し、現像剤を刷版基板に選択的に付
着させることにより製造されるオフセット印刷用刷版、
その製法および刷版の再生法に関するものである。
刷版、その製法および刷版の再生法に関するものであ
り、さらに詳しくは、たとえば現像液に分散させた現像
剤粒子の表面層、または現像液に溶解した現像剤高分子
の側鎖に含まれる光熱応答性分子の双極子モーメントの
大きさを、光および(または)熱により可逆的に変化さ
せて親疎水性を制御し、現像剤を刷版基板に選択的に付
着させることにより製造されるオフセット印刷用刷版、
その製法および刷版の再生法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】印刷方式には大別して、刷版表面に凹凸
を形成し、その凸部にインクを保持させる凸版印刷、凹
部にインクを保持させるグラビア印刷、平らな刷版基材
の表面に親水性と疎水性の領域を形成し、親疎水性にし
たがって選択的に油性または水性インクを保持させるオ
フセット印刷、刷版を貫通する細孔を形成し、この細孔
を通して刷版表面にインクを供給するスクリーン印刷が
ある。これらの刷版を使用した印刷方式は、高速かつ大
量に高い画質の画像出力が可能であるが、刷版を作製す
るためのコストが高いため、少量印刷を行なうばあいに
はコストが高くなる。また、刷版の作製は、画像を色ご
とに分解した像を記録したフィルムを作製する手段、フ
ィルムから刷版基材に画像を転写する手段、転写された
画像を現像し刷版を作製する手段によって行なわれる
が、作製されたフィルムおよび刷版は修正および再生が
不可能であるため、少量印刷を行なうばあいのコスト高
に拍車をかけている。
を形成し、その凸部にインクを保持させる凸版印刷、凹
部にインクを保持させるグラビア印刷、平らな刷版基材
の表面に親水性と疎水性の領域を形成し、親疎水性にし
たがって選択的に油性または水性インクを保持させるオ
フセット印刷、刷版を貫通する細孔を形成し、この細孔
を通して刷版表面にインクを供給するスクリーン印刷が
ある。これらの刷版を使用した印刷方式は、高速かつ大
量に高い画質の画像出力が可能であるが、刷版を作製す
るためのコストが高いため、少量印刷を行なうばあいに
はコストが高くなる。また、刷版の作製は、画像を色ご
とに分解した像を記録したフィルムを作製する手段、フ
ィルムから刷版基材に画像を転写する手段、転写された
画像を現像し刷版を作製する手段によって行なわれる
が、作製されたフィルムおよび刷版は修正および再生が
不可能であるため、少量印刷を行なうばあいのコスト高
に拍車をかけている。
【0003】近年、オンデマンド印刷に代表される少量
・短納期の印刷物需要が急増しているが、刷版を使用す
る従来の印刷法ではオンデマンド印刷の需要に充分対応
できないため、フィルム作製を必要とせず、コンピュー
ターの画像データから直接刷版を作製するComputer-To-
Plate(CTP)方式の刷版作製法が普及してきている。刷版
を使用しないオンデマンド印刷機としては、インクジェ
ット方式や電子写真方式が市場投入されているが、これ
らの方式では印刷速度が遅いこと、刷版を使用した印刷
に比べて画質が劣ること、画質の安定性が悪いことな
ど、いまだ問題点が多い。
・短納期の印刷物需要が急増しているが、刷版を使用す
る従来の印刷法ではオンデマンド印刷の需要に充分対応
できないため、フィルム作製を必要とせず、コンピュー
ターの画像データから直接刷版を作製するComputer-To-
Plate(CTP)方式の刷版作製法が普及してきている。刷版
を使用しないオンデマンド印刷機としては、インクジェ
ット方式や電子写真方式が市場投入されているが、これ
らの方式では印刷速度が遅いこと、刷版を使用した印刷
に比べて画質が劣ること、画質の安定性が悪いことな
ど、いまだ問題点が多い。
【0004】そこで、光および(または)熱により双極
子モーメントの変化する光熱応答性分子を利用すること
によって、刷版表面の親疎水性を可逆的に制御する再生
可能なオフセット刷版作製方法が提案されている(特開
平8−3463号公報)。刷版表面の凹凸や細孔を利用
した凸版印刷、凹版印刷、スクリーン印刷においては、
刷版を物理的に加工するために刷版の再生は困難である
が、オフセット印刷では、刷版表面を親水性領域と疎水
性領域に区画することによりインクを選択的に保持させ
るため、刷版表面の親疎水性を外部刺激により可逆的に
制御して、刷版を再生使用可能とするものである。すな
わち、刷版を使用することにより高画質・高速出力を、
刷版が再生可能であることにより刷版の修正・廃棄コス
トを低減するものである。
子モーメントの変化する光熱応答性分子を利用すること
によって、刷版表面の親疎水性を可逆的に制御する再生
可能なオフセット刷版作製方法が提案されている(特開
平8−3463号公報)。刷版表面の凹凸や細孔を利用
した凸版印刷、凹版印刷、スクリーン印刷においては、
刷版を物理的に加工するために刷版の再生は困難である
が、オフセット印刷では、刷版表面を親水性領域と疎水
性領域に区画することによりインクを選択的に保持させ
るため、刷版表面の親疎水性を外部刺激により可逆的に
制御して、刷版を再生使用可能とするものである。すな
わち、刷版を使用することにより高画質・高速出力を、
刷版が再生可能であることにより刷版の修正・廃棄コス
トを低減するものである。
【0005】水は非常に双極子モーメントの大きい分子
であり、分子間の相互作用が強い。双極子モーメントの
大きい分子構造は水と強く相互作用するので、双極子モ
ーメントの大きい分子構造を多く含む材料表面上の水滴
は、接触面積が大きくなるように材料表面に広がる。こ
れが、親水性表面の分子論的な意味であり、双極子モー
メントの大きい分子構造自体も親水性と呼ばれる。逆に
双極子モーメントの小さい分子構造は疎水性と呼ばれ
る。この性質を利用して、刷版表面の分子構造の双極子
モーメントの大きさを可逆的に制御して刷版表面の親疎
水性を制御し、再生可能なオフセット印刷用刷版をえよ
うとするものである。
であり、分子間の相互作用が強い。双極子モーメントの
大きい分子構造は水と強く相互作用するので、双極子モ
ーメントの大きい分子構造を多く含む材料表面上の水滴
は、接触面積が大きくなるように材料表面に広がる。こ
れが、親水性表面の分子論的な意味であり、双極子モー
メントの大きい分子構造自体も親水性と呼ばれる。逆に
双極子モーメントの小さい分子構造は疎水性と呼ばれ
る。この性質を利用して、刷版表面の分子構造の双極子
モーメントの大きさを可逆的に制御して刷版表面の親疎
水性を制御し、再生可能なオフセット印刷用刷版をえよ
うとするものである。
【0006】上述の光熱応答性分子を利用したオフセッ
ト刷版作製方法について、フォトクロミック分子として
知られているアゾベンゼン誘導体を用いて説明する。こ
のアゾベンゼン誘導体は、式(I)に示すように室温で
は双極子モーメントの小さい、疎水性のトランス型異性
体が安定である。このトランス型異性体は波長λ1の光
照射によりトランス−シス異性化を起こし、分子の双極
子モーメントが増大して親水性になる。シス型異性体は
熱的に不安定であり、熱により疎水性のトランス型異性
体に戻る。シス型異性体は、より短波長λ2の光照射に
よってもトランス型異性体に戻る。
ト刷版作製方法について、フォトクロミック分子として
知られているアゾベンゼン誘導体を用いて説明する。こ
のアゾベンゼン誘導体は、式(I)に示すように室温で
は双極子モーメントの小さい、疎水性のトランス型異性
体が安定である。このトランス型異性体は波長λ1の光
照射によりトランス−シス異性化を起こし、分子の双極
子モーメントが増大して親水性になる。シス型異性体は
熱的に不安定であり、熱により疎水性のトランス型異性
体に戻る。シス型異性体は、より短波長λ2の光照射に
よってもトランス型異性体に戻る。
【0007】式(I):
【0008】
【化1】
【0009】このようなアゾベンゼン誘導体をポリスチ
レン、ポリメタクリル酸メチルなどの熱可塑性樹脂中に
分散させた樹脂材料、またはビニル基を有するアゾベン
ゼン誘導体を他のビニル系モノマーと共重合させた高分
子材料において、アゾベンゼン誘導体は冷暗所では安定
構造となり疎水性を示すが、波長λ1の光照射により異
性化し双極子モーメントが増大するため、材料表面は親
水性へと変化する。この親水性は加熱、放置または波長
λ2の光照射によって、もとの疎水性に戻る。このよう
な親疎水性変化を利用して、刷版の再生使用を行なうも
のである。
レン、ポリメタクリル酸メチルなどの熱可塑性樹脂中に
分散させた樹脂材料、またはビニル基を有するアゾベン
ゼン誘導体を他のビニル系モノマーと共重合させた高分
子材料において、アゾベンゼン誘導体は冷暗所では安定
構造となり疎水性を示すが、波長λ1の光照射により異
性化し双極子モーメントが増大するため、材料表面は親
水性へと変化する。この親水性は加熱、放置または波長
λ2の光照射によって、もとの疎水性に戻る。このよう
な親疎水性変化を利用して、刷版の再生使用を行なうも
のである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】刷版を再生使用するた
めには、親疎水性変化の繰返し耐久性、および光照射時
の光熱応答性分子の構造安定性が要求される。しかし、
光熱応答性分子を利用した材料表面の親疎水性変化は、
通常繰り返し回数が数回から数十回程度である。また、
光照射時の光熱応答性分子の不安定構造の寿命が短く、
冷暗所での安定構造へと戻ってしまい、記録した画像を
長時間維持できないため、この方式での刷版作製法は今
のところ実用化されていない。
めには、親疎水性変化の繰返し耐久性、および光照射時
の光熱応答性分子の構造安定性が要求される。しかし、
光熱応答性分子を利用した材料表面の親疎水性変化は、
通常繰り返し回数が数回から数十回程度である。また、
光照射時の光熱応答性分子の不安定構造の寿命が短く、
冷暗所での安定構造へと戻ってしまい、記録した画像を
長時間維持できないため、この方式での刷版作製法は今
のところ実用化されていない。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点に
鑑み、親疎水性変化の繰り返し耐久性、さらに光熱応答
性分子の不安定構造の寿命に関する制限を考慮すること
のない、オフセット印刷用刷版、その製法および刷版の
再生法を提供することを目的とする。
鑑み、親疎水性変化の繰り返し耐久性、さらに光熱応答
性分子の不安定構造の寿命に関する制限を考慮すること
のない、オフセット印刷用刷版、その製法および刷版の
再生法を提供することを目的とする。
【0012】請求項1にかかる発明は、現像剤が、光お
よび(または)熱により分子の双極子モーメントの大き
さが可逆的に変化する光熱応答性分子を分散した光熱応
答性樹脂材料、または当該光熱応答性分子を側鎖に有す
る光熱応答性高分子材料からなり、当該現像剤の親疎水
性が光熱応答性分子の双極子モーメントの変化によって
逆転するものであって、当該現像剤を冷暗所での光熱応
答性分子と同種の親疎水性を示す溶媒に分散または溶解
させた現像液を用いたオフセット印刷用刷版の製法にお
いて、現像液溶媒とは逆の親疎水性を示す基材表面を有
し、画像書込光を透過する刷版基材を現像液表面に接触
させる手段、波長λ1の画像書込光を刷版基材側から現
像液に露光することにより現像剤の親疎水性を変化さ
せ、現像剤を刷版基材表面に付着させる手段、加熱およ
び加圧により現像剤を軟化させ刷版基材に定着させる手
段、現像剤粒子表面の親疎水性をもとに戻すために加熱
および(または)波長λ2の光を照射する手段からなる
オフセット印刷用刷版の製法である。
よび(または)熱により分子の双極子モーメントの大き
さが可逆的に変化する光熱応答性分子を分散した光熱応
答性樹脂材料、または当該光熱応答性分子を側鎖に有す
る光熱応答性高分子材料からなり、当該現像剤の親疎水
性が光熱応答性分子の双極子モーメントの変化によって
逆転するものであって、当該現像剤を冷暗所での光熱応
答性分子と同種の親疎水性を示す溶媒に分散または溶解
させた現像液を用いたオフセット印刷用刷版の製法にお
いて、現像液溶媒とは逆の親疎水性を示す基材表面を有
し、画像書込光を透過する刷版基材を現像液表面に接触
させる手段、波長λ1の画像書込光を刷版基材側から現
像液に露光することにより現像剤の親疎水性を変化さ
せ、現像剤を刷版基材表面に付着させる手段、加熱およ
び加圧により現像剤を軟化させ刷版基材に定着させる手
段、現像剤粒子表面の親疎水性をもとに戻すために加熱
および(または)波長λ2の光を照射する手段からなる
オフセット印刷用刷版の製法である。
【0013】請求項2にかかる発明は、熱応答性分子
が、光および(または)熱により異性化することによっ
て分子の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化する
ような分子である請求項1記載のオフセット印刷用刷版
の製法である。
が、光および(または)熱により異性化することによっ
て分子の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化する
ような分子である請求項1記載のオフセット印刷用刷版
の製法である。
【0014】請求項3にかかる発明は、熱応答性分子
が、光および(または)熱により極性基または低分子化
合物の脱着によって分子の双極子モーメントの大きさが
可逆的に変化するような分子である請求項1記載のオフ
セット印刷用刷版の製法である。
が、光および(または)熱により極性基または低分子化
合物の脱着によって分子の双極子モーメントの大きさが
可逆的に変化するような分子である請求項1記載のオフ
セット印刷用刷版の製法である。
【0015】請求項4にかかる発明は、現像剤中の光熱
応答性分子を分散した樹脂材料、または当該光熱応答性
分子を側鎖に有する高分子材料が、少くとも現像剤の表
面に存在する粒子であって、現像剤が冷暗所での光熱応
答性分子と同種の親疎水性を示す溶媒に分散している請
求項1記載のオフセット印刷用刷版の製法製法である。
応答性分子を分散した樹脂材料、または当該光熱応答性
分子を側鎖に有する高分子材料が、少くとも現像剤の表
面に存在する粒子であって、現像剤が冷暗所での光熱応
答性分子と同種の親疎水性を示す溶媒に分散している請
求項1記載のオフセット印刷用刷版の製法製法である。
【0016】請求項5にかかる発明は、粒子の粒径が
0.1〜20μmである請求項4記載のオフセット印刷
用刷版の製法である。
0.1〜20μmである請求項4記載のオフセット印刷
用刷版の製法である。
【0017】請求項6にかかる発明は、現像剤が光熱応
答性分子を側鎖として有する高分子であって、当該現像
剤が冷暗所での光熱応答性分子と同種の親疎水性を示す
溶媒に溶解している請求項1記載のオフセット印刷用刷
版の製法である。
答性分子を側鎖として有する高分子であって、当該現像
剤が冷暗所での光熱応答性分子と同種の親疎水性を示す
溶媒に溶解している請求項1記載のオフセット印刷用刷
版の製法である。
【0018】請求項7にかかる発明は、請求項1記載の
製法により製造された、光熱応答性分子を含む現像剤表
面および光熱応答性分子の不安定構造と同様の親疎水性
を示す刷版基材表面が形成されたオフセット印刷用刷版
である。
製法により製造された、光熱応答性分子を含む現像剤表
面および光熱応答性分子の不安定構造と同様の親疎水性
を示す刷版基材表面が形成されたオフセット印刷用刷版
である。
【0019】請求項8にかかる発明は、請求項7記載の
オフセット印刷用刷版を、刷版に定着している現像剤を
溶解するが、刷版基材は溶解しない溶媒により洗浄する
ことによって、刷版基材を再生するオフセット印刷用刷
版の再生法である。
オフセット印刷用刷版を、刷版に定着している現像剤を
溶解するが、刷版基材は溶解しない溶媒により洗浄する
ことによって、刷版基材を再生するオフセット印刷用刷
版の再生法である。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明は、現像剤が、光および
(または)熱により分子の双極子モーメントの大きさが
可逆的に変化する光熱応答性分子を分散した光熱応答性
樹脂材料、または当該光熱応答性分子を側鎖に有する光
熱応答性高分子材料からなり、当該現像剤の親疎水性が
光熱応答性分子の双極子モーメントの変化によって逆転
するものであって、当該現像剤を冷暗所での光熱応答性
分子と同種の親疎水性を示す溶媒に分散または溶解して
いる現像剤を用いたオフセット印刷用刷版の製法に関す
るものである。
(または)熱により分子の双極子モーメントの大きさが
可逆的に変化する光熱応答性分子を分散した光熱応答性
樹脂材料、または当該光熱応答性分子を側鎖に有する光
熱応答性高分子材料からなり、当該現像剤の親疎水性が
光熱応答性分子の双極子モーメントの変化によって逆転
するものであって、当該現像剤を冷暗所での光熱応答性
分子と同種の親疎水性を示す溶媒に分散または溶解して
いる現像剤を用いたオフセット印刷用刷版の製法に関す
るものである。
【0021】本発明における光熱応答性分子とは、光の
照射および(または)加熱による分子構造の変化にとも
なって、双極子モーメントが可逆的に変化するような分
子である。たとえばアゾベンゼン誘導体、スピロベンゾ
ピラン誘導体、スピロナフトオキサジン誘導体、サリチ
リデンアニリン誘導体、o−ニトロベンゼン誘導体、フ
ルキド誘導体、ジアリールエテン誘導体、シクロファン
誘導体などのように、光および(または)熱により異性
化することによって双極子モーメントの大きさが可逆的
に変化するような分子があげられる。また、トリアリー
ルメタン誘導体などのように、光および(まはた)熱に
より極性基の解離・結合、または低分子化合物の脱着に
より双極子モーメントの大きさが可逆的に変化するよう
な分子があげられる。これらのなかでは、双極子モーメ
ントの変化が大きい点で、スピロベンゾピラン誘導体、
スピロナフトオキサジン誘導体、サリチリデンアニリン
誘導体、o−ニトロベンゼン誘導体、トリアリールメタ
ン誘導体が好ましい。
照射および(または)加熱による分子構造の変化にとも
なって、双極子モーメントが可逆的に変化するような分
子である。たとえばアゾベンゼン誘導体、スピロベンゾ
ピラン誘導体、スピロナフトオキサジン誘導体、サリチ
リデンアニリン誘導体、o−ニトロベンゼン誘導体、フ
ルキド誘導体、ジアリールエテン誘導体、シクロファン
誘導体などのように、光および(または)熱により異性
化することによって双極子モーメントの大きさが可逆的
に変化するような分子があげられる。また、トリアリー
ルメタン誘導体などのように、光および(まはた)熱に
より極性基の解離・結合、または低分子化合物の脱着に
より双極子モーメントの大きさが可逆的に変化するよう
な分子があげられる。これらのなかでは、双極子モーメ
ントの変化が大きい点で、スピロベンゾピラン誘導体、
スピロナフトオキサジン誘導体、サリチリデンアニリン
誘導体、o−ニトロベンゼン誘導体、トリアリールメタ
ン誘導体が好ましい。
【0022】たとえば光熱応答性分子として、スピロピ
ラン誘導体を用いたばあいには、式(II)に示すよう
に、光および(または)熱により異性化することによっ
て、双極子モーメントが可逆的に変化する。
ラン誘導体を用いたばあいには、式(II)に示すよう
に、光および(または)熱により異性化することによっ
て、双極子モーメントが可逆的に変化する。
【0023】式(II):
【0024】
【化2】
【0025】一方、光熱応答性分子としてトリアリール
メタン誘導体を用いたばあいには、式(III)に示すよ
うに、光および(または)熱により極性基である水酸基
が解離することによって、双極子モーメントが可逆的に
変化する。
メタン誘導体を用いたばあいには、式(III)に示すよ
うに、光および(または)熱により極性基である水酸基
が解離することによって、双極子モーメントが可逆的に
変化する。
【0026】式(III):
【0027】
【化3】
【0028】光熱応答性分子は、光および(または)熱
により分子の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化
するが、この可逆的変化の繰返し回数は、1回以上であ
ることが必要である。従来の光熱応答性分子を利用した
方法では、できるだけ繰返し回数が多いことが必要であ
ったが、本発明ではこの回数が非常に少なく、光熱応答
性分子の選択基準が非常に緩やかなものになる。
により分子の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化
するが、この可逆的変化の繰返し回数は、1回以上であ
ることが必要である。従来の光熱応答性分子を利用した
方法では、できるだけ繰返し回数が多いことが必要であ
ったが、本発明ではこの回数が非常に少なく、光熱応答
性分子の選択基準が非常に緩やかなものになる。
【0029】ここで、双極子モーメントの大きさは誘電
率測定によって確認することができる。
率測定によって確認することができる。
【0030】光熱応答性分子の光および(または)熱に
よって変化する分子構造部分の、光および(または)熱
による双極子モーメントの変化は0.1D以上が好まし
い。0.1D未満のばあいは、充分な親疎水性変化が誘
起できない傾向がある。
よって変化する分子構造部分の、光および(または)熱
による双極子モーメントの変化は0.1D以上が好まし
い。0.1D未満のばあいは、充分な親疎水性変化が誘
起できない傾向がある。
【0031】このような光熱応答性分子は、樹脂材料に
分散させて光熱応答性樹脂材料として、または高分子の
側鎖に導入することによって光熱応答性高分子材料とし
て、現像剤に使用することができる。
分散させて光熱応答性樹脂材料として、または高分子の
側鎖に導入することによって光熱応答性高分子材料とし
て、現像剤に使用することができる。
【0032】光応答性樹脂材料に用いる樹脂としては、
たとえばポリアミド、ポリエステル、アクリル、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重
合体などがあげられる。これらのなかでは、刷版基材と
の接着性の点で、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ス
チレン−酢酸ビニル共重合体などが好ましい。
たとえばポリアミド、ポリエステル、アクリル、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重
合体などがあげられる。これらのなかでは、刷版基材と
の接着性の点で、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ス
チレン−酢酸ビニル共重合体などが好ましい。
【0033】光熱応答性分子の添加量は、光熱応答性樹
脂材料100%(重量%、以下同様)中5〜70%であ
ることが好ましい。5%未満のばあいは、刷版基材への
現像剤の付着が困難となり、70%をこえるばあいは、
溶媒に分散させることが困難となる傾向がある。
脂材料100%(重量%、以下同様)中5〜70%であ
ることが好ましい。5%未満のばあいは、刷版基材への
現像剤の付着が困難となり、70%をこえるばあいは、
溶媒に分散させることが困難となる傾向がある。
【0034】光熱応答性高分子材料としては、たとえば
光熱応答性分子を分子構造に含むモノマーを単独で重合
したもの、光熱応答性分子を分子構造に含むモノマーと
光熱応答性分子を有しないモノマーを共重合したものな
どがあげられる。これらのなかでは、溶媒への溶解性
や、刷版基材への付着性および定着性を任意に設計でき
る点で、共重合体が好ましい。
光熱応答性分子を分子構造に含むモノマーを単独で重合
したもの、光熱応答性分子を分子構造に含むモノマーと
光熱応答性分子を有しないモノマーを共重合したものな
どがあげられる。これらのなかでは、溶媒への溶解性
や、刷版基材への付着性および定着性を任意に設計でき
る点で、共重合体が好ましい。
【0035】光熱応答性分子を分子構造に含むモノマー
としては、たとえば光熱応答性分子を分子構造に含むビ
ニル化合物、光熱応答性分子を分子構造に含むジカルボ
ン酸、光熱応答性分子を分子構造に含むジアミン、光熱
応答性分子を分子構造に含むジオールなどがあげられ
る。一方、光熱応答性分子を分子構造に含まないモノマ
ーとしては、たとえば酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレ
ン、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリ
ル、エチレン、ジカルボン酸、ジアミン、ジオールなど
があげられる。
としては、たとえば光熱応答性分子を分子構造に含むビ
ニル化合物、光熱応答性分子を分子構造に含むジカルボ
ン酸、光熱応答性分子を分子構造に含むジアミン、光熱
応答性分子を分子構造に含むジオールなどがあげられ
る。一方、光熱応答性分子を分子構造に含まないモノマ
ーとしては、たとえば酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレ
ン、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリロニトリ
ル、エチレン、ジカルボン酸、ジアミン、ジオールなど
があげられる。
【0036】光熱応答性高分子材料の好ましい具体例と
しては、たとえば光熱応答性分子を分子構造に含むビニ
ル化合物、酢酸ビニル、塩化ビニルを共重合したもの、
光熱応答性分子を分子構造に含むジカルボン酸、ジオー
ルを共重合したものなどがあげられる。
しては、たとえば光熱応答性分子を分子構造に含むビニ
ル化合物、酢酸ビニル、塩化ビニルを共重合したもの、
光熱応答性分子を分子構造に含むジカルボン酸、ジオー
ルを共重合したものなどがあげられる。
【0037】光熱応答性分子を分子構造に含むモノマー
を共重合するばあいの共重合量は、光熱応答性高分子材
料100%中、3〜80%であることが好ましい。3%
未満のばあいは、不溶化が困難となり、80%をこえる
ばあいは、刷版基材への定着が困難となる傾向がある。
を共重合するばあいの共重合量は、光熱応答性高分子材
料100%中、3〜80%であることが好ましい。3%
未満のばあいは、不溶化が困難となり、80%をこえる
ばあいは、刷版基材への定着が困難となる傾向がある。
【0038】光熱応答性樹脂材料または光熱応答性高分
子材料を含む現像剤は、光熱応答性分子の双極子モーメ
ントの変化によって親疎水性が逆転するものである。こ
こで親水性とは、このような現像剤を刷版表面に形成し
たばあいに、双極子モーメントの大きい水と相互作用し
て材料表面上の水滴の接触面積が大きくなるように、材
料表面に広がることをいう。たとえば水に対する接触角
は、90°未満であることが好ましく、87°未満であ
ることがより好ましい。逆に、疎水性とは、双極子モー
メントの大きい水と相互作用せず、材料表面上の水滴の
接触面積が小さくすることをいう。たとえば水に対する
接触角は、90°をこえることが好ましく、93°をこ
えることがより好ましい。
子材料を含む現像剤は、光熱応答性分子の双極子モーメ
ントの変化によって親疎水性が逆転するものである。こ
こで親水性とは、このような現像剤を刷版表面に形成し
たばあいに、双極子モーメントの大きい水と相互作用し
て材料表面上の水滴の接触面積が大きくなるように、材
料表面に広がることをいう。たとえば水に対する接触角
は、90°未満であることが好ましく、87°未満であ
ることがより好ましい。逆に、疎水性とは、双極子モー
メントの大きい水と相互作用せず、材料表面上の水滴の
接触面積が小さくすることをいう。たとえば水に対する
接触角は、90°をこえることが好ましく、93°をこ
えることがより好ましい。
【0039】このような光熱応答性樹脂材料および高分
子材料は、冷暗所での光熱応答性分子と同種の親疎水性
を示す溶媒に分散させた分散型現像液、またはこのよう
な溶媒に溶解させた溶液型現像液として用いることがで
きる。
子材料は、冷暗所での光熱応答性分子と同種の親疎水性
を示す溶媒に分散させた分散型現像液、またはこのよう
な溶媒に溶解させた溶液型現像液として用いることがで
きる。
【0040】ここで、冷暗所とは光熱応答性分子が不安
定構造に変化しない環境であり、たとえば温度が0〜5
0℃、不安定構造に変化する波長の光に対する光学濃度
が1.5以上の容器内といった場所である。
定構造に変化しない環境であり、たとえば温度が0〜5
0℃、不安定構造に変化する波長の光に対する光学濃度
が1.5以上の容器内といった場所である。
【0041】安定構造の光熱応答性分子とは、分子のエ
ネルギーが低い安定状態の構造を有している光熱応答性
分子を、一方、不安定構造の光熱応答性分子とは、安定
構造よりもエネルギーが高い不安定状態の構造を有して
いる光熱応答性分子をいう。
ネルギーが低い安定状態の構造を有している光熱応答性
分子を、一方、不安定構造の光熱応答性分子とは、安定
構造よりもエネルギーが高い不安定状態の構造を有して
いる光熱応答性分子をいう。
【0042】分散型現像液を用いるばあいには、光熱応
答性樹脂材料または光応答性高分子材料は、分散溶媒へ
の分散性、刷版基材への定着性を改善するために、酢酸
ビニル、塩化ビニル、スチレン、アクリル酸、アクリル
酸エステル、アクリロニトリル、エチレン、ジカルボン
酸、ジアミン、ジオールなどのモノマーからなる樹脂を
ブレンドまたは共重合することができる。また、分散し
た現像剤粒子の表面が少くとも光熱応答性分子を含む樹
脂材料または高分子材料で覆われていれば、芯材は光熱
応答性分子を含む樹脂材料、光熱応答性分子を含む高分
子材料、これらと異なる樹脂材料、無機材料微粒子、ま
たはこれらを組み合わせたものを用いることもできる。
答性樹脂材料または光応答性高分子材料は、分散溶媒へ
の分散性、刷版基材への定着性を改善するために、酢酸
ビニル、塩化ビニル、スチレン、アクリル酸、アクリル
酸エステル、アクリロニトリル、エチレン、ジカルボン
酸、ジアミン、ジオールなどのモノマーからなる樹脂を
ブレンドまたは共重合することができる。また、分散し
た現像剤粒子の表面が少くとも光熱応答性分子を含む樹
脂材料または高分子材料で覆われていれば、芯材は光熱
応答性分子を含む樹脂材料、光熱応答性分子を含む高分
子材料、これらと異なる樹脂材料、無機材料微粒子、ま
たはこれらを組み合わせたものを用いることもできる。
【0043】分散型現像液の溶媒としては、光熱応答性
分子の安定構造と同種の親疎水性を示すものであれば、
とくに限定されず、たとえば疎水性溶媒としてn−ブチ
ルエーテル、n−ヘキシルエーテル、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、トルエン、ヘキサンな
ど、親水性溶媒として水、メタノール、エタノールなど
があげられる。これらのなかでは、疎水性溶媒は極性の
大きい物質の溶解性が小さいという点で、n−ブチルエ
ーテル、n−ヘキシルエーテル、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトンが、親水性溶媒は揮発性が小さ
く、安全、安価である点で、水が好ましい。また、これ
らの溶媒には、光熱応答性分子を有する樹脂材料また高
分子材料の分散性を安定させるために界面活性剤などの
分散安定剤を添加することもできる。
分子の安定構造と同種の親疎水性を示すものであれば、
とくに限定されず、たとえば疎水性溶媒としてn−ブチ
ルエーテル、n−ヘキシルエーテル、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、トルエン、ヘキサンな
ど、親水性溶媒として水、メタノール、エタノールなど
があげられる。これらのなかでは、疎水性溶媒は極性の
大きい物質の溶解性が小さいという点で、n−ブチルエ
ーテル、n−ヘキシルエーテル、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトンが、親水性溶媒は揮発性が小さ
く、安全、安価である点で、水が好ましい。また、これ
らの溶媒には、光熱応答性分子を有する樹脂材料また高
分子材料の分散性を安定させるために界面活性剤などの
分散安定剤を添加することもできる。
【0044】分散型現像液の溶媒の添加量は、現像液1
00%に対して50〜95%であることが好ましい。5
0%未満のばあいは、現像剤の分散が困難となり、95
%をこえるばあいは、刷版基材への現像剤の付着が困難
となる傾向がある。
00%に対して50〜95%であることが好ましい。5
0%未満のばあいは、現像剤の分散が困難となり、95
%をこえるばあいは、刷版基材への現像剤の付着が困難
となる傾向がある。
【0045】分散型現像液中の現像剤粒子において、光
熱応答性樹脂材料または光熱応答性高分子材料は、現像
剤の表面に存在することが好ましい。現像剤の表面に存
在することによって、現像剤の親疎水性変化が生じやす
くなるからである。
熱応答性樹脂材料または光熱応答性高分子材料は、現像
剤の表面に存在することが好ましい。現像剤の表面に存
在することによって、現像剤の親疎水性変化が生じやす
くなるからである。
【0046】分散型現像液中の現像剤粒子の粒径は、
0.1〜20μmであることが好ましく、0.1〜10
μmであることがより好ましい。20μm以上では現像
剤粒子が大きすぎ、溶媒への分散が困難となるととも
に、最終的な印刷物の解像度を低下させる傾向がある。
0.1〜20μmであることが好ましく、0.1〜10
μmであることがより好ましい。20μm以上では現像
剤粒子が大きすぎ、溶媒への分散が困難となるととも
に、最終的な印刷物の解像度を低下させる傾向がある。
【0047】溶液型現像液として用いるばあいには、溶
媒への溶解性、刷版への定着性を改善するために、光応
答性分子を有する高分子材料に酢酸ビニル、塩化ビニ
ル、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、アク
リロニトリル、エチレン、ジカルボン酸、ジアミン、ジ
オールなどのモノマー成分を共重合することができる。
媒への溶解性、刷版への定着性を改善するために、光応
答性分子を有する高分子材料に酢酸ビニル、塩化ビニ
ル、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、アク
リロニトリル、エチレン、ジカルボン酸、ジアミン、ジ
オールなどのモノマー成分を共重合することができる。
【0048】溶液型現像液の溶媒としては、光熱応答性
分子の安定構造と同種の親疎水性を示すものであれば、
とくに限定されず、たとえば疎水性溶媒としてn−ブチ
ルエーテル、n−ヘキシルエーテル、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、トルエン、ヘキサンな
ど、親水性溶媒として水、メタノール、エタノールなど
があげられる。これらのなかでは、疎水性溶媒は揮発性
が小さい、極性の大きい物質の溶解性が小さい点で、n
−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトンが、親水性溶媒は揮
発性が小さく、安全、安価である点で、水が好ましい。
分子の安定構造と同種の親疎水性を示すものであれば、
とくに限定されず、たとえば疎水性溶媒としてn−ブチ
ルエーテル、n−ヘキシルエーテル、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、トルエン、ヘキサンな
ど、親水性溶媒として水、メタノール、エタノールなど
があげられる。これらのなかでは、疎水性溶媒は揮発性
が小さい、極性の大きい物質の溶解性が小さい点で、n
−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトンが、親水性溶媒は揮
発性が小さく、安全、安価である点で、水が好ましい。
【0049】溶液型現像液の溶媒の添加量は、現像液1
00%に対して30〜95%であることが好ましい。3
0%未満のばあいは、溶液の粘度が上昇して、たとえば
現像液の補給が困難となり、95%をこえるばあいは、
刷版基材への現像剤の付着が困難となる傾向がある。
00%に対して30〜95%であることが好ましい。3
0%未満のばあいは、溶液の粘度が上昇して、たとえば
現像液の補給が困難となり、95%をこえるばあいは、
刷版基材への現像剤の付着が困難となる傾向がある。
【0050】本発明のオフセット印刷用刷版の製法は、
前述の現像液を用い、現像液溶媒とは逆の親疎水性を示
す表面を有し、波長λ1の画像書込光を透過する刷版基
材を現像液表面に接触させる手段、画像書込光を刷版基
材側から現像液に露光することにより現像剤の親疎水性
を変化させ、現像剤を刷版基材表面に付着させる手段、
加熱および加圧により現像剤を軟化させ刷版基材に定着
させる手段、現像剤粒子表面の親疎水性をもとに戻すた
めに加熱および(または)波長λ2の光を照射する手段
からなる。
前述の現像液を用い、現像液溶媒とは逆の親疎水性を示
す表面を有し、波長λ1の画像書込光を透過する刷版基
材を現像液表面に接触させる手段、画像書込光を刷版基
材側から現像液に露光することにより現像剤の親疎水性
を変化させ、現像剤を刷版基材表面に付着させる手段、
加熱および加圧により現像剤を軟化させ刷版基材に定着
させる手段、現像剤粒子表面の親疎水性をもとに戻すた
めに加熱および(または)波長λ2の光を照射する手段
からなる。
【0051】本発明のオフセット印刷用刷版の製法を図
1を用いて説明する。一般的に光熱応答性分子は親水性
構造が不安定構造であるため、このばあいを以下に説明
するが、疎水性構造が不安定構造のばあいには親水性と
疎水性を逆にして、ジアリールエテン誘導体などのよう
に疎水性構造および親水性構造のどちらもが安定な光熱
応答性分子を使用するばあいには、どちらか一方を安定
構造、他方を不安定構造とすることによって、説明する
ことができる。
1を用いて説明する。一般的に光熱応答性分子は親水性
構造が不安定構造であるため、このばあいを以下に説明
するが、疎水性構造が不安定構造のばあいには親水性と
疎水性を逆にして、ジアリールエテン誘導体などのよう
に疎水性構造および親水性構造のどちらもが安定な光熱
応答性分子を使用するばあいには、どちらか一方を安定
構造、他方を不安定構造とすることによって、説明する
ことができる。
【0052】刷版基材2は、光熱応答性分子の不安定構
造と同種の親疎水性を示す基材表面を有し、刷版基材側
から、すなわち基材背面から光熱応答性分子の親疎水性
を制御するための画像書込光3を透過するものを用いる
ことができる。この刷版基材2は、背面からの光を透過
する適当な支持体で支持することもできる。刷版基材2
の形状は、とくに限定はなく、たとえばベルト状、ドラ
ム状または平板状などがあげられる。刷版基材2の材料
は、光熱応答性分子の不安定構造が親水性であるばあい
には、たとえばアルカリ処理したガラスやポリカーボネ
ート樹脂フィルムをポリアミド樹脂でコートしたものな
どがあげられるが、これらに限定されるものではない。
一方、光熱応答性分子の不安定構造が疎水性であるばあ
いは、たとえばポリカーボネートやポリエチレンなどが
あげられる。
造と同種の親疎水性を示す基材表面を有し、刷版基材側
から、すなわち基材背面から光熱応答性分子の親疎水性
を制御するための画像書込光3を透過するものを用いる
ことができる。この刷版基材2は、背面からの光を透過
する適当な支持体で支持することもできる。刷版基材2
の形状は、とくに限定はなく、たとえばベルト状、ドラ
ム状または平板状などがあげられる。刷版基材2の材料
は、光熱応答性分子の不安定構造が親水性であるばあい
には、たとえばアルカリ処理したガラスやポリカーボネ
ート樹脂フィルムをポリアミド樹脂でコートしたものな
どがあげられるが、これらに限定されるものではない。
一方、光熱応答性分子の不安定構造が疎水性であるばあ
いは、たとえばポリカーボネートやポリエチレンなどが
あげられる。
【0053】現像液1に、光熱応答性分子を疎水性の安
定構造に変化するために充分な熱または適当な波長の光
を照射し、光熱応答性分子を安定構造へと変化させたの
ち、冷暗所において、現像液1に刷版基材2の片面を接
触させる。この接触面とは反対側の刷版基材背面から、
光熱応答性分子を不安定構造に変化させるのに適当な波
長λ1の画像書込光3を照射して、光熱応答性分子を親
水性の不安定構造に変化させる。
定構造に変化するために充分な熱または適当な波長の光
を照射し、光熱応答性分子を安定構造へと変化させたの
ち、冷暗所において、現像液1に刷版基材2の片面を接
触させる。この接触面とは反対側の刷版基材背面から、
光熱応答性分子を不安定構造に変化させるのに適当な波
長λ1の画像書込光3を照射して、光熱応答性分子を親
水性の不安定構造に変化させる。
【0054】不安定構造へ変化させるための光の波長λ
1は、用いる光熱応答性分子によって異なるため、その
光熱応答性分子の構造変化に適した波長を選択すること
ができる。一方、総露光量は1mJ/cm2〜5J/c
m2であることが好ましい。1mJ/cm2未満のばあい
は、光熱応答性分子の不安定構造への変化が不充分とな
り、5J/cm2をこえるばあいは、有機材料(高分
子、溶媒)の分解が生じる傾向がある。
1は、用いる光熱応答性分子によって異なるため、その
光熱応答性分子の構造変化に適した波長を選択すること
ができる。一方、総露光量は1mJ/cm2〜5J/c
m2であることが好ましい。1mJ/cm2未満のばあい
は、光熱応答性分子の不安定構造への変化が不充分とな
り、5J/cm2をこえるばあいは、有機材料(高分
子、溶媒)の分解が生じる傾向がある。
【0055】不安定構造へ変化させるための温度も、用
いる光熱応答性分子によって異なるため、その光熱応答
性分子の構造変化に適した温度を選択することができ
る。
いる光熱応答性分子によって異なるため、その光熱応答
性分子の構造変化に適した温度を選択することができ
る。
【0056】分散型現像液のばあいは、光熱応答性分子
の親疎水性の変化により、現像剤粒子の表面が親水性の
不安定構造に変化するため、親水性である刷版の接触面
側に付着する。一方、溶液型現像液のばあいも同様に、
溶液型現像液中の現像剤高分子が光熱応答性分子の親疎
水性の変化により親水性へ変化する。このため、疎水性
溶媒に溶解するために必要なエネルギーが増大し、現像
剤高分子の析出が始まるとともに、親水性の刷版表面の
接触面側に付着する。
の親疎水性の変化により、現像剤粒子の表面が親水性の
不安定構造に変化するため、親水性である刷版の接触面
側に付着する。一方、溶液型現像液のばあいも同様に、
溶液型現像液中の現像剤高分子が光熱応答性分子の親疎
水性の変化により親水性へ変化する。このため、疎水性
溶媒に溶解するために必要なエネルギーが増大し、現像
剤高分子の析出が始まるとともに、親水性の刷版表面の
接触面側に付着する。
【0057】このように、光熱応答性分子の不安定構造
が親水性のばあいは、基材への現像剤の付着は、現像剤
粒子の表面が親水性に変化することによる表面エネルギ
ーの増大が原因である。現像剤粒子の表面エネルギーが
増大すると表面積を小さくするように作用するため、溶
媒に分散していた現像剤粒子の凝集が始まるとともに、
現像剤が親水性の刷版表面の接触面側に付着する。
が親水性のばあいは、基材への現像剤の付着は、現像剤
粒子の表面が親水性に変化することによる表面エネルギ
ーの増大が原因である。現像剤粒子の表面エネルギーが
増大すると表面積を小さくするように作用するため、溶
媒に分散していた現像剤粒子の凝集が始まるとともに、
現像剤が親水性の刷版表面の接触面側に付着する。
【0058】一方、光熱応答性分子の不安定構造が疎水
性のばあいは、上記の刷版背面からの波長λ1の光照射
により光熱応答性分子は疎水性へと変化する。たとえば
親水性溶媒として水を用いたばあいには、疎水性に変化
した光熱応答性物質の周囲に存在する水分子のエントロ
ピーが増大するため、水と疎水性物質との接触面積を小
さくするように力が働く。したがって、上記の不安定構
造が親水性のばあいと同様に、現像剤が疎水性の刷版表
面の接触面側に付着する。
性のばあいは、上記の刷版背面からの波長λ1の光照射
により光熱応答性分子は疎水性へと変化する。たとえば
親水性溶媒として水を用いたばあいには、疎水性に変化
した光熱応答性物質の周囲に存在する水分子のエントロ
ピーが増大するため、水と疎水性物質との接触面積を小
さくするように力が働く。したがって、上記の不安定構
造が親水性のばあいと同様に、現像剤が疎水性の刷版表
面の接触面側に付着する。
【0059】つぎに、現像剤が付着した刷版を現像液か
ら離したのち、刷版に加熱4および(または)加圧5を
行ない、刷版表面に付着した現像剤6に含まれる現像液
溶媒を乾燥させ、付着している現像剤を刷版に定着させ
る。光熱応答性分子がアゾベンゼン誘導体などのよう
に、熱により安定構造へ戻るものであれば、この加熱に
より光熱応答性分子を安定構造へ戻すことができる。ま
た、加熱とともに安定構造へ変化させるのに適当な波長
λ2の光照射7を行なうこともできる。光熱応答性分子
がジアリールエテン誘導体などのように熱によっては安
定構造へ変化しないばあいには、安定構造へ変化させる
のに適当な波長λ2の光照射7を行ない、安定構造へ戻
すことができる。
ら離したのち、刷版に加熱4および(または)加圧5を
行ない、刷版表面に付着した現像剤6に含まれる現像液
溶媒を乾燥させ、付着している現像剤を刷版に定着させ
る。光熱応答性分子がアゾベンゼン誘導体などのよう
に、熱により安定構造へ戻るものであれば、この加熱に
より光熱応答性分子を安定構造へ戻すことができる。ま
た、加熱とともに安定構造へ変化させるのに適当な波長
λ2の光照射7を行なうこともできる。光熱応答性分子
がジアリールエテン誘導体などのように熱によっては安
定構造へ変化しないばあいには、安定構造へ変化させる
のに適当な波長λ2の光照射7を行ない、安定構造へ戻
すことができる。
【0060】不安定構造へ変化させるための光の波長λ
2は、用いる光熱応答性分子によって異なるため、その
光熱応答性分子の構造変化に適した波長を選択すること
ができる。一方、総露光量は1mJ/cm2〜5J/c
m2であることが好ましい。1mJ/cm2未満のばあい
は、光熱応答性分子の安定構造への変化が不充分とな
り、5J/cm2をこえるばあいは、有機材料(高分
子、溶媒)の分解が生じる傾向がある。
2は、用いる光熱応答性分子によって異なるため、その
光熱応答性分子の構造変化に適した波長を選択すること
ができる。一方、総露光量は1mJ/cm2〜5J/c
m2であることが好ましい。1mJ/cm2未満のばあい
は、光熱応答性分子の安定構造への変化が不充分とな
り、5J/cm2をこえるばあいは、有機材料(高分
子、溶媒)の分解が生じる傾向がある。
【0061】安定構造へ変化させるための温度も、用い
る光熱応答性分子によって異なるため、その光熱応答性
分子の構造変化に適した温度を選択することができる。
る光熱応答性分子によって異なるため、その光熱応答性
分子の構造変化に適した温度を選択することができる。
【0062】加熱4を行なうばあいの加熱温度は、現像
剤樹脂のガラス転移温度以上、200℃未満であること
が好ましい。現像剤樹脂のガラス転移温度未満のばあい
は、樹脂と刷版基材との接触面積が小さいままで樹脂と
刷版基材との接着力が充分でなく、200℃をこえるば
あいは、樹脂の熱分解が生じたり、また樹脂の流動性が
大きくなり接着性が低下する傾向がある。
剤樹脂のガラス転移温度以上、200℃未満であること
が好ましい。現像剤樹脂のガラス転移温度未満のばあい
は、樹脂と刷版基材との接触面積が小さいままで樹脂と
刷版基材との接着力が充分でなく、200℃をこえるば
あいは、樹脂の熱分解が生じたり、また樹脂の流動性が
大きくなり接着性が低下する傾向がある。
【0063】加圧5を行なうばあいの加圧圧力は、5×
104〜1×107Paであることが好ましい。5×10
4Pa未満のばあいは、現像剤の定着が不充分となり、
1×107Paをこえるばあいは、加圧用ジグに現像剤
が付着する傾向がある。
104〜1×107Paであることが好ましい。5×10
4Pa未満のばあいは、現像剤の定着が不充分となり、
1×107Paをこえるばあいは、加圧用ジグに現像剤
が付着する傾向がある。
【0064】分散型現像液を用い、現像剤の芯材に刷版
表面との吸着性に優れた物質を用いるばあいには、芯材
が表面層から外部に出るように加熱または加圧条件を制
御することによって、現像剤と刷版表面の定着性を増大
させることが可能である。
表面との吸着性に優れた物質を用いるばあいには、芯材
が表面層から外部に出るように加熱または加圧条件を制
御することによって、現像剤と刷版表面の定着性を増大
させることが可能である。
【0065】このようにして作製された刷版表面の光照
射部には、安定構造と同種の疎水性を示す現像剤表面8
が、また未照射部には不安定構造と同様の親水性を示す
刷版基材表面9が形成され、親疎水性によって画像情報
が形成されたオフセット印刷用刷版として使用可能であ
る。
射部には、安定構造と同種の疎水性を示す現像剤表面8
が、また未照射部には不安定構造と同様の親水性を示す
刷版基材表面9が形成され、親疎水性によって画像情報
が形成されたオフセット印刷用刷版として使用可能であ
る。
【0066】この刷版の親水性部分の水に対する接触角
は、87°未満であることが好ましく、一方疎水性部分
の水に対する接触角は、93°をこえることが好まし
い。この範囲を外れると、親水性部分、疎水性部分の境
界が不明瞭になる傾向がある。
は、87°未満であることが好ましく、一方疎水性部分
の水に対する接触角は、93°をこえることが好まし
い。この範囲を外れると、親水性部分、疎水性部分の境
界が不明瞭になる傾向がある。
【0067】従来の刷版表面の親疎水性自体を光熱応答
性分子により制御する方法では、光熱応答性分子の親水
性構造、疎水性構造それぞれが安定に存在する必要があ
ったが、本発明ではオフセット印刷用刷版としての機能
形成において光熱応答性分子の不安定構造を使用しない
ため、光熱応答性分子が不安定構造を取る必要がある時
間は波長λ1を照射したときから加熱および加圧まで、
または少くとも光照射部が現像液から離れるまでの時間
であるため、従来の光熱応答性分子の不安定構造の寿命
に対する要求が大幅に緩和され、オフセット印刷用刷版
として安定して使用できる。
性分子により制御する方法では、光熱応答性分子の親水
性構造、疎水性構造それぞれが安定に存在する必要があ
ったが、本発明ではオフセット印刷用刷版としての機能
形成において光熱応答性分子の不安定構造を使用しない
ため、光熱応答性分子が不安定構造を取る必要がある時
間は波長λ1を照射したときから加熱および加圧まで、
または少くとも光照射部が現像液から離れるまでの時間
であるため、従来の光熱応答性分子の不安定構造の寿命
に対する要求が大幅に緩和され、オフセット印刷用刷版
として安定して使用できる。
【0068】本発明のオフセット印刷用刷版の製法の好
ましい具体例としては、以下のごとき例があげられる。
ましい具体例としては、以下のごとき例があげられる。
【0069】現像剤が、光および(または)熱により
分子の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化する光
熱応答性分子を分散した光熱応答性樹脂材料、または当
該光熱応答性分子を側鎖に有する光熱応答性高分子材料
からなり、当該現像剤の親疎水性が光熱応答性分子の双
極子モーメントの変化によって逆転するものであり、さ
らに当該現像剤が粒径0.1〜20μmの粒子であっ
て、冷暗所での光熱応答性分子と同種の親疎水性を示す
溶媒に分散させた現像液を用いたオフセット印刷用刷版
の製法において、現像液溶媒とは逆の親疎水性を示す基
材表面を有し、波長λ1の画像書込光を透過する刷版基
材を現像液表面に接触させる手段、画像書込光を刷版基
材側から現像液に露光することにより現像剤の親疎水性
を変化させ、現像剤を刷版基材表面に付着させる手段、
加熱および加圧により現像剤を軟化させ刷版基材に定着
させる手段、現像剤粒子表面の親疎水性をもとに戻すた
めに加熱および(または)波長λ2の光を照射する手か
らなるオフセット印刷用刷版の製法である。
分子の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化する光
熱応答性分子を分散した光熱応答性樹脂材料、または当
該光熱応答性分子を側鎖に有する光熱応答性高分子材料
からなり、当該現像剤の親疎水性が光熱応答性分子の双
極子モーメントの変化によって逆転するものであり、さ
らに当該現像剤が粒径0.1〜20μmの粒子であっ
て、冷暗所での光熱応答性分子と同種の親疎水性を示す
溶媒に分散させた現像液を用いたオフセット印刷用刷版
の製法において、現像液溶媒とは逆の親疎水性を示す基
材表面を有し、波長λ1の画像書込光を透過する刷版基
材を現像液表面に接触させる手段、画像書込光を刷版基
材側から現像液に露光することにより現像剤の親疎水性
を変化させ、現像剤を刷版基材表面に付着させる手段、
加熱および加圧により現像剤を軟化させ刷版基材に定着
させる手段、現像剤粒子表面の親疎水性をもとに戻すた
めに加熱および(または)波長λ2の光を照射する手か
らなるオフセット印刷用刷版の製法である。
【0070】現像剤が、光および(または)熱により
分子の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化する光
熱応答性分子を側鎖に有する光熱応答性高分子材料から
なり、当該現像剤の親疎水性が光熱応答性分子の双極子
モーメントの変化によって逆転するものであって、さら
に当該現像剤を冷暗所での光熱応答性分子と同種の親疎
水性を示す溶媒に溶解させた現像液を用いたオフセット
印刷用刷版の製法において、現像液溶媒とは逆の親疎水
性を示す基材表面を有し、波長λ1の画像書込光を透過
する刷版基材を現像液表面に接触させる手段、画像書込
光を刷版基材側から現像液に露光することにより現像剤
の親疎水性を変化させ、現像剤を刷版基材表面に付着さ
せる手段、加熱および加圧により現像剤を軟化させ刷版
基材に定着させる手段、現像剤粒子表面の親疎水性をも
とに戻すために加熱および(または)波長λ2の光を照
射する手からなるオフセット印刷用刷版の製法である。
分子の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化する光
熱応答性分子を側鎖に有する光熱応答性高分子材料から
なり、当該現像剤の親疎水性が光熱応答性分子の双極子
モーメントの変化によって逆転するものであって、さら
に当該現像剤を冷暗所での光熱応答性分子と同種の親疎
水性を示す溶媒に溶解させた現像液を用いたオフセット
印刷用刷版の製法において、現像液溶媒とは逆の親疎水
性を示す基材表面を有し、波長λ1の画像書込光を透過
する刷版基材を現像液表面に接触させる手段、画像書込
光を刷版基材側から現像液に露光することにより現像剤
の親疎水性を変化させ、現像剤を刷版基材表面に付着さ
せる手段、加熱および加圧により現像剤を軟化させ刷版
基材に定着させる手段、現像剤粒子表面の親疎水性をも
とに戻すために加熱および(または)波長λ2の光を照
射する手からなるオフセット印刷用刷版の製法である。
【0071】本発明のオフセット印刷用刷版の好ましい
具体例としては、以下のごとき例があげられる。
具体例としては、以下のごとき例があげられる。
【0072】現像剤が、光および(または)熱により
分子の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化する光
熱応答性分子を分散した光熱応答性樹脂材料、または当
該光熱応答性分子を側鎖に有する光熱応答性高分子材料
からなり、当該現像剤の親疎水性が光熱応答性分子の双
極子モーメントの変化によって逆転するものでり、さら
に当該現像剤が粒径0.1〜20μmの粒子であって、
冷暗所での光熱応答性分子と同種の親疎水性を示す溶媒
に分散させた現像液を用いたオフセット印刷用刷版の製
法において、現像液溶媒とは逆の親疎水性を示す基材表
面を有し、波長λ1の画像書込光を透過する刷版基材を
現像液表面に接触させる手段、画像書込光を刷版基材側
から現像液に露光することにより現像剤の親疎水性を変
化させ、現像剤を刷版基材表面に付着させる手段、加熱
および加圧により現像剤を軟化させ刷版基材に定着させ
る手段、現像剤粒子表面の親疎水性をもとに戻すために
加熱および(または)波長λ2の光を照射する手からな
る方法により作製された、光熱応答性分子を含む現像剤
表面、および光熱応答性分子の不安定構造と同様の親疎
水性を示す刷版基材表面が形成されたオフセット印刷用
刷版である。
分子の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化する光
熱応答性分子を分散した光熱応答性樹脂材料、または当
該光熱応答性分子を側鎖に有する光熱応答性高分子材料
からなり、当該現像剤の親疎水性が光熱応答性分子の双
極子モーメントの変化によって逆転するものでり、さら
に当該現像剤が粒径0.1〜20μmの粒子であって、
冷暗所での光熱応答性分子と同種の親疎水性を示す溶媒
に分散させた現像液を用いたオフセット印刷用刷版の製
法において、現像液溶媒とは逆の親疎水性を示す基材表
面を有し、波長λ1の画像書込光を透過する刷版基材を
現像液表面に接触させる手段、画像書込光を刷版基材側
から現像液に露光することにより現像剤の親疎水性を変
化させ、現像剤を刷版基材表面に付着させる手段、加熱
および加圧により現像剤を軟化させ刷版基材に定着させ
る手段、現像剤粒子表面の親疎水性をもとに戻すために
加熱および(または)波長λ2の光を照射する手からな
る方法により作製された、光熱応答性分子を含む現像剤
表面、および光熱応答性分子の不安定構造と同様の親疎
水性を示す刷版基材表面が形成されたオフセット印刷用
刷版である。
【0073】現像剤が、光および(または)熱により
分子の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化する光
熱応答性分子を側鎖に有する光熱応答性高分子材料から
なり、当該現像剤の親疎水性が光熱応答性分子の双極子
モーメントの変化によって逆転するものであって、さら
に当該現像剤を冷暗所での冷暗所での光熱応答性分子と
同種の親疎水性を示す溶媒に溶解している現像液を用い
たオフセット印刷用刷版の製法において、現像液溶媒と
は逆の親疎水性を示す基材表面を有し、波長λ1の画像
書込光を透過する刷版基材を現像液表面に接触させる手
段、画像書込光を刷版基材側から現像液に露光すること
により現像剤の親疎水性を変化させ、現像剤を刷版基材
表面に付着させる手段、加熱および加圧により現像剤を
軟化させ刷版基材に定着させる手段、現像剤粒子表面の
親疎水性をもとに戻すために加熱および(または)波長
λ2の光を照射する手からなる方法により作製された、
光熱応答性分子を含む現像剤表面、および光熱応答性分
子の不安定構造と同様の親疎水性を示す刷版基材表面が
形成されたオフセット印刷用刷版である。
分子の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化する光
熱応答性分子を側鎖に有する光熱応答性高分子材料から
なり、当該現像剤の親疎水性が光熱応答性分子の双極子
モーメントの変化によって逆転するものであって、さら
に当該現像剤を冷暗所での冷暗所での光熱応答性分子と
同種の親疎水性を示す溶媒に溶解している現像液を用い
たオフセット印刷用刷版の製法において、現像液溶媒と
は逆の親疎水性を示す基材表面を有し、波長λ1の画像
書込光を透過する刷版基材を現像液表面に接触させる手
段、画像書込光を刷版基材側から現像液に露光すること
により現像剤の親疎水性を変化させ、現像剤を刷版基材
表面に付着させる手段、加熱および加圧により現像剤を
軟化させ刷版基材に定着させる手段、現像剤粒子表面の
親疎水性をもとに戻すために加熱および(または)波長
λ2の光を照射する手からなる方法により作製された、
光熱応答性分子を含む現像剤表面、および光熱応答性分
子の不安定構造と同様の親疎水性を示す刷版基材表面が
形成されたオフセット印刷用刷版である。
【0074】本発明のオフセット印刷用刷版の再生法
は、上述した製法により製造したオフセット印刷用刷版
を用い、刷版に定着している現像剤(芯材が無機材料の
ばあいは表面樹脂層)を溶解するが、刷版基材は溶解し
ない溶媒で洗浄することによって、刷版基材を再使用す
る方法である。
は、上述した製法により製造したオフセット印刷用刷版
を用い、刷版に定着している現像剤(芯材が無機材料の
ばあいは表面樹脂層)を溶解するが、刷版基材は溶解し
ない溶媒で洗浄することによって、刷版基材を再使用す
る方法である。
【0075】このような溶媒としては、刷版基材がガラ
スであれば適当な有機溶剤を用いることができる。たと
えば疎水性溶媒としてn−ブチルエーテル、n−ヘキシ
ルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン、アセトン、トルエン、ヘキサ
ンなど、親水性溶媒として水、メタノール、エタノール
などがあげられる。これらのなかでは、疎水性溶媒揮発
性が小さい、極性の大きい物質の溶解性が小さいという
点で、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが、親水性
溶媒として揮発性が小さく、安全、安価である点で、水
が好ましい。
スであれば適当な有機溶剤を用いることができる。たと
えば疎水性溶媒としてn−ブチルエーテル、n−ヘキシ
ルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン、アセトン、トルエン、ヘキサ
ンなど、親水性溶媒として水、メタノール、エタノール
などがあげられる。これらのなかでは、疎水性溶媒揮発
性が小さい、極性の大きい物質の溶解性が小さいという
点で、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが、親水性
溶媒として揮発性が小さく、安全、安価である点で、水
が好ましい。
【0076】洗浄する方法としては、たとえば超音波洗
浄、溶媒に浸漬したのちブレード、ブラシ、布などでこ
する方法、溶媒で濡らしたブレード、ブラシ、布などで
こする方法などがあげられる。これらのなかでは、作業
工程が単純化できるという点で、浸漬工程のない溶媒で
濡らしたブレード、ブラシ、布などでこする方法が好ま
しい。
浄、溶媒に浸漬したのちブレード、ブラシ、布などでこ
する方法、溶媒で濡らしたブレード、ブラシ、布などで
こする方法などがあげられる。これらのなかでは、作業
工程が単純化できるという点で、浸漬工程のない溶媒で
濡らしたブレード、ブラシ、布などでこする方法が好ま
しい。
【0077】
【実施例】つぎに本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0078】実施例1 式(IV)に示すスピロピラン誘導体58.5部(重量
部、以下同様)、酢酸ビニル27部および塩化ビニル1
4.5部の共重合体を乳化重合により重合し、粒径約1
μmの現像剤粒子をえた。この現像剤30部をn−ブチ
ルエーテル70部に分散させて分散型現像液をえた。
部、以下同様)、酢酸ビニル27部および塩化ビニル1
4.5部の共重合体を乳化重合により重合し、粒径約1
μmの現像剤粒子をえた。この現像剤30部をn−ブチ
ルエーテル70部に分散させて分散型現像液をえた。
【0079】式(IV):
【0080】
【化4】
【0081】なお、用いたスピロピラン誘導体は、式
(II)に示すように波長550nmの光照射で、双極イ
オン構造をとり、その双極子モーメントが増大する。
(II)に示すように波長550nmの光照射で、双極イ
オン構造をとり、その双極子モーメントが増大する。
【0082】刷版基材としてアルカリ処理したガラス基
板を用い、冷暗所で現像剤を容器に入れ、液面に光熱応
答性分子の不安定構造と同種の親疎水性を示す刷版基材
表面が接触するように支持した。刷版基材背面から波長
550nmの単色光を総露光量500mJ/cm2とな
るように照射したのち、ガラス基板を現像液液面から離
し、熱定着ローラーにより温度150℃、圧力3×10
4Paで、2秒間加熱および加圧し、付着した現像剤を
ガラス基板に定着させた。定着時に波長330nmの光
を総露光量500mJ/cm2となるように照射し、ス
ピロピラン誘導体の親水性から疎水性への構造変化を加
速させた。
板を用い、冷暗所で現像剤を容器に入れ、液面に光熱応
答性分子の不安定構造と同種の親疎水性を示す刷版基材
表面が接触するように支持した。刷版基材背面から波長
550nmの単色光を総露光量500mJ/cm2とな
るように照射したのち、ガラス基板を現像液液面から離
し、熱定着ローラーにより温度150℃、圧力3×10
4Paで、2秒間加熱および加圧し、付着した現像剤を
ガラス基板に定着させた。定着時に波長330nmの光
を総露光量500mJ/cm2となるように照射し、ス
ピロピラン誘導体の親水性から疎水性への構造変化を加
速させた。
【0083】このようにして作製した刷版上に現像剤が
定着した露光部分および未露光部分の水に対する接触角
は、それぞれ95〜100°、8〜9°であった。
定着した露光部分および未露光部分の水に対する接触角
は、それぞれ95〜100°、8〜9°であった。
【0084】つぎに、水性および油性のインクを刷版表
面に付着させ、被写体に転写することによって画像をえ
ることができた。
面に付着させ、被写体に転写することによって画像をえ
ることができた。
【0085】実施例2 酢酸ビニル50部、塩化ビニル50部の共重合体を芯材
とし、周囲に化学式(IV)に示すスピロピラン誘導体5
8.5部、酢酸ビニル27部および塩化ビニル14.5
部の共重合体を乳化重合により重合し、粒径約1μmの
現像剤粒子をえた。この現像剤30部をn−ブチルエー
テル70部に分散させて分散型現像液をえた。
とし、周囲に化学式(IV)に示すスピロピラン誘導体5
8.5部、酢酸ビニル27部および塩化ビニル14.5
部の共重合体を乳化重合により重合し、粒径約1μmの
現像剤粒子をえた。この現像剤30部をn−ブチルエー
テル70部に分散させて分散型現像液をえた。
【0086】この現像液を用いて、実施例1と同様に刷
版を作製した。えられた刷版上に現像剤が定着した露光
部分および未露光部分の水に対する接触角は、それぞれ
95〜110°、8〜9°であった。
版を作製した。えられた刷版上に現像剤が定着した露光
部分および未露光部分の水に対する接触角は、それぞれ
95〜110°、8〜9°であった。
【0087】つぎに、水性および油性のインクを刷版表
面に付着させ、被写体に転写することによって画像をえ
ることができた。
面に付着させ、被写体に転写することによって画像をえ
ることができた。
【0088】実施例3 化学式(IV)に示すスピロピラン誘導体40部、酢酸ビ
ニル40部および塩化ビニル20部の共重合体を乳化重
合により重合した。この現像剤30部をメチルエチルケ
トン70部に溶解し、溶液型現像液をえた。
ニル40部および塩化ビニル20部の共重合体を乳化重
合により重合した。この現像剤30部をメチルエチルケ
トン70部に溶解し、溶液型現像液をえた。
【0089】この現像液を用いて、実施例1と同様に刷
版を作製した。えられた刷版上に現像剤が定着した露光
部分および未露光部分の水に対する接触角は、それぞれ
95〜110°、8〜9°であった。
版を作製した。えられた刷版上に現像剤が定着した露光
部分および未露光部分の水に対する接触角は、それぞれ
95〜110°、8〜9°であった。
【0090】つぎに、水性および油性のインクを刷版表
面に付着させ、被写体に転写することによって画像をえ
ることができた。
面に付着させ、被写体に転写することによって画像をえ
ることができた。
【0091】実施例4 式(V)に示すトリアリールメタン誘導体40部、酢酸
ビニル40部および塩化ビニル20部の共重合体を乳化
重合により重合した。この現像剤30部をメチルエチル
ケトン70部に溶解し、溶液型現像液をえた。
ビニル40部および塩化ビニル20部の共重合体を乳化
重合により重合した。この現像剤30部をメチルエチル
ケトン70部に溶解し、溶液型現像液をえた。
【0092】なお、用いたトリアリールメタン誘導体
は、反応式(III)に示すように波長280nmの光照
射で、イオン対構造をとり、その双極子モーメントが増
大する。
は、反応式(III)に示すように波長280nmの光照
射で、イオン対構造をとり、その双極子モーメントが増
大する。
【0093】式(V):
【0094】
【化5】
【0095】この現像液を用いて、実施例1と同様に刷
版を作製した。なお、照射光は280nmとした。えら
れた刷版上に現像剤が定着した露光部分および未露光部
分の水に対する接触角は、それぞれ90〜100°、8
〜9°であった。
版を作製した。なお、照射光は280nmとした。えら
れた刷版上に現像剤が定着した露光部分および未露光部
分の水に対する接触角は、それぞれ90〜100°、8
〜9°であった。
【0096】つぎに、水性および油性のインクを刷版表
面に付着させ、被写体に転写することによって画像をえ
ることができた。
面に付着させ、被写体に転写することによって画像をえ
ることができた。
【0097】実施例5〜8 実施例1〜4でえられた刷版をメチルエチルケトンを用
い、超音波洗浄を10分間行ったのち、メチルエチルケ
トンを含ませた布で刷版表面をふいた。洗浄した基材を
用いて、それぞれ実施例1〜4と同様に刷版を作製し
た。
い、超音波洗浄を10分間行ったのち、メチルエチルケ
トンを含ませた布で刷版表面をふいた。洗浄した基材を
用いて、それぞれ実施例1〜4と同様に刷版を作製し
た。
【0098】つぎに、この刷版を使用して水性および油
性のインクを刷版表面に付着させ、被写体に転写するこ
とによって画像をえることができた。
性のインクを刷版表面に付着させ、被写体に転写するこ
とによって画像をえることができた。
【0099】
【発明の効果】本発明のオフセット印刷用刷版、その製
法および刷版の再生法では、刷版基材と現像剤の親疎水
性を利用するものであり、従来の光熱応答性分子を用い
るオフセット印刷用刷版作製時の親疎水性変化に対する
繰返し耐久性に劣るという問題、および光熱応答性分子
の不安定構造の安定性に関する問題がなく、安定したオ
フセット印刷用刷版として使用できる。また、刷版に定
着した現像剤を洗浄することにより、再び刷版基材とし
て使用可能となる。上記のようなオフセット印刷用刷版
の作製および再生によって、オンデマンド印刷に代表さ
れる少量・短納期の印刷需要に適した、高画質・低価格
のオフセット印刷用刷版を提供できる。
法および刷版の再生法では、刷版基材と現像剤の親疎水
性を利用するものであり、従来の光熱応答性分子を用い
るオフセット印刷用刷版作製時の親疎水性変化に対する
繰返し耐久性に劣るという問題、および光熱応答性分子
の不安定構造の安定性に関する問題がなく、安定したオ
フセット印刷用刷版として使用できる。また、刷版に定
着した現像剤を洗浄することにより、再び刷版基材とし
て使用可能となる。上記のようなオフセット印刷用刷版
の作製および再生によって、オンデマンド印刷に代表さ
れる少量・短納期の印刷需要に適した、高画質・低価格
のオフセット印刷用刷版を提供できる。
【0100】請求項1記載の発明によれば、現像剤が、
光および(または)熱により分子の双極子モーメントの
大きさが可逆的に変化する光熱応答性分子を分散した光
熱応答性樹脂材料、または当該光熱応答性分子を側鎖に
有する光熱応答性高分子材料からなり、当該現像剤の親
疎水性が光熱応答性分子の双極子モーメントの変化によ
って逆転するものであって、当該現像剤を冷暗所での光
熱応答性分子と同種の親疎水性を示す溶媒に分散または
溶解している現像液を用いたオフセット印刷用刷版の製
法において、現像液溶媒とは逆の親疎水性を示す表面を
有し、波長λ1の画像書込光を透過する刷版基材を現像
液表面に接触させる手段、画像書込光を刷版基材側から
現像液に露光することにより現像剤の親疎水性を変化さ
せ、現像剤を刷版基材表面に付着させる手段、加熱およ
び加圧により現像剤を軟化させ刷版基材に定着させる手
段、現像剤粒子表面の親疎水性をもとに戻すために加熱
および(または)波長λ2の光照射する手段からなるた
め、親疎水性変化に対する繰返し耐久性に劣るという問
題、光熱応答性分子の不安定構造の安定性に関する問題
がなく、安定したオフセット印刷用刷版として使用でき
る。
光および(または)熱により分子の双極子モーメントの
大きさが可逆的に変化する光熱応答性分子を分散した光
熱応答性樹脂材料、または当該光熱応答性分子を側鎖に
有する光熱応答性高分子材料からなり、当該現像剤の親
疎水性が光熱応答性分子の双極子モーメントの変化によ
って逆転するものであって、当該現像剤を冷暗所での光
熱応答性分子と同種の親疎水性を示す溶媒に分散または
溶解している現像液を用いたオフセット印刷用刷版の製
法において、現像液溶媒とは逆の親疎水性を示す表面を
有し、波長λ1の画像書込光を透過する刷版基材を現像
液表面に接触させる手段、画像書込光を刷版基材側から
現像液に露光することにより現像剤の親疎水性を変化さ
せ、現像剤を刷版基材表面に付着させる手段、加熱およ
び加圧により現像剤を軟化させ刷版基材に定着させる手
段、現像剤粒子表面の親疎水性をもとに戻すために加熱
および(または)波長λ2の光照射する手段からなるた
め、親疎水性変化に対する繰返し耐久性に劣るという問
題、光熱応答性分子の不安定構造の安定性に関する問題
がなく、安定したオフセット印刷用刷版として使用でき
る。
【0101】請求項2記載の発明によれば、熱応答性分
子が、光および(または)熱により異性化することによ
って分子の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化す
るような分子を用いるため、親疎水性変化に対する繰返
し耐久性に劣るという問題、光熱応答性分子の不安定構
造の安定性に関する問題がなく、安定したオフセット印
刷用刷版として使用できる。
子が、光および(または)熱により異性化することによ
って分子の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化す
るような分子を用いるため、親疎水性変化に対する繰返
し耐久性に劣るという問題、光熱応答性分子の不安定構
造の安定性に関する問題がなく、安定したオフセット印
刷用刷版として使用できる。
【0102】請求項3記載の発明によれば、熱応答性分
子が、光および(または)熱により極性基または低分子
化合物の脱着によって分子の双極子モーメントの大きさ
が可逆的に変化するような分子を用いるため、親疎水性
変化に対する繰返し耐久性に劣るという問題、光熱応答
性分子の不安定構造の安定性に関する問題がなく、安定
したオフセット印刷用刷版として使用できる。
子が、光および(または)熱により極性基または低分子
化合物の脱着によって分子の双極子モーメントの大きさ
が可逆的に変化するような分子を用いるため、親疎水性
変化に対する繰返し耐久性に劣るという問題、光熱応答
性分子の不安定構造の安定性に関する問題がなく、安定
したオフセット印刷用刷版として使用できる。
【0103】請求項4記載の発明によれば、現像剤中の
光熱応答性分子を分散した樹脂材料、または当該光熱応
答性分子を側鎖に有する高分子材料が、少くとも現像剤
の表面に存在する粒子であって、現像剤が冷暗所での光
熱応答性分子と同種の親疎水性を示す溶媒に分散してい
るため、親疎水性変化に対する繰返し耐久性に劣るとい
う問題、光熱応答性分子の不安定構造の安定性に関する
問題がなく、安定したオフセット印刷用刷版として使用
できる。
光熱応答性分子を分散した樹脂材料、または当該光熱応
答性分子を側鎖に有する高分子材料が、少くとも現像剤
の表面に存在する粒子であって、現像剤が冷暗所での光
熱応答性分子と同種の親疎水性を示す溶媒に分散してい
るため、親疎水性変化に対する繰返し耐久性に劣るとい
う問題、光熱応答性分子の不安定構造の安定性に関する
問題がなく、安定したオフセット印刷用刷版として使用
できる。
【0104】請求項5記載の発明によれば、光熱応答性
分子が分散した樹脂材料粒子が特定の粒径をゆうするた
めに、親疎水性変化に対する繰返し耐久性に劣るという
問題、光熱応答性分子の不安定構造の安定性に関する問
題がなく、安定したオフセット印刷用刷版として使用で
きる。
分子が分散した樹脂材料粒子が特定の粒径をゆうするた
めに、親疎水性変化に対する繰返し耐久性に劣るという
問題、光熱応答性分子の不安定構造の安定性に関する問
題がなく、安定したオフセット印刷用刷版として使用で
きる。
【0105】請求項6記載の発明によれば、現像剤が光
熱応答性分子を側鎖として有する高分子であって、当該
現像剤が冷暗所での光熱応答性分子と同種の親疎水性を
示す溶媒に溶解しているため、親疎水性変化に対する繰
返し耐久性に劣るという問題、光熱応答性分子の不安定
構造の安定性に関する問題がなく、安定したオフセット
印刷用刷版として使用できる。
熱応答性分子を側鎖として有する高分子であって、当該
現像剤が冷暗所での光熱応答性分子と同種の親疎水性を
示す溶媒に溶解しているため、親疎水性変化に対する繰
返し耐久性に劣るという問題、光熱応答性分子の不安定
構造の安定性に関する問題がなく、安定したオフセット
印刷用刷版として使用できる。
【0106】請求項7記載の発明によれば、現像剤が、
光および(または)熱により分子の双極子モーメントの
大きさが可逆的に変化する光熱応答性分子を分散した光
熱応答性樹脂材料、または当該光熱応答性分子を側鎖に
有する光熱応答性高分子材料からなり、当該現像剤の親
疎水性が光熱応答性分子の双極子モーメントの変化によ
って逆転するものであって、当該現像剤を冷暗所での光
熱応答性分子と同種の親疎水性を示す溶媒に分散または
溶解している現像液を用いたオフセット印刷用刷版の製
法において、現像液溶媒とは逆の親疎水性を示す表面を
有し、画像書込光を透過する刷版基材を現像液表面に接
触させる手段、画像書込光を刷版基材側から現像液に露
光することにより現像剤の親疎水性を変化させ、刷版基
材表面に付着させる手段、加熱および加圧により現像剤
を軟化させ刷版基材に定着させる手段、加熱または光照
射により現像剤粒子表面の親疎水性をもとに戻す手段か
ら製造され、光熱応答性分子を含む現像剤表面、および
光熱応答性分子の不安定構造と同様の親疎水性を示す刷
版基材表面が形成されたオフセット印刷用刷版を用いる
ため、親疎水性変化に対する繰返し耐久性に劣るという
問題、光熱応答性分子の不安定構造の安定性に関する問
題がなく、安定したオフセット印刷用刷版として使用で
きる。
光および(または)熱により分子の双極子モーメントの
大きさが可逆的に変化する光熱応答性分子を分散した光
熱応答性樹脂材料、または当該光熱応答性分子を側鎖に
有する光熱応答性高分子材料からなり、当該現像剤の親
疎水性が光熱応答性分子の双極子モーメントの変化によ
って逆転するものであって、当該現像剤を冷暗所での光
熱応答性分子と同種の親疎水性を示す溶媒に分散または
溶解している現像液を用いたオフセット印刷用刷版の製
法において、現像液溶媒とは逆の親疎水性を示す表面を
有し、画像書込光を透過する刷版基材を現像液表面に接
触させる手段、画像書込光を刷版基材側から現像液に露
光することにより現像剤の親疎水性を変化させ、刷版基
材表面に付着させる手段、加熱および加圧により現像剤
を軟化させ刷版基材に定着させる手段、加熱または光照
射により現像剤粒子表面の親疎水性をもとに戻す手段か
ら製造され、光熱応答性分子を含む現像剤表面、および
光熱応答性分子の不安定構造と同様の親疎水性を示す刷
版基材表面が形成されたオフセット印刷用刷版を用いる
ため、親疎水性変化に対する繰返し耐久性に劣るという
問題、光熱応答性分子の不安定構造の安定性に関する問
題がなく、安定したオフセット印刷用刷版として使用で
きる。
【0107】請求項8記載の発明によれば、オフセット
印刷用刷版を、刷版に定着している現像剤を溶解する
が、刷版基材は溶解しない溶媒により洗浄することによ
って、刷版基材を再使用するオフセット印刷用刷版の再
生するため、オンデマンド印刷に代表される少量・短納
期の印刷需要に適した、高画質・低価格のオフセット印
刷用刷版を提供できる。
印刷用刷版を、刷版に定着している現像剤を溶解する
が、刷版基材は溶解しない溶媒により洗浄することによ
って、刷版基材を再使用するオフセット印刷用刷版の再
生するため、オンデマンド印刷に代表される少量・短納
期の印刷需要に適した、高画質・低価格のオフセット印
刷用刷版を提供できる。
【図1】 本発明のオフセット印刷用刷版の製造プロセ
スを示す説明図である。
スを示す説明図である。
【符号の説明】 1 現像液、2 刷版基材、3 画像書込光(光熱応答
性分子を不安定構造に変化させる波長λ1の光照射)、
4 加熱、5 加圧、6 現像剤、7 光照射(光熱応
答性分子を不安定構造から安定構造に変化させる波長λ
2の光照射)、8 現像剤表面、9 刷版基材表面。
性分子を不安定構造に変化させる波長λ1の光照射)、
4 加熱、5 加圧、6 現像剤、7 光照射(光熱応
答性分子を不安定構造から安定構造に変化させる波長λ
2の光照射)、8 現像剤表面、9 刷版基材表面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保 一樹 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 藤本 隆光 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内
Claims (8)
- 【請求項1】 現像剤が、光および(または)熱により
分子の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化する光
熱応答性分子を分散した光熱応答性樹脂材料、または当
該光熱応答性分子を側鎖に有する光熱応答性高分子材料
からなり、当該現像剤の親疎水性が光熱応答性分子の双
極子モーメントの変化によって逆転するものであって、
当該現像剤を冷暗所での光熱応答性分子と同種の親疎水
性を示す溶媒に分散または溶解させた現像液を用いたオ
フセット印刷用刷版の製法において、現像液溶媒とは逆
の親疎水性を示す基材表面を有し、波長λ1の画像書込
光を透過する刷版基材を現像液表面に接触させる手段、
画像書込光を刷版基材側から現像液に露光することによ
り現像剤の親疎水性を変化させ、現像剤を刷版基材表面
に付着させる手段、加熱および加圧により現像剤を軟化
させ刷版基材に定着させる手段、現像剤粒子表面の親疎
水性をもとに戻すために加熱および(または)波長λ2
の光を照射する手段からなるオフセット印刷用刷版の製
法。 - 【請求項2】 光熱応答性分子が、光および(または)
熱により異性化することによって分子の双極子モーメン
トの大きさが可逆的に変化するような分子である請求項
1記載のオフセット印刷用刷版の製法。 - 【請求項3】 光熱応答性分子が、光および(または)
熱により極性基または低分子化合物の脱着によって分子
の双極子モーメントの大きさが可逆的に変化するような
分子である請求項1記載のオフセット印刷用刷版の製
法。 - 【請求項4】 光熱応答性分子を分散した樹脂材料、ま
たは当該光熱応答性分子を側鎖に有する高分子材料が、
少くとも現像剤の表面に存在する粒子であって、現像剤
が冷暗所での光熱応答性分子と同種の親疎水性を示す溶
媒に分散している請求項1記載のオフセット印刷用刷版
の製法。 - 【請求項5】 粒子の粒径が0.1〜20μmである請
求項4記載のオフセット印刷用刷版の製法。 - 【請求項6】 現像剤が光熱応答性分子を側鎖として有
する高分子であって、当該現像剤が冷暗所での光熱応答
性分子と同種の親疎水性を示す溶媒に溶解している請求
項1記載のオフセット印刷用刷版の製法。 - 【請求項7】 請求項1記載の製法により製造された、
光熱応答性分子を含む現像剤表面および光熱応答性分子
の不安定構造と同様の親疎水性を示す刷版基材表面が形
成されたオフセット印刷用刷版。 - 【請求項8】 請求項7記載のオフセット印刷用刷版
を、刷版に定着している現像剤を溶解するが、刷版基材
は溶解しない溶媒により洗浄することによって、刷版基
材を再生するオフセット印刷用刷版の再生法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16211298A JPH11352671A (ja) | 1998-06-10 | 1998-06-10 | オフセット印刷用刷版、その製法および刷版の再生法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16211298A JPH11352671A (ja) | 1998-06-10 | 1998-06-10 | オフセット印刷用刷版、その製法および刷版の再生法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11352671A true JPH11352671A (ja) | 1999-12-24 |
Family
ID=15748279
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16211298A Pending JPH11352671A (ja) | 1998-06-10 | 1998-06-10 | オフセット印刷用刷版、その製法および刷版の再生法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11352671A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019119057A (ja) * | 2017-12-28 | 2019-07-22 | コニカミノルタ株式会社 | インク膜形成用原版、パターン形成方法、パターン膜形成方法、およびパターン膜形成装置 |
-
1998
- 1998-06-10 JP JP16211298A patent/JPH11352671A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019119057A (ja) * | 2017-12-28 | 2019-07-22 | コニカミノルタ株式会社 | インク膜形成用原版、パターン形成方法、パターン膜形成方法、およびパターン膜形成装置 |
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