JPH05305764A - 記録装置 - Google Patents

記録装置

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JPH05305764A
JPH05305764A JP2300554A JP30055490A JPH05305764A JP H05305764 A JPH05305764 A JP H05305764A JP 2300554 A JP2300554 A JP 2300554A JP 30055490 A JP30055490 A JP 30055490A JP H05305764 A JPH05305764 A JP H05305764A
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Abstract

(57)【要約】 電子出願以前の出願であるので 要約・選択図及び出願人の識別番号は存在しない。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は新規な記録装置に関し、詳しくは、表 面が特定性状を示す記録体のその表面に、選択的 に又は選択的かつ可逆的に、加熱温度に応じた後 退接触角を示す領域を形成し、この領域に顕色材 を含有する記録剤を供給して顕像化するようにし た記録装置に関する。
〔従来の技術〕 表面を液体付着性領域と非液体付着性領域とに 区分けして画像形成に供するようにした手段の代 表的なものとしては水(湿し水)なし平版印刷板を 用いたオフセット印刷方式があげられる。だが、 このオフセット印刷方式は原版からの製版工程及 び刷版(印刷版)からの印刷工程を一つの装置内に 組込むことが困難であり、製版印刷の装置の小型 化は勢い困難なものとなっている。
例えば、比較的小型化されている事務用オフセ ット製版印刷機においても、製版装置と印刷装置 とは別個になっているのが普通である。
このようなオフセット印刷方式の欠陥を解消す ることを意図して、画像情報に応じた液体付着性 領域及び非液体付着性領域が形成でき、しかも、 繰返し使用が可能な(可逆性を有する)記録方法な いし装置が提案されるようになってきている。そ の幾つかをあげれば次のとおりである。
(1)水性現像方式 疎水性の光導電体層に外部より電荷を与えた後、 露光して光導電体層表面に疎水性部及び親水性部 を有するパターンを形成し、親水性部のみに水性 現像剤を付着させて紙などに転写する(特公昭40- 18992号、特公昭40-18993号、特公昭44-9512号、 特開昭63-264392号などの公報)。
(2)フォトクロミック材料の光化学反応を利用し た方式 スピロピラン、アゾ色素などの材料を含有した 層に紫外線を照射し、光化学反応により、これら フォトクロミック化合物を親水化する〔例えば「高 分子論文集」第37巻4号、287頁(1980)〕。
(3)内部偏倚力の作用を利用した方式 不定形状態と結晶性状態とを物理的変化により 形成し、液体インクの付着・非付着領域を構成す る(特公昭54-41902号公報)。
前記(1)の方式によれば、水性インクを紙など に転写した後、除電により親水性部は消去され、 別の画像情報の記録が可能となる。即ち、一つの 原版(光導電体)で繰り返し使用が可能となる。だ が、この方式は電子写真プロセスを基本としてい るため帯電→露光→現像→転写→除電という長い プロセスを必要とし、装置の小型化やコストの低 減、メンテナンスフリー化が困難であるといった 欠点をもっている。
前記(2)の方式によれば、紫外線と可視光との 照射を選択的にかえることによって親水性、疎水 性を自由かつ可逆的に制御できるものの、量子効 率が悪いため反応時間が非常に長くて記録速度が 遅く、また安定性に欠けるといった欠点をもって おり、いまだ実用レベルには達していないのが実 情である。
更に、前記(3)の方式によれば、そこで使用さ れる情報記録部材は、記録後のものでは安定性が あるが、記録前のものでは温度変化により物理的 構造変化が生じるおそれがあることから保存性に 問題が残されている。これに加えて、記録された 情報パターンの消去には熱パルスを与え、次いで 急冷する手段が採用されることから、繰り返しの 画像形成は繁雑さをまねがれ得ないといった不都 合がある。
〔発明が解決しようとする課題〕 本発明の目的は、加熱状態でかつ液体と接触さ せた場合に後退接触角が低くなる表面を有する部 材(記録体(A))のその表面に、容易な手段で選択 的に又は選択的かつ可逆的に、所望パターン領域 が形成できる装置を提供するものである。
本発明の他の目的は、前記パターン領域に顕色 材を含有した記録剤(例えば液体インク)を供給す れば当初から良好な可視画像が得られ、この可視 画像を普通紙などに転写し固定して、階調性のあ る鮮明な画像が得られるようにした装置を提供す るものである。
本発明の更に他の目的は、所望パターン領域の 形成・消去、顕像化、転写等すべての工程におい て、保存性並びに安定性にすぐれた記録体(A)が 使用されることによって、可逆的に複数回の前記 工程が行ないうる新規な記録装置を提供するもの である。
本発明のまた他の目的は、記録体(A)表面を常 時良好な状態に維持しておくことによって、多数 枚の複写においても良質の記録物が得られるよう にした装置を提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕 本発明装置は、下記記録体(A)の表面を下記接 触材料(B)と接触させた状態で選択的に加熱させ ることにより又は記録体(A)の表面を選択的に加 熱した状態で接触材料(B)と接触させることによ り記録体(A)の表面に加熱温度に応じた後退接触 角を示す潜像領域を形成せしめる接触材料(B)を 記録体(A)表面に供給する手段と、潜像形成のた めに記録体(A)表面を加熱する手段と、顕色剤を 含有する記録剤を該潜像領域に付与し顕像化させ る記録剤付与手段と、記録体(A)表面に付着され た記録剤を記録紙に転写する手段とを少なくとも 具備してなり、更に記録体(A)表面を清浄するた めのクリーニング手段を設けたことを特徴とする。
(A)加熱状態でかつ液体と接触させた場合に後 退接触角が低下する表面を有する記録体。
(B)液体、蒸気又は記録体(A)にいう後退接触角 の低下開始温度以下で液体となるか液体もし くは蒸気を発生する固体。
本記録装置は、記録紙への転写後に液体又は蒸 気又は加熱により液体となる固体の不存在下で加 熱することにより潜像を消去する手段を設けるこ とにより、可逆的に画像形成をなし得るものであ る。
本発明者らは、従来技術に記述したごとき欠陥 を解消し、新規な記録方式について多くの研究・ 検討を行なった。その結果、液体に接した状態で 加熱され冷却後後退接触角が低くなり、かつ、液 体不存在下の加熱により後退接触角が高くなると いう機能を表面に有する部材が記録体として有用 であることを見いだした。そして、このような機 能を有する記録体(A)はその表面が(1)疎水基の表 面自己配向機能をもつ有機化合物を含む部材、又 は(2)疎水基をもつ有機化合物であって疎水基を 表面に配向した部材であることも併せて確めた。
(1)にいう"表面自己配向機能"とは、ある化合 物を支持体上に形成した固体又はある化合物自体 による固体を空気中で加熱すると、表面において 疎水基が空気側(自由表面側)に向いて配向する性 質があることを意味する。このことは、(2)にお いても同様にいえることである。一般に、有機化 合物では疎水基は疎水性雰囲気側へ向きやすい現 象をもっている。これは、固-気界面の界面エネ ルギーが低くなる方に向うために生じる現象であ る。また、この現象は疎水基の分子長が長くなる ほどその傾向がみられるが、これは分子長が長く なるほど加熱における分子の運動性が上がるため である。
更に具体的には、末端に疎水基を有する(即ち 表面エネルギーを低くする)分子であると、空気 側(自由表面側)を向いて表面配向しやすい。同様 分が平面構造をしており、分子鎖どうしが配向し 分が平面構造をしており、分子鎖どうしが配向し やすい。殊に、フッ素などの電気陰性度の高い元 素を含む直鎖状分子は自己凝集性が高く、分子鎖 どうしが配向しやすい。
これらの検討結果をまとめると、より好ましく は、自己凝集性の高い分子を含んだり平面構造を もつ分子を含み、かつ、末端に疎水基を有する直 鎖状分子、或いは、そうした直鎖状分子を含む化 合物は表面自己配向機能が高い化合物といえる。
これまでの記述から明らかなように、表面自己 配向状態と後退接触角とは関連があり、また、後 退接触角と液体付着性との間にも関係がある。即 ち、固体表面での液体の付着は、液体の固体表面 での主にタッキングによって生じる。このタッキ ングはいわば液体が固体表面を滑べる時の一種の 摩擦力とみなすことができる。従って、本発明で いう"後退接触角"θrは、前記摩擦力をγとする と、 (但し、γ:真空中の固体の表面張力 γsl:固-液界面張力 γlV:液体がその飽和蒸気と接していると きの表面張力 πe:平衡表面張力 γ:摩擦張力 γs:吸着層のない固体の表面張力である) の関係式が成立つ(斉藤、北崎ら「日本接着協会誌」 Vol.22、No.12,1986)。
従って、θrの値が低くなるときγf値は大きく なる。即ち、液体は固体面を滑べりにくくなり、 その結果、液体は固体面に付着するようになる。
これら相互の関連から推察しうるように、液体 付着性は後退接触角θrがどの程度であるかに左 右され、その後退接触角θrは表面自己配向機能 を表面に有する部材の如何により定められる。そ れ故、本発明方法においては、記録体(A)はその 表面に所望パターン領域の形成及び/又は記録剤 による顕像化の必要から、必然的に、表面自己配 向機能を表面に有する部材が選択されねばならば い。
本発明方法で用いられる記録体(A)は、既述の とおり、「加熱状態でかつ液体と接触された場合 に後退接触角θrが低下する表面」を有するもので ある。
記録体(A)はその表面が上記のような性状を有 してさえいれば、形状等は任意である。従って、 記録体(A)はフィルム状であっても、適当な支持 体や成形体上に表面が上記のような性状を有する 別の塗工膜などが設けられていてもかまわない。
成形体自体であってもかまわないが、その表面は 上記のような性状を有していることが必要である。
この記録体(A)は、接触材料(B)の種類によって は潜像領域における液体付着性部分が親油性又は 親水性のいずれかになり、従って、複写物を得る 際には油性インク、水性インクのいずれも必要に 応じて使いわけられる。
ここで、"加熱状態でかつ液体と接触させた場 合に後退接触角θrが低下する表面を形成する"部 材ないし材料を幾つかに分類した例を第1図に示 す。第1図(a)は自己配向機能を有する化合物の例 で、高分子重合体の側鎖に疎水基を有する化合物 であり、主鎖Lと疎水基Rとは結合基Jにて結合し ている。
第1図(b)は、疎水基を有する有機化合物におい てその疎水基を表面に配向した部材の例で、有機 又は無機材料Mの表面に、物理的又は化学的結合 により、前記疎水基を有する化合物Oを形成した 部材である。
第1図(c)は、第1図(b)であげた疎水基を有する 有機化合物Oのみからなる部材の例である。
第1図(d)は、直鎖状分子が高分子の側鎖にある 例で、主鎖Lと前記分子を結合基Jによりつなぎ、 末端に疎水基Rをもつ自己凝集性又は平面構造を 有する分子鎖Nが中間にある化合物である。
なお、第1図(a)(d)の例においては、高分子化 合物の主鎖Lは直線状でも網かけ構造でもよい。
第1図(b)の例においては、累積LB膜のように、疎 水基含有化合物Oの上にさらに疎水基含有化合物O が積層されていてもよい。第1図(c)の例において は、主鎖(L)をもつことなく又は有機・無機材料(M) などに結合することなく、疎水基含有化合物Oの みによる構造である。
前記の疎水基としては、分子の末端が好ましく は-CH3や-CF3、-CF2H、-CFH2、-C(CF3)3、-C(CH3)3 などによっており、より好ましくは、分子運動 性が高い点で分子長の長いものが有利である。中 でも、前記疎水基としては、-F及び/又は-Clが1 うなものでもよい)或いは無置換のアルキル基で あって、炭素数4以上のものが望ましい。フッ素 置換、塩素置換のいずれのものも用いうるが、フ ッ素置換のものの方が効果的である。これらの材 料においては、アルキル基炭素数と機能との関係 では、炭素数が3以下であると、記録方法に適す る機能が低くなってしまう。
この機能発現の原理はいまだ完全に明らかにさ れた訳ではなく、従って、不明な点が多いが、以 下のことが推定される。
まず、上記化合物により形成された記録体(A) の表面は、前記疎水基がかなり配向した表面とな っていることが考えられる。従って、この表面は 液体反撥性を有する(疎水基は表面エネルギーが 小さいため)。この状態で、記録体(A)の表面が接 触材料(B)に接して加熱を受けると、加熱による 疎水基の分子運動が活発となり、かつ、接触材料 (B)との相互作用を受けて、記録体(A)の表面の少 なくとも一部の配向(整列)状態が別の状態(即ち、 別の配向状態又は配向が乱れた状態)にかわり、 冷却後もその別の状態を維持するためと思われる。
なお、記録体(A)の表面に接触材料(B)が接した状 態のもとで加熱することは、接触材料(B)の形態 如何により、記録体(A)の表面が加熱された状態 のもとに液体を接触させることになる。
この加熱前は、疎水基が表面に整列(配向)して いるため、記録体(A)の表面の表面エネルギーは 極めて少ない。
ところが、前記の接触材料(B)が接した状態の もとでの加熱により、配向状態は乱れて表面エネ ルギーが高まる。後退接触角θrは、液体の種類 にかかわらず、固体と液体との表面エネルギーの バランスで決定される。このため、固体の表面エ ネルギーが高まれば、液体の種類にかかわらず、 後退接触角θrは低くなる。従って、液体に対す る付着性は増大することになる。
更に、記録体(A)の表面が別の状態(元の配向状 態とは異なる「別の配向状態」又は「配向が乱れた 状態」)で接触材料(B)の不存在下に加熱を受ける と、接触材料(B)との相互作用が生じないため、 元の整列(配向)状態にもどると思われる。
従って、接触材料(B)の存在は単なる記録体(A) の表面を加熱後の急冷を行なうためのものではな く、記録体(A)の表面の化合物との何らかの相互 作用をおこすものであり、この相互作用があって、 はじめて別の状態(別の配向状態又は配向が乱れ た状態)への変化がおこると思われる。
前記のとおり、記録体(A)の表面を形成する部 材(化合物)の疎水基として、アルキル基又はフッ 素あるいは塩素置換のアルキル基が採用された場 合には、アルキル基の炭素数が4以上であるのが 望ましいのは、元素、記録体(A)の表面にアルキ ル基がある程度整列(配向)し、しかも加熱時に活 発な分子運動をするのに必要な数なのだと思われ る。また、接触材料(B)が記録体(A)の表面ととも に加熱を受けた時、記録体(A)表面の分子中に接 触材料(B)の分子がとりこまれることも考えられ る。さらに、アルキル基中に電気陰性度の高いフ ッ素や塩素があると、液体、特に極性液体との相 互作用が大きくなるため、水素のみのアルキル基 を含有する化合物よりも大きな付着性変化が得ら れる。また、フッ素を含有するアルキル基は、自 己凝集性が高いため、表面自己配向機能が高く、 更に、表面エネルギーが低いため、地肌よごれ防 止の点ですぐれている。
更にまた、記録体(A)の表面は液体反撥性を有 するが、これを固体の表面エネルギーで記述する と、本発明者らの検討では、50dyn/cm以下である ことが記録装置として望ましいことがわかった。
これ以上の高い値では記録剤に対して記録体(A) の表面が、時として、ぬれてしまい、地肌よごれ をおこすおそれがある。
ここで、記録体(A)の表面を形成する化合物の 詳細を述べる。まず、第1図(a)及び(d)のタイプ についてビニル系高分子側鎖にアルキル基(フッ 素及び/又は塩素置換のものも含む)を有する化合 物などが考えられる。具体的には、式(I)(II) (III)(IV)(V)(VI)及び(VII) R:-H、-CH3,-C2H5,-CF3又は-C2F5 Rf:C4以上のアルキル基又はフッ素若しくは塩 素置換アルキル基を含有した基、もしくは、 をもつ疎水基(l≧4) n′:1以上の整数 をモノマーとした重合体があげられる。
その他のポリマーとしては、式(VIII)(IX)及び (X)に示したごときものがあげられる。
R:-H、-CH3、-C2H5、-CF3又は-C2F5 Rf:C4以上のアルキル基又はフッ素もしくは塩 素置換アルキル基を含有した基、もしくは、 を 含む疎水基(l≧4) n:10以上の整数 これらの具体例でRfをより詳しくいえば下記(1) から(20)までのものを例示することができる。
これらの化合物のうちでも、特に、下記(XI)の 材料 〔但し、R1:水素、-CnH2n+1又は-CnF2n+1(n=1又 は2以上の整数) (p≧1の整数) (R3は-CH3又は-C2H5、q≧1の整数) m:6以上の整数 である。〕 従って、本発明における記録体(A)表面の部材 の最も好ましい具体的化合物としては などが挙げられる。
さらに、これら式(I)(II)(III)(IV)(V)(VI) (VII)及び(XI)のモノマーどうし(2種以上のモノマ ーの共重合体)の他に、他のモノマー例えばエチ レン、塩化ビニル、スチレン、ブタジエン、イソ プレン、クロロプレン、ビニルアルキルエーテル、 酢酸ビニル、ビニルアルコールなどとの共重合体 も上記化合物として適する。
また、式(XI)のモノマーと官能基を有する重合 性モノマー例えば CH2=C(CH3)COO(CH2)2OH CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH3 CH2=CHCOOCH2CH(OH)C8F17 などの1種以上とで共重合物をつくり重合物中に 官能基を多数導入するか、式(XI)のモノマーと官 能基を有する重合性モノマーとの共重合物をつく り、続いて、官能基を多数含んだ共重合物どうし を架橋試薬をもちいて架橋することにより製造し た架橋性重合体も材料としてすぐれている。架橋 試薬としては、ホルムアルデヒド、ジアルデヒド、 N-メチロール化合物、ジカルボン酸、ジカルボン 酸クロライド、ビスハロゲン化合物、ビスエポキ シド、ビスアジリジン、ジイソシアネートなどが あげられる。このようにして得られた架橋重合物 の一例を下記に示す。
上記の式において、Aブロックは前記の熱的性 質の変化をもたらすアルキル基であり、一方、B ブロックは鎖状ポリマーどうしを架橋している( 架橋試薬としてジイソシアネートを用いて架橋し たもの)部位である。
架橋体による膜を得るには、前記の共重合物と 架橋試薬とを混合した溶液をコート液として基板 上に塗布し、加熱又は電子線照射や光照射により 架橋重合膜を得るようにすればよい。
なお、上記モノマーから重合体を得るには、溶 液重合、電解重合、乳化重合、光重合、放射線重 合、プラズマ重合、グラフト重合、プラズマ開始 重合、蒸着重合など、材料により適当な方法が選 択される。
次に、第1図(b)に示した化合物について述べる。
ここでは、式(XII)、(XIII)及び(XIV)に示す材料 R−COOH …(XII) R−OH …(XIII) (R:炭素数4以上のアルキル基又はフッ素又は 塩素置換のアルキル基を含有した基、もしくは、 n:1以上の整数 X:塩素、メトキシ基又はエトキシ基) 等をガラス、金、銅などの無機材料やポリイミド、 ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートなど の有機材料表面に物理吸着又は化学結合した材料 (表面エネルギーが約50dyn/cm以下であるのが好 ましい)であることが望ましい。
式(XII)(XIII)及び(XIV)の具体例として などがあげられる。
第1図(c)に示す化合物としては式(XII)、 式(XIII)や式(XIV)の材料のみの構造体があ げられる。
続いて、上記化合物を用いた記録体(A)につい て述べる。
記録体(A)の構成としては、前記の表面部材 そのもので形成したもの、支持体(好ましくは 耐熱性支持体)上に前記の表面部材を形成したも の、とに大別される。の態様は上記化合物(表 面部材)そのものをフィルム状あるいは板状、あ るいは、円柱状に成形したものである。この際、 フィルム状の場合は、フィルムの厚さは1μm〜5mm が望ましい。
の態様においては、上記化合物がある程度支 持体内部へ侵入していてもかまわない。記録体(A) 自体の膜厚は30Å〜10μm、耐摩耗性の点では10μ
m 〜1mmがすぐれている。支持体の耐熱温度としては、 50℃〜300℃が望ましい。
支持体の形状は、ベルト状、板状、ドラム状い ずれでもよく、装置の使用用途に応じて選定する。
特に、ドラム状は装置における寸法精度を出せる 点ですぐれている。板状のものは、記録紙サイズ に応じてその大きさを決めればよい。
さらに、上記化合物(記録体(A)の表面形成材料) と他の部材、例えば疎水性ポリマー、疎水性無機 材料との混合物を支持体上に形成すると、印字に おける地肌よごれ防止の点ですぐれている。また、 熱伝導性を上げるためには、金属粉を上記化合物 に混入するとよい。更に、支持体と上記化合物と の密着性を向上するためにプライマー層を支持体 と化合物間にもうけることもできる。耐熱性支持 体としては、ポリイミド、ポリエステルなどの樹 脂フィルムやガラスやNi、Al、Cu、Cr、Ptなどの 金属や金属酸化物等が好ましい。これら支持体は 平滑でも粗面や多孔質であってもよい。
なお、上記化合物(記録体(A)の表面形成材料) による塗工膜は0.01〜100μm、好ましくは1〜
10μmで ある。
次に、接触材料(B)について説明する。
接触材料(B)は、先に記載したとおりであるが、 端的にいえば、当初から液体あるいは蒸気である か、又は、記録体(A)にいう後退接触角θrの低下 開始温度以下で結果的に液体を生じさせる固体で ある。ここでの蒸気は、記録体(A)の表面又は表 面近傍で、少なくともその一部が凝縮して液体を 生ぜしめ、その液体が記録体(A)の表面を濡らす ことができるものであれば充分である。一方、こ こでの固体は、前記後退接触角θrの低下開始温 度以下で液体となるか、液体を発生させるか、又 は、蒸気を発生させるものである。固体から発生 された蒸気は記録体(A)の表面又はその近傍で凝 縮して液体を生じさせることは前記の場合と同様 である。
これら接触材料(B)をより具体的にいえば次の とおりである。
即ち、接触材料(B)の一つである液体としては、 水の他に、電解質を含む水溶液、エタノール、n- ブタノール等のアルコール、グリセリン、エチレ ングリコール等の多価アルコール、メチルエチル ケトン等のケトン類のごとき有極性液体や、n-ノ ナン、n-オクタン等の直鎖状炭化水素、シクロヘ キサン等の環式状炭化水素、m-キシレン、ベンゼ ン等の芳香族炭化水素のごとき無極性液体があげ られる。また、これらの混合体でもよいし、各種 分散液や液状インクも使用できる。さらに望まし くは極性液体の方がよりすぐれている。
接触材料(B)の他の一つである蒸気としては水 蒸気の外に、接触材料(B)の液体の蒸気であれば 使用できるが、特にエタノール蒸気やm-キシレン 蒸気などの有機化合物の蒸気(噴霧状態のものを 含む)があげられる。この有機化合物蒸気の温度 は記録体(A)の表面を形成する化合物の融点或い は軟化点以下である必要がある。
接触材料(B)の他のもう一つである固体として は、高級脂肪族、低分子量ポリエチレン、高分子 ゲル(ポリアクリルアミドゲル、ポリビニルアル コールゲル)、シリカゲル、結晶水を含んだ化合 物などがあげられる。
なお、後述するところからより明らかになるが、 接触材料(B)として、前記液状インクのごとき"顕 色剤を含有した記録剤"を用いた場合には、潜像 形成と同時に顕像化が行なわれることになる。
続いて、加熱手段(潜像形成手段)について説明 する。
加熱手段としてはヒーター、サーマルヘッドな どによる接触加熱の他に、電磁波(レーザー光源、 赤外線ランプなどの発光源からの光線をレンズで 集光する)による非接触加熱がある。また、電子 線照射及び光(UV光)照射によった場合にも実質的 に加熱がなされていれば所期の目的を達成するす ることができる。
第2図(a)は基板1上に記録体(A)の表面を構成す る前記化合物の膜2が形成され、この膜面に接触 材料(B)のうちの例えば液体3が存在している状態 を示している。この状態において、膜2を加熱す ると、膜2表面は後退接触角θrが低下して著しい 濡れを示し、液体付着性を有してしまうのが認め られる。更に、この液体付着性を有する膜2を空 気中、真空中又は不活性ガス雰囲気中で再び加熱 する(第2図(b))と膜2表面は後退接触角θrが高ま ってゆき再び液体反撥性を示すのが認められる。
このような現象と幾分類似した現象を示すもの として、先にあげた特公昭54-41902号公報に記載 された方法がある。だが、ここに開示されている 方法では記録材料に実質的にディスオーダーでか つ一般的に不定形のメモリ物質の層を得るように している点でメカニズム上大きく相違したものと なっている。すなわち、本発明では、接触材料(B) の存在なしでは、記録体(A)表面には状態変化が おこりえない。また、特公昭54-41902号公報に記 載された方法では、簡単な操作で可逆性を得るこ とはできない。
第3図(a)のごとく、画像情報に応じて液体3の 接触下で膜2に熱を加える(第3図(b-1)のように、 液体不存在のものに膜2に画像情報に応じて熱を 加えた状態のもとで液体と接触させても同様であ る)と、加熱部分の膜2の表面が液体付着性化され る。図中、4はヒーター、31は液体供給口、41は 赤外線ランプ、5はレンズ、6はシャッターを表わ している。
第3図(a)は膜2の加熱は基板1を通して行なって いる例であるが、第3図(b-2)に示した例は、液体 3を通して加熱がなされている例である。
この膜2の水溶液接触下での加熱前後の水溶液 の接触角の変動、及び、このものを更に空気中で 加熱した場合の水溶液の接触角の変動の一例を第 4図に示した。第4図において、○は前進接触角、 △は後退接角を表わしている。
一般に、後退接触角が90゜以上の高い値の場合、 その表面は液体反撥性を示し、90゜以下の低い値 の場合、その表面は液体付着性を示す。
接触材料(B)に接した状態での記録体(A)表面の 加熱温度としては、50℃〜250℃の範囲が望ましく、 さらに望ましくは80℃〜150℃である。加熱時間は、 0.1m秒〜1秒程度で望ましくは、0.5m秒〜2m秒であ る。加熱のタイミングとしては、潜像形成であれ ば、記録体(A)表面を加熱した後、冷めないう ちに接触材料(B)に接触させる。記録体(A)表面 に接触材料(B)を接触させた状態のもとに記録体 (A)表面を加熱させる、のいずれかでもよい。
続いて、記録体(A)表面に実際に画像情報の記 録を行なう手段についてより詳細に説明する。
一つは、液体又は蒸気雰囲気下で画像信号に応 じて記録体(A)の表面を加熱し、記録体(A)の表面 に液体付着領域を形成(潜像形成)し、その後、こ の潜像部に記録剤を接触させる手段により潜像部 に記録剤を付着させ(現像)、この後、記録紙に記 録体(A)表面の記録剤を転写する方法である(間接 記録方法)。さらに、上記の方法において、記録 剤を転写後、再び潜像部に記録剤を接触させる手 段を行えば、記録体(A)を印刷版として用いた印 刷方法となる。また、上記の方法において、記録 剤を転写後、液体又は蒸気の不存在下で潜像を形 成した記録体(A)の表面を加熱し潜像を消去する ことにより、記録体(A)が再生可能な記録方法(繰 り返し記録法)となる。第5図(a),(b)に間接記録 方法(印刷法)、記録体の可逆的な記録方法(繰り 返し記録方法)の代表的なプロセスを示す。
次に記録剤について述べる。
本発明の記録装置において記録体(A)表面上に 可視画像を得るには、記録剤として筆記用インク、 インクジェット用インク、印刷インク、電子写真 用トナー等の従来の印字記録方法に用いられてき た記録剤の中から、本発明装置に応用されるプロ セスに適合するものを選択し使用することができ る。
より具体的な例を挙げると、例えば水性インク としては、水、湿潤剤、染料を主体とする水溶性 インク又は水、顔料、分散用高分子化合物、湿潤 剤を主体とした水性顔料分散インク、顔料又は染 料を界面活性剤を用いて水に分散せしめたエマル ジョン・インク等が用いられる。水性インクに用 いられる湿潤剤としては、次のような水溶性の有 機液体化合物が挙げられる。
エタノール、メタノール、プロパノール等の一 価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレ ングリコール、トリエチレングリコール、テトラ エチレングリコール、ポリエチレングリコール、 プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、 グリセリン等の多価アルコール類;エチレングリ コールモノブチルエーテル、ジエチレングリコー ルモノメチルエーテル、トリエチレングリコール モノメチルエーテル、テトラエチレングリコール モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ メチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレ ングリコールモノエチルエーテル、トリエチレン グリコールモノエチルエーテル、テトラエチレン グリコールモノエチルエーテル、プロピレングリ コールモノエチルエーテル等の多価アルコールの エーテル類;N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチ ルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の複 素環式化合物;モノエタノールアミン、ジエタノ ールアミン、トリエタノールアミン、モノエチル アミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等の アミン類等。
水溶性染料としては、カラー・インデックスに おいて酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性 染料、食用染料に分類される染料が用いられる。
代表的な染料の例としては、 C.I.アシッド・イエロー17,23,42,44,79,142 C.I.アシッド・レッド1,8,13,14,18,26,27,35, 37,42,52,82,87,89,92,97, 106,111,114,115,134,186, 249,254,289 C.I.アシッド・ブルー9,29,45,92,249,890 C.I.アシッド・ブラック1,2,7,24,26,94 C.I.フード・イエロー3,4 C.I.フード・レッド7,9,14 C.I.フード・ブラック2 C.I.ダイレクト・イエロー1,12,24,26,33,44,50, 142,144,865 C.I.ダイレクト・レッド1,4,9,13,17,20,28,31, 39,80,81,83,89,225, 227 C.I.ダイレクト・オレンジ26.29,62,102 C.I.ダイレクト・ブルー1,2,6,15,22,25,71,76, 79,86,87,90,98,163, 165,202 C.I.ダイレクト・ブラック19,22,32,38,51,56, 71,74,75,77,154,168 C.I.ベーシック・イエロー1,2,11,13,14,15,19, 21,23,24,25,28,29, 32,36,40,41,45,49, 51,53,63,65,67,70, 73,77,87,91 C.I.ベーシック・レッド2,12,13,14,15,18,22, 23,24,27,29,35,36,38,39, 46,49,51,52,54,59,68,69, 70,73,78,82,102,104,109, 112 C.I.ベーシック・ブルー1,3,5,7,9,21,22,26,35, 41,45,47,54,62,65,66,67, 69,75,77,78,89,92,93, 105,117,120,122,124,129, 137,141,147,155 ベーシック・ブラック2,8 等を挙げることができる。
顔料としては、有機顔料としてアゾ系、フタロ シアニン系、アンスラキノン系、キナクリドン系、 ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、 ペリノン系、ペリレン系、イソインドレノン系、 アニリン・ブラック、アゾメチンアゾ系、カーボ ン・ブラック等が挙げられ、無機顔料として酸化 鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、 水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、 カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉が挙 げられる。
顔料分散用化合物として、ポリアクリルアミド、 ポリアクリル酸及びそのアルカリ金属塩、水溶性 スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶 性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタ レンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレ イン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニル アルコール、β-ナフタレンスルホン酸ホルマリ ン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムや アミノ基等のカチオン性官能基の塩を含む高分子 化合物、ポリエチレンオキサイド、ゼラチン、カ ゼイン等の蛋白質、アラビアゴム、トラガントゴ ム等の天然ゴム類、サポニン等のグルコキシド類、 カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチル セルロース、メチルセルロース、等のセルロース 誘導体、リグニンスルホン酸及びその塩、セラミ ック等の天然高分子化合物、等が挙げられる。
油性の記録剤としては、水性インクと同様に、 油溶性染料を有機液体化合物に溶解したものや、 顔料を有機液体化合物に分散せしめたもの、顔料 又は染料を油性ベースに乳化させたもの、等が用 いられる。
油性染料の代表的な例としては、 C.I.ソルベント・イエロー1,2,3,4,5,6,7,8,9, 10,11,12,14,16,17, 26,27,29,30,39,40, 46,49,50,51,56,61, 80,86,87,89,96 C.I.ソルベント・オレンジ12,23,31,43,51,61 C.I.ソルベント・レッド1,2,3,16,17,18,19,20, 22,24,25,26,40,52,59, 60,63,67,68,121 C.I.ソルベント・バイオレット7,16,17 C.I.ソルベント・ブルー2,6,11,15,20,30,31,32, 35,36,55,58,71,72 C.I.ソルベント・ブラウン2,10,15,21,22 C.I.ソルベント・ブラック3,10,11,12,13 等が挙げられる。
また、染料を溶解したり、顔料を分散するため の油性ベースとしては、n-オクタン、n-デカン、 ミネラネスピリット、リグロイン、ナフサ、ベン ゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;ジブ チルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、 フェネトール、ジベンジルエーテル等のエーテル 類;メタノール、エタノール、イソプロピルアル コール、ベンジルアルコール、エチレングリコー ル、ジエチレングリコール、グリセリン等のアル コール類等を例示することができる。
油性インクにおいても先に例示した顔料を用い ることができる。油性の顔料分散剤の例としては、 ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エス テル、メタクリル酸エステル-アクリル酸エステ ル共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩ビ-酢ビ共重合 体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラー ル等のビニル系共重合体、エチルセルロース、メ チルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエス テル、ポリアミド、フェノール樹脂等の縮重合樹 脂、ロジン、セラミック、ゼラチン、カゼイン、 等の天然樹脂等がある。
次に、記録体(A)をはじめ、本発明装置におけ る構成について述べる。
記録体(A)は、加熱状態でかつ液体と接触させ た場合に後退接触角が低下する表面(便宜上「膜2」 又は「記録体(A)表面」を記すことがある)を有して いるものであれば、その形態にとらわれない。従 って、記録体(A)は、剛体円筒形状であっても、 柔軟性を有するフィルム形状であってもかまわな い。剛体円筒形状記録体(円筒状剛体の表面に膜2 が形成されたもの)は、記録体を稼働する際位置 ずれ等が生じにくいため制御性に優れているので、 望ましくは剛体円筒形状の記録体が良い。このよ うな記録体(A)の作製は膜2を基板上に成膜する方 法や、成形体そのもので作成する方法がよい。特 に、前記成形体は一般に機械強度が弱いため基板 上に成膜する方法が望ましい。なお、成形体その もので記録体(A)をつくる場合においても、その 表面には膜2が形成されていなければならないこ とはいうまでもない。
記録体基板に樹脂を用いた場合、このものは熱 の良導体とはいいがたく、記録体(A)表面が加熱 され液体付着性を有するまでにはある程度の時間 を要する。そこで、熱の良導体を基板の全体に又 は基板1上の部分に用いることが考えられてよい。
第6図(a)は例えば金属のような熱の良導体を基 板(金属基板11)としてその上に有機薄膜12を蒸着 し、更にその上に、膜2を形成するようにすれば、 垂直方向の熱伝導速度が向上する。ここでの有機 薄膜12としてはポリイミド、ポリエステル、フタ ロシアニンなどが例示できる。印字ドットが比較 的大きくてよい場合にはこの構成で十分であるが、 両方向への熱拡散により液体付着性を有する部分 が拡大するため一層の高密度印字を目的とする場 合には適さない。第6図(b)は、そのため、基板1 上に熱の良導部分を区切って設けることにより面 方向への熱拡散を防ぎ液体付着性を有する部分2a の微小化を図ったものである。第6図(b)において、 11aは微小された金属膜を表わしている。
続いて、加熱による潜像形成手段について述べ る。上記したごとく、加熱源としては、ヒーター やサーマルヘッドのごとき接触加熱源やレーザー や赤外線ランプのごとき電磁波による非接触加熱 源が望ましい。
これらの具体例として、液体と接した状態で記 録体(A)表面を加熱する手段を述べる。なお、便 宜上、基板1上に膜2が形成されているタイプの記 録体(A)を例にとって説明を進めることにする。
まず、あらかじめ記録体(A)表面に液体3を接して おき、その接した状態で基板1側又は液体3側から 加熱を行う手段(第7図(a)及び(b))や、初めに記 録体(A)表面側から加熱を行い直ちに液体3を記録 体加熱部(記録体(A)表面)に接触させる手段(第7 図(c)及び(d))の採られるのが望ましい。
液体3の供給手段としては、記録体(A)下部に皿 を設け液体を満たし記録体(A)が皿中の液体3に常 に接するようにし、加熱源を皿の近傍又は皿の中 に配置する構成が最も簡単な構成となる。皿の替 わりに、液体を充填したスポンジ状多孔質体34を 用いても良い。光や電子線による潜像形成手段も 上記構成と基本的に同様である。
第7図において、42はレーザー光源、43はサー マルヘッドである。このようにして、記録体(A) 表面には潜像が形成される。
上記手段により画像信号に応じて選択的に付与 された液体付着性領域に記録剤(インク)を付着さ せる手段としては、記録剤3aを充填した皿を潜像 形成手段配置位置に対して記録体(A)の進行方向 に配置し常に記録体(A)に接しておく構成が最も 簡単である(第8図及び第9図)。なお、第8図及び 第9図に示すごとく、潜像形成に用いる液体を記 録剤と兼用すると一つの皿で構成でき、潜像形成 と顕像化とを一体化できるため、装置を小型化で きる。
間接記録の場合、前記のとおり、例えば剛体円 筒管が記録体基板として用いられるのが有利であ る。潜像形成及び現像(顕像化)後、例えば記録体 上の記録剤は記録紙と直接接する手段を設けるこ とで記録紙の毛管作用により、記録紙へ記録剤は 転写される(転写手段)。転写を行う位置は、現像 後であれば、記録体のどの位置でもかまわないが、 現像後、直ちに転写が行われる位置が望ましい。
転写後、潜像消去を行わず現像及び転写を繰り返 えせば、この装置は印刷装置となる。一つの画像 情報の印刷が終了すれば、潜像消去を行なうこと で、別の画像情報の記録・印刷が可能となる。
また、上記転写手段による転写の後、液体又は 蒸気の不存在下で、即ち、空気中、真空中、又は、 不活性ガス中で潜像部付近を加熱することにより、 潜像を消去すれば記録体は繰返し作用可能な記録 装置となる。なお、潜像消去のための加熱源とし ては、ヒーターやサーマルヘッドのごとき接触加 熱源やレーザーや赤外線ランプのごとき電磁波に よる非接触加熱源が望ましい。加熱は記録体表面 の全面に行っても良く、潜像部のみ行っても良い。
ただし、全面加熱の方が装置構成を簡単にできる ため、より望ましい。なお、潜像消去手段は、消 去のための加熱を行ったのち、再び、潜像形成を 行うまでの時間の間に記録体表面が実質的に冷却 する位置に設ける。消去に必要な加熱温度は、記 録体表面の材料により異なるが、記録体表面の材 料の後退接触角が低くなる開始温度以上で分解点 以下の温度が望ましい。消去に必要な加熱温度は、 当該記録体(A)表面の材料により異なるが、記録 体(A)表面の材料の後退接触角が低くなる開始温 度以上で分解点以下の温度が望ましい。すなわち、 50〜300℃、望ましくは100〜180℃に加熱す
ればよ い。加熱時間はいずれの場合も1m秒〜10秒温度で 好ましくは10m秒〜1秒である。
記録紙(被転写体)としては、透明樹脂フィルム、 普通紙、インクジェット用紙、タイプ紙などが適 当である。
ところで、本発明に係る記録体(A)表面はその 使用頻度に比例して疲労してゆき、液体付着性と 反撥性との間の変化が小さくなり、遂には記録画 像が形成できなくなったり、記録紙への記録剤の 転写時に地肌汚れが生じるといったことが起りう る。こうした現象がみられるのは、記録体(A)表 面が液体付着性とされたり液体反撥性とされたり 規則的に又は不規則的に変化せしめられることに よるためであると考えられる。また、記録体(A) 上の記録剤が記録紙に転写される際、記録体(A)、 記録剤又は記録紙の種類、あるいはこれらの組み 合わせによっては完全に記録剤が記録紙に転写さ れず、記録体(A)上に残存することがありうる。
このような場合、記録体(A)の潜像を除去するた めに記録体(A)が加熱されると、記録剤中の液体 成分は蒸発するが色材が記録体(A)表面に固着し てしまう。色材が固着した記録体領域では、次サ イクル以降の潜像形成、現像、転写がうまく行な われず、地肌汚れや印字品質の低下をもたらす。
あるいは記録体(A)を劣化させて耐用繰り返し使 用回数が減ってしまう。更に、前述したように記 録剤は皿あるいはローラーにより記録体(A)に供 給されるが、記録体(A)がベルト型であれドラム 型であれ記録剤は第10図に示すように記録体7の エッジ部幅まで供給されるかあるいは第11図に示 すように印字幅まで供給される。ところが、第10 図の如く記録剤3aが記録体7のエッジ部幅まで供 給される場合、記録剤3aが記録体7側面に付着し やすくなる。そして繰り返し使用によりこの側面 に付着した記録剤3a′が堆積し記録体7表面にはみ でて地肌汚れを起こしやすくなる。また、第11図 の如く記録剤3aが印字幅だけ供給される場合、記 録体7と記録剤供給手段との接触面のエッジ部は 記録剤3aの表面がでているため記録体7に記録剤3 aが付着しやすくなり、やはり地肌汚れを起こし やすくなる。第11図中、3bは記録剤エッジ部表面、 3a″は付着した記録剤、43はサーマルヘッド、43a はサーマルヘッド43のエッジ部、44は熱素子であ る。
そこで、本発明装置においては、以下に述べる ような手段を採用することによりこれらの問題点 を解決している。
まず、第12図に示す例では、記録剤3aが記録紙 61に転写された後の記録体7の表面にブレード52a が接触され、記録体7表面に残存する記録剤や紙 粉を取り除くとともに、記録体7の表面を極くわ ずかに削るような手段がとられている。従って、 ブレード52aは記録体7表面に一定の圧力で接する ように調整されていることが必要である。ブレー ド52aの材質としては金属、高分子材料、セラミ ックスなどが適当である。図中、18は除去された 前記残存した記録剤、紙粉、削りとられた記録体 7表面などのカスを表わしており、これらは汚れ 受け53から外部へと排出される。
記録体7表面にブレード52aが接していることか ら、微小なキズが記録体7表面に生じる。だが、 このキズは記録体7表面をその溶融温度近傍まで 例えば赤外線ランプ41等で熱することによって修 復することができる。
第13図は、ブレード52bを記録体7の進行方向に つきささるような格好で配置している例である。
このような形態のものでは、第12図の例に比べて、 残存する記録剤や紙粉の除去、記録体7表面の研 磨がより効果的に行なわれる。但し、この例にお いては、記録体7表面とブレード52bとの間の圧力 を適切に維持させないと、びびり音を発生させ記 録体7表面に深い傷をつけることになる。
第14図は、ブレード52a,52bの代りに、ブラシ 52cが用いられ、残存する記録剤や紙粉を取り除 くようにしている。ブラシ52cはブレード52a、 52bに比べて記録体7表面の研削としての点では不 充分であるが、取りつけが容易という利点があ る。
なお、これら第12図、第13図及び第14図に示し た例では多数枚の記録を行なう場合には、赤外 線ランプ41等による記録体7表面の加熱は不要で ある。また、ブレード52a、52bやブラシ52cは記 録体7表面に常時接していなくても断続的に接す るようにしてもかまわない。
以上はクリーニング手段として記録体(A)表面 を研磨する研磨手段(ブレード、ブラシ)を用いた 例であるが、次にクリーニング手段としてクリー ニング液に接触させる手段を用いた例につき第15 図を参照しながら説明する。
第15図において、71はエンドレスベルト状記録 体、72a、72b、72cはローラー、73はインク液、7 3aは付着インク、73bは残存インク、74は潜像形 成のためのサーマルヘッド、75は転写ローラー、 76は記録紙、77は潜像消去のための赤外線加熱ラ ンプ等の加熱手段、78はクリーニング液、79はブ レードである。この例では、記録体71上の付着イ ンク73aを記録紙76に転写させた後、記録体71表 面をクリーニング液78に接触させていることに特 徴がある。これにより、記録紙76に転写されない で記録体71表面上に残存しているインク73b等を 除去することができる。従って、記録体71の液体 付着性の領域(潜像)は、赤外線ランプ等の加熱手 段77により液体反撥性に変化し、除像が確実に行 なわれる。このため、次サイクル以降の画像に地 肌汚れや印字品質の低下をもたらすことはない。
ここで、上記クリーニング液について説明する。
第16図は転写直後から除像直後までの記録体71表 面の状態を示す図で、(a)が転写直後、(b)がクリ ーニング直後、(c)が除像直後である。また、Pは 液体付着性領域、Qは液体反撥性領域、Rは記録紙 に転写されなかった残存インクである。本発明で 用いるクリーニング液に要求される条件は2つあ る。その1つは、インクをよく溶かすということ で、もう1つは、PとQに対する付着力の差が小さ いということである。前者の条件は当然であるの で、2番目の条件につき詳細に説明する。記録体 に付着する液体が異なるとPとQに対する付着力は 絶対的に異なる。液体のPとqに対する付着力がど ちらも強いか、あるいはどちらも弱い場合、すな わち液体のPとQに対する付着力の差が小さい場合、 液体はQにはもちろん付着しないが、Pにも付着し ない。一方、液体のPに対する付着力がQに対する 付着力よりも大きい場合、すなわち液体のPとQに 対する付着力の差が大きい場合、液体はPに付着 する。クリーニング液は、Rをそれ自身に溶かし 込んだ後、記録体表面に残存するようでは、その 後の除像に支障をきたす。従って、PとQに対する 付着力の差が小さい液体がクリーニング液として 適当である。このようなクリーニング液の具体例 としては、グリセリン、ホルムアミド、エチレン グリコール、ジエチレングリコール、プロピレン グリコール等の一種以上の湿潤剤あるいは水が例 示できる。これらはインクの湿潤剤、溶媒として も使用されているが、インクの付着に寄与するの は主に色材であるので、インクの湿潤剤、溶媒に 使用される液体をクリーニング液として使用して も何らさしつかえない。たとえ液体が記録体表面 に残存しても除像時に気化するので問題はない。
クリーニング液に溶解した残存インクはクリーニ ング液全体に拡散していくので、記録体表面近傍 の色材濃度は低く、色材が記録体表面に付着する ことはほとんどない。
第17図は記録体71表面をクリーニング液78に接 触させてクリーニングを行なう手段の変形例であ る。図中78Aはフィルター、78Bはポンプである。
この例は、クリーニング液78がポンプ78Bにより 循環され、途中にフィルター78Aが設けてあるこ とに特徴がある。このような構成によれば、常に 色材が混入していないクリーニング液78を記録体 71表面に供給することができるので、色材が記録 体71表面に再付着することを確実に防止し、信頼 性を向上できる。
第18図は記録体71表面をクリーニング液78に接 触させてクリーニングを行なう手段の別の変形例 である。この例は、クリーニング液78中の色材の 濃度を検知する色材濃度検知装置78Cと、交換時 期表示板78Dを設けたことに特徴がある。色材濃 度検知装置78Cはクリーニング液78中の色材濃度 を検知して色材の濃度がクリーニング効果を妨げ る濃度以上であるとき所定の信号を出力し、交換 時期表示板78D等により使用者に交換時期を知ら せる。従って、第17図の例と同様、色材が記録体 71表面に再付着することを確実に防止し、信頼性 を向上できる。
次に、クリーニング手段のさらに別の例につき 第19図を参照しながら説明する。
第19図において、81は記録体、82はローラー、 83はインク、83aは付着インク、83bは残存インク、 84は潜像形成用サーマルヘッド、85は転写ローラ ー、86は記録紙、87はローラー、88は微粒子、89 はブレード、90は除像用赤外線ランプである。こ の例は、転写後、液体吸収性の微粒子88を残存イ ンク83bの部分に塗布し、残存インク83bをこの微 粒子88に吸収させた後、微粒子を除去することで、 残存インク83bを除去することを特徴とする。
上記液体吸収性の微粒子88としては、記録体81 の摩耗を防止するため、記録体81表面よりも硬度 の柔らかく、かつインク83に不溶の材料が望まし い。また、記録体81表面から容易に除去できるよ うに記録体81に非粘着性であり、しかも記録体81 表面を汚染しない材料がよい。さらに、多孔質材 料のごとくその表面積が広い方がよく、約30〜900 m2/g、好ましくは約100〜800m/gの範囲が適
当で ある。粒子径は0.1〜20μmの範囲、好ましくは1
〜1 0μmの範囲のものが扱いやすい。液体吸収能力は 微粒子1gに対し10〜500gの液体を吸収できること が望ましい。具体的材料としては、多孔質のファ ーネスブラック、カーボンブラック、カオリンの ごときカーボンや、粘土あるいは酸化亜鉛、酸化 チタン、キナクリドンなどの有機顔料を用いるこ とができる。また、高分子吸収体も用いることが できる。
微粒子88の記録体81への塗布手段は、本例では ローラー87を用いているが、特に多孔質発泡性ロ ーラーが好ましく、その材料としては、発泡性の スポンジゴム、ポリウレタン、シリコーン樹脂な どがよい。また、微粒子88の搬送性を良くするた め微粒子88にキャリアー粒子を混合したものを使 用してもよい。この場合、キャリアー粒子として は粒状シリコーン、粒状テフロンなどが挙げられ る。微粒子88の記録体への塗布は、本例では、図 示のごとく微粒子容器にローラー87を入れ、容器 内の微粒子88を撹拌しながらローラー87にて記録 体81表面に塗布している。残存インク83bを吸収 した微粒子88はブレード89により除去する。除去 にはブラシ等を用いてもよい。除去した微粒子88 は廃棄してもよいし、乾燥の後、再利用してもよ い。
第20図は液体吸収性の微粒子88を用いて記録体 81表面をクリーニングする別の例である。ここで は、微粒子88の記録体81への塗布手段としてウェ ブ91を用いている。このような構成としても第19 図のものと同様な効果が得られる。また、塗布手 段として、ブラシ等を利用することもできる。
次に、クリーニング手段のさらに別の例につき 説明する。
この例は、第10図及び第11図により説明したよ うな問題が生じたとき又は生じないようにするた め、記録体の非印字部ないし記録体側面に付着し た記録剤の除去ないし洗浄手段を設けたことを特 徴とする。このような除去及び洗浄手段としては、 吸液性部材で構成されたローラー、ウェッブ、ブ レードなどを用い、直接記録体に接して物理的に 記録剤を吸収すると同時にかきとる手段などが適 する。第21図(a)、(b)はドラム型記録体91の側面 に付着した記録剤を除去する手段の二例である。
(a)はブレード93による除去、(b)はローラー94に よる除去である。第22図は記録体92表面の非印字 部に付着した記録剤を除去する手段95の例である。
この時の記録体92表面での除去手段95と印字部の 位置関係を第23図に示す。この例では熱源として サーマルヘッド97を用い、記録体92とサーマルヘ ッド97の間に記録剤96を保持した。図示の如く印 字部は熱素子(97a)列の端までである。記録剤96 の端面96aはサーマルヘッドエッジ近傍である。
非印字部付着記録除剤去手段(この図ではローラ) 95の端は、この記録剤面96aと印字部の端の中間 に位置するように配置する。第24図に示す如く、 記録体両端に配置する除去手段95,95は一体にな っていても良い。第24図では除去手段95にローラ ーを用い、ローラーどうしを一つの軸で結合して いる。また、記録体側面と記録面の記録剤除去手 段を一体の手段としても良い。第25図はこの例で、 径の異なるローラー95A,95Bを用い、95Aの周面で 記録体表面を95Bの周面で記録体側面を洗浄する。
第26図はブレードによる一体化した別の除去手段 95′の例である。また、記録紙の大きさに応じて 記録体92面の記録剤除去領域を変えても良い。第 27図にこの例を示す。記録紙の巾に応じて印字領 域も変わる。これに応じて除去手段の移動機構98 により記録体92表面の除去領域を変える。移動機 構98としては、モータやソレノイドコイルなどの 機械的手段や、圧電素子などが有効である。
〔実施例〕 実施例1 含フッ素アクリレート材料として住友3M社製撥 水撥油剤「フロラードFC-720」を用いポリイミドフ ィルム(東レデュポン社製500H)上にコートした後、 90℃にて2時間乾燥して約100μm厚の膜(表面エネ ルギー:約10dyn/cm)を製膜した。第12図に示した ように、このフィルムを丸めて、φ100、長さ100 mmのアルミ製円筒にまきつけて記録体を作製し、 熱転写プリンター用サーマルヘッドの加熱部をフ ィルム面に接して設置した。さらにこのサーマル ヘッドを液体インクが接するようにインク容器( 皿)内に置いた。液体インクとしてはフタロシア ニン系のシアンインク(染料濃度1重量%、溶媒:濃 度0.05モルのNaOH水溶液)を用いた。
サーマルヘッドに適当な信号を送り加熱したと ころ、加熱部のみインクが付着した。さらに、第 12図に示すごとく記録紙(三菱製紙社製NMコート 紙)を円筒状記録体に接して搬送したところ、イ ンクが紙に転写された。このインク付着部は、そ のまま放置しておいてもインクの付着性を示し、 印刷機として機能した。
約1000枚の記録を行った後、記録体(A)表面に ポリウレタンゴム製ブレード1cmあたり20gfの力 で接触させてカス8を取り除き、再び記録を続け たところ良質のコピーが得られた。
実施例2 ポリイミド基板上への膜の作製は実施例1と同 条件とした。さらに、実施例1と同様に記録剤と 接した状態で加熱し、膜表面を液体付着性化させ るとともに複写を行なった。この膜に対し、第13 図に示したごとく空気中にて、赤外線ランプにて 130℃で約1秒間記録体表面の加熱を行った。この 時の液体付着性化及び液体撥発性回復の結果は、 第4図に示したように、液中加熱により減少した 後退接触角は、空気中加熱により元の値にもどっ ているのが認められた。すなわち、液体反撥性が 回復していることがわかる。この一連の操作結果 より画像情報の記憶及び消去が確認できた。
実施例3 記録体材料として、含フッ素アクリレートモノ マーであるビスコート17F(大阪有機化学社製)を 原料とした溶液重合(溶液:1-1-1-トリクロロエタ ン)による重合物を用いた。この重合体をフレオ ン113にて希釈しコード液とした。スピンコート により、直径30mmのポリイミドシームレスフィル ム(東レデュポン社製:カプトン)からなる支持体 上に記録体材料層を形成し、130℃にて1時間加熱 乾燥した。記録体材料層の厚さは約1μmとした。
サーマルヘッドの加熱面を記録体表面に接して配 置し、さらにこのサーマルヘッドを水性黒色イン ク(接触材料兼記録剤)が接するようにインク容器 内に置いた。また、クリーニング手段は第19図の 如き構成とした。その他の手段の配置も第19図と 同様である。ここでクリーニング手段にて用いる 吸収性微粒子としては平均粒子径5μmの酸化チタ ンを採用し、これをポリエチレン容器に入れ、ウ レタンスポンジローラーにて撹拌し、記録体表面 に塗布し、シリコーン樹脂ブレードにより微粒子 を除去した。その結果、付着インクはほぼ完全に 除去できた。
実施例4 支持体として直径15mmのシリコーン樹脂ローラ を用い実施例3と同様にして該支持体上に記録体 材料層を形成し記録体を作製した。接触材料、潜 像形成のための加熱手段は実施例3と同様にし、 クリーニング手段は第20図の如き構成とした。こ こでクリーニング手段にて用いる吸収性微粒子と しては平均粒子径5μmの酸化チタンを採用し、こ れをポリエチレン容器に入れ、アクリル繊維でで きたウェブにて撹拌し、記録体表面に塗布し、シ リコーン樹脂ブレードにより微粒子を除去した。
その結果、実施例3と同様な効果が得られた。
実施例5 クリーニング手段として第22図の構成のものを 用いた以外は実施例3と同様にして記録装置を構 成した。このクリーニング手段は吸水部材として ろ紙を用い、これをアルミニウム製ローラーに巻 きつけたものである。このような構成によっても 上記と同様な効果が得られた。
実施例6 クリーニング手段として第26図の構成のものを 用いた以外は実施例4と同様にして記録装置を構 成した。このクリーニング手段は吸水部材として ろ紙を用い、これを積層して第26図の如くブレー ドとしたものである。このブレードを第22図で示 す非印字領域に接触させてクリーニングを行った ところ、上記と同様な効果が得られた。
実施例7 記録体基板として厚さ50μmのポリイミドフィ ルム(東レデュポン社製)を用い、この上に含フッ 素アクリレート材料17F(大阪有機化学工業製)を1 -1-1-トリクロロエタン中で溶液重合したポリマ ーからなる記録体材料の層を形成した。潜像形成 液体及びインクとして水性黒色インクを用い、ク リーニング液としてpH10のホウ酸塩水溶液を用い、 第15図、第17図の装置構成で画像記録を行った。
その結果、他の実施例と同様、記録体上に残存し たインクをほぼ完全に除去できた。
〔発明の効果〕 本発明の装置によれば、記録体上に液体付着領 域と非液体付着領域とが簡単に形成でき、また、 その二つに区分された領域を元の状態に戻すこと が容易であるばかりでなく、多数枚印刷を容易に 行なうことが可能である。また、記録体表面の残 存インクのクリーニング手段を設けたので、地肌 汚れがなく、高品質な記録画像の提供が可能とな る。
【図面の簡単な説明】
第1図は表面自己配向機能を有する形態の模式 的な四例の図である。 第2図及び第3図は本発明装置に適用される方法 を基本的に説明するための図である。 第4図は本発明の実施で用いらる記録体(A)表面 に液体を接触させた状態で記録体(A)表面を加熱 した場合、その記録体(A)表面にみられる後退接 触角θrの変化を表わした図である。 第5図は本発明装置に適用される方法の二つの 態様を示したものである。 第6図、第7図、第8図及び第9図は本発明装置の 実施の様子を表わした図である。 第10図及び第11図は記録体表面の非印字領域及 び記録体側面に記録剤が付着して残存する様子を 示す図である。 第12図、第13図及び第14図はクリーニング手段 を備えた記録装置の構成例を示す図である。 第15図は別のタイプのクリーニング手段を備え た記録装置の構成例を示す図である。 第16図は転写直後から除像直後までの記録体表 面の状態を示す図である。 第17図及び第18図は第15図に示すタイプのクリ ーニング手段の変形例を示す図である。 第19図及び第20図はさらに別のタイプのクリー ニング手段を備えた記録装置の構成例を示す図で ある。 第20図、第21図、第22図、第23図、第24図、第 25図、第26図及び第27図はさらに別のタイプのク リーニング手段の説明図である。 1…基板 2…膜 3…液体(3a…記録剤) 7,71,81,81′,92…記録体 52a,,52b…ブレード 52c…ブラシ 78…クリーニング液 88…微粒子 93…ブレード 94,95,95A,95B…ローラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹本 武 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 岡田 康之 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記記録体(A)の表面を下記接触材料
    (B)と接 触させた状態で選択的に加熱させることにより又 は記録体(A)の表面を選択的に加熱した状態で接 触材料(B)と接触させることにより記録体(A)の表 面に加熱温度に応じた後退接触角を示す潜像領域 を形成せしめる接触材料(B)を記録体(A)表面に供 給する手段と、潜像形成のために記録体(A)表面 を加熱する手段と、顕色剤を含有する記録剤を該 潜像領域に付与し顕像化させる記録剤付与手段と、 記録体(A)表面に付着された記録剤を記録紙に転 写する手段とを少なくとも具備してなり、更に記 録体(A)表面を清浄するためのクリーニング手段 を設けたことを特徴とする記録装置。 (A)加熱状態でかつ液体と接触させた場合に後 退接触角が低下する表面を有する記録体。 (B)液体、蒸気又は記録体(A)にいう後退接触角 の低下開始温度以下で液体となるか液体もし くは蒸気を発生する固体。
  2. 【請求項2】 更に、記録紙への転写後に液体又は蒸気
    又は 加熱により液体となる固体の不存在下で加熱する ことにより潜像を消去する潜像消去手段を設けた ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 【請求項3】 前記の接触材料(B)の供給手段と記録剤
    付与 手段とを一つにしたことを特徴とする請求項1又 は2に記載の記録装置。
  4. 【請求項4】 前記クリーニング手段は、記録体(A)表
    面を 研磨する研磨手段であることを特徴とする請求項 1又は2又は3に記載の記録装置。
  5. 【請求項5】 前記クリーニング手段は、記録体(A)表
    面を クリーニング液に接触させる手段であることを特 徴とする請求項1又は2又は3に記載の記録装置。
  6. 【請求項6】 前記クリーニング手段は、記録体(A)表
    面に 微細な液体吸収性の微粒子を塗布し、残存記録剤 を吸収したのち当該微粒子を除去する手段である ことを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の記 録装置。
  7. 【請求項7】 前記クリーニング手段は、記録体(A)表
    面の 非印字領域及び/又は記録体(A)側面に付着した記 録剤を除去する手段であることを特徴とする請求 項1又は2又は3に記載の記録装置。
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