JP3041636B2 - 記録装置 - Google Patents

記録装置

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JP3041636B2
JP3041636B2 JP02249084A JP24908490A JP3041636B2 JP 3041636 B2 JP3041636 B2 JP 3041636B2 JP 02249084 A JP02249084 A JP 02249084A JP 24908490 A JP24908490 A JP 24908490A JP 3041636 B2 JP3041636 B2 JP 3041636B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は記録装置に関し、詳しくは、液体反撥性を有
する記録体の表面に画像情報に応じて液体付着性領域を
形成し、必要に応じて、インク液をその液体付着性領域
に供給して可視画像を得るようにするか、或いは、前記
のインク液を液体付着性領域に供給した後、紙などの被
転写体(記録体)に転写できるようにした記録装置に関
する。
〔従来の技術〕
表面を液体付着性領域と非液体付着性領域とに区分け
して画像形成に供するようにした手段の代表的なものと
しては水(湿し水)なし平版印刷版を用いたオフセット
印刷方式があげられる。だが、このオフセット印刷方式
は原版からの製版工程及び刷版(印刷版)からの印刷工
程を一つの装置内に組込むことが困難であり、製版印刷
の装置の小型化は勢い困難なものとなっている。
例えば、比較的小型化されている事務用オフセット製
版印刷機においても、製版装置と印刷装置とは別個にな
っているのが普通である。
このようなオフセット印刷方式の欠陥を解消すること
を意図して、画像情報に応じた液体付着性領域及び非液
体付着性領域が形成でき、しかも、繰返し使用が可能な
(可逆性を有する)記録方法ないし装置が提案されるよ
うになってきている。その幾つかをあげれば次のとおり
である。
(1)水性現像方式 疎水性の光導電体層に外部より電荷を与えた後、露光
して光導電体層表面に疎水性部及び親水性部を有するパ
ターンを形成し、親水性部のみに水性現像剤を付着させ
て紙などに転写する(特公昭40−18992号、特公昭40−1
8993号、特公昭44−9512号、特開昭63−264392号などの
公報)。
(2)フォトクロミック材料の光化学反応を利用した方
式 スピロピラン、アゾ色素などの材料を含有した層に紫
外線を照射し、光化学反応により、これらフォトクロミ
ック化合物を親水化する〔例えば「高分子論文集」第37
巻4号、287頁(1980)〕。
(3)内部偏倚力の作用を利用した方式 不定形状態と結晶性状態とを物理的変化により形成
し、液体インクの付着・非付着領域を構成する(特公昭
54−41902号公報)。
前記(1)の方式によれば、水性インクを紙などに転
写した後、除電により親水性部は消去され、別の画像情
報の記録が可能となる。即ち、一つの原版(光導電体)
で繰り返し使用が可能となる。だが、この方式は電子写
真プロセスを基本としているため帯電→露光→現像→転
写→除電という長いプロセスを必要とし、装置の小型化
やコストの低減、メンテナンスフリー化が困難であると
いった欠点をもっている。
前記(2)の方式によれば、紫外線と可視光との照射
を選択的にかえることによって親水性、疎水性を自由か
つ可逆的に制御できるものの、量子効率が悪いため反応
時間が非常に長くて記録速度が遅く、また安定性に欠け
るといった欠点をもっており、いまだ実用レベルには達
していないのが実情である。
更に、前記(3)の方式によれば、そこで使用される
情報記録部材は、記録後のものでは安定性があるが、記
録前のものでは温度変化により物理的構造変化が生じる
おそれがあることから保存性に問題が残されている。こ
れに加えて、記録された情報パターンの消去には熱パル
スを与え、次いで急冷する手段が採用されることから、
繰り返しの画像形成は繁雑さをまねがれ得ないといった
不都合がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、新規な記録体を用い、製版が極めて
簡単で時間がかからず、続いて、その状態のままでも画
像等が得られる記録装置を供給するものである。本発明
の他の目的は、前記の記録体として耐摩耗性にすぐれ、
液体付着領域の形成及びその消去の繰り返しが行なえ、
しかも記録の前後にかかわらず保存性、安定性にすぐれ
たものが用いられ、小型化、低コスト化、メンテナンス
フリー化の可能な記録装置を提供するものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の記録装置は、加熱状態でかつ液体と接触させ
たときに後退接触角が低下する性質を有する材料が多孔
質部材中或いは粗面をもつ部材上に表面が露出するよう
にして埋め込まれている記録体と、前記の加熱状態を形
成する手段と、前記液体の供給手段とを備えていること
を特徴とする。
なお、本発明装置においては、潜像が形成された記録
体の表面を、液体の不存在下で加熱することによって潜
像の消去が行なえ、可逆的に画像形成がなし得るもので
ある。
本発明者は、従来技術に記述したごとき欠陥を解消
し、新規な記録装置について多くの研究・検討を行なっ
た。その結果、液体に接した状態で加熱されて、冷却後
退接触角が低くなり、かつ、液体不存在下の加熱により
後退接触角が高くなるという機能を表面に有する部材が
記録体として有用であることを見いだした。そして、こ
のような機能を有する記録体はその表面が(1)疎水基
の表面自己配向機能をもつ有機化合物を含む部材、又は
(2)疎水基をもつ有機化合物であって疎水基を表面に
配向した部材が有効であることも併せて確めた。
(1)にいう“表面自己配向機能”とは、ある化合物
を支持体上に形成した固体又は或る化合物自体による固
体を空気中で加熱すると、表面において疎水基が空気側
(自由表面側)に向いて配合する性質があることを意味
する。このことは、(2)においても同様にいえること
である。一般に、有機化合物では疎水基は疎水性雰囲気
側へ向きやすい現象をもっている。これは、固−気界面
の界面エネルギーが低くなる方に向うために生じる現象
である。また、この現象は疎水基の分子長が長くなるほ
どその傾向がみられるが、これは分子長が長くなるほど
加熱における分子の運動性が上がるためである。
更に具体的には、末端に疎水基を有する(即ち表面エ
ネルギーを低くする)分子であると、空気側(自由表面
側)を向いて表面配向しやすい。同様にCH2 を含
む直鎖状分子ではCH2CH2の部分が平面構造をしてお
り、分子鎖どうしが配向しやすい。また、 を含む分子も の部分が平面構造をしており、分子鎖どうしが配向しや
すい。殊に、弗素などの電気陰性度の高い元素を含む直
鎖状分子は自己凝集性が高く、分子鎖どうしが配向しや
すい。
これらの検討結果をまとめると、より好ましくは、自
己凝集性の高い分子を含んだり平面構造をもつ分子を含
み、かつ、末端に疎水基を有する直鎖状分子、或いは、
そうした直鎖状分子を含む化合物は表面自己配向機能が
高い化合物といえる。
これまでの記述から明らかなように、表面自己配向状
態と後退接触角とは関連があり、また、後退接触角と液
体付着性との間にも関係がある。即ち、固体表面での液
体の付着は、液体の固体表面での主にタッキングによっ
て生じる。このタッキングはいわば液体が固体表面を滑
べる時の一種の摩擦力とみなすことができる。従って、
本発明でいう“後退接触角”θrには、 (但し、γ :真空中の固体の表面張力 γsl:固−液界面張力 γlV:液体がその飽和蒸気と接しているときの
表面張力 πe :平衡表面張力 γf :摩擦張力 γs :吸着層のない固体の表面張力である) の関係式が成立つ(斉藤、北崎ら「日本接着協会誌」Vo
l.22、No.12,No.1986号)。
従って、θrの値が低くなるときγ値は大きくな
る。即ち、液体は固体面を滑べりにくくなり、その結
果、液体は固体面に付着するようになる。
これら相互の関連から推察しうるように、液体付着性
は後退接触角θrがどの程度であるかに左右され、その
後退接触角θrは表面自己配向機能を表面に有する部材
の如何により定められる。それ故、本発明装置において
は、記録体はその表面に所望パターン領域の形成及び/
又は記録剤による顕像化の必要から、必然的に、表面自
己配向機能を表面に有する部材が選択されねばならな
い。
本発明装置で用いられる記録体は、第1図(a)及び
(b)にみられるとおり、多孔質部材21中に又は粗面を
もつ部材22上に「加熱状態でかつ液体と接触された場合
に後退接触角θrが低下する材料2a」がその表面が露出
するようにして埋め込まれているという形態を呈してい
る。
この記録体は、接触される液体の種類によっては潜像
領域における液体付着性部分が親油性又は親水性のいず
れかになり、従って、複写物を得る際には油性インク、
水性インクのいずれも必要に応じて使いわけられる。
ここで、“加熱状態でかつ液体と接触させた場合に後
退接触角θrが低下する表面を形成する”材料を幾つか
に分類した例を第2図に示す。第2図(a)は自己配向
機能を有する化合物の例で、高分子重合体の側鎖に疎水
基を有する化合物であり、主鎖Lと疎水基Rとは結合基
Jにて結合している。第2図(b)は、直鎖状分子が高
分子の側鎖にある例で、主鎖Lと前記分子を結合基Jに
よりつなぎ、末端に疎水基Rをもつ自己凝集性又は平面
構造を有する分子鎖Nが中間にある化合物である。
なお、第2図(a)(b)の例において、高分子化合
物の主鎖Lは直線状でも網かけ構造でもよい。
前記の疎水基としては、分子の末端が好ましくは−CH
3や−CF3、−CF2H、−CFH2、−C(CF3、−C(C
H3などによっており、より好ましくは、分子運動性
が高い点で分子長の長いものが有利である。中でも、前
記疎水基としては、−F及び/又は−Clが1つ以上ある
置換アルキル基 或いは無置換のアルキル基であって、炭素数4以上のも
のが望ましい。弗素置換、塩素置換のいずれのものも用
いれるが、弗素置換のものの方が効果的である。これら
の材料においては、アルキル基炭素数と機能との関係で
は、炭素数が3以下であると、記録体に適する機能が低
くなってしまう。
この機能発現の原理はいまだ完全に明らかにされた訳
ではなく、従って、不明な点が多いが、以下のことが推
定される。
まず、上記化合物2aが多孔質部材21中又は粗面をもつ
部材22上に露出するよう埋め込まれた形態を呈する記録
体の表面は、前記疎水基がかなり配向した表面となって
いることが考えられる。従って、この表面は液体反撥性
を有する(疎水基は表面エネルギーが小さいため)。こ
の状態で、記録体の表面が液体の接触下で加熱を受ける
と、加熱による疎水基の分子運動が活発となり、かつ、
液体との相互作用を受けて、記録体の表面の少なくとも
一部の配向(整列)状態が別の状態(即ち、別の配向状
態又は配向が乱れた状態)にかわり、冷却後もその別の
状態を維持するためと思われる。
なお、記録体の表面に液体を接触させた状態のもとで
加熱することは、記録体の表面が加熱された状態のもと
に液体を接触させることにもなる。
この加熱前は、疎水基が表面に整列(配向)している
ため、記録体の表面の表面エネルギーは極めて少ない。
ところが、液体が接した状態のものでの加熱により、配
向状態は乱れて表面エネルギーが高まる。後退接触角θ
rは、液体の種類にかからわず、固体と液体との表面エ
ネルギーのバランスで決定される。このため、固体の表
面エネルギーが高まれば、液体の種類にかかわらず、後
退接触角θrは低くなる。従って、液体に対する付着性
は増大することになる。
更に、記録体の表面が別の状態(基の配向状態とは異
なる「別の配向状態」又は「配向が乱れた状態」)で液
体の不存在下に加熱を受けると、液体との相互作用が生
じないため、元の整列(配向)状態にもどると思われ
る。
従って、液体の存在は単なる記録体の表面を加熱後の
急冷を行なうためのものではなく、記録体の表面に露出
している前記化合物(加熱状態でかつ液体と接触させた
ときに後退接触角が低下する性質を有する材料)との何
らかの相互作用をおこすものであり、この相互作用があ
って、はじめて別の状態(別の配向状態又は配向が乱れ
た状態)への変化がおこると思われる。
前記のとおり、記録体の表面に露出している前記化合
物2aの疎水基として、アルキル基又は弗素あるいは塩素
置換のアルキル基が採用された場合には、アルキル基の
炭素数が4以上であるのが望ましいのは、記録体の表面
にアルキル基がある程度整列(配向)し、しかも加熱時
に活発な分子運動をするのに必要な数に由来するものと
思われる。また、液体が記録体の表面に露出している前
記化合物2aとともに加熱を受けた時、記録体表面に露出
している前記化合物2aの分子中に液体の分子がとりこま
れることも考えられる。さらに、アルキル基中に電気陰
性度の高いフッ素や塩素があると、液体時に極性液体と
の相互作用が大きくなるため、水素のみのアルキル基を
含有する化合物よりも大きな付着性変化が得られる。ま
た、フッ素を含有するアルキル基は、自己凝集性が強い
ため、表面自己配向機能が高く、更に、表面エネルギー
が低いため、地肌よごれ防止の点ですぐれている。
更にまた、記録体の表面は液体反撥性を有するが、こ
れを固体の表面エネルギーで記述すると、本発明者らの
検討では、50dyn/cm以下であることが記録方法として望
ましいことがわかった。これ以上の高い値では記録剤に
対して記録体の表面が、時として、ぬれてしまい、地肌
よごれをおこすおそれがある。
ここで、記録体の表面に露出している前記化合物2aの
詳細を述べる。これにはビニル系高分子側鎖にアルキル
基(フッ素及び/又は塩素のものも含む)を有する化合
物などが考えられる。具体的には、式(I)(II)(II
I)(IV)(V)(VI)及び(VII) R:−H、−CH3,−C2H5,−CF3又は−C2F5 Rf:C4以上のアルキル基又はフッ素若しくは塩素置換
アルキル基を含有した基、もしくは、分子鎖中にCf2
、CH2 又は をもつ疎水基(l≧4) n′:1以上の整数 をモノマーとした重合体があげられる。
その他のポリマーとしては、式(VIII)(IX)及び
(X)に示したごときものがあげられる。
R:−H、−CH3、−C2H5、−CF3又は−C2F5 Rf:C4以上のアルキル基又はフッ素もしくは塩素置換
アルキル基を含有した基、もしくは、分子鎖中にCf2
、CH2 又は を含む疎水基(l≧4) n:10以上の整数 これら具体例でRfをより詳しくいえば下記(1)から
(20)までのものを例示することができる。
これらの化合物のうちでも、特に、下記(XI)の材料
の使用が望ましい。
〔但し、R1:水素、−CnH2n+1又は−CnF2n+1(n=1又
は2以上の整数) R2:CH2 (p≧1の整数) 又はCH2 qN(R3)SO2− (R3は−CH3又は−C2H5、q≧1の整数) m:6以上の整数 である。〕 従って、本発明における記録体の表面に露出している
前記化合物2aの最も好ましい具体的なものとしては などが挙げられる。
さらに、これら式(I)(II)(III)(IV)(V)
(VI)(VII)及び(XI)のモノマーどうし(2種以上
のモノマーの共重合体)の他に、他のモノマー例えばエ
チレン、塩化ビニル、スチレン、ブタジエン、イソプレ
ン、クロロプレン、ビニルアルキルエーテル、酢酸ビニ
ル、ビニルアルコールなどとの共重合体も上記化合物と
して適する。
また、式(XI)のモノマーと官能基を有する重合性モ
ノマー例えば CH2=C(CH3)COO(CH22OH CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH3 CH2=CHCOOCH2CH(OH)C8F17 などの1種以上とで共重合物をつくり重合物中に官能基
を多数導入するか、式(XI)のモノマーと官能基を有す
る重合性モノマーとの共重合物をつくり、続いて、官能
基を多数含んだ共重合物どうしを架橋試薬をもちいて架
橋することにより製造した架橋性重合体の材料としてす
ぐれている。架橋試薬としては、ホルムアルデヒド、ジ
アルデヒド、N−メチロール化合物、ジカルボン酸、ジ
カルボン酸クロライド、ビスハロゲン化合物、ビスエポ
キシド、ビスアジリジン、ジイソシアネートなどがあげ
られる。このようにして得られた架橋重合物の一例を下
記に示す。
上記の式において、Aブロックは前記の熱的性質の変
化をもたらすアルキル基であり、一方、Bブロックは鎖
状ポリマーどうしを架橋している(架橋試薬としてジイ
ソシアネートを用いて架橋したもの)部位である。
この架橋体を用いた記録体を得るには、前記の共重合
物と架橋試薬とを混合した溶液中に多孔質部材又は粗面
を有する部材を浸漬し、又は、前記の溶液を多孔質部材
又は粗面を有する部材上に塗布させた後、加熱又は電子
線照射や光照射により架橋重合せしめるようにすればよ
い。
本発明に係る記録体即ち液体に対して反撥力の強い記
録体は、これまでに述べてきたような重合体(ホモ重合
体、共重合体(グラフト共重合体を含む)、架橋重合
体)を多孔質部材又は粗面を有する部材に塗布・含浸
し、加熱を施こし或いは電子線照射、光(UV光)照射な
どを施こして作製することができる。
多孔質部材としては、ポリテトラフロロエチレンやポ
リエチレン、シリコーン樹脂などの多孔質フィルムやス
テンレスやアルミナなどの焼結体をフッ素樹脂コートし
た部材が適当である。孔径としては0.1μm〜1.0μmぐ
らいが適当である。一方、粗面を有する部材としてはポ
リテトラフロロエチレン、ポリエチレン、シリコーン樹
脂をサンドブラストやケミカルエッチングによりブラス
ト処理した材料や、金属やガラスにポリテトラフロロエ
チレンなどを蒸着した材料などが適当である。粗面の程
度としては、基準長さ10μmに対し十点平均粗さ0.1μ
m〜1.0μm(JIS B 0601)が適当である。
前記多孔質部材の孔中に前記化合物(例えば式(XI)
の材料)を埋め込んだ記録体の使用によれば、記録体面
と被記録体との接触の際、孔の側壁端が物理的ブロッキ
ング効果を持ち、孔中に存在している式(XI)の材料の
摩耗を防止するのに有利である。また、後者の粗面を有
する部材上に式(XI)の材料を塗布し凹部に式(XI)の
材料が埋め込まれた状態の記録体の使用によれば、記録
体表面と被記録体との接触の際に、粗面を有する部材の
凸面が物理的ブロッキング効果を持ち、式(XI)の材料
の摩耗を防止するのに有利である。
次に、液体について説明する。
本発明でいう“液体”とは、端的にいえば、当初から
液体(蒸気を含む)であるか、又は、記録体にいう後退
接触角θrの低下開始温度以下で結果的に液体を生じさ
せる固体である。ここでの蒸気は、記録体の表面又は表
面近傍で、少なくともその一部が凝縮して液体を生ぜし
め、その液体が記録体の表面を濡らすことができるもの
であれば充分である。一方、ここでの固体は、前記後退
接触角θrの低下開始温度以下で液体となるか、液体を
発生させるか、又は、蒸気を発生させるものである。固
体から発生された蒸気は記録体の表面又はその近傍で凝
縮して液体を生じさせることは前記の場合と同様であ
る。
これらをより具体的にいえば次のとおりである。
即ち、本来的な液体としては、水の他に、電解質を含
む水溶液、エタノール、n−ブタノール等のアルコー
ル、グリセリン、エチレングリコール等の多価アルコー
ル、メチルエチルケトン等のケトン類のごとき有極性液
体や、n−ノナン、n−オクタン等の直鎖状炭化水素、
シクロヘキサン等の環式状炭化水素、m−キシレン、ベ
ンゼン等の芳香族炭化水素のごとき無極性液体があげら
れる。また、これらの混合体でもよいし、各種分散液や
液状インクも使用できる。さらに望ましくは極性液体の
方がよりすぐれている。
蒸気としては水蒸気の外に、液体の蒸気であれば使用
できるが、特にエタノール蒸気やm−キシレン蒸気など
の有機化合物の蒸気(噴霧状態のものを含む)があげら
れる。この有機化合物蒸気の温度は記録体の表面を形成
する化合物の融点或いは軟化点以下である必要がある。
固体としては、高級脂肪酸、低分子量ポリエチレン、
高分子ゲル(ポリアクリルアミドゲル、ポリビニルアル
コールゲル)、シリカゲル、結晶水を含んだ化合物など
があげられる。
なお、後述するところからより明らかになるが、液体
として、前記液状インクのごとき“顕色剤を含有した記
録剤”を用いた場合には、線像形成と同時に顕像化が行
なわれることになる。
続いて、加熱手段について説明する。
加熱手段としてはヒーター、サーマルヘッドなどによ
る接触加熱の他に、電磁波(レーザー光源、赤外線ラン
プなどの発光源からの光線をレンズで集光する)による
非接触加熱がある。
第3図(a)は基板1上に記録体の表面に露出してい
る前記化合物2aの膜2が形成され、この膜面に例えば液
体3が存在している状態を示している。この状態におい
て、膜2を加熱すると、膜2表面は後退接触角θrが低
下して著しい濡れを示し、液体付着性を有してしまうの
が認められる。更に、この液体付着性を有する膜2を空
気中、真空中又は不活性ガス雰囲気中で再び加熱する
(第3図(b))と膜2表面は後退接触角θrが高まっ
てゆき再び液体反撥性を示すのが認められる。
このような現象と幾分類似した現象を示すものとし
て、先にあげた特公昭54−41902号公報に記載された方
法がある。だが、ここに開示されている方法では記録材
料が実質的にデイスオーダーでかつ一般的に不定形のメ
モリ物質の層を得るようにしている点でメカニズム上大
きく相違したものとなっている。すなわち、本発明装置
では、液体の存在なしでは、記録体表面には状態変化が
おこりえない。また、特公昭54−41902号公報に記載さ
れた方法では、簡単な操作で可逆性を得ることはできな
い。
第4図(a)のごとく、画像情報に応じて液体3の接
触下で膜2に熱を加える(第4図(b−1)のように、
液体不存在のものに膜2に画像情報を応じて熱を加えた
状態のもとで液体と接触させても同様である)と、加熱
部分の膜2の表面が液体付着性化される。図中、4はヒ
ーター、31は液体供給口、41は赤外線ランプ、5はレン
ズ、6はシャッターを表わしている。
第4図(a)は膜2の加熱は基板1を通して行なって
いる例であるが、第4図(b−2)に示した例は、液体
3を通して加熱がなされている例である。
基体1が必要とされるのは、本発明における記録体に
強度不足があったり、薄すぎると円筒状やベルト状に成
形できなかったりするのを防ぐためである。
この膜2の水溶液接触下での加熱前後の水溶液の接触
角の変動、及び、このものを更に空気中で加熱した場合
の水溶液の接触角の変動の一例を第5図に示した。第5
図において、○は前進接触角、△は後退接触角を表わし
ている。
一般に、後退接触角が90゜以上の高い値の場合、その
表面は液体反撥性を示し、90゜以下の低い値の場合、そ
の表面は液体付着性を示す。
液体に接した状態での記録体表面の加熱温度として
は、50℃〜250℃の範囲が望ましく、さらに望ましくは8
0℃〜150℃である。加熱時間は、0.1m秒〜1秒程度で望
ましくは、0.5m秒〜2m秒である。加熱のタイミングとし
ては、潜像形成であれば、記録体表面を加熱した後、
冷めないうちに液体と接触させる。記録体表面に液体
を接触させた状態のもとに記録体表面を加熱させる、の
いずれかでもよい。一方、潜像消去であれば、液体の不
存在下で記録体表面を50〜300℃、望ましくは100〜180
℃に加熱すればよい。加熱時間はいずれの場合も1m秒〜
10秒程度で好ましくは10m秒〜1秒である。
続いて、記録体表面に実際に画像情報の記録を行なう
手段についてより詳細に説明する。
一つは液体又は蒸気雰囲気下で画像信号に応じて記録
層表面を加熱し、記録層の表面に液体付着領域を形成
(潜像形成)し、その後、この潜像部に記録剤を接触さ
せる手段により潜像部に記録剤を付着させ(現像)、こ
の後、この記録をそのまま記録体の表面上に定着させる
方法である(直接記録方法)。もう一つは、液体又は蒸
気雰囲気下で画像信号に応じて記録体の表面を加熱し、
記録体の表面に液体付着領域を形成(潜像形成)し、そ
の後、この潜像部に記録剤を接触させる手段により潜像
部に記録剤を付着させ(現像)、この後、記録紙に記録
体表面の記録剤を転写する方法である(間接記録方
法)。さらに、上記の方法において、記録剤を転写後、
再び潜像部に記録剤を接触させる手段を行えば、記録体
を印刷版として用いた印刷方法となる。また、上記の方
法において、記録剤を転写後、液体又は蒸気の不存在下
で潜像を形成した記録体の表面を加熱し潜像を消去する
ことにより、記録体が再生可能な記録方法となる。第6
図(a),(b),(c)に直接記録方法、間接記録方
法(印刷法)、記録体の可逆的な記録方法(繰り返し記
録方法)の代表的なプロセスを示す。
次に、記録体をはじめ、記録方法における装置構成に
ついて述べる。
記録体は、その形態にとらわれない。従って、記録体
は、例えば第7図(a)に示したように、記録体をエン
ドレスベルト状に形成してもよく、また、第7図(b)
(c)又は(d)に示したように、記録体を円筒状に形
成してもかまわない。第7図(a)(b)(c)及び
(b)において、77は記録体2′を基板1に密着させた
状態を表わしており、3aは液体インク、21はテフロン
層、32はインクだめ、33はインク容器、34はスポンジロ
ーラ、8はセラミックヒーター、9は紙など、42は半導
体レーザー、43は熱素子(サーマルヘッド)である。
液体付着性領域の形成時における液体3の供給は、液
体インクとして水溶性又は油性のものを用いれば第7図
(a)(b)に示したインクだめ32、インク容器33に収
納された前記水溶性又は油性インク3aに記録体2′を接
触させ、この記録体に加熱を施こすようにすればよい。
記録体基板に樹脂を用いた場合、このものは熱の良導
体とはいいがたく、記録体表面が加熱され液体付着性を
有するまでにはある程度の時間を要する。そこで、熱の
良導体を基板の全体に又は基板1上の部分に用いること
が考えられてよい。
第8図(a)は例えば金属のような熱の良導体を基板
(金属基板11)としてその上に有機薄膜12を蒸着し、更
にその上に、膜2を形成するようにすれば、垂直方向の
熱伝導速度が向上する。ここでの有機薄膜12としてはポ
リイミド、ポリエステル、フタロシアニンなどが例示で
きる。印字ドットが比較的大きくてよい場合にはこの構
成で十分であるが、両方向への熱拡散により液体付着性
を有する部分が拡大するため一層の高密度印字を目的と
する場合には適さない。第8図(b)は、そのため、基
板1上に熱の良導部を区切って設けることにより面方向
への熱拡散を防ぎ液体付着性を有する部分2bの微小化を
図ったものである。第8図(b)において、11aは微小
された金属膜を表わしている。
続いて、加熱による潜像形成手段について述べる。上
記したごとく、加熱源としては、ヒーターやサーマルヘ
ッドのごとき接触加熱源やレーザーや赤外線ランプのご
とき電磁波による非接触加熱源が望ましい。
これらの具体例として、液体と接した状態で記録体表
面を加熱する手段を述べる。まず、あらかじめ記録体表
面に液体3を接しておき、その接した状態で基体1側又
は液体3(液体インク3a)側から加熱を行う手段(第9
図)や、初めに記録体表面側から加熱を行い直ちに液体
3(液体インク3a)を記録体加熱部(記録体表面)に接
触させる手段(第10図)の採られるのが望ましい。
液体の供給手段としては、記録体下部に皿を設け液体
を満たし記録体が皿中の液体に常に接するようにし、加
熱源を皿の近傍又は皿の中に配置する構成が最も簡単な
構成となる。皿の替わりに、液体を充填したスポンジ状
多孔質体34を用いても良い(第7図(c)及び(d)、
第11図など)。
上記手段により画像信号に応じて選択的に付与された
液体付着性領域に記録剤(インク)を付着させる手段と
しては、記録剤3aを充填した皿を潜像形成手段配置位置
に対して記録体の進行方向に配置し常に記録体に接して
おく構成が最も簡単である(第9図)。なお、第9図に
示すごとく、潜像形成に用いる液体を記録剤3aと兼用す
ると一つの皿で構成でき、潜像形成と顕像化とを一体化
できるため、装置を小型化できる。
また、直接記録の場合、記録体基板として柔軟性を有
する多孔質又は粗面のフィルム又は剛体のフィルムを用
い、この上に記録層2aを設ける。この記録体に上記の手
段により潜像形成及び顕像化を施す。こののち、自然乾
燥又は加熱乾燥を行い、記録体上に付着した記録剤3aを
定着させる。直接記録方法の実施に望ましい装置の例は
第11図である。第11図の例では、潜像形成手段及び顕像
化手段を固定し記録体を移動している。
さらに、直接記録後、記録剤を定着した記録体基板が
透明フィルムの場合は、透過光を照射することで、スラ
イド投影機のごとき装置の原版として使える(第12
図)。また、ビーム状の反射光や透過光を照射し記録剤
の有無による光の強度変化を検知することで情報記憶用
媒体としても利用できる(第13図)。第12及び13図で、
52はスクリーン、53は光源、54は検知器、55はモーター
である。
間接記録の場合、例えば剛体円筒管が記録体基板とし
て用いられるのが有利である。第14図にみられるよう
に、潜像形成及び現像(顕像化)後、例えば記録体上の
記録剤3aは記録紙61と直接接する手段を設けることで記
録紙の毛管作用により、記録紙61へ記録剤3aは転写され
る(転写手段)。図中、62は転写ローラーである。転写
を行う位置は、現像後であれば、記録体のどの位置でも
かまわないが、現像後、直ちに転写が行われる位置が望
ましい。転写後、潜像消去を行わず現像を繰り返えせ
ば、この装置は印刷装置となる。一つの画像情報の印刷
が終了すれば、記録体を交換することで又は潜像消去を
行なうことで、別の画像情報の記録・印刷が可能とな
る。
また、上記転写手段の後、液体又は上記の不存在下
で、即ち、空気中、真空中、又は、不活性ガス中で潜像
部付近を加熱することにより、潜像を消去すれば記録体
は繰返し使用可能な記録装置となる(第15図)。なお、
潜像消去のための加熱源としては、ヒーターやサーマル
ヘッドのごとき接触加熱源やレーザーや赤外線ランプの
ごとき電磁波による非接触加熱源が望ましい。加熱は記
録体全面に行っても良く、潜像部のみ行っても良い。た
だし、全面加熱の方が装置構成を簡単にできるため、よ
り望ましい。なお、潜像消去手段は、消去のための加熱
を行ったのち、再び、潜像を行うまでの時間の間に記録
体表面が実質的に冷却する位置に設ける。消去に必要な
加熱温度は、当該記録体表面の材料により異なるが、記
録体表面の材料の後退接触角が低くなる開始温度以上で
分解点以下の温度が望ましい。
記録紙(被転写体)としては、透明樹脂フィルム、普
通紙、インクジェット用紙、タイプ紙などが適当であ
る。
次に記録剤について述べる。
本発明の記録装置において記録体表面上に可視画像を
得るには、記録剤として筆記用インク、インクジェット
用インク、印刷インク、電子写真用トナー等の従来の印
字記録方法に用いられてきた記録剤の中から、適宜選択
し使用することができる。
より具体的な例を挙げると、例えば水性インクとして
は、水、湿潤剤、染料を主体とする水溶性インク又は
水、顔料、分散用高分子化合物、湿潤剤を主体とした水
性顔料分散インク、顔料又は染料を界面活性剤を用いて
水に分散せしめたエマルジョン・インク等が用いられ
る。水性インクに用いられる湿潤剤としては、次のよう
な水溶性の有機液体化合物が挙げられる。
エタノール、メタノール、プロパノール等の一価アル
コール類;エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコー
ル類;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリ
コールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール
モノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル
エーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール
モノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチ
ルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエー
テル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多
価アルコールのエーテル類;N−メチル−2−ピロリド
ン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カロラクタ
ム等の複素環式化合物;モノエタノールアミン、ジエタ
ノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミ
ン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類
等。
水溶性染料としては、カラー・インデックスにおいて
酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料、食用染
料に分類される染料が用いられる。代表的な染料の例と
しては、 C.I.アシッド・イエロー17,23,42,44,79,142 C.I.アシッド・レッド1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,
52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,
289 C.I.アシッド・ブルー9,29,45,92,249,890 C.I.アシッド・ブラック1,2,7,24,26,94 C.I.フード・イエロー3,4 C.I.フード・レッド7,9,14 C.I.フード・ブラック2 C.I.ダイレクト・イエロー1,12,24,26,33,44,50,142,
144,865 C.I.ダイレクト・レッド1,4,9,13,17,20,28,31,39,8
0,81,83,89,225,227 C.I.ダイレクト・オレンジ26,29,62,102 C.I.ダイレクト・ブルー1,2,6,15,22,25,71,76,79,8
6,87,90,98,163,165,202 C.I.ダイレクト・ブラック19,22,32,38,51,56,71,74,
75,77,154,168 C.I.ベーシック・イエロー1,2,11,13,14,15,19,21,2
3,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,65,67,70,
73,77,87,91 C.I.ベーシック・レッド2,12,13,14,15,18,22,23,24,
27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,7
8,82,102,104,109,112 C.I.ベーシック・ブルー1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,4
5,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,1
20,122,124,129,137,141,147,155 ベーシック・ブラック2,8 等を挙げることができる。
顔料としては、有機顔料としてアゾ系、フタロシアニ
ン系、アンスラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジ
ン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリノン系、ペリ
レン系、イソインドレノン系、アニリン・ブラック、ア
ゾメチンアゾ系、カーボン・ブラック等が挙げられ、無
機顔料として酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫
酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、
紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉が挙
げられる。
顔料分散用化合物として、ポリアクリルアミド、ポリ
アクリル酸及びそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンア
クリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイ
ン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶
性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリ
ドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン
酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウ
ムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を含む高分子化
合物、ポリエチレンオキサイド、ゼラチン、カゼイン等
の蛋白質、アラビアゴム、トラガントゴム等の天然ゴム
類、サポニン等のグルコキシド類、カルボキシメチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロ
ース、等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸及び
その塩、セラミック等の天然高分子化合物、等が挙げら
れる。
油性の記録剤としては、水性インクと同様に、油溶性
染料を有機液体化合物に溶解したものや、顔料を有機液
体化合物に分散せしめたもの、顔料又は染料を油性ベー
スに乳化させたもの、等が用いられる。
油性染料の代表的な例としては、 C.I.ソルベント・イエロー1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,
12,14,16,17,26,27,29,30,39,40,46,49,50,51,56,61,8
0,86,87,89,96 C.I.ソルベント・オレンジ12,23,31,43,51,61 C.I.ソルベント・レッド1,2,3,16,17,18,19,20,22,2
4,25,26,40,52,59,60,63,67,68,121 C.I.ソルベント・バイオレット7,16,17 C.I.ソルベント・ブルー2,6,11,15,20,30,31,32,35,3
6,55,58,71,72 C.I.ソルベント・ブラウン2,10,15,21,22 C.I.ソルベント・ブラック3,10,11,12,13 等が挙げられる。
また、染料を溶解したり、顔料を分散するための油性
ベースとしては、n−オクタン、n−デカン、ミネラネ
スピリット、リグロイン、ナフサ、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン等の炭化水素類;ジブチルエーテル、ジヘ
キシルエーテル、アニソール、フェネトール、ジベンジ
ルエーテル等のエーテル類;メタノール、エタノール、
イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の
アルコール類等を例示することができる。
油性インクにおいても先に例示した顔料を用いること
ができる。油性の顔料分散剤の例としては、ポリメタク
リル酸エステル、ポリアクリル酸エステル、メタクリル
酸エステル−アクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビ
ニル、塩ビ−酢ビ共重合体、ポリビニルピロリドン、ポ
リビニルブチラール等のビニル系共重合体、エチルセル
ロース、メチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリ
エステル、ポリアミド、フェノール樹脂等の縮重合樹
脂、ロジン、セラミック、ゼラチン、カゼイン、等の天
然樹脂等がある。
〔実施例〕
次に実施例を示す。なお、ここでは「加熱状態でかつ
液体と接触させたときに後退接触角が低下する性質を有
する材料2a」を便宜上“PFAMA系材料2a"と称することに
する。
実施例1 PFAMA系材料2aとして、ダイキン工業社製撥水撥油剤
「TG702」を用い、この原液をフレオン113にて約2倍に
希釈しPFAMA系溶液を調製した。多孔質部材21として、
市販のテトラフロロエチレンのポア径約0.2μmフィル
ター(住友電工社製)を用いた。このフィルターをコー
ト液中に浸漬し孔中にPFAMA系材料2aを含浸した。その
後このフィルターを90℃2時間にて乾燥し約500μm厚
のポリイミドフィルム(東レデュポン社製)上に接着し
記録体を作成した(第1図(a))。
この記録媒体に液体を接して加熱(100℃)を行っ
た。更に、液中加熱後、空気中(120℃)にて再び加熱
を行った。第16図にこの時の液中加熱前後及び空気中加
熱後の接触角を示す。○印は前進接触角、△印は後退接
触角を表す。この結果より、この記録体が加熱による液
体反撥性、付着性の可逆制御機能を失っていないことが
確認できた。次に、第17図に示すごとく、加圧力20gfに
て、普通紙複写機用紙にて記録体表面を擦ったところ、
50回擦っても記録体表面に傷はできなかった。図中、10
は重りである。
更に第7図(b)に示したように、この記録体の裏面
にフィルムを密着させて丸めて、φ100、長さ100mmの円
筒を作製し、円筒内に熱転写プリンター用サーマルヘッ
ド43の加熱部をフィルム面に接して設置した。さらにこ
のサーマルヘッドの接するところの反対面(記録体表
面)に液体インク3aが接するようにインク容器33を置い
た。液体インク3aとしてはフタロシアニン系のシアンイ
ンク(染料濃度1重量%、溶媒:濃度0.05モルのNaOH水
溶液)を用いた。
サーマルヘッド43に適当な信号を送り加熱したとこ
ろ、加熱部のPFAMA系材料2a表面にのみインク3bが付着
した。さらに、第7図(b)に示すごとく被記録体(三
菱製紙社製NMコート紙)9を円筒状記録体に接して搬送
したところ、インク3bが紙に転写された。このインク付
着部は、そのまま放置しておいてもインクの付着性を示
し、印刷機として機能した。
実施例2 PFAMA系溶液として実施例1と同じものを用いた。粗
面を有する部材22として、ポリエチレンをサンドブラス
トし粗面ポリエチレン基板上にPFAMA系溶液をキャスト
し、90℃2時間ほど乾燥し記録体とした(第1図
(b))。
この記録体に、液中加熱と空気中加熱を行ったときの
接触角変化は、実施例1とほぼ同じ結果を得た。更に実
施例1と同じ摩耗試験を行ったところ、摩耗回数30回ま
では膜面に傷はできなかった。
実施例3 ダイキン工業社製撥水油剤「ダイフリーMS−443」又
は「ダイフリーMS−743」を用い、この原液にカーボン
ブラック(ASTM%:N330)を0.5重量%混合し、この混合
液を実施例2で用いたのと同じ粗面を有する部材にキャ
スティングして記録体をつくった。電磁波の発生源とし
て半導体レーザ(松下電器社製LN9850、50mW)を用い
た。液体インクとしてフタロアニン系のシアンインク
(溶媒:濃度0.05モルのNaOH水溶液)を用い、前記記録
体の全表面にインクを塗布し、レンズで集光したレーザ
ー光をインク側から照射した。そののち、インクを除去
したところ、レーザー光を照射したPFAMA系材料2a表面
部分のみインクの付着が認められた。
次いで、付着インクを水洗により除去し、記録体表面
を乾燥してから空気中にて照射部分に再び半導体レーザ
ーを照射した。数秒後、記録体の全面に再びインクを塗
布し、これを除去したところ、照射部分のインク付着は
おこらなかった。すなわち、記憶情報の消去が確認でき
た。
実施例4 水酸基を多数有したパーフルオロアルキル基を有する
アクリル酸エステルの共重合体として、市販品(三菱レ
ーヨン社製AR−989)を用いた。この原液をキシレンに
して2倍に希釈し、希釈液3gに対し、架橋試薬としてト
リレンジイソシアネートを90mg添加し実施例2で用いた
のと同じ粗面を有する部材上にキャストし、乾燥した。
その後、110℃で1時間加熱を行った。
この記録体の液体接触下での加熱(100℃、1秒)前
後の純水の接触角の変動、及び、このものを更に空気中
で加熱(120℃、1秒)した場合の純水の接触角の変動
を第18図に示した。第18図に示すごとく液中及び空気中
加熱により、PFAMA系材料2a表面の液体反撥性、液体付
着性が可逆的に変化していることが認められる。次に、
普通紙複写機用紙を用いて20gfの加圧力にて、膜面をこ
すったところ、表面に傷は認められなかった。
続いて、この記録体を用いて、第19図に示すごとく印
字を行った。加熱源としてサーマルヘッド43を用いた。
サーマルヘッド43上に水性インク3aを滴下し、さらにそ
の上に、記録体のPFAMA系材料2aの露出面を接触させ
た。サーマルヘッド43に画像信号を印加したところ水性
インク3aを通じて記録媒体が加熱され、信号に応じたと
ころのPFAMA系材料面にインクが付着した。
〔発明の効果〕
本発明の記録装置によれば、液体反撥性形成体(記録
体)上に液体付着領域と非液体付着領域とが簡単に形成
でき、また、その二つに区分けされた領域を元の状態に
戻すことが容易であり、従って、例えば製版印刷などへ
の応用に有利である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る記録体の二例の一部切欠斜視図で
ある。 第2図は表面自己配向機能を有する形態の模式的な二例
の図である。 第3図及び第4図は本発明に係る記録体の有する作用を
説明するための図である。 第5図、第16図及び第18図は本発明装置で用いられる記
録体表面に液体を接触させた状態で記録体表面を加熱し
た場合、その記録体表面にみられる後退接触角θrの変
化を表わした図である。 第6図は本発明装置を用いて画像形成を行なう代表的な
三つの態様を示したものである。 第7図、第8図、第9図、第10図、第11図、第14図、第
15図及び第19図は本発明装置を用いての記録の実施の様
子を表わしたものである。 第12図及び第13図は本発明装置の実施によってつくられ
た記録物の応用例を示したものである。 第17図は本発明に係る記録体の表面強度を測定した装置
の概略図である。 2……記録媒体(2a……PFAMA系材料) 3……液体(3a……インク) 4……ヒーター 21……多孔質部材 22……粗面を有する部材

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加熱状態でかつ液体と接触させたときに後
    退接触角が低下する性質を有する材料が多孔質部材中或
    いは粗面をもつ部材上に表面が露出するようにして埋め
    込まれている記録体と、前記の加熱状態を形成する手段
    と、前記液体の供給手段とを備えていることを特徴とす
    る記録装置。
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