JP2019116877A - フューエルデリバリパイプ - Google Patents

Abstract

【課題】 上下のケースを重ね合わせてろう付け接合し一体化させて形成するフューエルデリバリパイプにおいて、ろう付け接合強度の弱い部分を補強することにより耐圧性能の優れた高品質のフューエルデリバリパイプを提供する。【解決手段】 上下のケースを重ね合わせてろう付け接合し一体化させて形成するフューエルデリバリパイプにおいて、上部ケースの側壁に相重なる下部ケースの側壁部に補強部材を当該下部ケースと別体又は一体に設け、前記補強部材を下部ケースと共に上部ケースに重ね合わせるようにして嵌合させ、その重ね合わせた部分を銅ろう付けで接合し一体化させることを特徴とする。【選択図】 図１

Description

本発明は、燃料噴射型の内燃機関用フューエルデリバリパイプに係り、より詳しくは上下二つの型（ケース）を重ね合わせ、その重ね合わせた部分を銅ろう付けによって一体化させて形成するフューエルデリバリパイプに関する。
に関する。

燃料噴射型の内燃機関用フューエルデリバリパイプ、例えば、燃料噴射式ガソリン内燃機関に用いられるフューエルデリバリパイプとしては、その設置位置や接続構造等に応じて種々の構造、形状のものが用いられている。その中で、上下二つの型（ケース）を接合させた構造の箱型のフューエルデリバリパイプが知られている。この種の従来のフューエルデリバリパイプとしては、例えば、天井壁と両側壁とによって長手方向に対して垂直な断面が逆Ｕ字状に形成された上部ケース（上型）と、底壁と両側壁とによって長手方向に対して垂直な断面がＵ字状に形成された下部ケース（下型）とを重ね合わせるようにしてそれらを互いに嵌合させ、重ね合わせた部分を銅ろう付けで接合し一体化させて形成したものがある（特許文献１、２参照）。

しかしながら、上記のような断面略Ｕ字状の上部ケースと下部ケースの各開口を互いに向き合わせて上部ケースの開口内に下部ケースを挿嵌しその嵌合部分を銅ろう付けで接合し一体化させて形成するフューエルデリバリパイプの場合、上部ケースと下部ケースのろう付け接合部にできるフィレットの形状、大きさ等によって、フューエルデリバリパイプの耐圧性能に優位差が生じるという懸念がある。
より具体的に説明すると、図５（ａ）、図５（ｂ）はそれぞれ従来の上部ケースと下部ケースのろう付け接合部のフィレットの大きさ、形状の異なる２種類の断面構造を例示したもので、２１、３１は下部ケース、２２、３２は上部ケース、２３、３３は銅ろう付け部、２４、３４はフィレットである。即ち、上部ケース２２、３２の開口内に下部ケース２１、３１を挿嵌しその嵌合部分を銅ろう付けで接合し一体化させて形成する従来のフューエルデリバリパイプの場合は、下部ケース２１、３１の側壁２１−１、３１−１の上端部と上部ケース２２、３２の側壁２２−１、３２−１のアール部の内面との間にできるフィレット２４、３４の形状や大きさ等の影響を受けて当該フィレット部分の耐圧強度が十分に得られず、製品によっては当該パイプに高い内圧が加わるとこの耐圧強度が弱い部分のフィレット２４、３４の部位にクラックが発生し、品質的に劣るものがある。かかる対策としては、フィレット２４、３４の形状や大きさ等を適正な状態にする必要があるが、フィレット２４、３４の形状や大きさ等はコントロールすることが難しく、かつフィレット２４、３４の部位は当該デリバリパイプ本体の内側に位置するためフィレット２４、３４の形状や大きさ等を製品検査によって確認することも困難である。このため、従来、上下のケースを重ね合わせてろう付け接合し一体化させて形成するフューエルデリバリパイプについては、特にろう付け接合部の耐圧性の確保が大きな課題となっていた。

特開平１１−２２５７５号公報 特開２００１−２０７９３４号公報

本発明は、前記した従来技術の耐圧性の問題を解消するためになされたもので、上下のケースを重ね合わせてろう付け接合し一体化させて形成するフューエルデリバリパイプにおいて、ろう付け接合部の耐圧強度を向上させるためにろう付け接合強度の弱い部分、又は応力集中が予想される部位を簡易な手段で補強することにより耐圧性能の優れた高品質のフューエルデリバリパイプを提供することを目的とするものである。

本発明に係るフューエルデリバリパイプは、天井壁と両側壁とによって長手方向に対して垂直な断面が逆Ｕ字状に形成された上部ケースと、底壁と両側壁とによって長手方向に対して垂直な断面がＵ字状に形成された下部ケースとを重ね合わせるようにしてそれらを互いに嵌合させ、重ね合わせた部分を銅ろう付けで接合し一体化させて形成したフューエルデリバリパイプであって、前記上部ケースの側壁に相重なる下部ケースの側壁部に当該下部ケースと別体又は一体の補強部材を突設し、前記補強部材を下部ケースと共に上部ケースに重ね合わせるようにして嵌合させ、その重ね合わせた部分を銅ろう付けで接合し一体化させて当該ろう付け接合部を補強したことを特徴とするものである。
又、前記補強部材は、下部ケースの側壁部の複数箇所に設けることを好ましい態様とするものである。
さらに、前記補強部材は、下部ケースの側壁の全周にわたって設けることも可能である。

本発明のフューエルデリバリパイプによれば、上下のケースを重ね合わせてろう付け接合し一体化させて形成するフューエルデリバリパイプにおいて、上部ケースの側壁に相重なる下部ケースの側壁部に補強部材を当該下部ケースと別体又は一体に設けることにより、ろう付け接合強度の弱い部分を前記補強部材によって補強することが可能となるので、耐圧性能の優れた高品質のフューエルデリバリパイプを容易にかつ低コストで提供することができる。

本発明に係るフューエルデリバリパイプの下部ケースの一実施形態の構造を示す概略斜視図である。 図１に示す下部ケースを用いたフューエルデリバリパイプの本体の断面構造を破断して示す一部拡大斜視図である。 本発明に係るフューエルデリバリパイプの上部ケースと下部ケースのろう付け接合部の断面構造を例示したもので、図１〜図２に示す補強部材付き側壁部を有する下部ケースを用いたろう付け接合部の一部を拡大して示す断面図である。 本発明に係るフューエルデリバリパイプの下部ケースの補強部材付き側壁部の構造例を示したもので、（ａ）は下部ケースと別体の補強部材付き側壁部を、（ｂ）は下部ケースと一体の補強部材付き側壁部をそれぞれ示す斜視図である。 従来のフューエルデリバリパイプの上部ケースと下部ケースのろう付け接合部の断面構造を例示したもので、（ａ）、（ｂ）はそれぞれフィレットの大きさ、形状の異なるろう付け接合部の一部を拡大して示す断面図である。

図１〜図２に示す本発明の一実施形態のフューエルデリバリパイプは、該デリバリパイプ本体が下部ケース（下型）１と上部ケース２（上型）とから構成され、下部ケース１は底壁１−１と両側壁１−２、１−３とによって長手方向に対して垂直な断面がＵ字状に形成され、上部ケース２は天井壁２−１と両側壁２−２、２−３とによって長手方向に対して垂直な断面が逆Ｕ字状に形成され、下部ケース１と上部ケース２の側壁部を重ね合わせるようにして互いに嵌合させ、その重ね合わせた部分を銅ろう付けにより液密に一体的に結合したものである。図中、５は下部ケース１に形成されたカップ、６は下部ケース１に取着された取付け用ブラケットである。

かかる構造のフューエルデリバリパイプにおいて、下部ケース１には、図１、図２に示すように、上部ケース２の側壁に相重なる両側壁１−２、１−３のうち、例えば片側の側壁１−２に当該下部ケースと別体の補強部材３を突設する。この補強部材３は、図面に示すように例えば側壁１−２と同一材質でかつほぼ同一厚さの部材を用いて、上部ケース２の内壁に沿うように略Ｌ字形に形成されたもので、その下端面を当該側壁１−２の上面に固着して突設されている。なお、補強部材３を取付ける箇所は、内圧疲労試験により破壊やクラック等が予想される部位、即ち、ろう付け接合強度の弱い部分、又はコンピューターシミュレーション等による内圧付加時に応力集中を示す部位等である。

このように構成された補強部材３付き下部ケース１を用いてフューエルデリバリパイプを組立てるときには、下部ケース１と上部ケース２の各開口を向かい合わせ、上部ケース２の開口内に補強部材３付き下部ケース１を挿嵌する。このとき、下部ケース１の上面に固着されている補強部材３が上部ケース２の内壁（アール部分）に沿うように挿嵌する。このようにして下部ケース１と上部ケース２の側壁部を重ね合わせるようにして互いに嵌合させると、その補強部材３を含む重ね合わせ部分を銅ろう付けにて接合する。

このようにして組立てられたフューエルデリバリパイプの下部ケース１と上部ケース２のろう付け接合部のうち、下部ケース１に固着した補強部材３と上部ケース２のろう付け接合部は、その断面構造の一部を図３に示すように、耐圧強度が弱い部位とされる下部ケース１の側壁１−２と上部ケース２の側壁２−２とのろう付け接合部は、補強部材３によって必要な耐圧性を確保することが可能となり、かつ補強部材３のフィレット４は上部ケース２の天井壁２−１の部分に位置することによりその影響を受けることもほとんどなくなる。４−１はろう付け部である。

なお、上記した本発明に係るフューエルデリバリパイプは、補強部材３の形成の仕方として下部ケース１と別体の補強部材３を下部ケース１の側壁１−２に設ける方式を採用した形態図４（ａ）を示したが、補強部材３の形成の仕方としては、図４（ｂ）に示すように下部ケース１と一体に設ける形態を採用することもできる。又、前記補強部材３は、フューエルデリバリパイプの内圧疲労試験でクラックや破壊が生じる箇所やその可能性が高い部位に設けるので、その設置箇所は一カ所に限らず、図１に示すように必要に応じて下部ケース１の側壁部の複数箇所に設けることもできる。さらに、補強部材３は下部ケース１の側壁１−２の全周にわたって設けてろう付け接合部全体を補強することも可能である。

上記した実施形態の本発明のフューエルデリバリパイプにおいては、上部ケース２の側壁に相重なる下部ケース１の側壁１−２の、予め行った内圧試験によって検知した最弱部位に略Ｌ字形の補強部材３を当該下部ケースに設けているので、当該最弱部位が補強部材３によって補強されることになって当該部位にクラック等が生じることがない。

１ 下部ケース
１−１ 底壁
１−２、１−３ 側壁
２ 上部ケース
２−１ 天井壁
２−２、２−３ 側壁
３ 補強部材
４ フィレット
４−１ ろう付け部
５ カップ
６ 取付け用ブラケット

Claims (2)

1. 天井壁と両側壁とによって長手方向に対して垂直な断面が逆Ｕ字状に形成された上部ケースと、底壁と両側壁とによって長手方向に対して垂直な断面がＵ字状に形成された下部ケースとを重ね合わせるようにしてそれらを互いに嵌合させ、重ね合わせた部分を銅ろう付けで接合し一体化させて形成したフューエルデリバリパイプであって、前記上部ケースの側壁に相重なる下部ケースの側壁部に当該下部ケースと別体又は一体の補強部材を突設し、前記補強部材を下部ケースと共に上部ケースに重ね合わせるようにして嵌合させ、その重ね合わせた部分を銅ろう付けで接合し一体化させて当該ろう付け接合部を補強したことを特徴とするフューエルデリバリパイプ。
2. 前記補強部材は、下部ケースの側壁部の複数箇所に設けることを特徴とする請求項１に記載のフューエルデリバリパイプ。

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