JP2019115170A - ステータおよびステータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(ステータの構造)
図1〜図9を参照して、第1実施形態によるステータ100の構造について説明する。
図2に示すように、ステータコア10には、複数(たとえば、96個)のスロット11が設けられている。複数のスロット11には、それぞれ、コイル30が配置されている。スロット11は、たとえば、オープンスロットとして構成されている。すなわち、周方向において、スロット11の幅は、径方向に沿って略一定である。これにより、たとえば、スロット11は、コイル30が径方向内側から挿入可能に構成されている。
図3に示すように、ステータ100は、複数(たとえば、96個)のコイル30を備える。なお、図3は、複数のコイル30のうちの代表的な形状を示しており、コイル30は、図示の例に限られない。コイル30は、たとえば、平角導線31により形成されている。コイル30は、たとえば、平角導線31が複数回同芯巻きで巻回された略六角形状を有するカセットコイルとして構成されている。なお、本願明細書では、「平角導線」とは、一体として断面形状が略矩形形状を有する導線を意味する。すなわち、「平角導線」とは、1本の導体線により形成されているものに限らず、複数の導体線が束になった状態で平角に成形されたものも含む概念として記載している。
図4に示すように、軸線方向において、接続部33aのステータコア10側とは反対側(矢印Z1方向側)には、バスバー部材50が配置されている。図5に示すように、バスバー部材50は、内径側リード線部33bから軸線方向に離間した状態(所定の隙間Dを隔てた状態)で、内径側リード線部33bおよび接続部33aの矢印Z1方向側に配置されている。なお、軸線方向における複数の内径側リード線部33bの各々高さ位置は、コイル30の寸法のばらつきや配置位置のばらつき起因してばらつきがある場合がある。つまり、所定の隙間Dは、一定ではなく、コイル30(内径側リード線部33bの上面34の高さ位置)によって異なる場合がある。なお、隙間Dは、0であってもよい。すなわち、バスバー部材50の後述する下面54と、接続部33aの上面34とが接触していてもよい。なお、バスバー部材50は、特許請求の範囲の「配置部材」の一例である。
図4および図5に示すように、第1実施形態では、ステータ100には、接続部33aおよび内径側リード線部33bとバスバー部材50との間に配置され、ワニス70とは異なるとともに、接続部33aおよび内径側リード線部33bにバスバー部材50を固定するための接着材60が設けられている。接着材60は、部材同士を接着して固定する機能を有するとともに、樹脂材料を含み絶縁性能を有する。なお、図4および図5では、説明のために接着材60が配置されている領域を、ハッチング加工して図示している。また、図7では、点線により囲まれる部分全体に、接着材60が配置されている。
ステータ100には、複数の接続部33aの間に配置されたワニス70が設けられている。ワニス70は、たとえば、温度範囲R1において、ワニス硬化温度T4以上の温度に加熱されることにより硬化する熱硬化性樹脂を含む。また、ワニス70は、硬化される前の状態で、かつ、常温T2において、液体である。
次に、ステータ100の製造方法について説明する。図10には、ステータ100の各製造工程を示すフローチャートが示されている。
まず、図11に示すように、ステップS1において、複数のコイル30が円環状に配置されたコイルアッセンブリ80が形成される。具体的には、複数のコイル30が、スロット11のピッチ分ずらしながら、互いに周方向に隣接するように配置される。
次に、ステップS2において、スロット収容部32がスロット11に挿入される。詳細には、コイルアッセンブリ80(図11参照)がステータコア10よりも径方向内側の空間に配置された状態で、コイルアッセンブリ80を形成する複数のコイル30を、径方向内側から径方向外側に向かって押し出すことにより、コイル30のスロット収容部32が、ステータコア10のスロット11に挿入される。なお、スロット11には、予め、コイル30とステータコア10とを絶縁するための絶縁部材14が配置されている。なお、絶縁部材14は、スロット11に挿入される前のコイル30のスロット収容部32に予め取り付けられていてもよい。また、コイル30をスロット11に挿入する際には、図示しないガイド治具によってコイル30とティース13(絶縁部材14)との接触が抑制されている。
次に、第1実施形態では、ステップS3において、軸線方向において、バスバー部材50と内径側リード線部33bおよび接続部33aとの間に、ワニス70とは異なる接着シート160が配置される。具体的には、図12に示すように、常温で固体のシート状に形成された接着シート160が、バスバー部材50の下面54に貼付される。また、接着シート160は、ステータ100が完成した状態の接着材60の厚みt1よりも大きい厚みt2を有する。また、接着シート160のセパレートフィルム163(図9参照)が取り除かれ、粘着シート162が下面54に接着される。また、図7に示すように、下面54の略全域に接着シート160が取り付けられる。
次に、ステップS4において、スロット11にコイル30が配置された状態で、かつ、バスバー部材50に接着シート160が貼付された状態で、軸線方向において、接続部33aのステータコア10側とは反対側(矢印Z1方向側)にバスバー部材50が配置される。そして、図13に示すように、接着シート160を挟むように、バスバー部材50が内径側リード線部33bの上面34の矢印Z1方向側に配置される。ここで、接着シート160は、柔軟性を有するので、接着シート160は、内径側リード線部33bの上面34およびバスバー部材50の下面54に沿った形状に変形する。これにより、接着材60が、内径側リード線部33bの上面34およびバスバー部材50の下面54とに接触する。
次に、ステップS5において、スロット11に配置された複数のコイル30において、図2に示すように、一方端部31aおよび他方端部31bが溶接される。また、図6に示すように、バスバー部材50の端子部51と、コイル30の一方端部31aまたは他方端部31bが溶接される。
次に、ステップS6において、ステータコア10およびコイル30が予備加熱されるとともに、接着シート160が溶融される。具体的には、ステータコア10、コイル30、バスバー部材50および接着シート160の全体が、ワニス70が硬化するワニス硬化温度T4未満の温度範囲R2の温度に、加熱装置(図示せず)により加熱される。加熱装置では、たとえば、熱風炉またはヒーター等の加熱部が設けられている。
次に、ステップS7において、コイル30を構成する平角導線31同士の間にワニス70が滴下されることにより、ワニス70が複数の接続部33aの間に配置される。たとえば、接続部33aの軸線方向の一方側から、軸線方向他方側に向かって、ノズル(図示せず)を用いて、ワニス70が滴下される。たとえば、ステータコア10とノズルとは、周方向に沿って互いに相対的に移動(回転)する。これにより、ステータコア10の周方向に沿うようにノズルが相対的に移動しながら、ワニス70が滴下される。これにより、ワニス70は、軸線方向に見て、バスバー部材50にオーバーラップしない位置の複数の接続部33a同士の間、および、スロット収容部32とスロット11(絶縁部材14)との間に浸透する。
次に、ステップS8において、溶融した接着材60を硬化させることにより、内径側リード線部33bとバスバー部材50とが固定されるとともに、複数の接続部33a同士が固定される。具体的には、接着材60およびワニス70が共に、温度範囲R1内で、かつ、ワニス硬化温度T4以上で、かつ、接着材硬化温度T1以上に加熱されることにより、接着材60およびワニス70が共に硬化される。
(ステータの製造方法)
図10、図15〜図17を参照して、第2実施形態によるステータ200の製造方法について説明する。第2実施形態では、1種類の接着シート160がバスバー部材50と内径側リード線部33bとの間に配置される第1実施形態によるステータ100の製造方法とは異なり、溶融された状態で流動性が互いに異なる複数の接着シート360が、バスバー部材50と内径側リード線部33bとの間に配置される。なお、図10に示すように、第2実施形態では、ステップS1、S2、S103、S104、S5、S106、S7、および、S108がこの順に実施される。なお、ステップS1、S2、S5およびS7は、上記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。また、上記第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
第2実施形態では、ステップS103において、軸線方向において、バスバー部材50と内径側リード線部33b(上面34)との間に、ワニス70とは異なる接着シート360が配置される。具体的には、図15に示すように、常温で固体のシート状に形成され、溶融された状態で流動性が互いに異なる複数の接着シート360が、内径側リード線部33bの上面34に貼付される。たとえば、複数の接着シート360のうちの流動性が高い第1接着シート361が内径側リード線部33b側(矢印Z2方向側)に配置され、複数の接着シート360のうちの流動性が低い第2接着シート362が内径側リード線部33bとは反対側(矢印Z1方向側)に配置される。たとえば、第1接着シート361と第2接着シート362とは、積層した状態で配置される。
次に、ステップS104において、スロット11にコイル30が配置された状態で、かつ、図16に示すように、上面34に接着シート360が貼付された状態で、軸線方向において、内径側リード線部33bのステータコア10側とは反対側(矢印Z1方向側)にバスバー部材50が配置される。
次に、ステップS106において、図17に示すように、ステータコア10およびコイル30が予備加熱されるとともに、接着シート360が溶融される。これにより、第2接着シート362が溶融した比較的流動性の低い第2接着材262がバスバー部材50と内径側リード線部33bとの間に保持されながら、第1接着シート361が溶融した比較的流動性の高い第1接着材261が複数の接続部33a同士の間に浸透する。
次に、ステップS108において、第1接着材261、第2接着材262およびワニス70を硬化させることにより、内径側リード線部33bとバスバー部材50とが固定されるとともに、複数の接続部33a同士が固定される。これにより、第2実施形態によるステータ200が完成する。なお、第2実施形態によるステータ200のその他の製造工程および構成は、第1実施形態と同様である。
上記第1および第2実施形態の構造では、以下のような効果を得ることができる。
上記第1および第2実施形態の製造方法では、以下の効果を得ることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
11 スロット 30 コイル
31a、31b 端部 32 スロット収容部
33a コイルエンド接続部(コイルエンド部)
33b 内径側リード線部(コイルエンド部)
33c 外径側リード線部(コイルエンド部)
34 上面(コイルエンド部の軸線方向の端面)
50、450 バスバー部材(配置部材)
54 下面(配置部材のコイルエンド部側の端面)
60 接着材 70 ワニス
100、200 ステータ 160 接着シート(接着材)
261 第1接着材(流動性が高い接着材)
262 第2接着材(流動性が低い接着材) 360 接着シート(接着材)
361 第1接着シート(接着材) 362 第2接着シート(接着材)
Claims (17)
- 複数のスロットを含むステータコアと、
互いに異なる前記スロットに収容される一対のスロット収容部と、前記一対のスロット収容部の少なくとも一方に接続されているとともに前記ステータコアの軸線方向における端面から突出するコイルエンド部とを含むコイルと、
複数の前記コイルエンド部の間に配置されたワニスと、
軸線方向において、前記コイルエンド部の前記ステータコア側とは反対側に配置された配置部材と、
前記コイルエンド部と前記配置部材との間に配置され、前記ワニスとは異なるとともに、前記コイルエンド部に前記配置部材を固定するための接着材とを備える、ステータ。 - 前記配置部材は、前記コイルの端部に接続されるバスバー部材を含み、
前記バスバー部材は、前記接着材により前記コイルエンド部に固定されている、請求項1に記載のステータ。 - 前記接着材は、前記配置部材と前記コイルエンド部との間に配置されているとともに、前記複数のコイルエンド部同士の間に配置されている、請求項1または2に記載のステータ。
- 前記接着材は、前記コイルエンド部の前記ステータコア側とは軸線方向反対側の端面と、前記配置部材との間に配置されているとともに、前記複数のコイルエンド部の前記軸線方向の端面同士に亘って配置されている、請求項3に記載のステータ。
- 前記接着材は、硬化する接着材硬化温度未満で、かつ、常温よりも高い溶融温度以上に加熱されることにより溶融する性質を有する熱硬化性材料を含む、請求項3または4に記載のステータ。
- 前記接着材は、シート状の状態から溶融されて硬化されることにより、前記配置部材と前記コイルエンド部とを固定しているとともに、前記複数のコイルエンド部同士を固定している、請求項5に記載のステータ。
- 前記接着材は、製膜性付与材を有する前記熱硬化性材料を含むことにより、溶融されて硬化される前において、常温で柔軟性を有するシート状に形成されている、請求項6に記載のステータ。
- 前記接着材は、前記ワニスが硬化するワニス硬化温度範囲に含まれる前記接着材硬化温度を有する前記熱硬化性材料を含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載のステータ。
- 複数のスロットを含むステータコアと、コイルと、配置部材とを備えるステータの製造方法であって、
前記ステータコアの前記複数のスロットのうちの互いに異なる前記スロットに、前記コイルの一対のスロット収容部を配置するとともに、前記ステータコアの軸線方向における端面から突出するように、前記一対のスロット収容部の少なくとも一方に接続された前記コイルのコイルエンド部を前記ステータコアに配置する工程と、
軸線方向において、前記配置部材と前記コイルエンド部との間に、ワニスとは異なる接着材を配置する工程と、
前記コイルエンド部の前記ステータコア側とは反対側に、前記配置部材を配置する工程と、
前記ワニスを複数の前記コイルエンド部の少なくとも一部に配置する工程と、
前記接着材を硬化させることにより、前記コイルエンド部と前記配置部材とを固定する工程とを備える、ステータの製造方法。 - 前記接着材を配置する工程の後で、かつ、前記配置部材を配置する工程の後、前記接着材を硬化させる工程に先立って、前記接着材を固体の状態から溶融させることにより、前記接着材を前記コイルエンド部と前記配置部材との間に保持しながら、溶融した前記接着材を複数の前記コイルエンド部の間に浸透させる工程をさらに備え、
前記接着材を硬化させる工程は、前記接着材を硬化させることにより、前記コイルエンド部と前記配置部材とを固定するとともに、前記複数のコイルエンド部同士を固定する工程である、請求項9に記載のステータの製造方法。 - 前記接着材を浸透させる工程は、前記コイルエンド部の前記ステータコア側とは軸線方向反対側の端面と、前記配置部材との間に前記接着材を保持するとともに、前記複数のコイルエンド部の前記軸線方向の端面同士の間に前記接着材を保持しながら、溶融した前記接着材を複数の前記コイルエンド部の間に浸透させる工程である、請求項10に記載のステータの製造方法。
- 前記接着材を浸透させる工程は、前記配置部材を、前記コイルエンド部の前記ステータコア側とは反対側の端面のよりも下方に配置することにより、前記接着材を前記コイルエンド部と前記配置部材との間に保持しながら、溶融した前記接着材を複数の前記コイルエンド部の間に浸透させる工程である、請求項10または11に記載のステータの製造方法。
- 前記接着材を配置する工程は、溶融された状態で流動性が互いに異なる複数の前記接着材を、前記配置部材と前記コイルエンド部との間に配置する工程であり、
前記接着材を浸透させる工程は、前記複数の接着材のうちの流動性が低い前記接着材を前記コイルエンド部と前記配置部材との間に保持しながら、前記複数の接着材のうちの流動性が高い前記接着材を複数の前記コイルエンド部の間に浸透させる工程である、請求項10〜12のいずれか1項に記載のステータの製造方法。 - 前記接着材は、熱硬化性材料を含み、
前記接着材を浸透させる工程は、前記熱硬化性材料が硬化する接着材硬化温度未満で、かつ、常温よりも高い溶融温度に前記接着材を加熱させることにより、前記接着材を溶融させて、前記複数のコイルエンド部の間に前記接着材を浸透させる工程であり、
前記接着材を硬化させる工程は、前記接着材硬化温度以上に前記接着材を加熱することにより、前記接着材を硬化させる工程である、請求項10〜13のいずれか1項に記載のステータの製造方法。 - 前記ワニスを配置する工程に先立って行われ、前記ワニスが硬化するワニス硬化温度未満で、前記コイルおよび前記ステータコアを加熱する予備加熱工程をさらに備え、
前記接着材を浸透させる工程は、前記予備加熱工程において、前記接着材硬化温度未満で、かつ、前記溶融温度以上に前記接着材が加熱されることにより、前記接着材を前記コイルエンド部と前記配置部材との間に保持しながら、前記接着材を溶融させて、前記複数のコイルエンド部の間に前記接着材を浸透させる工程である、請求項14に記載のステータの製造方法。 - 前記接着材を硬化させる工程は、前記ワニスが硬化するワニス硬化温度以上で、かつ、前記接着材硬化温度以上に、前記ワニスおよび前記接着材を加熱することにより、前記ワニスと前記接着材とを共に硬化させる工程である、請求項14または15に記載のステータの製造方法。
- 前記接着材を配置する工程は、前記配置部材を配置する工程に先立って、常温で固体のシート状を有する前記接着材を、前記コイルエンド部の軸線方向の端面か、または、前記配置部材の前記コイルエンド部側の端面に貼付する工程である、請求項9〜16のいずれか1項に記載のステータの製造方法。
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