JP6724753B2 - ステータおよびステータの製造方法 - Google Patents
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Description
(ステータの全体構造)
図1〜図10を参照して、第1実施形態によるステータ100の構造について説明する。
図1に示すように、コア10は、複数の環状の電磁鋼板11が軸方向に積層されることにより形成されている。すなわち、コア10は、分割されたコアではなく、一体的に形成されている。また、コア10の径方向内側(径方向内側)には、ロータ(図示せず)を収容するための径方向内側空間が形成されている。また、図3に示すように、コア10は、環状に形成されるバックヨーク12と、バックヨーク12から径方向内側に向かって延びる複数のティース13とを有する。複数のティース13は、コア10に周方向に略等角度間隔で設けられている。また、隣り合うティース13間には、スロット14が形成されている。スロット14は、複数(たとえば、96個)設けられている。
図7および図8に示すように、コイル20は、同一の導体線20aが同芯状に複数回連続して巻回されることにより形成されている。導体線20aは、たとえば、平角導線として構成されている。また、コイル20は、異なるスロット14に収容されるスロット収容部21(周方向の一方側と他方側とに設けられる一対の(複数の)スロット収容部21)と、一対のスロット収容部21同士を接続する軸方向の一方側のコイルエンド部22(コイルエンド部22a)と、一対のスロット収容部21同士を接続する軸方向の他方側のコイルエンド部22(コイルエンド部22b)とを有する。すなわち、コイル20は、1本の導体線20aが溶接などにより接合されることなく、複数回巻回されることにより形成されている。
図6に示すように、ティースカバー30は、コイルエンド部22aとティース13との間およびコイルエンド部22bとティース13との間にそれぞれ配置され、コイルエンド部22aおよび22bをコア10に固定する機能を有する。また、ティースカバー30は、コイルエンド部22aおよび22bとコア10との間の絶縁性を確保する機能を有する。すなわち、ティースカバー30は、絶縁性を有する材料により構成されている。具体的には、ティースカバー30は、樹脂(たとえば、PPS:ポリフェニレンサルファイド)により形成されている。
図5に示すように、接着剤40は、コア10とコイル20とティースカバー30とを接着して固定する機能を有する。第1実施形態では、接着剤40は、熱硬化性樹脂を含む。具体的には、接着剤40は、高粘度ワニスからなる。ここで、高粘度ワニスとは、たとえば、200Pa・sより大きい粘度を有するワニスであり、好ましくは、300Pa・s以上の粘度を有するワニスである。なお、スロット14内にワニスが充填される場合(図示せず)は、80以上200Pa・s以下の粘度を有するワニスが用いられる。
次に、図1〜図13を参照して、第1実施形態によるステータ100の製造方法について説明する。
まず、図4に示すように、複数の電磁鋼板11が準備される。具体的には、順送プレス打ち抜き装置により、帯状の電磁鋼板から、穴部11cを有する複数の第1電磁鋼板11aと、穴部11cを有しない複数の第2電磁鋼板11bが打ち抜かれる。
次に、図7に示すように、第1実施形態では、複数のコイル20がコア10の径方向内側からスロット14に挿入される。詳細には、まず、複数のコイル20からなるコイルアッセンブリ20b(図11参照)が、コア10の径方向内側に配置される。そして、コイルアッセンブリ20bが、それぞれ、径方向内側から径方向外側に移動されることにより、複数のコイル20が各々のスロット14に挿入される。そして、コイルエンド部22a(22b)は、屈曲部23を介して周方向に広がり、スロット14に挿入された状態で、複数のコイル20のスロット収容部21同士の距離は、距離D1よりも大きい距離D2となる。
次に、図12に示すように、コア10の径方向外側からコア10とコイルエンド部22aとの間にティースカバー30が挿入される。具体的には、コア10の径方向外側からコア10の軸方向のティース13の端面13aとコイルエンド部22aとの間に、反リード側ティースカバー30aが挿入されるとともに、コア10の径方向外側からコア10の軸方向のティース13の端面13bとコイルエンド部22bとの間に、リード側ティースカバー30bが挿入される。
次に、コア10を加熱する工程が行われる。第1実施形態では、後述する接着剤40を充填する工程に先立って、コア10(図3参照)が加熱される。たとえば、コア10の電磁鋼板11同士を溶接接合する際に生じる熱などを含む加熱を行うことにより、コア10が接着剤40に含まれる熱硬化性樹脂の硬化温度よりも高い温度に加熱される。なお、この加熱には、オーブンによる加熱も含まれていてもよい。
図14および図15を参照して、第2実施形態によるステータ200について説明する。第2実施形態によるステータ200では、孔部33が設けられていた第1実施形態のティースカバー30とは異なり、切欠き部233が設けられているティースカバー230を備える。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、図中において同じ符号を付して図示し、その説明を省略する。
第2実施形態によるステータ200の製造方法では、コイルエンド部22a(または22b)近傍から接着剤240を流下させて、コア10が周方向に回動されることによる遠心力によって、接着剤240がコイルエンド部22a(または22b)から凹部15に導入される。
上記第1および第2実施形態では、ステータ(100、200)に、ステータコア(10)の軸方向のティース(13)の端面(13a、13b)とコイルエンド部(22)との間に配置され、ステータコア(10)の径方向に沿って延びるとともに、ステータコア(10)の周方向に並んで配置され、互いに別個に形成された複数のティースカバー(30、230)を設ける。これにより、同一の導体線(20a)で連続して形成されたコイル(20)をスロット(14)に配置した後に、互いに別個に形成された複数のティースカバー(30、230)を径方向に沿って配置することができる。その結果、ティースカバー(30、230)を用いる場合にも、同一の導体線(20a)が連続して形成されたコイル(20)を径方向内側の空間から径方向外側に向かって容易にスロット(14)に挿入することができるとともに、コイル(20)のスロット(14)への挿入時(配置時)にティースカバー(30、230)が破損するのを防止することができる。
上記第1および第2実施形態では、ティースカバー(30、230)を用いる場合にも、同一の導体線(20a)が連続して形成されたコイル(20)を径方向内側の空間から径方向外側に向かって容易にスロット(14)に挿入することができるとともに、コイル(20)のスロット(14)への挿入時(配置時)にティースカバー(30、230)が破損するのを防止することが可能なステータ(100、200)の製造方法を提供することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
12 バックヨーク 12a (ステータコアの)端面
12c (バックヨークのうちティースの径方向外側の)部分
13 ティース 13a、13b (ティースの)端面
14 スロット 15、415 凹部(コア側接着剤配置部)
20 コイル 20a 導体線
21 スロット収容部 22、22a、22b コイルエンド部
30、230、430、530 ティースカバー
30a 反リード側ティースカバー 30b リード側ティースカバー
33 孔部(カバー側接着剤配置部) 40、240 接着剤
100、200 ステータ 233 切欠き部(カバー側接着剤配置部)
Claims (14)
- 複数の電磁鋼板により形成され、環状のバックヨークから径方向内側に延びる複数のティースと、前記複数のティース間に設けられるスロットとを有するステータコアと、
同一の導体線で連続して形成され、異なる前記スロットに収容される複数のスロット収容部と、前記スロット収容部の前記ステータコアの軸方向一方側および軸方向他方側にそれぞれ設けられ前記スロット収容部同士を接続するコイルエンド部とを有する複数のコイルと、
前記ステータコアの軸方向の前記ティースの端面と前記コイルエンド部との間に配置され、前記ステータコアの径方向に沿って延びるとともに、前記ステータコアの周方向に並んで配置され、互いに別個に形成された複数のティースカバーとを備える、ステータ。 - 前記ティースカバーは、前記ステータコアの軸方向に沿って貫通された孔状または切欠き状のカバー側接着剤配置部を有し、
前記ステータコアは、前記ステータコアの軸方向一方側から見て、前記カバー側接着剤配置部にオーバラップする位置に設けられ、前記ステータコアの軸方向一方側の端面から軸方向他方側に窪むコア側接着剤配置部を有し、
前記カバー側接着剤配置部と前記コア側接着剤配置部とに渡って充填された接着剤をさらに備える、請求項1に記載のステータ。 - 前記カバー側接着剤配置部は、前記ステータコアの軸方向一方側から見て、前記バックヨークにオーバラップする位置に配置されており、
前記コア側接着剤配置部は、前記ステータコアの軸方向一方側から見て、前記バックヨークにおいて、前記カバー側接着剤配置部にオーバラップする位置に設けられている、請求項2に記載のステータ。 - 前記コア側接着剤配置部は、前記バックヨークのうち、前記ティースの径方向外側の部分に設けられており、
前記ステータコアの周方向において、前記コア側接着剤配置部の長さは、前記ティースの根元部分の長さよりも小さい、請求項3に記載のステータ。 - 前記ステータコアの軸方向一方側から見て、前記カバー側接着剤配置部の開口面積は、前記コア側接着剤配置部の開口面積よりも大きい、請求項2〜4のいずれか1項に記載のステータ。
- 前記接着剤は熱硬化性樹脂を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載のステータ。
- 前記カバー側接着剤配置部は、前記ステータコアの径方向内側に開口する切欠き状を有する、請求項2〜6のいずれか1項に記載のステータ。
- 前記複数のティースカバーは、それぞれ、隣り合う2つの前記ティースの端面を前記ステータコアの軸方向一方側から覆うように配置されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のステータ。
- 複数の電磁鋼板が積層されることにより形成され、環状のバックヨークから径方向内側に延びる複数のティースと、前記複数のティース間に設けられるスロットとを有するステータコアと、同一の導体線で連続して形成され、異なる前記スロットに収容される複数のスロット収容部と、前記スロット収容部の前記ステータコアの軸方向一方側および軸方向他方側にそれぞれ設けられ前記スロット収容部同士を接続するコイルエンド部とを有する複数のコイルとを備えた、ステータの製造方法であって、
前記複数のコイルを前記ステータコアの径方向内側から前記スロットに挿入する工程と、
前記複数のコイルを挿入する工程の後、前記ステータコアの周方向に並ぶように、前記ステータコアの径方向外側から前記ステータコアの軸方向の前記ティースの端面と前記コイルエンド部との間に、前記ステータコアの径方向に沿って延びるとともに、互いに別個に形成された複数のティースカバーを挿入する工程とを備える、ステータの製造方法。 - 前記複数のティースカバーを挿入する工程の後、前記ティースカバーに設けられた前記ステータコアの軸方向に沿って貫通された孔状または切欠き状のカバー側接着剤配置部から、前記ステータコアの軸方向の端面から軸方向他方側に窪むコア側接着剤配置部に渡って、接着剤を充填する工程をさらに備える、請求項9に記載のステータの製造方法。
- 前記接着剤は、熱硬化性樹脂を含み、
前記接着剤を充填する工程に先立って、前記ステータコアを加熱する工程をさらに備え、
前記接着剤を充填する工程は、前記ティースカバーの前記カバー側接着剤配置部から前記ステータコアの前記コア側接着剤配置部に前記接着剤を充填しながら、前記ステータコアの余熱により前記接着剤を硬化させる工程である、請求項10に記載のステータの製造方法。 - 前記ティースカバーは、リード側ティースカバーと反リード側ティースカバーとを含み、
前記複数のティースカバーを挿入する工程は、前記ステータコアの軸方向一方側の前記ティースの端面と前記コイルエンド部との間に、前記反リード側ティースカバーを挿入するとともに、前記ステータコアの軸方向他方側の前記ティースの端面と前記コイルエンド部との間に、前記リード側ティースカバーを挿入する工程であり、
前記接着剤を充填する工程は、前記リード側ティースカバーまたは前記反リード側ティースカバーのうちの一方の前記カバー側接着剤配置部から、前記ステータコアの前記コア側接着剤配置部に前記接着剤を充填しながら、前記ステータコアの余熱により前記接着剤を硬化させた後、前記ステータコアを軸方向に反転させて、前記リード側ティースカバーまたは前記反リード側ティースカバーのうちの他方の前記カバー側接着剤配置部から、前記ステータコアの前記コア側接着剤配置部に前記接着剤を充填しながら、前記ステータコアの余熱により前記接着剤を硬化させる工程である、請求項11に記載のステータの製造方法。 - 前記接着剤を充填する工程は、前記ステータコアを周方向に回動させながら、前記接着剤を前記ステータコアの軸方向一方側から軸方向他方側に向かって充填する工程である、請求項10〜12のいずれか1項に記載のステータの製造方法。
- 前記カバー側接着剤配置部は、前記ステータコアの径方向内側に開口する切欠き状を有し、
前記接着剤を充填する工程は、前記コイルエンド部近傍から前記接着剤を流下させて、前記ステータコアが周方向に回動されることによる遠心力によって、前記接着剤を前記コイルエンド部から前記カバー側接着剤配置部に導入させる工程である、請求項13に記載のステータの製造方法。
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