JP7031292B2 - ステータおよびステータの製造方法 - Google Patents
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(ステータの構造)
図1~図10を参照して、第1実施形態によるステータ100の構造について説明する。
ステータコア10には、複数(たとえば、96個)のスロット11が設けられている。複数のスロット11には、それぞれ、コイル30が配置されている。スロット11は、たとえば、オープンスロットとして構成されている。すなわち、周方向において、スロット11の幅は、径方向に沿って略一定である。これにより、スロット11は、コイル30が径方向内側から挿入可能に構成されている。
図3に示すように、ステータ100は、複数(たとえば、96個)のコイル30を備える。なお、図3は、複数のコイル30のうちの代表的な形状を示している。コイル30は、たとえば、平角導線31により形成されている。コイル30は、たとえば、平角導線31が複数回同芯巻きで巻回された略六角形状を有するカセットコイルとして構成されており、1つのスロット11当りに2つのコイル30のスロット収容部32が径方向に重なるように配置されている。なお、本願明細書では、「平角導線」とは、一体として断面形状が略矩形形状を有する導線を意味する。すなわち、「平角導線」とは、1本の導体線により形成されているものに限らず、複数の導体線が束になった状態で平角に成形されたものも含む概念として記載している。なお、平角導線31は、特許請求の範囲の「導線」の一例である。
次に、ステータ100の製造方法について説明する。
まず、図8に示すように、ステップS1において、複数のコイル30が円環状に配置されたコイルアッセンブリ80(図9参照)が形成される。具体的には、複数のコイル30が、スロット11のピッチ分ずらしながら、互いに周方向に隣接するように配置される。
次に、ステップS2において、コイルアッセンブリ80がステータコア10の内径側空間に配置された状態で、コイルアッセンブリ80を形成する複数のコイル30を、内径側から外径側に押し出すことにより、コイル30のスロット収容部32が、ステータコア10のスロット11に挿入される。スロット11には、予め、コイル30とステータコア10とを絶縁するための絶縁部材14が配置されている。また、絶縁部材14は、スロット11に挿入される前のコイル30のスロット収容部32に予め取り付けられていてもよい。また、コイル30をスロット11に挿入する際には、図示しないガイド治具によってコイル30とティース13(絶縁部材14)との接触が抑制されている。
次に、第1実施形態では、ステップS3において、図10に示すように、柔軟性を有する接着剤保持部材60を、コイルエンド部33の軸線方向におけるステータコア10側とは反対側(Z1方向側)に配置する。なお、接着剤保持部材60が配置される時点では、接着剤保持部材60には接着剤61は浸透および硬化していないので、接着剤保持部材60は、柔軟性を有する状態である。
次に、ステップS4において、軸線方向において、コイルエンド部33のステータコア10側とは反対側(Z1方向側)にバスバー部材50が配置される。具体的には、接着剤保持部材60を挟むように、バスバー部材50がコイルエンド部33のZ1方向側に配置される。ここで、接着剤保持部材60が柔軟性を有するので、接着剤保持部材60は、コイルエンド部33の上側およびバスバー部材50の下面に沿った形状に変形する。これにより、接着剤保持部材60と、コイルエンド部33の上側およびバスバー部材50の下面とが接触する。
次に、ステップS5において、スロット11に配置された複数のコイル30において、一方端部31aおよび他方端部31bが溶接される。また、バスバー部材50の端子部51と、コイル30の一方端部31aまたは他方端部31bが溶接される。
次に、ステップS6において、ステータコア10およびコイル30を予備加熱する。これにより、後述するワニス70をスムーズにコイル30を構成する平角導線31同士の間に浸透させることが可能になる。
次に、ステップS7において、図5に示すように、コイル30を構成する平角導線31同士の間にワニス70を滴下する。ここで、第1実施形態では、コイル30を構成する平角導線31同士の間に滴下されるワニス70と同一のワニス70(接着剤61)を、接着剤保持部材60に浸透させる。具体的には、ステータコア10に配置されたコイル30に対して、ノズル90(図2参照)からワニス70を滴下する。たとえば、ステータコア10の軸線方向がZ方向に沿うようにステータコア10が配置されている場合(平置きの場合)、ワニス70(接着剤61)は、バスバー部材50の隙間部Cに滴下される。隙間部Cから接着剤保持部材60が露出しているので、ワニス70(接着剤61)が接着剤保持部材60に直接滴下される。これにより、毛細管現象によって、接着剤保持部材60の全体にワニス70(接着剤61)が浸透されて、接着剤61が接着剤保持部材60に保持される。
次に、ステップS8において、コイル30を構成する平角導線31同士の間に滴下されるワニス70とともに、接着剤保持部材60に浸透されたワニス70(接着剤61)を硬化する。具体的には、ステータコア10およびコイル30を加熱することにより、接着剤保持部材60に保持されている接着剤61と、平角導線31の間およびコイル30とスロット11(絶縁部材14)との間に浸透しているワニス70とを硬化させる。つまり、接着剤保持部材60に保持されている接着剤61と、平角導線31の間およびコイル30とスロット11(絶縁部材14)との間に浸透しているワニス70とを、1つの工程により同時に硬化させる。ここで、第1実施形態では、コイル30を構成する平角導線31同士を固定するワニス70が硬化する硬化温度幅に含まれる硬化温度により接着剤61を硬化させる。これにより、ステータ100が完成する。
(ステータの製造方法)
図11~図14を参照して、第2実施形態によるステータ200の製造方法について説明する。第2実施形態では、接着剤保持部材260に予め接着剤261を保持させた状態で、接着剤保持部材260を、コイルエンド部33に配置する。なお、図11に示すように、〈コイルアッセンブリを形成する工程〉および〈スロット収容部をスロットに挿入する工程〉は、上記第1実施形態と同様である。
ここで、第2実施形態では、ステップS11において、図12に示すように、コイルエンド部33の軸線方向におけるステータコア10側とは反対側に接着剤保持部材260を配置する前に、接着剤261を浸透させることにより予め接着剤保持部材260に接着剤261を保持させる。なお、接着剤261は、ワニス70でもよいし、ワニス70以外の接着剤でもよい。
次に、ステップS12において、図13に示すように、接着剤261が保持された状態の接着剤保持部材260を、コイルエンド部33の軸線方向におけるステータコア10側とは反対側に配置する。なお、接着剤261は、接着剤保持部材260に保持されているので、接着剤保持部材260から接着剤261が流出することに起因してバスバー部材50とコイルエンド部33とを固定するための接着剤261が不足することはない。
次に、ステップS13において、図14に示すように、コイル30を構成する平角導線31同士の間にワニス70を滴下する。この際、接着剤保持部材260に接着剤261が保持(浸透)されているので、ワニス70は、主に平角導線31同士の間と、コイル30とスロット11(絶縁部材14)との間とに浸透する。
上記第1および第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
10a 端面
11 スロット
30 コイル
31 平角導線(導線)
31a 一方端部(端部)
31b 他方端部(端部)
32 スロット収容部
33 コイルエンド部
50、350 バスバー部材(配置部材)
61、261 接着剤
60、260 接着剤保持部材
70 ワニス
100、200 ステータ
Claims (12)
- 複数のスロットを含むステータコアと、
互いに異なる前記スロットに収容される一対のスロット収容部と、前記一対のスロット収容部同士を接続するとともに前記ステータコアの軸線方向における端面から突出するコイルエンド部とを各々含む複数のコイルと、
軸線方向において、前記コイルエンド部の前記ステータコア側とは反対側に配置される配置部材と、
前記コイルエンド部と前記配置部材との間に設けられ、接着剤が浸透された状態で前記接着剤を保持可能に構成されている接着剤保持部材とを備え、
前記配置部材は、前記コイルの端部に接続されるとともに、前記接着剤保持部材に前記接着剤を滴下するための隙間部を有するバスバー部材を含み、
前記バスバー部材と前記コイルエンド部とは、前記接着剤保持部材に保持された前記接着剤により固定されている、ステータ。 - 前記接着剤保持部材は、前記接着剤が浸透可能な網目状構造を有する、請求項1に記載のステータ。
- 前記接着剤保持部材は、前記接着剤が浸透された状態で前記接着剤を保持可能に構成されているとともに、前記接着剤保持部材に浸透した前記接着剤が硬化する前において柔軟性を有する、請求項1または2に記載のステータ。
- 前記コイルを構成する導線同士を固定するワニスをさらに備え、
前記接着剤は、前記ワニスが硬化する硬化温度幅に含まれる硬化温度を有する接着剤を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のステータ。 - 前記接着剤は、前記導線同士を固定する前記ワニスと同一のワニスを含む、請求項4に記載のステータ。
- 前記接着剤保持部材は、前記コイルエンド部と前記配置部材との間に、前記コイルエンド部と前記配置部材との両方に接触した状態で設けられている、請求項1~5のいずれか1項に記載のステータ。
- 複数のスロットを含むステータコアの前記スロットに、互いに異なる前記スロットに収容される一対のスロット収容部と、前記一対のスロット収容部同士を接続するとともに前記ステータコアの軸線方向における端面から突出するコイルエンド部とを各々含む複数のコイルを配置する工程と、
軸線方向において、前記コイルエンド部の前記ステータコア側とは反対側に配置部材を配置する工程と、
前記コイルエンド部の軸線方向における前記ステータコア側とは反対側に、接着剤を浸透させることにより保持可能に構成されている接着剤保持部材を配置する工程と、
前記接着剤保持部材に前記接着剤を保持させる工程と、
前記接着剤保持部材に保持されている前記接着剤を硬化する工程とを備え、
前記配置部材は、前記コイルの端部に接続されるとともに、前記接着剤保持部材に前記接着剤を滴下するための隙間部を有するバスバー部材を含み、
前記接着剤保持部材に前記接着剤を保持させる工程は、前記バスバー部材の前記隙間部を介して前記接着剤保持部材に前記接着剤を滴下する工程である、ステータの製造方法。 - 前記接着剤を硬化する工程は、前記コイルを構成する導線同士を固定するワニスが硬化する硬化温度幅に含まれる硬化温度により前記接着剤を硬化する工程である、請求項7に記載のステータの製造方法。
- 前記コイルを構成する導線同士の間に前記ワニスを滴下する工程をさらに備え、
前記接着剤保持部材に前記接着剤を保持させる工程は、前記コイルエンド部の軸線方向における前記ステータコア側とは反対側に前記接着剤保持部材を配置した後、前記コイルを構成する前記導線同士の間に滴下される前記ワニスと同一のワニスを、前記接着剤保持部材に浸透させる工程である、請求項8に記載のステータの製造方法。 - 前記接着剤を硬化する工程は、前記コイルを構成する前記導線同士の間に滴下される前記ワニスとともに、前記接着剤保持部材に浸透された前記ワニスを硬化する工程である、請求項9に記載のステータの製造方法。
- 前記接着剤保持部材に前記接着剤を保持させる工程は、前記コイルエンド部の軸線方向における前記ステータコア側とは反対側に前記接着剤保持部材を配置する前に、前記接着剤を浸透させることにより予め前記接着剤保持部材に前記接着剤を保持させる工程であり、
前記接着剤保持部材を配置する工程は、前記接着剤が保持された状態の前記接着剤保持部材を、前記コイルエンド部の軸線方向における前記ステータコア側とは反対側に配置する工程である、請求項7に記載のステータの製造方法。 - 前記接着剤保持部材を配置する工程は、前記接着剤保持部材に浸透した前記接着剤が硬化する前において柔軟性を有する前記接着剤保持部材を、前記コイルエンド部の軸線方向における前記ステータコア側とは反対側に配置する工程である、請求項8~11のいずれか1項に記載のステータの製造方法。
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