以下、本発明の本実施形態を図面に基づいて説明する。
[ステータの構造]
図1~図21を参照して、本実施形態によるステータ100の構造について説明する。ステータ100は、中心軸線C1を中心に円環形状を有する。なお、ステータ100は、特許請求の範囲の「電機子」の一例である。
本願明細書では、「軸方向(中心軸線方向、軸線方向)」とは、図1に示すように、ステータ100の中心軸線C1(ロータ101の回転軸線)に沿った方向(Z方向)を意味する。また、「周方向」とは、ステータ100の周方向(A1方向、A2方向)を意味する。また、「径方向」とは、ステータ100の半径方向(R方向)を意味する。また、「径方向内側」とは、径方向に沿ってステータ100の中心軸線C1に向かう方向(R1方向)を意味する。また、「径方向外側」とは、径方向に沿ってステータ100の外に向かう方向(R2方向)を意味する。
ステータ100は、ロータ101と共に、回転電機102の一部を構成する。回転電機102は、たとえば、モータ、ジェネレータ、または、モータ兼ジェネレータとして構成される。ステータ100は、図1に示すように、永久磁石(図示せず)が設けられるロータ101の径方向外側に配置されている。すなわち、本実施形態では、ステータ100は、インナーロータ型の回転電機102の一部を構成する。
図2に示すように、ステータ100は、ステータコア10と、第1絶縁部材20と、コイル部30とを備える。また、図3に示すように、コイル部30は、第1コイルアッセンブリ30a(反リード側コイル)と第2コイルアッセンブリ30b(リード側コイル)とを含む。また、図3に示すように、コイル部30は、複数のセグメント導体40からなる。また、本実施形態では、ステータ100は、第1絶縁部材20とは別個に設けられた第2絶縁部材21を備える。なお、ステータコア10は、特許請求の範囲の「電機子コア」の一例である。また、第1絶縁部材20は、特許請求の範囲の「固定材」の一例である。また、第2絶縁部材21は、特許請求の範囲の「接合部絶縁部材」の一例である。
(ステータコアの構造)
ステータコア10は、中心軸線C1(図1参照)を中心軸とした円筒形状を有する。また、ステータコア10は、たとえば、複数枚の電磁鋼板(たとえば、珪素鋼板)が軸方向に積層されることにより、形成されている。ここで、本実施形態では、ステータコア10は、熱膨張係数K1を有する複数の珪素鋼板が積層されて形成されている。図4に示すように、ステータコア10は、軸方向に見て円環状を有するバックヨーク11と、バックヨーク11の径方向内側に設けられ、軸方向に延びる複数のスロット12とが設けられている。そして、ステータコア10には、スロット12の周方向両側に複数のティース13が設けられている。
スロット12は、径方向外側に設けられたバックヨーク11の壁部11aと、2つのティース13の周方向側面13aとに囲まれた部分である。そして、スロット12には、径方向内側に開口する開口部12aが設けられている。また、スロット12は、軸方向両側のそれぞれに開口している。ティース13は、バックヨーク11から径方向内側に突出するように形成されており、径方向内側の先端部にスロット12の開口部12aを構成する凸部13bが形成されている。なお、壁部11aおよび周方向側面13aは、特許請求の範囲の「電機子コアの端面」の一例である。
開口部12aは、周方向に開口幅W1を有する。ここで、開口幅W1は、ティース13の凸部13bの先端部同士の距離に対応する。また、スロット12のコイル部30が配置される部分の幅W2は、開口幅W1よりも大きい。すなわち、スロット12は、セミオープン型のスロットとして構成されている。ここで、幅W2は、スロット12の周方向両側に配置されているティース13の周方向側面13a同士の距離に対応する。また、スロット12の幅W2は、径方向に亘って略一定である。
(コイル部の構造)
コイル部30は、図5に示すように、平角導線により構成されている。本実施形態では、コイル部30は、ステータコア10の熱膨張係数K1(線膨張係数)よりも大きい熱膨張係数K2を有する材料により構成されている。たとえば、コイル部30(導体本体40c)は、熱膨張係数K1よりも大きい熱膨張係数K2を有する銅またはアルミニウムにより構成されている。
また、コイル部30は、図2および図3に示すように、軸方向一方側(矢印Z2方向側)に設けられた第1コイルアッセンブリ30aと、軸方向他方側(矢印Z1方向側)に設けられた第2コイルアッセンブリ30bとが、軸方向に組み合わされるとともに、接合されて形成されている。第1コイルアッセンブリ30aおよび第2コイルアッセンブリ30bは、それぞれ、ステータコア10と同一の中心軸線C1(図1参照)を中心とした円環状に形成されている。また、図5に示すように、本実施形態では、コイル部30は、複数のセグメント導体40の後述する第1脚部71と第2脚部81とが、接合部90において接合されて形成されている。なお、第1脚部71は、特許請求の範囲の「短脚部」の一例である。また、第2脚部81は、特許請求の範囲の「長脚部」の一例である。
コイル部30は、たとえば、波巻きコイルとして構成されている。また、コイル部30は、8ターンのコイルとして構成されている。すなわち、コイル部30は、スロット12内に、径方向に8個のセグメント導体40が並列して配置されて構成されている。
〈コイル部の結線の構成〉
図6に示すように、コイル部30では、電源部(図示せず)から3相交流の電力が供給されることにより、磁束を発生させるように構成されている。具体的には、コイル部30は、3相のY結線により接続(結線)されている。すなわち、コイル部30は、U相コイル部30Uと、V相コイル部30Vと、W相コイル部30Wとを含む。そして、コイル部30には、複数(たとえば、2つ)の中性点Nが設けられている。詳細には、コイル部30は、4並列結線(スター結線)されている。すなわち、U相コイル部30Uには、4つの中性点接続端部NtUと、4つの動力線接続端部PtUとが設けられている。V相コイル部30Vには、4つの中性点接続端部NtVと、4つの動力線接続端部PtVとが設けられている。W相コイル部30Wには、4つの中性点接続端部NtWと、4つの動力線接続端部PtWとが設けられている。なお、以下の記載では、中性点接続端部および動力線接続端部について、U相、V相、および、W相を特に区別しない場合、単に、「中性点接続端部Nt」および「動力線接続端部Pt」として記載する。また、動力線接続端部Ptは、特許請求の範囲の「動力側端部」の一例である。また、中性点接続端部Ntは、特許請求の範囲の「中性点側端部」の一例である。
〈コイルアッセンブリの構造〉
図3に示すように、第1コイルアッセンブリ30aは、セグメント導体40としての複数の第1セグメント導体70(以下、「第1導体70」とする)から構成されている。好ましくは、第1コイルアッセンブリ30aは、複数の第1導体70のみが組み合わされて構成されている。
図7に示すように、第2コイルアッセンブリ30bは、セグメント導体40としての複数(たとえば、3つ)の動力セグメント導体50(以下、「動力導体50」とする)と、セグメント導体40としての複数(たとえば、2つ)の中性点セグメント導体60(以下、「中性点導体60」とする)と、複数のセグメント導体40のうちの動力導体50および中性点導体60とは異なる導体(一般のセグメント導体40)であり、コイル部30を構成する第2セグメント導体80(以下、「第2導体80」とする)とを含む。すなわち、ステータ100に設けられる動力導体50および中性点導体60の全ては、第2コイルアッセンブリ30bに設けられている。なお、動力導体50および中性点導体60は、特許請求の範囲の「端部セグメント導体」および「第2セグメント導体」の一例である。また、第1導体70は、特許請求の範囲の「第1セグメント導体」の一例である。また、第2導体80は、特許請求の範囲の「第2セグメント導体」の一例である。
(セグメント導体の構造)
セグメント導体40は、図8に示すように、横断面が略矩形形状を有する平角導線として構成されている。そして、セグメント導体40の導体表面40bには、厚みt1を有する絶縁被膜40aが設けられている。絶縁被膜40aの厚みt1は、たとえば、相間絶縁性能(第1コイルエンド部72同士の絶縁、第2コイルエンド部82同士の絶縁{図2参照})を確保することが可能な程度に設定されている。なお、図8では、説明のために、厚み等の大小関係を強調して図示しているが、この図示の例に限られない。
〈第1導体および第2導体の構造〉
図9および図10に示すように、複数のセグメント導体40は、ステータコア10の軸方向の一方側(Z2方向側)に配置される複数の第1導体70と、ステータコア10の軸方向の他方側(Z1方向側)で、且つ、第1導体70に対して中心軸線方向に対向して配置される複数の第2導体80とを含む。すなわち、コイル部30は、軸方向に2分割された第1導体70と第2導体80とが接合されて形成されている。ここで、第2導体80とは、第2コイルアッセンブリ30bを構成するセグメント導体40のうちの動力導体50および中性点導体60以外のセグメント導体40である。そして、本実施形態では、第1導体70は、軸方向の第1長さL1を有する第1脚部71を含む。また、第2導体80は、第1脚部71のZ1方向側に配置され、軸方向に第1長さL1よりも大きい第2長さL2を有する第2脚部81を含む。なお、動力導体50および中性点導体60の第2脚部81は、特許請求の範囲の「端部長脚部」の一例である。
本実施形態では、図9に示すように、複数の第1導体70は、それぞれ、互いに異なるスロット12に配置される一対の第1脚部71が互いに接続されることにより、径方向に見てU字状(略U字状)を有するように形成されている。第1導体70のコイルピッチは6である。すなわち、一対の第1脚部71は、スロット12が6つ分、周方向に異なる位置に配置される。すなわち、一対の第1脚部71のうちの一方の第1脚部71が配置されているスロット12と、他方の第1脚部71が配置されているスロット12との間に、5つのスロットが設けられている。具体的には、第1導体70は、互いに異なるスロット12に配置され、それぞれ軸方向に沿って直線状に形成されている一対の第1脚部71と、第1コイルエンド部72とを含む。第1脚部71とは、ステータコア10の端面10a(図2参照)の軸方向位置からスロット12の内に配置されている部分を意味し、第1コイルエンド部72は、第1脚部71に連続して形成され、ステータコア10の端面10aよりも軸方向外側に配置されている部分を意味するものとする。また、第1コイルエンド部72は、軸方向に折れ曲がる屈曲形状を有する。また、第1コイルエンド部72は、軸方向から見て、径方向に1本のセグメント導体40の幅分、階段状に屈曲するクランク状に形成された第1クランク部分73を有する。つまり、第1クランク部分73の径方向の幅は、1本のセグメント導体40の幅の2倍である。
また、一対の第1脚部71の軸方向長さL1は互いに略等しい。なお、第1脚部71の軸方向長さL1とは、第1脚部71の最先端から第1コイルエンド部72に接続される屈曲部分までの長さを意味する。また、軸方向長さL1は、ステータコア10の軸方向長さL3(図2参照)よりも小さい。なお、ステータコア10の軸方向長さL3とは、軸方向の端面10aと端面10bとの距離(間隔)を意味する。
同様に、図10に示すように、第2導体80は、スロット12に配置される一対の第2脚部81と、第2コイルエンド部82とを含む。また、第2コイルエンド部82は、第2クランク部分83を有する。本実施形態では、第2導体80は、互いに異なるスロット12に配置される一対の第2脚部81が互いに接続されることにより、U字状を有するように形成されている。また、第2導体80の一対の第2脚部81の軸方向長さL2は互いに略等しい。また、第2導体80の一対の第2脚部81の軸方向長さL2は、第1導体70の一対の第1脚部71の軸方向長さL1よりも大きい(L2>L1)。なお、第2脚部81の軸方向長さL2とは、第2脚部81の最先端から第2コイルエンド部82に接続される屈曲部分までの長さを意味する。
〈動力導体の構成〉
図11に示すように、動力導体50では、同相の複数(たとえば、4つ)の動力線接続端部Pt同士が電気的に接続されているとともに、接続された複数の動力線接続端部Ptと1つの動力端子部材51とが電気的に接続されている。動力導体50は、一対の第1脚部71のうちの一方に接合(図14参照)されている第2脚部81と、動力端子部材51とが接合されている。そして、動力導体50は、電源部(図示せず)からコイル部30に電力を導入する機能を有する。なお、動力端子部材51は、特許請求の範囲の「端子部材」の一例である。
詳細には、動力導体50は、スロット12(図1参照)の径方向外側に配置され、動力線接続端部Ptを有する外径側動力導体52と、外径側動力導体52よりも径方向内側でかつ軸方向外側に配置され、動力線接続端部Ptを有する内径側動力導体53とを含む。言い換えると、動力導体50は、二股状に形成されている。
また、外径側動力導体52と動力端子部材51とは、引出線54により電気的に接続されている。また、内径側動力導体53と動力端子部材51とは、引出線54とにより電気的に接続されている。外径側動力導体52と内径側動力導体53とは、動力端子部材51および引出線54を介して、電気的に接続されている。また、引出線54は、たとえば、撚線(導体)により形成されており、絶縁チューブ51aが外周に配置されている。
外径側動力導体52および内径側動力導体53には、それぞれ、第2脚部81が設けられている一方、第1コイルエンド部72または第2コイルエンド部82は設けられていない。また、外径側動力導体52および内径側動力導体53では、引出線54と第2脚部81とが、導体板55を介して、接合されている。たとえば、この接合は、ロウ付け、または、溶接(たとえば、抵抗溶接、アーク溶接、レーザー溶接、または、高エネルギービーム溶接のいずれか)により実施される。
〈中性点導体の構成〉
図1に示すように、中性点導体60は、外径側中性点導体61と内径側中性点導体62とを含む。図6に示すように、外径側中性点導体61および内径側中性点導体62は、それぞれ、中性点Nを含み、U相コイル部30Uの中性点接続端部NtUと、V相コイル部30Vの中性点接続端部NtVと、W相コイル部30Wの中性点接続端部NtWとが電気的に接続されたものである。
外径側中性点導体61は、図12に示すように、2つのU相W相中性点セグメント導体61aと、2つのV相中性点セグメント導体61bとを含む。U相W相中性点セグメント導体61aは、3相交流のうちのU相の第1導体70の第1脚部71に接続されるU相用の第2脚部81と、W相の第1脚部71に接続されるW相用の第2脚部81と、U相用の第2脚部81とW相用の第2脚部81とを接続する2つの中性点コイルエンド部61cとを含む。中性点コイルエンド部61cは、U相用の第2脚部81に連続して形成されているとともに、W相用の第2脚部81に連続して形成されている。
U相W相中性点セグメント導体61aは、径方向内側から見て、略U字(略コの字)形状に形成されている。V相中性点セグメント導体61bは、径方向内側から見て、略直線状に形成されている。
中性点コイルエンド部61cは、図1に示すように、第2導体80の第2コイルエンド部82の径方向外側において、周方向に沿って形成されている。そして、中性点コイルエンド部61cは、矢印Z2方向に見て、略円弧状に形成されている。2つのU相W相中性点セグメント導体61aのうちの一方は、他方の軸方向外側(矢印Z1方向側)に配置されている。
V相中性点セグメント導体61bは、図12に示すように、V相の第1導体70に接続されるV相用の第2脚部81と、中性点コイルエンド部61dとを含む。中性点コイルエンド部61dは、第2脚部81から軸方向外側(矢印Z1方向に)突出するように形成されている。そして、2つの中性点コイルエンド部61dは、それぞれ、2つの中性点コイルエンド部61cの両方に接合されることにより、電気的に接合されている。
内径側中性点導体62は、図13に示すように、2つのU相W相中性点セグメント導体62aと、2つのV相中性点セグメント導体62bとを含む。U相W相中性点セグメント導体62aは、3相交流のうちのU相の第1導体70の第1脚部71に接続されるU相用の第2脚部81と、W相の第1導体70に接続されるW相用の第2脚部81と、U相用の第2脚部81とW相用の第2脚部81とを接続する中性点コイルエンド部62cとを含む。中性点コイルエンド部62cは、U相用の第2脚部81に連続して形成されているとともに、W相用の第2脚部81に連続して形成されている。これにより、U相W相中性点セグメント導体62aは、径方向内側から見て、略U字(略コの字)形状に形成されている。V相中性点セグメント導体62bは、径方向内側から見て、略直線状に形成されている。
中性点コイルエンド部62cは、図14に示すように、第2導体80の第2コイルエンド部82よりも軸方向外側に突出して形成されている。そして、中性点コイルエンド部62cは、第2導体80の第2コイルエンド部82の軸方向外側に近接して配置されているとともに、軸方向に見て、周方向に沿って形成されている。そして、2つのU相W相中性点セグメント導体62aのうちの一方は、他方の径方向外側に配置されている。
V相中性点セグメント導体62bは、V相の第1導体70の第1脚部71に接続されるV相用の第2脚部81と、中性点コイルエンド部62dとを含む。中性点コイルエンド部62dは、第2脚部81から軸方向外側(矢印Z1方向に)突出するように形成されている。そして、2つの中性点コイルエンド部62dは、それぞれ、2つの中性点コイルエンド部62cの両方に接合されることにより、電気的に接合されている。
(接合部の構成)
図14に示すように、1つのスロット12内において、複数の第1導体70と複数の第2導体80とが接合されている。また、本実施形態では、第2導体80の一対の第2脚部81の軸方向長さL2は、第1導体70の一対の第1脚部71の軸方向長さL1よりも大きい(L2>L1)ことによって、第1導体70と第2導体80とが接合された接合部90は、スロット12内において、ステータコア10の軸方向における中心よりも一方の端部側(端面10a近傍)に配置されている。また、ステータコア10の全てのスロット12において、接合部90は、軸方向の一方側の端面10aの近傍に設けられている。ここで、端面10aの近傍とは、たとえば、軸方向において、軸方向中心C2よりもZ2方向側で、端面10aと同一の位置、および、端面10aからZ1方向またはZ2方向に略絶縁沿面距離の範囲内を含む。
また、本実施形態では、第1脚部71は、1つのスロット12内において、ステータコア10の径方向に隣り合って複数設けられている。すなわち、複数の第1脚部71および複数の第2脚部81の接合部90同士は、1つのスロット12内において、径方向に隣り合って配置されている。
〈傾斜面の構成〉
図15に示すように、複数のセグメント導体40のうちの第1導体70には、第1脚部71の先端部に軸方向に直交する平面に対して傾斜する第1対向面74が設けられている。また、第2導体80には、第2脚部81の先端部に軸方向に直交する平面に対して傾斜する第2対向面84が設けられている。そして、接合部90は、軸方向に対向し合う第1導体70および第2導体80の径方向に対向し合う第1対向面74と第2対向面84とが接合されることにより形成されている。すなわち、接合部90とは、第1導体70と第2導体80とが接合された部分を意味する。なお、第1対向面74および第2対向面84は、特許請求の範囲の「傾斜面」の一例である。
詳細には、第1脚部71は、径方向内側(矢印R1方向側)を向くとともに、第2脚部81に対向する第1対向面74を含む。また、第2脚部81は、径方向外側(矢印R2方向側)を向くとともに、第1対向面74に対向する第2対向面84を含む。そして、第1脚部71の第1対向面74と、第2脚部81の第2対向面84とが接合されることにより、第1導体70と第2導体80とが接合されている。
また、第1脚部71の第1対向面74と、第2脚部81の第2対向面84とは、たとえば、接合材(図示せず)により接合されている。接合材は、第1対向面74と第2対向面84とを接合させて電気的に接続している。具体的には、接合材は、銀または銅等の導電性材料を含む。好ましくは、接合材は、溶剤に、銀をナノメートルレベルまで微細化した金属粒子を導電性粒子として含んだペースト状の接合材(銀ナノペースト)である。また、接合材には、加熱された際に揮発する部材(樹脂部材)が含有されており、揮発する部材が加熱されることにより、接合材の体積が減少して、第1対向面74と第2対向面84とを近接させる機能を有する。
図15に示すように、本実施形態では、第1導体70と第2導体80とが接合された接合部90は、径方向から見て、径方向に隣り合う接合部90がオーバラップするように構成されている。具体的には、1つのスロット12内に配置される複数の(全ての)接合部90は、径方向から見て、オーバラップするように構成されている。つまり、1つのスロット12内に配置される全ての接合部90が水平方向に沿って並んだ状態で配置されている。言い換えると、1つのスロット12内において、軸方向における複数の接合部90の各々位置は、互いに略等しい。なお、接合部90は、径方向から見て、第1脚部71の第1対向面74と、第2脚部81の第2対向面84とが接合された(オーバラップした)部分である。
(第1絶縁部材の構造)
第1絶縁部材20は、図5に示すように、壁部11aおよびティース13と、第1脚部71および第2脚部81(セグメント導体40)との間に配置されている。図16に示すように、第1絶縁部材20は、3層構造を有している。具体的には、図14に示すように、本実施形態では、第1絶縁部材20は、スロット12内において、バックヨーク11の壁部11aおよびティース13の周方向側面13a(図5参照)と、第1脚部71および第2脚部81との間に設けられ、壁部11aおよび周方向側面13aと、第1脚部71および第2脚部81とを絶縁する絶縁層20aと、絶縁層20aのうちの接合部90に対応する軸方向の位置P1とは異なる位置(領域)(P2)の部分20bに重ねて設けられ、ステータコア10と第2脚部81とを固定する固定層20cとを含む。固定層20cは、好ましくは、接着剤を含む接着層として構成されている。また、位置P2は、たとえば、軸方向において、軸方向の位置P1を除く部分のスロット12内の全域と、ステータコア10の端面10bの近傍部分(スロット12よりも軸方向外側の部分を含む)とを含む。
そして、第1絶縁部材20は、矢印Z2方向に見て、径方向に並列して配置された複数の第2脚部81の周囲を一体的に覆うように配置されている。言い換えると、径方向に並列して配置された複数の第2脚部81の周方向両側および径方向両側が第1絶縁部材20により覆われる。これにより、第1絶縁部材20によって、接合部90とステータコア10との絶縁を確保することが可能となる。
絶縁層20aは、たとえば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS:Poly Phenylene Sulfide Resin)により構成されている。また、絶縁層20aは、アラミド紙等の不織布状に形成されていてもよい。また、本実施形態では、図14に示すように、絶縁層20aは、ステータコア10の軸方向の一方側の端面10aから他方側の端面10bに亘って設けられている。すなわち、絶縁層20aは、各スロット内において、壁部11aおよび周方向側面13aを覆うように配置されている。なお、「覆う」とは、壁部11aおよび周方向側面13aの全ての部分を被覆することのみを意味するものではなく、図5に示すように、周方向側面13aの径方向内側部分(先端隙部分)が露出している場合も含む、広い概念を意味するものとする。
固定層20cは、図16に示すように、本実施形態では、熱によって発泡する発泡剤20d(膨張剤)を含む。具体的には、固定層20cは、たとえば、発泡剤20dとしての複数のカプセル体が、熱硬化性樹脂20eに配合されて形成されている。発泡剤20dは、発泡温度T1以上に加熱されることにより、カプセル体の体積が膨張するように構成されている。固定層20cは、たとえば、ステータ100の製造工程において、加熱されることにより、厚みがt2(図17参照)からt3(図18参照)に増大する。これにより、固定層20cは、加熱された際に、発泡剤20dが発泡(膨張)することにより、第2脚部81と壁部11aおよび周方向側面13aとの間を満たす。
また、熱硬化性樹脂20eは、発泡温度T1よりも高い温度である硬化温度T2以上に加熱されることにより、硬化するように構成されている。固定層20cを構成する熱硬化性樹脂20eは、たとえば、エポキシ樹脂である。そして、固定層20cは、加熱された際に、熱硬化性樹脂20eが硬化することにより、第2脚部81と壁部11aおよび周方向側面13aとを接着して固定するように構成されている。
図14に示すように、本実施形態では、発泡された状態の発泡剤20dを含む固定層20cにより、接合部90に対応する軸方向の位置P1とは異なる位置P2において、第2脚部81の少なくとも一部と、スロット12を構成する壁部11aおよび周方向側面13aとの間が満たされている。詳細には、本実施形態では、固定層20cは、絶縁層20aのうちの接合部90に対応する軸方向の位置P1よりも軸方向の他方側(Z1方向側)の部分20bに重ねて設けられている。言い換えると、固定層20cは、絶縁層20aのうちの軸方向の一方側(Z2方向側)の端面10aの近傍よりも軸方向の他方側の部分20bに重ねて設けられている。また、固定層20cは、スロット12内において、絶縁層20aのうちの第2脚部81とステータコア10との間に配置される部分20bに重ねて設けられている。たとえば、図16に示すように、固定層20cは、絶縁層20aのうちの接合部90に対応する軸方向の位置とは異なる位置の部分20bにおいて、絶縁層20aを挟み込むように重ねて設けられている。
また、本実施形態では、図15に示すように、スロット12とコイル部30との間に設けられる第1絶縁部材20と、第1絶縁部材20とは別個に設けられる第2絶縁部材21とが設けられている。そして、図19に示すように、1つのスロット12において径方向に隣接するコイル間における第1導体70と第2導体80とが接合された接合部90同士は、第1絶縁部材20とは別個に設けられるシート状の第2絶縁部材21により絶縁されている。なお、「径方向に隣接するコイル」とは、コイル部30における、第1導体70と第2導体80とが接合された後のスロット12内に配置される直線状の部分を意味する。
ここで、本実施形態では、図19に示すように、第2絶縁部材21は、たとえば、ノーメックスなどの1枚のシート状の絶縁部材が折りたたまれて形成されている。そして、第2絶縁部材21は、径方向に隣り合う接合部90の対向面90aを覆う対向面絶縁部分21aと、対向面絶縁部分21aの周方向の端部から連続し、かつ、径方向に隣り合う接合部90の周方向面90bのうちのいずれか一方を少なくとも絶縁距離分覆う周方向面絶縁部分21bとを含む。なお、接合部90の対向面90aとは、径方向に隣り合う接合部90の互いに対向する径方向外側の面および径方向内側の面を意味する。また、絶縁距離とは、周方向面絶縁部分21bの径方向に沿った長さであるとともに、径方向に隣り合う接合部90同士を絶縁するために十分な距離(沿面距離)を意味する。
なお、図20に示すように、第2絶縁部材21は、最外径側に配置される接合部90の径方向外側を覆う部分21cと、最内径側に配置される接合部90の径方向内側を覆う部分21dとを含む。
また、第2絶縁部材21では、径方向に隣り合う対向面絶縁部分21aは、周方向の一方または他方において周方向面絶縁部分21bにより連結されている。具体的には、径方向に隣り合うように配置される一対の対向面絶縁部分21aのうちの径方向外側の対向面絶縁部分21aと、周方向の一方側に設けられる周方向面絶縁部分21bと、一対の対向面絶縁部分21aのうちの径方向内側の対向面絶縁部分21aと、周方向の他方側に設けられる周方向面絶縁部分21bとが連続するように形成されている。つまり、接合部90のA1方向側の周方向面90bと、接合部90のA2方向側の周方向面90bとが交互に、周方向面絶縁部分21bにより覆われる。言い換えると、第2絶縁部材21は、径方向に沿って隣り合うように配置される複数の接合部90の周方向面90bを連続して覆わないように構成されている。
このように、第2絶縁部材21は、中心軸線方向から見て、蛇行形状(蛇腹形状)を有する。また、1つの第2絶縁部材21によって、1つのスロット12内に配置される全ての接合部90同士が絶縁される。これにより、1つのスロット12内に配置される複数の接合部90を個別に絶縁部材により覆う場合と比べて、第2絶縁部材21を配置するための工程数を低減することが可能になる。
また、本実施形態では、図20に示すように、第2絶縁部材21は、径方向に沿って伸縮可能に構成されている。第2絶縁部材21は、柔軟性を有するシート状の絶縁部材により構成されているとともに、径方向に沿って隣り合うように配置される複数の接合部90の周方向面90bを連続して覆わないように構成されているためである。これにより、第1脚部71と第2脚部81との接合する際に、第1脚部71および第2脚部81が径方向または軸方向に沿って押圧されても、第1脚部71および第2脚部81の移動とともに第2絶縁部材21は変形可能である。
また、図15に示すように、第2絶縁部材21は、軸方向における一方側の縁部が、ステータコア10の中心軸線方向の端面10aから外側に突出するように配置されている。具体的には、中心軸線方向において、第2絶縁部材21のZ2方向側は、ステータコア10の端面10aから外側に突出しており、Z1方向側は、スロット12内に配置されている。
また、図15に示すように、第1絶縁部材20も、第2絶縁部材21と共に、ステータコア10の中心軸線方向の端面10aから外側に突出するように配置されている。そして、第2絶縁部材21のステータコア10の端面10aから外側に突出した部分の高さ位置h1と、第1絶縁部材20のステータコア10の端面10aから外側に突出した部分の高さ位置h2とは、略等しい。また、第1絶縁部材20および第2絶縁部材21の、ステータコア10の端面10aからの突出量は、第1絶縁部材20および第2絶縁部材21が、第2セグメント導体80の第2コイルエンド部82に接触して折れ曲がらない程度に調整されている。
また、図3に示すように、中心軸線方向において、第2絶縁部材21の長さL12は、第1絶縁部材20の長さL11よりも小さい。具体的には、第1絶縁部材20の長さL11は、中心軸線方向におけるステータコア10の長さL3よりも大きい。また、第2絶縁部材21の長さL12は、ステータコア10の長さL3よりも小さい。また、第2絶縁部材21は、接合部90を覆うとともに、接合部90からZ1方向側とZ2方向側とに延びるように設けられている。第2絶縁部材21の長さL12は、コイル部30に印加される電圧の大きさなどに基づいて(必要な沿面距離に基づいて)調整される。
また、第2絶縁部材21の長さL12が第1絶縁部材20の長さL11よりも小さいので、図21に示すように、第1絶縁部材20は、径方向から見て、第2絶縁部材21にオーバラップする部分20fと、オーバラップしない部分20bとを含む。具体的には、スロット12内における中心軸線方向の端部(端面10a)近傍において、第1絶縁部材20は、第2絶縁部材21にオーバラップしている。そして、第1絶縁部材20の第2絶縁部材21にオーバラップする部分20fの厚みt11は、第1絶縁部材20の第2絶縁部材21にオーバラップしない部分20bの厚みt12よりも小さい。
また、第2絶縁部材21の厚みt13は、厚みt11よりも小さい。また、厚みt12は、厚みt11に固定層20cの厚みt3の2枚分(t3×2)を加えたものである。
また、本実施形態では、第2絶縁部材21は、第1絶縁部材20の固定層20cよりも軸方向の一方側(Z2方向側)で、かつ、接合部90同士の径方向の間に配置され、接合部90同士を絶縁するように構成されている。具体的には、固定層20cは、絶縁層20aのうちの第2絶縁部材21と径方向に見てオーバラップしない部分20bに重ねて設けられている。また、絶縁層20aは、第2絶縁部材21と、径方向に見てオーバラップする部分20fに配置されている。
[本実施形態の効果]
上記実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、コイル部(30)の動力側端部(Pt)または中性点側端部(Nt)のうちの少なくとも一方の端部(Pt、Nt)を構成する端部セグメント導体(50、60)を、長脚部(81)を含む複数の第2セグメント導体(50、60、80)として構成する。これにより、端部長脚部(81)(長脚部(81))の軸線方向の長さ(L2)が、短脚部(71)の軸線方向の長さ(L1)に比べて大きい分、端部長脚部(81)が固定材(20、20c)に接触する表面積(固定領域)(P2の範囲:図14のドット部分)を大きくすることができる。これにより、端部長脚部(81)とスロット(12)を構成する電機子コア(10)の端面(11a、13a)との固定領域を大きくすることができるので、動力側端部(Pt)および中性点側端部(Nt)を含むセグメント導体(40)である端部セグメント導体(50、60)の電機子コア(10)に対する固定強度が低くなるのを防止することができる。
また、本実施形態では、上記のように、複数の第1セグメント導体(70)は、それぞれ、互いに異なるスロット(12)に配置される一対の短脚部(71)が互いに接続されることにより、U字状を有するように形成されており、端部セグメント導体(50、60)は、一対の短脚部(71)のうちの一方に接合された端部長脚部(81)と、端子部材(51)とが接合されている。ここで、短脚部(71)は、長脚部(81)に比べて軸線方向の長さ(L1)が小さい分、短脚部(71)の電機子コア(10)に対する固定強度は比較的小さくなる。これに対して、本実施形態のように、第1セグメント導体(70)を、一対の短脚部(71)が互いに接続されることによりU字状を有するように形成すれば、第1セグメント導体(70)と電機子コア(10)とを一対の短脚部(71)において、それぞれ、固定することができる。この結果、第1セグメント導体(70)を、電機子コア(10)に対して2箇所で固定することができるので、長脚部(81)に比べて軸線方向の長さ(L1)が小さい短脚部(71)を有する第1セグメント導体(70)の電機子コア(10)に対する固定強度を向上させることができる。この結果、端部セグメント導体(50、60)のみならず、第1セグメント導体(70)においても、電機子コア(10)に対する固定強度を向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、複数の第2セグメント導体(50、60、80)のうちの端部セグメント導体(50、60)以外のセグメント導体(80)は、互いに異なるスロット(12)に配置される一対の長脚部(81)が互いに接続されることにより、U字状を有するように形成されている。このように構成すれば、端部セグメント導体(50、60)および第1セグメント導体(70)のみならず、端部セグメント導体(50、60)以外のセグメント導体(80)においても、電機子コア(10)に対する固定強度を向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、電機子コア(10)の全てのスロット(12)において、接合部(90)は、電機子コア(10)の軸線方向の中心(C2)よりも一方の端部(10a)側に設けられている。このように構成すれば、接合部(90)を電機子コア(10)の軸線方向の中央部(C2)に設ける場合に比べて、長脚部(81)の軸線方向の長さ(L2)をより大きくすることができるので、端部セグメント導体(50、60)の電機子コア(10)に対する固定強度をより一層向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、接合部(90)は、1つのスロット(12)において、電機子コア(10)の径方向に複数並んで配置されており、複数の接合部(90)は、径方向から見て、互いにオーバラップするように構成されている。このように構成すれば、複数の接合部(90)を形成する際に、複数の接合部(90)の径方向の両側から押圧すれば、複数の接合部(90)同士が径方向に押圧し合うことにより、複数の接合部(90)をまとめて押圧することができる。この結果、複数の接合部(90)を個別に押圧する場合に比べて、接合部(90)を形成する工程を簡素化することができる。
また、本実施形態では、上記のように、電機子コア(10)の軸線方向の中心(C2)よりも一方の端部(10a)側に設けられ、接合部(90)同士を絶縁する第2絶縁部材(21)をさらに備える。このように構成すれば、第2絶縁部材(21)により、接合部(90)同士を絶縁することができるので、電機子(100)の絶縁性能を向上させることができる。また、上記実施形態のように、電機子コア(10)の軸線方向の中心(C2)よりも一方の端部(10a)側に接合部(90)が設けられていれば、電機子コア(10)の軸線方向の中央部(C2)に接合部(90)が設けられている場合に比べて、電機子コア(10)の軸方向の一方側から、第2絶縁部材(21)を容易に挿入することができる。
また、本実施形態では、上記のように、固定材(20、20c)は、電機子コア(10)の軸線方向の一方側の端部(10a)から他方側の端部(10b)に亘って設けられ、脚部(71、81)とスロット(12)とを絶縁する絶縁層(20a)と、絶縁層(20a)のうちの長脚部(81)の少なくとも一部とスロット(12)を構成する電機子コア(10)の端面(11a、13a)との間を満たすように設けられている固定層(20c)とを含む。このように構成すれば、絶縁層(20a)により脚部(71、81)とスロット(12)とを絶縁することができるとともに、固定層(20c)により、長脚部(81)と電機子コア(10)の端面(11a、13a)とを固定することができる。この結果、電機子(100)の絶縁性能を向上させながら、端部セグメント導体(50、60)(長脚部(81))と電機子コア(10)の端面(11a、13a)とを効果的に固定することができる。
また、本実施形態では、上記のように、複数のセグメント導体(40)には、それぞれ、脚部(71、81)の先端部に軸線方向に直交する平面に対して傾斜する傾斜面(74、84)が設けられており、接合部(90)は、軸線方向に対向し合う複数のセグメント導体(40)の径方向に対向し合う傾斜面(74、84)同士が接合されることにより形成されている。ここで、脚部(71、81)同士を接合する際に、複数のセグメント導体(40)を軸線方向に沿って押圧する場合には、スロット(12)よりも軸線方向の外側に配置されるコイルエンド部(72、82)を押圧する必要がある。この場合、スロット(12)内またはスロット(12)近傍の接合部(90)から、遠方に配置されたコイルエンド部(72、82)を押圧する状態になり、押圧する位置と接合する位置とが離れていることに起因して、押圧力を均一にすることが容易ではなくなる。この点に対して、上記実施形態のように構成すれば、脚部(71、81)を径方向に押圧することにより、傾斜面(74、84)同士を当接させて、接合部(90)に押圧力を与えることができる。この結果、遠方に配置されたコイルエンド部(72、82)を押圧する場合と異なり、接合部(90)を有する脚部(71、81)を押圧して、接合部(90)近傍を押圧することができるので、押圧力が不均一なるのを防止することができる。
また、本実施形態では、上記のように、端部セグメント導体(50、60)は、動力側端部(Pt)を構成する端部長脚部(81)と端子部材(51)として動力端子部材(51)とが接続された動力セグメント導体(50)と、中性点側端部(Nt)を構成する端部長脚部(81)同士が接続された中性点セグメント導体(60)とを含む。このように構成すれば、電機子(100)以外の機器に接続される動力端子部材(51)が接続される動力セグメント導体(50)の固定強度を向上させることができるとともに、特殊な形状を有することにより、一般的なセグメント導体(70)のコイルエンド部(72)の軸線方向の外側または径方向の一方側に配置される中性点セグメント導体(60)の固定強度を向上させることができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、本発明の電機子を、ステータとして構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、本発明の電機子を、ロータコア、コイル(セグメント導体)を有するロータとして構成してもよい。
また、上記実施形態では、接合部を、スロット内において、ステータコアの端面近傍に設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、スロットよりも軸方向の外側の部分(スロット外)において、接合部が設けられていてもよい。具体的には、第2脚部がスロットを軸方向に貫通するように配置され、その第2脚部に第1脚部が接合されて、スロット外において、接合部が形成されていてもよい。
また、上記実施形態では、動力導体および中性点導体の両方に、比較的軸方向の長さが大きい第2脚部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、動力導体および中性点導体のうちのいずれか一方のみに、第2脚部を設けてもよい。また、本発明は、3相のΔ結線されているコイル部を備える電機子(ステータ)にも適用可能であり、この場合、動力導体に比較的軸方向の長さが大きい第2脚部が設けられる。
また、上記実施形態では、中性点導体をU字状に形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、中性点導体を、直線状の第2脚部に中性点端子部材を接続して、上記実施形態の動力導体と同様の形状を有するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、第1導体および第2導体をU字状に形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図22に示す変形例のステータ300のように、第1導体370および第2導体380を、それぞれ、J字状に形成してもよい。すなわち、第1導体370は、短脚部371と長脚部372とが接続されて形成されている。第2導体380は、短脚部381と長脚部382とが接続されて形成されている。この場合、動力導体50(図11参照)および中性点導体60(図12および図13参照)の第2脚部81は、第1導体370の短脚部371と接合される。
また、上記実施形態では、ステータコアの全てのスロットにおいて、接合部が軸線方向の一方側(Z2方向側)の端部近傍に設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、動力導体または中性点導体が配置されていないスロットにおいて、接合部が軸線方向の他方側(Z1方向側)の端部近傍に設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、複数の接合部を、径方向から見て、互いにオーバラップするように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、複数の接合部を、径方向から見て、互いにオーバラップしない位置に配置してもよい。
また、上記実施形態では、スロット内において、径方向に隣り合うように複数の接合部を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、1つのスロット内またはスロットの軸方向の外側において、1つのみの接合部が設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、第1絶縁部材を、絶縁層を2つの固定層により挟んだ3層構造に構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1絶縁部材を、絶縁層と1つの固定層とにより2層構造に構成してもよいし、複数の絶縁層と複数の固定層とにより、4層以上の構造に構成してもよい。
また、上記実施形態では、固定層に発泡剤を含める例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、固定層に発泡剤を含めずに、固定層を熱硬化性樹脂のみにより構成してもよい。また、固定層に、発泡剤以外の膨張する機能を有する膨張剤が配合されていてもよい。
また、上記実施形態では、ステータに、接合部同士を絶縁する第2絶縁部材を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ステータに、第2絶縁部材を設けなくても、接合部同士の絶縁性能(絶縁距離)が十分確保されている場合には、ステータに第2絶縁部材を設けなくてもよい。
また、上記実施形態では、第1脚部に設けられ、傾斜面として構成された第1対向面と第2脚部に設けられ、傾斜面として構成された第2対向面とが接合される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1対向面および第2対向面を、軸方向に直交する平面に沿った平坦面として構成して、この平坦面同士を接合してもよい。この場合、第1脚部および第2脚部は、互いに対向する方向(軸方向に沿った方向)に押圧される。
また、上記実施形態では、開口部をステータの径方向内側に形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、開口部をステータの径方向外側に形成してもよい。
また、上記実施形態では、コイルを波巻きコイルとして形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、コイルを分布巻きコイルまたは集中巻コイルとして形成してもよい。
また、上記実施形態では、セグメント導体の横断面形状を、平角形状に形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、セグメント導体の横断面形状を、平角形状以外の形状(円形状、楕円形状等)に形成してもよい。
また、上記実施形態では、スロットをセミオープン(開口幅がスロットの幅よりも小さい)として構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ステータ(電機子)としての特性に影響が少なければ、開口幅がスロットの幅と等しい、フルオープン型のスロットとして、スロットを構成してもよい。なお、ステータの特性上、フルオープンよりも、セミオープンの方が好ましい。
また、上記実施形態では、第1脚部と第2脚部とを接合材により接合して接合部を形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1脚部と第2脚部とをロウ付けまたは溶接することにより、接合部を形成してもよい。
また、上記実施形態では、本発明の固定材として、接着層として構成された固定層を含む第1絶縁部材を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、接着層とは異なる膨張材(膨張層)を含む固定材を用いて、接着せずに壁部および周方向側面と第2脚部とを押圧させ合うこと(押圧力)により固定させてもよい。