以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
[ステータの構造]
図1〜図26を参照して、第1実施形態によるステータ100の構造について説明する。ステータ100は、中心軸線C1を中心に円環形状を有する。なお、ステータ100は、特許請求の範囲の「電機子」の一例である。
本願明細書では、「軸方向(中心軸線方向、軸線方向)」とは、図1に示すように、ステータ100の中心軸線C1(ロータ101の回転軸線)に沿った方向(Z方向)を意味する。軸方向(中心軸線方向)の一方側とは、Z1方向側を意味し、軸方向(中心軸線方向)の他方側とは、Z2方向側を意味する。また、「周方向」とは、ステータ100の周方向(A1方向、A2方向)を意味する。また、「径方向」とは、ステータ100の半径方向(R方向)を意味する。また、「径方向内側」とは、径方向に沿ってステータ100の中心軸線C1に向かう方向(R1方向)を意味する。また、「径方向外側」とは、径方向に沿ってステータ100の外に向かう方向(R2方向)を意味する。
ステータ100は、ロータ101と共に、回転電機102の一部を構成する。回転電機102は、たとえば、モータ、ジェネレータ、または、モータ兼ジェネレータとして構成される。ステータ100は、図1に示すように、永久磁石(図示せず)が設けられるロータ101の径方向外側に配置されている。すなわち、第1実施形態では、ステータ100は、インナーロータ型の回転電機102の一部を構成する。
図2に示すように、ステータ100は、ステータコア10と、第1絶縁部材20と、コイル部30とを備える。第1絶縁部材20は、スロット12(図3参照)とコイル部30(後述する第1脚部71および第2脚部81)とを絶縁するためにスロット12に挿入されている。また、コイル部30は、第1コイルアッセンブリ30a(反リード側コイル)と第2コイルアッセンブリ30b(リード側コイル)とを含む。また、コイル部30は、複数のセグメント導体40(図4参照)からなる。また、ステータ100は、第1絶縁部材20とは別個に設けられた第2絶縁部材21(図4参照)を備える。なお、ステータコア10は、特許請求の範囲の「電機子コア」の一例である。また、第1絶縁部材20は、特許請求の範囲の「コア脚部絶縁部材」の一例である。
(ステータコアの構造)
ステータコア10は、中心軸線C1(図1参照)を中心軸とした円筒形状を有する。また、ステータコア10は、たとえば、複数枚の電磁鋼板(たとえば、珪素鋼板)が軸方向に積層されることにより、形成されている。図3に示すように、ステータコア10は、軸方向に見て円環状を有するバックヨーク11と、バックヨーク11の径方向内側に設けられ、中心軸線方向に延びる複数のスロット12とが設けられている。そして、ステータコア10には、スロット12の周方向両側に複数のティース13が設けられている。
スロット12は、径方向外側に設けられたバックヨーク11の壁部11aと、2つのティース13の周方向側面13aとに囲まれた部分である。そして、スロット12には、径方向内側に開口する開口部12aが設けられている。また、スロット12は、軸方向両側のそれぞれに開口している。ティース13は、バックヨーク11から径方向内側に突出するように形成されており、径方向内側の先端部にスロット12の開口部12aを構成する凸部13bが形成されている。
開口部12aは、周方向に開口幅W1を有する。ここで、開口幅W1は、ティース13の凸部13bの先端部同士の距離に対応する。また、スロット12のコイル部30が配置される部分の幅W2は、開口幅W1よりも大きい。すなわち、スロット12は、セミオープン型のスロットとして構成されている。ここで、幅W2は、スロット12の周方向両側に配置されているティース13の周方向側面13a同士の距離に対応する。また、スロット12の幅W2は、径方向に亘って略一定である。
(コイル部の構造)
コイル部30は、図4に示すように、平角導線により構成されている。たとえば、コイル部30は、銅またはアルミニウムにより構成されている。
また、コイル部30は、図2に示すように、軸方向他方側(Z2方向側)に設けられた第1コイルアッセンブリ30aと、軸方向一方側(Z1方向側)に設けられた第2コイルアッセンブリ30bとが、軸方向に組み合わされるとともに、接合されて形成されている。第1コイルアッセンブリ30aおよび第2コイルアッセンブリ30bは、それぞれ、ステータコア10と同一の中心軸線C1(図1参照)を中心とした円環状に形成されている。また、図4に示すように、第1実施形態では、コイル部30は、複数のセグメント導体40の後述する第1脚部71と第2脚部81とが、接合部90において接合されて形成されている。
コイル部30は、たとえば、波巻きコイルとして構成されている。また、コイル部30は、8ターンのコイルとして構成されている。すなわち、コイル部30は、スロット12内に、径方向に8個のセグメント導体40が並列して配置されて構成されている。
〈コイル部の結線の構成〉
図5に示すように、コイル部30では、電源部(図示せず)から3相交流の電力が供給されることにより、磁束を発生させるように構成されている。具体的には、コイル部30は、3相のY結線により接続(結線)されている。すなわち、コイル部30は、U相コイル部30Uと、V相コイル部30Vと、W相コイル部30Wとを含む。そして、コイル部30には、複数(たとえば、2つ)の中性点Nが設けられている。詳細には、コイル部30は、4並列結線(スター結線)されている。すなわち、U相コイル部30Uには、4つの中性点接続端部NtUと、4つの動力線接続端部PtUとが設けられている。V相コイル部30Vには、4つの中性点接続端部NtVと、4つの動力線接続端部PtVとが設けられている。W相コイル部30Wには、4つの中性点接続端部NtWと、4つの動力線接続端部PtWとが設けられている。なお、以下の記載では、中性点接続端部および動力線接続端部について、U相、V相、および、W相を特に区別しない場合、単に、「中性点接続端部Nt」および「動力線接続端部Pt」として記載する。
〈コイルアッセンブリの構造〉
図2に示すように、第1コイルアッセンブリ30aは、セグメント導体40としての複数の第1セグメント導体70(以下、「第1導体70」とする)から構成されている。好ましくは、第1コイルアッセンブリ30aは、複数の第1導体70のみが組み合わされて構成されている。
また、第2コイルアッセンブリ30bは、セグメント導体40としての複数(たとえば、3つ)の動力セグメント導体50(以下、「動力導体50」とする)と、セグメント導体40としての複数(たとえば、2つ)の中性点セグメント導体60(以下、「中性点導体60」とする)と、複数のセグメント導体40のうちの動力導体50および中性点導体60とは異なる導体(一般のセグメント導体40)であり、コイル部30を構成する第2セグメント導体80(以下、「第2導体80」とする)とを含む。すなわち、ステータ100に設けられる動力導体50および中性点導体60の全ては、第2コイルアッセンブリ30bに設けられている。
(セグメント導体の構造)
セグメント導体40は、図6に示すように、横断面が略矩形形状を有する平角導線として構成されている。そして、セグメント導体40の導体表面40bには、厚みt1を有する絶縁被膜40aが設けられている。絶縁被膜40aの厚みt1は、たとえば、相間絶縁性能(第1コイルエンド部72同士の絶縁、第2コイルエンド部82同士の絶縁、図2参照)を確保することが可能な程度に設定されている。なお、図6では、説明のために、厚み等の大小関係を強調して図示しているが、この図示の例に限られない。
〈第1導体および第2導体の構造〉
図7に示すように、複数のセグメント導体40は、ステータコア10の軸方向の一方側(Z1方向側)に延びる第1脚部71を含む複数の第1導体70を備える。複数の第1導体70の各々は、ステータコア10の軸方向の他方側(Z2方向側)に配置されている。また、複数の第1導体70の各々の第1脚部71は、軸方向において長さL1を有する。
また、図8に示すように、ステータコア10の軸方向の他方側(Z2方向側)に延びる第2脚部81を含む複数の第2導体80を備える。複数の第2導体80の各々は、ステータコア10の軸方向の一方側(Z1方向側)に配置されている。また、複数の第2導体80の各々は、複数の第1導体70に対して中心軸線方向に対向して配置されている。また、複数の第2導体80の各々の第2脚部81は、軸方向において長さL2を有する。なお、第2脚部81の長さL2は、第1脚部71の長さL1よりも長い。
また、コイル部30は、軸方向に2分割された第1導体70と第2導体80とが接合されて形成されている。ここで、第2導体80とは、第2コイルアッセンブリ30bを構成するセグメント導体40のうちの動力導体50および中性点導体60以外のセグメント導体40である。
図7(A)および図7(B)に示すように、複数の第1導体70は、それぞれ、互いに異なるスロット12に配置される一対の第1脚部71が互いに接続されることにより、径方向に見てU字状(略U字状)を有するように形成されている。第1導体70のコイルピッチは6である。すなわち、一対の第1脚部71は、スロット12が6つ分、周方向に異なる位置に配置される。すなわち、一対の第1脚部71のうちの一方の第1脚部71が配置されているスロット12と、他方の第1脚部71が配置されているスロット12との間に、5つのスロット12が設けられている。具体的には、第1導体70は、互いに異なるスロット12に配置され、それぞれ軸方向に沿って直線状に形成されている一対の第1脚部71と、第1脚部71に接続される第1コイルエンド部72とを含む。第1脚部71とは、ステータコア10の中心軸線方向における端面10a(図2参照)の軸方向位置からスロット12の内に配置されている部分を意味し、第1コイルエンド部72は、第1脚部71に連続して形成され、ステータコア10の端面10aよりも軸方向外側に配置されている部分を意味するものとする。また、第1コイルエンド部72は、軸方向に折れ曲がる屈曲形状を有する。また、第1コイルエンド部72は、軸方向から見て、径方向に1本のセグメント導体40の幅分、階段状に屈曲するクランク状に形成された第1クランク部分73を有する。つまり、第1クランク部分73の径方向の幅は、1本のセグメント導体40の幅の2倍である。
また、一対の第1脚部71の軸方向長さL1は互いに略等しい。なお、軸方向長さL1とは、第1導体70のうちスロット12内において中心軸線方向に直線状に延びている部分の長さを意味する。また、軸方向長さL1は、ステータコア10の軸方向長さL3(図2参照)よりも小さい。なお、ステータコア10の軸方向長さL3とは、中心軸線方向における端面10aおよび端面10bの間の、中心軸線方向の距離(間隔)を意味する。
同様に、図8(A)および図8(B)に示すように、第2導体80は、スロット12に配置される一対の第2脚部81と、第2脚部81に接続される第2コイルエンド部82とを含む。また、第2コイルエンド部82は、第2クランク部分83を有する。第2導体80は、互いに異なるスロット12に配置される一対の第2脚部81が互いに接続されることにより、U字状を有するように形成されている。また、第2導体80の一対の第2脚部81の軸方向長さL2は互いに略等しい。また、第2導体80の一対の第2脚部81の軸方向長さL2は、第1導体70の一対の第1脚部71の軸方向長さL1よりも大きい(L2>L1)。なお、軸方向長さL2とは、第2導体80のうちスロット12内において中心軸線方向に直線状に延びている部分の長さを意味する。
〈動力導体の構成〉
図9に示すように、動力導体50では、同相の複数(たとえば、4つ)の動力線接続端部Pt同士が電気的に接続されているとともに、接続された複数の動力線接続端部Ptと1つの動力端子部材51とが電気的に接続されている。動力導体50は、一対の第1脚部71のうちの一方に接合(図12参照)されている第2脚部81と、動力端子部材51とが接合されている。そして、動力導体50は、電源部(図示せず)からコイル部30に電力を導入する機能を有する。
詳細には、動力導体50は、スロット12(図1参照)の径方向外側に配置され、動力線接続端部Ptを有する外径側動力導体52と、外径側動力導体52よりも径方向内側でかつ軸方向外側に配置され、動力線接続端部Ptを有する内径側動力導体53とを含む。言い換えると、動力導体50は、二股状に形成されている。
また、外径側動力導体52と動力端子部材51とは、引出線54により電気的に接続されている。また、内径側動力導体53と動力端子部材51とは、引出線54とにより電気的に接続されている。外径側動力導体52と内径側動力導体53とは、動力端子部材51および引出線54を介して、電気的に接続されている。また、引出線54は、たとえば、撚線(導体)により形成されており、絶縁チューブ51aが外周に配置されている。
外径側動力導体52および内径側動力導体53には、それぞれ、第2脚部81が設けられている一方、第1コイルエンド部72または第2コイルエンド部82は設けられていない。また、外径側動力導体52および内径側動力導体53では、引出線54と第2脚部81とが、導体板55を介して、接合されている。たとえば、この接合は、ロウ付け、または、溶接(たとえば、抵抗溶接、アーク溶接、レーザー溶接、または、高エネルギービーム溶接のいずれか)により実施される。
〈中性点導体の構成〉
図1に示すように、中性点導体60は、外径側中性点導体61と内径側中性点導体62とを含む。図5に示すように、外径側中性点導体61および内径側中性点導体62は、それぞれ、中性点Nを含み、U相コイル部30Uの中性点接続端部NtUと、V相コイル部30Vの中性点接続端部NtVと、W相コイル部30Wの中性点接続端部NtWとが電気的に接続されたものである。
外径側中性点導体61は、図10に示すように、2つのU相W相中性点セグメント導体61aと、2つのV相中性点セグメント導体61bとを含む。U相W相中性点セグメント導体61aは、3相交流のうちのU相の第1導体70の第1脚部71に接続されるU相用の第2脚部81と、W相の第1脚部71に接続されるW相用の第2脚部81と、U相用の第2脚部81とW相用の第2脚部81とを接続する2つの中性点コイルエンド部61cとを含む。中性点コイルエンド部61cは、U相用の第2脚部81に連続して形成されているとともに、W相用の第2脚部81に連続して形成されている。
U相W相中性点セグメント導体61aは、径方向内側から見て、略U字形状に形成されている。V相中性点セグメント導体61bは、径方向内側から見て、略直線状に形成されている。
中性点コイルエンド部61cは、図1に示すように、第2導体80の第2コイルエンド部82の径方向外側において、周方向に沿って形成されている。そして、中性点コイルエンド部61cは、Z2方向に見て、略円弧状に形成されている。2つのU相W相中性点セグメント導体61aのうちの一方は、他方の軸方向外側(Z1方向側)に配置されている。
V相中性点セグメント導体61bは、図10に示すように、V相の第1導体70に接続されるV相用の第2脚部81と、中性点コイルエンド部61dとを含む。中性点コイルエンド部61dは、第2脚部81から軸方向外側(Z1方向に)突出するように形成されている。そして、2つの中性点コイルエンド部61dは、それぞれ、2つの中性点コイルエンド部61cの両方に接合されることにより、電気的に接合されている。
内径側中性点導体62は、図11に示すように、2つのU相W相中性点セグメント導体62aと、2つのV相中性点セグメント導体62bとを含む。U相W相中性点セグメント導体62aは、3相交流のうちのU相の第1導体70の第1脚部71に接続されるU相用の第2脚部81と、W相の第1導体70に接続されるW相用の第2脚部81と、U相用の第2脚部81とW相用の第2脚部81とを接続する中性点コイルエンド部62cとを含む。中性点コイルエンド部62cは、U相用の第2脚部81に連続して形成されているとともに、W相用の第2脚部81に連続して形成されている。これにより、U相W相中性点セグメント導体62aは、径方向内側から見て、略U字形状に形成されている。V相中性点セグメント導体62bは、径方向内側から見て、略直線状に形成されている。
中性点コイルエンド部62cは、図12に示すように、第2導体80の第2コイルエンド部82よりも軸方向外側に突出して形成されている。そして、中性点コイルエンド部62cは、第2導体80の第2コイルエンド部82の軸方向外側に近接して配置されているとともに、軸方向に見て、周方向に沿って形成されている。そして、2つのU相W相中性点セグメント導体62aのうちの一方は、他方の径方向外側に配置されている。
V相中性点セグメント導体62bは、V相の第1導体70の第1脚部71に接続されるV相用の第2脚部81と、中性点コイルエンド部62dとを含む。中性点コイルエンド部62dは、第2脚部81から軸方向外側(Z1方向)に突出するように形成されている。そして、2つの中性点コイルエンド部62dは、それぞれ、2つの中性点コイルエンド部62cの両方に接合されることにより、電気的に接合されている。
(接合部の構成)
図12および図13に示すように、第1脚部71は、1つのスロット12内において、ステータコア10の径方向に並んで(隣り合って)複数設けられている。また、第1コイルエンド部72は、スロット12の外側(Z2方向側)において、ステータコア10の径方向に並んで(隣り合って)複数設けられている。また、第2脚部81は、1つのスロット12内において、ステータコア10の径方向に並んで(隣り合って)複数設けられている。また、第2コイルエンド部82は、スロット12の外側(Z1方向側)において、ステータコア10の径方向に並んで(隣り合って)複数設けられている。
また、1つのスロット12内において、複数の第1導体70(第1脚部71)と複数の第2導体80(第2脚部81)とが接合されている。具体的には、1つのスロット12内には、複数の第1脚部71の各々の後述する第1面71aと、複数の第2脚部81の各々の後述する第2面81aとが接合される複数の接合部90が設けられる。なお、後述する第1面71aが設けられている第1面配置部71b、および、後述する第2面81aが設けられている第2面配置部81bは、径方向に沿って交互に複数配列されている。
具体的には、複数の接合部90は、径方向から見て互いにオーバラップするように設けられている。つまり、1つのスロット12内に配置される全ての接合部90が水平方向に沿って並んだ状態で配置されている。言い換えると、1つのスロット12内において、中心軸線方向における複数の接合部90の各々の位置は、互いに略等しい。なお、接合部90は、後述するように、径方向から見て、第1脚部71の第1面71aと、第2脚部81の第2面81aとが接合された(オーバラップした)部分である。
また、図14に示すように、第1脚部71の先端部71cおよび第2脚部81の先端部81cの各々は、先細り形状を有している。具体的には、周方向(A方向)から見て、第1脚部71の先端部71cおよび第2脚部81の先端部81cの各々は、先細り形状を有している。
複数の第1導体70の各々の第1脚部71の先端部71c側には、中心軸線方向に延びるように設けられる第1面71aが設けられている。また、複数の第2導体80の各々の第2脚部81の先端部81c側には、中心軸線方向に延びるように設けられる第2面81aが設けられている。具体的には、第1面71aおよび第2面81aの各々は、中心軸線方向に対して平行に延びるように設けられている。また、第1脚部71および第2脚部81は、それぞれ、第1面71aが設けられている第1面配置部71b、および、第2面81aが設けられている第2面配置部81bを含む。なお、第1面配置部71bは、第1脚部71の先端部71c側に設けられている。また、第2面配置部81bは、第2脚部81の先端部81c側に設けられている。
また、第1脚部71は、第1面71aが設けられている第1面配置部71bに連続して設けられる第1脚部本体部71dを有する。第1脚部本体部71dは、第1面配置部71bに対して、先端部71cとは反対側(Z2方向側)に設けられている。また、第2脚部81は、第2面81aが設けられている第2面配置部81bに連続して設けられる第2脚部本体部81dを有する。第2脚部本体部81dは、第2面配置部81bに対して、先端部81cとは反対側(Z1方向側)に設けられている。具体的には、第1面配置部71bは、後述する第1段差部71gを介して第1脚部本体部71dと連続して設けられている。また、第2面配置部81bは、後述する第2段差部81gを介して第2脚部本体部81dと連続して設けられている。
第1面71aが設けられている第1面配置部71bの径方向の厚みt2は、第1脚部本体部71dの径方向における厚みt3よりも小さい。具体的には、第1面配置部71bの厚みt2は、第1脚部本体部71dの厚みt3の約1/2である。また、第2面81aが設けられている第2面配置部81bの径方向の厚みt4は、第2脚部本体部81dの径方向における厚みt5よりも小さい。具体的には、第2面配置部81bの厚みt4は、第2脚部本体部81dの厚みt5の約1/2である。なお、厚みt2と厚みt4とは略等しく、厚みt3と厚みt5とは略等しい。
また、コイル部30(図2参照)は、第1面71aと第2面81aとが1つのスロット12内において接合されている接合部90を含む。すなわち、接合部90は、中心軸線方向において、ステータコア10の端面10a(図2参照)と端面10b(図2参照)との間に位置している。
また、図14に示すように、第1面71aおよび第2面81aは、接合部90において互いに径方向(R方向)に接合されている。具体的には、第1面71aのうちの先端部71c側の一部の面部分71eと、第2面81aのうちの先端部81c側の一部の面部分81eとが、径方向に接合されている。言い換えると、第1面71aと第2面81aとは、中心軸線方向にずらされた状態で接合されている。
なお、第1面71a(面部分71e)および第2面81a(面部分81e)は、中心軸線方向に対して平行に延びるとともに、互いに径方向に対向するように設けられる。すなわち、第1面71a(面部分71e)および第2面81a(面部分81e)の各々は、径方向に対して直交するように延びている。また、第1面71a(面部分71e)は、径方向内側(R1方向側)を向いているとともに、第2面81a(面部分81e)は、径方向外側を向いている。
また、第1面71aの中心軸線方向における長さL4、および、第2面81aの中心軸線方向における長さL5は、中心軸線方向における接合部90の長さL6よりも大きい。第1面71aの長さL4と、第2面81aの長さL5とは、略等しい長さである。なお、接合部90の長さL6とは、面部分71eおよび面部分81eの中心軸線方向における長さを意味する。
また、互いに中心軸線方向に対向する第1導体70と第2導体80との間において、第1脚部71の先端部71cと第2脚部81との間には、中心軸線方向に延びる第1隙間部74が設けられている。また、互いに中心軸線方向に対向する第1導体70と第2導体80との間において、第2脚部81の先端部81cと第1脚部71との間には、中心軸線方向に延びる第2隙間部84が設けられている。具体的には、第1隙間部74は、中心軸線方向において、第1脚部71の先端部71cと、第2脚部81の第2脚部本体部81dとの間に設けられている。また、第2隙間部84は、中心軸線方向において、第2脚部81の先端部81cと、第1脚部71の第1脚部本体部71dとの間に設けられている。
また、第1隙間部74は、周方向(A方向)から見て、互いに接合される第1脚部71および第2脚部81と、径方向内側(R1方向側)に隣接する第2絶縁部材21とにより取り囲まれている。また、第2隙間部84は、周方向(A方向)から見て、互いに接合される第1脚部71および第2脚部81と、径方向外側(R2方向側)に隣接する第2絶縁部材21とにより取り囲まれている。なお、第2絶縁部材21の構成の詳細については後述する。
また、第1隙間部74および第2隙間部84の各々は、互いに接合される第1脚部71と第2脚部81との組毎に設けられている。すなわち、第1隙間部74および第2隙間部84の各々は、径方向に複数(第1実施形態では8つ、図13参照)並んで設けられている。具体的には、径方向から見て、複数の第1隙間部74は、互いにオーバラップしているとともに、複数の第2隙間部84は、互いにオーバラップしている。
また、第1隙間部74の中心軸線方向の長さL7は、第2隙間部84の中心軸線方向の長さL8と略等しい。なお、第1隙間部74の長さL7とは、第1脚部71の先端部71cと、第2脚部81との間の中心軸線方向における距離を意味する。また、第2隙間部84の長さL8とは、第2脚部81の先端部81cと、第1脚部71との間の中心軸線方向における距離を意味する。
また、第1隙間部74の中心軸線方向における長さL7、および、第2隙間部84の中心軸線方向における長さL8の両方は、径方向における、第1脚部71の第1面71aが設けられている第1面配置部71bの厚みt2、および、第2脚部81の第2面81aが設けられている第2面配置部81bの厚みt4よりも大きい。なお、第1隙間部74の長さL7、および、第2隙間部84の長さL8の各々は、第1導体70および第2導体80の各々の製造において生じる寸法のばらつきと、第1導体70と第2導体80との組み付けの際に生じる組み付けばらつきとを十分吸収できる程度の長さに設定されている。
また、第1脚部71の第1面71aが設けられている第1面配置部71bと、第1脚部本体部71dとの間には、第2隙間部84に面するとともに丸型形状を有する角部内面71fを含む第1段差部71gが設けられている。また、第2脚部81の第2面81aが設けられている第2面配置部81bと、第2脚部本体部81dとの間には、第1隙間部74に面するとともに丸型形状を有する角部内面81fを含む第2段差部81gが設けられている。具体的には、角部内面71fおよび角部内面81fは、それぞれ、第1面配置部71bの径方向の厚みt2および第2面配置部81bの径方向の厚みt4よりも小さい曲率半径の円弧形状を有している。この場合、第1脚部71および第2脚部81には、それぞれ、角部内面71fおよび角部内面81fに連続して設けられる平坦面71hおよび平坦面81hが設けられている。平坦面71hおよび平坦面81hの各々は、中心軸線方向に直交するように延びるように設けられている。
また、図13に示すように、第1隙間部74および第2隙間部84の各々は、スロット12内に配置されている。具体的には、第1隙間部74および第2隙間部84の各々の全体が、スロット12内に配置されている。
また、一対の第1脚部71の長さL1(図7参照)と一対の第2脚部81の長さL2(図8参照)とが互いに異なっているので、第1脚部71の第1面71aと第2脚部81の第2面81aとが接合されることにより、第1隙間部74および第2隙間部84の各々(接合部90)が、軸方向において、軸方向中心C2(図12参照)よりも端面10a側に設けられる。これにより、第1隙間部74および第2隙間部84の各々は、ステータコア10の軸方向中心C2よりも、ステータコア10の端面10aの近傍に設けられている。具体的には、第2隙間部84の中心軸線方向の他方側(Z2方向側)の縁部が、ステータコア10の端面10aと、中心軸線方向において略同一の位置に設けられている。また、第2隙間部84の中心軸線方向の他方側(Z2方向側)の縁部が、端面10aからZ1方向またはZ2方向に略絶縁沿面距離の範囲内に設けられていてもよい。
また、ステータ100は、接合部90において第1面71aと第2面81aとを接着させるとともに、第1脚部71と第2脚部81とを導通させる導電性接着剤91を備える。導電性接着剤91は、第1面71aと第2面81aとの間に設けられている。なお、導電性接着剤91は、たとえば、溶剤に、銀をナノメートルレベルまで微細化した金属粒子を導電性粒子として含んだペースト状の接合材(銀ナノペースト)である。また、導電性接着剤91は、熱によって溶融するように構成されている。なお、導電性接着剤91は、特許請求の範囲の「結合材」の一例である。
また、導電性接着剤91には、加熱された際に揮発する部材(樹脂部材)が含有されており、揮発する部材が加熱されることにより、導電性接着剤91の体積が減少して、第1面71aと第2面81aとを近接させる機能を有する。また、第1面71aと第2面81aとを接合するために、第1面71aおよび第2面81aのうちの少なくとも一方の接合部90に対応する部分(面部分71eおよび面部分81eのうちの少なくとも一方)に、予め導電性接着剤91が塗布された状態で、第1導体70と第2導体80との組み付けが行われる。なお、図14では、説明のために導電性接着剤91の厚みを強調して図示しているが、この図示の例に限られない。
ここで、導電性接着剤91は、面部分71eおよび面部分81eのうちの少なくとも一方に加えて、径方向から見て、第1面71aのうち、第2隙間部84と面する面部分71i、および、第2面81aのうち、第1隙間部74と面する面部分81iに塗布されている。具体的には、導電性接着剤91は、面部分71iおよび面部分81iの各々の全体に塗布されている。すなわち、第1面71aおよび第2面81aの各々は、径方向から見て、導電性接着剤91により全体が覆われている。なお、導電性接着剤91は、角部内面71fおよび角部内面81fの各々には塗布されていない。
(第1絶縁部材の構造)
第1絶縁部材20は、図4に示すように、壁部11aおよびティース13と、第1脚部71および第2脚部81(セグメント導体40)との間に配置されている。また、第1絶縁部材20は、スロット12内のコイル部30(第1脚部71および第2脚部81)に周状に巻かれるシート形状を有している。
また、図15に示すように、第1絶縁部材20は、3層構造を有している。具体的には、図12に示すように、第1絶縁部材20は、スロット12内において、バックヨーク11の壁部11aおよびティース13の周方向側面13a(図4参照)と、第1脚部71および第2脚部81との間に設けられ、壁部11aおよび周方向側面13aと、第1脚部71および第2脚部81とを絶縁する絶縁層20aと、絶縁層20aのうちの接合部90に対応する軸方向の位置P1とは異なる位置(領域)(P2)の部分20bに重ねて設けられ、ステータコア10と第2脚部81とを固定する固定層20cとを含む。固定層20cは、好ましくは、接着剤を含む接着層として構成されている。また、位置P2は、たとえば、軸方向において、軸方向の位置P1を除く部分のスロット12内の全域と、ステータコア10の端面10bの近傍部分(スロット12よりも軸方向外側の部分を含む)とを含む。
そして、第1絶縁部材20は、Z2方向に見て、径方向に並列して配置された複数の第2脚部81の周囲を一体的に覆うように配置されている。言い換えると、径方向に並列して配置された複数の第2脚部81の周方向両側および径方向両側が第1絶縁部材20により覆われる。これにより、第1絶縁部材20によって、接合部90とステータコア10との絶縁を確保することが可能となる。
絶縁層20aは、たとえば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS:Poly Phenylene Sulfide Resin)により構成されている。また、絶縁層20aは、アラミド紙等の不織布状に形成されていてもよい。また、図12に示すように、絶縁層20aは、ステータコア10の軸方向の他方側(Z2方向側)の端面10aから一方側(Z1方向側)の端面10bに亘って設けられている。すなわち、絶縁層20aは、各スロット内において、壁部11aおよび周方向側面13aを覆うように配置されている。なお、「覆う」とは、壁部11aおよび周方向側面13aの全ての部分を被覆することのみを意味するものではなく、図4に示すように、周方向側面13aの径方向内側の部分(先端隙12b部分)が露出している場合も含む、広い概念を意味するものとする。
固定層20cは、図15に示すように、熱によって発泡する発泡剤20d(膨張剤)を含む。具体的には、固定層20cは、たとえば、発泡剤20dとしての複数のカプセル体が、熱硬化性樹脂20eに配合されて形成されている。発泡剤20dは、発泡温度T1以上に加熱されることにより、カプセル体の体積が膨張するように構成されている。固定層20cは、たとえば、ステータ100の製造工程において、加熱されることにより、厚みt6が(図16参照)から厚みt7(図17参照)に増大する。これにより、固定層20cは、加熱された際に、発泡剤20dが発泡(膨張)することにより、第2脚部81と壁部11aおよび周方向側面13aとの間を満たす。
また、熱硬化性樹脂20eは、発泡温度T1よりも高い温度である硬化温度T2以上に加熱されることにより、硬化するように構成されている。固定層20cを構成する熱硬化性樹脂20eは、たとえば、エポキシ樹脂である。そして、固定層20cは、加熱された際に、熱硬化性樹脂20eが硬化することにより、第2脚部81と壁部11aおよび周方向側面13aとを接着して固定するように構成されている。
図12に示すように、発泡された状態の発泡剤20dを含む固定層20cにより、接合部90に対応する軸方向の位置P1とは異なる位置P2において、第2脚部81の少なくとも一部と、スロット12を構成する壁部11aおよび周方向側面13aとの間が満たされている。詳細には、固定層20cは、絶縁層20aのうちの接合部90に対応する軸方向の位置P1よりも軸方向の一方側(Z1方向側)の部分20bに重ねて設けられている。言い換えると、固定層20cは、絶縁層20aのうちの軸方向の他方側(Z2方向側)の端面10aの近傍よりも軸方向の一方側(Z1方向側)の部分20bに重ねて設けられている。また、固定層20cは、スロット12内において、絶縁層20aのうちの第2脚部81とステータコア10との間に配置される部分20bに重ねて設けられている。たとえば、図15に示すように、固定層20cは、絶縁層20aのうちの接合部90に対応する軸方向の位置とは異なる位置の部分20bにおいて、絶縁層20aを挟み込むように重ねて設けられている。
また、図13に示すように、スロット12とコイル部30との間に設けられる第1絶縁部材20と、第1絶縁部材20とは別個に設けられる第2絶縁部材21とが設けられている。そして、図18に示すように、1つのスロット12において径方向に隣接するコイル間における第1導体70の第1脚部71の第1面71aと、第2導体80の第2脚部81の第2面81aとが接合された接合部90のうち、径方向に隣接する接合部90同士は、第1絶縁部材20とは別個に設けられるシート状の第2絶縁部材21により絶縁されている。なお、「コイル」とは、コイル部30における、第1導体70と第2導体80とが接合された後のスロット12内に配置される直線状の部分を意味する。したがって、一つのスロット12には、複数のコイルが配置される。
ここで、図18に示すように、第2絶縁部材21は、たとえば、ノーメックスなどの1枚のシート状の絶縁部材が折りたたまれて形成されている。そして、第2絶縁部材21は、径方向に隣り合う接合部90の対向面90aを覆う対向面絶縁部分21aと、対向面絶縁部分21aの周方向の両端部から連続し、かつ、径方向に隣り合う接合部90の周方向面90bのうちのいずれか一方を少なくとも絶縁距離分覆う周方向面絶縁部分21bとを含む。なお、接合部90の対向面90aとは、径方向に隣り合う接合部90の互いに対向する径方向外側の面および径方向内側の面を意味する。また、絶縁距離とは、周方向面絶縁部分21bの径方向に沿った長さであるとともに、径方向に隣り合う接合部90同士を絶縁するために十分な距離(沿面距離)を意味する。
なお、図19に示すように、第2絶縁部材21は、最外径側に配置される接合部90の径方向外側を覆う部分21cと、最内径側に配置される接合部90の径方向内側を覆う部分21dとを含む。
また、第2絶縁部材21では、径方向に隣り合う対向面絶縁部分21aは、周方向の一方または他方において周方向面絶縁部分21bにより連結されている。具体的には、径方向に隣り合うように配置される一対の対向面絶縁部分21aのうちの径方向外側の対向面絶縁部分21aと、周方向の一方側に設けられる周方向面絶縁部分21bと、一対の対向面絶縁部分21aのうちの径方向内側の対向面絶縁部分21aと、周方向の他方側に設けられる周方向面絶縁部分21bとが連続するように形成されている。つまり、接合部90のA1方向側の周方向面90bと、接合部90のA2方向側の周方向面90bとが交互に、周方向面絶縁部分21bにより覆われる。言い換えると、第2絶縁部材21は、径方向に沿って隣り合うように配置される複数の接合部90の周方向面90bを連続して覆わないように構成されている。
このように、第2絶縁部材21は、中心軸線方向から見て、蛇行形状(蛇腹形状)を有する。また、1つの第2絶縁部材21によって、1つのスロット12内に配置される径方向に隣接する接合部90同士が絶縁されるので、スロット12内の全ての接合部90同士が絶縁される。これにより、1つのスロット12内に配置される複数の接合部90を個別に絶縁部材により覆う場合と比べて、第2絶縁部材21を配置するための工程数を低減することが可能になる。
また、図19に示すように、第2絶縁部材21は、径方向に沿って伸縮可能に構成されている。第2絶縁部材21は、柔軟性を有するシート状の絶縁部材により構成されているとともに、径方向に沿って隣り合うように配置される複数の接合部90の周方向面90bを連続して覆わないように構成されているためである。これにより、第1脚部71と第2脚部81とを接合する際に、第1脚部71および第2脚部81が径方向または軸方向に沿って押圧されても、第1脚部71および第2脚部81の移動とともに第2絶縁部材21は変形可能である。
また、図13に示すように、第2絶縁部材21は、径方向から見て、第1隙間部74および第2隙間部84の両方を覆うように中心軸線方向に延びるように設けられている。具体的には、第2絶縁部材21は、中心軸線方向における他方側(Z2方向側)の縁部が、ステータコア10の中心軸線方向の端面10aから外側(Z2方向側)に突出するように配置されている。また、第2絶縁部材21は、中心軸線方向における一方側(Z1方向側)の縁部が、スロット12内において、第1隙間部74の中心軸線方向における一方側(Z1方向側)の縁部よりも、中心軸線方向における一方側(Z1方向側)に設けられている。
また、図13に示すように、第1絶縁部材20も、第2絶縁部材21と共に、ステータコア10の中心軸線方向の端面10aから外側(Z2方向側)に突出するように配置されている。そして、第2絶縁部材21のステータコア10の端面10aから外側に突出した部分の高さ位置h1と、第1絶縁部材20のステータコア10の端面10aから外側に突出した部分の高さ位置h2とは、略等しい。また、第1絶縁部材20および第2絶縁部材21の、ステータコア10の端面10aからの突出量は、第1絶縁部材20および第2絶縁部材21が、第1セグメント導体70の第1コイルエンド部72に接触して折れ曲がらない程度に調整されている。
また、図20に示すように、中心軸線方向において、第2絶縁部材21の長さL12は、第1絶縁部材20の長さL11よりも小さい。具体的には、第1絶縁部材20の長さL11は、中心軸線方向におけるステータコア10の長さL3よりも大きい。また、第2絶縁部材21の長さL12は、ステータコア10の長さL3よりも小さい。また、第2絶縁部材21は、接合部90を覆うとともに、接合部90からZ1方向側とZ2方向側とに延びるように設けられている。第2絶縁部材21の長さL12は、コイル部30に印加される電圧の大きさなどに基づいて(必要な沿面距離に基づいて)調整される。なお、図20では、第1導体70および第2導体80の図示は、簡略化のため省略している。
また、第2絶縁部材21の長さL12が第1絶縁部材20の長さL11よりも小さいので、図21に示すように、第1絶縁部材20は、径方向から見て、第2絶縁部材21にオーバラップする部分20fと、オーバラップしない部分20bとを含む。具体的には、スロット12内における中心軸線方向の端部(端面10a)近傍において、第1絶縁部材20は、第2絶縁部材21にオーバラップしている。そして、第1絶縁部材20の第2絶縁部材21にオーバラップする部分20fの厚みt11は、第1絶縁部材20の第2絶縁部材21にオーバラップしない部分20bの厚みt12よりも小さい。
また、第2絶縁部材21の厚みt13は、厚みt11よりも小さい。また、厚みt12は、厚みt11に固定層20cの厚みt7の2枚分(t7×2)を加えたものである。
また、第2絶縁部材21は、第1絶縁部材20の固定層20cよりも軸方向の他方側(Z2方向側)で、かつ、接合部90同士の径方向の間に配置され、接合部90同士を絶縁するように構成されている。具体的には、固定層20cは、絶縁層20aのうちの第2絶縁部材21と径方向に見てオーバラップしない部分20bに重ねて設けられている。また、絶縁層20aは、第2絶縁部材21と、径方向に見てオーバラップする部分20fに配置されている。
(ステータの製造装置)
次に、図22を参照して、ステータ100の製造装置200について説明する。ステータ100の製造装置200は、押圧治具201を備えている。押圧治具201は、複数のスロット12に配置された第1導体70の第1脚部71と第2導体80の第2脚部81とを、複数のスロット12毎に径方向に独立して押圧するように構成されている。具体的には、押圧治具201は、複数のスロット12毎に配置され、径方向に移動可能に構成されている。また、押圧治具201は、複数のスロット12に対応するように複数(スロット12の数と同数)設けられており、複数の押圧治具201毎に、独立して径方向に移動可能に構成されている。なお、押圧治具201は、特許請求の範囲の「押圧部材」の一例である。
また、ステータ100の製造装置200は、複数のスロット12毎に独立して押圧治具201を移動させる移動機構部202を備える。移動機構部202は、複数の押圧治具201毎に設けられており、複数の押圧治具201毎に径方向の移動量を調整可能に構成されている。移動機構部202は、たとえば、アクチュエータからなる。
また、図12に示すように、ステータ100の製造装置200は、接着層加熱部203を備える。接着層加熱部203は、ステータコア10よりも径方向内側または径方向外側の少なくとも一方(好ましくは、両方)に配置され、誘導加熱(IH:Induction Heating)を行うことが可能に構成されている。そして、接着層加熱部203は、第1絶縁部材20の固定層20cを発泡温度T1よりも高く、かつ、硬化温度T2よりも高い温度に(室温から)加熱するように構成されている。なお、接着層加熱部203は、誘導加熱を用いることにより、一般的な加熱炉に比べて、所望の温度上昇率(比較的高い温度上昇率)で固定層20cを加熱させることが可能である。また、接合部90は、押圧治具201に押圧された状態で、加熱炉に配置されることにより、加熱される。
また、図23に示すように、ステータ100の製造装置200は、単一の規制治具204を備える。図24に示すように、規制治具204は、円環形状を有する。規制治具204は、ステータコア10の端面10bにおいて、第2導体80に対して径方向内側に配置されている。なお、規制治具204と固定層20c(図15参照)との接着を防止するために、規制治具204と固定層20c(図15参照)との間に非接着性の部材(たとえばフッ素樹脂製の部材)を配置してもよい。また、規制治具204は、特許請求の範囲の「規制部材」の一例である。
次に、図25および図26を参照して、ステータ100の製造方法について説明する。
(セグメント導体を準備する工程)
まず、図25に示すように、ステップS1において、複数のセグメント導体40が準備される。具体的には、Y結線されたコイル部30の各相の動力線接続端部Ptを構成する動力導体50と、コイル部30の各相の中性点接続端部Ntを構成する中性点導体60と、コイル部30のその他の部分を構成する第1導体70および第2導体80とが準備される。
たとえば、図6に示すように、銅等の導電性材料からなる平角状の導体表面40bに、ポリイミド等の絶縁材料からなる絶縁被膜40aが形成(コーティング)される。その後、絶縁被膜40aが形成された導体(平角導線)が成形冶具(図示せず)により成形されることにより、第1導体70(図7)、第2導体80(図8)、動力導体50の一部または中性点導体60の一部を構成する第2脚部81(図9〜図11)が形成される。
(第1コイルアッセンブリおよび第2コイルアッセンブリの形成)
次に、図25に示すように、ステップS2において、複数のセグメント導体40からなる円環状の第1コイルアッセンブリ30a(図2参照)および第2コイルアッセンブリ30b(図2参照)が形成される。第1コイルアッセンブリ30aおよび第2コイルアッセンブリ30bは、セグメント導体40が径方向に複数(たとえば、8個)並列した状態で、かつ、周方向にスロット12の数分並列した状態に、形成される。第2コイルアッセンブリ30bには、動力導体50および中性点導体60が配置されている。
(第1絶縁部材をスロットに配置する工程)
次に、ステップS3において、スロット12とコイル部30とを絶縁するためのシート状の第1絶縁部材20がスロット12に挿入される。
(第2導体をスロットに配置する工程)
次に、ステップS4において、複数のセグメント導体40のうちのステータコア10の中心軸線方向の一方側(Z1方向側)に配置される複数の第2導体80の第2脚部81が、ステータコア10の中心軸線方向の一方側(Z1方向側)からステータコア10のスロット12に挿入される。これにより、複数の第2導体80が、ステータコア10の中心軸線方向の一方側(Z1方向側)に配置される。
(第2絶縁部材を配置する工程)
次に、ステップS5において、複数の第2導体80をスロット12に配置した後に、複数の第2導体80のうち、1つのスロット12において径方向に隣接する第2導体80の第2脚部81の間に、シート状の第2絶縁部材21を配置する。
(第1導体をスロットに配置する工程)
次に、ステップS6において、複数の第1導体70を、ステータコア10の中心軸線方向の他方側(Z2方向側)からステータコア10に対して相対的に移動させる。これにより、第1導体70の第1脚部71がスロット12内に挿入される。これにより、複数の第1導体70が、ステータコア10の中心軸線方向の他方側(Z2方向側)に配置される。この際、第1脚部71の第1面71aと、第2脚部81の第2面81aとが、スロット12内において径方向に対向するように、複数の第1導体70が配置される。
また、全てのスロット12内において、第1脚部71の第1面71aが設けられる第1面配置部71bと、第2脚部81の第2面81aが設けられる第2面配置部81bとが交互に配置されるように、複数の第1導体70の各々の第1脚部71と、複数の第2導体80の各々の第2脚部81とが、複数のスロット12の各々に配置される。このとき、第1導体70の第1脚部71を挿入する際に、径方向内側に第1脚部71を倒したり、または、第1脚部71を径方向外側にずらして挿入することにより、第1脚部71と第2脚部81との干渉を容易に回避することができる。
(ステータコアと第2脚部との接着および第1脚部と第2脚部との接合を行う工程)
次に、ステップS7において、固定層20cにより、ステータコア10と第2脚部81との接着が行われ、径方向に複数のセグメント導体40が押圧されることにより、第1脚部71の第1面71aと第2脚部81の第2面81aとの接合が行われる。
ここで、第1実施形態では、ステータ100の製造方法は、第2導体80の第2面配置部81b(図14参照)以外の部分82a(図23参照)の径方向における移動が規制された状態で、第1面配置部71b(図14参照)および第2面配置部81bを径方向に押圧することによって、第1面71aと第2面81aとを接合する工程を備える。なお、第1面71aと第2面81aとを接合する工程は、第1面配置部71b(図14参照)および第2面配置部81bを径方向に押圧することによって、第1面71aと第2面81aとの間に設けられる導電性接着剤91を押圧する工程を含む。
具体的には、複数の第2コイルエンド部82の各々の部分82aの径方向における移動が規制された状態で、径方向から見て互いにオーバラップするように設けられている、複数の第1脚部71の各々の第1面配置部71bと、複数の第2脚部81の各々の第2面配置部81bとを径方向内側から押圧する(図22参照)ことによって、互いに対向する複数組の第1面71aと第2面81aとが接合される。なお、部分82aとは、規制治具204が端面10bに配置されている状態で、規制治具204の外周面204a(図23参照)と径方向に対向する第2コイルエンド部82の部分である。
具体的には、部分82aは、外周面204aのうち、複数のスロット12と同位相の部分である複数の部分204b(図23参照)と、径方向に対向するように設けられている。言い換えると、部分82aは、規制治具204が端面10bに配置されている状態で、外周面204a(部分204b)と中心軸線方向における位置が同じ部分である。なお、部分82aおよび部分204bは、それぞれ、特許請求の範囲の「第2部分」および「規制部分」の一例である。
詳細には、図26に示すように、ステップS71において、円環形状の単一の規制治具204がステータコア10の端面10bに配置(図23参照)される。規制治具204は、コイル部30に対して径方向内側に設けられる。これにより、複数のスロット12において、規制治具204の外周面204a(部分204b)により、複数の部分82aの径方向内側への移動が一斉に規制される。
この場合、複数のスロット12の各々では、径方向から見て互いにオーバラップするように設けられる複数の部分82aの移動が規制された状態で、第1面配置部71bおよび第2面配置部81bが径方向に押圧されることによって、第1面71aと第2面81aとが接合される。
また、規制治具204が端面10bに配置された状態(第1面配置部71bおよび第2面配置部81bにおける押圧が行われていない状態)で、(最内径側の)第2コイルエンド部82の部分82aに対して径方向に離間した位置で、部分82aの径方向における移動が規制されている。
ここで、シート状の第1絶縁部材20の端部20g(図4参照)同士が、スロット12のコイル部30(第1脚部71および第2脚部81)の径方向内側において互いに径方向に重なり合うように設けられることにより、コイル部30(第1脚部71および第2脚部81)を径方向内側から覆う径方向内側部分20h(図4参照)が設けられている。そして、図23に示すように、径方向内側部分20hのうち、中心軸線方向において部分82aに対応する部分20iの径方向における移動が規制される。なお、部分20iは、規制治具204が端面10bに配置されている状態で、外周面204a(部分204b)および第2コイルエンド部82の部分82aと、径方向において対向する位置に設けられている。言い換えると、部分20iは、外周面204a(部分204b)および部分82aと、中心軸線方向における位置が同じ部分である。
具体的には、規制治具204が端面10bに配置された状態(第1面配置部71bおよび第2面配置部81bにおける押圧が行われていない状態)で、規制治具204の外周面204a(部分204b)と、径方向内側部分20hの部分20iとは、径方向において所定の大きさ(長さL9)だけ離間している。
なお、上記の説明では、第2コイルエンド部82の部分82aの移動が規制されている例を記載したが、第1導体70の第1面配置部71b以外の部分72a(図13参照)(および部分72aに対応する径方向内側部分20hに対応する部分、符号なし)の径方向における移動が規制されていてもよい。また、部分82aと部分72aとの両方の移動が規制されていてもよい。なお、部分72aは、第1コイルエンド部72の一部分である。また、部分72aは、特許請求の範囲の「第1部分」の一例である。
また、部分82aの移動を規制する工程(規制治具204を配置する工程)は、後述する、第1面配置部71bおよび第2面配置部81bを径方向に押圧する工程の前に行われる。なお、部分82aの移動を規制する工程(規制治具204を配置する工程)は、第1面配置部71bおよび第2面配置部81bを径方向に押圧する工程と同時に行われてもよい。
次に、ステップS72において、接着層加熱部203により、所定の温度上昇率で、ステータコア10の全体を略均一に加熱することにより、第1絶縁部材20の固定層20cが加熱される。これにより、固定層20cに含まれる発泡剤20dが発泡(膨張)されることにより体積が増大する。その結果、固定層20cの厚みがt6(図16参照)からt7(図17参照)に大きくなる。また、固定層20cに含まれる熱硬化性樹脂20eが熱硬化することにより、第2脚部81とステータコア10(壁部11aおよび周方向側面13a)とが接着される。
次に、ステップS73において、第1脚部71(第1面71a)と第2脚部81(第2面81a)との接合が行われる。すなわち、第1実施形態では、第1脚部71(第1面71a)と第2脚部81(第2面81a)との接合の工程は、規制治具204による部分82aの移動の規制の工程の後(規制治具204を端面10bに配置した後)に行われる。具体的には、第2コイルエンド部82の部分82aの移動が規制治具204により径方向内側から規制された状態で、コイル部30の径方向内側に設けられる押圧治具201により、複数の第1面配置部71bおよび複数の第2面配置部81bが径方向に押圧される。
この場合、第1絶縁部材20の径方向内側部分20hのうち、第1面配置部71bおよび第2面配置部81bに対応する部分20j(図12参照)が、押圧治具201により径方向内側から押圧される。これにより、スロット12内において径方向に並んで配置される複数の第1面配置部71bおよび複数の第2面配置部81bに、径方向内側部分20hの部分20jを介して、押圧治具201からの押圧力がかかる。詳細には、複数の押圧治具201が、一斉に径方向外側に移動することにより、第1面71aおよび第2面81aとの接合が複数のスロット12において一斉に行われる。なお、部分20jとは、径方向内側部分20hのうち、第1面配置部71bおよび第2面配置部81bと径方向に対向する部分である。
なお、第1面71aと第2面81aとを接合する工程は、第1面配置部71bおよび第2面配置部81bを径方向に押圧する工程に加えて、第1面配置部71bおよび第2面配置部81bを加熱することによって導電性接着剤91を加熱する工程を含む。具体的には、第1脚部71(第1面配置部71b)と第2脚部81(第2面配置部81b)とは、加熱炉内において加熱された状態で、複数のスロット12毎に押圧治具201により径方向に押圧(加圧)される。すなわち、導電性接着剤91は、加熱されながら押圧治具201により押圧される。これにより、第1面71aと第2面81aとが導電性接着剤91(たとえば、銀ナノペースト)により、電気的および機械的に接合される。その結果、スロット12内で、動力導体50の第2脚部81および中性点導体60の第2脚部81と、第1導体70の第1脚部71とが接合される。その結果、波巻き状のコイル部30が形成される。
また、第1実施形態では、ステータコア10の中心軸線方向の軸方向中心C2に対して、ステータコア10の一方端側(端面10b側(Z1方向側))に設けられる部分82aの径方向における移動が規制された状態で、ステータコア10の中心軸線方向の軸方向中心C2に対して、ステータコア10の他方端側(端面10a側(Z2方向側))に設けられる第1面配置部71bおよび第2面配置部81b(部分20j)が径方向内側から押圧される。
具体的には、中心軸線方向においてステータコア10の端面10bの近傍に位置する部分82aの移動が、規制治具204により規制された状態で、中心軸線方向においてステータコア10の端面10aの近傍に位置する第1面配置部71bおよび第2面配置部81b(部分20j)が、押圧治具201により径方向内側から押圧される。
ここで、押圧治具201により第1面配置部71bおよび第2面配置部81b(部分20j)に押圧力が加わったことによって、複数の第2コイルエンド部82(部分82a)が、径方向内側に移動される場合がある。この場合、第1絶縁部材20の部分20iが、規制治具204の外周面204a(部分204b)に当接することにより、第2コイルエンド部82(部分82a)の径方向内側への移動が停止される。すなわち、規制治具204自体は径方向に移動せずに、第2コイルエンド部82(部分82a)の移動が規制治具204により規制される。言い換えると、規制治具204は、第2コイルエンド部82(部分82a)に押圧力を加えることなく、第2コイルエンド部82(部分82a)の移動を規制している。
この場合、第2コイルエンド部82(部分82a)には、規制治具204の外周面204a(部分204b)からの反発力がかかる。なお、規制治具204の外周面204a(部分204b)から第2コイルエンド部82(部分82a)に加えられる反発力は、押圧治具201による押圧力に比べて小さい。
[第2実施形態]
次に、図27を参照して、第2実施形態によるステータ100の製造方法について説明する。第2実施形態のステータ100の製造方法では、規制治具204により、第2コイルエンド部82の部分82aに対して径方向に離間した位置で部分82aの移動を規制する上記第1実施形態とは異なり、部分82aを径方向に押圧することにより、部分82aの径方向の移動を規制する。なお、上記第1実施形態と同様の構成は、第1実施形態と同じ符号を付して図示するとともに説明を省略する。
(ステータの製造装置)
次に、図27を参照して、ステータ100の製造装置300について説明する。ステータ100の製造装置300は、複数の押圧治具301を備えている。
図27に示すように、部分82aは、ステータ100の製造装置300に備えられる複数の押圧治具301により、径方向内側から押圧される。複数の押圧治具301は、図示しない移動機構により径方向に個別に移動可能に構成されている。また、押圧治具301は、特許請求の範囲の「規制部材」の一例である。
次に、図28および図29を参照して、ステータ100の製造方法について説明する。
(ステータコアと第2脚部との接着および第1脚部と第2脚部との接合を行う工程)
図28に示すように、ステップS17において、固定層20cにより、ステータコア10と第2脚部81とが接着される。また、径方向に複数のセグメント導体40が押圧されることにより、第1脚部71の第1面71aと第2脚部81の第2面81aとが接合される。
具体的には、図29に示すように、ステップS171において、複数の押圧治具301(図27参照)が一斉に径方向外側に移動される。これにより、第2コイルエンド部82の部分82aが、押圧治具301により径方向内側から押圧される。その結果、第2コイルエンド部82の部分82aの径方向の移動が規制される。
なお、この場合、部分82aは、押圧治具201(図22参照)により第1面配置部71bおよび第2面配置部81b(図13参照)が押圧される力よりも小さい押圧力によって、押圧治具301により径方向に押圧される。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
[第3実施形態]
次に、図30を参照して、第3実施形態によるステータ100の製造方法について説明する。第3実施形態のステータ100の製造方法では、第2コイルエンド部82の部分82aの移動を規制する上記第1実施形態とは異なり、第2脚部81の一部の移動を規制する。なお、上記第1実施形態と同様の構成は、第1実施形態と同じ符号を付して図示するとともに説明を省略する。
(ステータの製造装置)
次に、図30を参照して、ステータ100の製造装置400について説明する。ステータ100の製造装置400は、単一の規制治具401を備えている。なお、規制治具401は、特許請求の範囲の「規制部材」の一例である。
ここで、第3実施形態では、スロット12内に挿入された第2脚部81に設けられる部分81jの径方向における移動が、規制治具401により規制される。なお、部分81jは、特許請求の範囲の「第2部分」の一例である。
図30に示すように、規制治具401は、円環状の板状部分401aを含む。また、規制治具401は、規制治具401がステータコア10の端面10bに配置された状態で、板状部分401aから複数のスロット12の各々に向かって突出する突出部分401bを含む。なお、突出部分401bは、特許請求の範囲の「規制部分」の一例である。
すなわち、第3実施形態では、複数の突出部分401bの各々によって、複数のスロット12の各々に設けられる部分81jの径方向に移動が、複数のスロット12において一斉に規制されている。なお、規制治具401が端面10bに配置された状態(第1面配置部71bおよび第2面配置部81bにおける押圧がされていない状態)で、規制治具401の突出部分401bの先端部401cと、径方向内側部分20hの部分20iとは、径方向において所定の大きさ(長さL10)だけ離間している。
なお、上記では、第2脚部81の部分81jの移動が規制されている例を記載したが、これに限られない。たとえば、第1脚部71の部分71j(図13参照)の径方向の移動を規制してもよい。なお、図13では、部分71jを、第1面配置部71bの一部として図示したが、これに限られない。また、部分71jは、特許請求の範囲の「第1部分」の一例である。
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
[第4実施形態]
次に、図1、図3、図4、図22、図24、および、図31〜図39を参照して、第4実施形態によるステータ500の製造方法について説明する。第4実施形態のステータ500の製造方法では、部分82aのみの移動が規制されている上記第1実施形態とは異なり、部分172aおよび部分182aの2点の移動が規制されている。なお、上記第1実施形態と同様の構成は、第1実施形態と同じ符号を付して図示するとともに説明を省略する。
[ステータの構造]
図1、図3、図4、および、図31〜図38を参照して、第4実施形態によるステータ500の構造について説明する。なお、ステータ500は、特許請求の範囲の「電機子」の一例である。
図1に示すように、ステータ500は、ロータ101と共に、回転電機502の一部を構成する。また、図31に示すように、ステータ500は、シート状の絶縁部材121と、コイル部130(図1参照)とを備える。また、コイル部130は、第1コイルアッセンブリ130a(反リード側コイル)(図35参照)と第2コイルアッセンブリ130b(リード側コイル)(図35参照)とを含む。また、コイル部130は、複数のセグメント導体140(図32参照)からなる。
(セグメント導体の構造)
図32に示すように、セグメント導体140のうち、後述する第1脚部171(第2脚部181)は、絶縁被膜により被覆されずに導体表面140bが露出(図34(A)参照)している。なお、図32では、後述する第1導体170についてのみ図示しているが、第2導体180についても同様であるので図示は省略する。また、導体表面140bは、特許請求の範囲の「金属表面」の一例である。
〈第1導体および第2導体の構造〉
図33(A)と図33(B)、および、図34(A)と図34(B)に示すように、複数のセグメント導体140は、ステータコア10の軸方向の一方側(Z2方向側)に配置される複数の第1導体170と、ステータコア10の軸方向の他方側(Z1方向側)に配置される複数の第2導体180とを含む。また、第1導体170は、軸方向の長さL31を有する第1脚部171を含む。また、第2導体180は、軸方向に長さL32を有する第2脚部181を含む。なお、第1脚部171の長さL31と、第2脚部181の長さL32とは、略等しい。
また、図35に示すように、ステータ500は、複数のスロット12の各々において、コイル部130とスロット12の開口部12a(凸部13b)との間に挟まれるように設けられるばね部材210を備える。すなわち、ばね部材210は、スロット12内の径方向内側に設けられる先端隙12bに設けられている。なお、ばね部材210は、特許請求の範囲の「弾性部材」および「押圧部材」の一例である。
ばね部材210は、第1導体170の第1脚部171の第1面171aと、第2導体180の第2脚部181の第2面181aとが接触するように、コイル部130を径方向内側から押圧するように構成されている。第1脚部171の第1面171aと、第2脚部181の第2面181aとが接触することにより接触部190が形成されている。
第1面171aおよび第2面181aは、第1面171aと第2面181aとの間に結合材を介さずに、ばね部材210により押圧されることにより互いに接触されている。すなわち、第1面171aと第2面181aとは接合されておらず、第1面171aと第2面181aとの接触状態は、ばね部材210による押圧力によって維持されている。
また、複数の接触部190の各々は、スロット12内において、ステータコア10の中心軸線方向における中央部に配置されている。また、ばね部材210も、ステータコア10の中心軸線方向における中央部に配置されている。具体的には、ばね部材210は、径方向から見て、複数の接触部190の各々とオーバラップするように設けられている。
また、第1面171aおよび第2面181aの各々は、メッキ処理されている。すなわち、メッキ処理された面同士(第1面171aおよび第2面181a)が接触されている。
また、メッキ処理においては、たとえば、Ni、Ag、Au、および、Sn等の金属が用いられる。なお、上記の金属のうちの複数の金属(たとえば、NiとAg)を用いてメッキ処理を行ってもよい。
図36に示すように、第1脚部171は、第1面配置部171bと、先端部171cと、第1脚部本体部171dと、第1段差部171eと、を含む。第1段差部171eと、第2脚部181の先端部181cとの間には、隙間部171fが設けられている。
また、第2脚部181は、第2面配置部181bと、先端部181cと、第2脚部本体部181dと、第2段差部181eと、を含む。第2段差部181eと、第1脚部171の先端部171cとの間には、隙間部181fが設けられている。
また、第1面配置部171bおよび第2面配置部181bは、ステータコア10の中心軸線方向の中央部P3(図35参照)に設けられている。
また、図37に示すように、シート状の絶縁部材121は、1つのスロット12において径方向に隣接するコイル間における、導体表面140b(図32参照)が露出した第1脚部171と導体表面140bが露出した第2脚部181とが結合材を介さずに接触された接触部190同士を絶縁するように設けられている。具体的には、絶縁部材121は、スロット12内において径方向に複数(第4実施形態では8つ)配列されているコイル(互いに接触する第1脚部171と第2脚部181との組)同士の間のそれぞれに設けられている。
詳細には、絶縁部材121は、たとえば、ノーメックスなどの1枚のシート状の絶縁部材が折りたたまれて形成されている。そして、絶縁部材121は、径方向に隣り合う接触部190の対向面190aを覆う対向面絶縁部分121aと、対向面絶縁部分121aの周方向の両端部から連続し、かつ、径方向に隣り合う接触部190の周方向面190bのうちのいずれか一方を少なくとも絶縁距離分覆う周方向面絶縁部分121bとを含む。なお、接触部190の対向面190aとは、径方向に隣り合う接触部190の互いに対向する径方向外側の面および径方向内側の面を意味する。また、絶縁距離とは、周方向面絶縁部分121bの径方向に沿った長さであるとともに、径方向に隣り合う接触部190同士を絶縁するために十分な距離(沿面距離)を意味する。また、周方向面190bとは、接触部190のうち、周方向と交差する面を意味する。言い換えると、周方向面190bとは、径方向および軸方向に延びる面を意味する。
また、絶縁部材121は、径方向に隣り合うように配置される一対の対向面絶縁部分121aのうちの径方向外側の対向面絶縁部分121aと、周方向の一方側に設けられる周方向面絶縁部分121bと、一対の対向面絶縁部分121aのうちの径方向内側の対向面絶縁部分121aと、周方向の他方側に設けられる周方向面絶縁部分121bとが連続するように形成されている接触部絶縁部分121cを含む。
また、ステータ500は、スロット12とコイル部130との間に設けられ、接触部絶縁部分121cと一体的に形成されているコア脚部絶縁部分122を備える。すなわち、コア脚部絶縁部分122は、接触部絶縁部分121cと同様にシート状であるとともに、接触部絶縁部分121cと同じ材質により形成されている。また、接触部絶縁部分121cとコア脚部絶縁部分122とは等しい大きさの厚み(図示せず)を有している。また、接触部絶縁部分121cとコア脚部絶縁部分122とは、中心軸線方向において等しい長さを有する。
具体的には、コア脚部絶縁部分122は、最外径の対向面絶縁部分121aと連続するとともに、スロット12の周方向の一方側(図37では左側)において、スロット12(周方向側面13a)とコイル部130(周方向面190b)との間に設けられる一方側絶縁部分122aを有する。また、コア脚部絶縁部分122は、最内径の対向面絶縁部分121aと連続するとともに、スロット12の周方向の他方側(図37では右側)において、スロット12(周方向側面13a)とコイル部130(周方向面190b)との間に設けられる他方側絶縁部分122bを有する。
詳細には、一方側絶縁部分122a(他方側絶縁部分122b)は、スロット12の周方向側面13aとコイル部130の周方向面190bとにより挟まれる部分と、スロット12の周方向側面13aとコイル部130の周方向面190bを覆う周方向面絶縁部分121bとにより挟まれる部分とが、径方向に沿って交互に存在する。
また、一方側絶縁部分122aは、スロット12内のコイル部130の径方向外側の端部230aから径方向内側の端部230bまで(端部230bに亘るように)延びている。また、他方側絶縁部分122bは、スロット12内のコイル部130の径方向内側の端部230bから径方向外側の端部230aまで(端部230aに亘るように)延びている。すなわち、スロット12内のコイル部130は、最外径の対向面絶縁部分121aと、最内径の対向面絶縁部分121aと、一方側絶縁部分122aと、他方側絶縁部分122bとにより取り囲まれるように設けられている。
また、コア脚部絶縁部分122は、一方側絶縁部分122aと連続するとともに、最内径の対向面絶縁部分121aを径方向内側から覆うように設けられる径方向内側絶縁部分122cを含む。また、コア脚部絶縁部分122は、他方側絶縁部分122bと連続するとともに、最外径の対向面絶縁部分121aを径方向外側から覆うように設けられる径方向外側絶縁部分122dを有する。
具体的には、径方向内側絶縁部分122cは、最内径の対向面絶縁部分121aとばね部材210とにより挟まれるように設けられている。すなわち、コイル部130とばね部材210とは、最内径の対向面絶縁部分121aと径方向内側絶縁部分122cとにより絶縁されている。また、径方向外側絶縁部分122dは、最外径の対向面絶縁部分121aとスロット12の壁部11aとにより挟まれるように設けられている。すなわち、コイル部130とスロット12の壁部11a(ステータコア10)とは、最外径の対向面絶縁部分121aと径方向外側絶縁部分122dとにより絶縁されている。
また、径方向内側絶縁部分122cは、周方向において長さL41を有する。また、径方向外側絶縁部分122dは、周方向において長さL42を有する。径方向内側絶縁部分122cの長さL41、および、径方向外側絶縁部分122dの長さL42の各々は、たとえばスロット12の幅W2(図3参照)の1/2よりも大きい。
また、図35に示すように、接触部絶縁部分121cおよびコア脚部絶縁部分122の各々は、中心軸線方向における両側の縁部が、ステータコア10の中心軸線方向の端面(10a、10b)から外側に突出するように配置されている。これにより、接触部絶縁部分121cおよびコア脚部絶縁部分122の各々は、中心軸線方向において、スロット12の全体に渡って設けられている。
また、図38に示すように、コア脚部絶縁部分122は、絶縁層123aと、熱によって発泡する発泡剤123cを含み、発泡剤123cが発泡することによって膨張することにより第1脚部171および第2脚部181の各々をステータコア10に対して少なくとも中心軸線方向に固定する固定層123bと、を含む。コア脚部絶縁部分122の固定層123bは、第1脚部171および第2脚部181の各々とステータコア10とを接着して固定するように構成されている。固定層123bは、絶縁層123aの両面に設けられている。固定層123bは、加熱された際に、熱硬化性樹脂123dが硬化する。これにより、第1脚部171および第2脚部181の各々を固定するのにワニス等を用いる必要がない。また、図38では、コア脚部絶縁部分122を強調して図示するために、実際よりも大きい厚みを有しているように図示している。また、図38では、ステータコア10等の図示は、簡略化のため省略している。なお、絶縁層123aおよび固定層123bは、それぞれ、上記第1実施形態の絶縁層20aおよび固定層20cと同一の構成(素材)であるので、詳細な説明は省略する。また、図示は省略するが、接触部絶縁部分121cもコア脚部絶縁部分122と同様の構成(組成)を有している。
(ステータの製造装置)
次に、図22、図24、および図35を参照して、ステータ500の製造装置600について説明する。
図示は省略するが、ステータ500の製造装置600は、上記第1実施形態の押圧治具201(図22参照)と同様の構成および用途を有する押圧治具を備えている。
また、図35に示すように、ステータ500の製造装置600は、接着層加熱部603を備える。
また、ステータ500の製造装置600は、規制治具604と、規制治具605とを備える。規制治具604および規制治具605の各々は、上記第1実施形態の規制治具204(図24参照)と同様に円環形状を有する。規制治具604は、ステータコア10の端面10aにおいて、第1導体170(第1コイルエンド部172)に対して径方向内側に配置されている。規制治具605は、ステータコア10の端面10bにおいて、第2導体180(第2コイルエンド部182)に対して径方向内側に配置されている。なお、第1コイルエンド部172および第2コイルエンド部182が互いに同一の形状を有している場合は、規制治具604の外径と規制治具605の外径とは略等しい。また、第1コイルエンド部172および第2コイルエンド部182が互いに異なる形状を有している場合は、規制治具604の外径と規制治具605の外径とが互いに異なっていてもよい。なお、規制治具604および規制治具605は、互いに別個の部材である。また、規制治具604および規制治具605の各々は、特許請求の範囲の「規制部材」の一例である。
規制治具604には、端面10aから突出しているコア脚部絶縁部分122(固定層123b)との接触(接着)を防止するために、端面10a側(Z1方向側)の径方向外側に逃げ部604aが設けられている。また、規制治具605には、端面10bから突出しているコア脚部絶縁部分122(固定層123b)との接触(接着)を防止するために、端面10b側(Z2方向側)の径方向外側に逃げ部605aが設けられている。
規制治具604は、端面10aに配置されている状態において、第1導体170の第1コイルエンド部172と接触している。すなわち、第1コイルエンド部172は、規制治具604から一定の力(ばね部材210により第1面配置部171bおよび第2面配置部181bを押圧する力よりも小さい力)で押圧されている。なお、第1コイルエンド部172は、規制治具604と当接しているだけであって、規制治具604から受ける押圧力がゼロの場合もある。また、規制治具604は、各スロット12に対応する第1コイルエンド部172と接触する複数(スロット12の個数と同数)の部分604bを含む。なお、部分604bは、特許請求の範囲の「規制部分」の一例である。
また、規制治具605は、端面10bに配置されている状態において、第2導体180の第2コイルエンド部182と接触している。すなわち、第2コイルエンド部182は、規制治具605から一定の力(ばね部材210により第1面配置部171bおよび第2面配置部181bを押圧する力よりも小さい力)で押圧されている。なお、第2コイルエンド部182は、規制治具605と当接しているだけであって、規制治具605から受ける押圧力がゼロの場合もある。また、規制治具605は、各スロット12に対応する第2コイルエンド部182と接触する複数(スロット12の個数と同数)の部分605bを含む。なお、部分605bは、特許請求の範囲の「規制部分」の一例である。
次に、図32、図35、および、図37〜図39を参照して、ステータ500の製造方法について説明する。
(セグメント導体を準備する工程)
まず、図39に示すように、ステップS21において、複数のセグメント導体140が準備される。具体的には、第1脚部171(第2脚部181)には絶縁被膜が形成されず導体表面140bが露出する(図32参照)ように、第1導体170(第2導体180)が形成(準備)される。
(第1コイルアッセンブリおよび第2コイルアッセンブリの形成)
次に、ステップS22において、複数のセグメント導体140からなる円環状の第1コイルアッセンブリ130a(図35参照)および第2コイルアッセンブリ130b(図35参照)が形成される。
(絶縁部材およびコア脚部絶縁部分をスロットに配置する工程)
次に、ステップS23において、絶縁部材121(接触部絶縁部分121c)とコア脚部絶縁部分122とが一体的にスロット12内に挿入(配置)される。
(第2導体をスロットに配置する工程)
次に、ステップS24において、複数のセグメント導体140のうちのステータコア10の中心軸線方向の一方側(Z1方向側)に配置される複数の第2導体180の第2脚部181が、ステータコア10の中心軸線方向の一方側(Z1方向側)からステータコア10のスロット12に挿入される。これにより、複数の第2導体180が、ステータコア10の中心軸線方向の一方側(Z1方向側)に配置される。
(第1導体をスロットに配置する工程)
次に、ステップS25において、複数の第1導体170を、ステータコア10の中心軸線方向の他方側(Z2方向側)からステータコア10に対して相対的に移動させる。これにより、第1導体170の第1脚部171がスロット12内に挿入される。これにより、複数の第1導体170が、ステータコア10の中心軸線方向の他方側(Z2方向側)に配置される。この際、第1脚部171の第1面171aと、第2脚部181の第2面181aとが、スロット12内において径方向に対向するように、複数の第1導体170が配置される。
(第1導体および第2導体の移動を規制する工程)
次に、ステップS26において、第1導体170および第2導体180の移動を規制する工程が行われる。具体的には、ステップS26では、部分172a(図35参照)および部分182a(図35参照)の径方向における移動を規制する工程が行われる。部分172aとは、第1コイルエンド部172に設けられ、規制治具604と接触している部分である。また、部分182aとは、第2コイルエンド部182に設けられ、規制治具605と接触している部分である。なお、部分172aおよび部分182aは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1部分」および「第2部分」の一例である。
具体的には、部分172aおよび部分182aの径方向における移動を規制する工程は、ステータコア10の端面10aに規制治具604(図35参照)を配置するとともに、ステータコア10の端面10bに規制治具605(図35参照)を配置する工程である。
(第1面および第2面を平坦化する工程)
次に、第4実施形態では、ステップS27において、第1面171aおよび第2面181aを平坦化する工程が行われる。
具体的には、ステップS27では、部分172aおよび部分182aの各々の径方向における移動が規制された状態で、第1面配置部171bおよび第2面配置部181bを径方向から押圧するとともに第1面171aおよび第2面181aを互いに押し付け合わせることによって、第1面171aおよび第2面181aを平坦化させる工程が行われる。詳細には、上述した押圧治具(図示せず)により、複数のスロット12の各々において、第1面配置部171bおよび第2面配置部181bが径方向内側から押圧されることによって、第1面171aおよび第2面181aが互いに押し付け合わせられる。これにより、第1面171aおよび第2面181aの各々に形成されている微小な凹凸が除去される。その結果、第1面171aおよび第2面181aの接触面積が増加される。
(第1脚部と第2脚部との接合を行う工程)
次に、第4実施形態では、ステップS28において、第1面171a(第1脚部171)と第2面181a(第2脚部181)とを接合する工程が行われる。
具体的には、ステップS28の工程は、ステータコア10の中心軸線方向の一方端側(端面10a側)に設けられる部分172a(図35参照)の径方向における移動が規制されるとともに、ステータコア10の中心軸線方向の他方端側(端面10b側)に設けられる部分182a(図35参照)の径方向における移動が規制された状態で、ステータコア10の中心軸線方向の中央部P3に設けられる第1面配置部171bおよび第2面配置部181bを径方向から押圧することによって、第1面171aと第2面181aとを接合する工程である。詳細には、この工程では、ステータコア10の端面10aに規制治具604(図35参照)が配置されるとともに端面10bに規制治具605(図35参照)が配置された状態で、第1面配置部171bおよび第2面配置部181bが径方向から押圧される。
また、第1面171aと第2面181aとを接合する工程(ステップS28)は、部分172aおよび部分182aの各々の径方向における移動を規制する工程の後に、絶縁被膜が形成されず導体表面140b(図32参照)が露出する第1脚部171の第1面配置部171b、および、絶縁被膜が形成されず導体表面140bが露出する第2脚部181の第2面配置部181bを径方向から押圧することによって、第1面171aと第2面181aとを結合材を介さずに互いに接触させる工程である。
また、第4実施形態では、第1面171aと第2面181aとを接合する工程(ステップS28)は、部分172aおよび部分182aの各々の径方向における移動が規制された状態で、第1面配置部171bおよび第2面配置部181bの径方向内側のスロット12内にばね部材210(図37参照)を配置するとともにばね部材210の付勢力により第1面配置部171bおよび第2面配置部181bを径方向から押圧することによって、第1面171aと第2面181aとを接触させる工程である。この工程では、ばね部材210は、撓ませられながらスロット12の開口部12aを介して、スロット12内(先端隙12b(図37参照))に挿入される。そして、ばね部材210は、一定量だけ撓んだ状態で先端隙12bにおいて保持される。なお、ばね部材210は、規制治具604および605が配置される前に、スロット12に挿入されてもよい。
また、第1面171aと第2面181aとを接合する工程(ステップS28)は、第1面171aおよび第2面181aを平坦化させる工程(ステップS27)における部分172aおよび部分182aの各々の規制状態を維持したまま、第1面配置部171bおよび第2面配置部181bを径方向から押圧することによって、第1面171aと第2面181aとを結合材を介さずに互いに接触させる工程である。具体的には、部分172aおよび部分182aを規制する工程(ステップS26)において配置された規制治具604および605を取り外すことなく(端面10aおよび10bに配置したまま)、部分172aおよび部分182aを平坦化する工程(ステップS27)、および、第1面171aと第2面181aとを接合する工程(ステップS28)が行われる。
(第1脚部および第2脚部をステータコアに固定する工程)
次に、第4実施形態では、ステップS29において、第1脚部171および第2脚部181をステータコア10に固定する工程が行われる。
具体的には、ステップS29の工程は、部分172aおよび部分182aの各々の径方向における移動が規制され、かつ、第1面171aと第2面181aとが接触された状態で、固定層123b(図38参照)を加熱することにより、第1脚部171および第2脚部181の各々をステータコア10に対して少なくとも中心軸線方向に固定する工程である。
詳細には、ステップS29の工程では、ステータコア10の端面10aに規制治具604(図35参照)が配置されるとともに端面10bに規制治具605(図35参照)が配置され、かつ、ばね部材210が先端隙12bに配置された状態で、接着層加熱部603により、コア脚部絶縁部分122(および絶縁部材121)の固定層123bが加熱される。なお、規制治具604および605の各々は、部分172aおよび部分182aを規制する工程(ステップS26)から第1脚部171および第2脚部181をステータコア10に固定する工程(ステップS29)まで、端面10aおよび10bに配置されたままである。言い換えると、規制治具604および605の各々は、固定層123bの加熱が終わるまでは、端面10aおよび端面10bから取り外されることはない。
なお、第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
[第1〜第4実施形態の効果]
第1〜第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1〜第4実施形態では、上記のように、電機子(100、500)の製造方法は、第1脚部(71、171)の先端部(71c、171c)側に設けられる第1面配置部(71b、171b)において中心軸線方向に沿って延びる第1面(71a、171a)と、第2脚部(81、181)の先端部(81c、181c)側に設けられる第2面配置部(81b、181b)において中心軸線方向に沿って延びる第2面(81a、181a)とが、スロット(12)内またはスロット(12)の中心軸線方向の外側において径方向に対向するように、複数の第1セグメント導体(70、170)を電機子コア(10)の中心軸線方向の他方側に配置するとともに、複数の第2セグメント導体(80、180)を電機子コア(10)の中心軸線方向の一方側に配置する工程を備える。また、電機子(100、500)の製造方法は、複数の第1セグメント導体(70、170)および複数の第2セグメント導体(80、180)を配置する工程の後に、第1セグメント導体(70、170)のうちの、第1面配置部(71b、171b)以外の第1部分(72a、71j、172a)、および、第2セグメント導体(80、180)のうちの、第2面配置部(81b、181b)以外の第2部分(82a、81j、182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動が規制された状態で、第1面配置部(71b、171b)および第2面配置部(81b、181b)を径方向に押圧することによって、第1面(71a、171a)と第2面(81a、181a)とを接合する工程を備える。これにより、第1面配置部(71b、171b)および第2面配置部(81b、181b)が押圧されたことにより第1部分(72a、71j、172a)および第2部分(82a、81j、182a)のうちの少なくとも一方が径方向に移動されようとした場合でも、第1部分(72a、71j、172a)および第2部分(82a、81j、182a)のうちの少なくとも一方の径方向の移動が規制されている。その結果、脚部(71、81、171、181)が、スロット(12)の開口部(12a)側に傾斜するのを防止することができる。これにより、第1面配置部(71b、171b)および第2面配置部(81b、181b)(すなわち接合面である第1面(71a、171a)および第2面(81a、181a)が当接する部分)を径方向に押圧した場合にスロット(12)内におけるスロット(12)の開口部(12a)側の、開口部(12a)とスロット(12)内の最も内径側のコイル部(30、130)との間の隙間(先端隙12b)を容易に確保することができる。
また、脚部(71、81、171、181)が、スロット(12)の開口部(12a)側に傾斜するのを防止することによって、コイル部(30、130)がロータ(101)側に近づくのを防止することができるので、渦電流損失が発生するのを防止することができる。また、コイル部(30、130)がロータ(101)側に近づくのを防止することによって、コイル部(30、130)をステータ(100)に配置する後にロータ(101)をステータ(100)に組み付ける場合に、コイル部(30、130)とロータ(101)とが干渉するのを防止することができる。
また、第1〜第4実施形態では、上記のように、複数の第1セグメント導体(70、170)および複数の第2セグメント導体(80、180)を配置する工程は、複数の第1脚部(71、171)および複数の第2脚部(81、181)の各々が、複数のスロット(12)の各々において径方向に並んで配置されるように、複数の第1セグメント導体(70、170)および複数の第2セグメント導体(80、180)を配置する工程である。また、第1面(71a、171a)と第2面(81a、181a)とを接合する工程は、径方向に並んで配置される複数の第1脚部(71、171)、または、複数の第1脚部(71、171)の各々に接続される複数の第1コイルエンド部(72、172)の各々の第1部分(72a、71j、172a)、および、径方向に並んで配置される複数の第2脚部(81、181)、または、複数の第2脚部(81、181)の各々に接続される複数の第2コイルエンド部(82、182)の各々の第2部分(82a、81j、182a)のうちの少なくとも一方の移動が規制された状態で、径方向から見て互いにオーバラップするように設けられる、複数の第1脚部(71、171)の各々の第1面配置部(71b、171b)と、複数の第2脚部(81、181)の各々の第2面配置部(81b、181b)とを径方向から押圧することによって、互いに対向する複数組の第1面(71a、171a)と第2面(81a、181a)とを接合する工程である。このように構成すれば、複数の脚部(71、81、171、181)の各々が、スロット(12)内におけるスロット(12)の開口部(12a)側に傾斜するのを防止することができる。これにより、スロット(12)内に複数の脚部(71、81、171、181)が設けられている場合でも、スロット(12)内におけるスロット(12)の開口部(12a)側の隙間(先端隙(12b))を容易に確保することができる。また、複数の脚部(71、81、171、181)の各々が互いに異なる角度で傾斜することに起因して径方向に並ぶ脚部(71、81、171、181)同士の間に隙間が生じるのを防止することができるので、上記先端隙(12b)をより容易に確保することができる。
また、第1〜第4実施形態では、上記のように、互いに対向する複数組の第1面(71a、171a)と第2面(81a、181a)とを接合する工程は、コイル部(30、130)に対して径方向の一方側に設けられる規制部材(204、301、401、604、605)により、複数の第1部分(72a、71j、172a)および複数の第2部分(82a、81j、182a)のうちの少なくとも一方の移動が、径方向の一方側から規制された状態で、コイル部(30、130)に対して径方向の一方側に設けられる押圧部材(201、210)により、複数の第1面配置部(71b、171b)および複数の第2面配置部(81b、181b)を径方向の一方側から押圧することにより、互いに対向する複数組の第1面(71a、171a)と第2面(81a、181a)とを接合する工程である。このように構成すれば、押圧部材(201、210)により第1面配置部(71b、171b)および第2面配置部(81b、181b)を押圧する際に、複数の第1部分(72a、71j、172a)および複数の第2部分(82a、81j、182a)のうちの少なくとも一方の移動を、規制部材(204、301、401、604、605)により容易に規制することができる。
また、第4実施形態では、第1面(171a)と第2面(181a)とを接合する工程は、第1部分(172a)および第2部分(182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動が規制された状態で、第1面配置部(171b)および第2面配置部(181b)の径方向の一方側のスロット(12)内に押圧部材(210)としての弾性部材(210)を配置するとともに弾性部材(210)の付勢力により第1面配置部(171b)および第2面配置部(181b)を径方向から押圧することによって、第1面(171a)と第2面(181a)とを接触させる工程である。このように構成すれば、弾性部材(210)による付勢力が第1面配置部(171b)および第2面配置部(181b)にかけられても、規制部材(604、605)により、複数の第1部分(172a)および複数の第2部分(182a)のうちの少なくとも一方の移動を規制することができる。
また、第1、第3、および、第4実施形態では、上記のように、互いに対向する複数組の第1面(71a、171a)と第2面(81a、181a)とを接合する工程は、単一の規制部材(204、401、604、605)に設けられる複数の規制部分(204b、401b、604b、605b)の各々によって、複数のスロット(12)の各々に対応する、複数の第1部分(72a、71j、172a)および複数の第2部分(82a、81j、182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動が、複数のスロット(12)において一斉に規制された状態で、互いに対向する複数組の第1面(71a、171a)と第2面(81a、181a)とを接合する工程である。このように構成すれば、複数のスロット(12)の各々に対応する、複数の第1部分(72a、71j、172a)および複数の第2部分(82a、81j、182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を、それぞれ別個の部材を用いて規制する場合に比べて、ステータ(100、500)の製造装置(200、400、600)の部品点数を低減することができる。
また、第1〜第4実施形態では、上記のように、第1面(71a、171a)と第2面(81a、181a)とを接合する工程は、径方向から見て互いにオーバラップするように設けられる複数の第1部分(72a、71j、172a)、および、径方向から見て互いにオーバラップするように設けられる複数の第2部分(82a、81j、182a)の少なくとも一方の移動が規制された状態で、第1面配置部(71b、171b)および第2面配置部(81b、181b)を径方向に押圧することによって、第1面(71a、171a)と第2面(81a、181a)とを接合する工程ある。このように構成すれば、複数の第1部分(72a、71j、172a)、および、複数の第2部分(82a、81j、182a)の各々が、径方向から見て互いにオーバラップしているので、中心軸線方向における複数の箇所の移動を規制することなく、複数の第1部分(72a、71j、172a)、および、複数の第2部分(82a、81j、182a)の少なくとも一方の移動を容易に規制することができる。
また、第1〜第3実施形態では、上記のように、第1面(71a)と第2面(81a)とを接合する工程は、電機子コア(10)の中心軸線方向の一方端側に設けられる第2部分(82a、81j)の径方向における移動が規制された状態で、電機子コア(10)の中心軸線方向の他方端側に設けられる第1面配置部(71b)および第2面配置部(81b)を径方向から押圧することによって、第1面(71a)と第2面(81a)とを接合する工程である。ここで、電機子コア(10)の他方端側(端面(10a)側)の第1面配置部(71b)および第2面配置部(81b)を押圧した場合には、コイル部(30)(脚部(81))のうち一方端側(端面(10b)側)の部分が移動されやすい。したがって、一方端側(端面(10b)側)の第2部分(82a、81j)の径方向における移動が規制された状態で、他方端側(端面(10a)側)に設けられる第1面配置部(71b)および第2面配置部(81b)を径方向から押圧することによって、コイル部(30)(脚部(81))の径方向の移動を効果的に規制することができる。
また、第4実施形態では、上記のように、第1面(171a)と第2面(181a)とを接合する工程は、電機子コア(10)の中心軸線方向の一方端側に設けられる第1部分(172a)の径方向における移動が規制されるとともに、電機子コア(10)の中心軸線方向の他方端側に設けられる第2部分(182a)の径方向における移動が規制された状態で、電機子コア(10)の中心軸線方向の中央部(P3)に設けられる第1面配置部(171b)および第2面配置部(181b)を径方向から押圧することによって、第1面(171a)と第2面(181a)とを接合する工程である。ここで、電機子コア(10)の中央部(P3)を押圧した場合には、電機子コア(10)の中心軸線方向の一方端側および他方端側の各々が径方向に移動されやすい。したがって、中心軸線方向の一方端側に設けられる第1部分(172a)、および、中心軸線方向の他方端側に設けられる第2部分(182a)の各々の径方向における移動が規制された状態で、電機子コア(10)の中心軸線方向の中央部(P3)に設けられる第1面配置部(171b)および第2面配置部(181b)を径方向から押圧することによって、コイル部(130)(脚部(171、181))の径方向の移動を効果的に規制することができる。
また、第1〜第4実施形態では、上記のように、電機子(100、500)の製造方法は、第1部分(72a、71j、172a)および第2部分(82a、81j、182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を規制する工程を備える。また、第1面(71a、171a)と第2面(81a、181a)とを接合する工程は、第1部分(72a、71j、172a)および第2部分(82a、81j、182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を規制する工程に対して、同時または後に行われる。このように構成すれば、第1面(71a、171a)と第2面(81a、181a)とを接合する工程において第1面配置部(71b、171b)および第2面配置部(81b、181b)が押圧される時点で、第1部分(72a、71j、172a)および第2部分(82a、81j、182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を規制することができる。これにより、第1部分(72a、71j、172a)および第2部分(82a、81j、182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動をより確実に規制することができる。
また、第1〜第3実施形態では、上記のように、第1面(71a)と第2面(81a)とを接合する工程は、第1面配置部(71b)および第2面配置部(81b)を径方向に押圧することによって、第1面(71a)と第2面(81a)との間に設けられる結合材(91)を押圧する工程と、第1面配置部(71b)および第2面配置部(81b)を加熱することによって結合材(91)を加熱する工程とを含む。また、第1部分(72a、71j)および第2部分(82a、81j)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を規制する工程は、第1面配置部(71b)および第2面配置部(81b)を径方向に押圧する工程に対して、同時または前に行われる。このように構成すれば、第1面配置部(71b)および第2面配置部(81b)の押圧(結合材(91)の押圧)が開始される前に、第1部分(72a、71j)および第2部分(82a、81j)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を確実に規制することができる。
また、第4実施形態では、上記のように、第1面(171a)と第2面(181a)とを接合する工程は、第1部分(172a)および第2部分(182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を規制する工程の後に、絶縁被膜が形成されず金属表面(140b)が露出する第1脚部(171)の第1面配置部(171b)、および、絶縁被膜が形成されず金属表面(140b)が露出する第2脚部(181)の第2面配置部(181b)を径方向から押圧することによって、第1面(171a)と第2面(181a)とを結合材を介さずに互いに接触させる工程である。そして、電機子(500)の製造方法は、第1面(171a)と第2面(181a)とを接触させる工程の前に、第1部分(172a)および第2部分(182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動が規制された状態で、第1面配置部(171b)および第2面配置部(181b)を径方向から押圧するとともに第1面(171a)および第2面(181a)を互いに押し付け合わせることによって、第1面(171a)および第2面(181a)を平坦化させる工程を備える。ここで、第1面(171a)および第2面(181a)を平坦化させることによって、第1面(171a)および第2面(181a)の接触面積を増加させることができる。その結果、第1面(171a)および第2面(181a)の間の導電性を向上させることができる。したがって、第1部分(172a)および第2部分(182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動が規制された状態で第1面(171a)および第2面(181a)を平坦化させることによって、第1部分(172a)および第2部分(182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を規制しながら、第1面(171a)および第2面(181a)の間の導電性を向上させることができる。
また、第4実施形態では、上記のように、電機子(500)の製造方法は、第1部分(172a)および第2部分(182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動が規制され、かつ、第1面(171a)と第2面(181a)とが接触された状態で、熱によって発泡する発泡剤(123c)を含み、発泡剤(123c)が発泡することによって膨張する固定層(123b)を加熱することにより、第1脚部(171)および第2脚部(181)の各々を電機子コア(10)に対して少なくとも中心軸線方向に固定する工程を備える。このように構成すれば、固定層(123b)を加熱することにより膨張させることに起因して第1部分(172a)および第2部分(182a)のうちの少なくとも一方に対して径方向に力がかかる場合でも、第1部分(172a)および第2部分(182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動が規制されているので、第1部分(172a)および第2部分(182a)のうちの少なくとも一方が径方向に移動するのを防止することができる。
また、第4実施形態では、上記のように、第1面(171a)と第2面(181a)とを接合する工程は、第1面(171a)および第2面(181a)を平坦化させる工程における第1部分(172a)および第2部分(182a)のうちの少なくとも一方の規制状態を維持したまま、第1面配置部(171b)および第2面配置部(181b)を径方向から押圧することによって、第1面(171a)と第2面(181a)とを結合材を介さずに互いに接触させる工程である。このように構成すれば、第1面(171a)および第2面(181a)を平坦化させる工程における規制状態が維持されているので、第1面(171a)および第2面(181a)を平坦化させる工程と、第1面(171a)と第2面(181a)とを互いに接触させる工程との間において、第1部分(172a)および第2部分(182a)のうちの少なくとも一方が径方向に移動するのを防止することができる。また、第1面(171a)および第2面(181a)を平坦化させる工程と、第1面(171a)と第2面(181a)とを互いに接触させる工程とにおいて、規制状態をそれぞれ異ならせる場合に比べて、規制状態を変更する工程を省略することができる。
また、第1および第3実施形態では、上記のように、第1面(71a)と第2面(81a)とを接合する工程は、第1部分(72a、71j)および第2部分(82a、81j)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を規制する工程の後に行われる。また、第1部分(72a、71j)および第2部分(82a、81j)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を規制する工程は、第1面配置部(71b)および第2面配置部(81b)が径方向に押圧されていない状態で、第1部分(72a、71j)および第2部分(82a、81j)のうちの少なくとも一方に対して径方向に離間した位置において、第1部分(72a、71j)および第2部分(82a、81j)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を規制する工程である。このように構成すれば、第1面配置部(71b)および第2面配置部(81b)が径方向に押圧されていない状態において、第1部分(72a、71j)および第2部分(82a、81j)のうちの少なくとも一方に対して径方向に離間した位置において移動の規制が行われるので、第1面配置部(71b)および第2面配置部(81b)の押圧が開始されるまで、上記移動の規制によりコイル部(30)に余計な押圧力がかけられるのを防止することができる。これにより、上記移動の規制における押圧によりコイル部(30)が破損するのを防止することができる。
また、第2および第4実施形態では、上記のように、第1部分(72a、172a)および第2部分(82a、182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を規制する工程は、第1部分(72a、172a)および第2部分(82a、182a)のうちの少なくとも一方を径方向に押圧することにより、第1部分(72a、172a)および第2部分(82a、182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を規制する工程である。このように構成すれば、第1部分(72a、172a)および第2部分(82a、182a)のうちの少なくとも一方に対して径方向に離間した位置で、第1部分(72a、172a)および第2部分(82a、182a)のうちの少なくとも一方の移動を規制する場合に比べて、第1部分(72a、172a)および第2部分(82a、182a)のうちの少なくとも一方の径方向の移動量をより小さくすることができる。
また、第2および第4実施形態では、上記のように、第1部分(72a、172a)および第2部分(82a、182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を規制する工程は、第1面配置部(71b)および第2面配置部(81b)を径方向に押圧する力よりも小さい押圧力によって、第1部分(72a、172a)および第2部分(82a、182a)のうちの少なくとも一方を径方向に押圧することにより、第1部分(72a、172a)および第2部分(82a、182a)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を規制する工程である。このように構成すれば、第1部分(72a、172a)および第2部分(82a、182a)のうちの少なくとも一方を径方向に押圧する治具等により、過度に大きな押圧力を加える必要がないので、上記治具等を比較的小型で、かつ、簡易な構成にすることができる。
また、第3実施形態では、第1部分(71j)および第2部分(81j)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を規制する工程は、スロット(12)内に挿入された第1脚部(71)に設けられる第1部分(71j)、および、スロット(12)内に挿入された第2脚部(81)に設けられる第2部分(81j)のうちの少なくとも一方の径方向における移動を規制する工程である。このように構成すれば、第1部分(71j)および第2部分(81j)がスロット(12)の外側に設けられている場合に比べて、スロット(12)内のコイル部(30)(脚部(71、81))の径方向の移動を直接的に規制することができる。これにより、第1面配置部(71b)および第2面配置部(81b)を径方向に押圧した場合にスロット(12)内におけるスロット(12)の開口部(12a)側の隙間(先端隙(12b))をより一層容易に確保することができる。
また、第1〜第3実施形態では、上記のように、電機子(100)の製造方法は、スロット(12)とコイル部(30)とを絶縁するためのコア脚部絶縁部材(20)をスロット(12)に挿入するコア脚部絶縁部材挿入工程を備える。また、第1面(71a)と第2面(81a)とを接合する工程は、コア脚部絶縁部材挿入工程の後に、コア脚部絶縁部材(20)のうちコイル部(30)を径方向内側から覆うコア脚部絶縁部材(20)の径方向内側部分(20h)のうち、中心軸線方向において第1部分(72a、71j)および第2部分(82a、81j)のうちの少なくとも一方に対応する部分(20i)の径方向における移動を規制した状態で、径方向内側部分(20h)のうち、中心軸線方向において第1面配置部(71b)および第2面配置部(81b)に対応する部分(20j)を径方向内側から押圧することによって、径方向内側部分(20h)を介した径方向内側からの押圧力により第1面(71a)と第2面(81a)とを接合する工程である。このように構成すれば、径方向内側部分(20h)のうち、第1部分(72a、71j)および第2部分(82a、81j)のうちの少なくとも一方に対応する部分(20i)の径方向における移動を規制するとともに、コア脚部絶縁部材(20)がスロット(12)から径方向内側に移動(はみ出す)のを防止することができる。
また、第1〜第3実施形態では、上記のように、径方向内側部分(20h)を介した押圧力により第1面(71a)と第2面(81a)とを接合する工程は、シート状のコア脚部絶縁部材(20)の端部(20g)同士が径方向に重なり合うように設けられる径方向内側部分(20h)のうち、中心軸線方向において第1部分(72a、71j)および第2部分(82a、81j)のうちの少なくとも一方に対応する部分(20i)の径方向における移動を規制した状態で、径方向内側部分(20h)のうち、中心軸線方向において第1面配置部(71b)および第2面配置部(81b)に対応する部分(20j)を径方向内側から押圧することによって、径方向内側部分(20h)を介した径方向内側からの押圧力により第1面(71a)と第2面(81a)とを接合する工程である。このように構成すれば、第1部分(72a、71j)および第2部分(82a、81j)のうちの少なくとも一方に対応する部分(20i)の径方向における移動を規制するとともに、コア脚部絶縁部材(20)の端部(20g)同士が互いに開くように移動するのを防止することができる。これにより、コア脚部絶縁部材(20)の端部(20g)同士が互いに開くことに起因してスロット(12)内のコイル部(30)(脚部(71、81))が径方向内側から見て露出されるのを防止することができるとともに、コア脚部絶縁部材(20)によりスロット(12)とコイル部(30)とをより確実に絶縁することができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
また、上記第1〜第3実施形態では、接合部90が、スロット12内に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、接合部90のうちの一部がスロット12外に配置(図40参照)されていてもよいし、接合部90の全体が、スロット12外に配置(図41参照)されていてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、ステータコア10(電機子コア)の軸方向中心C2(中央)に対して他方側(Z2方向側)において第1面71aと第2面81aとの接合が行われ、ステータコア10(電機子コア)の軸方向中心C2(中央)に対して一方側(Z1方向側)において、コイル部30の移動が規制されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ステータコア10(電機子コア)の軸方向中心C2(中央)近傍において第1面71aと第2面81aとの接合が行われ、ステータコア10(電機子コア)の軸方向中心C2(中央)に対して一方側(Z1方向側)および他方側(Z2方向側)のうちの少なくとも一方において、コイル部30の移動が規制されていてもよい。また、第4実施形態においては、ステータコア10(電機子コア)の中心軸線方向の一方端側または他方端側の近傍において、第1面171aと第2面181aとの接合が行われてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、1つのスロットにおいて第2導体80のうちの一箇所の径方向の移動が規制されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2導体80のうちの2箇所以上において径方向の移動が規制されていてもよい。また、第4実施形態では、第1導体170および第2導体180の各々の複数箇所において移動が規制されていてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、スロット12内に複数組の第1脚部(71、171)と第2脚部(81、181)との組が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。スロット12内に第1脚部(71、171)と第2脚部(81、181)との組が1組だけ設けられている構成であってもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、第1導体(70、170)の一対の第1脚部(71、171)は互いに等しい長さ(L1、L31)を有するとともに、第2導体(80、180)の一対の第2脚部(81、181)は互いに等しい長さ(L2、L32)を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1導体270の一対の第1脚部271は互いに異なる長さを有する(図42(A)参照)とともに、第2セグメント導体280の一対の第2脚部281は互いに異なる長さを有する(図42(B)参照)ように構成されていてもよい。すなわち、この場合、第1セグメント導体270および第2セグメント導体280の各々は、J字状(略J字状)を有する。
また、上記第1〜第3実施形態では、第2脚部81の長さが、第1脚部71の長さよりも長い例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2脚部81の長さが、第1脚部71の長さよりも短くてもよい。また、第4実施形態では、第2脚部181の長さL32と、第1脚部171の長さL31とが、互いに異なっていてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、ステータ(100、500)(電機子)は、インナーロータ型の回転電機(102、502)の一部を構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ステータは、アウターロータ型の回転電機の一部を構成してもよい。この場合、接合する際の押圧および規制部材によるコイル部の移動の規制は、ステータコアに対して径方向外側において行われる。
また、上記第1〜第4実施形態では、押圧治具201(押圧部材)およびばね部材210(押圧部材、弾性部材)による押圧、および、規制治具(204、401、604、605)または押圧治具301(規制部材)によるコイル部(30、130)の移動の規制が、それぞれ、複数のスロット12において一斉に行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、上記押圧および上記規制が、それぞれ、1つのスロット12毎に行われてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、コイル部(30、130)の移動を規制する工程の後に、第1面(71a、171a)と第2面(81a、181a)との接合の工程が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、コイル部(30、130)の移動を規制する工程と同時に、第1面(71a、171a)と第2面(81a、181a)との接合の工程が行われてもよい。
また、上記第3実施形態では、規制治具401(規制部材)は、部分81j(第2部分)から径方向に離間した位置で、部分81j(第2部分)の径方向の移動を規制する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、規制治具401(規制部材)の突出部分401b(規制部分)により、部分81j(第2部分)を径方向から押圧してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、第2導体(80、180)がリード側の導体であり、第1導体(70、170)が反リード側の導体である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第2導体(80、180)が反リード側の導体であり、第1導体(70、170)がリード側の導体であってもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、接着層として構成された固定層20cを含む第1絶縁部材20を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、接着層とは異なる膨張材(膨張層)を含む第1絶縁部材20を用いて、接着せずに壁部11aおよび周方向側面13aと第2脚部81とを押圧させ合うこと(押圧力)により固定させてもよい。また、第4実施形態でも同様に、第1脚部171および第2脚部181を、壁部11aおよび周方向側面13aに接着させずに押し付けることにより固定させてもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、第1絶縁部材20および第2絶縁部材21(接合部絶縁部材)がシート状である例を示したが、本発明はこれに限られない。シート状でない第1絶縁部材20および第2絶縁部材21を備えるステータに対しても本発明を適用することは可能である。
また、上記第1〜第3実施形態では、押圧治具201により第1面配置部71bおよび第2面配置部81bが押圧される例を示したが、本発明はこれに限られない。第1〜第3実施形態でも、上記第4実施形態のように、スロット12の先端隙12bに配置されたばね部材により、第1面配置部71bおよび第2面配置部81bが押圧されてもよい。
また、上記第4実施形態では、部分172a(第1部分)および部分182a(第2部分)を規制する工程(規制治具604(規制部材)および605(規制部材)を配置する工程)の後に、第1面171aおよび第2面181aを平坦化する工程が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。部分172aおよび部分182aを規制する工程(すなわち、規制治具604および規制治具605をステータコア10に配置すること)と、第1面171aおよび第2面181aを平坦化する工程とが、同時に行われてもよい。
また、上記第4実施形態では、第1面171aおよび第2面181aを平坦化する工程における規制状態が維持されたまま、第1面配置部171bおよび第2面配置部181bが押圧される例を示したが、本発明はこれに限られない。第1面配置部171bおよび第2面配置部181bを押圧する工程において、第1面171aおよび第2面181aを平坦化する工程で用いられた規制部材とは異なる規制部材を用いてもよい。
また、上記第4実施形態では、規制治具604(605)(規制部材)が、部分172a(第1部分)(部分182a(第2部分))と接触していることにより部分172a(部分182a)を押圧している例を示したが、本発明はこれに限られない。規制治具604(605)は、部分172a(部分182a)から離間した位置において、部分172a(部分182a)の移動を規制していてもよい。また、上記第2実施形態と同様に、押圧治具を部分172a(第1部分)(部分182a(第2部分))側に移動させる力によって部分172a(部分182a)を押圧するとともに部分172a(部分182a)の移動を規制してもよい。
また、上記第4実施形態では、規制治具604(605)(規制部材)は、スロット12外に設けられる第1コイルエンド部172(第2コイルエンド部182)に設けられる部分172a(第1部分)(部分182a(第2部分))の移動を規制する例を示したが、本発明はこれに限られない。規制治具604(605)は、スロット12内に設けられる第1脚部171(第2脚部181)に設けられる第1部分(第2部分)の移動を規制してもよい。
また、上記第4実施形態では、規制治具604(605)(規制部材)は、第1コイルエンド部172(第2コイルエンド部182)に直接的に接触することにより、第1コイルエンド部172の部分172a(第1部分)(第2コイルエンド部182の部分182a(第2部分))の移動を規制する例を示したが、本発明はこれに限られない。規制治具604(605)は、コア脚部絶縁部分122を介して第1コイルエンド部172(第2コイルエンド部182)に(間接的に)接触することにより、第1コイルエンド部172の部分172a(第2コイルエンド部182の部分182a)の移動を規制してもよい。
また、上記第4実施形態では、規制治具604(規制部材)と規制治具605とが互いに別個の治具である例を示したが、本発明はこれに限られない。規制治具604と規制治具605とが一体的に構成されていてもよい。