以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、給紙トレイユニット51a〜51cから送出された用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部101を備える。
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロック等の動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信された画像データ(入力画像データ)を受信し、この画像データに基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
図1に示すように、画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
図2に示すように、操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部101の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
図1に示すように、画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
感光体ドラム413は、例えばドラム状の金属基体の外周面に、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層が形成された有機感光体よりなる。
制御部101は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
帯電装置414は、例えば帯電チャージャーであり、コロナ放電を発生させることにより、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。その結果、感光体ドラム413の表面のうちレーザー光が照射された画像領域には、背景領域との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
現像装置412は、二成分逆転方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分の現像剤を付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
現像装置412には、例えば帯電装置414の帯電極性と同極性の直流現像バイアス、または交流電圧に帯電装置414の帯電極性と同極性の直流電圧が重畳された現像バイアスが印加される。その結果、露光装置411によって形成された静電潜像にトナーを付着させる反転現像が行われる。
ドラムクリーニング装置415は、中間転写ベルト421に転写されずに像担持体の一例としての感光体ドラム413の表面に残留するトナーを除去する。図3に示すように、ドラムクリーニング装置415は、ドラムクリーニングブレード415Aと、クリーニングローラー415Bと、回収ローラー415Cと、回収バイアス印加部415Dと、電流検出部415Eと、回収ブレード415Fとを有する。クリーニングローラー415Bは、本発明の「クリーニング部材」に対応する。回収ローラー415Cは、本発明の「回収部材」に対応する。
ドラムクリーニングブレード415Aは、弾性体よりなる平板状に形成されており、感光体ドラム413の表面に当接することで、感光体ドラム413上のトナーTを除去する。ドラムクリーニングブレード415Aは、クリーニングローラー415Bよりも下流側に位置し、クリーニングローラー415Bにより除去しきれなかったトナーTを除去する。
クリーニングローラー415Bは、感光体ドラム413と対向し、図示しないバイアス印加部からクリーニングバイアスが印加される。これにより、感光体ドラム413に付着したトナーTがクリーニングローラー415B側に電気的に移動するので、感光体ドラム413に付着したトナーTがクリーニングローラー415Bにより除去される。
回収ローラー415Cは、クリーニングローラー415B上に移動したトナーTを回収する。回収バイアス印加部415Dは、回収ローラー415Cに例えば、定電圧である回収バイアスを印加する。回収バイアスは、クリーニングバイアスが印加されたクリーニングローラー415Bと、回収ローラー415Cとの間で、トナーが回収ローラー415C側に移動するような電位差を発生させるバイアスである。
これにより、クリーニングローラー415B上のトナーTが回収ローラー415C側に電気的に移動することで、回収ローラー415Cは、クリーニングローラー415B上のトナーTを回収する。
電流検出部415Eは、回収バイアスが印加された回収ローラー415C上の電流を検出する。制御部101は、電流検出部415Eにより検出された電流に基づいて、クリーニングローラー415Bにおける部分的な汚れの発生の有無を判定する汚れ判定制御を行う。汚れ判定制御については後述する。
回収ブレード415Fは、平板状に形成されており、回収ローラー415Cに当接することで回収ローラー415C上のトナーを除去する。
図1に示すように、中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部101からの制御信号によって回転駆動される。
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側、つまり二次転写ローラー424と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
定着部60は、用紙Sの定着面、つまりトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面つまり定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、および加熱源等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とによって張架されている。
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する。加圧ローラー64は、定着ベルト61との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。
また、定着部60の下流側には、画像検出部73が設けられている。画像検出部73は、例えばスキャナーであり、定着ニップを通過した用紙Sに形成された画像を検出する。
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aを含む複数の搬送ローラー対を有する。レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部は、用紙Sの傾きおよび片寄りを補正する。
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。画像形成部40においては、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
次に、クリーニングローラー415Bにおける汚れ判定制御について説明する。本実施の形態では、制御部101が、電流検出部415Eにより検出された電流に基づいて、クリーニングローラー415Bの表面における部分的な汚れが発生しているか否かについて判定する。
ここで、クリーニングローラー415Bの部分的な汚れについて説明する。上述したように、クリーニングローラー415Bは、クリーニングバイアスが印加されることで感光体ドラム413に付着したトナーを除去する。まず、何の汚れも付着していないクリーニングローラー415B(図4A参照)により、感光体ドラム413の軸方向全体に形成されたベタ画像T10(図4B参照)を除去すると、図4Cに示すように、クリーニングローラー415Bの軸方向全体に除去トナーT20が付着する。
しかし、縦帯画像等を連続して印字するような印刷ジョブが行われると、図5Aに示すように、クリーニングローラー415Bの一部に汚れ部Xが発生する。このような状態で、図4Bに示すようなベタ画像T10を感光体ドラム413から除去しようとすると、図5Bに示すように、汚れ部Xに対応する部分に対応する除去トナーT20よりもトナー量の少ない量の除去トナーT21が汚れ部Xの部分に付着する。
つまり、汚れ部Xの部分におけるトナー除去量が減少するため、感光体ドラム413上には、汚れ部Xに対応する部分にトナーが残ってしまう。感光体ドラム413の、汚れ部Xに対応する部分にトナーが残った状態で、例えば、当該ベタ画像T10を用紙Sに形成させると、図5Cに示すように、用紙Sに形成されるベタ画像T20上に縦スジT11等の画像不良が発生する。
つまり、クリーニングローラー415Bに部分的に汚れが発生してしまうと、縦スジT11のような目立った画像不良が発生するという問題が生じる。
また、画像形成装置1においては、使用を続けていくと、クリーニングローラー415Bが全体的に汚れていくため、一定周期でクリーニングローラー415Bの回復動作が行われる。回復動作は、感光体ドラム413を空回転させて、クリーニングローラー415Bにクリーニングバイアスを印加するとともに回収ローラー415Cに回収バイアスを印加することで、クリーニングローラー415Bに付着したトナーを回収ローラー415Cにより回収する動作である。このような動作が数回転分繰り返されることで、クリーニングローラー415Bの汚れが解消されて、クリーニングローラー415Bが回復する。
回復動作の間は、画像形成装置1における画像形成動作が停止された状態となるが、この回復動作の合間において、クリーニングローラー415Bに部分的な汚れが発生してしまうと、上記の画像不良が発生してしまう。当該画像不良を抑制するため、回復動作が行われる間隔を短くすると、そのたびに画像形成装置1における画像形成動作が停止されるため、画像形成装置1における生産性の低下が発生する。また、感光体ドラム413を空回転させる回数が増えるため、感光体ドラム413がドラムクリーニングブレード415Aとの接触に起因して、摩耗しやすくなるという問題が生じる。
本実施の形態では、クリーニングローラー415Bに部分的な汚れが発生しているか否かについて判定することができるため、上記のようなクリーニングローラー415Bの部分的な汚れに起因した問題の発生を抑制することができる。
次に、クリーニングローラー415Bにおける汚れ判定制御の具体例について説明する。図6は、クリーニングローラー415Bにおける汚れ判定制御を説明するための図である。図6における上側の図は、感光体ドラム413に形成されるパターン画像Pが、感光体ドラム413の画像形成位置からクリーニングローラー415Bにおける画像除去位置に向かう第1方向に向けて進行する様子を示している。
図6における下側の図は、パターン画像Pを感光体ドラム413からクリーニングローラー415Bにより除去したときに、回収ローラー415Cから検出される電流値の時間変化を示している。図6における時間T1は、パターン画像Pの左側の端部が、クリーニングローラー415Bの位置に到達した時間を示している。図6における時間T2は、パターン画像Pの右側の端部が、クリーニングローラー415Bの位置に到達した時間を示している。
図6に示すように、制御部101は、汚れ判定制御に用いるパターン画像Pを感光体ドラム413に形成するように画像形成部40を制御する。パターン画像Pは、第1方向に延び、クリーニングローラー415Bの1周期分の長さを有するとともに、クリーニングローラー415Bの軸方向における画像除去領域に対応する幅で形成された矩形状の画像である。なお、パターン画像Pは、第1方向において、クリーニングローラー415Bの1周期以上の長さを有していても良い。
パターン画像Pは、トナー量がそれぞれ異なる第1領域部P1および第2領域部P2を有する。第1領域部P1は、トナー量が0となるように形成された領域、つまり、トナーが形成されない領域である。第2領域部P2は、トナー量が全ての位置において均一な量になるようにトナーが形成された領域である。なお、第1領域部P1のトナー量は、第2領域部P2のトナー量よりも少ないトナー量であっても良い。
パターン画像Pは、第1方向における全ての位置に、第1領域部P1と第2領域部P2とが存在するように形成される。具体的には、第1領域部P1は、パターン画像Pにおいて、第1方向の一方側端部(左端部)および軸方向の一端部(下端部)から、第1方向の他方側端部(右端部)および軸方向の他端部(上端部)まで延びるように形成される。第2領域部P2は、パターン画像Pにおける、第1領域部P1のない部分に形成される。
パターン画像Pにおける、第1方向における全範囲のうち、第1方向における両端部を除いた領域、つまり、第1方向の位置Y1と、位置Y2との間の領域は、部分的な汚れの有無の判定対象となる判定領域である。
つまり、位置Y1がクリーニングローラー415Bに到達する時間T3から、位置Y2がクリーニングローラー415Bに到達する時間T4までの範囲が、クリーニングローラー415Bの部分的な汚れの発生の有無を判定する範囲である。判定領域が位置Y1と位置Y2との間の領域である理由については後述する。
制御部101は、判定領域に対応する部分において電流検出部415Eにより検出された電流の時間変化における電流の変化量に応じて、クリーニングローラー415Bの表面における部分的な汚れがあるか否かについて判定する。
電流検出部415Eでは、回収ローラー415Cによりクリーニングローラー415Bから回収したトナーの電荷が例えば負極性である場合、当該電荷を打ち消すように、逆極性の正極性の電荷が生成されるため、その一連の動きが電流として検出される。つまり、電流検出部415Eは、回収ローラー415Cが回収したトナー量が多いほど、大きい電流を検出する。
第2領域部P2の部分では、トナーが感光体ドラム413からクリーニングローラー415Bに移動し、ひいては回収ローラー415Cに回収される。そのため、電流検出部415Eにより、トナーの移動量に伴う電流が検出される。
第1領域部P1の部分では、トナーが感光体ドラム413からクリーニングローラー415Bに移動せず、回収ローラー415Cにもトナーが回収されない。そのため、電流検出部415Eによりトナーの移動に伴う電流が検出されない。
ここで、クリーニングローラー415Bが汚れ部Xを有する場合、第2領域部P2の汚れ部Xに対応する部分については、トナーが感光体ドラム413からクリーニングローラー415Bに移動しにくい、又は、移動しない。そのため、電流検出部415Eにより検出される電流値が、汚れ部Xが大きくなるほど小さくなる。つまり、パターン画像Pにおける、第2領域部P2の汚れ部Xに対応する領域W1,W3においては、第2領域部P2の汚れ部Xに対応する部分からトナーが回収されないので、クリーニングローラー415Bが汚れ部Xを有さない場合と比較して、電流検出部415Eの電流値が小さくなる。
それに対し、パターン画像Pにおける、第1領域部P1の汚れ部Xに対応する領域W2においては、汚れ部Xに対応する位置に第1領域部P1があり、汚れ部Xではない部分に対応する位置に第2領域部P2がある。第1領域部P1の部分は、除去されるトナーがないが、第2領域部P2の部分は、クリーニングローラー415Bの汚れ部Xではない部分により、トナーが除去される。そのため、軸方向全体の電流量が、クリーニングローラー415Bが汚れ部Xを有する影響を受けにくく、結果として、領域W2においては、クリーニングローラー415Bが汚れ部Xを有さない場合と略同等の電流値が検出される。
すなわち、電流検出部415Eにおける検出電流値が領域W2に対応する部分が、領域W1,W3に対応する部分よりも大きくなる。言い換えると、クリーニングローラー415Bに部分的な汚れがあると、判定領域における電流変化量が増大する。
そのため、本実施の形態では、制御部101は、判定領域における電流変化量が所定閾値以上である場合、クリーニングローラー415Bに部分的な汚れがあると判定する。
電流変化量は、例えば、判定領域における最大電流値と最小電流値との差分としても良いし、判定領域における平均電流値と最大電流値との差分値としても良い。所定閾値は、例えば、クリーニングローラー415Bの部分的な汚れに起因した画像不良が発生する程度の電流変化量を示す値であり、任意に設定可能な値である。
これにより、クリーニングローラー415Bに部分的な汚れがあることを容易に判定することができるので、クリーニングローラー415Bにおける回復動作を実行するか否かについての判定基準とすることができる。
また、制御部101は、クリーニングローラー415Bに部分的な汚れがあると判定した場合、クリーニングローラー415Bにおける回復動作を実行すると判定する。クリーニングローラー415Bに部分的な汚れがある場合、縦スジ等の画像不良が発生する可能性が高いため、部分的な汚れがあると判定した場合、速やかにクリーニングローラー415Bにおける回復動作を実行することで、クリーニングローラー415Bの部分的な汚れを除去することができる。
また、判定領域が時間T3から時間T4までの範囲とされる理由について説明する。時間T1から時間T3までの範囲と、時間T4から時間T2までの範囲とにおける、第1方向の各位置におけるパターン画像Pのトナー量が、第1方向の位置によって比較的大きく変動する。
パターン画像Pの左端部と位置Y1との範囲における第1領域部P1と、位置Y2とパターン画像Pの右端部との範囲における第1領域部P1とは、三角形状となっている。つまり、これらの範囲における第1領域部P1の軸方向の幅が第1方向の位置によって変動するとともに、判定領域における第1領域部P1の軸方向の幅よりも小さくなっている。
そのため、第2領域部P2の第1方向の幅が判定領域よりも広くなるので、クリーニングローラー415Bによるトナーの除去量が、判定領域より大きくなり、ひいては回収ローラー415Cでの検出電流値が大きくなる。そうなると、この部分において、汚れ部Xがあるものと判定してしまう可能性があるからである。
また、判定領域における第1領域部P1の幅は一定であることが好ましいが、図6に示す判定領域のように、位置Y1付近および位置Y2付近のように、多少幅が小さい部分を含んでいても良い。
また、制御部101は、クリーニングローラー415Bに部分的な汚れがないと判定した場合、回復動作を実行するか否かについて判定する。例えば、制御部101は、回収ローラー415Cの検出電流値の最小値が所定電流値以上である場合、クリーニングローラー415Bの回復動作を実行すると判定する。制御部101は、検出電流値の最小値が所定電流未満である場合、クリーニングローラー415Bの回復動作を実行しないと判定する。
所定電流値は、クリーニングローラー415Bがある程度汚れていることを示す電流値であり、任意に設定可能な値である。
このようにすることで、クリーニングローラー415Bが全体として汚れている場合、速やかに回復動作を行うことができる。また、クリーニングローラー415Bが全体として汚れていない場合、回復動作を行わないため、画像形成装置1における画像形成動作を無駄に停止することがなくなり、ひいては生産性の低下を抑制することができるとともに、無駄な回復動作を行わないことにより、感光体ドラム413の摩耗を抑制することができる。なお、回復動作の実行の有無は、印刷枚数により判定しても良い。
また、制御部101は、クリーニングローラー415Bにおける部分的な汚れの発生の有無を判定する制御を所定のタイミングで行うようにしても良い。所定のタイミングとしては、例えば、前回、回復動作を実行してから印刷枚数が所定枚数(例えば、1000枚)より多くなったタイミングや、同じ印刷ジョブを複数回連続で処理した後のタイミング等が挙げられる。
また、電流検出部415Eによる検出電流の時間変化は、実際は、図7Aに示すように、上下に振動した波形が得られるが、当該波形において例えば移動平均をとることにより、平滑化した波形を検出電流の時間変化としても良い。図7Bの実線は、破線で示される図7Aの波形を平滑化したものである。
また、パターン画像Pとしては、図6に示すものを例示したが、例えば、図8Aに示すように、第2領域部P2と第1領域部P1とを入れ替えたものを用いても良い。つまり、図8Aに示すパターン画像Pでは、第1領域部P1を、トナーを有する領域とし、第2領域部P2を、トナーを有さない領域としても良い。
また、パターン画像Pとしては、図8Bに示すように、第1方向の各位置におけるトナー量が均一になるようなものを用いても良い。具体的には、第1領域部P1は、第1方向の両端部において四角形状となる第1部分P11と、上端部の第1部分P11から下端部の第1部分P11に向けて延びる第2部分P12とを有する。第1部分P11の軸方向の幅と第2部分P12の軸方向の幅とは同じ大きさとなっている。このようにすることで、第1方向の全てを判定領域とすることができる。
次に、画像形成装置1における汚れ制御を実行するときの動作例について説明する。図9は、画像形成装置1における汚れ判定制御を実行するときの動作例を示すフローチャートである。図9における処理は、制御部101が印刷ジョブの実行指示を受け付けたときに実行される。
図9に示すように、制御部101は、印刷ジョブを開始する(ステップS101)。次に、制御部101は、印刷枚数をカウントする(ステップS102)。なお、ステップS102における印刷枚数は、例えば、記憶部72において記憶されている印刷枚数であって、前回回復動作を実行してからカウントされる印刷枚数である。記憶部72では、印刷枚数がカウントされる度に、その数が更新される。
次に、制御部101は、印刷ジョブが終了したか否かについて判定する(ステップS103)。判定の結果、印刷ジョブが終了していない場合(ステップS103、NO)、処理はステップS102に戻る。一方、印刷ジョブが終了した場合(ステップS103、YES)、制御部101は、印刷枚数が1000枚より多いか否かについて判定する(ステップS104)。
判定の結果、印刷枚数が1000枚以下である場合(ステップS104、NO)、本制御は終了する。一方、印刷枚数が1000枚より多い場合(ステップS104、YES)、制御部101は、パターン画像を感光体ドラム413に形成する(ステップS105)。
次に、制御部101は、回収ローラー415Cにおける電流変化量を検出する(ステップS106)。次に、制御部101は、電流変化量が所定閾値以上であるか否かについて判定する(ステップS107)。
判定の結果、電流変化量が所定閾値未満である場合(ステップS107、NO)、本制御は終了する。一方、電流変化量が所定閾値以上である場合(ステップS107、YES)、制御部101は、クリーニングローラー415Bの回復動作を実行する(ステップS108)。
次に、制御部101は、記憶部72における印刷枚数をリセットする(ステップS109)。ステップS109の後、本制御は終了する。
以上のように構成された本実施の形態によれば、クリーニングローラー415Bに部分的な汚れがあることを容易に判定することができるので、クリーニングローラー415Bにおける回復動作を実行するか否かについての判定基準とすることができる。その結果、クリーニングローラー415Bの部分的な汚れに起因した画像不良の発生を低減することができる。
また、クリーニングローラー415Bに部分的な汚れがあると判定した場合、速やかに回復動作を実行することができるので、クリーニングローラー415Bの部分的な汚れに起因した画像不良の発生を抑制することができ、ひいては画像品質の向上に寄与することができる。
また、クリーニングローラー415Bに部分的な汚れがないと判定した場合、回復動作を実行するか否かについて判定するので、クリーニングローラー415Bが全体的に汚れている等のように必要なときのみに回復動作を実行させることができる。回復動作は、感光体ドラム413、クリーニングローラー415Bや回収ローラー415Cを数回転させて行うため、ある程度時間(例えば、10分以上)がかかる。そのため、その間において、画像形成装置1を停止させるので生産性が低下するとともに、感光体ドラム413とドラムクリーニングブレード415Aとの接触に起因して感光体ドラム413が摩耗しやすくなる。
しかし、本実施の形態における汚れ判定制御は、クリーニングローラー415Bの1周期分の時間(約10秒程度)のみである。つまり、本実施の形態では、クリーニングローラー415Bの1周期分の時間で、回復動作を必要なときのみに実行させることができる。そのため、10分以上かかる回復動作を定期的に実行する構成と比較して、画像形成装置1を無駄に停止する時間を大幅に削減することができるので、生産性の低下を抑制することができる。また、無駄に回復動作を実行しないことで、感光体ドラム413とドラムクリーニングブレード415Aとの接触に起因した感光体ドラム413の摩耗を低減することができ、ひいては感光体ドラム413の寿命を長くすることができる。
なお、上記実施の形態では、印刷枚数が所定枚数に到達した場合に、汚れ判定制御を行う構成であったが、本発明はこれに限定されず、画像検出部73の検出結果に基づいて汚れ判定制御を行うようにしても良い。
具体的には、制御部101は、画像検出部73の検出結果に基づいて、クリーニングローラー415Bに部分的な汚れの発生を判定する制御を行うか否かについて判定する。つまり、画像検出部73により、図5Cに示すような縦スジを有するような画像不良が検出された場合、制御部101は、クリーニングローラー415Bに部分的な汚れの発生を判定する制御を行うと判定する。
このようにすることで、印刷ジョブ中に画像不良が発生したと同時に汚れ判定制御を行うことが可能になるので、迅速に汚れ判定制御を行うことができる。
また、制御部101は、クリーニングローラー415Bに部分的な汚れの発生の有無を判定する制御を行うと判定した場合、画像不良の原因を特定する原因判定制御を行うようにしても良い。
図5Cに示すような縦スジを有するような画像不良であっても、クリーニングローラー415Bの部分的な汚れが原因となる他に、感光体ドラム413と一次転写ローラー422との間における一次転写ニップ部分において何らかの原因があることで、当該画像不良が発生する場合がある。
そのため、制御部101は、回収ローラー415Cの電流の検出結果と、例えば、一次転写ニップ部分に流れる転写電流の検出結果とを用いて画像不良の原因判定制御を行う。具体的には、図10Aに示すように、一次転写ローラー422の部分に、回収ローラー415Cと同様に、電流検出部422Aを設け、当該電流検出部422Aの電流検出結果と、回収ローラー415Cからの電流の検出結果とを比較する。
例えば、これらの電流検出結果を比較すると、図10Bに示すように、画像不良の原因となる波形において図6に示す判定領域のように電流変化量が大きくなる部分が発生する。図10Bに示す例では、実線が回収ローラー415Cの電流検出結果を示し、破線が転写電流の検出結果を示している。
図10Bの例では、回収ローラー415Cに電流変化量が大きくなる部分が発生しているため、制御部101は、クリーニングローラー415Bが画像不良の原因となる部分であると判定する。なお、一次転写ニップ部分に画像不良の原因となる部分がある場合、破線の転写電流の検出結果に、電流変化量が大きくなる部分が発生する。
このようにすることで、画像不良の発生原因を容易に特定することができる。
次に、画像形成装置1における原因判定制御を実行するときの動作例について説明する。図11は、画像形成装置1における原因判定制御を実行するときの動作例を示すフローチャートである。図11における処理は、制御部101が印刷ジョブの実行指示を受け付けたときに実行される。
図11に示すように、制御部101は、画像検出部73において画像不良を検出したか否かについて判定する(ステップS201)。判定の結果、画像不良を検出しない場合(ステップS201、NO)、処理はステップS203に遷移する。なお、ステップS201でNOと判定した後、印刷ジョブにおける印刷処理が完了した後に、ステップS203に遷移する。
一方、画像不良を検出した場合(ステップS201、YES)、制御部101は、画像不良の種類を記憶部72に記憶させる(ステップS202)。次に、制御部101は、印刷を停止する(ステップS203)。
次に、制御部101は、画像不良があったか否かについて判定する(ステップS204)。判定の結果、画像不良がない場合(ステップS204、NO)、本制御は終了する。一方、画像不良があった場合(ステップS204、YES)、制御部101は、画像不良が縦スジであったか否かについて判定する(ステップS205)。
判定の結果、画像不良が縦スジではない場合(ステップS205、NO)、本制御は終了する。なお、ステップS205でNOと判定された場合、その他の原因を判定する制御を行っても良いし、外部に画像不良が発生している旨を報知しても良い。
一方、画像不良が縦スジである場合(ステップS205、YES)、制御部101は、パターン画像を形成して回収ローラー415Cの電流を検出する(ステップS206)。次に、制御部101は、パターン画像を形成して転写電流を検出する(ステップS207)。
次に、制御部101は、検出した回収ローラー415Cの電流と、転写電流に基づいて、画像不良の原因を特定する(ステップS208)。次に、制御部101は、画像不良の原因となる箇所を通信部71を介して外部に報知する(ステップS209)。ステップS209の後、本制御は終了する。
このような構成によれば、印刷ジョブ中に画像不良が発生したと同時に汚れ判定制御を行うことが可能になるので、迅速に汚れ判定制御を行うことができる。また、画像不良の発生原因を容易に特定することができる。
また、上記実施の形態では、像担持体として感光体ドラム413を例示したが、本発明はこれに限定されず、中間転写ベルト421等であっても良い。
また、上記実施の形態では、パターン画像における第1領域部P1および第2領域部P2の何れかがトナーがない領域であったが、本発明はこれに限定されず、例えば、微小なトナー量の画像が形成されていても良い。ただし、電流変化を確実に検出する観点から、パターン画像における第1領域部P1および第2領域部P2の何れかをトナーがない領域とすることが好ましい。
また、上記実施の形態では、部分的な汚れに起因した画像不良として縦スジを例示したが、本発明はこれに限定されず、部分的な汚れに起因した画像不良である限り、縦スジ以外の画像不良であっても良い。
また、上記実施の形態では、パターン画像として、図6、図8Aおよび図8Bに示す画像を例示したが、図6に示すような回収ローラー415Cにおける電流変化量の時間変化を検出可能な画像であれば、どのようなパターン画像であっても良い。
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。