以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る物品取扱装置について説明する。本発明の一実施形態に係る物品取扱装置は、自動販売機等の払出装置であり、客によって指定された商品を販売機内部の在庫ストッカ(複数の格納部を備えるもの)から取り出して排出口から排出させるだけでなく、補充ストッカ(複数の補充用格納部を備えるもの)に格納された商品を在庫ストッカに自動で補充する機能を有している。そのため、物品を補充する際の作業者の作業負担が従来の払出装置よりも軽減されている。
なお、本発明に係る物品取扱装置は、自動販売機等の払出装置に限らない。本発明に係る物品取扱装置は、例えば、処方箋に記載された医薬品を薬局等に設置された医薬品用棚から自動で取り出したり医薬品を医薬品用棚に自動で補充したりするものであったり、服飾店内の棚に陳列された衣類を自動で取り出したりこの棚に衣類を自動で補充したりするものであってもよい。
このように、本発明に係る物品取扱装置には様々な形態の物品取扱装置が含まれる。そのため、物品取扱装置で取り扱われる物品は、一般に払出装置で販売されるタバコや飲料水等の商品に限らず、上記の例に挙げた医薬品・衣類をはじめ、雑貨、おもちゃ、食品等の種々の商品であってもよい。また、この物品は、商品に限らず、私物や他の物品であってもよい。すなわち、本発明に係る物品取扱装置は、商品を販売するものに限らず、例えば自宅に設置されている箪笥や本棚、パントリから衣類や本、食器・食品を自動で取り出したり、取り出された衣類や本、食器を箪笥や本棚、パントリに自動で戻したり食品をパントリに自動で補充したりするものであってもよい。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る払出装置1の外観を示す斜視図である。図1に示されるように、払出装置1は、筐体10の前面パネル部10aに開口10aaが形成されている。作業者は、前面パネル部10aに形成された開口10aaを介して払出装置1内部に複数の補充ストッカ22を着脱可能に設置することができる。図1(b)に、図1(a)に対して補充ストッカ22を取り外したときの斜視図を示す。
図2は、本発明の一実施形態に係る払出装置1の分解斜視図を示す。なお、図2をはじめとする各図においては、本実施形態の説明に必要な主たる構成要素を図示しており、本実施形態の説明には特段必要の無い構成要素については、その図示を適宜省略している。また、図2では、便宜上、搬送ユニット100(後述)のみ拡大して示す図を付けている。
図2に示されるように、筐体10は、前面パネル部10a、背面パネル部10b及び側面パネル部10cを備えている。各パネル部を組み立てることにより、箱状の筐体10が完成する(図1(a)及び図1(b)参照)。
筐体10内部には、二対のラック20が設置されている。そのうちの一対は、前面パネル部10a側に上下に並べて設置されており、残りの一対は、背面パネル部10b側に上下に並べて設置されている。
図3は、前面パネル部10aに形成された開口10aa付近の一部の構成を拡大して示す図である。前面パネル部10a側の下段のラック20は、筐体10内部であって且つ開口10aaから露出する位置に設置されている。図3に示されるように、前面パネル部10a側の下段のラック20の天面及び底面(天面との対向面)には、複数のガイド20aが等間隔で設けられている。
図3に示されるように、補充ストッカ22には、複数(図3の例では10)の棚板22aが縦方向に並べて形成されている。各棚板22aには、払出装置1(より詳細には在庫ストッカ24)に補充すべき商品が置かれる。本実施形態に係る払出装置1で販売される商品は、例えばタバコ等の箱状の物品であり、且つ種類(銘柄)の多い物品である。
補充ストッカ22には、作業者が補充ストッカ22を持つための持ち手22bが設けられている。作業者は、持ち手22bを把持して、補充ストッカ22をラック20に設置する。各補充ストッカ22は、上下二対(天面に設けられた一対と底面に設けられた一対)のガイド20aにガイドされて、天面、底面の各面に設けられたストッパ20b(図3中、拡大図参照)に当て付くことにより、ラック20に設置される。すなわち、補充ストッカ22は、ラック20を介して筐体10内に支持される。
ラック20の底面には、検知スイッチ20c(図3中、拡大図参照)が設けられている。補充ストッカ22がラック20に設置されると、検知スイッチ20cが補充ストッカ22に押されて、検知スイッチ20cがオンする。すなわち、検知スイッチ20cは、補充ストッカ22がラック20に設置されたことを検知する検知部として機能する。
検知部である検知スイッチ20cは、補充ストッカ22がラック20に設置されたことを検知することにより、商品が置かれた棚板22aが所定の補充場所に設置されたことを検知する。言い換えると、検知部は、在庫ストッカ24に補充すべき商品が所定の補充場所に置かれたことを検知する。
別の実施形態では、補充ストッカ22は、メンテナンス時等を除き、払出装置1から着脱されない構成となっていてもよい。この場合、補充ストッカ22は、前面パネル部10aの開口10aaから露出する位置に設置(固定)される。この補充ストッカ22の前面には、フラップが棚板22a毎に設けられている。作業者は、補充ストッカ22の各フラップを押し込んで、各フラップの奥にある棚板22aに商品を置く。
各フラップには、フラップの開閉を検知するセンサ(又はフラップの開閉を検知するスイッチであり、便宜上「開閉検知部」と記す。)が設けられている。フラップが押し込まれて商品が棚板22aに置かれる際、開閉検知部のオン・オフが切り替わることにより、当該棚板22aに商品が格納されたことが検知される。すなわち、検知部は、例示的には、補充ストッカ22に設けられたフラップの開閉検知部であり、所定の補充場所に設置されている補充格納部である棚板22aに商品が格納されたことを検知するものであってもよい。
後述するように、本実施形態では、補充ストッカ22がラック20に設置されると、商品を在庫ストッカ24に補充する商品補充処理が開始されるが、別の実施形態(補充ストッカ22にフラップが設けられている実施形態)では、例えば筐体10に設けられた不図示のスイッチが押された時や、所定の通信規格で払出装置1に有線又は無線接続された作業者用の情報処理端末(タブレット等)から補充開始を要求する入力を受けた時に、商品補充処理が開始されるようにしてもよい。
図2に示されるように、筐体10内には、コントローラ300が実装された回路基板30が設置されている。コントローラ300は、払出装置1を制御するIC(Integrated Circuit)であり、CPU(Central Processing Unit)、CPUによって実行される制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、制御プログラムの実行に必要な各種データを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)等を有している。コントローラ300は、検知スイッチ20cのオンを検知すると、補充ストッカ22がラック20に設置されたことを検知する。
図2に示されるように、前面パネル部10a側の上段、背面パネル部10b側の上段及び下段の各ラック20には、在庫ストッカ24が着脱可能に設置される。これらのラック20及び在庫ストッカ24は、前面パネル部10a側の下段のラック20及び補充ストッカ22と同じ構成を有している。そのため、これらのラック20及び在庫ストッカ24についての詳細な説明は適宜省略又は簡略する。なお、在庫ストッカ24は、払出装置1の通常稼働時にはラック20から取り外されることは無く、例えばメンテナンス時等において必要があればラック20から取り外される。
前面パネル部10a側に設置された各ラック(及び各ストッカ)と背面パネル部10b側に設置された各ラック(及び各ストッカ)に挟まれたスペースには、搬送ユニット100(ユニット)及びレールユニット200が設置されている(図2及び図1(b)参照)。搬送ユニット100は、上記スペース内を二次元方向(水平方向(図中X方向)及び垂直方向(図中Y方向))に移動可能にレールユニット200に保持されており、且つY方向の軸周りに回転可能にレールユニット200に保持されている。なお、説明の便宜上、X方向における位置を「X位置」と記し、Y方向における位置を「Y位置」と記す。
図1(a)及び図1(b)に示されるように、前面パネル部10aには、イルミネーションランプ50が埋設されている。コントローラ300は、イルミネーションランプ50の点灯状態(色、連続点灯、点滅等)を制御することにより、払出装置1のステータス(例えば商品欠品中、商品補充中、商品販売中、商品取り出し中、商品排出完了)を作業者や客に報知する。購入操作から商品排出までの待ち時間中における客のストレスを軽減するため、イルミネーションランプ50によって簡単なアニメーションが流れるようにしてもよい。
[商品補充処理]
払出装置1内には不図示のセンサアレイが設置されている。センサアレイには、補充ストッカ22及び在庫ストッカ24の各棚板に対応する複数のセンサが備えられている。各センサは、対応する棚板における商品の有無を検知する。コントローラ300は、各センサの出力に基づいて補充ストッカ22及び在庫ストッカ24の各棚板に商品が置かれているか否かを判定する。すなわち、コントローラ300(及びセンサアレイ)は、各棚板に商品が補充されているか否かを検知する補充検知部として機能する。
コントローラ300は、センサアレイの各センサの出力(言い換えると在庫状況)に基づいて商品の補充が必要であるか否かを判定する。例えば商品が置かれていない棚板が一定数に達したときや売れ筋の商品の在庫が一定数を切ったとき等に、コントローラ300は、払出装置1への商品の補充が必要であるものと判定する。コントローラ300は、商品の補充が必要であると判定した場合には、イルミネーションランプ50の点灯状態を制御して、これを報知する。すなわち、イルミネーションランプ50は、商品の補充が必要かどうかを報知する補充報知部として機能する。
作業者は、例えばイルミネーションランプ50によって商品を補充する必要があると判断すると、商品の補充作業を開始する。具体的には、作業者は、補充ストッカ22の各棚板22aに払出装置1に補充すべき商品を置き、前面パネル部10aの開口10aaを通じてラック20に補充ストッカ22を設置する。コントローラ300は、検知スイッチ20cのオン(ラック20への補充ストッカ22の設置)を検知すると、補充ストッカ22に置かれた商品を在庫ストッカ24に補充する商品補充処理の実行を開始する。図4に、商品補充処理をフローチャートで示す。
後述するように、コントローラ300は、在庫ストッカ24に設けられた各棚板24に補充すべき商品の情報(種類を含む。)を予め保持している。コントローラ300は、この情報から補充すべき商品の種類と数量を特定し、特定した商品の種類と数量を例えば作業者用の情報処理端末(タブレット等)に送信することにより、作業者に報知する。すなわち、コントローラ300は、補充すべき商品の種類の情報を保持する情報保持部、補充すべき商品の数量(及び種類)を特定する特定部及び特定された商品の数量(及び種類)を報知する報知部として機能する。作業者は、払出装置1を開けて商品の在庫を直接確認することなく、情報処理端末を通じて、補充すべき商品の種類と数量を把握することができる。
図4に示されるように、コントローラ300は、補充ストッカ22がラック20に設置されたと判定すると(ステップS11)、搬送ユニット100及びレールユニット200を制御する。
具体的には、レールユニット200は、搬送ユニット100を補充ストッカ22(より詳細には棚板22a)の対向位置まで移動させる(ステップS12)。搬送ユニット100は、1つの棚板22a(補充ストッカ22をラック20に設置することにより、所定の補充場所に配置された補充用格納部である棚板22a)に置かれた1つの商品を取り、搬送ユニット100内に収容する(ステップS13)。
搬送ユニット100には、収容した商品の情報を読み取る読取装置190(後述の図15)が設置されている。読取装置190(読取部)は、例えばバーコードリーダであり、商品に印刷されたバーコードを読み取る。読取装置190によって読み取られた商品の情報は、コントローラ300に出力される(ステップS14)。
コントローラ300は、在庫ストッカ24に設けられた各棚板24aのアドレス(X位置及びY位置の情報)及び各棚板24a(各アドレス)に補充すべき商品の情報を予め保持している。すなわち、コントローラ300は、棚板24aのアドレスと棚板24a(アドレス)に補充すべき商品の情報を関連付けて保持する情報保持部として機能する。
コントローラ300は、読取装置190より入力した情報から当該商品を補充すべき棚板24aのアドレスを特定し、特定されたアドレスに応じてレールユニット200を制御する。すなわち、レールユニット200は、特定されたアドレス(棚板24aの対向位置)まで搬送ユニット100を移動させる(ステップS15)。なお、どの棚板24aにどの商品を補充すべきかについては、例えば作業者が情報処理端末を通じてコントローラ300に指示することにより、任意に変更することができる。
搬送ユニット100は、商品の補充先となる棚板24aまで移動すると、収容している商品を補充先(移動先)の棚板24aに向けて押し出して、棚板24aに移す。これにより、1つの商品の補充が完了する(ステップS16)。コントローラ300は、補充ストッカ22の各棚板22aに置かれた全ての商品が在庫ストッカ24の各棚板24aに補充されるまで、ステップS12〜S16に示す一連の処理を繰り返し実行する(ステップS17)。
上述したように、コントローラ300は、各棚板24aのアドレスを保持すると共に、搬送ユニット100に収容した商品の情報を読取装置190によって読み取ることが可能となっている。そのため、どの棚板24aにどの商品が補充されたか及びどの棚板24aからどの商品が取り出されたか(商品の入出庫記録)は、コントローラ300にとって既知である。
コントローラ300は、この既知の情報(便宜上「在庫情報」と記す。)を、内蔵するROMやRAM等の記憶媒体に保持し逐次更新することにより、どの棚板24aにどの商品が置かれているか(附言するに、各棚板24aの商品の有無)を把握することができる。このような在庫情報をコントローラ300が管理する構成では、上記のセンサアレイによって各棚板における商品の有無を検知する必要が無い。そのため、部品点数を削減(センサアレイを省く)することができる。また、コントローラ300は、各棚板24aに補充すべき商品の情報を予め保持していなくてもよい。コントローラ300は、空いている棚板24aを在庫情報から判断し、空いていると判断した棚板24aに商品が順次補充されるようにレールユニット200を制御する。
すなわち、コントローラ300は、各棚板24aに商品が補充されているか(言い換えると各棚板24aにおける商品の有無)を判定する在庫判定部として機能する。この場合、搬送ユニット100は、コントローラ300の制御により、商品が補充されていないと判定された棚板24a(空いている棚板24a)まで移動し、棚板22aから取った商品を移動先の棚板24aに補充する。
また、在庫判定部として動作するコントローラ300は、読取装置190によって情報が読み取られた商品がどの棚板24a(アドレス)に補充されたか及びどの棚板24a(アドレス)に補充されていた商品が払出装置1の外部(後述の供給場所)に移動されたかどうかを逐次検知し、検知結果に基づいて各棚板24aに物品が補充されているか否かを判定する。
なお、コントローラ300は、ステップS12〜S16の初回実行時、商品補充処理中の搬送ユニット100の絶対位置を把握できるようにするため、搬送ユニット100を所定の初期位置に一旦移動させてから補充ストッカ22まで移動させるようにしてもよい。この初期位置近傍には不図示のリミットスイッチが設置されている。搬送ユニット100が初期位置に移動してリミットスイッチに接触すると、リミットスイッチがオンする。コントローラ300は、リミットスイッチのオンを検知すると、搬送ユニット100が初期位置に移動したと判定する。コントローラ300は、このような初期位置確認を行うことにより、商品補充処理中の搬送ユニット100の絶対位置を把握できるようになる。
コントローラ300は、ステップS12〜S16の2回目以降の実行時には、上記の初期位置確認の実行により、商品補充処理中の搬送ユニット100の絶対位置を把握できているため、再度の初期位置確認を行うことなく、商品の補充が完了した棚板24aから補充ストッカ22まで搬送ユニット100を直接移動させる。
本実施形態では、補充ストッカ22の各棚板22aに置かれた各商品が払出装置1内の適切な補充位置(棚板24a)に自動で補充される。そのため、作業者は、どの在庫ストッカ24のどの棚板24aにどの商品を補充すべきかを逐次確認しながら作業を行う必要がない。作業者は、払出装置1に商品を補充するにあたり、補充すべき商品の種類と数量だけを確認し、あとは補充ストッカ22の各棚板22aに商品を適当に置けばよい。従って、本実施形態によれば、商品を補充する際の作業者の作業負担が従来よりも軽減される。特に、タバコ等の種類(銘柄)の多い商品の場合、どの在庫ストッカ24のどの棚板24aにどの銘柄を補充すべきかを確認するだけでも大変な作業である。本実施形態に係る払出装置1の場合、このような作業者であっても商品を簡単に且つ正確に補充することができる。
[商品排出処理]
客は、例えば払出装置1に並置されたタブレット等の情報処理端末を操作し、購入希望の商品を指定することができる。払出装置1は、この情報処理端末と所定の通信規格で有線又は無線接続されている。コントローラ300は、客によって指定された商品の情報を情報処理端末から受けると、在庫ストッカ24に置かれた商品を払出装置1から排出する商品排出処理の実行を開始する。図5に、商品排出処理をフローチャートで示す。
図5に示されるように、コントローラ300は、客によって指定された商品の情報を受けると、受け取った情報が示す商品が置かれている棚板24aのアドレスを特定し(ステップS21)、搬送ユニット100及びレールユニット200を制御する。
具体的には、レールユニット200は、特定された棚板24aの対向位置まで搬送ユニット100を移動させる(ステップS22)。搬送ユニット100は、移動先の棚板24aに置かれた商品を取り、搬送ユニット100内に収容する(ステップS23)。
このとき、コントローラ300は、誤った商品が客に提供される不都合を避けるため、読取装置190を用いて商品の情報を読み取り、読み取った情報と、客によって指定された商品の情報とを照合する。これらの情報が不一致となる場合、レールユニット200は、搬送ユニット100を補充ストッカ22の棚板22aの対向位置まで移動させる。搬送ユニット100は、棚板22aまで移動すると、収容している商品を移動先の棚板22aに向けて押し出して、棚板22aに移す。次いで、レールユニット200は、客によって指定された商品が置かれている別の棚板24aの対向位置まで搬送ユニット100を移動させる。搬送ユニット100は、この移動先の棚板24aに置かれた商品を取り、搬送ユニット100内に収容する。商品の不一致があったことは、作業者用の情報処理端末や前面パネル部10aのイルミネーションランプ50を通じて作業者に報知される。
搬送ユニット100は、移動先の棚板24aと対向する向きから非対向となる向きまでY方向の軸周りに回転する(ステップS24)。次いで、搬送ユニット100は、収容している商品を押し出して下方に落下させる(ステップS25)。搬送ユニット100の下方には、排出用シュータ40が設置されている。排出用シュータ40に落下した商品は、払出装置1の下部に設けられた排出口40から払出装置1の外部(供給場所)に排出される。これにより、客は、購入を希望した商品を受け取ることができる。
[搬送ユニット100の移動制御]
客による購入操作が行われてから商品の排出が完了するまでに時間がかかると、客が不快感を覚える虞がある。客の待ち時間を短く抑えるため、例えば払出装置1内で搬送ユニット100を目的の位置(在庫ストッカ24の棚板24aの対向位置)まで高速に移動させることが考えられる。しかし、搬送ユニット100を高速に移動させた場合、搬送ユニット100を目的の位置に精度良く停止させることが難しくなる。例えば搬送ユニット100が棚板24aの対向位置からずれた位置で停止すると、搬送ユニット100が棚板24aから商品を取る商品取り動作及び棚板24aに商品を置く商品置き動作に支障をきたす虞がある。
そこで、本実施形態では、搬送ユニット100が目的の位置に移動するまでにかかる時間を短く抑えると共に搬送ユニット100を目的の位置に精度良く停止させられるように、コントローラ300が搬送ユニット100の移動制御を行う。すなわち、コントローラ300は、搬送ユニット100を移動させる移動制御部として機能する。
《搬送ユニット100のY方向の移動制御》
図6は、レールユニット200に備えられるXYレール部210の斜視図を示す。XYレール部210は、搬送ユニット100をX方向に移動可能に支持するXレール部220、及びXレール部220をY方向に移動可能に支持するYレール部230を有している。
図6に示されるように、Yレール部230は、一対のスライドレール部2302(2302A、2302B)及びスライドレール部2302Aと2302Bとを連結する上部プレート2304を有している。
スライドレール部2302Aの下端部には、Xレール部220をY方向に移動させるための駆動部(モータ2308)及びモータ2308に連結された駆動プーリ(図面上不可視)が設けられている。この駆動プーリには、ベルト2306が巻きかけられている。
ベルト2306の一部は、スライドレール部2302Aに沿うように配置されており、スライドレール部2302Aの上端部に設けられた従動プーリ(上部プレート2304付近であり、図面上不可視)にも巻きかけられている。この従動プーリは、モータ2308の駆動力が駆動プーリ及びベルト2306を介して伝達されることによって従動する。
ベルト2306の一部は、スライドレール部2302Aの上端部からスライドレール部2302Bの上端部にかけて、上部プレート2304に沿うように配置されている。スライドレール部2302Bの上端部にも従動プーリ(上部プレート2304付近であり、図面上不可視)が設けられている。この従動プーリにもベルト2306が巻きかけられている。ベルト2306は、スライドレール部2302Bの下端に設けられた従動プーリ2310にも巻きかけられている(図6中、拡大図参照)。スライドレール部2302Bの上端部の従動プーリ及び従動プーリ2310は、モータ2308の駆動力が駆動プーリ及びベルト2306を介して伝達されることによって従動する。
このような構成によってベルト2306が動く。なお、上記構成では、駆動源であるモータがスライドレール部2302Aにしか設けられていないが、別の実施形態では、スライドレール部2302Aと2302Bの両方にモータとベルトが設けられ、これらのベルトが別々のモータによって別々に動く(動き自体は同期する)構成としてもよい。
スライドレール部2302A、スライドレール部2302Bは、それぞれ、Y方向に延びるレール(不図示)を有している。Xレール部220は、両端がベルト2306の一部(Y方向の動きが同期する部分)に連結されている。モータ2308の駆動力がベルト2306を介してXレール部220に伝達されると、Xレール部220は、その動きがレールにガイドされて、Y方向(垂直上方向又は垂直下方向)に移動(スライド)する。
スライドレール部2302Bの従動プーリ2310には、エンコーダ2312が連結されている。エンコーダ2312は、従動プーリ2310の回転を電気信号に変換し、変換された電気信号からXレール部220のY位置を検知してコントローラ300に出力する。これにより、コントローラ300は、Xレール部220のY位置を把握することができる。
《搬送ユニット100のX方向の移動制御》
図7は、搬送ユニット100をX方向に移動可能に支持するXレール部220の動作機構を概略的に示す図である。図7に示されるように、Xレール部220には、搬送ユニット100をX方向に移動させるための駆動部(モータ)2202及びモータ2202に連結された駆動プーリ2204が設けられている。モータ2202は、例えばステッピングモータやDCモータである。
駆動プーリ2204には、ベルト2206が巻きかけられている。ベルト2206には、複数の従動プーリ2208も巻きかけられている。各従動プーリ2208は、モータ2202の駆動力が駆動プーリ2204及びベルト2206を介して伝達されることによって従動する。
Xレール部220は、X方向に延びるレール2210を有している。搬送ユニット100は、ベルト2206に連結されている。モータ2202の駆動力がベルト2206を介して搬送ユニット100に伝達されると、搬送ユニット100は、その動きがレール2210にガイドされて、X方向(水平右方向又は水平左方向)に移動(スライド)する。
Xレール部220は、回転モータ110を支持している。回転モータ110は、搬送ユニット100と連結されており、搬送ユニット100をY方向の軸周りに回転させることができる。コントローラ300は、回転モータ110の回転を制御することにより、搬送ユニット100を、商品取り動作時や商品置き動作時には前面パネル部10a側のストッカの棚板や背面パネル部10b側のストッカの棚板に正対させたり、商品を排出用シュータ40に落下させる際には棚板と対向しない角度まで回転させたりする。
図8は、搬送ユニット100のX方向の移動制御を説明するための図である。図8では、搬送ユニット100の上面図に加え、センシング用板金400及び補充ストッカ22の棚板22a(又は在庫ストッカ24の棚板24a)の模式図を示す。
センシング用板金400は、金属製の板材を板金加工することによって形成された部材であり、搬送ユニット100の移動方向であるX方向に延びた形状を持つ。センシング用板金400は、ストッカ(補充ストッカ22又は在庫ストッカ24)の各段の棚板群(同じ高さ位置(Y位置)でX方向に並ぶ各ストッカの棚板を「棚板群」とする。)に対応して複数本備えられており、筐体10内に形成された支持部によって各段の棚板群の近傍に支持されている。
図8に示されるように、センシング用板金400は、凹部410と凸部420とがX方向に交互に並ぶ形状(第一の位置情報部)を持つ。言い換えると、センシング用板金400は、幅広部分(凹部410)と幅狭部分(凸部420)とが長手方向に周期的に並ぶ棒状部材である。凹部410と凸部420は、少なくとも、搬送ユニット100のX方向の可動範囲の全域に亘って交互に配置されている。
凹部410の幅D1と凸部420の幅D2は同じである。別の実施形態では、幅D1と幅D2は異なっていてもよい。
各凸部420は、X方向に並ぶ棚板群の各棚板の近傍に配置されている。凸部420には、幅D3のスリット部430(第二の位置情報部)が形成されている。スリット部430は、対応する棚板(凸部420近傍の棚板)の中心線上(当該棚板の中心から搬送ユニット100側に延びる線上)に形成されている。
図8に示されるように、搬送ユニット100には、透過型フォトセンサ500が取り付けられている。透過型フォトセンサ500は、センシング用板金400に示される位置情報(凹部410、凸部420及びスリット部430)を検知する。
具体的には、凸部420は、透過型フォトセンサ500の投光部から発光された光を遮蔽し(遮蔽する位置に配置され)、凹部410及びスリット部430は、投光部から発光された光を遮蔽しない。そのため、透過型フォトセンサ500は、投光部から発光した光を受光部で受光できないとき、搬送ユニット100が凸部420に対応するX位置に位置することを検知し、投光部から発光した光を受光部で受光できるとき、搬送ユニット100が凹部410又はスリット部430に対応するX位置に位置することを検知する。
コントローラ300は、透過型フォトセンサ500によって検知された位置情報に基づいて搬送ユニット100のX位置を検知する。すなわち、コントローラ300は、搬送ユニット100の位置を検知する位置検知部として機能する。別の実施形態では、透過型フォトセンサ500は、例えば反射型フォトセンサ等の別の非接触式センサに置き換えてもよい。
図9は、コントローラ300による搬送ユニット100のX方向の移動制御をフローチャートで示す図である。図10(a)〜図10(c)は、図9に示されるフローチャートの説明を補助する図である。
コントローラ300は、目的の棚板(例えば商品の補充先となる棚板24aや客によって指定された商品が置かれている棚板24a)のアドレスを取得すると、Yレール部230のモータ2308を駆動して、目的の棚板が位置する棚板群の段までXレール部220をY方向に移動させる。コントローラ300は、次いで、Xレール部220のモータ2202を駆動して、目的の棚板まで搬送ユニット100をX方向に移動させる。なお、図10中、目的の棚板に符号24a’を付す。
具体的には、コントローラ300は、まず、モータ2202の回転速度(言い換えると搬送ユニット100の移動速度)が速い速度に瞬時に到達するように、モータ2202を駆動制御する(ステップS31)。モータ2202がステッピングモータである場合、コントローラ300は、パルス周波数を低い周波数から高い周波数に瞬時に引き上げる。モータ2202がDCモータである場合には、コントローラ300は、供給電圧を瞬時に上昇させる。
コントローラ300は、搬送ユニット100の移動中、透過型フォトセンサ500によって検知される位置情報(センシング用板金400の凹部410及び凸部420)に基づいて搬送ユニット100のX位置を検知する。なお、搬送ユニット100の移動速度は、凹部410と凸部420によって示されるX位置の分解能(凹部410及び凸部420のピッチ)及び透過型フォトセンサ500の性能(サンプリング周波数、応答速度等)を考慮して適宜設定される。本実施形態では、幅D1と幅D2とを等しく設定することにより、搬送ユニット100の移動速度が透過型フォトセンサ500の性能に合わせて高速に設定し易くなっている。
スリット部430の幅D3は、凹部410の幅D1及び凸部420の幅D2よりも狭い。一例として、幅D1及び幅D2が20mmであるのに対して幅D3は0.5mmである。そのため、スリット部430によるX位置の分解能は、凹部410及び凸部420(幅D1及び幅D2)によるX位置の分解能よりも高いといえる。
搬送ユニット100の高速移動中、透過型フォトセンサ500の性能(サンプリング周波数)では、実質的に、X位置の分解能が高いスリット部430を検知することができない。そのため、透過型フォトセンサ500は、搬送ユニット100の高速移動中、凹部410と凸部420のみを検知する。
コントローラ300は、搬送ユニット100の高速移動中、透過型フォトセンサ500によって検知される凸部420の数をカウントし、搬送ユニット100のX位置を大まかに推定する(ステップS32)。搬送ユニット100を高速移動させることは、客の待ち時間を短く抑えるだけでなく、誤検知(スリット部430の検知)によるX位置の推定誤差の発生を防ぐことにも役立つ。
図10(a)の例では、搬送ユニット100(図中の実線)は、図中左側から4つめの凸部420’を通過した位置を移動している。そのため、コントローラ300は、搬送ユニット100が図中左側から4つめの凹部410’に対応するX位置に位置していることを検知する。
搬送ユニット100を高速に移動させたままでは、搬送ユニット100を目的の棚板24a’に精度良く停止させることが難しくなる。そこで、コントローラ300は、搬送ユニット100が目的の棚板24a’の2つ手前の棚板(言い換えると、凸部420’の位置であり、棚板24a’に近い位置)を通過したことを検知すると、搬送ユニット100を急減速させる(ステップS33)。モータ2202がステッピングモータである場合、コントローラ300は、パルス周波数を高い周波数から低い周波数に瞬時に引き下げる。モータ2202がDCモータである場合には、コントローラ300は、DCモータを逆回転させるための電圧を一時的に供給する。
コントローラ300は、目的の棚板24a’の2つ手前の棚板(言い換えると凸部420’)の通過を検知して搬送ユニット100を急減速させてから2つ目の凸部420(凸部420”)を検知すると、搬送ユニット100が目的の位置に達する直前であることを検知する(ステップS34)(図10(b)参照)。
搬送ユニット100が減速された速度で移動しているため、透過型フォトセンサ500の性能(サンプリング周波数)でも、X位置の分解能が高いスリット部430を確実に検知することができる。コントローラ300は、透過型フォトセンサ500によってスリット部430が検知されると(ステップS35)、搬送ユニット100が目的の位置に到達したことを検知して、モータ2202を停止し、搬送ユニット100の移動を停止する(ステップS36)(図10(c)参照)。なお「目的の位置」とは、搬送ユニット100の中心位置と目的の棚板24a’の中心位置とが一致する位置である。搬送ユニット100が目的の位置で停止すると、搬送ユニット100が目的の棚板24a’の真正面に位置(正対)することになる。
このように、本実施形態では、最初に搬送ユニット100を高速移動させて搬送ユニット100の大まかなX位置を検知し、搬送ユニット100が目的の位置に近付いたことを検知すると、搬送ユニット100を減速させて低速移動させる。搬送ユニット100が目的の位置(棚板24a’の真正面)に精度良く停止するため、商品取り動作及び商品起き動作を支障なく行うことが可能となる。
このようなX位置の移動制御は、Y位置の移動制御にも適用することができる。すなわち、Y方向についても同様の移動制御を行うことにより、搬送ユニット100が目的の位置に移動するまでにかかる時間を短く抑えつつ、搬送ユニット100を目的の棚板が位置する棚板群の段で精度良く停止させることができる。
[商品取り動作・商品置き動作・商品排出動作]
搬送ユニット100には、ストッカ(補充ストッカ22又は在庫ストッカ24)の棚板から商品を取り出す際及び棚板に商品を置く際の商品の落下を防ぐと共に搬送ユニット100と棚板との間の商品の移動をガイドするガイド部1802が設けられている。本実施形態に係る搬送ユニット100では、以下に説明するように、搬送ユニット100と棚板との間の商品の移動が適切にガイドされるように、棚板から商品を取り出す際、棚板に商品を置く際のそれぞれで、棚板に対するガイド部1802の姿勢が変わる。これにより、例えば商品の端面とガイド部1802の端面とが衝突することによって、棚板から商品をスムーズに取り出すことができない、棚板に商品をスムーズに置くことができない、商品が損傷する、等の不具合の発生が避けられる。
《商品取り動作》
図11(a)〜図11(c)並びに図12(a)及び図12(b)は、搬送ユニット100が在庫ストッカ24(棚板24a)から商品を取る商品取り動作を概説するための図である。なお、補充ストッカ22(棚板22a)から商品を取る商品取り動作も、図11及び図12に示される商品取り動作と同じである。そのため、補充ストッカ22から商品を取る商品取り動作についての説明は省略する。以下においては、便宜上、商品に符号Iを付す。
図11(a)に示されるように、搬送ユニット100は、ユニット筐体130を有している。ユニット筐体130の壁部によって囲われたスペースは、商品Iを収容する商品置場130a(置き場)となっている。ユニット筐体130には、ガイド部1802をはじめ、上部ガイド120、アーム1502、ローラ1702等の複数の部材が支持されている。
アーム1502は、一対備えられており、商品置場130aから棚板22a又は24aまで引き出される引き出し位置と商品置場130aに引き入れられる引き入れ位置との間で動作可能となっている。ガイド部1802とアーム1502は機械的に連動している。アーム1502が引き入れ位置(図11(a)参照)から引き出し位置に引き出されていくと、ガイド部1802は、その先端部1802aが棚板24aよりも高い位置(図11(a)中、拡大図参照)から棚板24aよりも低い位置(図11(b)中、拡大図参照)に下がる。
アーム1502同士の間隔は、初期的には、商品Iの幅よりも広く空いている。これらのアーム1502は、引き出し位置まで引き出されると、商品Iを両側面から挟んで持つ(図11(c)参照)。
各アーム1502は、商品Iを挟持(把持)した状態で引き入れ位置まで引き入れられると、商品Iの挟持を解除する。すなわち、各アーム1502は、商品Iの各側面から離れて初期の状態に戻る。このタイミングで上部ガイド120が商品Iを上方から緩く押えると共に、複数のローラ1702が回転(不図示のローラモータの正転)を開始して商品Iを商品置場130aまで搬送する(図12(a)及び図12(b)参照)。すなわち、アーム1502は、商品Iを挟持した状態で引き入れ位置に引き入れられることによって商品Iの商品置場130aへの収容を補助する。商品Iの商品置場130aへの最終的な収容は主にローラ1702によって行われる。附言するに、ローラ1702は、商品Iを商品置場130aに収容する物品収容部として機能し、アーム1502(アームアッセンブリ150)は、この物品収容部を構成する把持部として機能する。
ガイド部1802は、アーム1502が引き入れ位置に引き入れられる際、先端部1802aが棚板24aよりも低い位置から棚板24aよりも高い位置に上がる(戻る)。
本実施形態では、商品Iを棚板24aから商品置場130aに移動させる際、ガイド部1802の先端部1802aが棚板24aよりも低い位置に下がっている。そのため、商品Iは、その端面がガイド部1802の先端部1802aと衝突することなくガイド部1802に載り、棚板24aから商品置場130aへの移動がガイド部1802によってガイドされる。本実施形態によれば、商品Iを棚板24aからスムーズに取り出すことができると共に、商品Iの端面とガイド部1802の先端部1802aとが衝突することによる商品Iの損傷が避けられる。
図13は、ユニット筐体130に支持された主な部材を示す分解斜視図である。図14(a)〜図14(d)は、ガイド部1802とアーム1502とがどのように連動するかを示す図である。図15(a)〜図15(d)は、商品取り動作を行う際の搬送ユニット100の各構成要素の動作を模式的に示す図である。これらの図面を用いて、商品取り動作の説明を更に行う。
図13に示されるように、ユニット筐体130には、カム板140、カムモータ141、アームリンク142、プッシュリンク143、スイッチリンク144、スイッチレバー145、スイッチ基板146、アームアッセンブリ150、プッシュアッセンブリ160、ローラアッセンブリ170及びガイドアッセンブリ180が支持されている。
図14(a)は、商品取り動作を行う前(初期状態)のアームアッセンブリ150とガイドアッセンブリ180との位置関係を示す。図15(a)は、初期状態におけるユニット筐体130の各構成要素を模式的に示す。ガイド部1802は、ガイドアッセンブリ180に設けられている。図14(a)に示されるように、初期状態において、ガイド部1802は、先端部1802aが斜め上方を向く姿勢となっており、先端部1802aが棚板24aよりも高い位置に上がった状態にある。
カム板140(カム部)は、カムモータ141(カム動作部)によって回転可能にユニット筐体130に支持されている。図13に示されるように、カム板140には、第一カム溝140a、第二カム溝140b及び第三カム溝140cが形成されている。
スイッチリンク144は、ピン144a及びピン144bを有している。ピン144aは、第一カム溝140aに係合し、ピン144bは、スイッチレバー145の長溝145aに係合している。
スイッチレバー145は、スイッチ基板146に実装された3つのスイッチSW3〜SW5のオン/オフを切り替えるレバーである。各スイッチSW3〜SW5は、スイッチレバー145が接触するとオンし、スイッチレバー145が離れるとオフする。初期状態では、スイッチレバー145は、全てのスイッチSW3〜SW5に接触している。そのため、全てのスイッチSW3〜SW5がオンされている。
カムモータ141によってカム板140が回転すると、ピン144aが第一カム溝140a内を摺動する。これにより、スイッチリンク144は、ピン144cを支点として第一カム溝140aに沿って動く。カム板140の回転力は、スイッチリンク144のピン144bを介して(ピン144bが長溝145a内を摺動して)スイッチレバー145に伝達される。
スイッチレバー145は、カム板140が回転して、その回転力がスイッチリンク144を介して伝達されると、ピン145bを支点としてスイッチ基板146上を動く。これにより、スイッチレバー145と接触するスイッチSWが変わり、スイッチSW3〜SW5のオン/オフ状態が変わる。言い換えると、カム板140の回転角度位置に応じてスイッチSW3〜SW5のオン/オフ状態が変わる。
コントローラ300は、スイッチSW3〜SW5のオン/オフ状態からカム板140の回転角度位置を検知して、カム板140の回転を制御する。下記は、コントローラ300によって検知されるカム板140の回転角度位置と、スイッチSW3〜SW5のオン/オフ状態との関係を示す。なお、「+」は、初期位置に対して時計回りに進んだ角度であり、「−」は、初期位置に対して反時計回りに進んだ角度である。また、分かりやすさのため、オンを「1」、オフを「0」で示す。また、「初期位置」は、アーム1502の引き入れ位置に対応し、「+90°位置」は、アーム1502の引き出し位置に対応する。
カム板140の回転角度位置 :SW3:SW4:SW5
初期位置(初期状態、0°位置) : 1: 1: 1
第一中間位置(0°位置と+90°位置との間): 0: 1: 1
+90°位置 : 0: 0: 1
第二中間位置(0°位置と−90°位置との間): 1: 1: 0
−90°位置 : 1: 0: 0
アームリンク142には、フォロア142aが設けられている。フォロア142aは、第二カム溝140bに係合している。カムモータ141によってカム板140が回転すると、アームリンク142は、第二カム溝140bに追従して動く。
アームリンク142には、長溝142bが形成されている。長溝142bには、アームアッセンブリ150の下面に設けられたフォロア1504が係合している。カム板140の回転力は、アームリンク142を介して(フォロア1504が長溝142b内を摺動して)アームアッセンブリ150に伝達される。
アームアッセンブリ150は、カム板140の回転力がアームリンク142を介して伝達されると、前進(棚板24aに向かって進む)又は後退する(棚板24aから離れる方向に進む)。具体的には、カム板140が0°位置から+90°位置に向けて回転すると、アームアッセンブリ150が前進し、カム板140が+90°位置から0°位置に向けて回転すると、アームアッセンブリ150が後退する。
なお、カム板140が第一の動作範囲(0°位置から+90°位置までの範囲)で動作しているときだけアームアッセンブリ150を前進又は後退させるように、第二カム溝140bの形状が設計されている。言い換えると、カム板140が第二の動作範囲(0°位置から−90°位置までの範囲)で動作しているときにはアームアッセンブリ150を移動させないように、第二カム溝140bの形状が設計されている。
また、後述するように、プッシュアッセンブリ160は、第三カム溝140cと係合しており、カム板140の回転力がプッシュリンク143を介して伝達されるようになっている。カム板140が第二の動作範囲(0°位置から−90°位置までの範囲)で動作しているときだけプッシュアッセンブリ160を前進又は後退させるように、第三カム溝140cの形状が設計されている。言い換えると、カム板140が第一の動作範囲(0°位置から+90°位置までの範囲)で動作しているときにはプッシュアッセンブリ160を移動させないように、第三カム溝140cの形状が設計されている。
すなわち、カム板140は、アームアッセンブリ150とプッシュアッセンブリ160のうち、第一の動作範囲(0°位置から+90°位置までの範囲)で動作しているときにはアームアッセンブリ150だけを前進又は後退させ、第二の動作範囲(0°位置から−90°位置までの範囲)で動作しているときにはプッシュアッセンブリ160だけを前進又は後退させる、カム溝形状を有している。
商品取り動作では、コントローラ300は、まず、カム板140を0°位置から+90°位置に向けて回転(カムモータ141を正転)させて、アームアッセンブリ150を前進させる。
図14(b)及び図14(c)は、カム板140の回転角度位置が第一中間位置(0°位置と+90°位置との間)にあるときのアームアッセンブリ150とガイドアッセンブリ180との位置関係を示す。図14(d)は、カム板140の回転角度位置が+90°位置にあるときのアームアッセンブリ150とガイドアッセンブリ180との位置関係を示す。
ガイドアッセンブリ180は、ガイドリンク1804(ガイド支持部)を有している。ガイドリンク1804は、初期的には、不図示の付勢部材により、基端部1804bが斜め上方を向く姿勢に付勢されている(図14(a)参照)。ガイドリンク1804は、孔1804aに差し込まれた不図示のピンを支点に動作可能となっている。
アームアッセンブリ150のベース1506には、押さえ部1506aが形成されている。アームアッセンブリ150が前進すると、押さえ部1506aがガイドリンク1804の基端部1804bに当て付く(図14(b)参照)。押さえ部1506aは、基端部1804bが当て付く面がテーパ面となっている。そのため、基端部1804bは、押さえ部1506a(テーパ面)に当て付くと、テーパ面上を滑るように移動して、アームアッセンブリ150(ベース1506)の下面に導かれる。これにより、ガイドリンク1804は、付勢部材による付勢がアームアッセンブリ150によって押さえられる。
ガイド部1802は、連結ピン1808を介してガイドリンク1804の先端部1804cに連結されている。連結ピン1808の一端は、先端部1804cに形成された丸孔1804caに係合し、連結ピン1808の他端は、ガイド部1802に形成された長溝1802bに係合している。ガイド部1802の両側面には、ガイド部1802の支点となる支軸1802cが形成されている。支軸1802cは、ローラアッセンブリ170に形成された支持ピン1704に支持されている。ローラアッセンブリ170は、ユニット筐体130に固定支持されている。
押さえ部1506aと基端部1804bとが当て付いて、ガイドリンク1804が上記ピンを支点に回動すると、先端部1804cの姿勢がやや後方(棚板24aから離れる方向)に下がる。先端部1804cの姿勢がやや後方に下がることに伴って連結ピン1808の位置もやや後方に移動する。このとき連結ピン1808が長溝1802b内を摺動し、ガイド部1802が支軸1802cを支点として回動する。これにより、ガイド部1802は、先端部1802aが斜め下方を向く姿勢に変わり(図14(c)及び図14(d)参照)、先端部1802aが棚板24aよりも低い位置に下がった状態となる。
ベース1506は、スライドプレート1508を前進及び後退方向にスライド可能に支持している。板金であるスライドプレート1508の先端には、曲げ加工によって先端側壁部1508aが形成されている。ローラアッセンブリ170の前側には、前側壁部1706が形成されている。
カム板140の回転角度位置が+90°位置になると、アームアッセンブリ150に設けられたアーム1502が引き出し位置に達する(図15(b)参照)。アーム1502が引き出し位置に達する直前、ローラアッセンブリ170の前側壁部1706がスライドプレート1508の先端側壁部1508aに当て付いて、スライドプレート1508をベース1506に対して後方に押す(後方に極僅かにスライドさせる)。
スライドプレート1508には、カム溝が形成されている。このカム溝には、ハの字状(図13参照)に配置された一対のリンク1510の係合ピンが係合している。スライドプレート1508がローラアッセンブリ170の前側壁部1706によってベース1506に対して後方に押されると、リンク1510の係合ピンがスライドプレート1508のカム溝内を摺動し、ハの字が開く方向に一対のリンク1510が動く。これにより、各リンク1510と連結する一対のアーム1502の先端が互いに近付く方向に動いて、商品Iを両側面から挟持する。
商品取り動作では、コントローラ300は、カム板140が+90°位置に達すると、カム板140の回転を反転させる。すなわち、コントローラ300は、カム板140を+90°位置から0°位置に向けて回転(カムモータ141の回転を逆転)させる。これにより、アームアッセンブリ150は後退する(棚板24aから商品置場130aに向かって進む)。
アームアッセンブリ150(アーム1502)との連動により、ガイド部1802の先端部1802aは、棚板24aよりも低い位置に下がっている。そのため、商品Iは、その端面がガイド部1802の先端部1802aと衝突することなくガイド部1802に載り、棚板24aから商品置場130aへの移動がガイド部1802によってガイドされる。
アームアッセンブリ150が後退すると(+90°位置から0°位置に向かう途中)、押さえ部1506aによるガイドリンク1804の基端部1804bの押さえが外れる。そのため、ガイドリンク1804が初期の姿勢(基端部1804bが斜め上方を向く姿勢)に戻る。ガイドリンク1804が初期の姿勢に戻ることにより、ガイド部1802も初期の姿勢(先端部1802aが斜め上方を向く姿勢)に戻る。
図15(c)は、+90°位置から0°位置に戻ったときのユニット筐体130の各構成要素を模式的に示す。
スライドプレート1508の基端には、曲げ加工によって基端側壁部1508bが形成されている。ローラアッセンブリ170の後側には、前側壁部1706と同様の後側壁部(不図示)が形成されている。カム板140の回転角度位置が0°位置(アーム1502が引き出し位置)に達する直前、後側壁部が基端側壁部1508bに当て付いて、スライドプレート1508をベース1506に対して前方に押す(前方に極僅かにスライドさせる)。
スライドプレート1508がローラアッセンブリ170の後側壁部によってベース1506に対して前方に押されると、リンク1510の係合ピンがスライドプレート1508のカム溝内を摺動し、ハの字が閉じる方向に一対のリンク1510が動く。これにより、各リンク1510と連結する一対のアーム1502の先端が互いに離れる方向に動く(商品Iの両側面から離れて互いに遠ざかる方向に動く)。すなわち、一対のアーム1502による商品Iの挟持が解除される。
コントローラ300は、商品Iの挟持が解除されるタイミングで、例えば不図示の駆動部を制御して上部ガイド120の位置を下げると共に、ローラアッセンブリ170に回転可能に支持された複数のローラ1702の回転(ローラモータの正転)を開始する。これにより、商品Iは、上部ガイド120によって上方から緩く押えられながらローラ1702の回転によって商品置場130aに引き込まれる(図15(d)参照)。上部ガイド120によって商品Iを押さえることにより、ローラ1702の空転が防止される。
プッシュアッセンブリ160は、プッシュ部1602を有している。プッシュ部1602は、プッシュアッセンブリ160の本体部1606にスライド可能に支持されている。具体的には、プッシュ部1602は、本体部1606に形成されたガイド溝1606aに摺動可能に係合し、且つリンク1604を介して本体部1606と連結している。
不図示のコイルばねの一端が、リンク1604に形成された掛け部1604aに掛けられており、コイルばねの他端が、本体部1606に形成された掛け部1606bに掛けられている。このコイルばねの付勢力により、プッシュ部1602は前方に付勢されている。
プッシュアッセンブリ160の上方には、スイッチ基板148が設けられている。スイッチ基板146には、スイッチSW1及びSW2が実装されている。プッシュ部1602には、切片1602aが設けられている。切片1602aは、初期的(プッシュ部1602がコイルばねの付勢力によって前方に付勢されているとき)には、スイッチSW1と接触している。切片1602aとの接触時、スイッチSW1はオンされている。
商品Iがローラ1702の回転によって商品置場130aに引き込まれると、商品Iの端面がプッシュ部1602に当て付いて、プッシュ部1602を後方に押す。プッシュ部1602が本体部1606に対して後方にスライドすることにより、切片1602aが後退してスイッチSW1から離れて、スイッチSW1がオフになる。コントローラ300は、スイッチSW1がオフになると、プッシュ部1602が後方に押されたことを検知する。
プッシュ部1602が更に後方に押されて切片1602aがスイッチSW2に接触すると、スイッチSW2はオンされる。これにより、コントローラ300は、商品置場130aへの商品Iの収容が完了したと判断し、ローラ1702の回転を停止させて、商品取り動作を終了させる。
《商品置き動作》
図16(a)〜図16(d)は、搬送ユニット100が商品置場130aに収容した商品Iを在庫ストッカ24(棚板24a)に置く商品置き動作を概説するための図である。なお、補充ストッカ22(棚板22a)に商品を置く商品置き動作も、図16に示される商品置き動作と同じである。そのため、補充ストッカ22に商品を置く商品置き動作についての説明は省略する。
図16(a)は、商品置き動作を行う前の状態を示す。搬送ユニット100は、プッシュアッセンブリ160を前進させて、プッシュ部1602によって商品置場130aから商品Iを押し出し(図16(b)及び図16(c)参照)、押し出した商品Iを棚板24aに移す(図16(d)参照)。これにより、商品Iの補充が完了する。
商品置き動作中、アーム1502は引き入れ位置から動かない。そのため、ガイド部1802の先端部1802aは、棚板24aよりも高い位置に上がったままである。従って、商品Iは、その端面が棚板24aの端面に衝突することなく、ガイド部1802から棚板24aにスムーズに移動される。本実施形態によれば、商品Iを商品置場130aから棚板24aにスムーズに置くことができると共に、商品Iの端面と棚板24aの端面とが衝突することによる商品Iの損傷が避けられる。
図17(a)〜図17(d)は、商品置き動作を行う際の搬送ユニット100の各構成要素の動作を模式的に示す図である。主に図13や図17を用いて、商品置き動作の説明を更に行う。
図17(a)は、商品置き動作を行う前の状態を示す。商品置き動作では、コントローラ300は、まず、ローラ1702の回転(ローラモータの逆転)を開始する。これにより、商品Iは、上部ガイド120によって上方から緩く押えられながらローラ1702の回転によって商品置場130aから棚板24aに向けて搬送される(図17(b)参照)。
プッシュ部1602は、コイルばねの付勢力によって前方に付勢されているため、商品Iがローラ1702によって搬送されると、商品Iに追従して商品Iを押し出すように本体部1606に対して前方にスライドする。プッシュ部1602が前方にスライドすることにより、切片1602aが前進してスイッチSW2から離れて、スイッチSW2がオフになる。これにより、コントローラ300は、商品Iが商品置場130aから押し出されようとしていることを検知する。
プッシュ部1602が更に前方にスライドしてスイッチSW1に接触すると、スイッチSW1はオンされる。これにより、コントローラ300は、ローラ1702による商品Iの搬送が完了したことを検知して、ローラ1702の回転を停止させる。
次いで、コントローラ300は、カム板140を0°位置から−90°位置に向けて回転(カムモータ141を逆転)させる。
プッシュリンク143には、フォロア143aが設けられている。フォロア143aは、第三カム溝140cに係合している。カムモータ141によってカム板140が回転すると、プッシュリンク143は、第三カム溝140cに追従して動く。
プッシュリンク143には、長溝143bが形成されている。長溝143bには、プッシュアッセンブリ160の下面に設けられたフォロア(図面上不可視)が係合している。カム板140の回転力は、プッシュリンク143を介して(フォロアが長溝143b内を摺動して)プッシュアッセンブリ160に伝達される。
プッシュアッセンブリ160は、カム板140の回転力がプッシュリンク143を介して伝達されると、前進又は後退する。具体的には、カム板140が0°位置から−90°位置に向けて回転すると、プッシュアッセンブリ160が前進し、カム板140が−90°位置から0°位置に向けて回転すると、プッシュアッセンブリ160が後退する。
コントローラ300は、カム板140を0°位置から−90°位置に向けて回転させて、プッシュアッセンブリ160を前進させる。これにより、商品Iは、プッシュ部1602によって押されて、カム板140が−90°位置に到達した時点で商品置場130aから押し出される(図17(c)参照)。すなわち、プッシュアッセンブリ160は、商品Iを商品置場130aから出す物品出し部として機能する。
商品Iは、商品置場130aから押し出されることによって棚板24aに移る(補充される)。カムモータ141を正転させてカム板140を−90°位置から0°位置に戻すと、プッシュアッセンブリ160は、後退して元の位置に戻る(図17(d)参照)。
《商品排出動作》
図18(a)〜図18(c)は、搬送ユニット100が商品置場130aに収容した商品Iを排出用シュータ40に落下させる商品排出動作を概説するための図である。
図18(a)は、商品排出動作を行う前の状態を示す。コントローラ300は、回転モータ110を制御して、搬送ユニット100の向きを在庫ストッカ24の棚板24aと正対する向きから90°程度回転させる(図18(b)参照)。搬送ユニット100は、商品置き動作時と同じ動作を行って商品置場130aから商品Iを押し出して排出用シュータ40に落下させる(図18(c)参照)。これにより、客は、購入を希望した商品Iを受け取ることができる。
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施例等又は自明な実施例等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。