JP2019103783A - 加熱調理器 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱調理器の内側の側壁を効率良く加熱する。【解決手段】有底筒状に形成され、内部に密閉空間を有する2重壁構造を成す加熱調理器において、前記加熱調理器の内側部分を構成する有底筒状の内側容器と、前記加熱調理器の外側部分を構成する有底筒状の外側容器と、前記密閉空間内に注入された作動液と、を備え、前記密閉空間内における前記作動液の量が、前記密閉空間における底面の全体を覆わない量に設定されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、加熱調理器に関する。
下記特許文献1には、ヒートパイプ式の加熱調理器が記載されている。この加熱調理器は、内部に密閉空間を有する2重壁構造を成しており、密閉空間内に作動液が注入されている。そして、加熱調理器の底部を加熱すると、作動液が沸騰し、作動液において気化した蒸気が密閉空間の側部に上昇する。これにより、加熱調理器の内側の側壁が、蒸気によって加熱される。さらに、側壁を加熱した蒸気は、凝縮して、作動液として液体に変化する。液体に変化した作動液は、自重によって下降して密閉空間の底部内に戻るようになっている。そして、作動液における上記相変化のサイクルを繰り返すことで、加熱調理器が加熱される。
特許2713008号公報
しかしながら、上記加熱調理器では、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、上記加熱調理器では、加熱調理器の内側の側壁を効率よく加熱するための、密閉空間内の作動液の量について、特に規定していない。
本発明は、上記事実を考慮して、加熱調理器の内側の側壁を効率良く加熱することができる加熱調理器を提供する。
形態1:本発明の1又はそれ以上の実施形態は、有底筒状に形成され、内部に密閉空間を有する2重壁構造を成す加熱調理器であって、前記加熱調理器の内側部分を構成する有底筒状の内側容器と、前記加熱調理器の外側部分を構成する有底筒状の外側容器と、前記密閉空間内に注入された作動液と、を備え、前記密閉空間内における前記作動液の量が、前記密閉空間における底面の全体を覆わない量に設定されていることを特徴とする加熱調理器である。
形態2:本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記密閉空間における底部に対する前記作動液の体積比率が4vol%〜80vol%に設定されていることを特徴とする加熱調理器である。
形態3:本発明の1又はそれ以上の実施形態は、縦断面視で、前記加熱調理器の底部における前記密閉空間の高さ寸法が、側部における前記密閉空間の幅寸法以上で且つ2mm以上に設定されていることを特徴とする加熱調理器である。
形態4:本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記密閉空間内は、0.01atm以下の減圧あるいは真空に維持されることを特徴とする加熱調理器である。
形態5:本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記内側容器の内側側壁部又は前記外側容器の外側側壁部には、前記作動液を前記密閉空間内に注入するとき及び前記密閉空間内を減圧あるいは真空にするときに用いられる複数のパイプが設けられていることを特徴とする加熱調理器である。
形態6:本発明の1又はそれ以上の実施形態は、複数のパイプが、前記加熱調理器の周方向に等間隔に配置されており、前記パイプには、前記パイプを覆うカバーが装着されている加熱調理器である。
形態7:本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記内側容器の内側底壁部と内側側壁部との間には、前記内側容器の外側へ凸に湾曲された内側コーナ部が形成されており、前記内側コーナ部の半径が、前記内側底壁部から前記内側側壁部に向かうに従い小さくなるように設定されていることを特徴とする加熱調理器である。
形態8:本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記内側容器及び前記外側容器における前記密閉空間を構成する面には、鏡面処理が施されていることを特徴とする加熱調理器である。
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、加熱調理器の内側の側壁を効率良く加熱することができる。
図1は、第1の実施の形態に係る内釜の縦断面図(図2の1−1線拡大断面図)である。 図2は、第1の実施の形態に係る内釜を上側から見た平面図である。 図3は、図1に示される内釜の半分を拡大して示す拡大断面図である。 図4は、図1に示されるカバーを示す上側から見た一部破断した平面図である。 図5は、図1に示される内釜が適用された炊飯器を示す縦断面図である。 図6は、図1に示される内釜を用いて炊飯したときの内釜及びご飯の温度データを示すグラフである。 図7は、図1に示される内釜を用いて炊飯したときの内釜の内側底壁部及び外側側壁部の温度データを示すグラフであり、密閉空間の底部に対する作動液の体積比率を変化させた場合に場合分けして示している。図7(A)は、作動液の体積比率を3vol%に設定した場合を示し、図7(B)は、作動液の体積比率を10vol%に設定した場合を示し、図7(C)は、作動液の体積比率を85vol%に設定した場合を示している。 図8は、図1に示される内釜を加熱したときの、密閉空間の側部における蒸気の上昇を説明するための説明図である。 図9は、図1に示される内釜の変形例を示す図1に対応する縦断面図である。 図10(A)は、図1に示される内側底壁部と外側底壁部との連結のバリエーションの一例を示す斜視図であり、図10(B)は、内側底壁部と外側底壁部との連結の他のバリエーションを示す斜視図である。 図11(A)は、第2の実施の形態に係る内釜の縦断面図(図11(B)の11A−11A線断面図)であり、図11(B)は、図11(A)に示される内釜の下面図である。 図12は、図11に示される内釜の製造方法を説明するための説明図である。 図13は、第3の実施の形態に係る内釜の縦断面である。 図14(A)は、図11に示されるパイプのバリエーション1を説明するための内釜の縦断面図(図14(B)の14A−14A線断面図)であり、図14(B)は、図14(A)に示される内釜の下面図である。 図15は、図11に示されるパイプのバリエーション2を説明するための内釜の縦断面図である。 図16(A)は、図11に示される内釜にノッチを形成した例を示す縦断面図であり、図16(B)は、図16(A)に示されるノッチの拡大断面図(図16(A)の16B−16B線拡大断面図)である。図16(C)は、図16(A)のノッチをパイプに形成した例を示す部分縦断面図である。 図17は、図1に示される内釜において連結ピンを省略した他の変形例を示す図1に対応する縦断面図である。 図18は、図1に示される内側容器の第1フランジ及び外側容器の第2フランジの変形例を示す部分縦断面図である。
(第1の実施の形態)
以下、図1〜図8を用いて、第1の実施の形態に係る「加熱調理器」としての内釜30について説明する。内釜30は、炊飯用の釜として、炊飯器10の一部を構成している。このため、以下の説明では、初めに、炊飯器10の構成について説明し、次いで、内釜30の構成について説明する。なお、図面において適宜示される矢印UPは、炊飯器10及び内釜30の上側を示している。そして、以下の説明において、上下の方向を示して説明するときには、特に断りのない限り、炊飯器10及び内釜30の上下方向を示すものとする。
(炊飯器10について)
図5に示されるように、炊飯器10は、IH(induction Heating)式の炊飯器であり、炊飯器本体12と、蓋部24と、を含んで構成されている。
<炊飯器本体12について>
炊飯器本体12は、後述する内釜30を収容するための内釜収容部14を有している。この内釜収容部14は、上側へ開放された凹状を成すと共に、上側から見た平面視で略円形状に形成されている。内釜収容部14の下側には、内釜30を加熱するための加熱部16が設けられている。加熱部16は、誘導コイルによって構成されており、誘導コイルは、内釜収容部14の下側において、略渦巻き状に巻き回されている。
また、加熱部16の下側には、電源部18が設けられており、電源部18によって加熱部16(誘導コイル)に高周波電流が印加されるようになっている。これにより、加熱部16(誘導コイル)に高周波電流が印加されることで、後述する内釜30内に渦電流が発生して、内釜30内の電気抵抗によって内釜30が発熱するようになっている。また、内釜収容部14における中央部の下側には、温度センサ20が設けられている。この温度センサ20は、内釜30の底部の温度を測定するセンサとして構成されている。さらに、炊飯器本体12の上部には、電源部18及び温度センサ20が電気的に接続された制御部22が設けられている。そして、制御部22が、温度センサ20からの出力信号に基づいて、電源部18を制御するようになっている。
<蓋部24について>
蓋部24は、ヒンジ機構26によって、炊飯器本体12の上部に回動可能に連結されて、内釜収容部14の開口部を覆っている。そして、この状態から、蓋部24を回動させることで、内釜収容部14の開口部が開閉されて、後述する内釜30を内釜収容部14内へ収容可能に構成されている。
(内釜30について)
図1〜図3に示されるように、内釜30は、上側へ開放された略有底円筒状に形成されると共に、内部に密閉空間36を有する2重壁構造を成している。具体的には、内釜30は、内釜30の内側部分を構成する内側容器32と、内釜30の外側部分を構成する外側容器34と、を含んで構成されている。また、内釜30の密閉空間36内には、作動液40が注入されている。さらに、内釜30は、内側容器32及び外側容器34を連結する連結ピン42(広義には、「連結部」として把握される要素である)と、内釜30の開口部に形成されたフランジを覆うカバー50と、を備えている。以下、内釜30の各構成について説明する。
<内側容器32について>
内側容器32は、磁性体(本実施の形態では、一例としてステンレス)によって構成されて、上側へ開放された略有底円筒状に形成されている。具体的には、内側容器32は、内側容器32の底部を構成する内側底壁部32Aと、内側容器32の側部を構成する円筒状の内側側壁部32Bと、内側底壁部32A及び内側側壁部32Bを接続する内側コーナ部32Cと、を含んで構成されている。内側底壁部32Aは、上下方向を板厚方向とした略円板状に形成されている。また、内側底壁部32Aは、縦断面視で、その中央部から径方向外側へ向かうに従い下側へ若干傾斜されている。換言すると、内側底壁部32Aの中央部が上側へ凸となるように、内側底壁部32Aが若干湾曲して形成されている。
内側コーナ部32Cは、縦断面視で、内側容器32の外側(内側容器32の径方向外側で且つ下側)へ凸となるように略4分楕円状に湾曲されて、内側底壁部32Aの外周端部と内側側壁部32Bの下端部とを滑らかに接続している。具体的には、縦断面視で、内側コーナ部32Cの半径Rが、内側底壁部32Aの外周端部から内側側壁部32Bの下端部へ向かうに従い小さくなるように設定されている。すなわち、半径Rにおける内側底壁部32Aの外周端部に対応する半径R1が、半径Rにおける内側側壁部32Bの下端部に対応する半径R2よりも大きく設定されている。
内側側壁部32Bの開口部には、内側容器32の径方向外側へ張り出された第1フランジ32Dが形成されており、第1フランジ32Dは内側側壁部32Bの周方向全周に亘って延在されている。この第1フランジ32Dは、ヘミング加工等によって成形されて、内側容器32の径方向内側へ開放された略U字形状に屈曲されている。具体的には、第1フランジ32Dは、内側側壁部32Bの開口端部において内側容器32の径方向外側へ略90度に屈曲された上フランジ部32D1と、上フランジ部32D1の先端部において、下側に且つ内側容器32の径方向内側に略180度に折り返された下フランジ部32D2と、を含んで構成されている。なお、上フランジ部32D1と下フランジ部32D2との間には、後述する外側容器34の第2フランジ34Dが配置されて、第2フランジ34Dが第1フランジ32Dに接合されている。
また、内側容器32の内周面には、耐熱性のフッ素樹脂加工、ここではテフロン(登録商標)によって構成された層が形成されている。一方、内側容器32の外側面(具体的には、密閉空間36を構成する面)には、鏡面処理が施されている。
<外側容器34について>
外側容器34は、内側容器32と同様に、磁性体(本実施の形態では、一例としてステンレス)によって構成されて、上側へ開放された略有底円筒状に形成されている。具体的には、外側容器34は、外側容器34の底部を構成する外側底壁部34Aと、外側容器34の側部を構成する円筒状の外側側壁部34Bと、外側底壁部34Aの外周端部と外側側壁部34Bの下端部とを接続する外側コーナ部34Cと、を含んで構成されている。また、本実施の形態では、内側容器32及び外側容器34の板厚が同じに設定されており、内側容器32及び外側容器34では、全体において均一(一定)の板厚に設定されている。
外側側壁部34Bは、内側容器32の内側側壁部32Bよりも大径の円筒状に形成されて、内側側壁部32Bの径方向外側において、内側容器32と同軸上に配置されている。また、外側底壁部34Aは、上下方向を板厚方向とする円形平板状に形成されて、内側容器32の内側底壁部32Aの下側に配置されている。すなわち、内釜30が、炊飯器10の内釜収容部14内に収容されたときには、内釜収容部14の底面に外側底壁部34Aが密着するようになっている。なお、内側容器32の内側底壁部32Aと同様に、外側底壁部34Aの中央部が上側へ凸となるように、外側底壁部34Aを若干湾曲させてもよい。
外側コーナ部34Cは、内側コーナ部32Cと同様に、縦断面視で、外側容器34の外側(下側かつ外側容器34の径方向外側)へ凸となるように略4分楕円状に湾曲されて、外側底壁部34Aの外周端部と外側側壁部34Bの下端部とを滑らかに接続している。具体的には、縦断面視で、内側コーナ部32Cの半径が、外側底壁部34Aの外周端部から外側側壁部34Bの下端部に向かうに従い小さくなるように設定されている。
外側側壁部34Bの開口端部には、径方向外側へ張り出された第2フランジ34Dが形成されている。第2フランジ34Dは、外側側壁部34Bの開口端部において、外側容器34の径方向外側に略90度に屈曲されて、外側側壁部34Bの周方向全周に亘って延在されている。そして、第2フランジ34Dが、内側容器32の第1フランジ32Dにおける上フランジ部32D1及び下フランジ部32D2の間に配置され、第1フランジ32Dによって圧接されて、両者に接合されている。すなわち、第1フランジ32Dの成形時に、第1フランジ32Dの上フランジ部32D1及び下フランジ部32D2が第2フランジ34Dを上下に圧接するように、第1フランジ32Dが屈曲成形されている。これにより、外側容器34が内側容器32に組付けられて、内側容器32と外側容器34との間には、縦断面視で上側へ開放された略U字形を成す密閉空間36が形成されている。なお、第1フランジ32Dの先端部は、アーク溶接等によって、第2フランジ34Dに接合されている。また、第1フランジ32Dの先端部と第2フランジ34Dとの接合に加えて、第1フランジ32Dと第2フランジ34Dとの上下方向に重なる重合部に、スポット溶接、シームレス溶接、レーザ溶接等を施して、両者を接合してもよい。これにより、密閉空間36の気密性を確保する構成になっている。さらに、外側容器34の内側面(密閉空間36を構成する面)には、鏡面処理が施されている。
ここで、密閉空間36について説明する。
密閉空間36は、上述のように、縦断面視で中空の略U字形に形成されている。そして、本実施の形態では、密閉空間36における底部36Aを、内側容器32の内側底壁部32Aの内側面よりも下側の領域(空間)としている(図1及び図3の2点鎖線L1で示される位置よりも下側の領域を参照)。これにより、本実施の形態では、密閉空間36における底部36Aを構成する外側容器34の内側面が、密閉空間36における底面36Bとされており、底面36Bは、外側容器34の外側底壁部34Aの内側面と、外側コーナ部34Cの内側面の一部と、を含んで構成されている。
さらに、底面36Bには、後述するように作動液40が貯留しており、加熱部16(誘導コイル)に高周波電流が印加されると、磁性体である外側底壁部34Aが発熱し、作動液40が加熱される。
また、密閉空間36では、密閉空間36の底部36Aの高さ寸法H(内側底壁部32Aと外側底壁部34Aとの間の上下寸法であり、図3参照)が、密閉空間36の側部36Cの幅寸法W(内側側壁部32Bと外側側壁部34Bとの間の内釜30の径方向の寸法であり、図3参照)以上で、且つ2mm以上に設定されている。本実施の形態では、底部36Aの高さ寸法Hが、4mmに設定されており、側部36Cの幅寸法Wが、2mmに設定されている。また、内釜30の大型化及び内釜30の釜としての実用レベルを考慮すると、底部36Aの高さ寸法Hを10mm以下に設定することが望ましい。なお、内側底壁部32Aは、上述のように、その中央部が上側へ凸となるように若干湾曲しているため、高さ寸法Hが、内釜30の径方向において変化する。このため、本実施の形態では、高さ寸法Hを、内側底壁部32Aと外側底壁部34Aとの間の上下寸法の最小値としている。また、図面では、便宜上、密閉空間36の側部36Cの幅を誇張して図示している。
外側容器34の説明に戻って、外側容器34の外側側壁部34Bの上側部分には、第2フランジ34Dの下側の位置において、円形状の貫通孔34Eが形成されている。また、外側容器34の外側側壁部34Bには、貫通孔34Eに対応する位置において、後述する作動液40の密閉空間36への注入用及び密閉空間36の真空引き用のパイプ38が設けられている。パイプ38は、貫通孔34Eと同軸上に配置されており、パイプ38の基端部が、アーク溶接等によって外側側壁部34Bに接合されている。これにより、外側側壁部34Bから内釜30の径方向外側へ突出したパイプ38によって、密閉空間36内と内釜30の外部とが連通されている。
そして、本実施の形態では、パイプ38から密閉空間36の内部に作動液40を注入するようになっている。また、密閉空間36内に作動液40を注入した後には、パイプ38に真空ポンプ(図示省略)を装着し、密閉空間36内の空気を真空ポンプによって排出して、密閉空間36内が、0.1atm未満の減圧(より好ましくは、0.01atm以下の減圧)あるいは真空に維持される設定になっている。なお、作動液40を注入するパイプと真空排気のためのパイプは共通である必要はなく、それぞれ別個に備えてもよい。
パイプ38の先端部には、カシメ部38Aが形成されており、カシメ部38Aによってパイプ38の先端部が閉塞されている。具体的には、真空ポンプによって密閉空間36内の空気を排出しながら、パイプ38の先端部をカシメ加工して、カシメ加工した部分を切断することで、カシメ部38Aが成形されている。また、カシメ部38Aは、上下に押し潰されて、上下方向を板厚方向とした略板状に形成されている。さらに、カシメ部38Aの先端部は、アーク溶接等によって封止されている。これにより、密閉空間36の気密性を確保している。
<作動液40について>
本実施の形態では、作動液40として水を使用している。そして、作動液40が、前述したパイプ38から密閉空間36内に注入されて、密閉空間36の底部36A内に貯留されている。また、作動液40の密閉空間36の底部36Aに対する体積比率が、4vol%〜80vol%に設定されている。すなわち、作動液40の貯留状態では、密閉空間36の底部36Aの全体が作動液40によって浸水されておらず、密閉空間36の底部36Aの上部には、作動液40と内側底壁部32Aとの間において、隙間が形成されるようになっている。より詳しくは、本実施の形態では、作動液40が、密閉空間36の底部36Aの底面36B全体を覆わないように、作動液40の密閉空間36内の量が設定されている。これにより、作動液40が密閉空間36の底面36B上に配置された状態では、水滴状の複数の作動液40が、底面36B上に分散して配置されている。なお、本実施の形態では、上述のように、作動液40の密閉空間36の底部36Aに対する体積比率を、4vol%〜80vol%に設定しているが、上記体積比率を、好ましくは5vol%〜20vol%、さらに好ましくは7vol%〜15vol%、特に好ましくは8vol%〜12vol%に設定するのが望ましい。
<連結ピン42について>
連結ピン42は、磁性体(本実施の形態では、一例としてステンレス)によって構成されている。この連結ピン42は、上下方向を軸方向とした略円柱状に形成されて、内釜30の内側底壁部32Aと外側底壁部34Aとを連結している。具体的には、連結ピン42は、内側底壁部32Aの中央部と外側底壁部34Aの中央部とを連結するセンタピン44と、内側底壁部32Aの外周部と外側底壁部34Aの外周部とを連結する複数(本実施の形態では、4本)の外周ピン46と、を含んで構成されている。そして、外周ピン46は、内釜30の周方向に等間隔毎(90度毎)に離間して配置されている。
なお、本実施の形態では、連結ピン42の上端部が、内側容器32の内側底壁部32Aにアーク溶接等によって接合されている。一方、連結ピン42の下端部は、内側容器32と外側容器34とを組付けた後に、外側容器34の外側からレーザ溶接等によって、外側容器34の外側底壁部34Aに接合されている。また、本実施の形態では、連結ピン42がセンタピン44と外周ピン46とを含んで構成されているが、連結ピン42において、外周ピン46を省略して、連結ピン42をセンタピン44のみとしてもよい。
<カバー50について>
図1、図3、及び図4に示されるように、カバー50は、円形リング状に形成されて、内側容器32の第1フランジ32D及びパイプ38を、内釜30の径方向外側から覆っている。カバー50は、耐熱性を有する樹脂(本実施の形態では、一例として耐熱ABS)によって構成されている。また、カバー50は、平面視で、2分割されて、一対のカバー部材52によって構成されている。一対のカバー部材52は、平面視で内釜30の中央側へ開放された半円状(略C字形状)を成すと共に、周方向(長手方向)から見た断面視で、内釜30の径方向内側へ開放された凹状に形成されている。具体的には、カバー部材52は、カバー部材52の外周部を構成する外周壁52Aと、外周壁52Aの上端部からカバー部材52の径方向内側へ延出された上壁52Bと、外周壁52Aの下端部からカバー部材52の径方向内側へ延出された下壁52Cと、を含んで構成されている。また、上壁52Bと下壁52Cとの間には、外周壁52Aの上下方向中間部から径方向内側へ延出された上下一対の中間壁52Dが形成されており、中間壁52Dは、上壁52B及び下壁52Cと平行に配置されて、カバー部材52の周方向に延在されている。
カバー部材52の内部における上側部分(上側の中間壁52Dと上壁52Bとの間の空間)は、第1収容部52Eとされている。そして、第1収容部52E内に内釜30の第1フランジ32Dが嵌入されて、カバー部材52が内釜30に固定されている。換言すると、カバー部材52によって内釜30の第1フランジ32D(第2フランジ34Dを含む)が径方向外側から覆われている。また、カバー部材52の内部における下側部分(下側の中間壁52Dと下壁52Cとの間の空間)は、第2収容部52Fとされている。そして、第2収容部52F内には、内釜30のパイプ38が収容されている。これにより、パイプ38がカバー部材52によって内釜30の径方向外側から覆われている。
また、一方のカバー部材52の外周壁52Aには、長手方向両端部において、径方向外側へ突出されたフック52G(図4参照)が形成されている。さらに、他方のカバー部材52の外周壁52Aには、長手方向両端部において、一方のカバー部材52側へ張り出された係合片52H(図4参照)が形成されており、係合片52Hの先端側の部分には、フック52Gと係合する係合孔52J(図4参照)が形成されている。これにより、一対のカバー部材52が係合した状態で、カバー50が、第1フランジ32D及びパイプ38を内釜30の径方向外側から覆っている。
なお、カバー部材52の内釜30への固定として、上述のフック52G及び係合片52Hを省略して、第1フランジ32Dを第1収容部52E内に嵌入させる構成のみにしてもよい。また、カバー部材52をネジやリベット等によって第1フランジ32Dに締結固定して、カバー部材52を内釜30に固定してもよい。さらに、カバー50は、2分割に限らず、カバー50を、3片以上に分割した構成にしてもよい。
(作用及び効果)
次に、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
上記のように構成された内釜30及び炊飯器10を用いて、炊飯するときには、内釜30を炊飯器10の内釜収容部14内に収容して、炊飯器10の加熱部16によって内釜30の底部を加熱する。具体的には、加熱部16(誘導コイル)に高周波電流を印加して、内釜30内に渦電流を発生させる。これにより、内釜30の底部が発熱して、密閉空間36内の作動液40が加熱される。
加熱された作動液40の温度が沸点に到達すると、作動液40が沸騰して、作動液40の一部が気化する。気化した蒸気は、一瞬で密閉空間36内に拡散し、内釜30の内側側壁部32Bを加熱する。そして、内釜30の内側側壁部32Bを加熱した蒸気は、凝縮して、気体から作動液40として液体に変化する。液体となった作動液40は、自重によって、密閉空間36の底部36Aに戻る。そして、作動液40において、上記相変化のサイクルを繰り返すことで、内釜30の内側側壁部32Bが加熱され、内釜30内の調理物(ご飯)を加熱する。作動液40の蒸気は密閉空間36を囲む内側容器32と外側容器34の全壁面に同一温度で到達するので、内側容器32の内側底壁部32A、内側側壁部32B、内側コーナ部32Cが時間遅れなくほぼ均一に加熱されながら、内側容器32の温度が上昇する。
図6には、本実施の形態の内釜30を用いて炊飯したときの、内釜30及びご飯の温度データの一例をグラフで示している。このグラフでは、横軸が炊飯開始からの時間(分)を示しており、縦軸は温度(℃)を示している。また、図6に示される実線は、内釜30の内側側壁部32Bの上部における測定データであり、点線は、内釜30の内側底壁部32Aの中央部における測定データであり、1点鎖線は、内釜30内のご飯の上部の測定データであり、2点鎖線は、内釜30内のご飯の下部の測定データである。
そして、この図に示されるように、炊飯開始から略20分後に開始する「炊飯区間」の開始時では、内釜30の内側側壁部32Bの温度が、内釜30の内側底壁部32Aの温度と同等に、100℃まで温度上昇していることがわかる。また、内釜30の温度が100℃に到達した以降の、「炊飯区間」及び「蒸らし区間」においても、内側側壁部32Bと内側底壁部32Aとの間で温度差が略ない状態で、内釜30が加熱されていることがわかる。
さらに、「炊飯区間」の開始時には、内釜30の内側側壁部32B及び内側底壁部32Aの温度上昇に追従して、ご飯の上部及び下部の温度が上昇していくことがわかる。換言すると、内釜30の内側側壁部32B及び内側底壁部32Aと、ご飯の上部及び下部と、の間の温度差を少なくして、ご飯を炊飯できることがわかる。
また、本実施の形態では、炊飯における「浸し区間」を省略して、炊飯開始から直ちに「炊飯区間」として炊飯する所謂早炊き炊飯においても、短い時間でご飯を炊飯できることが判明された。すなわち、一般に、早炊き炊飯を行う場合には、早炊き炊飯中におけるお米を浸す水(以下、「浸水」と称する)の過度の蒸発を防ぐために、炊飯途中において、炊飯器10の加熱部16(誘導コイル)に対する出力を、炊飯開始の出力に対して下げる制御を行っている。このため、炊飯途中において上記出力を一旦下げる分、早炊き炊飯における炊飯終了までの時間が長くなる。
これに対して、本実施の形態の内釜30を用いた早炊き炊飯の場合には、早炊き炊飯中における浸水の過度の蒸発を抑制できることが判明された。このため、炊飯器10の加熱部16(誘導コイル)に対する出力を、炊飯開始から終了まで一定の出力に設定して内釜30を加熱しても、通常の炊飯によって炊かれたご飯と遜色のないご飯を炊けることが確認された。これにより、炊飯器10の加熱部16(誘導コイル)に対する出力を、炊飯開始から終了まで一定の出力に設定することで、早炊き炊飯の時間を一層短くできる。
ここで、本実施の形態の内釜30では、密閉空間36の底部36Aに対する作動液40の体積比率が、4vol%〜80vol%に設定されている。具体的には、密閉空間36の底面36Bの全体を覆わないように、複数の作動液40が水滴状に密閉空間36の底面36B上に注入されている。これにより、内側容器32の内側側壁部32Bを効率良く加熱することができる。
以下、この点について、図7に示されるグラフを用いて説明する。図7に示されるグラフは、内釜30の炊飯時における、底部36Aに対する作動液40の体積比率を変化させたときの内釜30の温度を測定したデータの一例を示している。そして、図7の各グラフでは、横軸が炊飯開始からの時間(分)を示しており、縦軸は温度(℃)を示している。また、各グラフにおける実線は、内釜30の内側側壁部32Bの上部における測定データであり、点線は、内側側壁部32Bの下部における測定データであり、1点鎖線は、内釜30の内側底壁部32Aの中央部の測定データであり、2点鎖線は、内側底壁部32Aの外周部の測定データである。さらに、図7(A)では、上記体積比率を3vol%に設定し、図7(B)では、上記体積比率を10vol%に設定し、図7(C)では、上記体積比率を80vol%より大きい値(略85vol%)に設定している。
図7(A)に示されるように、上記体積比率を3vol%以下に設定すると、作動液40における相変化のサイクル(液体から気化して蒸気に変化し、蒸気から凝縮して液体に戻る循環サイクル)は起きているものの、内釜30の全体の温度上昇の挙動が不安定になることが判明された。
また、図7(C)に示されるように、上記体積比率が80vol%を超えると、蒸気の相変化のサイクル効率が低下して、内釜30の内側底壁部32Aと内側側壁部32Bとの間の温度差が大きくなり、内釜30全体における温度の均一性が得られないことが判明された。
一方、図7(B)に示されるように、上記体積比率を10vol%に設定すると、蒸気の相変化のサイクルが良好に行われ、内釜30の内側底壁部32A及び内側側壁部32Bの間の温度差が抑制された状態で内釜30全体が温度上昇し、且つ内釜30全体が略均一に加熱されることが判明された。
以上により、作動液40の密閉空間36における底部36Aに対する体積比率を、4vol%〜80vol%に設定することで、内側容器32の内側側壁部32Bを効率良く加熱し、内釜30全体を略均一に加熱することができる。
また、内釜30では、密閉空間36の底部36Aにおける高さ寸法Hが、側部36Cにおける幅寸法W以上で、且つ2mm以上に設定されている。このため、内側容器32の内側側壁部32Bを一層効率良く加熱することができる。
すなわち、高さ寸法Hを、幅寸法Wよりも小さく且つ2mm未満に設定すると、作動液40における相変化のサイクルにおいて、凝縮して液体に戻る作動液40の、密閉空間36の側部36Cから底部36Aへの戻り効率が低下して、内釜30に対する均一加熱の効果が下がることが判明された。このため、上述のように、高さ寸法Hを、幅寸法W以上で且つ2mm以上に設定することで、凝縮して液体に戻った作動液40の、密閉空間36の側部36Cから底部36Aへの戻り効率の低下を抑制して、内釜30に対する均一加熱の効果を高めることができる。以上により、内側容器32の内側側壁部32Bを一層効率良く加熱することができる。
さらに、密閉空間36内が、0.1atm未満の減圧(より好ましくは、0.01atm以下の減圧)あるいは真空に維持される設定になっている。このため、内側容器32の内側側壁部32Bを一層効率良く加熱することができる。
すなわち、図8に示されるように、密閉空間36において発生した蒸気は、内釜30の内側側壁部32Bに沿って上昇する(図8の矢印を参照)。このとき、密閉空間36内を、0.1atmを超える減圧にした場合は、密閉空間36内の残存空気A(2点鎖線で示される部分を参照)が、内側側壁部32Bに沿って上昇する蒸気によって、密閉空間36の上端側へ押し上げられるようになる。すなわち、この場合では、密閉空間36内の残存空気Aが、蒸気の上昇時における蒸気に対する抵抗層となり、蒸気の上昇を阻む傾向になる。そして、密閉空間36内を0.1atm未満の減圧状態にすることで、上昇する蒸気に対する残存空気Aの抵抗が少なくなり、蒸気を密閉空間36の上端側へ上昇させて、内側側壁部32Bを蒸気によって良好に加熱できる。また、密閉空間36内を、0.01atm以下の減圧あるいは真空に維持することで、内側側壁部32Bを蒸気によって一層良好に加熱できる。したがって、密閉空間36内を、0.1atm未満の減圧(より好ましくは、0.01atm以下の減圧)あるいは真空に維持するように設定することで、内側容器32の内側側壁部32Bを一層効率良く加熱することができる。
また、内釜30の内側コーナ部32Cの半径Rが、内側底壁部32Aの外周端部から内側側壁部32Bの下端部に向かうに従い小さくなるように設定されている。すなわち、半径Rにおける内側底壁部32Aの外周端部に対応する半径R1が、半径Rにおける内側側壁部32Bの下端部に対応する半径R2よりも大きく設定されている。これにより、内釜30の容量(炊飯できる量)の減少を抑制しつつ、密閉空間36内において発生した蒸気を、内釜30の内側コーナ部32Cに沿って内側側壁部32B側へ効果的に上昇させることができる。以下、この点について説明する。
すなわち、内釜30の径方向の大きさを変更せずに、仮に、内側コーナ部32Cの半径Rを、内側底壁部32Aの外周端部に対応する半径R1として一定に設定した場合(以下、この場合を比較例と称する)には、内側コーナ部32Cの下側部分が、本実施の形態よりも径方向内側へ入り込むようになる。すなわち、内側底壁部32Aの直径寸法が小さくなる。これにより、比較例では、内釜30の容量が減少する傾向になる。
また、比較例では、縦断面視において、内側コーナ部32Cに接する接線の水平方向に対する傾斜角度が、内側容器32の径方向外側へ向かうに従い緩やかに大きくなる。
これに対して、本実施の形態では、内側容器32の内側コーナ部32Cの半径Rが、内側底壁部32Aの外周部から内側側壁部32Bの下端部に向かうに従い小さくなるように設定されている。このため、縦断面視において、内側コーナ部32Cに接する接線の水平方向に対する傾斜角度が、比較例と比べて、内側容器32の径方向外側へ向かって急激に大きくなる。換言すると、内側コーナ部32Cが、比較例と比べて、急激に立ち上がるように形成されている。これにより、比較例と比べて、内釜30の内側コーナ部32Cに沿って上昇する蒸気に対する抵抗が低減されて、当該蒸気を内側側壁部32B側へ効果的に上昇させることができる。
また、本実施の形態では、比較例と比べて、内側コーナ部32Cの下端部分を、径方向外側に配置できる。すなわち、比較例と比べて、内側底壁部32Aの直径を大きくすることができる。これにより、比較例と比べて、内釜30の容量を大きくすることができる。
以上により、本実施の形態の内釜30によれば、内釜30の容量の減少を抑制しつつ、密閉空間36内の蒸気を、内側容器32の内側コーナ部32Cに沿って内側側壁部32B側へ効果的に上昇させることができる。
さらに、内釜30における密閉空間36を構成する面には、鏡面処理が施されている。このため、密閉空間36内において、内釜30の内側コーナ部32C及び内側側壁部32Bに沿って蒸気が上昇するときの、蒸気に対するこれら壁面の抵抗を低減することができる。これにより、密閉空間36の蒸気を、密閉空間36の上端側へ良好に上昇させることができる。その結果、内側容器32の全体を効率良く加熱することができる。
また、凝縮して液体になった作動液40が下降するときの、作動液40に対するこれら壁面の抵抗を低減することができる。これにより、作動液40を密閉空間36の底部36Aに良好に戻すことができる。
また、内釜30の密閉空間36内には、連結ピン42が設けられており、連結ピン42が、内釜30の内側底壁部32A及び外側底壁部34Aを連結している。そして、内釜30の加熱時には、密閉空間36内の気圧が上昇し、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aが上下に膨張しようとする。このとき、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aは連結ピン42によって連結されているため、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aが連結ピン42によって互いに引っ張るように作用する。これにより、内釜30の加熱時における、内側底壁部32Aの上側への膨張、及び外側底壁部34Aの下側への膨張を連結ピン42によって抑制することができると共に、内釜30の底部における変形を抑制することができる。
さらに、連結ピン42は、上下方向を軸方向としたピンによって構成されている。このため、密閉空間36の底部36A内において、作動液40や気体となった蒸気の流動を阻害することなく、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aを連結ピン42によって連結することができる。
また、連結ピン42は、センタピン44を有しており、センタピン44は、内釜30の内側底壁部32Aの中央部と外側底壁部34Aの中央部とを連結している。このため、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aにおける各々の中央部の上下変位を、連結ピン42によって抑えることができる。これにより、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aに対して、膨張時に変位量の一番大きい部位の変位を抑制できる。したがって、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aの膨張を、効果的に抑制することができる。
さらに、内釜30の外側側壁部34Bには、内釜30の径方向外側へ突出されたパイプ38が設けられている。そして、パイプ38のカシメ部38Aが形成される前では、パイプ38によって内釜30の密閉空間36内と、内釜30の外部と、が連通されている。これにより、パイプ38を用いて、作動液40を密閉空間36内へ容易に注入することができる。また、パイプ38に、真空ポンプを装着させることで、密閉空間36内の空気をパイプ38から排出して、密閉空間36内を減圧または真空状態にすることができる。したがって、内釜30の製作時における作業性を向上することができる。
また、内釜30では、内釜30の第1フランジ32D(第2フランジ34D)と、パイプ38と、が、カバー50によって内釜30の径方向外側から覆われている。このため、内釜30の製作時における作業性を向上するパイプ38を外側側壁部34Bに設けても、パイプ38をカバー50によって視認不能にすることができる。また、カバー50を内釜30の取手として活用することができる。以上により、内釜30の意匠性を向上しつつ、使用者の利便性を向上することができる。
さらに、内釜30では、内側容器32の第1フランジ32Dが、ヘミング加工等によって、外側容器34の第2フランジ34Dの上下に巻き付くように、第2フランジ34Dに圧接されている。すなわち、内側容器32と外側容器34との合わせ部が、所謂ラビリンス構造(迷路構造)を成して、閉じられている。これにより、内側容器32及び外側容器34によって形成された、密閉空間36内の気密性を確保することができる。
また、本実施の形態では、上述のように、内釜30が、内部に密閉空間36を有する2重壁構造を成しており、密閉空間36内が減圧あるいは真空状態になっている。このため、炊飯後における内釜30の保温性を向上することができる。
(内釜30の変形例)
次に、図9を用いて、変形例の内釜60について説明する。
変形例の内釜60は、第1の実施の形態の内釜30と比べて、以下に示す点を除いて同様に構成されている。なお、図9では、第1の実施の形態と同様に構成されている部分には、同一の符号を付している。
すなわち、変形例の内釜60では、内釜60の底部の一部が中実状に形成されている。具体的には、内側容器32において内側底壁部32Aが省略されており、内側容器32が略円筒状に形成されている。また、外側容器34において外側底壁部34Aが省略されて、外側容器34が略円筒状に形成されている。そして、内側容器32の内側コーナ部32C及び外側容器34の外側コーナ部34Cに対して内釜60の径方向内側に、略中実円板状の底板62が設けられている。この底板62は、内側容器32及び外側容器34と同様に、磁性体(本件例では、一例としてステンレス)によって構成されている。そして、底板62の外周部が、アーク溶接等によって内側コーナ部32C及び外側コーナ部34Cに接合されている。
これにより、内釜60では、密閉空間36が、内側コーナ部32C及び内側側壁部32Bと、外側コーナ部34C及び外側側壁部34Bと、の間の空間になっている。また、内釜60のコーナ部内(内側コーナ部32C及び外側コーナ部34Cの間の部分)の一部が、密閉空間36の底部36Aを構成している。なお、内釜60では、内釜60の底部が底板62で構成されているため、本実施の形態の内釜30における連結ピン42が省略されている。
そして、変形例の内釜60においても、内釜60の底部(底板62)を加熱すると、密閉空間36内に注入された作動液40が、加熱される。加熱された作動液40の温度が沸点に到達すると、作動液40が沸騰して、作動液40の一部が気化する。そして、気化した蒸気が、密閉空間36内の内側コーナ部32C及び内側側壁部32Bに沿って、密閉空間36内の側部36C側へ上昇する。これにより、内釜60の内側側壁部32Bが蒸気によって加熱される。また、内側側壁部32Bを加熱した蒸気は、凝縮して、気体から作動液40として液体に変化する。さらに、液体に変化した作動液40が、自重によって、下降して、密閉空間36の底部36Aに戻る。そして、作動液40において、上記相変化のサイクルを繰り返すことで、内側容器32の内側側壁部32Bが加熱される。以上により、変形例の内釜60においても、第1の実施の形態と同様に、内釜60の内側側壁部32Bを効率よく加熱することができる。
また、変形例の内釜60では、密閉空間36の底部36Aが内釜60のコーナ部内に設定されている。このため、作動液40が蒸気に気化したときには、当該蒸気を内側コーナ部32Cに沿って直ちに密閉空間36の側部36C側へ移動(上昇)させることができる。したがって、気化した蒸気を効率よく密閉空間36の側部36Cへ移動(上昇)させて、内釜60の内側側壁部32Bを加熱することができる。
なお、変形例の内釜60では、内釜60の密閉空間36が内側コーナ部32C及び内側側壁部32Bと、外側コーナ部34C及び外側側壁部34Bと、の間の空間になっているが、密閉空間36を、外側コーナ部34C及び外側側壁部34Bとの間の空間としてもよい。換言すると、密閉空間36が、少なくとも外側コーナ部34C及び外側側壁部34Bとの間の空間を含んでいればよい。この場合には、内釜60における、図9の2点鎖線L2よりも下側部分が、中実状に形成される構成になる。
(内釜30の内側底壁部32Aと外側底壁部34Aとの連結方法のバリエーションについて)
次に、内釜30の内側底壁部32Aと外側底壁部34Aとの連結方法の2つのバリエーションについて説明する。
(連結方法のバリエーション1)
以下、図10(A)を用いて、連結方法のバリエーション1について説明する。バリエーション1では、以下に示す点を除いて、第1の実施の形態と同様に構成されている。なお、図10(A)では、第1の実施の形態と同様に構成されている部品には、同一の符号を付している。
すなわち、バリエーション1では、連結ピン42が省略されており、内釜30の内側底壁部32Aと外側底壁部34Aとの間に、連結プレート70(広義には、「連結部」として把握される要素である)が設けられている。連結プレート70は、平面視で略十字形状に形成されている。具体的には、連結プレート70は、第1連結プレート72と、一対の第2連結プレート74と、を含んで構成されている。第1連結プレート72及び第2連結プレート74は、略長尺板状に形成されており、第1連結プレート72の長手方向の長さが、第2連結プレート74の長手方向の長さに対して略2倍に設定されている。そして、第2連結プレート74の長手方向一端部が、第1連結プレート72の長手方向中央部に接合されて、第2連結プレート74が、当該長手方向中央部から第1連結プレート72の板厚方向両側へ延出されている。これにより、連結プレート70には、4箇所の連結片70Aが形成されて、連結片70Aが連結プレート70の中央部から放射状に延出されている。
そして、連結プレート70の中央部が、平面視で、内釜30の内側底壁部32A及び外側底壁部34Aの中央部に重なるように、連結プレート70が内側底壁部32A及び外側底壁部34Aの間に配置されている。また、連結プレート70の上端部が、内側底壁部32Aに接合され、連結プレート70の下端部が、外側底壁部34Aに接合されている。これにより、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aが連結プレート70によって連結されている。また、この状態では、密閉空間36の底部36Aが連結プレート70によって仕切られた状態になっている。
さらに、連結プレート70の各連結片70Aの下端部には、複数の連通孔70Bが形成されている。これにより、連結プレート70によって仕切られた密閉空間36の底部36Aが、連通孔70Bによって連通されて、底部36A内の作動液40が、仕切られた密閉空間36の底部36A内を流動できるように構成されている。
そして、本バリエーション1では、上述のように、連結プレート70によって内側底壁部32A及び外側底壁部34Aが連結されている。このため、本実施の形態と同様に、内釜30を加熱したときの、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aの膨張を抑制することができる。
また、本バリエーション1では、連結プレート70の連結片70Aが内側底壁部32A及び外側底壁部34Aの中央部から放射状に延出されて、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aを連結している。このため、内釜30の加熱時に、連結プレート70に伝達された熱を、連結片70Aによって内側底壁部32Aの径方向亘って伝達することができる。これにより、内側底壁部32Aの径方向において、内側底壁部32Aを連結片70Aによって略均一に加熱することができる。
さらに、連結プレート70の各連結片70Aの下端部には、複数の連通孔70Bが形成されている。このため、連結プレート70を、密閉空間36の底部36Aを仕切るように配置しても、底部36A内の作動液40が、連結プレート70によって仕切られた密閉空間36の底部36A内を流動することができる。
なお、バリエーション1では、連結プレート70において連結片70Aが4箇所形成されているが、連結片70Aの数は、任意に設定可能である。
(連結方法のバリエーション2)
以下、図10(B)を用いて、連結方法のバリエーション2について説明する。バリエーション2では、以下に示す点を除いて、第1の実施の形態と同様に構成されている。なお、図10(B)では、第1の実施の形態と同様に構成されている部品には、同一の符号を付している。
すなわち、バリエーション2では、連結ピン42と内釜30の内側底壁部32Aとの間に略円板状の中間プレート80が設けられており、中間プレート80は、連結ピン42と同様に、磁性体(本変形例では、一例としてステンレス)で構成されている。つまり、バリエーション2では、連結ピン42と内釜30の内側底壁部32Aとの間に中間プレート80が介在されて、中間プレート80が連結ピン42及び内側底壁部32Aに接合されている。このため、内釜30の加熱時に、連結ピン42によって伝達された熱が中間プレート80によって分散されて、内釜30の内側底壁部32Aの全体に伝達される。これにより、バリエーション2では、内釜30の内側底壁部32Aを径方向に均一に加熱しつつ、加熱時における内側底壁部32A及び外側底壁部34Aの膨張を抑制することができる。
(第2の実施の形態)
以下、図11及び図12を用いて、第2の実施の形態に係る「加熱調理器」としての内釜90について説明する。
第2の実施の形態の内釜90は、第1の実施の形態の内釜30と比べて、以下に示す点を除いて同様に構成されている。なお、図11では、第1の実施の形態と同様に構成されている部分には、同一の符号を付している。また、図11では、内釜90において、カバー50を図示省略している。
図11(A)及び(B)に示されるように、内釜90では、内側容器32の内側底壁部32Aが、上下方向に対して直交する面に沿って略水平(外側容器34の外側底壁部34Aと略平行)に配置されている。また、内釜90では、第1の実施の形態の連結ピン42が省略されており、外側容器34の外側底壁部34Aに複数(本実施の形態では、3箇所)の連結凹部34F(広義には、「連結部」として把握される要素である)が形成されている。連結凹部34Fは、縦断面視で、下側へ開放された略逆U字形凹状に形成されて、外側底壁部34Aから上側へ突出されている。また、3箇所の連結凹部34Fは、外側底壁部34Aの中心部に対して内釜90の径方向外側に配置されると共に、内釜90の周方向において等間隔(120度毎)に配置されている。そして、連結凹部34Fの頂部が、内側容器32の内側底壁部32Aの下面に隣接して配置されて、スポット溶接によって内側底壁部32Aに接合されている。これにより、内側底壁部32Aと外側底壁部34Aとが、連結凹部34Fによって連結されている。なお、上述のように、第2の実施の形態では、内側容器32の内側底壁部32Aが、上下方向に対して直交する面に沿って略水平に配置されているが、第1の実施の形態と同様に、内側底壁部32Aを上側へ凸となるように、若干湾曲させてもよい。
また、内側容器32における第1フランジ32Dでは、第1の実施の形態の下フランジ部32D2が省略されている。そして、内側容器32の第1フランジ32D(上フランジ部32D1)及び外側容器34の第2フランジ34Dが上下に重なるように配置されて、第1フランジ32Dの先端部と、外側容器34の第2フランジ34Dの先端部と、がレーザ溶接等によって接合されている。また、第1フランジ32Dの先端部と第2フランジ34Dの先端部との接合に加えて、第1フランジ32D及び第2フランジ34Dの上下に重なる重合部に、スポット溶接、シームレス溶接、レーザ溶接等を施して、両者を接合している。
さらに、内釜90では、パイプ38の先端部における内部にガラスフリットを含む封止材92が設けられており、封止材92によってパイプ38の開口部が封止されて、密閉空間36内の気密性が確保されている。
次に、図12を用いて、第2の実施の形態の内釜90の製造方法について説明する。
図12の(a)に示されるように、内釜90の製造方法では、初めに、プレス加工(深絞り加工)によって、内側容器32及び外側容器34を成形する(プレス工程)。また、このプレス工程では、外側容器34の外側底壁部34Aに連結凹部34Fも成形される。
プレス工程後では、図12の(b)に示されるように、外側容器34の外側側壁部34Bの上部に穴加工を施して、外側容器34に貫通孔34Eを形成する(穴開け工程)。
穴開け工程後では、図12の(c)に示されるように、外側容器34の内部に内側容器32を配置する。具体的には、外側容器34の連結凹部34Fの頂部に、内側容器32の内側底壁部32Aを載置させ、内側容器32の第1フランジ32Dを外側容器34の第2フランジ34Dの上側に重なるように配置する。そして、内側容器32における第1フランジ32Dの先端部及び外側容器34における第2フランジ34Dの先端部にレーザ溶接を施して、両者の先端部を接合する(フランジ接合工程)。これにより、内側容器32及び外側容器34が連結されて、内釜90の内部に密閉空間36が形成される。
また、フランジ接合工程では、第1フランジ32Dの先端部及び第2フランジ34Dの先端部の接合に加えて、第1フランジ32D及び第2フランジ34Dの上下に重なる重合部に、スポット溶接、シームレス溶接、レーザ溶接等を施して、両者を接合する(図12の(c)では、スポット溶接の例を図示している)。なお、レーザ溶接の場合には、第1フランジ32Dの上側又は第2フランジ34Dの下側からレーザ溶接を施して、両者を接合する。この場合には、内釜90の意匠性を考慮すると、第2フランジ34Dの下側からレーザ溶接を施すことが望ましい。
図12の(d)に示されるように、フランジ接合工程後では、スポット溶接用の上下一対のガンを、内側容器32の内側底壁部32Aの上側及び外側容器34の連結凹部34F内に配置して、内側底壁部32Aと連結凹部34Fの頂部とをスポット溶接によって接合する(釜底接合工程)。これにより、内側容器32の内側底壁部32Aと外側容器34の外側底壁部34Aとが、連結される。
図12の(e)に示されるように、釜底接合工程後では、外側容器34の貫通孔34E内にパイプ38の基端部を挿入し、パイプ38の基端部を貫通孔34Eの縁部にアーク溶接によって接合する(真空吸口接合工程)。これにより、外側容器34にパイプ38が設けられて、密閉空間36内と内釜90の外部とが、パイプ38によって連通される。
図12の(f)に示されるように、真空吸口接合工程後では、内側容器32の内周面に、フッ素コート処理を施して、フッ素樹脂(テフロン)によって構成された層を形成すると共に、外側容器34の外周面に、塗装処理を施して、耐熱塗料によって構成された層を形成する(表面処理工程)。
図12の(g)に示されるように、表面処理工程後では、パイプ38から作動液40を密閉空間36内に注入する。また、作動液40を密閉空間36内へ注入した後、真空封止装置を用いて、密閉空間36内の空気を排出すると共に、封止材92を用いてパイプ38を封止する。具体的には、真空封止装置の真空ポンプによって密閉空間36内の空気を排出し、密閉空間36内の気圧が所定値以下になると、真空封止装置によってパイプ38内に封止材92を充填する。また、真空封止装置は、渦巻き状の誘導コイルを有しており、誘導コイル内にパイプ38を挿入する。そして、誘導コイルに高周波電流を印加することで、パイプ38を局部的に誘導加熱して、封止材92を溶融させる。その後、パイプ38を冷却して、パイプ38を封止材92によって封止する(真空封止工程)。
図12の(h)に示されるように、真空封止工程後では、パイプ38の長手方向中間部を切断する(切断工程)。
切断工程後では、図12の(i)に示されるように、一対のカバー部材52(カバー50)を内側容器32の第1フランジ32D及び外側容器34の第2フランジ34Dに組み付ける(カバー組付工程)。
以上により、内釜90の製造が完了する。
なお、内釜90の製造工程を、真空装置によって排気された真空の環境状態(真空チャンバー内)で行なうようにしてもよい。この場合には、図12の(a)〜(i)に示される全工程を、真空の環境状態で行ってもよいし、図12の(a)に示されるプレス工程と、図12の(b)に示される穴開け工程と、を行った後の工程を、真空の環境状態で行ってもよい。これにより、図12の(g)に示される真空封止工程において、内釜90が既に真空環境にあるので、真空引きの工程を省略することができる。この場合、外側容器34において真空引き用のパイプを省略して、貫通孔34Eを外側から覆う(閉塞する)金属板材を外側容器34に溶接して真空封止するようにしてもよい。真空封止材としてガラスフリットを用いてもよい。また、この場合には、作動液40を、貫通孔34Eから密閉空間36の中へ固体(氷)の状態で投入できるので、作動液注入用のパイプも省略することができる。
これにより、内側容器32にも、外側容器34にもパイプ等の突起のない内釜90を製造することができる。したがって、内釜90がパイプを有しない構成になるため、内釜90を容易に洗浄することができ、内釜90の使い勝手をよくすることができると共に、ひいては、内釜90の意匠性を向上することができる。
そして、第2の実施の形態においても、内釜90の底部を加熱すると、密閉空間36内に注入された作動液40が、加熱される。加熱された作動液40の温度が沸点に到達すると、作動液40が沸騰して、作動液40の一部が気化する。そして、気化した蒸気が、密閉空間36内の内側コーナ部32C及び内側側壁部32Bに沿って、密閉空間36内の側部36C側へ上昇する。これにより、内釜90の内側側壁部32Bが蒸気によって加熱される。また、内側側壁部32Bを加熱した蒸気は、凝縮して、気体から作動液40として液体に変化する。さらに、液体に変化した作動液40が、自重によって、下降して、密閉空間36の底部36Aに戻る。そして、作動液40において、上記相変化のサイクルを繰り返すことで、内側容器32の内側側壁部32Bが加熱される。以上により、第2の実施の形態の内釜90においても、第1の実施の形態と同様に、内釜90の内側側壁部32Bを効率よく加熱して、内釜90全体を略均一に加熱することができる。
また、第2の実施の形態の内釜90では、外側容器34の外側底壁部34Aに複数の連結凹部34Fが形成されており、連結凹部34Fが内側容器32の内側底壁部32Aにスポット溶接等によって接合されている。これにより、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aを、簡易な構成で連結することができる。また、第1の実施の形態に比べて、部品点数を削減することができると共に、製造工数を削減することができる。
また、第2の実施の形態の内釜90では、内側容器32の第1フランジ32Dの先端部と、外側容器34の第2フランジ34Dの先端部と、がレーザ溶接等によって接合されている。さらに、第1フランジ32Dと第2フランジ34Dとの上下に重なる重合部が、スポット溶接、シームレス溶接、レーザ溶接等によって接合されている。これにより、第1フランジ32Dと第2フランジ34Dとの接合強度を高くすることができると共に、内釜90の開口部の剛性を高くすることができる。その結果、内釜90の加熱時において、内側容器32の変形を抑制することができる。
すなわち、例えば、第1フランジ32Dの先端部と第2フランジ34Dの先端部同士のみの接合(溶接)では、内釜90の加熱時において、密閉空間36の内圧の上昇によって、内側容器32が第1フランジ32Dの先端部を起点として持ち上がるように変形する可能性がある。これに対して、第1フランジ32Dと第2フランジ34Dとの重合部を接合することで、内釜90の開口部の剛性が高くなる。その結果、内釜90の加熱時における、内側容器32の変形を抑制することができると共に、第1フランジ32Dと第2フランジ34Dとの接合状態を良好に維持することができる。
なお、第2の実施の形態では、外側容器34の外側底壁部34Aに複数の連結凹部34Fが形成されているが、外側底壁部34Aに1箇所の連結凹部34Fを形成してもよい。この場合には、連結凹部34Fを外側底壁部34Aの中央部に配置して、連結凹部34Fの頂部と内側底壁部32Aの中央部を接合してもよい。
(第3の実施の形態)
以下、図13を用いて、第3の実施の形態に係る「加熱調理器」としての内釜100について説明する。
第3の実施の形態の内釜100は、第1の実施の形態の内釜30と比べて、以下に示す点を除いて同様に構成されている。なお、図13では、第1の実施の形態と同様に構成されている部分には、同一の符号を付している。また、図13では、内釜100において、カバー50を図示省略している。
第3の実施の形態では、内釜100において、第1の実施の形態の連結ピン42が省略されている。また、内側容器32の内側底壁部32Aには、上側へ隆起された絞り部32Gが形成されている。絞り部32Gは、内側底壁部32Aと同心円状を成す略円板状に形成されており、絞り部32Gの外周部が滑らかに湾曲されて、内側底壁部32Aに接続されている。また、一例として、絞り部32Gの直径が、内側底壁部32Aの直径の60%に設定されており、絞り部32Gの絞り高さが、3mmに設定されている。
また、外側容器34の外側底壁部34Aには、絞り部32Gと同様に構成された絞り部34Gが形成されている。すなわち、絞り部34Gは、外側底壁部34Aと同心円状を成す略円板状に形成され、外側底壁部34Aから上側へ隆起されている。また、絞り部34Gの外周部が滑らかに湾曲されて、外側底壁部34Aに接続されている。さらに、一例として、絞り部34Gの直径が、外側底壁部34Aの直径の60%に設定されており、絞り部34Gの絞り高さが、3mmに設定されている。
また、第3の実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、内側容器32における第1フランジ32Dにおいて、第1の実施の形態の下フランジ部32D2が省略されている。そして、内側容器32の第1フランジ32D(上フランジ部32D1)及び外側容器34の第2フランジ34Dが上下に重なるように配置されて、第1フランジ32Dの先端部と、外側容器34の第2フランジ34Dの先端部と、がレーザ溶接等によって接合されている。また、第1フランジ32Dと第2フランジ34Dとの上下に重なる重合部が、スポット溶接等で接合されている。
そして、第3の実施の形態においても、内釜100の底部を加熱すると、密閉空間36内に注入された作動液40が加熱されて、作動液40における相変化のサイクルが繰り返される。これにより、第3の実施の形態の内釜100においても、第1の実施の形態と同様に、内釜100の内側側壁部32Bを効率よく加熱して、内釜100全体を略均一に加熱することができる。
また、第3の実施の形態では、上側へ隆起された絞り部32Gが内側底壁部32Aに形成されており、上側へ隆起された絞り部34Gが外側底壁部34Aに形成されている。このため、絞り部32G(絞り部34G)が、内側底壁部32A(外側底壁部34A)の補強用絞りとして機能する。これにより、内釜100の底部を加熱したときに、密閉空間36の内圧が上昇しても、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aの撓み(変形)を抑制することができる。
以下、この点について、密閉空間36内の内圧を、加熱時における最大圧力と想定される5atmにしたときの、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aの上下方向の撓み(変形)量を用いて説明する。すなわち、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aにおいて、絞り部32G及び絞り部34Gを省略した釜において、密閉空間36内の内圧を5atmにしたときには、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aの上下方向の撓み(変形)量が2.4mmであることが判明された。これに対して、第3の実施の形態の釜100における密閉空間36内の内圧を5atmにしたときには、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aの上下方向の撓み(変形)量が0.3mmであることが確認された。これにより、第3の実施の形態の内釜100によれば、底部を加熱したときの、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aの撓み(変形)を抑制することができる。
また、第3の実施の形態では、第1の実施の形態に比べて、連結ピン42が省略されているため、部品点数を削減しつつ、釜100の加熱時における、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aの撓み(変形)を抑制することができる。
(パイプ38のバリエーションについて)
以下、第1の実施の形態(変形例を含む)〜第3の実施の形態の内釜30,60,90,100に用いられるパイプ38のバリエーションについて、第2の実施の形態の内釜90を用いて説明する。
(パイプ38のバリエーション1について)
図14(A)及び(B)に示されるように、パイプ38のバリエーション1では、内釜90に複数(本バリエーション1では、2本)のパイプ38が設けられている。2本のパイプ38の一方は、密閉空間36への作動液40の注入用のパイプとして構成されており、他方のパイプ38は、密閉空間36に対する真空引き用のパイプとして構成されている。すなわち、本バリエーション1では、内釜90の製造工程毎(作動液40の注入工程、真空引き工程)のパイプ38が設けられている。これにより、密閉空間36への作動液40の注入工程、及び密閉空間36に対する真空引き工程における効率化を図ることができる。
また、バリエーション1では、2本のパイプ38が、内釜90の周方向において、等間隔に(180度離間して)配置されている。つまり、2本のパイプ38が、内釜90の径方向に対向して配置されている。さらに、パイプ38のバリエーション1に対するカバーとして、カバー50の代わりに、各パイプ38のみを覆う、一対のパイプカバー110が内釜90に設けられている。このパイプカバー110は、上下方向を厚み方向とする略矩形板状に形成されている。また、パイプカバー110には、内釜90の径方向内側へ開放された凹部110Aが形成されており、凹部110Aは、内釜の径方向から見て、円形状の形成されている。そして、パイプ38が凹部110A内に嵌入されて、パイプカバー110が、内釜90に取付けられている。これにより、パイプ38を覆うパイプカバー110を内釜90の取手として利用することができると共に、パイプ38を取手(パイプカバー110)の取付部(芯部)として活用することができる。そして、上述のように、2本のパイプ38を、内釜90の周方向において等間隔に配置することで、取手であるパイプカバー110をバランスよく配置することができる。したがって、内釜90の持ち易さを向上することができると共に、使用者に対する利便性を向上することができる。
なお、バリエーション1では、2本のパイプ38が内釜90に設けられているが、3本以上のパイプ38を内釜90に設けてもよい。また、この場合には、パイプ38を用いた作業時間(作動液40の注入作業時間、及び真空引きの作業時間)を考慮して、内釜90に設けるパイプ38の本数を設定してもよい。例えば、真空引きの作業時間が、作動液40の注入時間よりも長い場合には、真空引き用のパイプ38の本数を、作動液40の注入用のパイプ38の本数よりも多くしてもよい。一例として、作動液40の注入用のパイプ38を1本とし、真空引き用のパイプ38を2本としてもよい。これにより、パイプ38を用いた作業時間の短縮化を図ることができると共に、ひいては、内釜90の製造時間の短縮化を図ることができる。
また、バリエーション1では、複数のパイプ38の径寸法が同じに設定されているが、複数のパイプ38の径寸法を異なる寸法に設定してもよい。この場合は、上述と同様に、パイプ38を用いた作業時間を考慮して、内釜90に設けるパイプ38の径寸法を変更してもよい。例えば、真空引きの作業時間が、作動液40の注入時間よりも長い場合には、真空引き用のパイプ38の径寸法を、作動液40の注入用のパイプ38の径寸法よりも大きくしてもよい。これにより、上述と同様に、作業時間の短縮化を図ることができる。
また、バリエーション1では、複数(2本)のパイプ38が、内釜90の周方向において、180度離間して配置されているが、内釜90の周方向における、複数のパイプ38の位置は、任意に設定することができる。例えば、複数のパイプ38を、内釜90の周方向において、隣接した位置に配置してもよい。これにより、例えば、作動液注入用及び真空引き用の各チューブをパイプ38に接続するときの作業スペースのコンパクト化を図ることができる。また、例えば、各パイプ38に接続されるチューブの引き回し作業等を抑制することができると共に、内釜90の製造工数の削減に寄与することができる。
(パイプ38のバリエーション2について)
バリエーション2では、以下に示す点を除いて、上記バリエーション1と同様に構成されている。
すなわち、図15に示されるように、バリエーション2では、パイプ38が、内側容器32に設けられている。具体的には、パイプ38が、内側容器32の内側側壁部32Bから内釜90の径方向内側へ延出(突出)されている。なお、内側側壁部32Bには、パイプ38の内部と密閉空間36の内部とを連通する連通孔が形成されている。これにより、バリエーション2では、パイプ38が、内釜90の径方向外側へ突出しないため、内釜90の外観における意匠性の低下を抑制することができる。また、パイプ38が、内釜90の径方向外側へ突出しないことで、内釜90を、既存の炊飯器に容易に適用することができる。したがって、内釜90の汎用性を向上することができる。なお、バリエーション2においても、バリエーション1と同様に、複数のパイプ38を、内側容器32に設けてもよい。
また、バリエーション2では、パイプ38が、炊飯後のお米(内釜90における最大炊飯量のお米)よりも上側に位置するように、パイプ38の上下方向の位置が設定されている。このため、パイプ38を、内側容器32の内側側壁部32Bに設けた構成にしても、炊飯後のお米とパイプ38との接触を抑制することができる。
なお、第1の実施の形態(変形例を含む)〜第3の実施の形態の内釜30,60,90,100では、作動液40として水を使用しているが、密閉空間36内に注入する作動液40の種類は、これに限らない。例えば、作動液40を、エチレングリコールや、シリコンオイルや、プロピレングリコール等としてもよい。
また、第1の実施の形態〜第3の実施の形態では、密閉空間36の底部36Aの高さ寸法Hが4mmに設定されているが、内釜30の大きさを変更せずに、内釜30の容量を大きくするという観点からすると、内側底壁部32Aを下げて高さ寸法Hをより低くすることが考えられる。そして、高さ寸法Hをより低くする場合(例えば、3mm以下にする場合)には、密閉空間36の底部36Aに対する作動液40の体積比率を10vol%〜80vol%、特に30vol%〜80vol%に設定することが好ましい。
一方、内釜30の内側側壁部32Bをより効果的に加熱するために、高さ寸法Hを本実施の形態の4mmよりも高くする場合には、密閉空間36の底部36Aに対する作動液40の体積比率を5vol%〜80vol%、特に8vol%〜30vol%に設定することが好ましい。
また、第1の実施の形態(変形例を含む)〜第3の実施の形態の内釜30,60,90,100では、内釜30,60,90,100を加熱すると、密閉空間36の内圧が高くなるため、密閉空間36の内圧の異常な上昇を防止するための安全機構を内釜30,60,90,100に設けてもよい。以下、この点について、図16において、第2の実施の形態の内釜90を用いて説明する。
図16(A)及び(B)に示されるように、内側容器32の内側コーナ部32Cの内周面には、安全機構を構成するノッチ32Hが形成されており、ノッチ32Hは、内側容器32の周方向に対して直交する方向に沿って直線状に形成されている。このノッチ32Hは、内側容器32の径方向内側へ開放された略V字形溝状に形成されており、内側容器32におけるノッチ32Hが形成された部位を薄肉部32I(広義には、「脆弱部」として把握される要素である)としている。このため、内側容器32では、薄肉部32Iにおける強度が、他の部分の強度よりも低く構成されている。
また、密閉空間36の内圧が所定値よりも大きくなったときに、薄肉部32Iが破断するように、ノッチ32Hの形状(深さや幅)が設定されている。これにより、内釜90の加熱時に、密閉空間36の内圧が所定値よりも大きくなると、薄肉部32Iが破断して、密閉空間36内の蒸気が、当該破断部から内釜90の下部(詳しくは、お米が配置される部分)へ噴射される。このため、当該蒸気を、内釜90の開口部を経由させて、炊飯器10の蓋部24における蒸気塔から逃がすことができる。したがって、密閉空間36の内圧の異常な上昇を抑制することができると共に、炊飯器10の安全性を向上することができる。
なお、図16(A)及び(B)に示される例では、ノッチ32Hが、内釜90の周方向に対して直交する方向に沿って直線状に延在されているが、ノッチ32Hの延在方向は任意に設定することができる。例えば、ノッチ32Hを内釜90の周方向に延在させるように形成してもよいし、ノッチ32Hを内釜90の周方向に対して斜めに延在させるように形成してもよい。
また、図16(A)及び(B)に示される例では、内釜90に1本のノッチ32Hが形成されているが、ノッチ32Hの本数を複数としてもよい。
さらに、図16(A)及び(B)に示される例では、ノッチ32Hの断面形状が略V字形溝状に形成されているが、ノッチ32Hの断面形状は適宜変更可能である。例えば、ノッチ32Hの断面形状を略半円形溝状に形成してもよい。
また、上記安全機構では、薄肉部32Iが、内側容器32に形成されているが、薄肉部32Iを形成する場所は任意に設定することができる。
例えば、パイプ38にノッチ32Hを形成して、パイプ38に薄肉部32Iを形成してもよい。すなわち、図16(C)に示されるように、パイプ38の外周部に、単数又は複数(図16(C)に示される例では、2個)のノッチ32Hを形成して、パイプ38に薄肉部32Iを形成してもよい。
また、例えば、薄肉部32Iを、内側側壁部32Bの上部(好ましくは、内釜90の最大炊飯量のお米よりも上側の位置)に形成してもよい。この場合には、薄肉部32Iが、内釜90の底部(すなわち、内釜90において加熱される部分)から離間した位置に配置される。これにより、薄肉部32Iの劣化を抑制することができる。特に、薄肉部32Iを内釜90の最大炊飯量のお米よりも上側の位置に配置することで、炊飯後の薄肉部32Iとの接触を抑制することができる。
また、上記安全機構では、薄肉部32Iが、内側容器32(内側側壁部32B)に形成されているが、薄肉部32Iを、内側容器32に代えて外側容器34(外側側壁部34B)に形成してもよい。また、薄肉部32Iを、内側容器32及び外側容器34に形成してもよい。そして、薄肉部32Iを、内側容器32及び外側容器34に形成した場合には、例えば、密閉空間36の内圧の異常上昇時において、仮に、一方の薄肉部32Iが破断しなかったときでも、他の薄肉部32Iを破断させて、蒸気を密閉空間36の外部へ逃がすことができる。これにより、炊飯器10の安全性を一層向上することができる。
また、内側容器32の板厚を薄くして薄肉部32Iを形成するという観点からすると、内側容器32のプレス加工時に、内側容器32(内側側壁部32B)の一部を押し潰して、薄肉部32Iを形成してもよい。例えば、図示は省略するが、内側側壁部32Bの内周面又は外周面に、板厚方向内側へ押し潰された円形状の凹部を形成して、当該凹部が形成された部分を薄肉部32Iとしてもよい。
また、内側容器32のプレス加工時に、内側容器32(内側側壁部32B)の一部を半抜き加工して、薄肉部32Iを形成してもよい。例えば、図示は省略するが、内側側壁部32Bの一部を、径方向内側又は径方向外側へ、半抜きして、半抜きされた部分の境界部を、薄肉部32Iとしてもよい。
これにより、薄肉部32Iを容易に形成することができると共に、内釜90を安価に製作することができる。なお、上述と同様に、上記凹部や半抜き部を、内側容器32及び外側容器34の少なくとも一方に形成してもよいし、凹部や半抜き部の位置は、任意に設定可能である。
また、密閉空間36の内圧の異常な上昇時に、蒸気を密閉空間36の外部へ逃がすという観点からすると、内側容器32又は外側容器34に、安全弁(一例として、バネ式の安全弁)を設ける構成にしてもよい。この場合には、密閉空間36の内圧の異常な上昇時において、内釜90を破壊することなく、蒸気を密閉空間36の外部へ逃がすことができる。
また、第1の実施の形態では、内釜30に連結ピン42を設けて、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aを連結ピン42によって連結している。これに代えて、図17に示されるように、内釜30において、連結ピン42(センタピン44及び外周ピン46)を省略して、内側底壁部32A及び外側底壁部34Aを連結しない構成にしてもよい。
また、図示は省略するが、第1の実施の形態(変形例を含む)〜第3の実施の形態の内釜30,60,90,100おいて、内側容器32の内側側壁部32Bと外側容器34の外側側壁部34Bとの間に、連結ピン42を設けて、連結ピン42によって内側側壁部32Bと外側側壁部34Bとを連結してもよい。この場合には、内釜30,60,90,100の径方向を軸方向として連結ピン42を配置して、連結ピン42によって内側側壁部32Bと外側側壁部34Bとを連結する。これにより、内釜30,60,90,100の加熱時における内側側壁部32B及び外側側壁部34Bの変形を抑制することができる。
さらに、この場合には、複数の連結ピン42を、内側容器32の内側側壁部32Bと外側容器34の外側側壁部34Bとの間に設けると共に、内釜30,60,90,100の周方向において等間隔毎に配置してもよい。これにより、内釜30,60,90,100の加熱時における内側側壁部32B及び外側側壁部34Bの変形を抑制しつつ、密閉空間36における内側側壁部32Bと外側側壁部34Bとの間の隙間の均一化を図ることができる。その結果、内釜30,60,90,100の周方向において、内側側壁部32Bと外側側壁部34Bとの間を上昇する蒸気の量のバラツキを抑制することができる。したがって、内側容器32の周方向において、内側側壁部32Bを均等に加熱することができる。
また、第1の実施の形態(変形例を含む)〜第3の実施の形態では、内釜30,60,90,100が、カバー50を含んで構成されているが、内釜30,60,90,100において、カバー50を省略した構成にしてもよい。
また、第1の実施の形態(変形例を含む)〜第3の実施の形態のカバー50は、内釜30,60,90,100の第1フランジ32D及び第2フランジ34Dを覆う部分と、パイプ38を覆う部分と、の両方がリング状に形成されている。これに代えて、カバー50を、第1フランジ32D及び第2フランジ34Dの全周を覆うリング状の部分と、パイプ38のみを覆う部分(すなわち、前述したパイプカバー110)と、を一体にした形状に形成してもよい。この場合においても、第1フランジ32D及び第2フランジ34Dの溶接箇所、及びパイプ38を視認不能に覆うことができる。
また、第1の実施の形態(変形例を含む)の内釜30(60)では、内釜30(60)開口部において、内側容器32の第1フランジ32Dが、外側容器34の第2フランジ34Dの上下に巻き付くように、折り返して、密閉空間36の気密性を確保しているが、密閉空間36の気密性を確保する構造はこれに限らない。
例えば、図18に示されるように、第2フランジ34Dを内釜30,60の径方向内側へ180度折り返すように形成して、内側容器32の第1フランジ32Dを、折り返された第2フランジ34Dに巻き付けるよう構成してもよい。すなわち、この場合には、第2フランジ34Dが、上下に重ね合わされた重合構造を成す。さらに、第1フランジ32Dの上フランジ部32D1及び下フランジ部32D2が、重合構造を成す第2フランジ34Dを上下に圧接するようになる。これにより、密閉空間36の気密性を確保しつつ、内釜30(60)の開口部の剛性を高くすることができる。
また、第1の実施の形態(変形例を含む)〜第3の実施の形態では、内側容器32の内周面にテフロン加工を施しているが、内側容器32の内周面に対する表面処理はこれに限らない。例えば、内側容器32の内周面の全部又は一部(一例として、内側底壁部32Aのみ、又は、内側側壁部32Bのみ)に荒らし加工を施して、内側容器32の内周面を凹凸状に形成してもよい。例えば、内側容器32の内周面に、ダイヤモンドコート処理を施してもよい。また、例えば、内側容器32の内周面にサンドブラスト処理を施して、サンドブラスト処理後に、テフロン加工を施してもよい。これにより、内側容器32の内周面に凹凸が形成される。このため、お米の炊飯時には、当該凹凸によって、比較的細かい気泡が内釜内に発生する。その結果、当該気泡の発生によって、内釜内のお米を均一に加熱することができる。
また、第1の実施の形態(変形例を含む)〜第3の実施の形態では、密閉空間36内に発生した蒸気を良好に上昇させるために、内側容器32の外側面及び外側容器34の内側面に鏡面処理が施されているが、内釜の加熱時に密閉空間36において蒸気を発生させ易くするという観点にからすると、内側容器32の外側面及び外側容器34の内側面に荒らし加工を施してもよい。例えば、内側容器32の外側面及び外側容器34の内側面に、サンドブラスト処理を施して、内側容器32の外側面及び外側容器34の内側面を凹凸状に形成してもよい。
また、第1の実施の形態(変形例を含む)〜第3の実施の形態の内釜30,60,90,100では、内側容器32の板厚と外側容器34の板厚とが同じに設定されているが、内側容器32の板厚と外側容器34の板厚とを異なる板厚に設定してもよい。例えば、内側容器32の板厚を外側容器34の板厚に比べて薄く設定して、内側容器32の加熱を促進するように構成してもよい。また、内側容器32の板厚を外側容器34の板厚に比べて薄く設定することで、密閉空間36内の作動液40から気化した蒸気の熱を、内釜30,60,90,100の内側側壁部32Bにおいて、内釜30,60,90,100の内部へ効率よく放熱させることができる。
また、第1の実施の形態(変形例を含む)〜第3の実施の形態では、内側容器32及び外側容器34の板厚が全体において均一(一定)に設定されているが、内側容器32及び外側容器34の板厚を不均一に設定してもよい。例えば、内側容器32において、内側側壁部32Bの板厚を内側底壁部32Aの板厚よりも薄く設定して、内側側壁部32Bに対する加熱を促進するように構成してもよい。この場合には、内側容器32の内側コーナ部32Cの板厚を、内側底壁部32Aから内側側壁部32Bに向かうに従い薄くなるように設定してもよい。
また、第1の実施の形態(変形例を含む)〜第3の実施の形態では、内側容器32及び外側容器34が、磁性体(ステンレス)によって構成されている。これに代えて、内側容器32を、銅やアルミニウム等の高熱伝導体によって構成してもよい。この場合においても、内釜30,60,90,100の加熱時において、内側容器32を効率的に加熱させることができる。
また、表面にフッ素系樹脂が予めコーティングされたプレコート鋼板等を用いて、内側容器32を成形してもよい。これにより、内釜30,60,90,100の製造工程の短縮化を図ることができる。
また、第1の実施の形態(変形例を含む)〜第3の実施の形態では、内釜30,60,90,100がIH式の炊飯器10に適用されているが、内釜30,60,90,100が適用される炊飯器はこれに限らない。例えば、炊飯器10の加熱部16をヒータに変更して、内釜30,60,90,100を該ヒータによって加熱してもよい。
(付記)
以上、本発明は、内部に密閉空間を有する2重壁構造を成す加熱調理器において、加熱調理器の内側の側壁を効率良く加熱させるという観点で説明したが、別の観点から以下のように捉えることができる。
すなわち、背景技術に記載した加熱調理器では、密閉空間内に作動液が注入されており、加熱調理器の底部を加熱すると、作動液が沸騰し、作動液から気化した蒸気が密閉空間の側部に上昇する。これにより、加熱調理器の内側の側壁が、蒸気によって加熱される。さらに、側壁を加熱した蒸気は、凝縮して、作動液として液体に変化し、液体に変化した作動液が自重によって下降して密閉空間の底部内に戻るようになっている。そして、作動液において、上記の相変化のサイクルを繰り返すことで、加熱調理器の側部が加熱される。
しかしながら、上記加熱調理器では、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、上記加熱調理器では、上述のように、加熱調理器の底部を加熱すると、作動液から気化した蒸気が密閉空間の側部に上昇する。そして、加熱調理器を加熱し続けることで、密閉空間内の気圧(圧力)が上昇する。このため、密閉空間内の底部が膨張して、加熱調理器の底部が変形する可能性がある。したがって、内部に密閉空間を有する加熱調理器では、加熱調理器の膨張による変形を抑制できる構造にすることが望ましい。
本発明は、上記事実を考慮して、加熱時の膨張を抑制することができる加熱調理器を提供することを目的とする。
上記課題を解決する第1の態様は、
有底筒状に形成され、内部に密閉空間を有する2重壁構造を成す加熱調理器であって、
前記加熱調理器の内側部分を構成する有底筒状の内側容器と、
前記加熱調理器の外側部分を構成する有底筒状の外側容器と、
前記密閉空間内に注入された作動液と、
前記密閉空間内に設けられ、前記内側容器の内側底壁部と前記外側容器の外側底壁部とを連結する連結部と、
を備えた加熱調理器。
上記課題を解決する第2の態様は、
前記連結部が、前記加熱調理器の軸方向に延在する連結ピンによって構成されている第1の態様の加熱調理器。
上記課題を解決する第3の態様は、
前記連結ピンが、前記加熱調理器の開口側から見た平面視で、前記加熱調理器の中心部に配置されている第2の態様の加熱調理器。
上記課題を解決する第4の態様は、
前記連結部が、前記加熱調理器の開口側から見た平面視で、前記加熱調理器の中心から放射状に延出されている第1の態様の加熱調理器。
上記課題を解決する第5の態様は、
前記連結部の下端部には、前記連結部によって仕切られた前記密閉空間を連通する連通孔が形成されている第4の態様の加熱調理器。
30 内釜(加熱調理器)
32 内側容器
32A 内側底壁部
32B 内側側壁部
32C 内側コーナ部
32 内側コーナ部
34 外側容器
36 密閉空間
38 パイプ
36A 底部
36B 底面
40 作動液
60 内釜(加熱調理器)
90 内釜(加熱調理器)
100 内釜(加熱調理器)
110 パイプカバー
H 密閉空間の底部における高さ寸法
R 内側コーナ部の半径
W 密閉空間の幅寸法

Claims (8)

  1. 有底筒状に形成され、内部に密閉空間を有する2重壁構造を成す加熱調理器であって、
    前記加熱調理器の内側部分を構成する有底筒状の内側容器と、
    前記加熱調理器の外側部分を構成する有底筒状の外側容器と、
    前記密閉空間内に注入された作動液と、
    を備え、
    前記密閉空間内における前記作動液の量が、前記密閉空間における底面の全体を覆わない量に設定されていることを特徴とする加熱調理器。
  2. 前記密閉空間における底部に対する前記作動液の体積比率が4vol%〜80vol%に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
  3. 縦断面視で、前記加熱調理器の底部における前記密閉空間の高さ寸法が、側部における前記密閉空間の幅寸法以上で且つ2mm以上に設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加熱調理器。
  4. 前記密閉空間内は、0.01atm以下の減圧あるいは真空に維持されることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の加熱調理器。
  5. 前記内側容器の内側側壁部又は前記外側容器の外側側壁部には、前記作動液を前記密閉空間内に注入するとき及び前記密閉空間内を減圧あるいは真空にするときに用いられる複数のパイプが設けられていることを特徴とする請求項4に記載に加熱調理器。
  6. 複数のパイプが、前記加熱調理器の周方向に等間隔に配置されており、前記パイプには、前記パイプを覆うパイプカバーが装着されていることを特徴とする請求項5に記載の加熱調理器。
  7. 前記内側容器の内側底壁部と内側側壁部との間には、前記内側容器の外側へ凸に湾曲された内側コーナ部が形成されており、
    前記内側コーナ部の半径が、前記内側底壁部から前記内側側壁部に向かうに従い小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の加熱調理器。
  8. 前記内側容器及び前記外側容器における前記密閉空間を構成する面には、鏡面処理が施されていることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の加熱調理器。
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