しかしながら、特許文献1に記載の電子部品実装装置においては、チップ部品の位置を確認用カメラで認識し基板認識カメラの位置までチップ部品を移動し、認識用カメラでチップ部品及び基板を認識することから、チップ部品移動に時間を要しタクトタイムが長くなるという課題がある。また、認識用カメラが1台のみの場合には、認識用カメラ及びチップ部品を基板認識動作位置まで移動するため、移動時間をより多く要しタクトタイムが長くなり、さらに、位置認識の基準となる認識用カメラ及びチップ部品をボンディングポジションまで移動するため位置精度が得られにくいという課題がある。
特許文献2に記載の電子部品実装装置においては、チップ部品と基板との位置合わせの際に、チップ部品を可動台でボンディングポジションまで移動し、基板を可動テーブルでボンディングポジションまで移動することから、それぞれの移動による誤差や停止位置誤差が生じ所要の認識精度が得られず、チップ部品と基板との高精度な位置合わせができないという課題がある。
そこで、本発明は、このような課題の少なくとも一つを解決するためになされたもので、短いタクトタイムで高精度にチップ部品と基板との位置合わせを行うことが可能な電子部品実装装置及び電子部品実装方法を提供しようとするものである。
[1]本発明の電子部品実装装置は、基板の所定位置にチップ部品をフェースアップ姿勢でボンディングする電子部品実装装置であって、透明材料で形成され前記チップ部品を吸着保持するコレットを有するボンディングヘッドと、前記コレットに対して吸着保持された前記チップ部品の反対側に配置され前記チップ部品の画像を投影する第1ミラーと、当該第1ミラーが投影した前記チップ部品の画像を認識するチップ部品認識カメラと、前記基板を認識する際に前記基板と前記コレットの間に配置され前記基板の画像を投影する第2ミラーと、当該第2ミラーが投影した前記基板の画像を認識する基板認識カメラと、前記第1ミラーと前記第2ミラーとを一体で前記チップ部品及び前記基板の認識動作位置に移動するカメラ駆動部と、前記チップ部品認識カメラ及び前記基板認識カメラによる前記チップ部品及び前記基板の各位置の認識情報に基づき前記チップ部品と前記基板の位置ずれを補正する制御部と、を有していることを特徴とする。
本発明の電子部品実装装置によれば、第1ミラーと第2ミラーによってチップ部品及び基板の画像に同じ認識動作位置で投影し、それぞれチップ部品認識カメラ及び基板認識カメラによって画像を取込みチップ部品及び基板の位置を認識できることから、チップ部品と基板の位置とをそれぞれ別々に認識する従来技術よりも短いタクトタイムで高精度にチップ部品と基板の位置との位置合わせ行うことが可能な電子部品実装装置を提供することができる。
[2]本発明の電子部品実装装置においては、前記第1ミラーが前記チップ部品の画像を投影する際の光軸と、前記第2ミラーが前記基板の画像を投影する際の光軸とが、前記基板のチップ部品被着面に対して鉛直、かつ同軸上に配置されていることが好ましい。
第1ミラーの光軸と第2ミラーの光軸が一致していることから、チップ部品の画像と基板の画像とを同じ基準で同時に投影することができる。すなわち、チップ部品認識カメラと基板認識カメラで同じ光軸上に投影されたチップ部品と基板の画像を認識可能であり、チップ部品と基板との位置を高精度で認識できることから高精度な位置合わせ(位置補正)が可能となる。
[3]本発明の電子部品実装装置においては、前記認識動作位置は、少なくとも離間した2か所に設けられており、前記カメラ駆動部は、各前記認識動作位置に前記第1ミラーと前記第2ミラーとを移動するカメラX軸駆動部とカメラY軸駆動部とを有していることが好ましい。
ここで、X軸及びY軸とは、基板がX−Y平面で構成される際のX方向、Y方向を指す。チップ部品と基板との位置を規定するためには、少なくとも2か所以上の認識動作位置で両者を認識する必要がある。そこで、第1ミラー(チップ部品用カメラユニット)と第2ミラー(基板用カメラユニット)とを同時に各認識動作位置に順次移動すれば、短時間で複数の認識動作位置においてチップ部品と基板の位置とを認識することができる。さらに、第1ミラーと第2ミラーの光軸を一致させていることから、各認識動作位置において高精度にチップ部品と基板の位置を認識でき、高精度な位置合わせが可能となる。
[4]本発明の電子部品実装装置においては、前記ボンディングヘッドは、前記コレットが前記チップ部品を吸着保持する位置から前記チップ部品を前記基板上にボンディングする位置まで移動するヘッドZ軸駆動部と、前記チップ部品を前記チップ部品被吸着面に対し平行に回転するθ軸駆動部と、を有していることが好ましい。
ここで、Z軸とは、X−Y平面に対して鉛直な軸を指し、θ軸は特定平面位置におけるZ軸を指す。θ軸駆動部は、コレットすなわちチップ部品を平面方向に回転する機構であり、ボンディングヘッドは、平面方向(X方向、Y方向)への移動がないため、平面方向の移動に起因する誤差を抑制できることからチップ部品と基板との高精度な位置合わせが可能となる。
[5]本発明の電子部品実装装置においては、前記基板は基板ステージに吸着保持されており、前記基板ステージは、前記基板をボンディング対象位置へ移動し、前記ボンディング対象位置において前記チップ部品に対する前記基板の位置ずれを補正する基板X軸駆動部と基板Y軸駆動部とを有していることが好ましい。
このような構成にすれば、基板X軸駆動部と基板Y軸駆動によってチップ部品に対する基板の位置合わせが可能となることから、基板とチップ部品の両方を移動して基板とチップ部品の位置を決定する従来技術に対して、平面方向の移動精度や移動停止精度の影響が少なく高精度な位置合わせが可能となる。
[6]本発明の電子部品実装方法は、基板の所定位置にチップ部品をフェースアップ姿勢でボンディングする電子部品実装方法であって、前記チップ部品をピックアップしボンディング位置に搬送する工程と、透明材料で形成されたコレットに前記チップ部品を吸着保持する工程と、少なくとも2か所の認識動作位置において、第1の認識動作位置で前記チップ部品及び前記基板の位置を認識する工程と、他の認識動作位置で前記チップ部品及び前記基板の位置を認識する工程と、各前記認識動作位置それぞれの認識情報に基づき前記チップ部品と前記基板の位置ずれを補正する工程と、位置ずれを補正した後、前記チップ部品を前記基板の所定位置にボンディングする工程を含むことを特徴とする。
本発明の電子部品実装方法によれば、チップ部品認識カメラと基板認識カメラによって、チップ部品及び基板の位置を同時に同じ認識動作位置で認識できることから、チップ部品と基板の位置とをそれぞれ別々に認識する従来技術よりも短いタクトタイムで高精度にチップ部品の位置と基板の位置との位置合わせを行い、ボンディングを行うことが可能な電子部品実装方法を提供できる。
[7]本発明の電子部品実装方法においては、前記チップ部品及び前記基板を認識する工程では、同一光軸上で同時に前記チップ部品及び前記基板を認識することが好ましい。
このようにすれば、チップ部品と基板とを同時に同じ位置基準で認識すること可能であり、高精度でチップ部品と基板との位置を認識することが可能となる。
[8]本発明の電子部品実装方法においては、前記チップ部品と前記基板の位置ずれを補正する工程では、前記チップ部品及び前記基板の位置を認識する工程によって得られた位置認識情報に基づき前記チップ部品に対して前記基板の位置を補正する工程と、補正後の前記基板に対する前記チップ部品の平面方向の姿勢を補正する工程と、を含むことが好ましい。
チップ部品と基板とのX,Y方向の位置ずれはチップ部品に対して基板側を移動し、基板に対するチップ部品の姿勢はチップ部品を回転して補正するので、位置補正を行う際の移動誤差(又は移動停止位置誤差)を抑えることが可能となる。
以下、本発明の実施形態に係る電子部品実装装置1及び電子部品実装方法について、図1〜図5を参照しながら説明する。
[電子部品実装装置1の構成]
図1は、実施形態に係る電子部品実装装置1の概略構成を示す平面図であり、図2は、図1の図示下方側から見た電子部品実装装置1を示す正面図である。以降に説明する図は、図1において図示左右方向をY方向又はY軸とし、図示上下方向をX方向又はX軸として説明する。又、X−Y平面に対して鉛直方向をZ方向又は上下方向と表し説明する。
図1、図2を参照して電子部品実装装置1の構成を説明する。電子部品実装装置1は、ベース架台10上に基板11を保持する基板ステージ12と、チップ部品13を保持するチップ部品ステージ14と、基板11の上方に配置され、チップ部品13を基板11にボンディングするボンディングヘッド15と、チップ部品13の位置及び基板11の位置を検出する認識用カメラユニット16とから構成されている。
基板11は、例えば、ガラス基板、樹脂基板、フィルム基板並びに金属基板などであって材質は限定されず、多数のチップ部品13を搭載可能な大判基板であったり、少数のチップ部品を搭載する小版基板であったりしてもよい。基板11の表面には、チップ部品13を接合可能な接着層(図示せず)が設けられている。接着層としては、熱硬化性の接着剤を塗布、或いは熱硬化性の接着フィルムを貼着してもよく、接着層の形成範囲としては、基板11の表面全体としてもチップ部品13の接合位置のみであってもよく、表面に粘着性を有しチップ部品13が基板11上で移動しないものを選択することが好ましい。基板11とチップ部品13の接合面に導通性が要求される場合には、接着層としてAgペーストを使用してもよく、チップ部品13と基板11とを共晶接合技術によって接合してもよい。
チップ部品13としては、例えば、ICチップ、半導体チップ、光学素子や表面実装部品など種類や大きさに限定されない電子部品であって、能動面が基板11に対して上方に向くフェースアップ姿勢で基板に接合(ボンディングと記載する)するものを対象としている。チップ部品13が半導体チップ又はICチップの場合、チップ部品13は外形が円形のウエハ17をフルダイシングによって個片化したものである。従って、チップ部品ステージ14はウエハステージであって、チップ部品13を1個ずつピックアップしやすくするためにエキスパンダステージを使用する。以降の説明では、チップ部品ステージ14をウエハステージ14と記載することがある。
基板ステージ12は、基板X軸駆動部18と基板Y軸駆動部19によって基板11をボンディング位置に移動し、さらにチップ部品13と基板11との位置合わせ(位置ずれ補正)をするために基板11をX方向及びY方向に移動する。
ウエハステージ14は、不図示のX軸駆動部とY軸駆動部を有し、ボンディング対象のチップ部品13の位置をピックアップ可能な位置に移動する。本例においては、図1に示すように、チップ部品13のピックアップ位置は、ウエハ17の中心位置としているが、ウエハ17の移動距離を短縮化できるように規定すればよく、中心位置に限定されない。ウエハステージ14の上方には、不図示のウエハ認識カメラが配設されていて、ボンディング対象のチップ部品13を認識し、この認識情報に基づいてピックアップ対象のチップ部品13をピックアップ位置に移動する。
ボンディングヘッド15は、ベース架台10に立てられた横支柱25に取付けられたヘッドZ軸駆動部26と、ヘッド軸駆動部26によってZ方向(上下)に移動可能なコレット保持枠27を有している。コレット保持枠27は、図2に示すように認識用カメラユニット16側の側面と上方側及び下方側が開口する枠体であって、下方側の開口部にはガラスなどの透明材料からなるコレット28が装着されている。コレット28には、複数の吸引孔(図示せず)が設けられており、吸着孔は真空発生装置(図示せず)に接続されていてチップ部品13を吸着保持することが可能となっている。
コレット保持枠27はθ軸駆動部29に連結され、θ軸30を中心にコレット保持枠27を回転させる。すなわち、θ軸駆動部29は、コレット28に吸着保持されたチップ部品13を回転させる。チップ部品13は、チップ部品の中心(図心)がθ軸30上になるようにコレット28に吸着保持される。
認識用カメラユニット16は、図2に示すように、コレット28の上方側に配置されるチップ部品用カメラユニット31と、コレット28と基板ステージ12との間に配置される基板用カメラユニット32とを有している。チップ部品用カメラユニット31と基板用カメラユニット32は、支持ブロック33によって上下方向に隙間を有して一体に固定されている。チップ部品用カメラユニット31は、チップ部品認識カメラ34と、チップ部品13の画像をコレット28を介して投影する第1ミラー35と、第1ミラー35が投影したチップ部品13の画像をチップ部品認識カメラ34に入力するレンズ36とを有して構成される。一方、基板用カメラユニット32は、基板認識カメラ37と、基板11の一部を投影する第2ミラー38と、第2ミラー38が投影した基板11の画像を基板認識カメラ37に入力するレンズ36とを有して構成される。第1ミラー35及び第2ミラー38としては、本例ではプリズムを使用しているが、ハーフミラーでもよい。
チップ部品用カメラユニット31及び基板用カメラユニット32は、それぞれ光源39と、第3ミラー40とを有している。チップ部品用カメラユニット31においては、光源39から出射された光は、第3ミラー40、レンズ36及び第1ミラー35を通ってチップ部品13に照射され、チップ部品13からの反射光がチップ部品認識カメラ34に入力される。基板用カメラユニット32においては、光源39から出射された光は、第3ミラー40、レンズ36及び第2ミラー38を通って基板11に照射され、基板11からの反射光が基板認識カメラ37に入力される。図2に示すように、第1ミラー35と第2ミラー38は、第1ミラー35がチップ部品13の画像を投影する際の光軸Lと、第2ミラー38が基板11の画像を投影する際の光軸Lとが基板11のチップ部品被着面11Aに対して鉛直、かつ同軸上になるように配置されている。光軸Lは、認識用カメラユニット16が移動しても変らない。図2においては、光軸Lとθ軸30とが同軸上にある場合を例示している。なお、光軸Lは、チップ部品認識カメラ34、第1ミラー35、チップ部品13を結ぶ光軸のうち第1ミラー35とチップ部品13の間の光軸であり、チップ部品認識カメラ34、第2ミラー38、基板11を結ぶ光軸のうち第2ミラー38と基板11の間の光軸である。
認識用カメラユニット16は、カメラ駆動部としてカメラY軸駆動部41及びカメラX軸駆動部42を有しており、チップ部品用カメラユニット31及び基板用カメラユニット32をY方向、X方向に水平移動する。認識用カメラユニット16は、カメラY軸駆動部41によって第1ミラー35がチップ部品13の画像を投影する位置と、退避する位置(ボンディングに影響しない位置)とに第1ミラー35と第2ミラーとを移動させる。第1ミラー35と第2ミラー38の光軸Lは常に同軸上にあるので、認識用カメラユニット16は、チップ部品13と基板11の画像を同時に同じ位置基準で取り込むことができる。
図1に示すように、電子部品実装装置1は、ウエハステージ14と、ウエハステージ14上の個片化されたチップ部品13をピックアップするピックアップアーム45と、ピックアップアーム45からチップ部品13を受け取りボンディングヘッド15まで搬送するチップシャトルアーム46と、を有している。ウエハステージ14の上方には、ウエハ認識用カメラ(図示せず)が設置されており、ウエハ認識用カメラの認識情報に基づきチップ部品ステージ14をX方向及びY方向に移動し、ピックアップ対象のチップ部品13をピックアップアーム45の吸着部下方に移動させる。ピックアップアーム45は、X方向及びZ方向に移動可能であり、ウエハ17の中から良品、かつ、ボンディング対象位置のチップ部品13をピックアップする。チップ部品13は、フェースアップ姿勢で搬送される。
チップシャトルアーム46は、ピックアップアーム45の下方に配置されており、X方向の所定位置(チップ部品ステージ14とボンディングヘッド15のほぼ中間位置)でピックアップアーム45からチップ部品13をフェースアップ姿勢で受けとり、ボンディングヘッド15のコレット28が吸着可能な位置までチップ部品13を搬送する。ボンディングヘッド15は、チップ部品13がコレット28の直下に来たときにヘッドZ軸駆動部26によってコレット28を降下させてチップ部品13をフェースアップ姿勢で吸着保持し、所定の高さまでチップ部品13を上昇させて停止する。その後、チップ部品13と基板11との位置ずれの有無を検出し、位置ずれを補正しチップ部品13を基板11の所定位置にボンディングする。チップ部品13を基板11に実装する電子部品実装装置1の動作及び実装方法については、後述する電子部品実装方法の項で詳しく説明する。
図3は、チップ部品13を基板11にボンディングした状態の1例を示す斜視図である。電子部品実装装置1は、主としてFan Out Wafer Level 技術においてチップ部品13(半導体チップなど)を基板11にフェースアップ状態でボンディングする装置である。従って、基板11は四角形のもの、円形のもの、大きさも様々である。図3に示す例では、四角形の基板11にX方向に9個、Y方向に9固のチップ部品13がボンディングされているが、チップ部品13の数や配列は、これに限定されない。
チップ部品13には、対角にチップ部品認識マークR1,R2が設けられ、基板11には、チップ部品13と同じ方向の対角に基板認識マークM1,M2が設けられている。チップ部品認識マーク及び基板認識マークは、いわゆるアライメントマークであって、2か所ずつに限らず3か所又は4か所に配置してもよいが、チップ部品13の一つずつに対応して基板認識マークを設けることとする。
図4は、チップ部品13と基板11との位置合わせを模式的に表す説明図であり、図4(a)は、位置合わせがなされた状態(位置ずれがない状態)を表し、図4(b)は、位置ずれを認識した状態を表す図である。図4(a)に示す例においては、チップ部品13に設けられたチップ部品認識マークR1、R2を結んだ直線上に基板認識マークM1,M2が配置されている。点線Aで囲まれた領域が第1認識動作位置Aであって、点線Bで囲まれた領域が第2認識動作位置Bである。つまり、第1認識動作位置Aでチップ部品認識マークR1と基板認識マークM1を認識用カメラユニット16で認識し、第2認識動作位置Bまで移動してチップ部品認識マークR2と基板認識マークM2の位置を認識用カメラユニット16で認識し、位置ずれ(チップ部品13に対する基板11のX方向、Y方向の位置ずれ及び姿勢)を認識する。
図4に示す例では、チップ部品認識マークR1,R2と基板認識マークM1,M2の形状を各々四角形、円形としているが、形状は四角形や円形に限らず三角形や十文字などにしてもよい。又、チップ部品認識マーク及び基板認識マークの数は、少なくとも2か所あればよく、3か所、4か所というように増やしてもよい。第1ミラー35及び第2ミラー38の視野内に第1認識動作位置Aと第2認識動作位置Bが入れば、1度の認識動作にすることも可能である。
図4(b)は、チップ部品13に対して基板11の位置ずれがある場合の1例を示す。第1認識動作位置Aにおいては、基板11がチップ部品13に対してX方向へX1、Y方向へY1の位置ずれがある。あるべきM1の位置をM1−0で示している。第2認識動作位置Bにおいては、基板11はチップ部品13に対してX方向へX2、Y方向へY2の位置ずれがある。あるべきM2の位置をM2−0で示している。第1認識動作位置A及び第2認識動作位置Bにおいて認識された位置ずれ情報から、チップ部品13に対する基板11の位置の補正量を制御部(図示せず)で演算し、X方向及びY方向の位置補正は基板ステージ12を駆動して行う。第1認識動作位置Aと第2認識動作位置Bにおける位置ずれが異なる場合には、チップ部品13に対して基板11が回転している(平面方向に傾いている)ことから、チップ部品13を回転させて姿勢を補正すれば、チップ部品13と基板11との高精度な位置合わせを行うことができる。制御部は、少なくとも認識用カメラユニット16を制御してチップ部品13及び基板11の位置情報を入手し、位置補正をするようにチップ部品13及び基板11の位置、姿勢を制御する機能を有する。
以上説明した電子部品実装装置1は、透明材料で形成されチップ部品13を吸着保持するコレット28を有するボンディングヘッド15と、コレット28に対して吸着保持されたチップ部品13の反対側に配置されチップ部品13の画像を投影する第1ミラー35と、第1ミラー35が投影したチップ部品13の画像を認識するチップ部品認識カメラ34と、基板11とコレット28の間に配置され基板11の画像を投影する第2ミラー38と、第2ミラー38が投影した基板11の画像を認識する基板認識カメラ37と、第1ミラー35と第2ミラー38とを一体でチップ部品13及び基板11の認識動作位置に移動するカメラ駆動部であるカメラY軸駆動部41及びカメラX軸駆動部42とを有している。さらに、電子部品実装装置1は、チップ部品認識カメラ34及び基板認識カメラ37によるチップ部品13及び基板11の各位置の認識情報に基づきチップ部品13と基板11の位置ずれを補正する制御部(図示せず)を有している。
電子部品実装装置1は、第1ミラー35と第2ミラー38によってチップ部品13及び基板11を同時に同じ認識動作位置で投影し、それぞれチップ部品認識カメラ34及び基板認識カメラ37によって画像を取込みチップ部品13及び基板11の位置を認識できることから、チップ部品13と基板11の位置とをそれぞれ別々に認識する従来技術よりも短いタクトタイムで高精度にチップ部品13の位置と基板11の位置との位置合わせすることが可能となる。
電子部品実装装置1では、第1ミラー35がチップ部品13の画像を投影する際の光軸Lと、第2ミラー38が基板11の画像を投影する際の光軸Lとを、基板11のチップ部品被着面11Aに対して鉛直、かつ同軸上に配置している。このように構成すれば、チップ部品13と基板11の画像を同じ基準で同時に投影することができる。すなわち、チップ部品認識カメラ34と基板認識カメラ37で同じ光軸上に投影されたチップ部品13と基板11の画像を同じ位置基準で認識可能であり、チップ部品13と基板11との位置を高精度で認識できることから高精度な位置合わせ(位置補正)が可能となる。
電子部品実装装置1において、前述した認識動作位置は、少なくとも離間した2か所に設けられている。認識動作位置が2か所の本例では、カメラ駆動部であるカメラX軸駆動部42及びカメラY軸駆動部41によっては第1認識動作位置Aから第2認識動作位置Bに第1ミラー35及び第2ミラー38を移動する。このように、第1ミラー35と第2ミラー38とを同時に第1認識動作位置Aから第2認識動作位置Bに移動すれば、短時間で2か所の認識動作位置においてチップ部品13と基板11の位置とを認識することができる。さらに、第1ミラー35と第2ミラー38の光軸Lを一致させていることから、各認識動作位置において高精度にチップ部品13と基板11の位置を認識でき、高精度な位置合わせが可能となる。
電子部品実装装置1において、ボンディングヘッド15は、コレット28がチップ部品13を吸着保持する位置からチップ部品13を基板11上にボンディングする位置まで移動するヘッドZ軸駆動部26と、チップ部品13をチップ部品被吸着面11Aに対し平行に回転するθ軸駆動部29と、を有している。ボンディングヘッド15は、平面方向(X方向、Y方向)への移動がないため、平面方向の移動に起因する誤差を抑制できることからチップ部品13と基板11との高精度な位置合わせが可能となる。チップ部品13と基板11との姿勢ずれは、基板ステージ12を回転させて補正することも可能であるが、チップ部品13を回転させて補正する方が、回転軌跡が小さいので装置の小型化が可能となる。
基板11は基板ステージ12に吸着保持されており、基板ステージ12は、チップ部品13のボンディング対象位置への移動、認識動作位置(第1認識動作位置A及び第2認識動作位置B)への移動及びチップ部品13に対する基板11の位置ずれを補正する基板X軸駆動部18と基板Y軸駆動部19とを有している。このようにすれば、基板X軸駆動部18と基板Y軸駆動19によってチップ部品13に対する基板11の位置合わせが可能となることから、基板11とチップ部品13の両方を移動して基板11とチップ部品13の位置を決定する従来技術に対して、平面方向の移動精度や移動停止精度の影響が少なく高精度な位置合わせが可能となる。チップ部品13をチップシャトルアーム46に受け渡した後に、チップシャトルアーム46がチップ部品13をボンディング位置(つまり、コレット28による吸着位置)に搬送する間に、ピックアップアーム45をピックアップ位置に戻るようにする動作させれば、さらにタクトタイムを短縮することが可能となる。
[電子部品実装方法]
図5は、電子部品実装方法に係る主要工程を示す工程フロー図である。図1〜図4を参照し、図5に示す工程フローに沿って説明する。まず、基板11を基板ステージ12に供給し、吸着保持する(ステップS1)。この際、予めフルダイシングされたウエハ17をウエハステージ14の所定位置に供給してあるものとする。基板ステージ12を移動させて基板11をボンディング対象位置に移動する(ステップ2)。ボンディング対象位置は、ボンディングヘッド15のコレット28の直下とする。次に、ピックアップアーム45によってウエハ17からチップ部品13をピックアップする(ステップS3)。ウエハ17は、ピックアップ対象のチップ部品13がピックアップアーム45の可動範囲のピックアップ位置に移動している。
ピックアップアーム45は、チップシャトルアーム46の待機位置に移動し、チップシャトルアーム46にチップ部品13を受け渡す。チップシャトルアーム46は、チップ部品13をボンディング位置に搬送する(ステップS4)。すなわち、チップ部品13をボンディングヘッド15のコレット28の吸着位置まで搬送する。コレット28はチップ部品13を吸着保持する(ステップS5)。チップ部品13は、中心(図心位置)がコレット28の回転中心位置(θ軸30)となるように吸着される。
続いて、認識用カメラユニット16を駆動し、第1ミラー35と第2ミラー38とを第1認識動作位置Aに移動する(ステップS6)。第1認識動作位置Aにおいて、チップ部品認識カメラ34でチップ認識マークR1を認識し、基板認識カメラ37で基板認識マークM1を認識する(ステップS7)。第1ミラー35と第2ミラー38の光軸Lは同軸上にあるため、チップ部品認識カメラ34及び基板認識カメラ37は、チップ部品認識マークR1と基板認識マークM1とを同一位置基準の画像として取り込むことが可能で、第1認識動作位置Aにおけるチップ部品13と基板11の位置ずれ方向と位置ずれ量を認識する。
次に、認識用カメラユニット16を駆動し、第1ミラー35と第2ミラー38とを第2認識動作位置Bに移動する(ステップS8)。第2認識動作位置Bにおいて、チップ部品認識カメラ34でチップ認識マークR2を認識し、基板認識カメラ37で基板認識マークM2を認識する(ステップS9)。第1ミラー35と第2ミラー38の光軸Lは同軸上にあるため、チップ部品認識カメラ34及び基板認識カメラ37は、チップ部品認識マークR2と基板認識マークM2とを同一位置基準の画像として取り込むことが可能で、第2認識動作位置Bにおけるチップ部品13と基板11の位置ずれ方向と位置ずれ量を検出する。第2認識動作位置Bにおいて認識動作が終了した時点で認識用カメラユニット16を駆動し、第1ミラー35及び第2ミラー38をボンディング動作の妨げにならない位置まで退避させる(ステップS10)。
制御部は、第1認識動作位置A及び第1認識動作位置Bの各々で認識した位置ずれ方向と位置ずれ量に基づいて補正量を決定し、基板ステージ12を駆動することによってチップ部品13に対する基板11のX方向及びY方向の位置ずれを補正し、コレット28を回転させることによって基板11に対するチップ部品13の姿勢のずれを補正する(ステップS11)。位置補正が終了した後、チップ部品13を基板11の所定位置に押し付けるようにしてボンディングする(ステップS12)。そして、基板11の全てのボンディング対象位置にチップ部品13をボンディングした後、基板11を除材する(ステップS13)。
以上説明した電子部品実装方法は、チップ部品13をピックアップしボンディング位置に搬送する工程と、透明材料で形成されたコレット28にチップ部品13を吸着保持する工程と、少なくとも2か所の認識動作位置において、第1の認識動作位置Aでチップ部品13及び基板11の位置を認識する工程と、第2認識動作位置Bでチップ部品13及び基板11の位置を認識する工程と、各認識動作位置それぞれの認識情報に基づきチップ部品13と基板11の位置ずれを補正する工程と、位置ずれを補正した後、チップ部品13を基板11の所定位置にボンディングする工程を含んでいる。
チップ部品認識カメラ34と基板認識カメラ37によって、チップ部品13と基板11との位置を同時に同じ認識動作位置で認識できることから、チップ部品13と基板11の位置とをそれぞれ別々に認識する従来技術よりも短いタクトタイムで高精度にチップ部品13の位置と基板11の位置との位置合わせを行い、ボンディングを行うことが可能となる。このような電子部品実装方法によれば、チップ部品13の1個ごとのボンディング後の位置精度は標準偏差をσで表したとき、3σの範囲で位置ずれ量が2μm以内であり、基板11にボンディングされたチップ部品13の全体の位置精度は3σの範囲で3μm以内であった。
チップ部品13(チップ部品認識マークR1,R2)及び基板11(基板認識マークM1,M2)を認識する工程では、同一光軸Lで同時にチップ部品及び前記基板を認識する。このようにすれば、チップ部品13と基板11とを同時に同じ位置基準で認識すること可能であり、高精度でチップ部品13と基板11との位置を認識することが可能となる。
チップ部品13と基板11の位置ずれを補正する工程は、チップ部品13の位置(チップ部品認識マークR1,R2)及び基板11の位置(基板認識マークM1,M2)を認識する工程によって得られた位置認識情報に基づきチップ部品13に対して基板11の位置を補正する工程と、補正後の基板11に対するチップ部品13の平面方向の姿勢を補正する工程と、を含んでいる。チップ部品13と基板11とのX,Y方向の位置ずれはチップ部品13を基準にして基板11を移動し、基板11に対するチップ部品13の姿勢は位置ずれ補正後の基板1の位置を基準にしてチップ部品13を回転して補正するので、位置補正を行う際の移動誤差(又は移動停止位置誤差)を抑えることが可能となる。