図1は、本発明の一の実施の形態に係る電子部品装着装置1の構成を示す正面図である。図2および図3はそれぞれ、電子部品装着装置1の平面図である。図2と図3とでは、後述する複数の搬送ヘッド51の周方向の位置が異なる。
電子部品装着装置1は、微細な電子部品を対象物上に装着する装置である。図1ないし図3に示す例では、対象物は、半導体により形成された略円板状の基板9である。電子部品装着装置1により装着される電子部品8は、例えば、半導体のベアチップ部品、または、発光ダイオードや半導体レーザ等の半導体発光素子である。図1に例示する電子部品装着装置1では、電子部品8を基板9に装着する際に、電子部品8の電極の接合も同時に行われる。換言すれば、電子部品装着装置1では、電子部品8の実装が行われる。
以下の説明では、図1中における上側および下側である(+Z)側および(−Z)側を、単に「上側」および「下側」とも呼び、Z方向を「上下方向」とも呼ぶ。X方向およびY方向はZ方向に垂直であり、X方向とY方向とは互いに垂直である。なお、上下方向は、必ずしも実際の装置の位置関係や方向を示すものではない。
電子部品装着装置1は、基板保持部21と、保持部移動機構22と、部品保持部31と、保持部回転機構41と、保持部昇降機構42と、部品搬送機構5と、部品供給部54と、撮像部61と、撮像位置調整部62とを備える。基板保持部21は、基板9を保持する対象物保持部である。基板9は、電子部品が装着される接合面91を上側に向けて、基板保持部21により下方から支持される。保持部移動機構22は、基板保持部21を、基板9の接合面91に平行なX方向およびY方向に移動する。
部品保持部31は、基板9および基板保持部21の上方にて電子部品8を保持する。電子部品8は、基板9に接合される接合面81を下側に向けて、部品保持部31により上方から保持される。図1に示す例では、部品保持部31は電子部品8を吸着して保持する。保持部回転機構41は、上下方向を向く回転軸を中心として部品保持部31を回転する。保持部昇降機構42は、部品保持部31を上下方向に移動する。
部品供給部54は、部品搬送機構5に電子部品8を供給する。図1ないし図3では、部品供給部54の詳細な構造の図示を省略し、破線の矩形にて部品供給部54を示す。部品搬送機構5は、部品供給部54から供給された電子部品8を搬送し、部品保持部31に供給する。部品搬送機構5は、複数の搬送ヘッド51と、搬送ヘッド移動機構52とを備える。搬送ヘッド移動機構52は、上下方向を向く回転軸53を中心として複数の搬送ヘッド51を所定の回転方向に水平に回転する。図2および図3に示す例では、複数の搬送ヘッド51は時計回り方向に回転する。各搬送ヘッド51は、回転軸53を中心とする径方向に延びる略棒状の部材である。複数の搬送ヘッド51は、回転軸53を中心として略等角度間隔にて放射状に配置される。図2に示す例では、5つの搬送ヘッド51が、約72度間隔にて回転軸53の周囲に周方向に配置される。
図1および図2に示すように、部品搬送機構5では、一の搬送ヘッド51が最も(−X)側の位置に位置する場合、当該搬送ヘッド51の外端部(すなわち、径方向外側の端部)は、基板保持部21と部品保持部31との間に位置する。また、図3に示すように、一の搬送ヘッド51が最も(+X)側の位置に位置する場合、当該搬送ヘッド51の外端部は、部品供給部54内または部品供給部54近傍に位置する。部品供給部54には、例えば、ダイシングにより得られた複数の電子部品8が収容されている。
1つの搬送ヘッド51に注目すると、当該搬送ヘッド51が図3に示す位置(以下、「第1の位置」という。)に位置した状態で、部品供給部54により、搬送ヘッド51に1つの電子部品8が供給される。図3に示す例では、搬送ヘッド51の外端部の上面に1つの電子部品8が載置される。電子部品8は、接合面81(図1参照)を下方に向けて搬送ヘッド51により吸着されて保持される。電子部品8を保持した搬送ヘッド51は、搬送ヘッド移動機構52により回転軸53を中心として回転し、図1および図2に示す基板保持部21と部品保持部31との間の位置(第1の位置とは異なる位置であり、以下、「第2の位置」という。)へと移動する。
そして、第2の位置において、搬送ヘッド51から部品保持部31に電子部品8が供給される。換言すれば、部品保持部31が、部品搬送機構5の搬送ヘッド51から電子部品8を受け取って保持する。その後、搬送ヘッド51は、搬送ヘッド移動機構52により第2の位置から第1の位置へと移動する。
図2および図3に示す例では、第1の位置および第2の位置は、回転軸53を中心とする同一の円周上に位置し、搬送ヘッド移動機構52は、搬送ヘッド51を回転軸53を中心として回転することにより、第1の位置と第2の位置との間で移動する。部品搬送機構5の他の搬送ヘッド51も、搬送ヘッド移動機構52により回転軸53を中心として回転することにより、第1の位置と第2の位置との間で移動する。部品保持部31には、複数の搬送ヘッド51により電子部品8が順次供給される。
撮像部61は、第2の位置に位置する搬送ヘッド51の外端部に対向する位置に配置される。撮像部61は、Z方向において当該搬送ヘッド51とおよそ同じ位置に位置する。図1に示す例では、撮像部61は、第2の位置に位置する搬送ヘッド51の(−X)側に位置する。撮像部61は、基板保持部21の移動と干渉しない位置に配置される。撮像部61からは、搬送ヘッド51に向けて照明光が出射される。照明光は、例えば、可視光である。撮像位置調整部62は、撮像部61の上側に取り付けられる。撮像位置調整部62は、撮像部61をX方向、Y方向およびZ方向に移動することにより、撮像部61の位置を変更することが可能である。
図4および図5はそれぞれ、第2の位置に位置する搬送ヘッド51および撮像部61の一部を拡大して示す正面図および平面図である。図6は、搬送ヘッド51の外端部を拡大して示す斜視図である。図4では、部品保持部31、電子部品8、基板保持部21および基板9を併せて示す。図5では、基板保持部21および基板9を併せて示す。他の搬送ヘッド51は、図4ないし図6に示す搬送ヘッド51と同様の構造を有する。
搬送ヘッド51は、ヘッド先端部511と、ヘッド本体部512と、反射部513とを備える。ヘッド先端部511の少なくとも電子部品保持面は、照明光を透過する材料にて形成される。図4に示す例では、ヘッド先端部511全体が、照明光を透過する材料にて形成される。上述のように、照明光が可視光である場合、ヘッド先端部511は、可視光を透過する材料(例えば、透明なガラス)にて形成される。ヘッド本体部512は、ヘッド先端部511を支持する。ヘッド本体部512は、例えば、ステンレス鋼により形成される。図4ないし図6に示す例では、ヘッド先端部511は、第2の位置において(+X)側に凹部を有する略直方体である。また、ヘッド本体部512は、第2の位置において(−X)側に突出する凸部を有する。ヘッド先端部511の凹部にヘッド本体部512の凸部が嵌合した状態で、ヘッド先端部511がヘッド本体部512に固定される。
ヘッド先端部511には、ヘッド先端部511の上面からヘッド本体部512の(−X)側の先端部に至る先端部流路514が設けられる。先端部流路514は、ヘッド本体部512の内部に設けられる本体部流路515に接続される。図4中に二点鎖線にて示すように、搬送ヘッド51により電子部品8が保持される場合、先端部流路514および本体部流路515を介して吸引が行われることにより、電子部品8の接合面81が吸着される。図4に示す例では、搬送ヘッド51に保持される電子部品8は、ヘッド先端部511に接触する。当該電子部品8は、ヘッド本体部512にも接触してよい。また、電子部品8の接合部(例えば、実装用のバンプ)を搬送ヘッド51に接触させずに、電子部品8が搬送ヘッド51に保持されてもよい。例えば、電子部品8のバンプ以外の部位が、搬送ヘッド51の凸状の部位により保持されてもよい。あるいは、搬送ヘッド51は、電子部品8の外形をテーパで受けるコレット形状とされてもよい。
図4ないし図6に示すように、反射部513は、搬送ヘッド51においてヘッド先端部511とヘッド本体部512との間に設けられる。反射部513は、第1ミラー面516と、第2ミラー面517とを含む。第1ミラー面516および第2ミラー面517は、ヘッド先端部511とヘッド本体部512との境界に形成される。換言すれば、第1ミラー面516および第2ミラー面517は、ヘッド先端部511により覆われる。図6では、第1ミラー面516および第2ミラー面517に平行斜線を付す。第1ミラー面516および第2ミラー面517は、例えば、ヘッド先端部511のヘッド本体部512との境界面にアルミニウム(Al)を蒸着することにより形成されるプリズムミラーである。第1ミラー面516および第2ミラー面517は、水平面に対して傾斜する。第1ミラー面516は、第2ミラー面517の上側に配置される。
第2の位置に位置する搬送ヘッド51では、第1ミラー面516は、(−X)側および(+Z)側を向く。換言すれば、第1ミラー面516は、撮像部61、および、部品保持部31に保持された電子部品8に斜めに対向する。第1ミラー面516の水平面に対する傾斜角は約45度である。
撮像部61から出射された照明光(例えば、可視光)は、光軸J1に沿ってヘッド先端部511に入射し、ヘッド先端部511を透過して第1ミラー面516へと導かれる。第1ミラー面516にて反射された照明光は、ヘッド先端部511を透過して、部品保持部31に保持された電子部品8の接合面81へと導かれる。電子部品8の接合面81にて反射された照明光は、光軸J1に沿って接合面81からヘッド先端部511を介して第1ミラー面516に入射し、第1ミラー面516にて反射されて撮像部61へと導かれる。第1ミラー面516からの反射光は、撮像部61にて受光される。すなわち、撮像部61により、部品保持部31に保持された電子部品8の接合面81の一部(または、全部)が撮像される。撮像部61では、第1ミラー面516に映る電子部品8の接合面81の鏡像が撮像される。
図5では、第1ミラー面516に映る電子部品8の接合面81の鏡像も併せて示す。また、当該鏡像にも電子部品8および接合面81と同様の符号を付す。電子部品8の接合面81には、複数の目印83が設けられている。電子部品8の接合面81は略正方形であり、対角線上に位置する2つの角部のそれぞれに目印83が設けられる。換言すれば、電子部品8の接合面81では、2つの目印83がおよそ対角線上に配置される。
部品保持部31に保持された電子部品8では、接合面81の一方の対角線がX方向に略平行である。また、2つの目印83を通る(あるいは、2つの目印83に近接する)他方の対角線は、Y方向に略平行である。このため、電子部品8が部品保持部31に保持された状態では、複数の目印83から撮像部61までのそれぞれの距離(例えば、X方向の距離)が互いに略等しい。すなわち、第1ミラー面516に映る接合面81の鏡像では、2つの目印83を結ぶ直線はY方向に略平行である。図5に示す例では、2つの目印83を結ぶ直線は、第1ミラー面516の近傍に設けられた先端部流路514の上部開口(すなわち、電子部品8を吸着する吸着穴)を通る。先端部流路514の上部開口は、第1ミラー面516の上方に位置する。
図4に示すように、第2の位置に位置する搬送ヘッド51では、第2ミラー面517は、(−X)側および(−Z)側を向く。換言すれば、第2ミラー面517は、撮像部61、および、基板保持部21に保持された基板9に斜めに対向する。第2ミラー面517の水平面に対する傾斜角は約45度である。
撮像部61から出射された照明光(例えば、可視光)は、光軸J2に沿ってヘッド先端部511に入射し、ヘッド先端部511を透過して第2ミラー面517へと導かれる。第2ミラー面517にて反射された照明光は、ヘッド先端部511を透過して、基板保持部21に保持された基板9の接合面91へと導かれる。基板9の接合面91にて反射された照明光は、光軸J2に沿って接合面91からヘッド先端部511を介して第2ミラー面517に入射し、第2ミラー面517にて反射されて撮像部61へと導かれる。第2ミラー面517からの反射光は、撮像部61にて受光される。すなわち、撮像部61により、基板保持部21に保持された基板9の接合面91の一部が撮像される。撮像部61では、第2ミラー面517に映る基板9の接合面91の鏡像が撮像される。
図4および図5に示すように、基板9の接合面91には、電子部品8の装着時の位置決め(すなわち、アライメント)に利用される複数の目印93が設けられている。撮像部61により取得される基板9の接合面91の画像には、例えば、2つの目印93が含まれる。なお、目印93は、アライメント専用の目印でもよく、基板9の接合面91に設けられた配線等の一部であってもよい。電子部品8の接合面81における目印83も同様に、アライメント専用の目印でもよく、接合面81に設けられた構造(例えば、実装用のバンプ)であってもよい。撮像部61は、基板保持部21に保持された基板9、および、部品保持部31に保持された電子部品8をそれぞれ並行して撮像する2視野カメラである。図4および図5に示す例では、基板9および電子部品8は、撮像部61の1つの撮像デバイスにより同時に撮像される。
次に、図7を参照しつつ、電子部品装着装置1における電子部品8の基板9への装着の流れについて説明する。図7は、1つの搬送ヘッド51により搬送される電子部品8に注目した装着の流れである。電子部品装着装置1では、まず、図3に示す部品供給部54により、第1の位置に位置する搬送ヘッド51に電子部品8が供給される。搬送ヘッド51は、上述のように、先端部流路514および本体部流路515を介した吸引により、電子部品8の接合面81を吸着して保持する(ステップS11)。
続いて、当該搬送ヘッド51が、搬送ヘッド移動機構52により回転軸53を中心として回転し、第1の位置から第2の位置へと移動する。これにより、電子部品8が、部品供給部54から部品保持部31へと搬送される(ステップS12)。搬送ヘッド51の移動は、ステップ状に行われる。具体的には、搬送ヘッド51が所定の送り角度だけ回転する毎に一時的に回転が停止され、他の搬送ヘッド51が第1の位置に位置すると、当該他の搬送ヘッド51に部品供給部54から電子部品8が供給される。図1ないし図3に示す例では、上記送り角度は約36度である。
搬送ヘッド51が、基板保持部21と部品保持部31との間の第2の位置に位置すると、図1に示すように、部品保持部31が、搬送ヘッド51から電子部品8を受け取って保持する(ステップS13)。具体的には、保持部昇降機構42により部品保持部31が下降し、電子部品8の接合面81とは反対側の面が部品保持部31により保持される。図1に示す例では、部品保持部31は電子部品8を吸着して保持する。そして、搬送ヘッド51による電子部品8の吸着が解除され、保持部昇降機構42により部品保持部31が電子部品8と共に上昇する。
次に、搬送ヘッド51が第2の位置に位置した状態のままで、撮像部61による撮像が行われる。撮像部61は、第2の位置に位置する搬送ヘッド51の反射部513を介して、基板9の接合面91の目印93、および、当該搬送ヘッド51から部品保持部31に供給された電子部品8の接合面81の目印83を並行して撮像する(ステップS14)。
図8Aは、撮像部61の視野と目印83,93との関係の一例を示す図である。図8Aでは、撮像部61の視野610を破線にて示す。図8Aに示す例では、電子部品8の2つの目印83が、第1ミラー面516と第2ミラー面517との間の境界線518に平行に、1視野内(すなわち、撮像部61の1つの視野610の内部)に配置される。また、基板9の2つの目印93も、境界線518に平行に1視野内(すなわち、撮像部61の1つの視野610の内部)に配置される。
ステップS13において、搬送ヘッド51上の電子部品8を部品保持部31により吸着する際には、電子部品8の位置ずれが生じる可能性がある。したがって、電子部品8の目印83の撮像(すなわち、ステップS14における画像認識)は、部品保持部31に電子部品8が保持された後に行うことが好ましい。また、反射部513と基板9上の目印93との間の光学的な距離は、好ましくは、反射部513と電子部品8の目印83との間の光学的な距離と略等しい。換言すれば、撮像部61と目印93との間の光学的な距離と、撮像部61と目印83との間の光学的な距離とが略等しいことが好ましい。これにより、撮像部61においてフォーカス調節を行うことなく、2種類の目印83,93を同時に撮像することができる。なお、光学的な距離とは、光軸上の空気やガラス等の屈折率の差を考慮した距離である。
基板9および電子部品8の撮像が終了すると、撮像部61からの出力(すなわち、ステップS14における撮像結果)に基づいて、電子部品8の基板9に対する相対位置(すなわち、電子部品8と基板9との相対位置)が求められる。そして、当該相対位置が、予め定められた設計相対位置からずれている場合、必要に応じて、保持部移動機構22および保持部回転機構41が駆動される。これにより、基板9が基板保持部21と共にX方向および/またはY方向に移動し、電子部品8が部品保持部31と共に、上下方向を向く回転軸を中心として回転する。これにより、電子部品8と基板9との相対位置が、設計相対位置に等しくなるように調整される(ステップS15)。
電子部品装着装置1では、保持部移動機構22および保持部回転機構41は、撮像部61からの出力に基づいて電子部品8と基板9との相対位置を調整する装着位置調整部である。当該電子部品8を搬送した搬送ヘッド51は、ステップS13における部品保持部31への電子部品8の供給から、ステップS15における上記相対位置の調整終了までの間、第2の位置に位置したままである。
電子部品8と基板9との相対位置が調整されると、搬送ヘッド移動機構52により搬送ヘッド51が上述の送り角度(例えば、約36度)だけ回転することにより、図3に示すように、基板保持部21と部品保持部31との間の第2の位置から退避する(ステップS16)。このとき、退避した搬送ヘッド51に隣接する次の搬送ヘッド51も第2の位置には位置しておらず、部品保持部31に保持された電子部品8は、搬送ヘッド51を挟むことなく、基板9に直接的に対向する。また、部品供給部54では、他の搬送ヘッド51が第1の位置に位置する。なお、搬送ヘッド51の退避(ステップS16)は、ステップS14とステップS15との間に行われてもよく、ステップS15と並行して行われてもよい。ステップS16をステップS15と並行して行うことにより、電子部品8の基板9への装着に要する時間を短くすることができる。
続いて、保持部昇降機構42により部品保持部31が基板保持部21に向けて移動する。これにより、電子部品8が下方へと移動して基板9に近付き、電子部品8の接合面81と基板9の接合面91とが接触する。電子部品8は、例えば、保持部昇降機構42により基板9に向けて押圧されることにより、および/または、部品保持部31に内蔵されたヒータ等により加熱されることにより、基板9に装着される(ステップS17)。電子部品8と基板9との接合は、例えば、ハンダを介して行われてもよく、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を介して行われてもよい。すなわち、保持部昇降機構42は、電子部品8を基板9に装着する装着機構である。なお、電子部品8の基板9への装着は、上記以外の様々な方法により行われてよい。部品供給部54では、ステップS17と並行して、第1の位置に位置する他の搬送ヘッド51に電子部品8が供給される。
電子部品装着装置1では、第1の位置にて電子部品8が供給された他の搬送ヘッド51も、上記と同様に、第2の位置へと順次移動し、部品保持部31へと電子部品8が供給される。そして、撮像部61により、第2の位置に位置する他の搬送ヘッド51の反射部513を介して、基板9および当該他の搬送ヘッド51から部品保持部31に供給された電子部品8がそれぞれ撮像される。その後、電子部品8と基板9との相対位置の調整が行われ、当該他の搬送ヘッド51が第2の位置から退避し、保持部昇降機構42により電子部品8が基板9に装着される。
電子部品装着装置1では、装置組み立て時の誤差等により、第2の位置における一の搬送ヘッド51の位置と、第2の位置における他の搬送ヘッド51の位置とが僅かに異なる(すなわち、搬送ヘッド51毎に位置誤差が存在する)場合がある。当該位置誤差には、搬送ヘッド51毎の第1ミラー面516および第2ミラー面517の傾きの僅かな差異も含まれる。この場合、第2の位置における一の搬送ヘッド51と他の搬送ヘッド51との位置誤差に基づいて、当該他の搬送ヘッド51を介した撮像により電子部品8と基板9との相対位置を求める際の位置認識上のオフセット値が予め準備される。そして、他の搬送ヘッド51を介した撮像結果から求められた当該相対位置を、当該オフセット値に基づいて補正することにより、上記位置誤差の影響が低減される。上記オフセット値は、複数の搬送ヘッド51の全てに対してそれぞれ準備されてもよい。
以上に説明したように、電子部品装着装置1では、第1の位置にて電子部品8を保持するとともに第2の位置にて部品保持部31に電子部品8を供給する搬送ヘッド51に、反射部513が設けられる。また、撮像部61は、第2の位置に位置する当該搬送ヘッド51の反射部513を介して、基板9の接合面91、および、当該搬送ヘッド51から部品保持部31に供給された電子部品8の接合面81をそれぞれ撮像する。そして、撮像部61からの出力に基づいて、電子部品8と基板9との相対位置が調整された後、電子部品8が基板9に装着される。
このように、電子部品装着装置1では、部品保持部31に電子部品8を供給した直後の搬送ヘッド51を利用して、電子部品8の接合面81および基板9の接合面91を撮像することができる。このため、部品保持部と基板保持部との間に2視野カメラを挿入して撮像を行った後に当該2視野カメラを退避させる構造の電子部品装着装置(以下、「比較例の電子部品装着装置」という。)に比べて、電子部品8の基板9への装着に要する時間を短くすることができる。詳細には、電子部品8が部品保持部31に供給されてから基板9に装着されるまでの間の時間を短くすることができる。例えば、上述の比較例の電子部品装着装置では、2〜3秒に1つの電子部品が装着されるのに対し、図1に示す電子部品装着装置1では、約1秒に1つの電子部品8を装着可能である。
また、電子部品装着装置1では、電子部品や基板の目印にて反射された光が電子部品および部品保持部を透過して撮像部へと導かれる構造の電子部品装着装置とは異なり、電子部品8が光を透過させる材質により形成される必要がないため、様々な種類の電子部品8と基板9との相対位置を調整することができる。また、部品保持部31も光を透過させる材質により形成される必要がないため、部品保持部31の材料選択の自由度を向上することもできる。このように、電子部品装着装置1では、様々な種類の電子部品8について、電子部品8の基板9への装着に要する時間を短くすることができる。
上述のように、搬送ヘッド51は、光が透過する材料にて形成されるヘッド先端部511と、ヘッド先端部511を支持するヘッド本体部512とを備える。また、搬送ヘッド51に設けられる反射部513は、第1ミラー面516と、第2ミラー面517とを含む。第1ミラー面516は、ヘッド先端部511とヘッド本体部512との境界に形成され、電子部品8の接合面81からヘッド先端部511を介して入射する光を反射して撮像部61へと導く。第2ミラー面517は、ヘッド先端部511とヘッド本体部512との境界に形成され、基板9の接合面91から入射する光を反射して撮像部61へと導く。反射部513を当該構造とすることにより、搬送ヘッド51の構造を簡素化することができる。
また、搬送ヘッド51では、ヘッド先端部511が可視光を透過する材料にて形成され、第1ミラー面516および第2ミラー面517は、可視光を反射して撮像部61へと導く。これにより、搬送ヘッド51の構造を簡素化することができる。また、撮像部61から第1ミラー面516および第2ミラー面517に向けて照明光を出射する光源を可視光源とすることができるため、撮像部61の構造を簡素化することができるとともに撮像部61の製造コストを低減することもできる。
上述のように、電子部品8の接合面81には複数の目印83が設けられており、電子部品8が部品保持部31に保持された状態で、当該複数の目印83から撮像部61までのそれぞれの距離が互いに等しい。このため、第1ミラー面516に映る接合面81の鏡像では、2つの目印83を結ぶ直線はY方向に略平行である。これにより、撮像部61の視野が比較的小さい場合であっても、1回の撮像で2つの目印83を含む画像を取得することができる。換言すれば、複数の目印83を同時に撮像することができる。したがって、撮像部61による撮像に要する時間が増大することを抑制することができる。
図8Aに示す例では、電子部品8の2つの目印83、および、基板9の2つの目印93が1視野内に配置される。この場合、撮像部61を移動することなく、2つの目印83および2つの目印93を同時に撮像することができるため、電子部品8と基板9との相対位置の検出精度を向上することができる。また、電子部品8と基板9との相対位置の検出に要する時間を短くすることができる。
なお、図8Bに示すように、2つの目印83の間の距離が大きく、2つの目印83が撮像部61の視野610に同時に収まらない場合、撮像部61は、2つの目印83の配列方向に平行に移動して(すなわち、当該方向に視野610を移動して)各目印83を撮像する。同様に、2つの目印93の間の距離が大きく、2つの目印93が撮像部61の視野610に同時に収まらない場合、撮像部61は、2つの目印93の配列方向に平行に移動して(すなわち、当該方向に視野610を移動して)各目印93を撮像する。上述のように、2つの目印83は、第1ミラー面516と第2ミラー面517との間の境界線518に平行に配置され、2つの目印93も境界線518に平行に配置される。このため、目印83の間隔や目印93の間隔が比較的大きい場合であっても、撮像部61を境界線518に平行な方向に移動するのみで(すなわち、1軸移動のみで)、各目印83,93の撮像が可能となる。
電子部品装着装置1では、部品搬送機構5が、互いに同様の構造を有する複数の搬送ヘッド51を備え、複数の搬送ヘッド51は、搬送ヘッド移動機構52により第1の位置と第2の位置との間で移動する。また、撮像部61は、第2の位置に位置する各搬送ヘッド51の反射部513を介して、当該搬送ヘッド51から部品保持部31に供給された電子部品8、および、基板9をそれぞれ撮像する。このように、複数の搬送ヘッド51を利用することにより、部品保持部31への電子部品8の供給を効率良く行うことができる。その結果、多数の電子部品8の装着に要する時間を短縮することができる。
電子部品装着装置1では、また、複数の搬送ヘッド51を回転軸53を中心として回転することにより第1の位置と第2の位置との間で移動する搬送ヘッド移動機構52が設けられることにより、電子部品装着装置1の構造を簡素化および小型化することができる。
さらに、第2の位置における一の搬送ヘッド51と他の搬送ヘッド51との位置誤差に基づいて、当該他の搬送ヘッド51を介した撮像により電子部品8と基板9との相対位置を求める際の位置認識上のオフセット値が予め準備される。そして、複数の搬送ヘッド51について、搬送ヘッド51毎の位置誤差を調整することにより、電子部品8と基板9との相対位置を高精度に調整することができる。なお、電子部品装着装置1では、当該オフセット値に基づいて、一の搬送ヘッド51を介した撮像時と、他の搬送ヘッド51を介した撮像時とで、撮像位置調整部62により撮像部61の位置が変更されてもよい。この場合も同様に、電子部品8と基板9との相対位置を高精度に調整することができる。
上述の電子部品装着装置1では、様々な変更が可能である。
例えば、第1ミラー面516および第2ミラー面517により撮像部61に導かれて撮像に利用される光は、必ずしも可視光である必要はない。例えば、撮像部61として赤外線カメラが利用され、赤外光が撮像に利用されてもよい。この場合、ヘッド先端部511は、赤外光を透過する材料(例えば、シリコン(Si))により形成される。また、第1ミラー面516および第2ミラー面517は、赤外光を効率良く反射する材料(例えば、金(Au))により形成される。
第2ミラー面517は、必ずしもヘッド先端部511とヘッド本体部512との境界に形成される必要はない。例えば、ヘッド先端部511のZ方向の厚さが、第1ミラー面516のZ方向の高さと略等しく、ヘッド先端部511とヘッド本体部512との境界には、第1ミラー面516のみが設けられてもよい。この場合、第2ミラー面517は、例えば、ヘッド本体部512の先端面にてヘッド先端部511から露出して設けられる。また、第2ミラー面517は、基板9の接合面91から入射する光を反射して撮像部61へと導く複数のミラー面を含んでいてもよい。第1ミラー面516も、電子部品8の接合面81から入射する光を反射して撮像部61へと導く複数のミラー面を含んでいてもよい。すなわち、反射部513は、少なくとも2つのミラー面を含む。換言すれば、各搬送ヘッド51は、少なくとも2つのミラー面を含む。当該ミラー面は、例えば、表面鏡の反射面であってもよく、プリズムの反射面であってもよい。
搬送ヘッド移動機構52は、必ずしも複数の搬送ヘッド51を回転する機構である必要はなく、例えば、複数の搬送ヘッド51を部品供給部54から部品保持部31へと直線的に移動させるリニアスライダであってもよい。部品搬送機構5では、必ずしも複数の搬送ヘッド51が設けられる必要はなく、1つの搬送ヘッド51のみが設けられてもよい。
電子部品8に設けられる目印83の数は、必ずしも2つには限定されず、1つであっても、3つ以上であってもよい。1つの電子部品8の装着に利用される基板9上の目印93の数も同様に、1つであっても、3つ以上であってもよい。ただし、電子部品8と基板9との相対位置を高精度に取得するという観点からは、電子部品8に設けられる目印83の数、および、1つの電子部品8の装着に利用される基板9上の目印93の数は、複数であることが好ましい。特に、電子部品8の水平面内における向き(すなわち、回転方向)を高精度に求めるためには、複数の目印83間の距離が大きい方が好ましい(基板9の目印93に関しても同様)。電子部品装着装置1では、撮像位置調整部62により撮像部61を移動させて複数回の撮像を行うことにより、複数の目印83および複数の目印93の撮像が行われてもよい。なお、目印83の数が1つであっても、当該目印が、水平面内における向き(すなわち、回転方向)も表現可能なものである場合、電子部品8の位置および向きを精度良く求めることができる。
上述の例では、撮像部61から搬送ヘッド51に向けて照明光が出射されるが、照明光は、例えば、撮像部61とは異なる位置に設けられた光源から、搬送ヘッド51、または、電子部品8および基板9に向けて出射されてもよい。また、照明光は、電子部品8および基板9に対して様々な方向から入射してよい。
撮像部61は、例えば、第2の位置に位置する搬送ヘッド51の側方、すなわち、(+Y)側または(−Y)側に配置されてもよい。この場合、第1ミラー面516および第2ミラー面517の向きおよび位置は、撮像部61の位置に合わせて設定される。
撮像部61は、例えば、図9に示すように、撮像位置調整部62と共に基板9の上方に配置され、搬送ヘッド51の(−X)側に配置されたミラー63を介して、電子部品8の接合面81および基板9の接合面91を撮像してもよい。このように、撮像部61を基板9の上方に配置することにより、搬送ヘッド51と基板9との間の距離が小さく、あるいは、基板9が比較的大型であり、搬送ヘッド51の側方等に撮像部61を配置することが難しい場合であっても、電子部品8および基板9を容易に撮像することができる。また、撮像部61を移動することなく撮像を行うことができるため、電子部品8の基板9への装着に要する時間を短くすることができる。
搬送ヘッド51の構造は様々に変更されてよい。図10は、他の好ましい搬送ヘッド51の一部を示す斜視図であり、図11は、当該搬送ヘッド51の一部を示す縦断面図である。図11では、図10に示す搬送ヘッド51のY方向の中央における断面を示す。図10および図11に示す例では、ヘッド先端部511のうち、電子部品8と接する上部(以下、「部品接触部519」という。)はガラスで形成され、照明光が通過する他の部位には、第1ミラー面516および第2ミラー面517が内部に配置される貫通孔510が設けられる。ヘッド先端部511の(−X)側の面、および、(−Z)側の面には、貫通孔510の端部である開口が設けられる。また、ヘッド先端部511の他の部位は、照明光を透過する必要はないため、様々な材料(例えば、ステンレス鋼)により形成されてよい。
搬送ヘッド51および部品保持部31では、電子部品8は必ずしも吸引吸着により保持される必要はなく、例えば、電気的あるいは磁気的に吸着されることにより保持されてもよい。
上述の例では、保持部移動機構22が基板9をX方向およびY方向に移動し、保持部回転機構41および保持部昇降機構42が電子部品8を回転し、Z方向に移動するが、電子部品8と基板9との相対移動および相対的な回転は、様々な機構により行われてよい。また、一の方向に電子部品8を移動する機構と当該一の方向に基板9を移動する機構の双方が設けられてもよく、電子部品8を回転する機構と基板9を回転する機構の双方が設けられてもよい。
電子部品装着装置1では、半導体のベアチップ部品や半導体発光素子以外の様々な電子部品8が装着されてよい。電子部品8は、例えば、半導体部品を含む成型加工半導体の板状部品、パッケージされた半導体集積回路(IC)、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス、または、複数個を基板9に接合できる程度に小さい部品や小型の基板であってもよい。
電子部品装着装置1により電子部品8が装着される対象物は、半導体基板以外の様々な基板であってよい。基板9は、例えば、ガラス、セラミック、金属、プラスチック等の材料、または、複数の材料を利用した複合材料により形成されてもよい。基板9の平面視における形状は、例えば、略矩形であってもよい。
また、電子部品装着装置1により、基板以外の様々な対象物に電子部品8が装着されてもよい。例えば、電子部品装着装置1では、基板上に装着された電子部品8を対象物として、当該電子部品8上に他の電子部品8が装着されてもよい。あるいは、対象物は、例えば、複数の電子部品8が2次元的に配置された集合体(例えば、ウエハからダイシングされ粘着シート上に配置されたもの)であってもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。