JP2019094907A - ターボ機械 - Google Patents
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Abstract
Description
常温での飽和蒸気圧が負圧である冷媒を作動流体として 用いた冷凍サイクル装置のためのターボ機械であって、
回転軸と、
前記回転軸に固定され、前記回転軸が回転するときに作動流体によって相対的に低い圧力を受ける低圧面を含む第一翼車と、
前記第一翼車の前記低圧面側に配置され、前記回転軸を支持する第一軸受と、
前記第一翼車を挟んで前記第一軸受と反対側で前記回転軸を支持する第二軸受と、を備え、
前記回転軸は、少なくとも前記第一軸受によって支持されている領域において前記第一翼車の低圧面に向かって拡大する直径を有する第一テーパー部を含み、
前記第一軸受は、前記第一翼車の低圧面に向かって直径が拡大する第一支持面を有して前記第一テーパー部を支持し、
前記第一軸受、前記第一翼車、及び前記第二軸受が前記回転軸の長さ方向に沿ってこの順に配置されている、
ターボ機械を提供する。
本発明者らは、常温(日本工業規格:20℃±15℃/JIS Z8703)で飽和蒸気圧が負圧(絶対圧で大気圧よりも低い圧力)である作動流体が用いられ、吐出される作動流体の圧力が負圧であるターボ機械を検討した。その結果、以下の知見を得た。
作動流体として常温での飽和蒸気圧が負圧である冷媒を用いる冷凍サイクル装置では、作動流体として常温での飽和蒸気圧が正圧である冷媒を用いる冷凍サイクル装置に比して、ターボ機械においてより高い圧力比を実現することが要求される。そのため、ターボ機械は回転体の回転数として極めて高い回転数が必要になる。また、これに起因してターボ機械において、共振による異常振動が生じ易くなる。本発明者らは、鋭意検討したところ、軸方向の回転体の質量分布を重心位置から近い位置に偏らせ、回転体の曲げ固有振動数を増大させることで、回転体の曲げ固有振動数を定格回転数よりも高くし、これにより共振による異常振動を抑制できることを見出した。
上記知見に基づき、本発明者らは、以下に説明する各態様の発明を想到するに至った。
常温での飽和蒸気圧が負圧である冷媒を作動流体として 用いた冷凍サイクル装置のためのターボ機械であって、
回転軸と、
前記回転軸に固定され、前記回転軸が回転するときに作動流体によって相対的に低い圧力を受ける低圧面を含む第一翼車と、
前記第一翼車の前記低圧面側に配置され、前記回転軸を支持する第一軸受と、
前記第一翼車を挟んで前記第一軸受と反対側で前記回転軸を支持する第二軸受と、を備え、
前記回転軸は、少なくとも前記第一軸受によって支持されている領域において前記第一翼車の低圧面に向かって拡大する直径を有する第一テーパー部を含み、
前記第一軸受は、前記第一翼車の低圧面に向かって直径が拡大する第一支持面を有して前記第一テーパー部を支持し、
前記第一軸受、前記第一翼車、及び前記第二軸受が前記回転軸の長さ方向に沿ってこの順に配置されている、ものである。
前述の通り、作動流体として、常温での飽和蒸気圧が負圧の冷媒を用いる場合、ターボ機械は前記インペラの回転数として高い回転数が必要になる。また、これに起因してターボ機械において、共振による異常振動が生じ易くなる。これに対して、第1態様のターボ機械は、作動流体として、常温での飽和蒸気圧が負圧の冷媒を用いつつ、共振による異常振動を抑制することができる。
さらに、作動流体として、常温での飽和蒸気圧が負圧の冷媒を用いる場合、そのターボ機械が高圧力比(例えば、圧力比2以上)のターボ圧縮機であっても、発生するスラスト荷重は非常に小さい。そのため、第1態様によれば、回転により生じるスラスト荷重を第一テーパー部を支持するための第一支持面を有する第一軸受(例えば、テーパーすべり軸受)単独で支持することができる。このように、第1態様は、スラスト軸受及びラジアル軸受をそれぞれ別個に備えたターボ機械に比して、装置構成が簡素である点で優れている。
特許文献1に記載されたターボチャージャ500によれば、回転軸303の径が回転軸303の中央部分で最も細く、回転軸303の先端にコンプレッサホイール304が取り付けられている。このため、回転軸303及びコンプレッサホイール304を含む回転体の曲げ固有振動数が低く、回転軸303が高速で回転するときに共振による異常振動が回転軸303に発生する可能性がある。
これに対し、本開示のターボ機械によると、上述の通り、第一テーパー部の直径は第一翼車に向かって拡大している。このため、回転軸の中央部分における断面積が比較的大きくなるように回転軸を形成できる。これにより、回転軸を含む回転体の曲げ固有振動数が比較的高く、回転軸が高速で回転しても共振による異常振動が発生しにくい。
さらに、特許文献1に開示のターボチャージャ500は、その構成上、回転軸303又はケーシングを少なくとも2分割することが必要となる。そのため、これに起因して、剛性が不足したり、振動が発生する等の課題が生じることが予測される。これに対して、第1態様のターボ機械は、このような課題が生じない点で優れている。
常温での飽和蒸気圧が負圧である冷媒を用いた冷凍サイクル装置のためのターボ機械であって、
回転軸と、
前記回転軸が回転するときに作動流体によって相対的に低い圧力を受ける低圧面及び前記低圧面に対向する高圧面を有し、前記低圧面と前記高圧面との圧力差により生ずる力を前記高圧面から前記低圧面に向けて生じさせる第一翼車と、
前記第一翼車の低圧面側において前記回転軸を支持する第一軸受と、を具備し、
前記第一翼車及び前記回転軸を含めた回転体の重心は、前記第一翼車の高圧側に位置し、
前記回転軸は、前記第一翼車の低圧面側において前記第一翼車の低圧面に向かって拡大する直径の第一テーパー部を有し、
前記第一軸受は、前記第一テーパー部を支持し、前記第一翼車の低圧面に向かって拡大する直径の第一支持面を有する、ものである。
図1に示すように、ターボ機械100aは、回転軸4と、第一翼車3aと、第一軸受1と、第二軸受2とを備えている。ターボ機械100aは、例えば、ターボ圧縮機である。第一翼車3aは、回転軸4に固定されている。また、第一翼車3aは、低圧面31を含む。低圧面31は、第一翼車3aの軸方向の両面のうち、回転軸4が回転するときに作動流体によって相対的に低い圧力を受ける面である。第一軸受1は、第一翼車3aの低圧面31側に配置されている。また、第一軸受1は回転軸4を支持するための軸受である。第一軸受1は、第一翼車3aの作動流体が供給される側で、回転軸4の先端付近を支持している。第二軸受2は、第一軸受1と共に第一翼車3aを挟むように配置されている。第二軸受2は、回転軸4を支持するための軸受である。第二軸受2は、第一翼車3aの低圧面31とは反対側に配置されている。回転軸4は、第一翼車3aに向かって拡大する直径を有する第一テーパー部41を含む。第一テーパー部41は、第一翼車3aの低圧面31側に形成されている。第一軸受1は、第一テーパー部41を支持するための第一支持面11を有する。
次に、第2実施形態に係るターボ機械100c及びターボ機械100dについて説明する。第2実施形態に係るターボ機械100c及びターボ機械100dは、特に説明する場合を除き、ターボ機械100aと同様に構成されている。ターボ機械100aと同一又は対応するターボ機械100c及びターボ機械100dの構成要素には、ターボ機械100aと同一の符号を付し、詳細な説明を省略することがある。第1実施形態に関する説明は、技術的に矛盾しない限り、本実施形態にも適用される。
第1実施形態に係るターボ機械100a及びターボ機械100b並びに第2実施形態に係るターボ機械100c及びターボ機械100dは様々な観点から変更が可能である。以下に、ターボ機械100a〜100dの変形例について説明する。なお、以下の変形例に係る構成要素のうち、ターボ機械100a〜100dと同一又は対応する構成要素には同一の符号を付し詳細な説明を省略することがある。
第一軸受1の支持面11及び第二軸受2の支持面21は、それぞれ、図5A及び図5Bに示すように形成されていてもよい。第一支持面11は、第一支持面11によって形成されたテーパー穴の中心軸線Q1に対する第一支持面11の傾斜角θ2が回転軸4の中心軸線Pに対する第一テーパー部41の傾斜角θ1よりも大きいように形成されている。また、第二支持面21は、第二支持面21によって形成されたテーパー穴の中心軸線Q2に対する第二支持面21の傾斜角θ4が回転軸4の中心軸線Pに対する第二テーパー部42の傾斜角θ3よりも大きいように形成されている。この場合、傾斜角θ2の傾斜角θ1に対する比(θ2/θ1)は、例えば、1.0001〜1.01である。また、傾斜角θ4の傾斜角θ3に対する比(θ4/θ3)は、例えば、1.0001〜1.01である。
ゾンマーフェルト数=(μN/P)×(R/c)2
図7Aに示すように、第一軸受1は、第一支持面11に潤滑剤を供給するための第一供給孔12を有してもよい。これにより、第一支持面11に潤滑剤を供給でき、潤滑剤の枯渇による焼き付きを防止できる。また、高圧の潤滑剤が第一供給孔12を通って供給されることによって、静圧効果による回転軸4を含む回転体の支持力が得られる。回転軸4が回転することによって生じる動圧効果による支持力だけでなく、静圧効果による支持力も加わるので、回転軸4が停止している場合でも回転軸4を浮き上がらせることができる。これにより、回転軸4の回転が停止したときに第一軸受1及び回転軸4のすべり面の損耗を非常に低く抑えることが出来る。静圧効果による支持力は、第一支持面11に垂直に作用するので、半径方向の支持力成分だけでなく、軸方向の支持力成分も有する。このため、軸方向の軸受負荷容量を増加させることができる。
図8Aに示すように、第一軸受1は、第一供給孔12を有していることに加えて、第一支持面11の全部又は一部を形成する第一多孔質部材13を備えていてもよい。また、図8Bに示すように、第二軸受2は、第二供給孔22を有していることに加えて、第二支持面21の全部又は一部を形成する第二多孔質部材23を備えていてもよい。第一多孔質部材13及び第二多孔質部材23は、例えば、焼結金属、成長鋳鉄、又は合成樹脂などの多孔質材料によってできている。第一供給孔12の数が1つ又は少数であると、第一供給孔12の近傍における潤滑剤の温度又は圧力と、第一供給孔12から離れた位置における潤滑剤の温度又は圧力とが異なることがある。これにより、回転軸4の回転が不安定となる可能性がある。このことは、第二供給孔22の数が1つ又は少数である場合にもあてはまる。第一支持面11の全部又は一部が第一多孔質部材13によって形成されていると、第一軸受1において、潤滑剤の温度又は圧力の空間的なばらつきを抑制できる。また、第二支持面21の全部又は一部が第二多孔質部材23によって形成されていると、第二軸受2において、潤滑剤の温度又は圧力の空間的なばらつきを抑制できる。
回転軸4は、水平方向に延びていてもよいし、鉛直方向に延びていてもよい。回転軸4が鉛直方向に延びている場合、第一翼車3aは、回転軸4の回転によって発生するスラスト荷重が鉛直方向と反対方向に作用するように回転軸4に固定されていることが望ましい。この場合、回転軸4の回転によって発生するスラスト荷重を、回転軸4及び第一翼車3aを含む回転体に働く重力によって相殺できる。これにより、ターボ機械の運転可能な圧力比の範囲が広がる。
2 第二軸受
3a 第一翼車
3b 第二翼車
4 回転軸
11 第一支持面
12 第一供給孔
13 第一多孔質部材
21 第二支持面
22 第二供給孔
23 第二多孔質部材
31 低圧面
41 第一テーパー部
42 第二テーパー部
100a〜100d ターボ機械
Claims (14)
- 常温での飽和蒸気圧が負圧である冷媒を作動流体として用いた冷凍サイクル装置のためのターボ機械であって、
回転軸と、
前記回転軸に固定され、前記回転軸が回転するときに作動流体によって相対的に低い圧力を受ける低圧面を含む第一翼車と、
前記第一翼車の前記低圧面側に配置され、前記回転軸を支持する第一軸受と、
前記第一翼車を挟んで前記第一軸受と反対側で前記回転軸を支持する第二軸受と、を備え、
前記回転軸は、少なくとも前記第一軸受によって支持されている領域において前記第一翼車の低圧面に向かって拡大する直径を有する第一テーパー部を含み、
前記第一軸受は、前記第一翼車の低圧面に向かって直径が拡大する第一支持面を有して前記第一テーパー部を支持し、
前記第一軸受、前記第一翼車、及び前記第二軸受が前記回転軸の長さ方向に沿ってこの順に配置されている、
ターボ機械。 - 前記回転軸に固定された第二翼車をさらに備え、
前記第一軸受、前記第一翼車、前記第二翼車、及び前記第二軸受が前記回転軸の長さ方向に沿ってこの順に配置されている、請求項1に記載のターボ機械。 - 前記第二翼車における、前記回転軸が回転するときに前記作動流体によって相対的に低い圧力を受ける面は、前記回転軸が回転するときに前記作動流体によって相対的に高い圧力を受ける面よりも、前記第二軸受に近い、請求項2に記載のターボ機械。
- 前記第二翼車における、前記回転軸が回転するときに前記作動流体によって相対的に高い圧力を受ける面は、前記回転軸が回転するときに前記作動流体によって相対的に低い圧力を受ける面よりも、前記第二軸受に近い、請求項2に記載のターボ機械。
- 前記第一支持面によって形成されたテーパー穴の中心軸線に対する前記第一支持面の傾斜角は、前記回転軸の中心軸線に対する前記第一テーパー部の傾斜角よりも大きい、請求項1〜4のいずれか1項に記載のターボ機械。
- 前記第一軸受は、第一供給孔を有し且つ前記第一供給孔を介して前記第一支持面に潤滑剤を供給する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のターボ機械。
- 前記第一供給孔は、前記第一テーパー部の直径が最大となる端部よりも前記第一テーパー部の直径が最小となる端部に近い位置に設けられている、請求項6に記載のターボ機械。
- 前記第一軸受は、前記第一支持面の全部又は一部を形成する第一多孔質部材を備える、請求項6又は7に記載のターボ機械。
- 前記回転軸が重力方向に延びており、
前記第一翼車における、前記回転軸が回転するときに前記作動流体によって相対的に低い圧力を受ける面は、前記回転軸が回転するときに前記作動流体によって相対的に高い圧力を受ける面よりも、前記重力方向の上向きに位置する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のターボ機械。 - 前記回転軸は、前記第二軸受に対応する位置に、前記第一翼車に向かって拡大する直径を有する第二テーパー部を有し、
前記第二軸受は、前記第一翼車に向かって直径が拡大する第二支持面を有して前記第二テーパー部を支持する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のターボ機械。 - 前記第二支持面によって形成されたテーパー穴の中心軸線に対する前記第二支持面の傾斜角が前記回転軸の中心軸線に対する前記第二テーパー部の傾斜角よりも大きい、請求項10に記載のターボ機械。
- 前記第二軸受は、第二供給孔を有し且つ前記第二供給孔を介して前記第二支持面に潤滑剤を供給する、請求項10又は11に記載のターボ機械。
- 前記第二供給孔は、前記第二テーパー部の直径が最大となる端部よりも前記第二テーパー部の直径が最小となる端部に近い位置に設けられている、請求項12に記載のターボ機械。
- 前記第二軸受は、前記第二支持面の全部又は一部を形成する第二多孔質部材を備える、請求項12又は13に記載のターボ機械。
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