JP2020016312A - 油浴式すべり軸受装置及び回転機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】給油量の調整範囲を拡大して、回転軸を高速回転させる場合においても十分な油量の潤滑油を軸受ハウジング内に供給できる油浴式すべり軸受装置及び回転機械を提供する。【解決手段】軸受ハウジング4の軸方向側面にサイドプレート11を備える油浴式すべり軸受装置において、軸受摺動面2sと、回転軸1の外周面と対向するサイドプレートの内周面11a,bとの、回転軸の半径方向における間隔Gが、下領域側と比べて上領域側において大きくなるようにサイドプレートを構成する。【選択図】 図3
Description
本発明は、油浴式すべり軸受装置及び回転機械に関するものである。
すべり軸受装置は、軸受と回転軸との間に潤滑油を供給し、軸受と回転軸との間に形成された油膜を介して回転軸を支持する。油膜は圧力を発生させると同時にせん断摩擦により発熱する。潤滑油に生じた熱の一部は油とともに軸受外部に排出されるが、残りの熱は軸受装置側の摺動部(例えば、ティルティングパッド軸受装置の場合にはティルティングパッド)やハウジングへ伝達され、軸受装置の温度上昇をもたらす。軸受装置側の摺動部には低融点金属が鋳込んであるため、軸受装置側の摺動部の温度を低融点金属の融解温度以下に維持する必要があり、そのためには適切な量の潤滑油を軸受と回転軸との間に供給しなくてはならない。
すべり軸受装置の潤滑油供給方法には以下の二通りが存在する。すなわち、軸受装置側の摺動部に形成された給油孔などから潤滑油を軸受装置側の摺動部(摺動面)と回転軸との間に供給する直接潤滑式、及び軸受装置の軸方向の両側に配設されたサイドプレートにより軸受ハウジング内に潤滑油を貯留させて軸受装置側の摺動部(摺動面)と回転軸との間に給油する油浴式である。
油浴式すべり軸受装置では、給油ポンプの故障等で給油が困難となった場合でも、軸の回転が停止するまでの間、油浴内の油で潤滑を維持することが可能であり、信頼性が高い。油浴式すべり軸受装置としては、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
油浴式すべり軸受装置では、軸受ハウジング内部に潤滑油を常に満たす必要がある。このため、撹拌損失が大きく、油浴内の潤滑油の温度が高温となるのを抑制するように給油量を調整する必要がある。
給油量は給油ポンプから軸受までの配管経路にあるオリフィスで調整可能である。しかしながら、油浴内の潤滑油が回転軸とサイドプレートの隙間から排出される際の圧力損失は大きい。このため、油浴式すべり軸受装置では、給油量の調整範囲を大きくすることが困難である。回転軸を高速回転させる場合、攪拌損失が増加するため、さらに多くの潤滑油を供給する必要があるが、十分な油量の潤滑油を軸受ハウジング内に流すことができない可能性がある。
本発明の目的は、給油量の調整範囲を拡大して、回転軸を高速回転させる場合においても十分な油量の潤滑油を軸受ハウジング内に供給できる油浴式すべり軸受装置及び回転機械を提供することにある。
本発明は、油浴式すべり軸受装置において、上半領域における軸受摺動面からサイドプレートの内周面までの径方向距離が、下半領域における軸受摺動面からサイドプレートの内周面までの径方向距離よりも大きくなるようにサイドプレートを構成したことを特徴とする。
また、本発明は、油浴式すべり軸受装置において、回転軸の中心と軸受装置の中心を一致させたとき、潤滑油が軸受ハウジング内から外部へ流出する際の圧力損失が、下領域側と比べて上領域側において小さくなるようにサイドプレートを構成したことを特徴とする。
本発明によれば、油浴式すべり軸受装置において、給油量の調整範囲を拡大することができるので、回転軸を高速回転させる場合においても十分な油量の潤滑油を軸受ハウジング内に供給できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
以下、図面を用いて発明の実施例を説明する。
先ず、図1及び図2を参照しながら本発明の一実施例である油浴式すべり軸受装置の全体構造を説明する。図1及び図2に示す油浴式すべり軸受装置は、回転軸1の径方向荷重を支持するティルティングパッド軸受装置(ジャーナル軸受装置)である。なお、ティルティングパッド軸受装置の全体構造はこれに限定されるものではない。
図1はティルティングパッド軸受装置の全体構造の概略を示す横断面図である。図2はティルティングパッド軸受装置の概略を示す縦断面図である。
ティルティングパッド軸受装置は、円筒状の軸受ハウジング4、軸受ハウジング4の内周面に配設された複数のピボット3、軸受ハウジング4にピボット3を介して傾動(搖動)可能に支持される複数のティルティングパッド2、軸受ハウジング4の軸方向側面に設けられたサイドプレート11、内周が軸受ハウジング4の外周と接し軸受ハウジング4を保持する軸受ケーシング5を備える。複数のティルティングパッド2は、回転軸1の外周面に対向するように回転軸1の周方向に配設されている。
図1はティルティングパッド軸受装置の全体構造の概略を示す横断面図である。図2はティルティングパッド軸受装置の概略を示す縦断面図である。
ティルティングパッド軸受装置は、円筒状の軸受ハウジング4、軸受ハウジング4の内周面に配設された複数のピボット3、軸受ハウジング4にピボット3を介して傾動(搖動)可能に支持される複数のティルティングパッド2、軸受ハウジング4の軸方向側面に設けられたサイドプレート11、内周が軸受ハウジング4の外周と接し軸受ハウジング4を保持する軸受ケーシング5を備える。複数のティルティングパッド2は、回転軸1の外周面に対向するように回転軸1の周方向に配設されている。
軸受ハウジング4の外周面には、周方向に連通した導油溝6が設けられており、導油溝6から径方向内側に向かって給油孔7が複数設けられている。また、軸受ケーシング5には、導油溝6から径方向外側に向かって導油孔8が設けられている。導油孔8には、主給油管30が接続され、主給油管30に設けたポンプ40により油槽20から潤滑油が主給油管30を通って供給される。導油孔8に送られた潤滑油は、潤滑油の流れ方向Bに示すように、導油溝6に流入して軸受ハウジング4の周方向に沿って流れ、複数の給油孔7により分配されて軸受内(軸受ハウジング内のパッド間9の周方向の空間)へ流入する。
回転方向Aに向かって回転軸1が回転すると、給油孔7から軸受内に流入した潤滑油は、一旦パッド間9の周方向の空間を経由して、回転軸1とティルティングパッド2の間である摺動面10へと供給される。なお、ティルティングパッド2側の摺動部は軸受摺動面と呼称し、回転軸1側の摺動部は回転軸摺動面と呼称することとし、そして、両者を合わせたものが摺動面10である。摺動面10に潤滑油が供給されると、摺動面10に薄い油膜が形成され、油膜内部に圧力が発生し、その結果、軸受装置は回転軸1を非接触で支持することができる。また、ティルティングパッド2はピボット3により揺動可能となっており、油膜の圧力分布に応じてその傾きが変化し、オイルホイップなどの不安定振動を抑制することができる。
導油孔8を介して軸受(軸受ハウジング4)内へと流入した潤滑油は、サイドプレート11によって軸受内部全域に貯留される。本実施例では、サイドプレート11は上下に分割されて構成され、上下合わせて環状となるように形成されている。また、一般的に回転軸1とティルティングパッド2の軸受摺動面との間に形成される隙間よりも、回転軸1とサイドプレート11の内周面との間に形成される隙間のほうが大きくなるよう設計されている。前者は数百μmの隙間であり、後者は前者の2倍以上の隙間がある。軸受内部に貯留された潤滑油は、回転軸1とサイドプレート11の内周面との隙間から排出される。その際、せん断摩擦により発生した熱の一部が、油とともに軸受外部に排出される。残りの熱はティルティングパッド2や軸受ハウジング4へ伝達され、軸受装置の温度上昇をもたらす。ティルティングパッド2の軸受摺動面には低融点金属が鋳込んであるため、ティルティングパッドパッドの温度を低融点金属の融解温度以下に維持する必要がある。
このため、ティルティングパッド2の温度を低融点金属の融解温度以下に維持できるよう、適切な量の潤滑油を軸受に供給する必要がある。また、回転機械を高速回転させる場合にはより多くの潤滑油を供給する必要がある。
ところで、導油孔8から軸受内に供給された潤滑油の油量と、回転軸1の外周面とサイドプレート11の内周面との隙間から排出される潤滑油の油量は等しい。ただし、流入から流出までの経路における絞りや管摩擦損失により、圧力損失が生じる。給油ポンプから軸受までの配管経路にあるオリフィスを変えれば給油量を調整できるが、上述の圧力損失は大きく、なおかつ給油ポンプの吐出圧力は決まっているため、給油量の調整範囲は限られている。
次に、本発明において、給油量の調整範囲を拡大するための構成を、図3および図4に基づき説明する。図3及び図4は本発明の実施例1における油浴式すべり軸受装置(ティルティングパッド軸受装置)の部分断面図である。図3は回転機械の使用状態における軸受装置と回転軸を示す。すなわち、回転機械の使用状態において、回転軸1及び回転軸1に連結された回転機械の構成機器の重さによって回転軸1は軸受装置の下方に偏り、回転軸1の中心と軸受装置の中心は一致しない。ここで軸受装置の中心とは、複数のティルティングパッド2の軸受摺動面で形成される円の中心である。これに対して図4は回転軸1の中心と軸受装置の中心を一致させたときの仮定の状態を示す。
本実施例では、図3に示すように、回転機械の使用状態において、ティルティングパッド2の軸受摺動面2sと、回転軸1の外周面と対向するサイドプレート11の内周面11a,11bとの、回転軸1の半径方向における間隔Gが、下領域側(下半側)と比べて上領域側(上半側)において大きくなるようにサイドプレートが構成されている。すなわち、本実施例では、サイドプレート11は、上半領域における軸受摺動面2sからサイドプレートの内周面11bまでの径方向距離(間隔)が、下半領域における軸受摺動面2sからサイドプレートの内周面11aまでの径方向距離(間隔)よりも大きくなるように構成されている。また、言い換えれば、本実施例では、軸受摺動面2sを基準として、上側領域のサイドプレート11の内周面11bが下側領域のサイドプレート11の内周面11aよりも外径側に後退している。なお、間隔また径方向距離という表現では、サイドプレート11の内周面11a,11bが軸受摺動面2sよりも回転軸1側に位置する場合を除外していないように見えるが、上述したように、回転軸1とサイドプレート11の内周面との隙間は、回転軸1と軸受摺動面2sとの隙間よりも大きいので、そのような場合は本発明であり得ない。
また、本実施例では、回転軸1の中心Cと軸受装置の中心を一致させた状態において、潤滑油が軸受ハウジング内から外部へ流出する際の圧力損失が、下領域側と比べて上領域側において小さくなるようにサイドプレートを構成している。下領域側と比べて上領域側において圧力損失が小さくなるようにため、本実施例では、図4に示すように、回転軸1とサイドプレート11の内周面の隙間を下側領域に対して上側領域の方が大きくなるようにしている(上側領域の隙間GU>下側領域の隙間GL)。
本実施例では、上側領域のサイドプレート11の内周面11bと軸受摺動面2sとの間隔Gまたは上側領域の隙間GUは例えば数mm程度となるようにサイドプレートが構成されている。
このようにサイドプレート11を構成することにより、油浴内の潤滑油が回転軸1とサイドプレート11の内周面の隙間から排出される際の圧力損失を低減することができる。その結果、ポンプを大容量化することなく給油量を増加することができ、そして、油浴内の潤滑油の温度を低く保つことができるので、ティルティングパッド2の温度を低融点金属の融解温度以下に維持することができる。
なお、隙間の大きさによっては上側領域(上半側)に潤滑油を貯留することができない可能性があるが、これに関しては次に説明するように特に問題はない。
図5は、本発明の実施例1及び比較例における軸受温度分布を示す図である。ここで比較例とは、図4において回転軸1とサイドプレート11の内周面の隙間が下側領域と上側領域とで同じ場合である(上側領域の隙間GU=下側領域の隙間GL)。
本実施例では、上側領域(上半側)は油浴されていない状態となるため、上半側のティルティングパッド(d,e)の摺動面10は回転軸1に追従する油のみで潤滑される。そのため、比較例に比べて油膜が薄く、温度が高くなると考えられる。しかし、負担が大きくパッドが最も高温となるのは軸荷重を受ける最下部のティルティングパッド(b)であり、上半側のティルティングパッド(d,e)は温度上昇しても、最下部のティルティングパッド(b)の最高温度に比べて低温である。したがって、上側領域(上半側)に潤滑油を貯留することができなくても特に問題はない。なお、図5は、軸受ハウジング内への潤滑油の供給量が本実施例と比較例において同じ油量として軸受温度分布を比較したものである。最下部のティルティングパッド(b)の最高温度が本実施例でも高いが、次に説明するように、本実施例では多くの潤滑油を供給することができるのでパッド温度を低減できる。
図5は、本発明の実施例1及び比較例における軸受温度分布を示す図である。ここで比較例とは、図4において回転軸1とサイドプレート11の内周面の隙間が下側領域と上側領域とで同じ場合である(上側領域の隙間GU=下側領域の隙間GL)。
本実施例では、上側領域(上半側)は油浴されていない状態となるため、上半側のティルティングパッド(d,e)の摺動面10は回転軸1に追従する油のみで潤滑される。そのため、比較例に比べて油膜が薄く、温度が高くなると考えられる。しかし、負担が大きくパッドが最も高温となるのは軸荷重を受ける最下部のティルティングパッド(b)であり、上半側のティルティングパッド(d,e)は温度上昇しても、最下部のティルティングパッド(b)の最高温度に比べて低温である。したがって、上側領域(上半側)に潤滑油を貯留することができなくても特に問題はない。なお、図5は、軸受ハウジング内への潤滑油の供給量が本実施例と比較例において同じ油量として軸受温度分布を比較したものである。最下部のティルティングパッド(b)の最高温度が本実施例でも高いが、次に説明するように、本実施例では多くの潤滑油を供給することができるのでパッド温度を低減できる。
図6は、本発明の実施例1及び比較例における給油量と最高温度の関係を表す図である。図6に示すように、給油量を増加させるとパッド最高温度は低下する。回転軸1を高回転させる場合、攪拌損失が増加するため、これを冷却するため、さらに多くの潤滑油が必要となる。比較例の場合、給油量の調整範囲が小さく、給油量を増加させてパッド最高温度を低減することができない。一方、本発明の実施例1の場合、油浴内の潤滑油が回転軸1とサイドプレート11の内周面の隙間から排出される際の圧力損失を低減しているため、給油量の増加が可能である。そのため、回転軸1を高速度で回しても、給油量を増加させることにより、パッド最高温度を低く保つことができ、軸受の損傷を防ぐことができる。
また、本実施例では上側領域(上半側)のサイドプレート11の内周側を全て切り欠いているがこれに限らない。すなわち、上側領域(上半側)のサイドプレート11の全範囲において略同じ間隔G(図3)又は同じ間隙GU(図4)としているが、周方向において部分的に間隔G(又は間隙GU)を大きくするようにしても良い。例えば、内歯車の形状と類するように部分的に切り欠いても良い。また、下領域側(下半側)と比べて上領域側(上半側)において圧力損失が小さくなるようにためには、例えば、図7に示すように、上側領域(上半側)のサイドプレート11に貫通孔12を設けても良い。これらの変形例においても、上述の実施例1と同様の効果を得ることができる。
本発明の実施例2について図8を用いて説明する。図8は本実施例におけるティルティングパッド軸受装置部分断面図である。本実施例の場合、給油孔7は軸荷重を受ける下側領域(下半側)のティルティングパッド2(図5に示すa,b,cのパッド)の上流側にのみ位置しており、それに伴い導油溝6も短くなっている。その他の構成は実施例1と同様である。
本実施例では、上側領域(上半側)のティルティングパッド2(図5に示すd,eのパッド)はさらに温度上昇すると考えられるが、上述した理由により特に問題ない。そして、本実施例では、実施例1と同様の効果を得ることができ、さらに、本実施例では、上側領域(上半側)に供給していた分の油を下側領域(下半側)に供給できるため、よりパッド最高温度を低減できる。なお、給油孔7は最下部のティルティングパッド2(図5に示すbのパッド)の上流側だけでもよく、この場合、さらにパッド最高温度低減が見込まれる。
本発明の実施例3について図9を用いて説明する。図9は本実施例におけるティルティングパッド軸受装置部分断面図である。本実施例の場合、最上部の給油孔7のみ穴の大きさ(孔径)が他の給油孔よりも小さくなっている。その他の構成は実施例1と同様である。
本実施例では、最上部から軸受内に供給される潤滑油の流速が早くなり、そして、回転軸1へと噴射される。これにより、回転軸1に追従する高温の潤滑油を掻き出すことができ、回転軸1に追従して下側領域(下半側)に流入する高温の潤滑油を少なくすることができる。したがって、下側領域(下半側)の油浴内の潤滑油の温度上昇を抑制することができるので、最下部のパッド最高温度をより低減できる。これは上側領域(上半側)に潤滑油が貯留されていないことにより成り立つ構造である。その他の効果は実施例1と同様である。
上述の実施例1〜3では、本発明をティルティングパッド軸受装置に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、油浴式すべり軸受装置として、軸受台金の内周面にバビットメタルなどをライニングした軸受装置にも適用できる。
また、上述の実施例では、サイドプレート11を上下二分割しているがさらに分割数を増やしても良い。その場合でも、上側領域から潤滑油が排出される際の圧力損失を下側領域のそれよりも小さくなるようにサイドプレートを構成すれば良い。
<油浴式すべり軸受装置を適用した回転機械の構成例>
次に、図10を用いて本発明の油浴式すべり軸受装置(ティルティングパッド軸受装置)を適用した回転機械の構成例を説明する。図10は、代表的なターボ機械の1つである遠心圧縮機の全体構造を示す縦断面図である。
産業用大型回転機械の一つである遠心圧縮機では、低荷重、高回転速度といった条件下で軸受を頻繁に使用するため、流体軸受の中でも特に振動安定性に優れたティルティングパッド軸受装置を採用している。
次に、図10を用いて本発明の油浴式すべり軸受装置(ティルティングパッド軸受装置)を適用した回転機械の構成例を説明する。図10は、代表的なターボ機械の1つである遠心圧縮機の全体構造を示す縦断面図である。
産業用大型回転機械の一つである遠心圧縮機では、低荷重、高回転速度といった条件下で軸受を頻繁に使用するため、流体軸受の中でも特に振動安定性に優れたティルティングパッド軸受装置を採用している。
図10において、遠心圧縮機100は、円筒状などに形成され静止部(ステータ)となるケーシング110と、このケーシング110内にラジアル軸受120、130及びスラスト軸受140により支持されて回転可能に設けられた回転軸150と、この回転軸150に装着された複数段(図10では5段)の羽根車160とを備えている。回転軸150と羽根車160によりロータ170を構成している。なお、本実施例では、1本の回転軸150に羽根車160を多段に設けた一軸多段遠心圧縮機を例に説明するが、羽根車160が1段のみの単段遠心圧縮機にも同様に適用できるものである。
ケーシング110には、1段目の羽根車160に作動流体である気体を導入する吸込流路180と、各段の羽根車160から出た気体の運動エネルギーを圧力エネルギーに変換するディフューザ190と、このディフューザ190からの圧縮された気体を次段の羽根車160に導入する戻り流路200と、最終段の羽根車160から出た気体をケーシング110外に吐出するための吐出流路210などが設けられている。
ロータ170の回転軸150は、ケーシング110の吸込側(図10中の左側)端部及び吐出側(図10中の右側)端部に設けられたラジアル軸受120、130を介し回転可能に支持されている。また、回転軸150の吸込側端部にはスラスト荷重を受けるスラスト軸受140が設けられ、回転軸150における最終段の羽根車160の吐出側にはスラスト荷重を相殺するバランスピストン220が設けられている。
回転軸150の吐出側端部には、モータ等の駆動機(図示省略)が連結されており、この駆動機によってロータ170を回転駆動する。また、ロータ170が回転することにより、気体が吸込流路180から吸い込まれて、複数段の羽根車160で順次圧縮され、最終的に吐出流路210から吐出されるようになっている。
上述の構成において、ラジアル軸受120,130に本発明の油浴式すべり軸受装置(ティルティングパッド軸受装置)が用いられている。遠心圧縮機を小型・高速化させるためには、軸受周速を増加させる必要がある。軸受周速の増加に伴い、油のせん断摩擦による発熱が大きくなり、軸受温度が上昇する。したがって、遠心圧縮機を小型化・高速化させるためには、軸受温度の上昇を抑制することが重要であり、潤滑油の供給量(給油量)を増加できるようにすること、言い換えれば、給油量の調整範囲を大きくすることが重要となる。ラジアル軸受120,130として、本発明の油浴式すべり軸受装置(ティルティングパッド軸受装置)を用いることにより、給油量の調整範囲を拡大することができるので、軸受温度の上昇を抑制して、遠心圧縮機の小型・高速化を実現できる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることが可能である。
1・・・回転軸、2・・・ティルティングパッド、2s・・・ティルティングパッドの軸受摺動面、3・・・ピボット、4・・・軸受ハウジング、5・・・軸受ケーシング、6・・・導油溝、7・・・給油孔、8・・・導油孔、9・・・パッド間、10・・・摺動面、11・・・サイドプレート、11a,11b・・・サイドプレートの内周面、A・・・回転方向、B・・・潤滑油の流れ方向、C・・・回転軸中心、G・・・ティルティングパッドの摺動面とサイドプレートの内周面との間隔。
Claims (5)
- 軸受ハウジングの軸方向の側面にサイドプレートを備えた油浴式すべり軸受装置であって、
前記サイドプレートは、上半領域における軸受摺動面から前記サイドプレートの内周面までの径方向距離が、下半領域における前記軸受摺動面から前記サイドプレートの内周面までの径方向距離よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする油浴式すべり軸受装置。 - 軸受ハウジングの軸方向の側面にサイドプレートを備えた油浴式すべり軸受装置であって、
前記サイドプレートは、回転軸の中心と軸受装置の中心を一致させたとき、潤滑油が前記軸受ハウジング内から外部へ流出する際の圧力損失が、下領域側と比べて上領域側において小さくなるように構成されていることを特徴とする油浴式すべり軸受装置。 - 請求項1または2に記載の油浴式すべり軸受装置において、
前記油浴式すべり軸受装置は、前記軸受ハウジングに対してピボットを介して搖動自在に設けられ回転軸を支持するティルティングパッドを複数備えたティルティングパッド軸受装置であって、
前記軸受ハウジング内の前記ティルティングパッド間の周方向の空間に潤滑油を供給する給油孔を、軸荷重を受ける下側領域のティルティングパッドの上流側にのみ設けたことを特徴とする油浴式すべり軸受装置。 - 請求項1または2に記載の油浴式すべり軸受装置において、
前記油浴式すべり軸受装置は、前記軸受ハウジングに対してピボットを介して搖動自在に設けられ回転軸を支持するティルティングパッドを複数備えたティルティングパッド軸受装置であって、
前記軸受ハウジング内の前記ティルティングパッド間の周方向の空間に潤滑油を供給する給油孔のうち、最上部の給油孔を他の給油孔よりも小径に形成したことを特徴とする油浴式すべり軸受装置。 - 回転軸と、前記回転軸を支持するラジアル軸受とを備えた回転機械であって、
前記ラジアル軸受として請求項1または2に記載の油浴式すべり軸受装置であって前記軸受ハウジングに対してピボットを介して搖動自在に設けられ前記回転軸を支持するティルティングパッドを複数備えたティルティングパッド軸受装置を用いたことを特徴とする回転機械。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112922957A (zh) * | 2021-03-05 | 2021-06-08 | 上海电气风电集团股份有限公司 | 一种风力涡轮机的弹性可倾轴瓦滑动轴承 |
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2018
- 2018-07-27 JP JP2018141010A patent/JP2020016312A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112922957A (zh) * | 2021-03-05 | 2021-06-08 | 上海电气风电集团股份有限公司 | 一种风力涡轮机的弹性可倾轴瓦滑动轴承 |
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---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
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