JP2019088269A - 常温ブルーム防止材 - Google Patents

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Abstract

【課題】チョコレートの口溶け・風味が損なわれることなく、常温ブルームの発生が防止されたチョコレートを得ること。また、チョコレート製造時の作業性が損なわれることなく、常温ブルームの発生が防止されたチョコレートを得ること。【解決手段】下記条件(1)〜(4)を全て満たす油脂を有効成分として含有する、常温ブルーム防止材。(1)構成脂肪酸組成における飽和脂肪酸(S)と不飽和脂肪酸(U)との質量比(S/U)が1.0〜2.0である。(2)トリグリセリド組成中、S2U(ジ飽和−モノ不飽和トリグリセリド)の含有量が50〜70質量%である。(3)S2U中に占めるSSU(1,2飽和−3不飽和トリグリセリド)の比率(SSU/S2U)が0.55〜0.75である。(4)構成脂肪酸組成における飽和脂肪酸中、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量、及び炭素数20以上の飽和脂肪酸含量がそれぞれ5質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、チョコレートを、その融点以下の常温域で保管した場合であっても、ブルーム(常温ブルーム)の発生を防止することのできる、常温ブルーム防止材に関する。
カカオブーム以来、ミルクチョコレートに比べスイートチョコレートが好まれる傾向がある。その結果、油分含量の高いスイートチョコレートも多く市場に流通するようになった。スイートチョコレートとは、一般に乳脂を含有しないチョコレートのことをさす。スイートチョコレート、特に油分含量の高いスイートチョコレートは、常温ブルーム(中温ブルームともいう)の発生までの期間がミルクチョコレートに比べて顕著に短く、特にやや高い温度(25〜30℃)環境下では3ヶ月程度で常温ブルームが発生してしまうことが課題として挙げられていた。
「常温ブルーム」とは、(1)テンパリング不良や高温域での保管時に発生するブルームや、(2)カカオ脂と非テンパリング型ハードバターを併用した際に発生するブルーム、(3)油分及び/又は水分を多く含有する食品素材との複合チョコレートに発生するブルーム等とは発生機序が異なり、チョコレートをその融点以下の常温域(15〜30℃)で保管した場合であっても経時的に発生するブルームのことをさす(非特許文献1参照)。常温ブルームの発生により、チョコレート表面の艶の消失、更には表面の白色化といった現象が生じる。
最近では、チョコレートは、その製造時はもちろん、流通・販売時、更には、消費者がチョコレートを購入後の家庭での保管の際に高温下に晒される機会が減っている。しかしながら、チョコレートは、25〜30℃の常温ブルームがやや発生しやすい温度帯での保管期間が長くなる傾向があり、そのため、常温ブルームが発生する機会が徐々に増えてきている。
ここで、常温ブルームを特に対象とするものではないが、ブルームの発生を抑制する手法として、例えば、特許文献1のように高融点のトリグリセリドを有効成分とするブルーム抑制用油脂や、特許文献2や特許文献3のように乳化剤を有効成分とするブルーム防止方法が従来開示されている。
しかし、これらの手法では十分に常温ブルームの発生を抑制できない。更に、特許文献1のように、高融点のトリグリセリドを有効成分とする手法では、得られるチョコレートの食味の低下、特に、口溶けの低下が発生する場合がある上、製造時に作業性が低下する場合があった。乳化剤を用いる特許文献2や特許文献3に手法おいても、同様に、口溶けの低下が発生する場合があった。
そこで本出願人においては、(1)常温ブルームの発生防止、(2)良好な食感・風味を得ること、(3)作業性を損ねないことの3点を満たすための検討を行い、効果的に常温ブルームの発生を防止する手法として、エステル交換油脂、特に炭素数14以下の飽和脂肪酸と炭素数20以上の飽和脂肪酸の両方を含有するトリグリセリドを5質量%以上含有するエステル交換油脂を有効成分とする常温ブルーム防止材について、既に出願している(特許文献4)。
しかし、特許文献4記載の方法により、常温ブルームの発生を十分に防止することができるが、テンパリング性や固化性がやや低下する傾向にあり、更なる改良の必要があった。
以上の理由から、良好な食感・風味が得られ、作業性を損ねることなく、一層高い常温ブルーム防止効果を有する、常温ブルーム防止材の開発が望まれてきた。
特開1999−187813号公報 特開1989−039945号公報 特開2006−271328号公報 特開2012−000039号公報
「菓子の事典」、小林彰夫、村田忠彦、朝倉書店、361〜363頁
斯様な背景から、本発明が解決しようとする課題は次の2点である。
(I)チョコレートの口溶け・風味が損なわれることなく、常温ブルームの発生が防止さ
れたチョコレートを得ること。
(II)チョコレート製造時の作業性が損なわれることなく、常温ブルームの発生が防止されたチョコレートを得ること。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の組成の油脂が、常温ブルームの防止に有効であることを知見した。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、下記条件(1)〜(4)を全て満たす油脂を有効成分として含有する、常温ブルーム防止材を提供するものである。
(1)構成脂肪酸組成における飽和脂肪酸(S)と不飽和脂肪酸(U)との質量比(S/U)が1.0〜2.0である。
(2)トリグリセリド組成中、S2U(ジ飽和−モノ不飽和トリグリセリド)の含有量が50〜70質量%である。
(3)S2U中に占めるSSU(1,2飽和−3不飽和トリグリセリド)の比率(SSU/S2U)が0.55〜0.75である。
(4)構成脂肪酸組成における飽和脂肪酸中、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量、及び炭素数20以上の飽和脂肪酸含量がそれぞれ5質量%以下である。
本発明によれば、常温ブルームの発生が防止された、口溶け及び風味が良好なチョコレートを得ることができる。
また、本発明によれば、作業性が損なわれることなく、常温ブルームの発生が防止されたチョコレートを得ることができる。
以下、本発明の常温ブルーム防止材について、好ましい実施態様について詳述する。
本発明の常温ブルーム防止材は、下記条件(1)〜(4)の全てを満たす油脂を有効成分として含有する。
(1)構成脂肪酸組成における飽和脂肪酸(S)と不飽和脂肪酸(U)との質量比(S/U)が1.0〜2.0である。
(2)トリグリセリド組成中、S2U(ジ飽和−モノ不飽和トリグリセリド)の含有量が50〜70質量%である。
(3)S2U中に占めるSSU(1,2飽和−3不飽和トリグリセリド)の比率(SSU
/S2U)が0.55〜0.75である。
(4)構成脂肪酸組成における飽和脂肪酸中、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量、及び炭素数20以上の飽和脂肪酸含量がそれぞれ5質量%以下である。
先ず、この条件(1)〜(4)について述べる。
本発明において「油脂を有効成分として含有する」とは、上記条件(1)〜(4)の全てを満たす油脂の有無と、常温ブルーム現象の発生の有無との間に顕著な相関があり、上記条件(1)〜(4)の全てを満たす油脂を、チョコレートに含有する場合に常温ブルーム現象の発生が抑制させることを意味する。
<条件(1)>
本発明の常温ブルーム防止材においては、該常温ブルーム防止材に含まれる油脂の構成脂肪酸組成中の、飽和脂肪酸(S)と不飽和脂肪酸(U)との質量比(S/U)を1.0〜2.0とする必要がある。S/Uが1.0〜2.0の範囲とすることで、チョコレート生地調製時の作業性を損ねることなく、良好な常温ブルーム防止効果を得ることができる。一層優れた常温ブルーム防止効果を得るために、S/Uを1.0〜1.6とすることが好ましく、1.0〜1.4とすることがより好ましい。
本発明においては、常温ブルーム防止効果を十分に得るために、常温ブルーム防止材に含まれる油脂の構成脂肪酸中の飽和脂肪酸におけるステアリン酸(St)とパルミチン酸(P)との含有量の和の百分率である{(St+P)/S}×100が90質量%以上となることが好ましく、95質量%以上となることがより好ましい。
また、本発明の常温ブルーム防止材に含まれる油脂の構成脂肪酸中、ステアリン酸とパルミチン酸との質量比(St/P)が0.1〜2.0であることが好ましく、0.1〜1.5であることがより好ましく、0.3〜1.0であることが最も好ましい。
本発明の常温ブルーム防止材における、ステアリン酸及びパルミチン酸等の飽和脂肪酸(S)の含有量、並びに不飽和脂肪酸(U)の含有量は、例えば、「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法2.4.2.3−2013」や「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法2.4.4.3−2013」を参考に、キャピラリーガスクロマトグラフ法により測定することができる。
尚、構成脂肪酸組成の測定については、以下同様である。
<条件(2)>
本発明の常温ブルーム防止材においては、該常温ブルーム防止材に含まれる油脂のトリグリセリド組成中、S2U(ジ飽和−モノ不飽和トリグリセリド)の含有量が50〜70質量%である。
トリグリセリド組成中のS2U含量を上記範囲とすることによって、本発明の常温ブルーム防止材を、チョコレート中に含有させた際に、チョコレートの食感、特に口溶けの変化を抑えながら、常温ブルーム防止効果を得ることができる。トリグリセリド組成中のS2U含量は、50〜65質量%が好ましく、55〜65質量%がより好ましい。
本発明の常温ブルーム防止材は、S2Uトリグリセリド中の、所謂混酸型トリグリセリドであるPSO(パルミトイル−ステアリル−オレオイル−トリグリセリド)の含量が30質量%以上であることが、一層の常温ブルーム防止効果が得られやすくなるため好ましく、35質量%以上であることがより好ましい。PSOの含量の上限値には特に制限はないが、工業的な生産性の観点から、50質量%である。
本発明においては、常温ブルーム防止材を含有することによるチョコレートの食感の変化を抑える観点、及びチョコレート生地調製時の作業性を低下させない観点から、常温ブ
ルーム防止材に含まれる油脂のトリグリセリド組成中のS3(トリ飽和トリグリセリド)の含量が、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。尚、S3の含量の下限値は0質量%である。
また、融液媒介転移の発生によるブルームの発生を防止するために、常温ブルーム防止材に含まれる油脂は、その液状油部分、即ち常温ブルーム防止材に含まれる油脂のトリグリセリド組成中のSU2(モノ飽和ジ不飽和トリグリセリド)とU3(トリ不飽和トリグリセリド)との含量の和が40質量%以下であることが好ましく、35質量%以下であることがより好ましい。尚、チョコレートの食感の変化を抑制し、チョコレート生地製造時の作業性を低下させない観点から、トリグリセリド組成中のSU2とU3との含量の和が10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。
<条件(3)>
本発明の常温ブルーム防止材は、該常温ブルーム防止材に含まれる油脂において、S2Uトリグリセリドに占めるSSU(1,2飽和−3不飽和トリグリセリド)の比率(SSU/S2U)が0.55〜0.75であることが必要である。S2U中に占めるSSUトリグリセリドの比率が上記範囲にあると、本発明の常温ブルーム防止材を含有させることで、チョコレートの風味を損ねることなく、常温ブルームの発生を十分に防止することができる。S2Uトリグリセリド中に占めるSSUの比率が、0.55未満であった場合、得られるチョコレートの食感が硬くなり、口溶けが不良となる。また0.75超であった場合、常温ブルームの発生防止効果が十分に得られない。本発明の常温ブルーム防止材の、S2Uトリグリセリド中に占めるSSUの比率は、0.57〜0.72が好ましく、0.60〜0.70がより好ましい。
条件(2)及び(3)で規定する油脂のトリグリセリド組成については、例えば逆相HPLCで行われるトリグリセリド分子種分析により分析することが可能である。この逆相HPLCは、日本油化学会制定「基準油脂分析試験法2.4.6.2」に則って、任意の条件で実施することができ、例えば、次のような条件で測定することが可能である。
・検出部:示差屈折検出器
・カラム:ドコシルカラム(DCS)
・移動相:アセトン:アセトニトリル=65:35(体積比)
・流速:1ml/min
・カラム温度:40℃
・背圧:3.8MPa
<条件(4)>
本発明の常温ブルーム防止材においては、該常温ブルーム防止材に含まれる油脂の構成脂肪酸組成における飽和脂肪酸中、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量と、炭素数20以上の飽和脂肪酸含量がそれぞれ5質量%以下である。常温ブルーム防止材に含まれる油脂の、構成脂肪酸組成における飽和脂肪酸中の、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量と炭素数20以上の飽和脂肪酸含量をそれぞれ5質量%以下とすることで、本発明の常温ブルーム防止材を含有するチョコレートの風味や食感の変化を抑えながら、常温ブルーム防止効果が得られる。構成脂肪酸組成における飽和脂肪酸中の炭素数14以下の飽和脂肪酸含量は、4質量%以下であることが好ましく、3.7質量%以下であることがより好ましく、3.5質量%以下であることが最も好ましい。また、構成脂肪酸組成における飽和脂肪酸中の炭素数20以上の飽和脂肪酸含量は4質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。尚、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量及び炭素数20以上の飽和脂肪酸含量の下限値は0質量%である。
本発明の常温ブルーム防止材における、構成脂肪酸組成における飽和脂肪酸中の炭素数
14以下の飽和脂肪酸含量及び炭素数20以上の飽和脂肪酸含量は、例えば、上述の手法で構成脂肪酸組成を測定した後、構成脂肪酸組成における各種飽和脂肪酸の総和中の、炭素数14以下の飽和脂肪酸の含量の総和、又は炭素数20以上の飽和脂肪酸の含量の総和の百分率として算出することができる。
次に、本発明の常温ブルーム防止材に用いることのできる油脂について述べる。
本発明では、上記条件(1)〜(4)を全て満たすことができれば、任意の油脂、及び油脂配合物を使用することができ、例えば、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、オリーブ油、落花生油、米油、べに花油、ヒマワリ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、サル脂、マンゴ脂及びカカオ脂等の種植物油脂、乳脂、牛脂、豚脂、魚油及び鯨油等の動物油脂、並びにこれらの油脂に水素添加、分別、エステル交換等の物理的又は化学的処理の1種又は2種以上の処理を施した油脂が挙げられる。本発明においては、これらから選択された油脂の1種を単独使用することができ、2種以上の油脂を組合せて使用することもできる。
本発明の常温ブルーム防止材は、上記(1)〜(4)を全て満たす油脂を容易に得られる観点、とりわけ、得られるチョコレートの食感に影響を与えない観点、また、S2Uトリグリセリド中に占めるSSUの比率を上述の範囲とする観点から、エステル交換油脂を含有することが好ましく、ランダムエステル交換油脂を含有することがより好ましい。
本発明においては、エステル交換油脂として、エステル交換処理の後、更に水素添加や分別を行ったエステル交換油脂を用いることができる。本発明ではこの水素添加や分別を行ったエステル交換油脂もエステル交換油脂として扱う。
ここで、本発明の常温ブルーム防止材に好ましく用いられる上記エステル交換油脂について詳述する。
上記条件(1)〜(4)を全て満たすエステル交換油脂は、例えば以下の方法に則って得ることができる。
先ず、構成脂肪酸中の飽和脂肪酸のうち、ステアリン酸とパルミチン酸との含有量の和が好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上であり、構成脂肪酸中のステアリン酸とパルミチン酸の質量比(St/P)が、好ましくは0.1〜2.0であり、より好ましくは0.1〜1.5であり、最も好ましくは0.3〜1.0である油脂配合物を調製する。
このような油脂配合物を得るために用いられる油脂としては、特に制限されず、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオ脂、シア脂、マンゴー核油、サル脂及びイリッペ脂等の植物油脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油及び鯨油等の動物油脂、並びにこれらの油脂に水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した油脂のうちから、1種又は2種以上を選択し、混合して、上記の油脂配合物とすることができる。
上記油脂配合物の原料油脂として極度硬化油脂を用いる場合、本発明の常温ブルーム防止材にトランス脂肪酸含量を実質的に含有させない観点から、沃素価が3以下である極度硬化油脂を用いることが好ましく、沃素価が1以下である極度硬化油脂を用いることがより好ましい。上記油脂配合物の原料油脂として用いることのできる極度硬化油脂としては、例えばパーム油の極度硬化油脂や大豆油の極度硬化油脂や菜種油の極度硬化油脂、ハイオレイックヒマワリ油、ハイエルシン菜種油の極度硬化油脂などが挙げられる。
長期保存に伴って発生しやすい常温ブルームの発生をより効果的に防止するために、構成脂肪酸組成中のステアリン酸及びパルミチン酸の含量を高め、St/Pを上記の好ましい範囲に調整する観点、及び、本発明の常温ブルーム防止材に含有される油脂の構成脂肪酸組成における飽和脂肪酸中、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量と炭素数20以上の飽和
脂肪酸含量をそれぞれ5質量%以下とする観点から、上記油脂配合物は、パーム油、パーム極度硬化油脂及びパーム分別硬部油からなる群から選択される少なくとも1種以上の油脂を含むことが好ましい。
同様の観点から、上記油脂配合物は、パーム油、パーム極度硬化油脂及びパーム分別硬部油からなる群から選択される少なくとも1種以上の油脂を、30〜100質量%含有することが好ましく、40〜100質量%含有することがより好ましく、50〜100質量%含有することが最も好ましい。
次に、調製した油脂配合物に対して、ランダムエステル交換を行う。
ランダムエステル交換は化学的触媒を用いる方法であってもよく、或いは酵素を用いる方法であってもよい。上記化学的触媒としては、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属系触媒等が挙げられ、上記酵素としては、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、リゾープス(Rhizopus)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、ムコール(Mucor)属、ペニシリウム(Penicillium)属等に由来するリパーゼ等が挙げられる。尚、該リパーゼは、イオン交換樹脂或いはケイ藻土やセラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の形態で用いることもできる。
ランダムエステル交換された油脂配合物は、20℃におけるSFC(固体脂含量)(以下、「SFC20」ともいう。)と、30℃におけるSFC(以下、「SFC30」ともいう。)との比率(SFC20/SFC30)が、後述する分別を効率よく行う観点から、0.5〜2.5であることが好ましく、0.7〜2.4であることがより好ましく、1.0〜2.3であることが最も好ましい。
尚、本発明の常温ブルーム防止材は、上記エステル交換油脂が上記条件(1)〜(4)のより好ましい範囲を全て満たすようにするために、上記のランダムエステル交換された油脂配合物を以下に詳述する溶剤分別又は晶析により分別することによって得られた低融点部又は中融点部を含有することがより好ましい。本発明において低融点部とは、分別により高融点部分を分離除去して得られた低融点画分のことを意味する。また、中融点部とは、分別により高融点部分と液状画分とを分離除去して得られた中融点画分のことを意味する。分別方法としては、例えば、アセトン分別やヘキサン分別等の溶剤分別、晶析等の無溶剤分別等が挙げられる。
上記のランダムエステル交換された油脂配合物の分別は、1回であっても複数回であっても構わない。分別を複数回行う際には、溶剤分別を、条件を変えて2段階或いは3段階以上行ってもよく、晶析を、条件を変えて2段階或いは3段階以上行ってもよく、溶剤分別と晶析を組合せてもよい。
以下、溶剤分別を行う場合について述べる。
溶剤分別を行う際は、用いる溶剤については、分別に供するエステル交換油が溶解する溶剤であれば特に限定されないが、得られた分別油脂を食用に供することから、アセトン若しくはヘキサンを選択することが好ましい。
溶剤を使用する量については、特に限定されないが、工業的生産性の点から、分別に供するエステル交換油100質量部に対して、50質量部以上の溶剤を加えることが好ましく、100〜1000質量部加えることがより好ましく、200〜500質量部加えることが最も好ましい。
油脂を溶剤に溶解させる際は、分別によって除去する高融点画分を一旦十分に溶かしておく必要があるため、30〜70℃となるように加熱しておくことが好ましい。
溶剤に溶解させた油脂を冷却し、保持する温度(冷却温度)については、有機溶剤の種類によって異なるが、アセトンを用いた場合は0〜30℃とすることが好ましく、ヘキサ
ンを用いた場合は―10℃〜20℃とすることが好ましい。
冷却温度で保持する時間(冷却時間)については、高融点画分を十分に析出させる観点から、0.1時間〜100時間とすることが好ましく、0.5〜50時間とすることがより好ましい。
更に冷却速度は低融点画分、中融点画分の抱き込みを防ぎながら、高融点画分を効率よく析出させる観点から、20℃/h以下とすることが好ましく、工業的生産性の点から0.1〜15℃/hであることが好ましい。
尚、冷却操作は、ジャケット冷却若しくは熱交換器等により行うことができる。冷却操作は、静置していても、撹拌しながら冷却してもよいが、析出した結晶の分散を良好に保ち、系全体を均一に冷却する点から、撹拌下で行うことが好ましい。尚、シード剤の添加の有無は適宜選択され、添加する場合は任意のタイミングで加えることができる。
分別については常法により、冷却により生じた高融点画分の結晶のみを濾別した後、加熱等により溶剤を除去することで、低融点部、又は中融点部を得る。
尚、冷却結晶化する方法は特に限定されるものではなく、例えば、(i)撹拌しながら冷却結晶化する方法、(ii)静置下で冷却結晶化する方法、(iii)撹拌しながら冷却結晶化した後、更に静置下で冷却結晶化する方法、(iv)静置下で冷却結晶化した後、機械的撹拌により流動化する方法を挙げることができるが、結晶部と液状部の分離が容易な結晶化スラリーを得る点において、(i)、(iii)及び(iv)のいずれかの方法を採ることが好ましく、より好ましくは(i)の方法を選択する。
結晶化温度は、結晶化スラリー中の結晶部の割合、即ち、結晶化温度での上記エステル交換油脂のSFC(固体脂含量)が、次の範囲となる温度で行うことが好ましい。
本発明における晶析においては、上記の冷却結晶化により得られる結晶化スラリー中の結晶部の割合、即ち、結晶化温度でのSFCを10〜70%とすることが好ましく、30〜60%とすることが好ましく、35〜55%とすることが最も好ましい。
SFCが上記範囲外であった場合には、本発明の常温ブルーム防止材として有用な油脂成分を選択的に分離する際の効率が低下する場合がある。
冷却温度や時間については、エステル交換油脂のSFCが上記範囲となるような条件であれば特に限定されないが、エステル交換油脂が完全溶解した状態から、30分〜30時間かけて、25〜60℃、好ましくは30〜50℃まで冷却し、該温度で30分〜80時間、好ましくは1〜70時間保持することにより、好ましく上記範囲のSFCを満たすことができる。
加えて、本発明の晶析においては、完全溶解されたエステル交換油脂が、上記範囲のSFCとなるまで冷却される際には、急冷でもよく、徐冷でもよく、又はこれらを組合せて冷却してもよく、上記範囲のSFCに調整してもよいが、得られた結晶化スラリーの結晶部と液状部の分離を容易にし、且つ得られる液状部の収率を向上させるために、エステル交換油脂の結晶が析出する温度帯以下においては徐冷することが好ましい。
尚、本発明においてエステル交換油脂を急冷する場合、その冷却速度は5℃/h以上であることが好ましく、5〜20℃/hであることがより好ましく、徐冷する場合においては、その冷却速度は0.3〜3.5℃/hであることが好ましく、0.5〜3.0℃/hであることがより好ましい。
ここで、エステル交換油脂の結晶が析出する温度帯以下においては、上記範囲の好適なSFCが得られる温度まで冷却する過程の中で、1回又は2回以上、冷却により析出した結晶の熟成工程を経ることが、収率の向上の観点と、好ましい常温ブルーム防止効果を有する油脂を得る観点から好ましい。
本発明における結晶の熟成工程とは、結晶をより均一なものにすると同時に更に結晶化を進めて、結晶部と液状部をより濾別しやすい結晶状態とし、結果として収率を向上させ
る操作をさす。
具体的には、好ましくは25〜60℃、更に好ましくは30〜50℃の任意の温度で、定温の状態で、30分〜80時間保持することが挙げられる。尚、熟成工程の回数の上限は特に制限はないが、通常は5回、好ましくは4回である。
晶析を行うエステル交換油脂の組成に応じて、晶析条件は適宜調整されるが、好ましい晶析条件の一つとして、例えば完全溶解の状態から47〜50℃まで1〜2hで到達するよう急冷した後、38〜44℃で結晶化スラリーを得るまでの間に、任意の温度で1回又は2回以上の熟成工程を経る晶析条件がある。尚、各熟成工程間の温度移行は徐冷により行われることが好ましい。
結晶部と液状部とを分離する方法としては自然濾過、吸引濾過、圧搾濾過、遠心分離、及びこれらの組合せが挙げられる。分離操作を簡便に、且つ効率的に行うために、フィルタープレスやベルトプレスなどを用いた圧搾濾過を選択することが好ましい。
エステル交換油脂の結晶化時に、結晶化温度でのSFCが高く、高粘度の結晶化スラリーであったり、塊状体が存在したりする場合等においては、濾過時に加わる圧力によってスラリー化させることが容易なので、特に圧搾濾過が適している。
圧搾濾過によって分別を行う場合の圧力は、好ましくは0.2MPa以上、更に好ましくは0.5〜5MPaであることが好ましい。尚、圧搾時の圧力は圧搾初期から圧搾終期にかけて徐々に上昇させることが好ましく、その圧力の上昇速度は1MPa/分以下、好ましくは0.5MPa/分以下、更に好ましくは0.1MPa/分以下である。圧力の上昇速度が1MPa/分より大きいと、得られるエステル交換油脂の低融点部、又は中融点部の収率が低下するおそれがある。
上記のように溶剤分別、又は晶析を行い、本発明の常温ブルーム防止材に好ましく用いることのできるエステル交換油である、ランダムエステル交換油の低融点部、又は中融点部が得られる。
ここで、本発明の常温ブルーム防止材に含まれる油脂における上記エステル交換油脂、好ましくは上記のようにして得られたランダムエステル交換油脂の低融点部又は中融点部の含有量は、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90〜100質量%であることが最も好ましい。即ち本発明においては、上述のエステル交換油脂、好ましくは上記のようにして得られたランダムエステル交換油脂の低融点部又は中融点部を、そのまま本発明の常温ブルーム防止材として好ましく用いることができる。
本発明の常温ブルーム防止材中の、上記条件(1)〜(4)を全て満たす油脂の含量は、本発明の効果を十分に得る観点から、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが最も好ましい。尚、常温ブルーム防止材中における油脂含量の上限は100質量%である。
本発明の常温ブルーム防止材は、上記条件(1)〜(4)を全て満たす範囲において、上記のエステル交換油以外のその他油脂を含有する場合がある。
また、本発明の常温ブルーム防止材における上記その他の油脂の含有量は、油相中に、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、最も好ましくは、0〜10質量%である。その他の油脂の含有量が20質量%を超えると、常温ブルーム防止材としての機能が低下しやすいことに加え、その他の油脂とカカオ脂との相溶性の問題から、常温ブルーム防止材の添加されたチョコレートが、共晶による激しいブルームを起こすおそれがある。
本発明の常温ブルーム防止材に含まれる油脂の、20℃におけるSFC(SFC20)
と、30℃におけるSFC(SFC30)との比率(SFC20/SFC30)が値が1.5以上であれば、作業性を低下させることなく、常温ブルームの発生を好ましく抑制することが可能となる。より好ましくはSFC20/SFC30の値が2.0以上、最も好ましくは2.5以上である。更に、SFC20/SFC30の値が3以上であると、本発明の常温ブルーム防止材をチョコレート中に含有させた場合に、チョコレートの風味や食感を損ねることなく、また、チョコレート生地の調製時の作業性を損ねることなく、常温ブルームの発生を好ましく防止することができるため、特に好ましい。
本発明の常温ブルーム防止材は、本発明の効果を阻害しない範囲において、一般的にチョコレート製造に使用することのできる各種原材料、例えば、乳化剤、酸化防止剤、糖類、糖アルコール、デキストリン、オリゴ糖、澱粉、小麦粉、無機塩及び有機酸塩、ゲル化剤、乳製品、卵製品、その他各種食品素材全般、香料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、pH調整剤等を含有する場合がある。
上記乳化剤としては、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、酵素処理レシチン等の乳化剤の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の常温ブルーム防止材は、テンパリング型チョコレート用の常温ブルーム防止材として好適に使用することができる。常温ブルーム自体がテンパリング型チョコレートにおいて特に発生しやすい現象であるところ、テンパリング型チョコレートに本発明の常温ブルーム防止材を使用することによって、テンパリング型チョコレートの常温ブルームの発生をより効果的に防止することができる。
次に、本発明のチョコレートについて述べる。
本発明のチョコレートは、本発明の常温ブルーム防止材を含有するものであり、融点以下の常温域(15〜30℃)下でチョコレートに発生するブルームの発生が防止されているものである。
本発明のチョコレートにおける本発明の常温ブルーム防止材の含有量は、該常温ブルーム防止材に含まれる上記条件(1)〜(4)を全て満たす油脂が、チョコレートの油分中、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、最も好ましくは7質量%以上となる量である。常温ブルーム防止材の含有量を上記の範囲とすることで、常温ブルームの発生が抑制されたチョコレートが得られる。本発明のチョコレートにおける本発明の常温ブルーム防止材の含有量の上限値は、カカオ脂との相溶性の問題に起因する共晶によるブルームを起こさない範囲であればよいが、常温ブルーム防止材中の上記条件(1)〜(4)を全て満たす油脂が、チョコレートの油分中、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、最も好ましくは20質量%以下となる量である。本発明のチョコレート油分中の、本発明の常温ブルーム防止材に含有される上記条件(1)〜(4)を全て満たす油脂の含有量が3質量%未満では、チョコレート中の油脂含量によっては本発明の効果が得られないおそれがあり、30質量%を超えると、チョコレートの物性や風味や食感が変化したり、チョコレート中の油脂含量によっては共晶によるブルームが発生するおそれがある。
本発明においてチョコレートとは、全国チョコレート業公正取引協議会で規定されたチ
ョコレート、準チョコレートだけでなく、カカオマス、カカオバター、ココアパウダー等のカカオ原料を利用した生チョコレート、ホワイトチョコレート、カラーチョコレート等の油脂加工食品も含まれるものであり、カカオマス、ココアパウダー、粉乳等の各種粉末食品、油脂類、糖類、乳化剤、香料、色素等の中から選択した原料を任意の割合で混合し、常法により、ロール掛け、コンチング処理して得ることができるものである。
常温ブルーム自体が、テンパリング型チョコレートにおいて、特に発生しやすい現象であるため、本発明のチョコレートはテンパリング型であることが、本発明の常温ブルーム防止材の効果が特に大きく得られるため好ましい。
以下、本発明を具体的な例示により更に詳しく述べる。尚、本発明の範囲は実施例に限定されない。
<実施例1〜7及び比較例1〜3の常温ブルーム防止材の製造>
(実施例1)
先ず、沃素価が1以下となるまで水素添加し極度硬化油とした大豆油45質量部、パーム分別硬部油25質量部、及びパーム油30質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。
この油脂配合物を四口フラスコ内に入れ液温を90℃に調整した。油脂配合物100質量部に対し、0.2質量部のナトリウムメトキシドを加えた後、真空下で1時間、加熱しながら撹拌混合した。次いで、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和した。その後、常法により精製し、ランダムエステル交換油脂であるエステル交換油脂E−1(以下、「E−1」ともいう)を得た。
このE−1を、ジャケット付ガラス製晶析槽に投入し、完全に溶解された状態から、40rpmで撹拌しながら、48℃まで15℃/hで急冷し、48℃、44℃、42℃の各温度でそれぞれ4時間の熟成工程を経て、結晶化スラリーを得た。尚、48℃から44℃への温度移行は2℃/hでの徐冷により行い、44℃から42℃への温度移行は1℃/hでの徐冷により行った。
この結晶化スラリーを濾過分別及び圧搾に供し、エステル交換油脂E−1の分別軟部油(以下、「EF−1」もいう。)を得た。得られたEF−1を実施例1の常温ブルーム防止材Aとして用いた。尚、EF−1はエステル交換油脂E−1の低融点部である。
(実施例2)
先ず、沃素価が1以下となるまで水素添加を行い極度硬化油としたパーム油50質量部、パーム分別硬部油25質量部、及びパーム油25質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。
この油脂配合物を四口フラスコ内で液温を90℃に調整し、油脂配合物100質量部に対し0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、真空下で1時間、加熱しながら撹拌混合した。
この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和し、常法により精製し、ランダムエステル交換油脂である、エステル交換油脂E−2(以下、「E−2」ともいう。)を得た。
得られたE−2を製造例1と同様の方法で晶析し、エステル交換油脂E−2の分別軟部油(以下、「EF−2」ともいう。)を得た。得られたEF−2を実施例2の常温ブルーム防止材Bとして用いた。尚、EF−2はエステル交換油脂E−2の低融点部である。
(実施例3)
先ず、沃素価が1以下となるまで水素添加を行い極度硬化油としたパーム油45質量部、及びパーム油55質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。
この油脂配合物を四口フラスコ内で液温を90℃に調整し、油脂配合物100質量部に
対し0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、真空下で1時間、加熱しながら撹拌混合した。
この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和し、常法により精製し、ランダムエステル交換油脂である、エステル交換油脂E−3(以下、「E−3」ともいう。)を得た。
このE−3を、ジャケット付ガラス製晶析槽に投入し、完全に溶解された状態から、40rpmで撹拌しながら、油脂温度が45℃となるまで8.3℃/hで急冷し、油脂温度が45℃で3時間の熟成工程を経て、39.5℃で結晶化スラリーを得た。尚、45℃から39.5℃への温度移行は1℃/hでの徐冷により行った。
この結晶化スラリーを濾過分別、及び圧搾に供し、エステル交換油脂E−3の分別軟部油(以下、「EF−3」ともいう。)を得た。得られたEF−3を実施例3の常温ブルーム防止材Cとして用いた。尚、EF−3はエステル交換油脂E−3の低融点部である。
(実施例4)
実施例3と同様の方法でEF−3を得た。得られたEF−3を加熱して完全に溶解した状態で、ジャケット付ガラス製晶析槽に投入し、50rpmで撹拌しながら、油脂温度が35℃となるまで、12.5℃/hで急冷し、油脂温度が35℃に達温してから、30時間の熟成工程を経て、結晶化スラリーを得た。
この結晶化スラリーを濾過分別、及び圧搾に供し、得られた分別軟部油を、エステル交換油脂E−3を二段階で分別した、分別軟部油EF−4として得た。得られたEF−4を実施例4の常温ブルーム防止材Dとして用いた。尚、EF−4はEF−3の低融点部である。
(実施例5)
実施例3と同様の方法で、EF−3を得た。得られたEF−3を、ジャケット付ガラス製晶析槽に投入し、完全に溶解した。完全に溶解した状態のEF−3を、50rpmで撹拌しながら、油脂温度が33℃となるまで13.5℃/hで急冷し、油脂温度が33℃で39時間の熟成工程を経て結晶化スラリーを得た。
この結晶化スラリーを濾過分別、及び圧搾に供し、EF−3の分別軟部油(以下、「EF−5」ともいう。)を得た。得られたEF−5を実施例5の常温ブルーム防止材Eとして用いた。尚、EF−5はEF−3の低融点部である。
(実施例6)
沃素価60のパーム分別軟部油30質量部、パーム油28質量部、沃素価が1以下となるまで水素添加を行い極度硬化油としたパーム油42質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。
この油脂配合物を四口フラスコ内で、液温を90℃に調整し、油脂配合物100質量部に対し0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、真空下で1時間、加熱しながら撹拌混合した。
この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和し、常法により精製し、ランダムエステル交換油脂である、エステル交換油脂E−4(以下、「E−4」ともいう。)を得た。
このE−4を、ジャケット付ガラス製晶析槽に投入し、50rpmで撹拌しながら、油脂温度が46℃となるまで7.0℃/hで急冷し、油脂温度が46℃に達温してから、5時間の熟成工程を経て、更に油脂温度が35.0℃となるまで2.2℃/hで徐冷し、油脂温度が35℃に達温してから11時間の熟成工程を経て、結晶化スラリーを得た。
この結晶化スラリーを濾過分別、及び圧搾に供し、得られた分別軟部油を、分別軟部油EF−6として得た。得られたEF−6を実施例6の常温ブルーム防止材Fとして用いた。尚、EF−6はエステル交換油脂E−4の低融点部である。
(実施例7)
実施例6で得られた油脂E−4を加熱し完全に溶解した状態(60℃)で、ジャケット付ガラス製晶析槽に投入した。投入した油脂E−4を、油脂温度が44℃となるまで8.0℃/時間で急冷し、油脂温度が44℃に達温してから該温度での5時間の熟成工程を経て、更に油脂温度が33.0℃となるまで2.2℃/時間で徐冷し、油脂温度が33℃に達温してから該温度での18時間の熟成工程を経て、結晶化スラリーを得た。油脂E−4を晶析槽に投入してから上記の18時間の熟成工程を終了するまでの工程は、油脂E4を50rpmで撹拌しながら行った。得られた結晶化スラリーを濾過分別、及び圧搾に供し、得られた低融点部を、分別軟部油EF−7として得た。得られたEF−7を実施例7の常温ブルーム防止材Gとして用いた。尚、EF−7はエステル交換油脂E−4の低融点部である。
(比較例1)
沃素価60のパーム分別軟部油を、四口フラスコ内で、液温を90℃に調整し、油脂100質量部に対し0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、真空下で1時間、加熱しながら撹拌混合した。この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和し、常法により精製し、ランダムエステル交換油脂である、パーム分別軟部油のエステル交換油脂(以下、「IE−PO」ともいう。)を得た。得られたIE−POを比較例1の常温ブルーム防止材Hとして用いた。
(比較例2)
先ず、沃素価が1以下となるまで水素添加を行い極度硬化油としたパーム油35質量部、及びパーム油65質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。
この油脂配合物を四口フラスコ内で、液温を90℃に調整し、油脂配合物100質量部に対し0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、真空下で1時間、加熱しながら撹拌混合した。
この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和し、常法により精製し、ランダムエステル交換油脂である、エステル交換油脂E−5(以下、「E−5」ともいう。)を得た。得られたE−5を比較例2の常温ブルーム防止材Iとして用いた。
(比較例3)
先ず、パーム核油24質量部、沃素価が1以下となるまで水素添加を行い極度硬化油としたハイエルシン菜種油6質量部、及びパーム油70質量部をそれぞれ融解した状態で撹拌混合し、油脂配合物を得た。
この油脂配合物を四口フラスコ内で、液温を90℃に調整し、油脂配合物100質量部に対し0.2質量部の割合でナトリウムメトキシドを加えた後、真空下で1時間、加熱しながら撹拌混合した。
この後、クエン酸を添加してナトリウムメトキシドを中和し、常法により精製し、ランダムエステル交換油脂である、エステル交換油脂E−6(以下、「E−6」ともいう。)を得た。得られたE−6を比較例3の常温ブルーム防止材Jとして用いた。
EF−1〜EF−7をそれぞれ、実施例1〜7の常温ブルーム防止材A〜Gとして用い、IE−PO、E−5、及びE−6をそれぞれ、比較例1〜3の常温ブルーム防止材H〜Jとして用いて、以下の物性評価試験を行った。
EF−1〜EF−7、IE−PO、E−5、E−6について、表1にその組成の詳細を示す。
Figure 2019088269
<テンパー型チョコレートによる物性評価試験>
カカオマス(油分含有量55質量%)47.6質量部、砂糖42.1質量部、レシチン0.3質量部、及びカカオバターと常温ブルーム防止材とを併せて10質量部、ホバートミキサーに投入し、ビーターを用いて中速で3分間混合し、更に、常法により、ロール掛け、コンチングして、チョコレート生地を得た。尚、カカオマスは55℃に調温し、カカオバターは55℃で溶解した。
カカオバターと常温ブルーム防止材A〜Jは、双方十分溶解した状態で、それぞれ8:2(配合(1))、6:4(配合(2))、4:6(配合(3))、2:8(配合(4))の質量比で混合したものである。コントロール品は、カカオバターのみを用いたものであり、配合(5)品は、常温ブルーム防止材A〜Jのみを用いたものである。
得られたチョコ生地を、常法により、シードテンパリングを行い、型に流し込んで、15℃で冷却・固化させ、離型し、実施例6〜12及び比較例4〜6のテンパー型チョコレートを得た。本試験のチョコレート配合については表2に示す。
Figure 2019088269
テンパー型チョコレートの調製時に、チョコレート生地の製造作業性について評価を行った。評価は下述する基準で評価を行い、その結果について表3に記載した。尚、◎、○の評価が得られた常温ブルーム防止材を、良好な作業性を有するものとした。また、調製されたテンパー型チョコレートについては、以下の常温ブルーム試験で評価した。評価結果を表3に示す。
<常温ブルーム試験>
実施例1〜7及び比較例1〜3で得られたチョコレートA〜Jそれぞれを、20℃で1週間熟成してから、25℃の恒温器で保管し、30日後、90日後、150日後、210日後、270日後に、目視によりブルームの状態を観察し、下記の評価基準により常温ブルーム耐性の評価を行った。その結果を表3に記載した。
<評価基準>
・チョコレート生地の製造作業性
◎:コントロールと同様の生地粘度であり、作業性は良好である。
○:コントロールよりもやや粘度が高いが、問題なく作業することができる。
×:コントロールと比較して明らかに粘度が高く、撹拌が困難であり、作業性に問題がある。
・常温ブルームの評価基準
◎:表面の艶は良好であり、ブルームはみられない。
○:表面の艶が失われているが、白色化は発生していない。
△:一部に白色化が発生している。
×:激しい白色化が発生している。
Figure 2019088269
同じ配合の常温ブルーム防止剤間で比較すると、製造作業性については、チョコレート生地中に含有させた常温ブルーム防止材中のS/Uの値、及びS3含量と反比例して低下する傾向にある。とりわけ常温ブルーム防止材I及び常温ブルーム防止材Jは、コントロールに対して製造作業性の低下が顕著であった。
得られたチョコレートの食感・風味については、常温ブルーム防止材A〜Gを含有するチョコレートは、コントロールと比較しても、全く遜色ない口溶けと風味発現性を有していた。また、常温ブルームの発生については、常温ブルーム防止材A〜Gを含有するチョコレートは、今回試験した全期間において、有効に抑制されていた。
一方、常温ブルーム防止材Iを用いたチョコレートは、配合を問わず、他のチョコレートと比較して口溶けが悪く、風味発現が悪かった。また、常温ブルームを抑制する効果についても、保管期間が延びるにつれ、低下する傾向がみられた。また、常温ブルーム防止材Hを加えたチョコレートは、コントロールと比較して、やや粘りのある食感となり、劣っていた。これはトリグリセリド組成にSU2とU3tpからなる液状油成分が多く含まれていたため、ややくちゃつくような食感となったと推察される。ブルームの抑制効果については、他の比較例と比較しても低かった。これについても液状油成分の影響と推察された。
また、常温ブルーム防止材Jについては、コントロールと比較して口溶けが劣っている上、ブルーム抑制効果について経日的な低下が確認された。
更に、同じ配合間で常温ブルーム防止効果について、実施例と比較例とを比較すると、常温ブルーム防止材中のS2U含量やSSU/S2Uに比例して、該効果が高まることが知見された。
また、S/UやSt/Pが特定の範囲にあることで、常温ブルームを防止する効果が高まることが知見された。

Claims (4)

  1. 下記条件(1)〜(4)の全てを満たす油脂を有効成分として含有する、常温ブルーム防止材。
    (1)構成脂肪酸組成における飽和脂肪酸(S)と不飽和脂肪酸(U)との質量比(S/U)が1.0〜2.0である。
    (2)トリグリセリド組成中、S2U(ジ飽和−モノ不飽和トリグリセリド)の含有量が50〜70質量%である。
    (3)S2U中に占めるSSU(1,2飽和−3不飽和トリグリセリド)の比率(SSU/S2U)が0.55〜0.75である。
    (4)構成脂肪酸組成における飽和脂肪酸中、炭素数14以下の飽和脂肪酸含量、及び炭素数20以上の飽和脂肪酸含量がそれぞれ5質量%以下である。
  2. 上記条件(1)〜(3)を全て満たす油脂がランダムエステル交換油脂を含む、常温ブルーム防止材。
  3. テンパリング型チョコレート用である、請求項1又は2に記載の常温ブルーム防止材。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の常温ブルーム防止材を含有するチョコレート。
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