JP2019088130A - モータ制御装置及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
Description
電動パワーステアリング装置では、モータとしては耐久性や保守性に優れ、騒音やノイズも少ないブラシレスモータが一般的に使用されている。ブラシレスモータの駆動方法として、d軸及びq軸で定義されるdq回転座標系でモータ電流を制御するベクトル制御が知られている。
このトルクリップルを低減するために、dq回転座標系上の基本波成分の電流指令値に対して、基本波成分の整数倍の周波数の高調波成分を重畳させ、高調波成分が重畳された電流指令値に基づいて電流制御する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、モータから操舵補助力を与える操舵機構が共振特性を持ち、かつ、共振周波数付近の励振力が発生すると、運転者にとって不快となる大きな振動や騒音が生じることがある。操舵機構の共振特性を励起させる周波数のトルクリップルはモータの高回転域で発生するため、特許文献1記載の上記方法ではトルクリップルに起因する操舵機構の共振を抑制することが難しい。
本発明は、上記従来例の課題に着目してなされたものであり、電動パワーステアリング装置のモータが高回転域で発生するトルクリップルを低減することを目的とする。
なお、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構成、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1は、実施形態の電動パワーステアリング装置の一例の概要を示す。ハンドル1のコラム軸(ステアリングシャフト、ハンドル軸)2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5、タイロッド6a、6bを経て、更にハブユニット7a、7bを介して操向車輪8L、8Rに連結されている。
また、コラム軸2には、ハンドル1の操舵トルクThを検出するトルクセンサ10及び操舵角を検出する舵角センサ14が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。
コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクThと車速センサ12で検出された車速Velとに基づいてアシスト(操舵補助)指令の電流指令値の演算を行い、演算された電流指令値に補償等を施した電圧指令値Vrefによってモータ20に供給する電流を制御する。
なお、舵角センサ14は必須のものではなく、配設されていなくても良く、モータ20に連結されたレゾルバ等の回転角センサから得ることもできる。
コントロールユニット30は、モータ20を駆動制御する電子制御ユニットである。
モータ制御装置は、モータ電流検出部50と、回転角センサ51と、角速度演算部52と、3相/2相変換部53と、指令値設定部54と、重畳成分生成部55と、dq電流制御部56を備える。
また、モータ制御装置は、2相/3相変換部65と、パルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)制御部66と、インバータ67と、加算器68、69d、69q、70d、及び70qを備える。
モータ20にはレゾルバ等の回転角センサ51が連結されており、回転角センサ51は、モータ20の電気角θを検出して、3相/2相変換部53、角速度演算部52及び2相/3相変換部65に入力する。
3相/2相変換部53は、回転角θを用いて、モータ電流検出部50が検出するモータ20の各相に流れるモータ電流を、モータ20の電気角周波数で回転する基本波dq回転座標系上の2相の電流に変換する。以下、モータ20の電気角周波数を「基本波周波数」と表記することがある。
具体的には、3相/2相変換部53は、次式(1)によって静止座標系上の3相電流Ium、Ivm、Iwmを、d軸モータ電流Idm、q軸モータ電流Iqmへ変換する。
図3を参照する。指令値設定部54は、電流指令値演算部540と、補償信号生成部541と、加算器542と、電流制限部543と、d−q軸電流指令値演算部544を備える。
補償信号生成部541は、電流指令値I*に対して操舵システム系の特性補償を行い収れん性や慣性特性等を改善するための補償信号を生成する。
加算器542は、電流指令値演算部540により演算された電流指令値I*に補償信号を加算する。その加算結果Ic*は、電流制限部543に入力され、最大電流を制限された電流指令値Irefとなる。
d−q軸電流指令値演算部544は、電流指令値Irefと、モータ電気角θと、モータ角速度ωとに基づいてd軸電流指令値Irefdと、q軸電流指令値Irefq0を演算する。
ここで、基本波周波数のn倍の周波数成分の重畳成分を基本波dq回転座標系上に設定すれば、静止座標系では基本波周波数の(n−1)倍の逆相成分と(n+1)倍の正相成分となって現れる。このため、重畳成分生成部55は、基本波周波数のn倍の周波数の重畳成分Irefqn=Aqn×sin(nθ+φ)を生成する。
例えば、重畳成分生成部55は、5次及び7次高調波成分によるトルクリップルを低減するために基本波周波数の6倍の周波数の重畳成分を生成してよい。11次及び13次高調波成分によるトルクリップルを低減するために基本波周波数の12倍の周波数の重畳成分を生成してよい。
このため、重畳成分生成部55は、実験的又は理論的に予め定めた基本重畳成分Aqn0に可変ゲインを乗じた積を重畳成分の振幅Aqnとして設定する。
可変ゲインを動的に変化させることにより、トルクリップルにより生じる騒音や振動が大きくなる条件や、運転者が騒音や振動を感じやすい条件において、重畳成分の振幅Aqnを大きくしてトルクリップルの低減効果を大きくすることができる。また、トルクリップルにより生じる騒音や振動が小さくなる条件や、運転者が騒音や振動を感じにくい条件では、重畳成分の振幅Aqnを小さくして電流消費を節約できる。
車速感応ゲイン乗算部550は、車速センサ12で検出された車速Velを入力し、車速Velに応じて変化する可変ゲインである車速感応ゲインK1を算出する。
車速感応ゲイン乗算部550は、基本重畳成分Aqn0に車速感応ゲインK1を乗じた積(K1×Aqn0)を出力する。
また、車速Velが低いほどロードノイズや風切り音などの騒音や路面からの振動が小さく、モータトルクリップルにより発生する操舵機構の振動や操舵機構から生じる騒音を運転者が感じやすい。このため、重畳成分を増加させてトルクリップルの低減効果を大きくする。
図5の例では、車速Velが所定の車速V1以下の範囲では、車速感応ゲインK1の値は最大値「1」であり、車速V1から車速V2までの範囲では「1」から「0.4」まで単調減少し、車速V2から車速V3までの範囲では「0.4」から最小値「0」まで単調減少し、車速V3以上の範囲では「0」となる。
なお、図5の例では、車速感応ゲインK1は線形に減少しているが非線形に減少してもよい。速度V1、V2及びV3は、例えば20Km/h、40Km/h及び80Km/hであってよい。
操舵トルク感応ゲイン乗算部551は、車速感応ゲイン乗算部550の出力(K1×Aqn0)に操舵トルク感応ゲインK2を乗じた積(K1×K2×Aqn0)を出力する。
このため、操舵トルク感応ゲインK2は、操舵トルクThが大きいほど大きな値に設定してよい。
一方で、操舵トルクThが小さい場合にはトルクリップルが小さく、また運転者が操舵機構の振動を感じにくいため、操舵トルク感応ゲインK2を下げて電流指令値に重畳させる重畳成分を小さくすることにより電流消費を節約できる。
なお、操舵トルクThが増加するほど、操舵トルク感応ゲインK2の増加率(すなわち、操舵トルクThの増加量に対する操舵トルク感応ゲインK2の増加量の比)が増加してもよい。
なお、図6の例では、操舵トルク感応ゲインK2は線形に増加しているが非線形に増加してもよい。トルクT1及びT2は、例えば1.0Nm及び2.0Nmであってよい。
電流指令値感応ゲイン乗算部552は、操舵トルク感応ゲイン乗算部551の出力(K1×K2×Aqn0)に電流指令値感応ゲインK3を乗じた積(K1×K2×K3×Aqn0)を出力する。
このため、電流指令値感応ゲインK3は、電流指令値Irefが大きいほど大きな値に設定してよい。
一方で、電流指令値Irefが小さい場合にはトルクリップルが小さいため、電流指令値感応ゲインK3を下げて電流指令値に重畳させる重畳成分を小さくすることにより電流消費を節約できる。
なお、電流指令値Irefが増加するほど、電流指令値感応ゲインK3の増加率(すなわち、電流指令値Irefの増加量に対する電流指令値感応ゲインK3の増加量の比)が増加してもよい。
なお、図7の例では、電流指令値感応ゲインK3は線形に増加しているが非線形に増加してもよい。電流I1及びI2は、例えば20A及び40Aであってよい。
モータ速度感応ゲイン乗算部553は、電流指令値感応ゲイン乗算部552の出力(K1×K2×K3×Aqn0)にモータ速度感応ゲインK4を乗じた積(K1×K2×K3×K4×Aqn0)を、重畳成分の振幅Aqnとして出力する。
図8の例では、トルクリップルが操舵機構の共振特性を励起するモータ回転速度帯の範囲は、モータ回転速度R2以上であり、モータ回転速度R2以上の範囲においてモータ速度感応ゲインK4の値は最大値「1」であり、モータ回転速度R2からモータ回転速度R1(<R2)の範囲で「1」から最小値「0」へ変化する。モータ回転速度R1以下の範囲においてモータ速度感応ゲインK4の値は「0」である。
なお、モータ回転速度Rが増加するほど、モータ速度感応ゲインK4の増加率(すなわち、モータ回転速度Rの増加量に対するモータ速度感応ゲインK4の増加量の比)が増加してもよい。
図8の例では、モータ速度感応ゲインK4は線形に増加しているが非線形に増加してもよい。モータ回転速度R1及びR2は、例えば1000rpm及び2000rpmであってよい。
ここで、電気角θに対するトルクリップルの位相はモータ電流の大きさに応じて変化する。このため、位相調整部555は、指令値設定部54が算出した電流指令値Irefに応じて重畳成分の位相φを調整する。
乗算器558は、正弦波sin(nθ+φ)に振幅Aqnを乗じて、乗算結果(Aqn×sin(nθ+φ))を重畳成分Irefqnとして出力する。
dq電流制御部56は、d軸電流指令値Irefdと3相/2相変換部53が出力したd軸モータ電流Idmとの偏差、q軸電流指令値Irefqと3相/2相変換部53が出力したq軸モータ電流Iqmとの偏差をそれぞれ算出する。
dq電流制御部56は、これら偏差に基づいてモータ20に対する基本波dq回転座標系上の操作量を求める。例えばdq電流制御部56は、上記偏差に基づくPI(Proportional-Integral)制御によってモータ20に対する基本波dq回転座標系上の操作量を算出してよい。モータ20に対する基本波dq回転座標系上の操作量として、基本波d軸電圧指令値Vdref1及び基本波q軸電圧指令値Vqref1を算出してよい。
なお、dq電流制御部56による制御は、上記の制御に限られず、指令値に追従しうる制御であれば一般的に用いられる他の制御でもよい。
重畳成分Irefqnを含んだq軸電流指令値Irefqを(1−n)次dq回転座標系上の値に変換することにより、重畳成分Irefqnが(1−n)次dq回転座標系上で設定される。
dq(1−n)電流制御部59は、d軸電流指令値Irefd(1−n)とd軸モータ電流Idm(1−n)との偏差、q軸電流指令値Irefq(1−n)とq軸モータ電流Iqm(1−n)との偏差をそれぞれ算出する。
このためdq(1−n)電流制御部59は、モータの回転速度が高くなっても電流制御を追従させて(1−n)次高調波成分によるトルクリップルを良好に低減することができる。
(1−n)次/基本波座標変換部60は、式(2)と同様の変換式に基づいて、(1−n)次d軸電圧指令値Vdref(1−n)及び(1−n)次q軸電圧指令値Vqref(1−n)をそれぞれ基本波dq回転座標系上の値に変換する。
重畳成分Irefqnを含んだq軸電流指令値Irefqを(n+1)次dq回転座標系上の値に変換することにより、重畳成分Irefqnが(n+1)次dq回転座標系上の重畳成分で設定される。
dq(n+1)電流制御部63は、d軸電流指令値Irefd(n+1)とd軸モータ電流Idm(n+1)との偏差、q軸電流指令値Irefq(n+1)とq軸モータ電流Iqm(n+1)との偏差をそれぞれ算出する。
このためdq(n+1)電流制御部63は、モータの回転速度が高くなっても電流制御を追従させて(n+1)次高調波成分によるトルクリップルを良好に低減することができる。
(n+1)次/基本波座標変換部64は、式(3)と同様の変換式に基づいて、(n+1)次d軸電圧指令値Vdref(n+1)及び(n+1)次q軸電圧指令値Vqref(n+1)をそれぞれ基本波dq回転座標系上の値に変換する。
加算器69q及び70qは、基本波dq回転座標系上の値に変換された(1−n)次q軸電圧指令値Vqref(1−n)及び(n+1)次d軸電圧指令値Vdref(n+1)を、dq電流制御部56から出力された基本波q軸電圧指令値Vqref1に加算し、q軸電圧指令値Vqrefを算出する。
PWM制御部66及びインバータ67は、U相電圧指令値Vuref、V相電圧指令値Vvref及びW相電圧指令値Vwrefに基づいてモータ20をPWM駆動する。
次に、実施形態のモータ制御装置の動作例を説明する。図10を参照する。
動作がスタートすると、ステップS1においてトルクセンサ10が操舵トルクThを検出し、車速センサ12が車速Velを検出し(又はCAN40が車速Velを出力し)、回転角センサ51がモータ20の電気角θを検出する。
ステップS2においてモータ電流検出部50は、モータ20を流れるモータ電流を検出する。
ステップS4において3相/2相変換部53は、電気角θを用いて、モータ電流検出部50が検出するモータ20の各相に流れるモータ電流を、基本波dq回転座標系上のd軸モータ電流Idm、q軸モータ電流Iqmに変換する。
基本波/(n+1)次座標変換部62は、d軸モータ電流Idm、q軸モータ電流Iqmを、(n+1)次dq回転座標系上のd軸モータ電流Idm(n+1)、q軸モータ電流Iqm(n+1)に変換する。
ステップS6において重畳成分生成部55は、車速Velに応じて車速感応ゲインK1を算出し、操舵トルクThに応じて操舵トルク感応ゲインK2を算出し、電流指令値Irefに応じて電流指令値感応ゲインK3を算出し、モータ回転速度Rに応じてモータ速度感応ゲインK4を算出する。
ステップS8において重畳成分生成部55は、重畳成分Irefqn=K1×K2×K3×K4×Aqn0×sin(nθ+φ)を生成する。加算器68は、指令値設定部54が設定したq軸電流指令値Irefq0に、重畳成分Irefqnを加算することによりq軸電流指令値Irefqを算出する。
同様に、基本波/(n+1)次座標変換部61が、d軸電流指令値Irefd及びq軸電流指令値Irefqを、(n+1)次dq回転座標系上の値に変換することにより、重畳成分が(n+1)次dq回転座標系上に設定される。
dq(1−n)電流制御部59は、d軸電流指令値Irefd(1−n)とd軸モータ電流Idm(1−n)との偏差を算出する。また、q軸電流指令値Irefq(1−n)とq軸モータ電流Iqm(1−n)との偏差を算出する。これにより(1−n)次dq回転座標系上の重畳成分とq軸モータ電流Iqm(1−n)との偏差が算出される。
dq(n+1)電流制御部63は、d軸電流指令値Irefd(n+1)とd軸モータ電流Idm(n+1)と偏差を算出する。また、q軸電流指令値Irefq(n+1)とq軸モータ電流Iqm(n+1)との偏差を算出する。これにより(n+1)次dq回転座標系上の重畳成分とq軸モータ電流Iqm(n+1)との偏差が算出される。
ステップS11において2相/3相変換部65は、これら操作量の和を3相の電圧に変換する。
ステップS12においてPWM制御部66及びインバータ67は、2相/3相変換部65から出力される3相の電圧に基づいてモータ20をPWM駆動する。
以下、実施形態のモータ制御装置の効果を説明する。
(1)図11の(a)〜図11の(f)を参照する。図11の(a)は、ある舵角変化の例におけるハンドル舵角の時間変化の概念図であり、図11の(b)〜(d)は、その時のモータ回転速度、操舵トルク、及び電流指令値の時間変化の概念図である。図11の(f)は、モータ20の電気角6次成分周波数の時間変化の概念図である。
なおここでは、図6の操舵トルク感応ゲインK2の算出マップを定義する定数T1及びT2は、1.0Nm及び2.0Nmであり、図7の電流指令値感応ゲインK3の算出マップを定義する定数I1及びI2は、20A及び40Aであり、図8のモータ速度感応ゲインK4の算出マップを定義する定数R1及びR2は、1000rpm及び2000rpmであり、図5の車速感応ゲインK1が「1」である場合を想定する。
また、図9の位相φの算出マップを定義する定数I3及びI4は、20A及び40Aである。
特にモータ回転速度が2000rpmを超えると、電気角6次成分周波数が、操舵機構の機械的な共振周波数(例えば数百kHz帯)に近くなるため、トルクリップルにより操舵機構の共振特性が励起される。
したがって、ハンドル舵角が大きくなり操舵トルクが1Nmから2Nmへ増加すると、図6に示すように操舵トルク感応ゲインK2は「0.4」から「1」へ増加する。
また、電流指令値が20Aから40Aへ増加すると、図7に示すように電流指令値感応ゲインK3は「0.0」から「1.0」へ増加する。
一方で、モータ回転速度が1000rpmから2000rpmまで上昇すると、図8に示すようにモータ速度感応ゲインK4は「0.0」から「1.0」へ増加する。
この結果、電気角6次成分周波数が操舵機構の機械的な共振周波数(例えば数百kHz帯)に近い300Hz以上となる期間では、図11の(b)〜(d)及び図11の(f)から分かるように、重畳成分Irefqnの振幅が最大値となり、図11の(e)の太線に示すように従来(細線)に比べてトルクリップルを大きく低減することができる。
dq電流制御部56は、基本波dq回転座標系上のモータ電流と電流指令値との偏差に応じて、モータ20に対する第1操作量として、基本波d軸電圧指令値Vdref1及び基本波q軸電圧指令値Vqref1を生成する。
dq(n+1)電流制御部63は、(n+1)次dq回転座標系上のモータ電流と重畳成分との偏差に応じて、モータ20に対する第2操作量として、(n+1)次d軸電圧指令値Vdref(n+1)及び(n+1)次q軸電圧指令値Vqref(n+1)を生成する。
PWM制御部66及びインバータ67は、静止座標系上の値に変換した第1操作量と第2操作量の和に基づいてモータ20を駆動する。
このため、dq(1−n)電流制御部59及びdq(n+1)電流制御部63は、モータの回転速度が高くなっても電流制御を追従させてこれら高調波成分によるトルクリップルを良好に低減することができる。
したがって、電動パワーステアリング装置のモータが高回転域で発生するトルクリップルを低減できる。
これにより、トルクリップルにより生じる騒音や振動が大きくなる又は運転者が騒音や振動を感じやすい条件において、重畳成分の振幅を大きくしてトルクリップルの低減効果を大きくすることができる。また、トルクリップルにより生じる騒音や振動が小さくなる又は運転者が騒音や振動を感じにくい条件では、重畳成分の振幅を小さくして電流消費を節約できる。
(4)可変ゲインとして、車速Velに応じて変化する車速感応ゲインK1を用いてよい。
例えば、低車速で大きくハンドルを切るシチュエーション(例えば、交差点の右左折や、車庫入れ、据え切りなど)では大きな操舵補助力が発生するのでトルクリップルが増大する。このような場合には、車速感応ゲインK1を増加させることにより大きなトルクリップルの発生を抑制できる。
また、例えば低車速では、モータトルクリップルにより発生する操舵機構の振動や操舵機構から生じる騒音を運転者が感じやすい。このような場合に、車速感応ゲインK1を増加させてトルクリップルの低減効果を大きくすることにより、これらの振動や騒音による運転者の不快感を軽減できる。
一方で、車速Velが高く操舵機構の振動や操舵機構から生じる騒音を運転者が感じにくいシチュエーションでは、車速感応ゲインK1を下げて電流指令値に重畳させる重畳成分を小さくすることにより電流消費を節約できる。
操舵トルクThが大きいほど大きな操舵補助力を発生し、それに伴いトルクリップルが大きくなる。また、操舵トルクThが大きいとき運転者はハンドル1を強く握っており操舵機構の振動を感じやすい。
操舵トルクThが大きいほど操舵トルク感応ゲインK2を大きくすることによって、操舵補助力の増加に伴うトルクリップルの増大を抑制でき、また、運転者が操舵機構の振動を感じやすい状況において、トルクリップルを抑制して操舵機構の振動を低減できる。
また、操舵トルクThが小さい場合にはトルクリップルが小さく、また運転者が操舵機構の振動を感じにくいため、操舵トルク感応ゲインK2を下げて電流指令値に重畳させる重畳成分を小さくすることにより電流消費を節約できる。
電流指令値Irefが大きいほどトルクリップルが大きくなる。電流指令値Irefが大きいほど電流指令値感応ゲインK3を大きくすることによって、操舵補助力の増加に伴うトルクリップルの増大を抑制できる。
また、電流指令値Irefが小さい場合にはトルクリップルが小さいため、電流指令値感応ゲインK3を下げて電流指令値に重畳させる重畳成分を小さくすることにより電流消費を節約できる。
操舵速度に応じてモータ回転速度Rが変化するとこれに伴ってトルクリップルの周波数が変化する。ここでトルクリップルが操舵機構の機械的な共振周波数を刺激し、操舵機構の共振特性を励起すると操舵機構の振動やこれにより生じる騒音が大きくなり、運転者に不快な振動や騒音として伝わることがある。
例えば、トルクリップルが操舵機構の共振特性を励起するモータ回転速度におけるモータ速度感応ゲインK4を、このモータ回転速度より低い回転速度に比べて大きくしてよい。また、トルクリップルが操舵機構の共振特性を励起するモータ回転速度において、モータ速度感応ゲインK4を最大値に設定してよい。
一方で、トルクリップルが操舵機構の共振特性を励起しないモータ回転速度では、モータ速度感応ゲインK4を下げて電流指令値に重畳させる重畳成分を小さくすることにより電流消費を節約できる。
(9)位相調整部555は、比較的小さな電流指令値に応じた重畳成分の位相φよりも、比較的大きな電流指令値に応じた重畳成分の位相φを進めてよい。これによりモータ電流の増大に伴い位相が進むトルクリップルを効果的に抑制できる。
(1)図12を参照する。モータ制御装置は、基本波/(1−n)次座標変換部58から出力されてdq(1−n)電流制御部59に入力される(1−n)次dq回転座標系上のd軸モータ電流Idm(1−n)、q軸モータ電流Iqm(1−n)をそれぞれ濾波するローパスフィルタ80d及び80qを更に備えてもよい。これらのローパスフィルタ80d及び80qにより、直流成分に変換された(1−n)次高調波成分以外のノイズがdq(1−n)電流制御部59の入力信号に混入するのを防止できる。
これらのローパスフィルタ81d及び81qにより、直流成分に変化された(n+1)次高調波成分以外のノイズがdq(n+1)電流制御部63の入力信号に混入するのを防止できる。
これに代えて、dq電流制御部56、dq(1−n)電流制御部59、及びdq(n+1)電流制御部63は、モータ20に対する操作量として、d軸電流の指令値及びq軸電流の指令値を算出してもよい。この場合、2相/3相変換部65は、これらd軸電流の指令値及びq軸電流の指令値を用いて3相電圧指令値を生成してもよい。
また、上記の実施形態では、基本波dq回転座標系、(1−n)次dq回転座標系、及び(n+1)次dq回転座標系についてそれぞれ算出した操作量を合計してから2相/3相変換したが、それぞれの操作量を2相/3相変換した後に合計してもよい。
これに代えて、3相電流Ium、Ivm、Iwmから直接(1−n)次dq回転座標系上のモータ電流と、(n+1)次dq回転座標系上のモータ電流へ変換してもよい。
Claims (10)
- 車両の操舵機構に操舵補助力を付与する電動パワーステアリング装置のモータ制御装置であって、
前記操舵補助力を発生させるモータに流れるモータ電流を検出する電流検出部と、
前記モータの電気角周波数で回転する基本波回転座標系上の値へ前記モータ電流を変換する第1電流変換部と、
前記電気角周波数の整数倍で回転する高調波回転座標系上の値へ前記モータ電流を変換する第2電流変換部と、
前記モータの電流指令値を前記基本波回転座標系上で設定する指令値設定部と、
前記モータ電流に重畳させる前記電気角周波数の前記整数倍の高調波の重畳成分を前記高調波回転座標系上で設定する重畳成分設定部と、
前記基本波回転座標系上の前記モータ電流と前記電流指令値との偏差に応じて前記モータに対する第1操作量を生成する第1電流制御部と、
前記高調波回転座標系上の前記モータ電流と前記重畳成分との偏差に応じて前記モータに対する第2操作量を生成する第2電流制御部と、
静止座標系上の値に変換した前記第1操作量と前記第2操作量の和に基づいて前記モータを駆動するモータ駆動部と、
を備えることを特徴とするモータ制御装置。 - 前記重畳成分設定部は、所定の基本重畳成分に可変ゲインを乗じて得られる振幅を有する前記重畳成分を生成するとともに前記可変ゲインを動的に変化させる重畳成分生成部を備えることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
- 前記可変ゲインは、前記モータの回転速度、前記電流指令値、前記操舵機構の操舵トルク、及び前記車両の車速の少なくとも1つに応じて変化する感応ゲインであることを特徴とする請求項2に記載のモータ制御装置。
- 前記可変ゲインは、前記モータの回転速度に応じて変化するモータ速度感応ゲインを含み、
前記モータ電流の高調波成分が生じるトルクによって前記操舵機構が共振する回転速度における前記モータ速度感応ゲインは、該回転速度より低い回転速度における前記モータ速度感応ゲインよりも大きいことを特徴とする請求項3に記載のモータ制御装置。 - 前記高調波成分が生じるトルクによって前記操舵機構が共振する回転速度において、前記モータ速度感応ゲインが最大値となることを特徴とする請求項4に記載のモータ制御装置。
- 前記可変ゲインは、前記車両の車速に応じて変化する車速感応ゲインを含み、
前記車速が低いほど前記車速感応ゲインが大きいことを特徴とする請求項3〜5の何れか一項に記載のモータ制御装置。 - 前記重畳成分設定部は、前記電流指令値に応じて前記重畳成分の位相を調整する位相調整部を備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のモータ制御装置。
- 前記位相調整部は、比較的小さな前記電流指令値に応じた前記重畳成分の位相よりも、比較的大きな前記電流指令値に応じた前記重畳成分の位相を進めることを特徴とする請求項7に記載のモータ制御装置。
- 前記第2電流変換部から出力されて前記第2電流制御部に入力される前記高調波回転座標系上の前記モータ電流を濾波するローパスフィルタを更に備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
- 請求項1〜9の何れか一項に記載のモータ制御装置と、モータと、を備え、
前記モータ制御装置により前記モータを駆動制御することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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