JP2019086796A - 反射スクリーン、映像表示システム - Google Patents
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Abstract
Description
短焦点型の映像投射装置は、反射スクリーンに対して、上方又は下方から従来の映像源よりも大きな投射角度で映像光を投射することができ、映像投射装置と反射スクリーンとの奥行き方向の距離を短くすることができるので、反射スクリーンを用いた映像表示システムの省スペース化等に寄与できる。
このような映像投射装置に用いられる反射スクリーンは、映像光を観察者側により多く反射させるために反射層が設けられているものがある(例えば、特許文献1)。
このような反射スクリーンは、上述したように反射層が白色樹脂によって形成されているため、反射する映像光の輝度(スクリーンのゲイン)が低く、また、コントラストも低くなってしまう場合があった。
また、このような反射スクリーンを製造する場合、白色樹脂を回転ローラによって、光吸収層の単位形状に塗布することとなるが、その場合、回転ローラに付着した白色樹脂を単位形状の傾斜面に適正に塗布するために、回転ローラを単位形状の傾斜面に密着し易くする必要がある。そのために、光吸収層は、その硬度を低く(柔く)し、変形し易い材料によって形成されることとなる。このような光吸収層に反射層が形成された場合、小さな外力や、軽い接触等によって、単位形状や、その傾斜面に形成された反射層が傷付いてしまったり、反射層が傾斜面から剥離したりしてしまう場合があった。
第1の発明は、映像源(LS)から投射された映像光を反射して画面に表示する反射スクリーン(20)であって、第1傾斜面(232)及び第2傾斜面(233)を備え、映像源(LS)側に凸となる単位凸形状(231)が複数配列され、光を吸収する光吸収層(23)と、前記第1傾斜面(232)の頂部側から谷底となる部位の手前までの間に形成され、光を反射する反射層(22)と、前記光吸収層(23)及び前記反射層(22)の映像源(LS)側の面に屈折率が1.490〜1.549である低屈折率の材料により前記光吸収層(23)及び前記反射層(22)の映像源(LS)側の面を沿うようにして略一定の厚みで形成され、前記光吸収層(23)及び前記反射層(22)を保護する保護層(21)と、を備える反射スクリーン(20)である。
第2の発明は、第1の発明に記載の反射スクリーン(20)において、前記反射層(22)は、複数の鱗片状の金属薄膜(22a)が含有された樹脂により形成されていること、を特徴とする反射スクリーン(20)である。
第3の発明は、第2の発明に記載の反射スクリーン(20)において、前記反射層(22)は、前記第1傾斜面(232)に対して前記金属薄膜(22a)が8層以上積層されていること、を特徴とする反射スクリーン(20)である。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれか1項に記載の反射スクリーン(20)と、前記反射スクリーン(20)に映像光を投射する映像源(LS)と、を備える映像表示システム(1)である。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、板、シート等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
さらに、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、シート面(板面,フィルム面)とは、各シート(板,フィルム)において、そのシート(板,フィルム)全体として見たときにおける、シート(板,フィルム)の平面方向となる面を示すものであるとする。
図1は、本実施形態の映像表示システム1を説明する図である。図1(a)は、映像表示システム1の斜視図であり、図1(b)は、映像表示システム1の側面図である。
映像表示システム1は、反射スクリーン20を備える反射スクリーンユニット10と、映像源LS等とを有している。本実施形態の映像表示システム1は、映像源LSから投影された映像光Lを反射スクリーン20が反射して、その画面上に映像を表示する。
この映像表示システム1は、例えば、映像光Lを映像源LSから投射するフロントプロジェクションテレビシステム等として用いることが可能である。
なお、スクリーン面とは、この反射スクリーン20全体として見たときにおける、反射スクリーン20の平面方向となる面を示すものである。
この映像源LSは、反射スクリーン20の画面に直交する方向(反射スクリーン20の厚み方向)における反射スクリーン20との距離が、従来の汎用プロジェクタに比べて大幅に近い位置から映像光Lを投射できる。即ち、映像源LSは、従来の汎用プロジェクタに比べて、反射スクリーン20までの投射距離が短く、映像光Lの反射スクリーン20のスクリーン面に対する入射角度も大きい。
以下の説明中において、画面上下方向、画面左右方向、厚み方向とは、特に断りが無い場合、この反射スクリーン20の使用状態における画面上下方向(鉛直方向)、画面左右方向(水平方向)、厚み方向(奥行き方向)であるとする。
この反射スクリーン20は、例えば、対角100インチや、120インチ等の大きな画面(表示領域)を有している。
図2では、反射スクリーン20の観察画面(表示領域)の幾何学的中心(画面中央)となる点A(図1(a),(b)参照)を通り、画面上下方向に平行であって、スクリーン面に垂直(厚み方向に平行)な断面の一部を拡大して示している。
反射スクリーンユニット10は、図1に示すように、反射スクリーン20と、その背面側に配置される平板状の支持板30と、接合層40とを有している。反射スクリーン20と支持板30とは、接合層40を介して一体に接合されている。
支持板30の厚みは0.2〜5.0mmが好適であり、より好ましくは1.0〜3.0mmである。厚みが0.2mmよりも薄いと、平面性を支持できるだけの剛性の付与が不十分であり、5.0mmよりも厚くなると、支持板30の重量が重くなるという問題がある。
反射スクリーン20は、薄く、それ単独では平面性を維持するだけの十分な剛性を有していない場合が多い。そのため、反射スクリーン20は、支持板30に一体に接合される形態とすることにより、その画面の平面性を維持している。
基材層24は、反射スクリーン20の基礎となるシート状の部材であり、その映像源側に光吸収層23が一体に形成されている。
基材層24は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂や、PC(ポリカーボネート)樹脂、MS(メチルメタクリレート・スチレン)樹脂、MBS(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン)樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)樹脂、PEN(ポリエチレンナフタレート)樹脂、アクリル系樹脂等が好適に用いられる。
基材層24の厚さは、反射スクリーン20の画面サイズ等にも依るが、約20〜300μmとすることが好ましい。
図3(a)は、光吸収層23を映像源側正面方向から観察した様子を示しており、理解を容易にするために、反射層22及び保護層21は省略して示している。図3(b)は、図2に示す断面の一部をさらに拡大して示している。図3(c)は、反射層が形成された光吸収層の拡大斜視図を示している。なお、図3(b)及び図3(c)は、理解を容易にするために、光吸収層23の背面側に位置する基材層24は省略して示している。
単位凸形状231は、映像源側に凸であり、第1傾斜面232と、この第1傾斜面232と対向する第2傾斜面233とを備えている。
本実施形態では、反射スクリーン20の使用状態において、単位凸形状231は、第1傾斜面232が頂部tを挟んで第2傾斜面233よりも鉛直方向下側に位置している。
光吸収層23は、この第1傾斜面232の少なくとも一部に反射層22が形成され、映像源LSから出射した映像光を、反射層22を介して観察者側に反射させるとともに、第2傾斜面や第1傾斜面のうち反射層が形成されていない部位によって、照明光等の不要な外光を吸収する。
理解を容易にするために、図2等では、単位凸形状231の配列ピッチP、角度α,βは、単位凸形状231の配列方向において一定であるように示している。しかし、本実施形態の単位凸形状231は、実際には、配列ピッチP等が一定であるが、角度αが単位凸形状231の配列方向においてフレネルセンターとなる点Cから離れるにつれて次第に大きくなっている。また、それに伴い高さhも変動している。本実施形態の単位凸形状231は、その配列ピッチPが50〜200μmの範囲で形成され、高さhが0.5〜60μmの範囲で形成され、第1傾斜面232の角度αが0.5〜50°の範囲で形成され、第2傾斜面233の角度βが45〜90°の範囲で形成されている。
なお、これに限らず、配列ピッチPは、単位凸形状231の配列方向に沿って次第に変化する形態等としてもよく、映像光Lを投影する映像源LSの画素(ピクセル)の大きさや、映像源LSの投射角度(反射スクリーン20のスクリーン面への映像光の入射角度)、反射スクリーン20の画面サイズ、各層の屈折率等に応じて、適宜変更可能である。
また、光吸収層23は、単位凸形状231の形状に応じて、プレス成形法等により形成してもよい。このような光吸収層23の場合には、不図示の接合層等を介して、基材層24の映像源側に積層する形態としてもよい。また、押出成形法が可能な場合には、光吸収層23と基材層24とを一体に積層した状態で成形してもよい。
本実施形態の反射層22は、図2や図3(b)に示すように、第1傾斜面232の一部、すなわち、第1傾斜面232の頂部t側から谷底となる部位vの手前までの間に形成されている。反射層22は、単位凸形状231の配列方向における第1傾斜面232の幅の20%以上の幅で頂部t側から形成されるのが望ましい。これにより、反射スクリーン20の下方側から投射される映像光を、観察者側に適正に反射させることができる。なお、反射層22は、第1傾斜面232の全面に形成されるようにしてもよい。
また、反射層22は、入射した映像光を効率よく反射させるために、正反射率Rtが50%<Rt<70%であり、拡散反射率Rdが10%<Rd<50%であることが望ましい。
この金属薄膜22aは、鱗片状に形成されたアルミニウムであり、その厚み寸法は、15〜150nmの範囲に、より好ましくは20〜80nmに形成されている。また、金属薄膜22aは、厚み方向に直交する縦方向及び横方向における寸法(以下、縦寸法、横寸法という)の平均値が、1〜3μmに形成されている。
金属薄膜22aは、反射層としての光反射機能の確保の観点から、塗料全体の重量に対して重量比で3〜15%の範囲内で含有されるのが望ましい。
乾燥補助剤は、レンズ層に塗布された塗料の乾燥時間を所定の時間に調整する溶剤であり、いわゆる遅乾溶剤である。本実施形態では、光吸収層23の背面側に塗布された塗料の乾燥までの時間をおよそ1時間となるように、所定の量が塗料に含まれている。乾燥補助剤は、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジイソブチルケトン、3−メトキシ−1−ブチルアセテートの混合溶剤を使用することができる。
制御剤は、塗料に含有される金属薄膜22aの配向を制御する溶剤である。制御剤は、塗料に含まれることによって、金属薄膜22aを第1傾斜面232に対して略平行に配置させることができる。制御剤は、例えば、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、アクリルオリゴマー、シリコーン等を使用することができる。
保護層21は、光吸収層23及び反射層22を保護するためにハードコート機能を有している。また、保護層21は、映像源LSから入射した光を、反射層22を介して観察者側に適正に反射させるために、低屈折率の材料により形成されている。本実施形態では、保護層21には、ハードコート機能及び低屈折率の特性を有するエポキシアクリレート系樹脂を塗布等することによって形成されている。ここで、保護層の屈折率が低屈折率であるとは、保護層の屈折率が1.490〜1.549であることをいい、これにより、映像源LSから投射された映像光を適正に観察者側に反射させることができる。
そのため、本実施形態の反射スクリーン20では、保護層21をこの光吸収層23及び反射層22の映像源側に設け、反射スクリーン20の映像源側の面の耐擦傷性を向上させ、上述の問題が生じてしまうのを抑制している。
ここで、保護層21は、耐擦傷性をより効果的に向上させる観点から、その厚みや、使用材料を適宜決定して、反射スクリーン20の映像源側の面の硬度が鉛筆硬度試験で「H」以上になるように形成されるのが望ましい。
また、上述の防眩機能や紫外線吸収機能、防汚機能や帯電防止機能等を有する層を、保護層21と、光吸収層23及び反射層22との間に、さらに別な層として設けてもよい。
図2に示すように、映像源LSから投影された大部分の映像光L1は、反射スクリーン20の下方から入射し、保護層21を透過して光吸収層23の単位凸形状231へ入射する。
なお、映像光L1が反射スクリーン20の下方から投射され、かつ、角度β(図3(b)参照)が反射スクリーン20の画面上下方向の各点における映像光L1の入射角度よりも大きいので、映像光L1が第2傾斜面233に直接入射することはなく、第2傾斜面233は、映像光L1の反射には影響しない。
そして、一部の外光G1は、第1傾斜面232上の反射層22で反射して、主として反射スクリーン20の下方側へ向かうので、観察者O側には直接届かず、また、届いた場合にもその光量は、映像光L1に比べて大幅に少ない。また、一部の外光G2は、光吸収層23の第2傾斜面233へ入射して吸収される。さらに、一部の外光G3は、光吸収層23の第1傾斜面232の反射層22が形成されていない部位へ入射して吸収される。従って、反射スクリーン20では、外光G1、G2、G3による映像のコントラスト低下を抑制することができる。
以上のことから、本実施形態の反射スクリーン20は、明室環境下であっても、コントラストが高く明るく良好な映像を表示できる。
図4は、本実施形態の反射スクリーン20の製造方法の一例を説明する図である。
図4(a)に示すように、所定の大きさに裁断された基材層24を準備する。
次に、図4(b)に示すように、基材層24の映像源側となる面上に、紫外線成形法等により、光吸収層23を形成する。
光吸収層23は、基材層24の映像源側の面を、着色剤を含有した熱可塑性樹脂が充填されたサーキュラーフレネルレンズ形状の成形型に押圧し、硬化させた後に成形型から離型する等によって形成される。なお、光吸収層23の形成方法は、適宜選択してよく、この限りではない。
最後に、図4(d)に示すように、光吸収層23及び反射層22の映像源側に、エポキシアクリレート系樹脂を塗布して硬化させ、保護層21を形成し、反射スクリーン20が完成する。
(1)反射スクリーン20は、第1傾斜面232の少なくとも一部に反射層22が形成され、光吸収層23及び反射層22の映像源側の面に低屈折率の材料により形成される保護層21が形成されている。これにより、反射スクリーン20は、光吸収層23や反射層22が傷付いてしまったり、反射層22が第1傾斜面232から剥離してしまったりするのを抑制することができる。特に、光吸収層23の硬度が低いために、傷つきや剥離が生じ易い場合において有効である。
また、反射層22を、ロールコータ方式だけでなく、スプレー塗布によっても形成することができるので、反射スクリーン20の製造効率を向上させることができる。
なお、スプレー塗布により反射層22を形成する場合、回転ローラを第1傾斜面232に密着させる必要が無いため、光吸収層23は、上述の弾性を有する熱可塑性エラストラマー等を使用して硬度を低くして形成される必要がない。そのため、光吸収層23は、ウレタンアクリレートやエポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂等によって形成されるようにしてもよい。このような場合においても、保護層によって光吸収層や反射層の傷付き等を抑制することができる。
図5は、変形形態の反射スクリーン20の層構成を示す図であり、図2に対応する図である。
この場合、保護層21は、上述の実施形態よりも層の厚みが厚くなるので、ハードコート機能に加え、防眩機能を設けることが望ましい。なお、この防眩機能は、例えば、微細な凹凸形状(マット形状)をその樹脂膜表面に転写する等して硬化させ、表面に微細凹凸形状が賦形されて形成されることによって実現することができる。
また、保護層21が低屈折率の材料により形成されているので、映像源から投射された映像光を、反射層22を介して適正に観察者側に反射させることができる。
ここで、暗色系材料としては、暗色系の顔料や染料を用いることができ、例えば、カーボンブラック(カーボン粒子)や、繊維状のカーボン、鱗片状のカーボン等を使用することができる。また、暗色系材料は、上述の光反射機能及び光吸収機能を両立させる観点から、塗料全体の重量に対して重量比で10〜30%の範囲内で含有されるのが望ましい。仮に、重量比が10%未満であると、反射層22全体に対して暗色系材料の量が少なくなりすぎてしまい、上述の光の吸収効果を十分に奏することができない。また、重量比が30%より大きいと、反射層22の母材(バインダー)に対する暗色系材料の量が多くなりすぎてしまい、反射層22の光反射機能が低下してしまうため、好ましくない。
(4)本実施形態の反射スクリーン20は、画面の平面性を維持するために、ガラス製や樹脂製であり、剛性の高い透明基板層を備える形態としてもよい。
また、本実施形態では、単位凸形状231の第1傾斜面232及び第2傾斜面233は、いずれも1つの面からなる例を示したが、これに限らず、例えば、少なくとも一方の面が、複数の面から構成される形態としてもよい。
10 反射スクリーンユニット
20 反射スクリーン
21 保護層
22 反射層
22a 金属薄膜
23 光吸収層
231 単位凸形状
232 第1傾斜面
233 第2傾斜面
24 基材層
30 支持板
40 接合層
LS 映像源
Claims (4)
- 映像源から投射された映像光を反射して画面に表示する反射スクリーンであって、
第1傾斜面及び第2傾斜面を備え、映像源側に凸となる単位凸形状が複数配列され、光を吸収する光吸収層と、
前記第1傾斜面の頂部側から谷底となる部位の手前までの間に形成され、光を反射する反射層と、
前記光吸収層及び前記反射層の映像源側の面に屈折率が1.490〜1.549である低屈折率の材料により前記光吸収層及び前記反射層の映像源側の面を沿うようにして略一定の厚みで形成され、前記光吸収層及び前記反射層を保護する保護層と、
を備える反射スクリーン。 - 請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、
前記反射層は、複数の鱗片状の金属薄膜が含有された樹脂により形成されていること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項2に記載の反射スクリーンにおいて、
前記反射層は、前記第1傾斜面に対して前記金属薄膜が8層以上積層されていること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の反射スクリーンと、
前記反射スクリーンに映像光を投射する映像源と、
を備える映像表示システム。
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