JP2004325694A - 背面反射鏡およびそれを用いた背面投写型映像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材をガラスとし反射膜を銀鏡反応を用いて形成し、無色透明な樹脂にてトップコートする。この時、反射率特性のリップルの山の波長と緑色の輝線の波長を略一致させるように構成する。この構成により、コントラスト性能、解像度性能がよい背面投写型映像表示装置が出来る。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、映像信号に応じた光学像を投影する投影装置でスクリーン上に背面側から投写する背面投写型映像表示装置に用いられる投写映像光をスクリーン方向に光路変更を行う反射鏡である背面ミラーの構成に係わり、特に反射面を金属薄膜で形成し、その金属薄膜の表面保護に無色透明の樹脂をトップコートした背面ミラーに関する。
【0002】
【従来の技術】
スクリーン上に背面側から投写する背面投写型映像表示装置に用いられる投写映像光をスクリーン方向に光路変更を行う反射鏡(以下、この反射鏡を背面ミラーと称する)には、下記特許文献1に開示されているガラスミラーがある。すなわち、ガラス基材の上に真空成膜プロセスである真空蒸着や真空スパッタ等でアルミニウム(Al)の反射膜を形成し、その上に透明無機材料で膜厚0.2〜0.3μmの増反射膜が真空蒸着で形成する。このガラスミラーは平滑性、耐環境信頼性等に優れている。
【0003】
しかし、背面投写型映像表示装置に用いられる背面ミラーはサイズが大きく、反射膜の成膜を行う成膜装置(例えばスパッタ装置)は高額で、製造できるメーカが限定され、また、真空蒸着や真空スパッタ等での成膜は作業効率が低いので背面ミラーの価格も高価である。
【0004】
一方、近年、製造コストの安い例えば反射層を形成したフィルムを、金属枠など張架した背面ミラーが用いられているようになってきた。このフィルム状の背面ミラーは、例えば下記特許文献2の図2に記載のものがある。これは、樹脂製のフィルム(PET)に金属薄膜(Ag)を蒸着し、その表面に無色透明の樹脂をトップコートしたものである。ガラス基材の場合と同様に、蒸着を用いてフィルムにAg反射膜を成膜するが、ロール状のフィルムを用いて巻き取りながら成膜装置で成膜するので、低コストでできる利点がある。
【0005】
反射膜の成膜方法としては、上記した真空成膜法(真空蒸着法,真空スパッタ法)以外に、金属塩含有溶液と還元剤含有溶液とを被メッキ物に対してスプレーしメッキを施す、例えば下記特許文献3で開示されているスプレー法がある。この方法を用いれば、高価な真空成膜装置(設備)を必要としないので、コスト的に安くできる利点がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−235798号公報
【特許文献2】
特開平9−311207号公報
【特許文献3】
特開2001−295059号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、真空成膜法による反射膜形成はコスト的に高くなる。そこで反射膜の成膜法として上記したスプレー法や無電解メッキ法を用いれば安価に成膜できるが、反射膜の上に設ける保護膜であるトップコートとして、透明無機材料を真空蒸着で形成してはコスト的に高くなる。そこで上記特許文献2で開示されている透明樹脂で塗膜することを思いついた。
【0008】
しかし、上記特許文献2で開示されている背面ミラーにおいては、PETフィルムに成膜した反射膜であるAg膜の酸化および硫化を防止する為にトップコートの膜厚を3μmとしている。
【0009】
一般に、トップコートは樹脂を溶媒に希釈させたものを塗布し、溶媒を蒸発させて硬化させる。例えば、樹脂を10%、溶媒を90%の希釈液(これを10%希釈液という)の場合は、約30μm塗布した後、溶媒を蒸発させて硬化させると最終的にトップコートの膜厚は約3μmとなる。ここで、溶媒に希釈されている樹脂が均一に混ざり合わずに、場所により蒸発速度にむらがあると、硬化後のトップコートの膜厚は場所によりバラツキ(面内バラツキという)ができてしまう。膜厚の面内バラツキが例えば10%発生するとすると、面内バラツキは0.3μmとなる。
【0010】
したがって、一般のガラスミラーの表面鏡と比較すると、樹脂をトップコートしたミラーは面内バラツキが大きく表面の平滑性が悪いため、コントラスト性能や解像度性能が劣化する問題がある。
【0011】
これを解決するには、トップコートの膜厚を薄くして面内バラツキを小さくすれば良い。例えば、面内バラツキが10%発生するとすると、トップコートの膜厚が1μmの場合、面内バラツキは0.1μmとなり、膜厚が3μmの場合に対して1/3に面内バラツキを小さくすることが出来る。したがって、膜厚と面内バラツキは比例しており、膜厚を小さくすると面内バラツキも小さくなり、表面の平滑性が向上する。
【0012】
しかし、トップコートの膜厚を薄くした場合、反射膜(Ag)の酸化および硫化等の耐環境信頼性の低下が考えられる。
【0013】
また、トップコートの膜厚が例えば3μm以下の薄い場合、トップコートによる干渉が生じる。図2はトップコートに樹脂を用いた場合の背面ミラーの反射率特性を示す。図2において、点線で示される反射率特性30はトップコートがない場合の特性、実線で示される反射率特性39はトップコートがある場合の特性である。トップコートによる干渉により、図2の反射率特性39のように、反射率特性に波打ったような形状(以下、リップルと称する)が出てしまう。したがって、スクリーンに投写される投影像の映像光で、このリップルの谷(a)の波長領域の光量が低くなってしまうため、色ずれや明るさ性能の劣化が起こってしまう。
【0014】
本発明は上記した課題を鑑みて成されたものであり、その目的は、色ずれや明るさ性能の劣化を抑え、低価格化が可能な背面ミラーを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決する為に、本発明では、 映像信号に応じた光学像をそれぞれ投影する投影装置でスクリーン上に背面側から投写する背面投写型映像表示装置に用いられ、該投影装置からの投写映像光を該スクリーン方向に光路変更を行う背面反射鏡であって、該背面反射鏡は、ガラス基材と、該ガラス基材上に反射面を形成する銀または銀合金の反射膜と、該反射膜上に透明な樹脂で形成されるトップコート膜とからなる構成とする。
【0016】
このように、背面ミラーのトップコートとして透明な樹脂膜を塗布して形成することができ、コストダウンが可能となる。さらに、反射膜の材料を銀または銀合金とすることにより、スプレー法や無電解メッキ法で反射膜を形成できるので、更なるコストダウンが可能となる。
【0017】
また、トップコート膜の膜厚を1μm以下として、表面の平滑性を向上させることにより、コントラスト性能、解像度性能を向上させる。
【0018】
また、トップコート膜に因る反射率特性のリップル形状の何れかの山の波長と、前記光学ユニットの前記光源より照射される光の緑色輝線の波長とが略一致する ように、トップコートの膜厚を設定することにより、色ずれや明るさ劣化を抑えることが出来る。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0020】
本発明は、背面投写型映像表示装置に用いられる背面ミラーが、基材の上に設けた反射膜の上に保護膜として無色透明な樹脂の単層のトップコートを形成した反射鏡であることに特徴があり、加えて、該トップコートの膜厚を一般のガラスミラーと略同等のコントラスト性能,解像度性能が得られる1μm以下の薄膜とし、かつ、薄膜化による干渉で生じるリップルの山の波長が投影装置から投写される投写映像光もしくは投影装置に内蔵される光源の緑色輝線波長と略等しくなるような膜厚とすることに特徴がある。
【0021】
図1は本発明の実施の形態である背面ミラーの構成を示す断面図、図2はその背面ミラーの反射率特性を示す図である。
【0022】
まず背面ミラーの構成について説明する。図1において、1は基材、2は反射膜、3は反射膜2の表面を覆い、該反射膜2の腐食(酸化)、汚れ、傷などを防止するための保護膜としてのトップコートである。基材1はここではガラスを用いるが、基材としては表面の面精度が良ければ良く、ガラスに限定されるものではない。反射膜2は、反射率の良い銀の薄膜であり、約100〜200nmの膜厚で形成される。銀の反射率は60nm以上であれば可視光の範囲で高い反射率を得ることができる。これは例えば上記特許文献3で開示されているスプレー法を利用して銀鏡反応により安価に作成することが出来る。銀の反射膜は無電解メッキ法で形成してもよい。スプレー法や無電解メッキ法は真空成膜プロセスと異なり、高額な設備を必要としないので、安価に製造できる利点がある。また、保護膜としてのトップコート3は、無色透明な樹脂からなる。トップコート材としてはアクリル樹脂などが挙げられ、塗布が容易であることから屈折率約1.5の2液性アクリルウレタン樹脂が好適に使用される。
【0023】
背面ミラーにおいて、トップコート3は樹脂のみの単層であるため膜厚によっては干渉が発生する。トップコート3による干渉は、図2の実線の反射率特性39に示すように、反射率特性にリップルを生じる。また上記リップルはトップコートの膜厚と屈折率に依存しており、リップルの形状(反射率特性)はシミュレーションにより求めることが出来る。
【0024】
このシミュレーション用のソフトウェアとしては例えば、Optical Thin Film Software 「FILM*STAR」(米国FTG Software Associates社)が有る。
【0025】
リップルは膜厚が大きくなるとリップルの周期が小さくなり、それに合わせて振幅も小さくなっていき、ある膜厚以上になるとリップルの振幅が測定限界以下となり目立たなくなる。屈折率1.5のアクリルウレタン樹脂の場合は膜厚3μm以上とするとリップルが目立たなくなるのが実験により分かっている。
【0026】
しかし、トップコートが樹脂の場合、トップコートの膜厚は表面の面精度に比例しており、膜厚が厚いと、面精度も悪くなり、コントラスト性能、解像度性能が低下してしまう。
【0027】
コントラスト性能、解像度性能を一般のガラスミラーと同等にする為には、トップコートの面精度を上げる必要があり、ガラスミラーと比較検討を行った結果、膜厚を1μm以下にするとガラスミラーと同等のコントラスト性能、解像度性能が得られることが分かった。
【0028】
図14はトップコート膜厚とコントラスト値の関係を示したものである。図14において、コントラスト値はガラスミラーを0とし、ガラスミラーに対するコントラストの差を示している。
【0029】
図14に示すように、トップコートの膜厚とコントラスト値の低下は比例しているのがわかる。コントラスト値の異なる2台の背面投写型映像装置を並べて比較した場合、コントラスト値が2以下の差は目視にて判断できないことがわかった。そこで、コントラスト値−2を目標仕様とした。したがって、ガラスミラー並みのコントラストを得るためには、トップコートの膜厚は1μm以下としなければならない。
【0030】
しかし、膜厚を1μm以下とした場合、図2の実線に示すように反射率特性に大きなリップルが存在してしまう。このリップルの谷(a)の部分の波長領域は、トップコートなし(点線)に対して反射率が低いため、その部分で明るさ性能の劣化になる。すなわち、反射率の理想はトップコートなしの点線の特性の反射鏡であり、最も明るさ性能がよい。
【0031】
次に、本発明の特徴である、トップコートの薄膜化に伴うリップルの山の波長と投影装置から投写される投写映像光の緑色輝線波長との関係について記述する。
【0032】
図3,図4は上記背面ミラーを背面投写型映像表示装置に搭載した一実施形態である。図3は投影装置として投写管を用いた背面投写型映像表示装置を側面から見た構成断面図、図4は正面から見た構成図である。図3および図4において、21は赤色映像投写用の投写管、22は緑色映像投写用の投写管、23は青色映像投写用の投写管、12は上記図1に示した銀で反射面が形成された背面ミラー、14はケースである。背面投写型映像表示装置では、各投写管21、22、23からの投写映像光を背面ミラー12に投写し、該背面ミラー12で該投写映像光を反射させて、スクリーン13方向に光路変更させ、スクリーン13に背面側から投影像を映し出す。
【0033】
上記背面投写型映像表示装置に用いられる3色の投写管21,22,23の照射光について説明する。図5は赤色用映像投写管、図6は緑色用映像投写管、図7は青色用映像投写管の出射光の波長特性である。これらは、最大値を100%とした相対エネルギーで示してある。図5に示すように赤色用映像投写管21から照射される光は、610nmにピークがあり、そのピーク近傍のエネルギーがほとんどを占めている(これを輝線という)。また緑色用映像投写管22から照射される光は、図6のように543nmに輝線がある。それに対し青色用映像投写管23から照射される光は図7のように450nmをピークとしたなだらかな山となっている。
【0034】
また、人間はエネルギー一定の光を見ても波長により明るさの感じ方が違う。これを視感度といい、図8に示すような比視感度曲線が国際照明委員会(CIE)により定められている。これを見ても分かるように、人間の目は550nm近傍(緑色)の光エネルギーに最も感度が良い。すなわち、543nm近傍の緑色の光の明るさについては敏感である。それに対し500nm以下(青色)の光エネルギーに対しては感度が良くなく、青色に関しては多少明るさが低下してもほとんど感じることはない。610nm近傍(赤色)に関しては0.5〜0.6と緑色よりは少し感度は落ちる。
【0035】
したがって、図2の反射率特性において、緑色の543nmの輝線をリップルの山(b)に一致させれば明るさの低下を最小にすることが出来る。
【0036】
図9は、各投写管の出射光の波長特性に、トップコートに屈折率1.5のアクリルウレタン樹脂を用い、トップコートの膜厚を可変させた場合の反射率特性を重ね合わせたものである。図9において、31は膜厚が0.417μmの時の反射率特性、32は膜厚が0.397μmの時の反射率特性、33は膜厚が0.437μmの時の反射率特性である。反射率特性31の場合、トップコートによる明るさの低下量は0.7%である。また、面内バラツキが10%発生するとした場合は面内バラツキは0.042μmであり、トップコートの膜厚が3μmである場合と比べて面内バラツキを1/7まで小さく出来る。
【0037】
ここで、トップコート樹脂の希釈率、塗布圧力、塗布時間などを制御することにより、膜厚のバラツキは±0.02μm以下にすることが出来きる。膜厚が0.02μmばらついた場合、図9の反射率特性32,33から明らかなように、この時の明るさの最大低下量は1%である。したがって、リップルの山の波長と緑色用映像投写管22の輝線543nmを一致させる膜厚を選択することで、トップコートによる明るさ性能の低下を1%以内に抑えることが出来る。
【0038】
上記した実施の形態においては、屈折率が1.5の樹脂の場合を示したが、トップコート樹脂の屈折率をnとした場合、膜厚が数1
0.626/n±0.02[μm]…(数1)
となるようにすれば、リップルの山の波長と緑色用映像投写管22の輝線543nmを略一致させることが出来る。数1は前記した米国FTG Software Associates社のOptical Thin Film Software 「FILM*STAR」のシミュレーション用ソフトウェアを用いて導出した。
【0039】
また、上記実施の形態においては、リップルの山の波長と緑色用映像投写管22の輝線543nmを一致させているが、赤色の絶対量が緑色に比べて低い為,ホワイトバランスを考慮した場合、赤色用映像投写管23の輝線610nmと一致させても良い。
【0040】
さらに、各色用投写管21,22,23の配置はこれにより決定されるものではなく、図4の左から赤色用映像投写管23、緑色用映像投写管22、青色用映像投写管21と配置しても良い。
【0041】
次に、本発明による背面ミラーを背面投写型映像表示装置に適用した別の一実施の形態について説明する。図10は光源(図示せず)からの光を液晶パネルや微小ミラーであるDMDなどの表示素子(図示せず)で光強度変調して映像信号(図示せず)に応じた光学像を形成し、その光学像を投写手段(図示せず)拡大して投写する投影装置である光学ユニットを用いた背面投写型表示装置の構成断面図、図11はその正面図である。なお、図10,図11において、図3,図4に共通な部分には同一符号を付して、その説明を省略する。
【0042】
図10,図11において、12’は本発明による反射鏡である背面ミラーである。背面ミラー12’としては、上記図1に示すような銀の膜で反射面が形成されたものを用いる。本実施形態では、図3、図4で述べた背面投射型映像表示装置における映像光を出射する投写管21、22、23に替えて光学ユニット11を使用したものであり、その他のものは投写管を用いた背面投写型映像表示装置と変らない。
【0043】
上記光学ユニット11の光源(図示せず)には高圧水銀ランプが一般的に用いられる。この高圧水銀ランプの光エネルギー分布を図12に示す。図12に示すように緑色の帯域の輝線が549nmにある。したがって、リップルの山の波長がこの輝線と一致するようにトップコートの膜厚を設定すれば良い。
【0044】
図13は、光学ユニットの光源(図示せず)の波長特性に、トップコートに屈折率1.5のアクリルウレタン樹脂を用い、トップコートの膜厚を可変させた場合の反射率特性を重ね合わせたものである。図13において、34は膜厚が0.423μmの時の反射率特性、35は膜厚が0.403μmの時の反射率特性、36は膜厚が0.443μmの時の反射率特性である。前述の実施の形態と同様に膜厚が±0.02μmばらついた場合、この最大ばらついた場合の明るさ低下は0.8%である。
【0045】
上記した実施の形態においては、屈折率が1.5のアクリルウレタン樹脂の場合を示したが、トップコート樹脂の屈折率をnとした場合、膜厚が数2
0.635/n±0.02[μm]…(数2)
となるようにすれば、リップルの山と光源の緑色の輝線549nmを略一致させることが出来る。数2は前記した米国FTG Software Associates社のOptical Thin Film Software 「FILM*STAR」のシミュレーション用ソフトウェアを用いて数1と同様に導出した。
【0046】
また、上記実施の形態において、黄色の成分(577nm近傍の山)を緑色に含めると黄緑色となり色純度が落ちてしまう。また、赤色に含めるとオレンジ色となり色純度が落ちてしまう。従って、黄色成分は色純度を確保する為には不必要な成分であるため、リップルの谷の波長を577nmと略一致させる方法もある。
【0047】
次に耐環境信頼性について説明する。トップコートの膜厚を小さくすると、硫化や酸化による反射膜の劣化が懸念される。そこで、トップコートをアクリルウレタン樹脂とし、上記実施形態の場合よりトップコート膜厚が0.2μmと小さなサンプルを作成し、耐環境信頼性試験として、下記文献に記載のミックスガス試験を行った。試験条件は、H2Sガス:1500ppb、NO2ガス:3000ppb、温度:30度、相対湿度:70%RH、時間:96時間(4日間)である。これは加速試験であり、この条件は、「アジア環境に対応した混合ガス腐食試験方法の開発」第7回電子デバイスの信頼性シンポジウム1997年11月P83〜P88によればアジア地域で5年(欧米の20年)に相当する。トップコートの膜厚が0.2μmの試験片にて、反射膜の消失、反射率の低下は見られなかった。
【0048】
以上述べたように、本発明によれば、背面ミラーの保護膜として、単層でかつ膜厚を1μm以下とした透明樹脂のトップコートを用いることにより、コントラスト性能、解像度性能を、一般に使用されている反射膜の上に保護膜として真空蒸着で膜厚0.2〜0.3μmの金属多層膜を構成したガラスミラーの表面鏡と同等としながら、耐環境信頼性で問題がなく、かつ色ずれや明るさ性能の劣化を抑えた、コストダウンが可能な反射鏡を提供できる。
【0049】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、高画質化と低価格化の両立が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である背面ミラーの構成図である。
【図2】トップコートに樹脂を用いた場合の背面ミラーの反射率特性図である。
【図3】投写管を用いた背面投射型映像表示装置の構成を示す断面図である。
【図4】図3の正面図である。
【図5】赤色用映像投写管の発光エネルギ分布図である。
【図6】緑色用映像投写管の発光エネルギ分布図である。
【図7】青色用映像投写管の発光エネルギ分布図である。
【図8】比視感度図である。
【図9】背面ミラーの反射率特性と、各投写管の発光エネルギ分布の関係を示す図である。
【図10】光学ユニットを用いた背面投射型映像表示装置の構成を示す断面図である。
【図11】図10の正面図である。
【図12】光源の発光エネルギー分布図である。
【図13】背面ミラーの反射率特性と、光源の発光エネルギー分布の関係を示す図である。
【図14】トップコート膜厚とコントラスト値の関係を示した図である。
【符号の説明】
1…基材、2…反射膜、3…トップコート、11…光学ユニット、12,12’…背面ミラー、13…スクリーン、14…ケース、21、22、23…投写管、30,31,32,33,34,35,36,39…反射率特性。
Claims (13)
- 映像信号に応じた光学像をそれぞれ投影する投影装置でスクリーン上に背面側から投写する背面投写型映像表示装置に用いられ、該投影装置からの投写映像光を該スクリーン方向に光路変更を行う背面反射鏡であって、
該背面反射鏡は、ガラス基材と、該ガラス基材上に反射面を形成する銀または銀合金の反射膜と、該反射膜上に透明な樹脂で形成されるトップコート膜からなることを特徴とする背面反射鏡。 - 前記トップコート膜の膜厚が1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の背面反射鏡。
- 前記トップコート膜がアクリル系樹脂で構成されたことを特徴とした請求項1乃至請求項2の何れか一項に記載の背面反射鏡。
- 赤色,緑色,青色の各映像信号に応じた光学像をそれぞれ投影する赤色投写管,緑色投写管,青色投写管でスクリーン上に背面側から投写する背面投写型映像表示装置に用いられ、該各投写管からの投写映像光を該スクリーン方向に光路変更を行う背面反射鏡であって、
該背面反射鏡は、ガラス基材と、該ガラス基材上に反射面を形成する銀または銀合金の反射膜と、該反射膜上に透明な樹脂で形成されるトップコート膜からなり、
該トップコートの膜厚は、該トップコート膜の屈折率に基づいて設定されることを特徴とする背面反射鏡。 - 前記背面反射鏡の呈する反射率特性は、波長に対して前記トップコート膜に因るリップル形状を有し、
前記反射率特性が示すリップル形状の何れかの山の波長と、前記緑色投写管から照射する光の輝線の波長とが略一致することを特徴とする請求項4に記載の背面反射鏡。 - 前記トップコート膜の屈折率をnとした場合、前記トップコート膜の膜厚が
0.626/n±0.02μm
を満足することを特徴とする請求項4乃至請求項5の何れか一項に記載の背面反射鏡。 - 前記背面反射鏡の呈する反射率特性は、波長に対して前記トップコート膜に因るリップル形状を有し、
前記反射率特性が示すリップル形状の何れかの山の波長と、前記赤色投写管から照射する光の輝線の波長とが略一致することを特徴とする請求項4に記載の背面反射鏡。 - 光源からの光を表示素子で光強度変調して映像信号に応じた光学像を形成し該光学像を投写手段で拡大して投写する光学ユニットにより、スクリーン上に背面側から投写する背面投写型映像表示装置に用いられ、該光学ユニットからの投写映像光を該スクリーン方向に光路変更を行う背面反射鏡であって、
該背面反射鏡は、ガラス基材と、該ガラス基材上に反射面を形成する銀または銀合金の反射膜と、該反射膜上に透明な樹脂で形成されるトップコート膜からなり、
該トップコート膜の膜厚は、該トップコート膜の屈折率に基づいて設定されることを特徴とする背面反射鏡。 - 前記背面反射鏡の呈する反射率特性は、波長に対して前記トップコート膜に因るリップル形状を有し、
前記反射率特性が示すリップル形状の何れかの山の波長と、前記光学ユニットの前記光源より照射される光の緑色輝線の波長とが略一致することを特徴とする請求項8に記載の背面反射鏡。 - 前記トップコート膜の屈折率をnとした場合、該トップコート膜の膜厚が
0.635/n±0.02μm
を満足することを特徴とする請求項9に記載の反射鏡。 - 前記背面反射鏡の呈する反射率特性は、波長に対して前記トップコート膜に因るリップル形状を有し、
前記反射率特性が示すリップル形状の何れかの谷の波長と、前記光学ユニットの前記光源より照射される光の黄色輝線の波長とが略一致することを特徴とする請求項8に記載の背面反射鏡。 - 赤色,緑色,青色の各映像信号に応じた光学像をそれぞれ投影する赤色投写管,緑色投写管,青色投写管と、
請求項1乃至請求項7の何れか一項に記載された背面反射鏡と、
該背面反射鏡を介して前記光学像を背面側から投写表示するスクリーンと
を有することを特徴とする背面投写型映像表示装置。 - 光源からの光を表示素子で光強度変調して映像信号に応じた光学像を形成する光学ユニットと、
請求項8乃至請求項11の何れか一項に記載された背面反射鏡と、
該背面反射鏡を介して前記光学像を背面側から投写表示するスクリーンと
を有することを特徴とする背面投写型映像表示装置。
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