JP2019085123A - 包装体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この包装体によれば、開封用タブを引き上げることにより、フランジにおけるノッチよりも外側部分の熱融着性樹脂層が、基材層から剥離して蓋とともにフランジから分離されるので、それによって開封を容易に行いうる。
容器は、熱融着性樹脂層と熱融着性樹脂層の片面に剥離可能に積層された基材層とを有している複合シートを熱融着性樹脂層が容器の内側となるように成形してなり、
蓋の下面は、容器の熱融着性樹脂層に熱融着可能な熱融着性樹脂層によって構成されており、
フランジの上面における蓋との熱融着部よりも内側の部分に、熱融着性樹脂層をほぼ分断しうる深さを有するノッチが全周にわたって形成されており、
熱融着部の内周縁とノッチの外周縁との間隔が0〜5mmとなされている、包装体。
蓋が、熱融着性樹脂層と、熱融着性樹脂層の上面に積層された基材層とを有している複合シートからなり、同複合シートの基材層が金属箔層を含んでいる、上記1)の包装体。
容器のフランジの上面の所要箇所にノッチを形成する工程と、
内容物が充填された容器のフランジの上面に蓋の外周部を重ね合わせて、これらの重ね合わせ部のうちノッチの外周縁と1〜6mmの間隔をおいた外側部分を熱融着させる工程とを有している、包装体の製造方法。
また、上記1)の包装体によれば、内圧がかかることによって蓋を中心に包装体が膨らんだ際、ノッチを起点として剥離予定部と熱融着部とに力が分散され、熱融着部のみに集中的に力がかかりにくくなるため、熱融着部からの内容物の漏れが発生しにくくなる。
ここで、「熱融着部の内周縁とノッチの外周縁との間隔」は、平面より見た場合の熱融着部の内周縁とノッチの外周縁との径方向の距離をいうものとする。上記間隔は、より好ましくは0〜3mmとなされる。
図1は、この発明の実施形態に係る包装体の概要を示したものである。
図示の包装体(1)は、食品や医薬品等の内容物(5)を、容器(2)および蓋(3)を用いて密封包装してなるものである。
蓋(3)には、外周部における周方向の一部にフランジ(2c)よりも外方に突出した開封用タブ(3a)が設けられている。図示のタブ(3a)は、蓋(3)の外周部の一部から径方向外方に向かって張り出すように形成された平面より見て略三角形状のものであって、蓋(3)の開封時に手指で摘めるようになっている。
基材層(21)は、容器(2)の内側(熱融着性樹脂層(22)側)から順次積層されたベース樹脂層(24)、金属箔層(25)および外側樹脂層(26)によって構成されている。ベース樹脂層(24)は、例えば、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)等の熱可塑性樹脂、ポリエステル樹脂(PEs)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の熱硬化性樹脂からなる単層または多層のフィルムによって構成される。金属箔層(25)は、内容物(5)の保存性を高めるバリア層として機能するものであって、例えば、アルミニウム(アルミニウム合金を含む。以下同じ。)箔、ステンレス鋼箔、銅箔、ニッケル箔、鉄箔によって構成される。外側樹脂層(26)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリプロピレン樹脂(PP)からなる単層または多層のフィルムによって構成される。金属箔層(25)を構成する金属箔とベース樹脂層(24)を構成するフィルムとの積層、および金属箔層(25)を構成する金属箔と外側樹脂層(26)を構成するフィルムとの積層は、それぞれ2液硬化型のポリエステル−ポリウレタン樹脂系接着剤やポリエーテル−ポリウレタン樹脂系接着剤等よりなる接着剤層(27)(28)を介して行われる。また、外側樹脂層(26)は、上記フィルムに代えて、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性架橋性樹脂よりなるオーバーコート層によって構成することもできる。
熱融着性樹脂層(22)は、容器(2)の最内層、すなわち、底壁の上面、周壁(2a)の内面、およびフランジ(2b)の上面を構成するものであって、フランジ(2b)に熱融着(ヒートシール)性を付与する役割を担っている。この熱融着性樹脂層(23)は、例えば、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、ホモポリプロピレン樹脂(HPP)、ブロックポリプロピレン樹脂(BPP)、ランダムポリプロピレン樹脂(RPP)等のポリオレフィン樹脂からなる単層または多層のフィルムによって構成される。
熱融着性樹脂層(22)と、基材層(21)のベース樹脂層(24)との積層は、例えば共押出によって行われており、開封時に両層(22)(24)間で界面剥離しうるようになっている。
すなわち、基材層(21)を、厚さ80〜1000μm(より好適には100〜300μm)ポリプロピレン樹脂フィルムよりなるベース樹脂層(24)と、JIS H4160で分類されたA8079−Oよりなる厚さ20〜300μm(より好適には40〜150μm)のアルミニウム箔よりなる金属箔層(25)と、厚さ20〜150μm(より好適には20〜80μm)のポリプロピレン樹脂フィルムよりなる外側樹脂層(26)とを有する3層構造とし、熱融着性樹脂層(22)を、厚さ5〜200μm(より好適には10〜100μm)のポリオレフィン樹脂フィルム(ポリプロピレン樹脂フィルムまたはポリエチレン樹脂フィルム)によって構成した、複合シート(20)を用いることができる。
ベース樹脂層(24)を構成するポリプロピレン樹脂フィルムと、熱融着性樹脂層(22)を構成するポリオレフィン樹脂フィルムとは、共押出によって積層される。ベース樹脂層(24)を構成するポリプロピレン樹脂フィルムと、金属箔層(25)を構成するアルミニウム箔とは、2液硬化型接着剤よりなる厚さ0.5〜100μm(より好適には2〜20μm)の接着剤層(27)を介して積層される。金属箔層(25)を構成するアルミニウム箔と、外側樹脂層(26)を構成するポリプロピレン樹脂フィルムとの積層も、前記接着剤層(27)と同様の接着剤層(28)を介して行われる。
基材層(31)は、金属箔層(33)と、金属箔層(33)の上面に積層された外側樹脂層(34)とを備えた2層構造となされる。金属箔層(33)は、内容物(5)の保存性を高めるバリア層として機能するものであって、例えば、アルミニウム箔、ステンレス鋼箔、銅箔、ニッケル箔、鉄箔によって構成される。外側樹脂層(34)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリプロピレン樹脂(PP)からなる単層または多層のフィルム(熱可塑性樹脂フィルムの場合、熱融着性樹脂層(32)よりも融点が高いもの)によって構成される。金属箔層(33)を構成する金属箔と外側樹脂層(34)を構成するフィルムとの積層は、2液硬化型のウレタン系接着剤やポリエステル系接着剤等よりなる接着剤層(36)を介して行われる。なお、外側樹脂層(34)は、上記フィルムに代えて、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性架橋性樹脂よりなるオーバーコート層によって構成することもできる。
熱融着性樹脂層(32)は、蓋(3)の最下層(最内層)を構成しており、蓋(3)に熱融着(ヒートシール)性を付与するとともに、基材層(31)の金属箔層(33)を内容物(5)から保護する役割を担うものである。熱融着性樹脂層(32)は、例えば、ポリエチレン樹脂(PE)フィルム、ポリプロピレン樹脂(PP)フィルム等の汎用性フィルム、または、これらの複合フィルムであって、容器(2)の熱融着性樹脂層(23)との熱融着による強接着が可能なものによって構成されるが、好適には、容器(2)の熱融着性樹脂層(23)と同一の材料によって構成される。金属箔層(33)を構成する金属箔と熱融着性樹脂層(32)を構成するフィルムとの積層は、2液硬化型のウレタン系接着剤やポリエステル系接着剤等よりなる接着剤層(35)を介して行われる。
すなわち、基材層(31)を、JIS H4160で分類されたA8079−Oよりなる厚さ6〜100μm(より好適には9〜30μm)のアルミニウム箔よりなる金属箔層(33)と、厚さ9〜50μm(より好適には9〜25μm)のポリエステル樹脂フィルムよりなる外側樹脂層(34)とを有する2層構造とし、熱融着性樹脂層(32)を、厚さ5〜200μm(より好適には10〜100μm)のポリオレフィン樹脂フィルム(ポリプロピレン樹脂フィルムまたはポリエチレン樹脂フィルム)によって構成した、複合シート(30)を用いることができる。
ノッチ(23)の深さは、通常、熱融着性樹脂層(22)の上面から基材層(21)の上面またはその近傍まで達する程度のもの、言い換えれば、熱融着性樹脂層(22)をほぼ分断しうる程度となされる。
ノッチ(23)は、横断面略V形のノッチ刃を有する熱プレス方式のノッチ形成装置を用いて形成する他、グリーンレーザー、UVレーザー等のYAGレーザーや、YVO4レーザーを使用したレーザー加工機を用いて形成してもよい。
なお、ノッチ(23)が形成される位置は、フランジ(2b)上面と周壁(2a)内面との境界部分であっても構わない。この場合、蓋(3)を剥離した後の容器(2)の開口周辺の形状がきれいになる。
熱融着を行う際、熱板(6)は、フランジ(2b)と蓋(3)との重ね合わせ部のうちノッチ(23)の外周縁と1〜6mm(より好ましくは1〜4mm)の間隔(S1)をおいた外側部分、すなわち、平面より見てノッチ(23)の外周縁と熱板(6)(シール位置)の内周縁との間の径方向の距離(S1)が1〜6mm(より好ましくは1〜4mm)となるような部分の上方に配置される。熱板(6)の外周縁は、平面より見てフランジ(2b)の外周縁と重なるかまたはそれよりも外側にはみ出すように位置させられる。したがって、上記の条件を満たすように、フランジ(2b)上面におけるノッチ(23)を形成する位置、および熱板(6)のサイズ(内径および外径)を適宜設定しておく必要がある。
そして、図7および図8に示すように、蓋(3)の剥離位置(P)が、容器(2)の開口を越えて未開封時のタブ(3a)と反対側のフランジ部分(2b)におけるノッチ(23)から離れる付近(ノッチ(23)の接線方向と重なる付近)まで達すると、剥離方向との関係で、先にノッチ(23)側が剥離することになる。この際、ノッチ(23)の外周縁と熱融着部(4)の内周縁との間隔(S2)が5mmを越えると、蓋(3)の剥離に必要となる力が大きくなりすぎ、それ以上の開封が困難となる。これに対して、上記包装体(1)の場合、ノッチ(23)の外周縁と熱融着部(4)の内周縁との間隔(S2)が0〜5mmの範囲であるので、どの剥離位置においても蓋(3)の剥離にそれ程大きな力を要しないため、そのまま最後まで剥離して蓋(3)をフランジ(2b)から完全に分離すること、すなわち、全開封が容易である。さらに、上記間隔(S2)を0〜3mmの範囲とすれば、蓋(3)を剥がし終えるまで少しも引っかかりがなく、開封をきわめてスムーズに行うことができる。分離された容器(2)および蓋(3)は、使用後に分別して処分することができ、リサイクルが容易となる。
ホモポリプロピレン樹脂(HPP)およびブロックポリプロピレン樹脂(BPP)を、前者が厚さ250μmの層(ベース樹脂層)、後者が厚さ50μmの層(熱融着性樹脂層)となるように共押出して、積層シートを作製した。
次に、JIS H4160で分類されたA8079よりなる厚さ120μmのアルミニウム箔(金属箔層)の片面に、上記積層シートにおけるホモポリプロピレン樹脂(HPP)層側の面を、同他面に、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)フィルム(外側樹脂層)を、それぞれ2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて貼り合せ、40℃の環境下で5日間養生することにより、容器用複合シートを作製した。
そして、上記の容器用複合シートを所定形状にカットしてなるブランクの両面に微量のシロキサンを塗布しておいてから、雄型および雌型からなる金型を用いて深絞り加工することにより、フランジを有する丸型カップ状の容器(底径56mmφ、開口径65mmφ、高さ25mm、フランジ幅8mm)に成形した。
成形した容器のフランジ上面における開口縁から2mm外側の位置(69mmφ位置)に、横断面V形のノッチ刃を180℃に加熱したノッチ形成装置を用いて、熱融着性樹脂層を構成するブロックポリプロピレン樹脂(BPP)層のみを分断するような深さのノッチを形成した。こうして、容器を作製した。
一方、JIS H4160で分類されたA1N30H-Oよりなる厚さ20μmのアルミニウム箔(金属箔層)の片面に、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルム(外側樹脂層)を、同他面に厚さ30μmの無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)フィルム(熱融着性樹脂層)を、それぞれ2液硬化型接着剤を用いて貼り合せ、40℃の環境下で5日間養生することにより、蓋用複合シートを得た。そして、この複合シートを100mm角の方形にカットすることにより、蓋を作製した。
上記容器のフランジ上面に、上記蓋を無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)フィルム面が接するように重ね、これらの重合面のうちフランジにおけるノッチの外側2mmの位置から外周縁までの部分に、200℃に加熱したドーナツ状の熱板(外径100mmφ、内径73mmφ)を、120kgfの加圧力で2秒間押し当てることにより、ヒートシール(熱融着)を行った。
こうして、実施例1の包装体サンプルを得た。
容器のフランジ上面に形成したノッチとシール位置との間隔が1mmとなるように、内径71mmφの熱板を用いてヒートシールを行い、その他は実施例1と同様にして、実施例2の包装体サンプルを作製した。
容器のフランジ上面に形成したノッチとシール位置との間隔が4mmとなるように、内径77mmφの熱板を用いてヒートシールを行い、その他は実施例1と同様にして、実施例3の包装体サンプルを作製した。
容器のフランジ上面に形成したノッチとシール位置との間隔が6mmとなるように、内径81mmφの熱板を用いてヒートシールを行い、その他は実施例1と同様にして、実施例4の包装体サンプルを作製した。
容器のフランジ上面に形成したノッチとシール位置との間隔が0mmとなるように、内径69mmφの熱板を用いてヒートシールを行い、その他は実施例1と同様にして、比較例1の包装体サンプルを作製した。
容器のフランジ上面に形成したノッチとシール位置との間隔が7mmとなるように、内径83mmφの熱板を用いてヒートシールを行い、その他は実施例1と同様にして、比較例2の包装体サンプルを作製した。
実施例1〜4および比較例1,2の包装体サンプルについて、容器のフランジおよびこれに重なる蓋部分を径方向に切断して、切断面におけるフランジ上面のノッチの外周縁と熱融着部の内周縁との間隔を計測した。
そして、計測したものとは別の実施例1〜4および比較例1,2の包装体サンプルについて、フランジの外側の蓋部分を手指で摘んで蓋を剥離させ、剥離を最後までスムーズに行うことができるかどうかを検証した。
計測および検証の結果を、以下の表1に示す。
これに対して、比較例1の包装体サンプルでは、ヒートシール時に溶融樹脂によってノッチが塞がれており、蓋の剥離開封を行うことができなかった。
比較例2の包装体サンプルの場合、蓋の剥離抵抗が全開封の手前で大きくなり、さらに蓋を剥離することが困難であった。
(2):容器
(2b):フランジ
(20):複合シート
(21):基材層
(22):熱融着性樹脂層
(23):ノッチ
(24):ベース樹脂層
(25):金属箔層
(26):外側樹脂層
(3):蓋
(3a):開封用タブ
(30):複合シート
(31):基材層
(32):熱融着性樹脂層
(33):金属箔層
(34):外側樹脂層
(4):熱融着部
(5):内容物
(6):熱板
(S1):熱融着時の熱板(シール位置)の内周縁とノッチの外周縁との間隔
(S2):熱融着部の内周縁とノッチの外周縁との間隔
Claims (3)
- 開口周縁にフランジを有している容器と、内容物が充填された容器の開口を塞ぐようにフランジに熱融着されかつ外周部における周方向の一部にフランジよりも外方に突出した開封用タブを有している蓋とを備えており、
容器は、熱融着性樹脂層と熱融着性樹脂層の片面に剥離可能に積層された基材層とを有している複合シートを熱融着性樹脂層が容器の内側となるように成形してなり、
蓋の下面は、容器の熱融着性樹脂層に熱融着可能な熱融着性樹脂層によって構成されており、
フランジの上面における蓋との熱融着部よりも内側の部分に、熱融着性樹脂層をほぼ分断しうる深さを有するノッチが全周にわたって形成されており、
熱融着部の内周縁とノッチの外周縁との間隔が0〜5mmとなされている、包装体。 - 容器を構成する複合シートの基材層が、金属箔層と、片面が金属箔層に積層されかつ他面が熱融着性樹脂層に剥離可能に積層されたベース樹脂層とを含んでおり、
蓋が、熱融着性樹脂層と、熱融着性樹脂層の上面に積層された基材層とを有している複合シートからなり、同複合シートの基材層が金属箔層を含んでいる、請求項1記載の包装体。 - 請求項1または2に記載の包装体を製造する方法であって、
容器のフランジの上面の所要箇所にノッチを形成する工程と、
内容物が充填された容器のフランジの上面に蓋の外周部を重ね合わせて、これらの重ね合わせ部のうちノッチの外周縁と1〜6mmの間隔をおいた外側部分を熱融着させる工程とを有している、包装体の製造方法。
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