JP5736704B2 - リシール性を有する密封容器 - Google Patents
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またヒートシール部が冷却され、完全に密閉されるまでに所定の時間がかかるため、特に自生圧力を有する内容物を充填する場合や熱間充填する場合などでは、シール熱で熱膨張したヘッドスペースの気体が溶融状態のシール部から逃げることで、シール剥離を発生するおそれもある。
更に、特に飲料等の液体を充填するための容器においては、一旦開封した蓋により再度密封できることが要求されており、ヒートシールによる蓋ではリシール性を確保することができない。
このようなレーザ溶着による包装体の部材の溶着においては、ヒートシールの場合に比して、レーザビームを照射した後すぐ溶着されるため、溶着に要する時間が短縮されている。また、レーザ溶着による容器及び蓋材の密封方法においては、レーザビームの照射方向によって、容器側壁部の外面側、内面側、或いはフランジ部等種々の溶着箇所を選択することができ、形状に制約を受けることなく確実に溶着を行うことが可能であり、優れた密封性を容器に付与することが可能になり、レトルト殺菌や、高速充填、熱間充填(無菌充填)等にも対応可能な容器を提供することができる。
従って本発明の目的は、レーザ溶着により、レトルト殺菌や、高速充填、熱間充填(無菌充填)等にも対応可能な優れた密封性を有し、易開封性を有すると共にリシールも可能な密封容器を提供することである。
1.切り取り領域の2つの軸方向部分の少なくとも一方の下端には、破断可能な弱化部を切り裂くための把持部が形成されていること、
2.蓋が、頂板部に、容器口部の側壁部内面と密着する内側壁及び該内側壁の下端に位置する天面から成るくぼみが形成されて成る、落とし蓋形状であり、容器側壁部上部内面と密着する内側壁を有すること、
3.蓋が、容器側壁部上部内面と密着するインナーリングを有すること、
4.少なくともレーザ溶着部において、容器又は蓋の一方が着色されていること、
5.少なくともレーザ溶着部において、容器又は蓋の一方が、中間層が着色された多層構造であること、
が好適である。
また本発明の密封容器においては、開封のために形成される弱化部がレーザ溶着部をまたいでいるにもかかわらず、容易に弱化部で区画される切取領域を取り除くことができ、易開封性にも優れている。
更に、一旦開封された後、リシールが可能であり、しかもリシール時の密封性にも優れているため、飲料等の液体にも好適に適用可能な密封容器を提供することができる。
一方、蓋10は、容器開口部を覆う頂板部11及び該頂板部11の周縁から垂下するスカート部12から成り、頂板部11には、容器口部の側壁部内面5と密着する内側壁13及び該内側壁13の下端に位置する天面14から成るくぼみが形成されており、落とし蓋形状を構成している。
容器1と蓋10は、容器1の側壁部3に形成された環状突起4の部分で全周にわたってレーザ溶着され、密封される。前記レーザ溶着される部分は、図1においてレーザ溶着部Lで示されている。
本発明の密封容器においては、蓋10のスカート部12において、2本の破断可能な弱化部15及び16で区画される切取領域Rが形成されている。この2本の破断可能な弱化部15及び16は、レーザ溶着部Lよりも上部に位置する周方向に延びる周方向弱化部15a,16a、及びこの周方向弱化部15a,16aの両端部B及びCからそれぞれ下方に延び且つレーザ溶着部Lをまたぐ軸方向弱化部15b,16b及び15c,16cから成っている。
また軸方向弱化部15b,16b及び15c,16cでそれぞれ区画される切取領域Rの間は、後述するように、切取領域Rを取り除いた後に、容器1と蓋10の連結部(ヒンジ部)18となり、この連結部18の反対側の周方向弱化部15aよりも上方のスカート部には、切取領域Rを取り除いた後に、蓋を開封するための摘み19が形成されている。
軸方向弱化部15b,16b又は15c,16cの引き裂き後、引き続き周方向弱化部15a,16aを引き裂き、更に他方の軸方向弱化部を同様に引き裂くことにより、切取領域Rを蓋から取り除くことが可能になる。切取領域Rが取り除かれると、図3に示すように、溶着部Lは容器スカート部12に残ると共に、蓋10は連結部18で容器1と一体性を確保している。上述したように、切取領域Rを取り除いた後の蓋10のスカート部12’には、連結部18と相対する位置に摘み19が形成されているので、この摘み19を手がかりに蓋10を上方に押し上げると、連結部18がヒンジとしての機能を発揮して、蓋10の開閉が可能になる。
また軸方向弱化部15b,16b及び15c,16cの下端且つ把持部17b,17cの近傍には、スリットが形成されていることが好ましく、これにより破断開始が容易になる。
更に、図1乃至3に示した具体例においては、周方向弱化部15a,16aの両端部に軸方向弱化部15b,16b及び15c,16cが形成されていたが、必ずしも両端に形成する必要はなく、いずれか一方であってもよく、この場合、切取領域Rを取り除くことができるように、軸方向弱化部が形成されてない周方向弱化部の端部と溶着部の間に弱化部を形成しておくことが好ましい。
周方向スコア15a,16aによって区画される切取領域の軸方向の幅は容器の大きさ、蓋の材質或いは蓋のスカート部の長さにもよるが、2乃至5mmの範囲にあることが好ましく、周方向長さは蓋スカート部の全周の長さの92乃至98%の範囲にあることが好ましい。これにより、切取領域Rを確実且つ容易に取り除くことができると共に、切取領域Rを取り除いた後の連絡部18の強度等も確保することができる。
また本発明の密封容器は液密性に優れているので、飲料等の液体にも好適に使用できるため、容器開口部の口径が小さいボトル形状のものであってもよい。
更に、図1乃至3に示したように、落とし蓋形状のものに限定されず、インナーリングにより開封後の液密性を保持するものであっても勿論よいし、頂板部から円柱状の側壁部が垂下する栓タイプのものであってもよい。また容器側壁の外面と密着することにより、液密性を保持するものであってもよい。
また図1乃至3に示した具体例では、環状突起は容器側壁部外面に形成されていたが、蓋のスカート部内面に設けられていてもよい。
更に図1乃至3では、形成される環状突起は縦断面の形状が半円形のものが一条形成されていたが、勿論これに限定されるものではなく、縦断面の形状が三角形状のものの他、四角形状等であっても良いし、その個数も複数であってもよい。
具体的には、軸方向弱化部15b,16b又は15c、16cで区画される切取領域の周方向幅が溶着部の全周の4%以下であること、或いは軸方向弱化部15b,16b又は15c、16cで区画される切取領域の溶着部との重複部分の軸方向距離が、切取領域の軸方向幅の60%以下であることが好ましい。
レーザビームを透過可能な透明或いは半透明の層を形成し得る樹脂としては、従来包装容器に用いられていた熱可塑性樹脂を用いることができるが、レーザ透過率が70%以上、特に80%以上の熱可塑性樹脂であることが好適であり、このような熱可塑性樹脂としてはオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。レーザ透過率は、使用するレーザ光の波長に対応する光について分光光度計を用いて透過率を測定し求めることができる。
尚、レーザ透過率は、同一の熱可塑性樹脂であっても、層の厚みによって異なるものであり、本発明においては、後述する容器或いは蓋(環状突起を含む)が採りうる厚みの範囲内において70%以上の透過率を有することを意味するものである。
発熱部は、容器或いは蓋の何れか一方に形成されていればよいが、特に容器のレーザ溶着部(環状突起)の界面及び/または界面近傍に形成されていることが溶着効率の点から好ましい。発熱部を構成し得るものとしては、金属箔や金属板等の金属、黒色等の着色塗料から成る塗膜、或いは鉄粉等の酸素吸収剤やカーボンブラック等を含有した樹脂、或いは溶着部自体をレーザ照射により自己発熱可能なポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができるが、生産性等の点から熱可塑性樹脂から成る着色層とすることが好適である。
レーザビームを透過可能な層以外は、容器及び蓋の積層構造、包装体の形態、或いは用途によって適宜設定することができ、一概に規定することができないが、例えば、蓋がレーザビームを透過可能なオレフィン系樹脂の単層から成り、容器が外面側から順に、オレフィン系樹脂(レーザ透過溶着部)/着色剤含有オレフィン系樹脂(発熱部)/オレフィン系樹脂(内層)の積層体から成ることができる。蓋の厚みはこれに限定されないが、200乃至2000μmの範囲にあることが好ましく、容器の溶着部における厚み(環状突起を含む)は、200乃至2000μmの範囲、発熱部の厚みは25乃至300μmの範囲、外層(レーザ透過溶着部)の厚みは20乃至100μmの範囲あることが好ましい。
本発明の密封容器に用いる容器及び蓋は、フィルム及びシート状の積層材料から真空成形、圧空成形、プラグアシスト成形等の熱成形によって成形されたカップ或いはトレイ等の容器や、絞り成形、インジェクション成形等によって成形することできる。
本発明においては、前述したように、嵌合状態において、容器及び蓋に形成された環状突起の当接面が互いに押圧するような位置関係になっているので、レーザ照射に際して特別な固定具を用いる必要はないが、勿論、更に嵌合を強固にするために固定具を用いることもできる。
レーザ発振器の出力は20乃至150W、特に30乃至100Wの範囲にあることが好ましく、またレーザビームの波長は200nm乃至20μm、特に400nm乃至15μmの範囲にあることが好ましい。これは商業的には樹脂の透過性とレーザビームを吸収して発熱する物質の性質、およびレーザ発振器の出力、値段、安全性により決まる。
本発明においては、レーザビームのスポット径が0.2乃至3mm、特に0.5乃至2mmの範囲にあることが包装体の密閉性の点から好ましい。
またレーザビームの焦点距離は10乃至200mm、特に50乃至150mmの範囲にあることが好ましく、レーザビームを透過可能な層の厚み+30乃至70mmの範囲にあることが溶着による密閉性を確保しつつ、樹脂の劣化を防止する上で好ましい。
またレーザビームの掃引速度は、50乃至300mm/秒、特に100乃至200mm/秒の範囲にあることが、溶着による密閉性を確保しつつ、樹脂の劣化を防止する上で好ましい。
またリシールが可能であり、しかもリシール時の密封性にも優れているため、飲料等の液体にも適用可能な密封容器を提供することができる。
Claims (6)
- 少なくとも底部及び側壁部から成る容器と、少なくとも該容器の開口部を覆う頂板部と頂板部の周縁から垂下し容器側壁部に嵌合するスカート部から成る蓋とから成り、前記容器側壁部と蓋のスカート部が、該スカート部の下方で全周にわたってレーザ溶着されている密封容器において、
前記蓋のスカート部には、破断可能な弱化部により区画され、レーザ溶着部よりも上方に位置し且つ周方向に延びる周方向部分、及び該周方向部分の少なくとも一方の端部から下方に延び且つレーザ溶着部をまたぐ軸方向部分、から成る切り取り領域が形成されており、該切り取り領域を取り除いた後に、切り取り領域が形成されていない部分が蓋と容器のヒンジ部となることを特徴とする密封容器。 - 前記切り取り領域の2つの軸方向部分の少なくとも一方の下端には、破断可能な弱化部を切り裂くための把持部が形成されている請求項1記載の密封容器。
- 前記蓋が、前記頂板部に、容器口部の側壁部内面と密着する内側壁及び該内側壁の下端に位置する天面から成るくぼみが形成されて成る、落とし蓋形状であり、容器側壁部上部内面と密着する内側壁を有する請求項1又は2記載の密封容器。
- 前記蓋が、容器側壁部上部内面と密着するインナーリングを有する請求項1又は2記載の密封容器。
- 少なくともレーザ溶着部において、容器又は蓋の一方が着色されている請求項1乃至4の何れかに記載の密封容器。
- 少なくともレーザ溶着部において、容器又は蓋の一方が、中間層が着色された多層構造である請求項1乃至4の何れかに記載の密封容器。
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