JP7005277B2 - 包装体 - Google Patents
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Description
この包装体は、開口周縁にフランジを有している容器と、内容物が充填された容器の開口を塞ぐようにフランジに剥離可能に熱融着されかつ外周部における周方向の一部にフランジよりも外方に突出した開封用タブを有している蓋とを備えているものであって、蓋が、内層(熱融着性樹脂層)、粘着剤層、および外層(アルミニウム箔層、外側樹脂層等)を有しており、蓋材の内層における熱融着部の外側部分および内側部分にそれぞれハーフカットラインが形成されたものである。
上記の包装体によれば、開封用タブを引き上げると、蓋が、外側のハーフカットの位置から内側のハーフカットの位置まで、内層と粘着剤層との間で剥離し、容器のフランジから分離されることにより、開封が行われる。この開封に伴い、蓋の内層における内側のハーフカットよりも外側部分が容器のフランジ側に残るとともに、同部分の粘着剤層が露出させられる。そして、露出した粘着剤層の部分を容器のフランジ上面に重ねることにより、容器の再封が行われる。
しかしながら、上記の包装体の場合、いったん開封した後でも、蓋を閉じて再封すれば開封に気が付かないこともあるため、衛生面や安全面で問題があった。
蓋の金属箔層のうち平面よりみて容器のフランジと蓋との熱融着部に重なる環状帯域に、蓋の剥離に伴って前記環状帯域の幅方向の一部をほぼ全厚にわたって剥離させるための剥離誘導用ノッチが、前記環状帯域の周方向に沿ってのびるように形成されており、金属箔層の前記環状帯域に前記剥離によって生じた欠落部を蓋の上面側から視認しうるようになされている、包装体。
しかも、上記1)の包装体によれば、蓋の金属箔層のうち平面よりみて容器のフランジと蓋との熱融着部に重なる環状帯域に形成された剥離誘導用ノッチにより、蓋の剥離に伴って環状帯域の幅方向の一部がほぼ全厚にわたって剥離させられ、この剥離によって金属箔層の前記環状帯域に生じた欠落部を蓋の上面側から視認することができるので、例えば店舗において、いたずら行為等により、蓋がいったん開封された後で再封されたとしても、開封を確実に検知することができ、衛生面および安全面での問題を回避することができる。
図示の包装体(1)は、食品や医薬品等の内容物(5)を、容器(2)および蓋(3)を用いて密封包装してなるものである。
蓋(3)には、外周部における周方向の一部にフランジ(2b)よりも外方に突出した開封用タブ(3a)が設けられている。図示のタブ(3a)は、蓋(3)の外周部の一部から径方向外方に向かって張り出すように形成された平面より見て略三角形状のものであって、蓋(3)の開封時に手指で摘めるようになっている。
基材層(21)は、片面が熱融着性樹脂層(22)に接着剤層(23)を介して積層された金属箔層(211)と、金属箔層(211)の他面に接着剤層(24)を介して積層された外側樹脂層(212)とよりなる。
金属箔層(211)は、内容物(5)の保存性を高めるバリア層として機能するものであって、例えば、アルミニウム(アルミニウム合金を含む。以下同じ。)箔、ステンレス鋼箔、銅箔、ニッケル箔、鉄箔によって構成される。
外側樹脂層(212)は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリプロピレン樹脂(PP)からなる単層または多層のフィルムによって構成される。
金属箔層(211)と熱融着性樹脂層(22)との間に介在される接着剤層(23)、および金属箔層(211)と外側樹脂層(212)との間に介在される接着剤層(24)は、それぞれ、二液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤やポリエーテル-ポリウレタン樹脂系接着剤等によって構成される。
熱融着性樹脂層(22)は、容器(2)の最内層、すなわち、底壁の上面、周壁(2a)の内面、およびフランジ(2b)の上面を構成するものであって、フランジ(2b)に熱融着(ヒートシール)性を付与する役割を担っており、また、金属箔層(211)が内容物(5)との接触によって腐食するのを防止する機能も有している。この熱融着性樹脂層(22)は、例えば、ポリエチレン樹脂(PE)フィルム、ポリプロピレン樹脂(PP)フィルム等の汎用性フィルム、または、これらの複合フィルムによって構成される。
外側樹脂層(31)は、蓋(3)の上面を構成するものであって、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリプロピレン樹脂(PP)からなる単層または多層の透明なフィルムによって構成される。外側樹脂層(31)の厚さは、通常5~200μm程度(好適には10~30μm程度)となされる。また、外側樹脂層(31)は、上記フィルムに代えて、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性架橋性樹脂よりなるオーバーコート層によって構成することもできる。
金属箔層(32)は、内容物(5)の保存性を高めるバリア層として機能するものであって、例えば、アルミニウム箔、ステンレス鋼箔、銅箔、ニッケル箔、鉄箔によって構成される。金属箔層(32)をアルミニウム箔によって構成する場合、その厚さは、好適には30μm以下(より好適には5~30μm)となされる。
外側樹脂層(31)と金属箔層(32)との積層は、例えば2液硬化型のポリエステル-ポリウレタン樹脂系接着剤やポリエーテル-ポリウレタン樹脂系接着剤等よりなる透明な接着剤層(35)を介して行われる。
再封用粘着層(33)は、開封後の蓋(3)を容器(2)のフランジ(2b)上面に再シールするためのものである。粘着層(33)を構成する粘着剤としては、再シール時に要求される粘着強度等に応じて、天然ゴム系、アクリル樹脂系、シリコン樹脂、ウレタン樹脂系などの粘着剤の中から適宜のものが用いられる。
熱融着性樹脂層(34)は、蓋(3)の最下層(最内層)を構成しており、蓋(3)に熱融着(ヒートシール)性を付与するものである。熱融着性樹脂層(34)は、例えば、ポリエチレン樹脂(PE)フィルム、ポリプロピレン樹脂(PP)フィルム等の汎用性フィルム、または、これらの複合フィルムであって、容器(2)の熱融着性樹脂層(22)との熱融着による強接着が可能なものによって構成されるが、好適には、容器(2)の熱融着性樹脂層(22)と同一の材料によって構成される。熱融着性樹脂層(34)の厚さは、通常15~100μm程度となされる。
ノッチ(321)(322)は、金属箔層(32)の環状帯域(32X)の上下両面部分に少なくとも1つずつ形成されているのが好ましい。図2の場合、環状帯域(32X)の下面部分に、2つのノッチ(321)が、環状帯域(32X)の幅方向に間隔をおいて形成されているとともに、環状帯域(32X)の上面部分に、2つのノッチ(322)が、環状帯域(32X)の幅方向に間隔をおいて形成されている。環状帯域(32X)の上面部分の2つのノッチ(322)は、平面より見て下面部分の2つのノッチ(321)の間に位置するように形成されている。従って、下面部分の外側(図2の左側)のノッチ(321)は、上面部分の2つのノッチ(322)よりも環状帯域(32X)の幅方向外側に位置している。
各ノッチ(321)(322)は、レーザー加工によって金属箔層(32)の環状帯域(32X)に形成されているのが好ましい。レーザー加工は、例えば、グリーンレーザー、UVレーザー等のYAGレーザーや、YVO4レーザーを使用したレーザー加工機によって行われる。レーザー加工によれば、蓋(3)を構成する複合シート(30)の状態で、金属箔層(32)の上下両面の所要箇所に剥離誘導用ノッチ(321)(322)を形成することができ、その位置精度も高くなる。なお、金属箔層(32)の下面側のノッチ(321)については、粘着層(33)および熱融着性樹脂層(34)との積層前の段階で、カッター等を用いた物理的手段によって形成してもよい。
また、蓋(3)の剥離に伴い、蓋(3)の金属箔層(32)のうち平面よりみて熱融着部(4)に重なる環状帯域(32X)の幅方向の一部が、ほぼ全厚にわたって剥離させられ、剥離した部分(323)がフランジ(2b)上面に付着したまま残る。ここで、金属箔層(32)の上記部分剥離の過程を詳しく説明すると、まず、蓋(3)における熱融着性樹脂層(34)と粘着層(33)との間の剥離が環状帯域(32X)の下面部分にある外側のノッチ(321)の位置まで達すると、同ノッチ(321)から環状帯域(32X)の上面部分にある外側のノッチ(322)に向かって金属箔層(32)が上向きに分断され、次いで、環状帯域(32X)の上面部分にある2つのノッチ(322)どうしの間の部分で金属箔層(32)の上面が接着剤層(35)から剥離された後、環状帯域(32X)の上面部分にある内側のノッチ(322)から同下面部分にある内側のノッチ(321)に向かって金属箔層(32)が下向きに分断される。これにより、金属箔層(32)の環状帯域(32X)のうち4つのノッチ(321)(322)で囲まれた横断面略台形の部分(323)が剥離される。
上記部分剥離によって金属箔層(32)の環状帯域(32X)に欠落部(324)が生じるが、この欠落部(324)は、透明な外側樹脂層(31)および接着剤層(35)を通して、蓋(3)の上面側から視認することができる。実際には、欠落部(324)は、蓋(3)の他の部分と比べて白っぽく見えることが多い。
この再封状態において、図4に示すように、蓋(3)の上面側から金属箔層(32)の欠落部(324)を視認することができるので、例えば店舗でいたずら行為により蓋(3)が開封された後に再封された場合でも、開封されたことを簡単に検知することができる。
図5(a)では、金属箔層(32)の環状帯域(32X)の下面部分に、2つの剥離誘導用ノッチ(331)が、環状帯域(32X)の幅方向に間隔をおいて形成されているとともに、環状帯域(32X)の上面部分に、1つの剥離誘導用ノッチ(322)が、平面より見て下面部分の2つの剥離誘導用ノッチ(321)の中間に位置するように形成されている。
この配置構成の場合、蓋の剥離が環状帯域(32X)の下面部分にある外側のノッチ(321)の位置まで達すると、同ノッチ(321)から環状帯域(32X)の上面部分にあるノッチ(322)に向かって金属箔層(32)が上向きに分断され、次いで、上面部分のノッチ(322)から下面部分にある内側のノッチ(321)に向かって金属箔層(32)が下向きに分断される。これにより、金属箔層(32)の環状帯域(32X)のうち3つのノッチ(321)(322)で囲まれた横断面略三角形の部分(323)が全厚にわたって剥離される。
図5(b)では、金属箔層(32)の環状帯域(32X)の下面部分に1つの剥離誘導用ノッチ(331)が形成されているとともに、環状帯域(32X)の上面部分に、1つの剥離誘導用ノッチ(322)が、平面より見て下面部分の剥離誘導用ノッチ(321)よりも内側(図5(b)の右側)に位置するように形成されている。また、これら2つの剥離誘導用ノッチ(321)(322)どうしの環状帯域(32X)の幅方向の間隔(S1)が1mm以下となされている。
この配置構成では、蓋の剥離に伴い、まず、環状帯域(32X)の下面部分のノッチ(321)から上方に向かって金属箔層(32)が分断され、次いで、平面より見て上下両面部分のノッチ(321)(322)間の部分で金属箔層(32)の上面が接着剤層から剥離された後、上面部分のノッチ(322)から下方に向かって金属箔層(32)が分断される。これにより金属箔層(32)の環状帯域(32X)のうち2つのノッチ(321)(322)間にある横断面略四角形の部分(323)が全厚にわたって剥離される。
図5(c)の場合、金属箔層(32)の環状帯域(32X)の下面部分に、2つの剥離誘導用ノッチ(331)が、環状帯域(32X)の幅方向に比較的大きな間隔をおいて形成されているとともに、環状帯域(32X)の上面部分に、環状帯域(32X)の幅方向に間隔をおいた4つの剥離誘導用ノッチ(322)が、平面より見て下面部分の2つの剥離誘導用ノッチ(321)の間に位置するように形成されている。
この配置構成の場合、図2に示したものとほぼ同様にして金属箔層の剥離が行われる。その際、環状帯域(32X)の上面部分の中間にある2つのノッチ(322)は、金属箔層(32)の上面が接着剤層から剥離するのを補助するように機能する。
そして、上記の容器用複合シートを所定形状にカットしてなるブランクの両面に微量のシロキサンを塗布しておいてから、雄型および雌型からなる金型を用いて深絞り加工することにより、フランジを有する丸型カップ状の容器(底径56mmφ、開口径65mmφ、高さ25mm、フランジ幅8mm)を作製した。
こうして、実施例の包装体を得た。
次に、剥離した蓋の下面の外周部を容器のフランジの上面に重ねると、ゴム系粘着剤の露出部によって蓋がフランジに貼り付けられ、再封状態となった。この状態で、蓋の上面を観察したところ、アルミニウム箔の部分剥離によって生じた欠落部が、外周部に白っぽい円環状の模様として表れていることを目視で確認することができた。
(2):容器
(2b):フランジ
(22):熱融着性樹脂層
(3):蓋
(3a):開封用タブ
(32):金属箔層
(32X):熱融着部に重なる環状帯域
(321):環状帯域の下面部分の剥離誘導用ノッチ
(322):環状帯域の上面部分の剥離誘導用ノッチ
(324):欠落部
(33):再封用粘着層
(34):熱融着性樹脂層
(4):熱融着部
(5):内容物
Claims (4)
- 開口周縁にフランジを有している容器と、内容物が充填された容器の開口を塞ぐようにフランジに剥離可能に熱融着されかつ外周部における周方向の一部に開封用タブを有している蓋とを備えており、蓋は、下面側から順次積層された熱融着性樹脂層、再封用粘着層および金属箔層を有しており、容器のフランジの上面が、蓋の熱融着性樹脂層と熱融着可能な熱融着性樹脂層によって構成されており、開封用タブを引き上げて蓋を剥離させることにより、蓋の下面の外周部に再封用粘着層が露出するようになされている包装体であって、
蓋の金属箔層のうち平面よりみて容器のフランジと蓋との熱融着部に重なる環状帯域には、蓋の剥離に伴って前記環状帯域の幅方向の一部をほぼ全厚にわたって剥離させるための剥離誘導用ノッチが、前記環状帯域の上下両面部分に少なくとも1つずつ、いずれも前記環状帯域の周方向に沿ってのびるようにして、かつ前記熱融着部の幅方向の内側におさまるようにして形成されており、金属箔層の前記環状帯域に前記剥離によって生じた欠落部を蓋の上面側から視認しうるようになされている、包装体。 - 金属箔層の前記環状帯域の下面部分に形成されている1つの剥離誘導用ノッチが、同上面部分に形成されている剥離誘導用ノッチよりも前記環状帯域の幅方向外側に位置している、請求項1記載の包装体。
- 金属箔層の前記環状帯域の下面部分に、2つの剥離誘導用ノッチが前記環状帯域の幅方向に間隔をおいて形成され、同上面部分に、1つの剥離誘導用ノッチまたは前記環状帯域の幅方向に間隔をおいた複数の剥離誘導用ノッチが、平面より見て前記下面部分の2つの剥離誘導用ノッチの間に位置するように形成されている、請求項2記載の包装体。
- 金属箔層の前記環状帯域の下面部分に1つの剥離誘導用ノッチが形成され、同上面部分に、1つの剥離誘導用ノッチが平面より見て前記下面部分の剥離誘導用ノッチよりも幅方向内側に位置するように形成され、これら2つの剥離誘導用ノッチどうしの前記環状帯域の幅方向の間隔が1mm以下となされている、請求項2記載の包装体。
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