JP2019077493A - 包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】開封時に蓋の一部が剥がれ落ちて容器内に混入するおそれがなく、また、再封を簡単にかつ確実に行うことができる包装体を提供する。【解決手段】包装体1は、フランジ2bを有する容器2と、フランジに剥離可能に熱融着されかつ外周部に開封用タブ3aを有する蓋3とを備えている。フランジ上面および蓋下面が互いに熱融着可能な熱融着性樹脂層23,32によって構成され、フランジの熱融着性樹脂層の下面に再封用粘着層22が積層されている。フランジ上面における熱融着部4よりも内側部分に熱融着性樹脂層をほぼ分断しうる深さを有する環状のノッチ24が形成され、蓋の剥離によってノッチよりも外側の再封用粘着層が露出する。ノッチは、蓋の剥離位置Pが容器の開口を越えてノッチから離れる付近まで達した時点で剥離抵抗を高めて蓋の剥離を停止させうる位置に形成されている。【選択図】図2

Description

この発明は、食品、医薬品、化粧品、ウェットティッシュ、電子部品等の内容物が充填された容器のフランジに蓋をシールしてなる包装体に関し、より詳細には、未開封時には内容物を密封状態で包装することができるとともに、開封後に蓋を再シールすることができる、再封可能な包装体に関する。
例えば、食品等を内容物とする再封可能な包装体として、下記の特許文献1に記載のものが知られている。
この包装体は、開口周縁にフランジを有している容器と、内容物が充填された容器の開口を塞ぐようにフランジに剥離可能に熱融着されかつ外周部における周方向の一部にフランジよりも外方に突出した開封用タブを有している蓋とを備えているものであって、蓋が、内層(熱融着性樹脂層)、粘着剤層、および外層(アルミニウム箔層、外側樹脂層等)を有しており、蓋材の内層における熱融着部の外側部分および内側部分にそれぞれハーフカットラインが形成されたものである。
上記の包装体によれば、開封用タブを引き上げると、蓋が、外側のハーフカットの位置から内側のハーフカットの位置まで、内層と粘着剤層との間で剥離し、容器のフランジから分離されることにより、開封が行われる。この開封に伴い、蓋の内層における内側のハーフカットよりも外側部分が容器のフランジ側に残るとともに、同部分の粘着剤層が露出させられる。そして、露出した粘着剤層の部分を容器のフランジ上面に重ねることにより、容器の再封が行われる。
特許第2575770号公報
しかしながら、上記包装体の場合、蓋を剥離して開封する際に、蓋の内層の一部が破断することにより、熱融着部との境界付近から糸状または膜状に剥がれ落ちて、容器内に混入するおそれがあった。
また、上記包装体では、開封用タブを引き上げて蓋を剥離していくと、蓋が容器のフランジ上面から完全に分離されることが多く、そのため、再封時には、蓋と容器のフランジとの位置合わせをする必要があって、その作業が面倒である上、位置合わせが不十分であると再封が確実に行われないおそれがあった。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、開封時に蓋の一部が剥がれ落ちて容器内に混入するおそれがなく、また、再封を簡単にかつ確実に行うことができる包装体を提供することを目的とする。
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
1)開口周縁にフランジを有している容器と、内容物が充填された容器の開口を塞ぐようにフランジに剥離可能に熱融着されかつ外周部における周方向の一部にフランジよりも外方に突出した開封用タブを有している蓋とを備えており、
フランジの上面が熱融着性樹脂層によって構成されているとともに、同熱融着性樹脂層と熱融着可能な熱融着性樹脂層によって蓋の下面が構成され、また、フランジの熱融着性樹脂層の下面に再封用粘着層が積層されており、
フランジの上面における蓋との熱融着部よりも内側部分に、熱融着性樹脂層をほぼ分断しうる深さを有するノッチが全周にわたって形成されていて、開封用タブを引き上げて蓋を剥離することによりノッチよりも外側のフランジ部分の再封用粘着層が露出するようになされており、また、同ノッチは、蓋の剥離位置が容器の開口を越えてノッチから離れる付近まで達した時点で剥離抵抗を高めて蓋の剥離を停止させうるような位置に形成されている、包装体。
2)熱融着部とノッチとの間隔が2〜5mmである、上記1)の包装体。
上記1)の包装体によれば、容器のフランジに、上面を構成する熱可塑性樹脂層と、その下面に積層された再封用粘着層とが設けられているとともに、フランジの上面における蓋との熱融着部よりも内側部分にノッチが全周にわたって形成されているので、開封用タブを引き上げて蓋を剥離開封する際、上記特許文献1記載の包装体のように蓋の内層の一部が剥がれ落ちて容器内に混入するおそれがなく、衛生面に優れている。
また、上記1)の包装体によれば、容器のフランジ上面の所要位置に形成されたノッチの存在により、蓋の剥離位置が容器の開口を越えてノッチから離れる付近まで達した時点で剥離抵抗が高められ、それによって蓋の剥離が停止させられようになっているので、蓋の一部がフランジから剥離されずに残りやすくなる。このような部分開封状態で内容物の取り出しが行われた後、蓋の剥離した部分を再びフランジに重ねていくと、フランジの上面に露出した再封用粘着部がこれと重なる蓋の下面部分に貼り付けられ、それによって再封が行われる。つまり、上記1)の包装体によれば、再封を簡単にかつ確実に行うことができる。
上記2)の包装体によれば、熱融着部とノッチとの間隔が2〜5mmであるので、以下のような問題を回避することができる。すなわち、上記間隔が2mm未満であると、蓋の剥離位置が容器の開口を越えてノッチから離れる付近まで達した時点での剥離抵抗の変化の度合いが小さすぎて、開封用タブを摘まんでいる手指で負荷を感じられず、蓋がそのまま完全に剥離されてしまうおそれがある。さらに、上記間隔が0mm以下、つまりノッチと熱融着部が重なった場合、ノッチ自体が溶融した樹脂により塞がってしまい、易開封性機能が失われてしまう。一方、上記間隔が5mmを超えると、蓋の剥離位置が容器の開口を越えてノッチから離れる付近まで達した時点での剥離抵抗が大きくなりすぎ、廃棄等を行う際に蓋を完全に剥離して容器と分離するのが困難になる。
ここで、「熱融着部とノッチとの間隔」は、平面より見た場合の熱融着部の内周縁とノッチの外周縁との径方向の距離をいうものとする。
この発明の実施形態に係る包装体を示す斜視図である。 同包装体の未開封時の状態を示す部分拡大垂直断面図である。 同包装体の蓋の剥離の初期段階の状態を示す部分拡大垂直断面図である。 同包装体の蓋の剥離の初期段階の状態を示す平面図である。 同包装体の蓋の剥離の後期段階の状態を示す平面図である。 (a)は図5のA−A線に沿う部分拡大断面図であり、(b)は図5のB−B線に沿う部分拡大断面図であり、(c)は図5のC−C線に沿う部分拡大断面図である。 この発明による包装体との比較のために、熱融着部とノッチとの間隔を狭くした包装体を示すものであって、(a)は未開封時の状態の部分拡大垂直断面図であり、(b)は図5(c)に相当する部分拡大垂直断面図である。
以下、この発明の実施形態を、図1〜図7を参照して説明する。
図1〜図6は、この発明の実施形態に係る包装体を示したものである。
図示の包装体(1)は、食品や医薬品等の内容物(5)を、容器(2)および蓋(3)を用いて密封包装してなるものである。
容器(2)は、複合シート(20)を深絞り成形してなるカップ状のものである。より具体的には、容器(2)は、底壁(図示略)と、底壁の周縁から立ち上がった周壁(2a)とを備えている。また、容器(2)は、その上方開口周縁にフランジ(2b)を有している。フランジ(2b)は、周壁(2a)の上端縁から径方向外方に向かって水平に張り出したフラットな形状のものである。なお、容器は、図示の形状には限定されない。
蓋(3)は、所定の寸法および形状にカットされた複合シート(30)からなり、内容物(5)が充填された容器(2)の上方開口を塞ぐように、その下面の外周部が容器(2)のフランジ(2c)の上面に剥離可能に熱融着されている。
蓋(3)には、外周部における周方向の一部にフランジ(2c)よりも外方に突出した開封用タブ(3a)が設けられている。図示のタブ(3a)は、蓋(3)の外周部の一部から径方向外方に向かって張り出すように形成された平面より見て略三角形状のものであって、蓋(3)の開封時に手指で摘めるようになっている。
図2および図3に示すように、容器(2)を構成している複合シート(20)は、基材層(21)と、基材層(21)の内面に積層された再封用粘着層(22)と、再封用粘着層(22)の内面に積層された熱融着性樹脂層(23)とを備えている。
詳しい図示は省略したが、基材層(21)は、例えば、容器(2)の内側(再封用粘着層(22)側)から順次積層されたベース樹脂層、金属層および外側樹脂層によって構成することができる。ベース樹脂層は、例えば、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)等の熱可塑性樹脂、ポリエステル樹脂(PEs)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリカーボネート樹脂(PC)等の熱硬化性樹脂からなる単層または多層のフィルムによって構成される。金属層は、内容物(5)の保存性を高めるバリア層として機能するものであって、例えば、アルミニウム(アルミニウム合金を含む。以下同じ。)箔、ステンレス鋼箔、銅箔、ニッケル箔、鉄箔によって構成される。外側樹脂層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリプロピレン樹脂(PP)からなる単層または多層のフィルムによって構成される。金属層を構成する金属箔とベース樹脂層を構成するフィルムとの積層、および金属層を構成する金属箔と外側樹脂層を構成するフィルムとの積層は、それぞれ2液硬化型のポリエステル−ポリウレタン樹脂系接着剤やポリエーテル−ポリウレタン樹脂系接着剤等よりなる接着剤層を介して行われる。また、外側樹脂層は、上記フィルムに代えて、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性架橋性樹脂よりなるオーバーコート層によって構成することもできる。
再封用粘着層(22)は、開封後の蓋(3)を容器(2)のフランジ(2b)上面に再シールするためのものである。粘着層(22)を構成する粘着剤としては、再シール時に要求される粘着強度等に応じて、天然ゴム系、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系などの粘着剤の中から適宜のものが用いられる。
熱融着性樹脂層(23)は、容器(2)の最内層、すなわち、底壁の上面、周壁(2a)の内面、およびフランジ(2b)の上面を構成するものであって、フランジ(2b)に熱融着(ヒートシール)性を付与する役割を担っている。この熱融着性樹脂層(23)は、例えば、ポリエチレン樹脂(PE)フィルム、ポリプロピレン樹脂(PP)フィルム等の汎用性フィルム、または、これらの複合フィルムによって構成される。
容器(2)の成形材料となる上記複合シート(20)の代表的構成としては、例えば以下のものが挙げられる。
すなわち、基材層(21)を、厚さ80〜1000μm(より好適には100〜300μm)ポリプロピレン樹脂フィルムよりなるベース樹脂層と、JIS H4160で分類されたA8079−Oよりなる厚さ20〜300μm(より好適には40〜150μm)のアルミニウム箔よりなる金属層と、厚さ20〜150μm(より好適には20〜80μm)のポリプロピレン樹脂フィルムよりなる外面樹脂層とを有する3層構造とし、粘着層(22)を、厚さ0.5〜100μm(より好適には2〜20μm)のアクリル樹脂系粘着剤層によって構成し、熱融着性樹脂層(23)を、厚さ5〜200μm(より好適には10〜100μm)のポリプロピレン樹脂フィルムによって構成した、複合シート(20)を用いることができる。
蓋(3)を構成する複合シート(30)は、基材層(31)と、基材層(32)の下面に積層された熱融着性樹脂層(32)とよりなる(図2,3等参照)。
基材層(31)は、例えば、金属層と、金属層の上面に積層された外側樹脂層とを備えた2層構造となされる。金属層は、内容物(5)の保存性を高めるバリア層として機能するものであって、例えば、アルミニウム箔、ステンレス鋼箔、銅箔、ニッケル箔、鉄箔によって構成される。外側樹脂層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリプロピレン樹脂(PP)からなる単層または多層のフィルムによって構成される。金属層を構成する金属箔と外側樹脂層を構成するフィルムとの積層は、2液硬化型のポリエステル−ポリウレタン樹脂系接着剤やポリエーテル−ポリウレタン樹脂系接着剤等よりなる接着剤層を介して行われる。また、外側樹脂層は、上記フィルムに代えて、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性架橋性樹脂よりなるオーバーコート層によって構成することもできる。
熱融着性樹脂層(32)は、蓋(3)の最下層(最内層)を構成しており、蓋(3)に熱融着(ヒートシール)性を付与するとともに、基材層が金属層を含んでいる場合に金属層を内容物(5)から保護する役割を担うものである。熱融着性樹脂層(32)は、例えば、ポリエチレン樹脂(PE)フィルム、ポリプロピレン樹脂(PP)フィルム等の汎用性フィルム、または、これらの複合フィルムであって、容器(2)の熱融着性樹脂層(23)との熱融着による強接着が可能なものによって構成されるが、好適には、容器(2)の熱融着性樹脂層(23)と同一の材料によって構成される。
蓋(3)の材料となる上記複合シート(30)の代表的構成としては、例えば以下のものが挙げられる。
すなわち、基材層(31)を、JIS H4160で分類されたA8079−Oよりなる厚さ6〜100μm(より好適には9〜30μm)のアルミニウム箔よりなる金属層と、厚さ9〜50μm(より好適には9〜25μm)のポリエステル樹脂フィルムよりなる外側樹脂層とを有する2層構造とし、熱融着性樹脂層(32)を、厚さ5〜200μm(より好適には10〜100μm)のポリプロピレン樹脂フィルムによって構成した、複合シート(30)を用いることができる。
容器(2)のフランジ(2b)と蓋(3)との熱融着は、例えば、熱板方式、すなわち、容器(2)のフランジ(2b)の上面に蓋(3)の下面の外周部が重ねられた状態で、同重ね合わせ部分に、所定温度に加熱された熱板を所定時間、所定圧力で押し当てることによって行われる。
熱融着部(4)は、図2,3に示すように、フランジ(2b)の外周部に対応した箇所に形成される他、フランジ(2b)の幅中間部に対応した箇所に形成されていてもよい。
図2に示すように、容器(2)のフランジ(2b)の上面には、蓋(3)との熱融着部(4)よりも内側部分に、ノッチ(24)が全周にわたって形成されている。開封用タブ(3a)を引き上げて蓋(3)を剥離することにより、このノッチ(24)よりも外側のフランジ(2b)部分の再封用粘着層(22)が露出するようになっている。また、ノッチ(24)は、蓋(3)の剥離位置(P)が容器(2)の開口を越えてノッチ(24)から離れる付近まで達した時点で剥離抵抗を高めて蓋(3)の剥離を一時的に停止させうるような位置に形成されている。
ノッチ(24)の深さは、通常、熱融着性樹脂層(23)の上面から粘着層(23)の上面またはその近傍まで達する程度のもの、言い換えれば、熱融着性樹脂層(23)をほぼ分断しうる程度となされる。
ノッチ(24)は、横断面略V形のノッチ刃を有する熱プレス方式のノッチ形成装置を用いて形成する他、グリーンレーザー、UVレーザー等のYAGレーザーや、YVOレーザーを使用したレーザー加工機を用いて形成してもよい。
熱融着部(4)とノッチ(24)との間隔(S1)、すなわち、平面より見た場合の熱融着部(4)の内周縁とノッチ(24)の外周縁との径方向の距離は、2〜5mm程度となされているのが好ましい。その理由は、上記間隔(S1)が2mm未満であると、蓋(3)の剥離位置(P)が容器(2)の開口を越えてノッチ(24)から離れる付近まで達した時点(図5,6参照)での剥離抵抗の変化の度合いが小さすぎて、その変化(負荷)を開封用タブ(3a)を摘まんでいる手指で感じられず、蓋(3)がそのまま完全に剥離されてしまうおそれがある一方、上記間隔(S1)が5mmを超えると、蓋(3)の剥離位置(P)が容器(2)の開口を越えてノッチ(24)から離れる付近まで達した時点での剥離抵抗が大きくなりすぎて、廃棄等に際して蓋(3)を完全に剥離して容器(2)と分離するのが困難になるからである。
なお、ノッチ(24)が形成される位置は、フランジ(2b)上面と周壁(2a)内面との境界部分であっても構わない。この場合、蓋(3)を剥離した後の容器(2)の開口周辺の形状がきれいになる。
上記の包装体(1)にあっては、未開封状態では、容器(2)および蓋(3)によって内容物(5)が密封包装されているので(図1,2参照)、内容物(5)を劣化させることなく保存することができる。特に、容器(2)を構成する複合シート(20)および蓋(3)を構成する複合シート(30)にバリア性に優れた金属層が含まれている場合には、内容物(5)の長期保存が可能となる。
そして、内容物(5)を必要な数量ずつ取り出して使用する場合、蓋(3)の開封用タブ(3a)を手指で摘んで引き上げると、容器(2)のフランジ(2b)におけるタブ(3a)に隣接した位置から熱融着性樹脂層(23)と粘着層(22)との間で界面剥離が生じる。そのままタブ(3a)を引き上げていくと、ノッチ(24)に達した時点で、ノッチ(24)よりも外側の熱融着性樹脂層部分(231)が蓋(3)に付随してフランジ(2b)から分離され、蓋(3)が開封する。従って、この包装体(1)の場合、上記特許文献1記載の包装体のように蓋の内層の一部が破断して剥がれ落ちることがないので、衛生的である。そして、蓋(3)の剥離開封に伴い、フランジ(2b)の上面におけるノッチ(24)よりも外側部分の再封用粘着層(22)が露出する(図3,4参照)。
図5に示すように、蓋(3)の剥離位置(P)が容器(2)の開口を越えてノッチ(24)から離れる付近まで達すると剥離抵抗が高まり、タブ(3a)を摘まんでいる手指にその負荷(抵抗力)が伝わることによって、蓋(3)の剥離が停止される。これにより、蓋(3)は、容器(2)のフランジ(2b)から完全に剥離することなく、一部がフランジ(2b)から剥離せずに一体化されたままの部分開封状態となる。この状態で、容器(2)の開口を通じて内容物(5)を必要な数量だけ取り出す。
ここで、蓋(3)の剥離抵抗が上記の剥離位置(P)で高くなるのは、以下の作用によるものと考えられる。すなわち、剥離位置(P)がノッチ(24)まで達していない初期段階では、蓋(3)は、フランジ(2b)の外周縁側から先に剥離され、次いで、剥離位置(P)がノッチ(24)に掛かる中間段階では、フランジ(2b)の外周縁側とノッチ(24)側とでほぼ同時に剥離が行われる(図3,4参照)。ところが、蓋(3)の剥離位置(P)が、容器(2)の開口を越えて未開封時のタブ(3a)と反対側のフランジ部分(2b)におけるノッチ(24)から離れる付近(ノッチ(24)の接線方向と重なる付近)まで達すると、剥離方向との関係で、先にノッチ(24)側が剥離することになる。この際、ノッチ(24)と熱融着部(4)との間隔(S1)が大きければ、蓋(3)の剥離に大きな力が必要となり、タブ(3a)を摘まんだ手指でしっかりと感じられる程度の負荷(抵抗力)が掛かることになる。
これに対して、図7に示す包装体(100)のように、ノッチ(24)と熱融着部(4)との間隔(S1)が小さければ、蓋(3)の剥離にそれ程大きな力を要しないため、タブ(3a)を摘まんだ手指にほとんど負荷が掛からず、そのまま止まらずに最後まで剥離して、蓋(3)がフランジ(2b)から完全に分離してしまうおそれがある。
内容物(5)の取り出しが終わったら、蓋(3)の開封部分を元に戻すようにフランジ(2b)上面に重ねていくと、蓋(3)の剥離開封によってフランジ(2b)上面に形成された再封用粘着層(22)の露出部に、蓋(3)の開封部分の下面外周部が貼り付けられ、それによって再封が行われ、残った内容物(5)を再び密封状態で保存することが可能となる。
内容物(5)をすべて使い切って包装体(1)を処分する場合は、蓋(3)の開封用タブ(3a)を開封方向(図5の右方向)に強く引っ張ると、フランジ(2)におけるタブ(3a)と反対側部分において、熱融着性樹脂層(23)と粘着層(22)との間で剥離が生じるので、蓋(3)全体を容器(2)のフランジ(2b)から分離して取り外すことができる。つまり、容器(2)と蓋(3)を分別して処分することができ、リサイクルが容易となる。
次に、この発明の具体的実施例について説明するが、この発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
厚さ200μmのポリプロピレン樹脂(PP)フィルム(ベース樹脂層)の片面に、酢酸エチルに溶解させた2液硬化型アクリル粘着剤(粘着層)を乾燥後の厚さが20μmになるように塗布して乾燥させた後、コロナ放電処理を施した厚さ30μmの無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)フィルム(熱融着性樹脂層)のコロナ処理面とポリプロピレン樹脂フィルムの粘着剤塗布面とを圧着することにより、積層シートを作製した。
次に、JIS H4160で分類されたA8079−Oよりなる厚さ100μmのアルミニウム箔(金属層)の片面に、上記積層シートにおけるポリプロピレン樹脂(PP)フィルムの面を、同他面に、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)フィルム(外側樹脂層)を、それぞれ2液硬化型接着剤を用いて貼り合せ、40℃の環境下で5日間養生することにより、容器用複合シートを作製した。
そして、上記の容器用複合シートを所定形状にカットしてなるブランクの両面に微量のシロキサンを塗布しておいてから、雄型および雌型からなる金型を用いて深絞り加工することにより、フランジを有する丸型カップ状の容器(底径56mmφ、開口径65mmφ、高さ25mm、フランジ幅8mm)に成形した。
成形した容器のフランジ上面における開口縁から2mm外側の位置(69mmφ位置)に、横断面V形のノッチ刃を180℃に加熱したノッチ形成装置を用いて、熱融着性樹脂層を構成する無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)フィルムのみを切断するような深さのノッチを形成した。こうして、容器を作製した。
一方、JIS H4160で分類されたA1N30H-Oよりなる厚さ20μmのアルミニウム箔(金属層)の片面に、厚さ12μmのポリエステル樹脂(PS)フィルム(外側樹脂層)を、同他面に厚さ30μmの無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)フィルム(熱融着性樹脂層)を、それぞれ2液硬化型接着剤を用いて貼り合せ、40℃の環境下で5日間養生することにより、蓋用複合シートを得た。そして、この複合シートを100mm角の方形にカットすることにより、蓋材を作製した。
上記容器のフランジ上面に、上記蓋材を無延伸ポリプロピレン樹脂(CPP)フィルム面が接するように重ね、これらの重合面のうちフランジにおけるノッチの外側2mmの位置から外周縁までの部分に、200℃に加熱したドーナツ状の熱板(外径100mmφ、内径73mmφ)を、120kgfの加圧力で2秒間押し当てることにより、ヒートシール(熱融着)を行った。
こうして、実施例1の包装体サンプルを得た。
[実施例2]
容器のフランジ上面に形成したノッチの外周縁とシール位置の内周縁との間隔が3mmとなるように、内径75mmφの熱板を用いてヒートシールを行い、その他は実施例1と同様にして、実施例2の包装体サンプルを作製した。
[実施例3]
容器のフランジ上面に形成したノッチの外周縁とシール位置の内周縁との間隔が5mmとなるように、内径81mmφの熱板を用いてヒートシールを行い、その他は実施例1と同様にして、実施例3の包装体サンプルを作製した。
[比較例1]
容器のフランジ上面に形成したノッチの外周縁とシール位置の内周縁との間隔が0mmとなるように、内径69mmφの熱板を用いてヒートシールを行い、その他は実施例1と同様にして、比較例1の包装体サンプルを作製した。
[比較例2]
容器のフランジ上面に形成したノッチの外周縁とシール位置の内周縁との間隔が1mmとなるように、内径71mmφの熱板を用いてヒートシールを行い、その他は実施例1と同様にして、比較例2の包装体サンプルを作製した。
[比較例3]
容器のフランジ上面に形成したノッチの外周縁とシール位置の内周縁との間隔が7mmとなるように、内径85mmφの熱板を用いてヒートシールを行い、その他は実施例1と同様にして、比較例3の包装体サンプルを作製した。
<部分開封性・再封性・全開封性評価>
実施例1〜3および比較例1,2の包装体サンプルについて、容器のフランジおよびこれに重なる蓋部分を径方向に切断して、切断面におけるフランジ上面のノッチの外周縁と熱融着部の内周縁との間隔を計測した。
そして、計測したものとは別の実施例1〜3および比較例1〜3の包装体サンプルについて、フランジの外側の蓋部分を手指で摘んで蓋を剥離させ、剥離位置が容器の開口を超えてノッチから離れる付近で剥離が停止し、部分開封状態とすることが可能かどうかを検証した。
また、蓋の剥離によってフランジ上面に露出した再封用粘着層に蓋を重ねることにより再封が適切に行われるかどうかを検証した。
さらに、部分開封状態から蓋を完全に剥離して容器から分離できるかどうかを検証した。
計測および各検証の結果を、以下の表1にまとめて示す。
Figure 2019077493
表1から明らかなように、実施例1〜3の包装体サンプルの場合、蓋の剥離を全開封の手前で停止させて部分開封状態とすることができ、また、剥離によってフランジ上面に露出した粘着層により、蓋の再シールを適切に行うことができた。さらに、実施例1〜3の包装体サンプルでは、部分開封状態から蓋の一部(タブに相当する箇所)を開封方向に強く引っ張ることにより、蓋をフランジから完全に剥離して分離することができた。
これに対して、比較例1の包装体サンプルでは、ヒートシール時にノッチが塞がれてしまい、蓋の剥離開封を行うことができなかった。
比較例2の包装体サンプルの場合、蓋の剥離が全開封の手前で停止せず、そのまま完全に剥離され、蓋が容器と分離してしまった。そのため、再封時には、蓋を、容器のフランジ上面の露出した再封用粘着層に、位置合わせを行いながら重ねる必要があり、位置合わせがうまくいかなければ再封が不完全な状態となるため、蓋を再度剥離してやり直す必要があった。
比較例3の包装体サンプルでは、蓋の部分開封および再封については支障なく行うことができたが、部分開封状態から蓋の一部を開封方向に強く引っ張っても、剥離抵抗が大きすぎて、蓋をフランジから完全に剥離して分離することができなかった。
この発明は、一定期間の保存が必要であってかつ一度に使い切らない食品、医薬品等の内容物を、容器および蓋を用いて再封可能に密封包装する包装体として、好適に使用することができる。
(1):包装体
(2):容器
(2b):フランジ
(20):複合シート
(22):再封用粘着層
(23):熱融着性樹脂層
(24):ノッチ
(3):蓋
(3a):開封用タブ
(30):複合シート
(32):熱融着性樹脂層
(4):熱融着部
(5):内容物
(S1):熱融着部とノッチとの間隔

Claims (2)

  1. 開口周縁にフランジを有している容器と、内容物が充填された容器の開口を塞ぐようにフランジに剥離可能に熱融着されかつ外周部における周方向の一部にフランジよりも外方に突出した開封用タブを有している蓋とを備えており、
    フランジの上面が熱融着性樹脂層によって構成されているとともに、同熱融着性樹脂層と熱融着可能な熱融着性樹脂層によって蓋の下面が構成され、また、フランジの熱融着性樹脂層の下面に再封用粘着層が積層されており、
    フランジの上面における蓋との熱融着部よりも内側部分に、熱融着性樹脂層をほぼ分断しうる深さを有するノッチが全周にわたって形成されていて、開封用タブを引き上げて蓋を剥離することによりノッチよりも外側のフランジ部分の再封用粘着層が露出するようになされており、また、同ノッチは、蓋の剥離位置が容器の開口を越えてノッチから離れる付近に達した時点で剥離抵抗を高めて蓋の剥離を停止させうるような位置に形成されている、包装体。
  2. 熱融着部とノッチとの間隔が2〜5mmである、請求項1記載の包装体。
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