JP2019085027A - ワイヤーハーネスおよびワイヤーハーネスの組付方法 - Google Patents

ワイヤーハーネスおよびワイヤーハーネスの組付方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ワイヤーハーネスを車両に配設するのにより適した技術を提供することを目的とする。【解決手段】ワイヤーハーネス10は、車両に搭載される車両搭載部品20と、長手方向に沿った少なくとも一部が前記車両搭載部品20に沿って接着されている電線30と、を備える。例えば、前記車両搭載部品20は、硬質プラスチックで形成された硬質部を有し、前記電線30が前記硬質部に接着されている。また例えば、ワイヤーハーネス10は、前記電線30と前記硬質部との線膨張係数の違いに起因する熱応力によって電線30の傷つきを防ぐ熱応力対策構造部をさらに備える。【選択図】図1

Description

この発明は、ワイヤーハーネスを車両に配設する技術に関する。
ワイヤーハーネスを車両に取付けるに当たり、例えば特許文献1に記載の技術のように、ワイヤーハーネスを車体パネルに固定した後、その上に内装部材を取付けることがある。
特許文献1は、車両のサイドシルにワイヤーハーネスを配設する技術を開示している。特許文献1に記載の技術は、電線を収めたプロテクタを車体パネルに固定したうえで、プロテクタの上にスカッフプレートを被せるものである。
特開2007−99007号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、電線に振動が生じる恐れがあり、振動対策が必要となる場合がある。さらに、車両組み立て工場における作業工程が多くなる恐れ、プロテクタを設ける分、配設スペースが狭くなったり重量が増加したりする恐れなどもある。
そこで、本発明は、ワイヤーハーネスを車両に配設するのにより適した技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の態様に係るワイヤーハーネスは、車両に搭載される車両搭載部品と、長手方向に沿った少なくとも一部が前記車両搭載部品に沿って接着されている電線と、を備える。
第2の態様に係るワイヤーハーネスは、第1の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記車両搭載部品は、硬質プラスチックで形成された硬質部を有し、前記電線が前記硬質部に接着されている。
第3の態様に係るワイヤーハーネスは、第2の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記電線と前記硬質部との線膨張係数の違いに起因する熱応力によって電線の傷つきを防ぐ熱応力対策構造部をさらに備える。
第4の態様に係るワイヤーハーネスは、第3の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記電線と前記硬質部との間に介在し弾性を有する弾性接着層をさらに備え、前記弾性接着層が、前記熱応力対策構造部を兼ねている。
第5の態様に係るワイヤーハーネスは、第3又は第4の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記熱応力対策構造部として、前記電線と前記硬質部との接着箇所が、前記電線の長手方向に沿って間隔をあけて複数設けられた断続接着部が形成されている。
第6の態様に係るワイヤーハーネスは、第3から第5のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネスであって、前記熱応力対策構造部として、前記電線の接着領域に前記電線が蛇行する蛇行部が形成されている。
第7の態様に係るワイヤーハーネスは、第1から第6のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネスであって、前記電線と、前記車両搭載部品とが接着層を介して接着されている。
第8の態様に係るワイヤーハーネスは、第7の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記接着層が前記車両搭載部品の表面に設けられている。
第9の態様に係るワイヤーハーネスは、第7又は第8の態様に係るワイヤーハーネスであって、前記接着層が前記電線の外周に設けられている。
第10の態様に係るワイヤーハーネスは、第7から第9のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネスであって、前記接着層は、熱可塑性樹脂を含む。
第11の態様に係るワイヤーハーネスは、第7から第9のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネスであって、前記接着層は、反応硬化性樹脂を含む。
第12の態様に係るワイヤーハーネスは、第1から第11のいずれか1つの態様に係るワイヤーハーネスであって、前記車両搭載部品は、露出する意匠面を有する内装部材であり、前記電線が前記意匠面の裏側の面に接着されている。
第13の態様に係るワイヤーハーネスの組付方法は、(a)車両に搭載される車両搭載部品に対して、電線の長手方向に沿った少なくとも一部を沿わせて接着させてワイヤーハーネスを形成する工程と、(b)前記工程(a)の後で前記ワイヤーハーネスを車両に組付ける工程と、を備える。
第1から第12の態様によると、電線が車両搭載部品に接着されているため、車両に搭載される電線の振動を抑制できる。また、車両搭載部品を車両に組付けるときに電線を一緒に組みつけることができる。
特に、第2の態様によると、硬質部と電線を一体化できる。このとき硬質部で電線を保護することができる。
電線を硬い部材に接合すると、熱応力によって電線が傷つく恐れがある。この場合でも、第3の態様によると、熱応力対策構造部が設けられていることによって、硬質部と電線が一体化されていても、電線が傷つきにくくなる。
特に、第4の態様によると、弾性接着層が電線と硬質部との膨張量(収縮量)の差を吸収できる。
特に、第5の態様によると、断続接着部が形成されることによって、熱応力が一か所に集中しにくい。
特に、第6の態様によると、蛇行部が形成されることによって、熱応力が一か所に集中しにくい。
特に、第7の態様によると、接着層を用いることによって電線と車両搭載部品とを直接接着させづらい場合でも接着させやすくなる。
特に、第8の態様によると、車両搭載部品の表面に設けておいた接着層を用いて接着できる。
特に、第9の態様によると、電線の外周に設けておいた接着層を用いて接着できる。
特に、第10の態様によると、先に設けた接着層を加熱により融かして簡易に接着させることができる。
特に、第11の態様によると、接着部分の耐熱性を向上させることができる。
特に、第12の態様によると、内装部材とともに電線を車両に組付けることができる。
第13の態様によると、電線を車両搭載部品とともに車両に組付けることができる。
第1実施形態に係るワイヤーハーネスを示す斜視図である。 第1実施形態に係るワイヤーハーネスを示す側面図である。 図1のIII−III線に沿って切断した断面図である。 第2実施形態に係るワイヤーハーネスを示す断面図である。 第2実施形態に係るワイヤーハーネスの変形例を示す断面図である。 第3実施形態に係るワイヤーハーネスを示す側面図である。 第4実施形態に係るワイヤーハーネスを示す断面図である。 第4実施形態に係るワイヤーハーネスを示す断面図である。
{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係るワイヤーハーネスについて説明する。図1は、第1実施形態に係るワイヤーハーネス10を示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係るワイヤーハーネス10を示す側面図である。図3は、図1のIII−III線に沿って切断した断面図である。
ワイヤーハーネス10は、車両に搭載される車両搭載部品20と、長手方向に沿った少なくとも一部が車両搭載部品20に沿って接着されている電線30と、を備える。
車両搭載部品20は、露出する意匠面を有する内装部材であるものとして説明する。係る内装部材は、例えば、ロッカー部(サイドシル)又はピラー等を覆うカバー部材であることが考えられる。また例えば、内装部材は、インストルメントパネルであることも考えられる。また例えば、内装部材は、ドアトリム、ルーフトリム、トランクトリム等の各種トリムであることも考えられる。図1に示す例では、車両搭載部品20は、ロッカー部80を覆うカバー部材22である。
ここでは、カバー部材22は、横断面L字状に形成されている。カバー部材22において、外側面23が意匠面であり、内側面24が車体パネル側を向く。
車両搭載部品20は、硬質プラスチックで形成された硬質部を有することが好ましい。図1に示す例では、カバー部材22は、一の硬質プラスチックを材料とした一体成形品である。つまり、カバー部材22は、硬質部のみを有している。もっとも、車両搭載部品20は、軟質プラスチックまたは布等で形成された軟質部を有していてもよい。この場合、車両搭載部品20において、電線30の配設面は、硬質部であるとよい。従って、例えば、車両搭載部品20における意匠面が軟質部であり、意匠面の裏側が硬質部であることなどが考えられる。
電線30は、芯線32と芯線32を覆う絶縁被覆34とを含む。芯線32は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電体を材料として形成される。芯線32は、通常、複数の素線が撚られた撚線であるが、一本の素線からなる単芯線であってもよい。絶縁被覆34は、例えば、絶縁性を有する樹脂が芯線32の周囲に押出成形されて形成される。また例えば、絶縁被覆34は、絶縁性を有する樹脂塗料が芯線32の周囲に塗布されて形成される。
電線30は、長手方向に沿った少なくとも一部が車両搭載部品20における配設面に配設および接着された態様とされている。例えば電線30のうち長手方向に沿った全体が配設面に配設および接着されていることが考えられる。また例えば電線30のうち長手方向に沿った中間部分が配設面に配設および接着され、端部が車両搭載部品20より延出していることなども考えられる。ここでは、電線30は、車両搭載部品20における意匠面の裏側の面、より具体的には、カバー部材22における上記内側面24に接着されている。ここで、内側面24は硬質部であり、電線30は、硬質部に接着されているとも言える。
車両搭載部品20において電線30が配設される配設面には、溝など、電線30を保持しやすくするための保持構造部が形成されていない。しかしながら、配設面において、溝など、電線30を保持しやすくするための保持構造部が形成されている場合もあり得る。
電線30と車両搭載部品20との接着態様は、特に限定されるものではなく、種々の接着態様を採用することができる。例えば、電線30と車両搭載部品20とは、間に何も介さずに電線30と車両搭載部品20とのうち少なくとも一方の表面に存在する樹脂が溶けて相手側に直接的に接着していることが考えられる。また、例えば、電線30と車両搭載部品20とは、間に接着層を介して間接的に接着していることも考えられる。接着層を介する場合については詳しくは第2実施形態で後述する。
電線30と車両搭載部品20とが直接的に接着している場合、表面の樹脂を溶かす手段としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、局所的に溶かすことが可能な手段であるとよい。局所的に溶かすことが可能な手段としては、例えば、超音波溶着、レーザ溶着等の手段を採用することができる。
電線30と車両搭載部品20とが直接的に接着している場合、電線30の絶縁被覆34は、なるべく溶けずに、主として車両搭載部品20の表面が溶けていることが好ましい。例えば、車両搭載部品20側の表面を溶かした状態で、当該溶けている部分に電線30を配設することが考えられる。このように、主として車両搭載部品20の表面が溶けた状態で、電線30と車両搭載部品20とを接着させると、図3に示すように、電線30の少なくとも一部が車両搭載部品20に埋まる構成となることが考えられる。このとき埋まる領域は、特に限定されるものでは。図3に示す例では、4分の1周分より小さい領域が埋まっているが、4分の1周分より大きい領域が埋まっていることも考えられる。特に、半周分より大きい領域が埋まっていることも考えられるし、1周分埋まっていることも考えられる。埋まっている領域が大きくなるほど、接着力が強なる。この際、電線30の径が小さくなるほど、埋めやすくなる。
ここではワイヤーハーネス10は、熱応力対策構造部40をさらに備える。
一般的に、車両部品として使われる硬質プラスチックの熱膨張率(線膨張係数)は芯線32を構成する金属導体の熱膨張率に比べて数倍〜十倍程度大きい場合が多い。このため、硬質プラスチック部材と電線30とが強固に一体化されている構造で低温に晒された場合、硬質プラスチック部材の収縮により、電線30に縮み方向の熱応力が加わり、最悪の場合、熱応力が集中した箇所において芯線32が座屈し断線に至る場合がある。
熱応力対策構造部40は、上記したような電線30と硬質部との線膨張係数の違いに起因して生じる熱応力によって電線30が傷つくのを防ぐ部分である。ここでは、熱応力対策構造部40として、断続接着部42が形成されている。
断続接着部42は、電線30と硬質部との接着部分44が、電線30の長手方向に沿って間隔をあけて複数設けられた部分である。つまり、断続接着部42は、電線30と硬質部とが接着された接着部分44と、電線30と硬質部とが接着されていない未接着部分45とが、電線30の長手方向に沿って交互に設けられた部分であるととらえることもできる。電線30と硬質部との接着部分44の間隔は、適宜設定されていればよく、すべて等間隔であってもよいし、一部異なる間隔であってもよい。断続接着部42が設けられることによって、熱応力によって電線30が傷つくのを防ぐことができる。より詳細には、断続接着部42における電線30と硬質部とが接着されていない未接着部分45が、電線30と硬質部とのうち一方が他方を拘束していない状態となっており、かつ各接着部分44の隣に位置することによって、未接着部分45の電線30が撓むことにより熱応力を分散でき、もって熱応力によって電線30が傷つくのを防ぐことができる。
上記ワイヤーハーネス10は、車両への組付け前の状態で、電線30と車両搭載部品20とが接着されている。従って、上記ワイヤーハーネス10における車両搭載部品20を車両に組付けることによって、電線30も車両に組付けられた状態となる。このため、車両組立工場において電線30の組付工程を簡略化できる。
上記のように構成されたワイヤーハーネス10によると、電線30が車両搭載部品20に接着されているため、車両に搭載される電線30の振動を抑制できる。
また、硬質部と電線30を一体化できる。このとき硬質部で電線30を保護することができる。
また、電線30を硬い部材に接合すると、熱応力によって電線30が傷つく恐れがある。この場合でも、熱応力対策構造部40が設けられていることによって、硬質部と電線30が一体化されていても、熱応力に起因する問題が生じにくくなる。特に、熱応力対策構造部40として断続接着部42が形成されることによって、熱応力が一か所に集中しにくい。
また、熱応力対策構造部40は、熱応力によって接着部分44が剥がれることを抑制することもできる。
また、意匠面23を有する内装部材22とともに電線30を車両に組付けることができる。
{第2実施形態}
第2実施形態に係るワイヤーハーネスについて説明する。図4は、第2実施形態に係るワイヤーハーネス110を示す断面図である。図5は、第2実施形態に係るワイヤーハーネス110の変形例を示す断面図である。なお、本実施の形態の説明において、これまで説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する(以下の各実施形態についても同様)。
本実施形態に係るワイヤーハーネス110は、電線30と、車両搭載部品20とが接着層60を介して接着されている事例である。
接着層60は、電線30及び車両搭載部品20のそれぞれの接着したい面を構成する材料に応じた材料で形成されている。ここでは、接着層60は、車両搭載部品20の配設面24に設けられている。このとき、車両搭載部品20の配設面24のうち電線30が配設されない部分にも接着層60が設けられている。図4に示す例では、車両搭載部品20の配設面のうち電線30が配設される部分およびその近傍に、一様に接着層60が設けられている。
もっとも、接着層は、図5に示すように、電線30側に設けられていてもよい。図5に示すワイヤーハーネス210において、接着層260は電線30の外周に設けられている。このとき、図5に示す例では、接着層260は電線30の外周に一周分設けられている。もっとも、接着層260が電線30の外周に設けられている場合でも、電線30の周方向に沿った一部のみに設けられている場合もあり得る。また、接着層260は一様な厚みで設けられているが、周方向に沿った一部で厚みの異なる部分を有していてもよい。
接着層60、260は、接着可能な状態と、接着不可な状態とに可逆的に状態変更可能であることが考えられる。かかる接着層60、260として例えば、熱可塑性樹脂を含むことが考えられる。かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、ナイロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂等であることが考えられる。熱可塑性樹脂は、一種類であってもよいし、複数種が混合されていてもよい。このとき接着層60、260に含まれる熱可塑性樹脂の融点は、電線30を構成する樹脂及び車両搭載部品20を構成する樹脂の融点よりも低いことが好ましい。
接着層60は、車両搭載部品20の配設面24を構成する材料と同系統の材料で、かつ可塑剤を多く含む材料によって形成されていることが考えられる。これにより、電線30を接着層60に埋め込みやすくなる。
接着層60、260が接着可能な状態と接着不可な状態とに可逆的に状態変更可能である場合、接着層60、260は、電線30及び車両搭載部品20の少なくとも一方に先に設けられて、接着不可な状態とされる。そして、接着工程において、電線30及び車両搭載部品20の少なくとも一方に予め設けられた接着層60、260が、接着不可な状態から接着可能な状態に状態変更される。この状態で、電線30及び車両搭載部品20が接着層60、260を介して接着されると、接着層60、260は、再び接着可能な状態から接着不可な状態に状態変更される。
より具体的には、溶融した熱可塑性樹脂を含む材料を電線30又は車両搭載部品20に設けた後、冷やして固めることによって、先に接着層60、260を設け、接着不可の状態とすることができる。例えば、接着層60、260を車両搭載部品20に設ける場合、溶融した熱可塑性樹脂を含む材料を車両搭載部品20の配設面24に塗布することが考えられる。また、金型を用いて車両搭載部品20を成形する際、二色成形することによって設けることも考えられる。また例えば、接着層60、260を電線30に設ける場合、溶融した熱可塑性樹脂を含む材料を電線30の外周面に塗布することが考えられる。また溶融した熱可塑性樹脂を含む材料を電線30の周囲に押出成形することも考えられる。
次に、熱風等の加熱手段によって、接着層60、260を加熱し、接着可能な状態に状態変更した状態で、電線30を車両搭載部品20に対して配設し、電線30と車両搭載部品20とを接着層60、260を介して接着させる。この後、接着層60、260を冷やして固めることによって、再び接着不可の状態とすることができる。
なお、超音波溶着、レーザ溶着などの手段を用いることによって、電線30の配設後に接着層60、260を加熱し、接着可能な状態に状態変更することもできる。
上記ワイヤーハーネス110、210によると、接着層60、260を用いることによって電線30と車両搭載部品20とを直接接着させづらい場合でも接着させやすくなる。
また、接着層60、260に熱可塑性樹脂が含まれていると、先に設けた接着層60、260を加熱により溶かして簡易に接着させることができる。
このときワイヤーハーネス110によると、車両搭載部品20の表面に設けておいた接着層60を用いて接着できる。
またワイヤーハーネス210によると、電線30の外周に設けておいた接着層260を用いて接着できる。
{第3実施形態}
第3実施形態に係るワイヤーハーネスについて説明する。図6は、第3実施形態に係るワイヤーハーネス310を示す側面図である。
本実施形態に係るワイヤーハーネス310は、熱応力対策構造部340の構造が第1実施形態に係るワイヤーハーネス10における熱応力対策構造部40の構造とは異なる。具体的には、熱応力対策構造部340として、電線30の接着領域に電線30が蛇行する蛇行部46が形成されている。この際、蛇行部46において全体に亘って連続的に電線30と車両搭載部品20とが接着されている。もっとも、蛇行部46において全体に亘って断続的に電線30と車両搭載部品20とが接着されていてもよい。この場合、例えば、曲げの頂点部分で電線30と車両搭載部品20とが接着され、その間の部分で電線30と車両搭載部品20とが接着されない態様などが考えられる。
ここでは蛇行部46において、電線30が長手方向に沿って一様に蛇行している。また、電線30が配設面24の広がる方向に対して平行な方向に蛇行している。もっとも、係る蛇行の態様は、特に限定されるものではない。電線30が長手方向に沿って大きく蛇行する部分と、小さく蛇行する部分とが存在している場合があり得る。また、電線30が配設面24に対して法線方向に蛇行している場合もあり得る。これについて詳しくは後述の第4実施形態で説明する。
蛇行部46には、複数の曲がった部分が存在する。このため、熱応力が生じても、複数の曲がった部分それぞれに分散してかかる。従って、ワイヤーハーネス310によると、蛇行部46が形成されることによって、熱応力が一か所に集中しにくい。また蛇行部46が設けられることによって、電線30と硬質部との線膨張係数の違いによる膨張、収縮の程度の差を吸収することが可能となる。
{第4実施形態}
第4実施形態に係るワイヤーハーネスについて説明する。図7および図8は、第4実施形態に係るワイヤーハーネス410を示す縦断面図である。
本実施形態に係るワイヤーハーネス410は、熱応力対策構造部440として、電線30の接着領域に電線30が蛇行する蛇行部446が形成されている。ここでは、蛇行部446において電線30が配設面24に対して法線方向に蛇行している事例である。また、ここでは、蛇行部46を支持する弾性支持部50が設けられている事例である。
弾性支持部50は、車両搭載部品20に設けられている。図7に示す例では、弾性支持部50は、バネ形状(板バネ形状)に形成されている。具体的には、弾性支持部50は、配設面24から離れる方向に延出するように配設面24に突設された支持柱部51と、支持柱部51の先端側に突設された片持梁部52とを含む形状に形成されている。
このとき、電線30が弾性支持部50の上(ここでは、片持梁部52の上)に配設される。そして、電線30に熱応力が掛かった際に、図8に示すように弾性支持部50が撓むことによって、その力を吸収することができる。なお、電線30と弾性支持部50とは接着されていてもよいし、接着されていなくてもよい。
ワイヤーハーネス410によると、蛇行部446が形成されることによって、熱応力が一か所に集中しにくい。また、弾性支持部50が形成されることによって、蛇行部446を支持することができる。
かかる弾性支持部50は、例えばゴム又は発泡樹脂等の弾性材料で形成されていることも考えられる。この場合、かかる弾性支持部50は、小片状に形成されて車両搭載部品20または電線30に貼り付けられることが考えられる。
{変形例}
これまで、熱応力対策構造部が、断続接着部42である事例、および蛇行部46である事例について説明したが、熱応力対策構造部がこれ以外の構成である場合も考えられる。例えば、上記接着層60が弾性接着層60であり、かかる弾性接着層60が熱応力対策構造部を兼ねている場合が考えられる。接着層60として弾性接着層60が設けられることによって、電線30と硬質部との膨張量(収縮量)の差を吸収できる。かかる弾性接着層60としては、例えば合成ゴム、エポキシ樹脂、又はシリコーン樹脂等を主成分としたいわゆる弾性接着剤を用いて形成されることが考えられる。また、樹脂を主成分とする接着剤の一成分として発泡剤を含むものを用いて、主成分となる樹脂を発泡させて発泡樹脂とすることによって、弾性を持たせることも考えられる。
またこれまで接着層60が接着可能な状態と接着不可な状態とに可逆的に状態変化が可能なものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではない。接着層60は、接着可能な状態から接着不可な状態に一度状態変更したら、接着可能な状態に状態変更が不可であることも考えられる。このような接着層60は、例えば反応硬化性樹脂を含む。係る反応硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、及び二液反応硬化性樹脂などが考えられる。接着層60が反応硬化性樹脂を含むことによって、接着部分44の耐熱性を向上させることができる。
接着層60は、粘着剤以外であるものとして説明してきたが、粘着剤で形成されていることも考えられる。接着層60は、例えば、両面粘着テープを貼り付けるなどして形成される。
また電線30は、車両搭載部品20の軟質部に接着されている場合も考えられる。この場合、車両搭載部品20は、硬質部を有していない場合もあり得る。
またこれまでワイヤーハーネスが、熱応力対策構造部を備えるものとして説明してきたが、このことは必須の構成ではなく、熱応力対策構造部が省略されている場合もあり得る。
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
10 ワイヤーハーネス
20 車両搭載部品
22 カバー部材(内装部材)
23 外側面(意匠面)
24 内側面
30 電線
32 芯線
34 絶縁被覆
40 熱応力対策構造部
42 断続接着部
44 接着部分
46 蛇行部
50 弾性支持部
51 支持柱部
52 片持梁部
60 接着層

Claims (13)

  1. 車両に搭載される車両搭載部品と、
    長手方向に沿った少なくとも一部が前記車両搭載部品に沿って接着されている電線と、
    を備える、ワイヤーハーネス。
  2. 請求項1に記載のワイヤーハーネスであって、
    前記車両搭載部品は、硬質プラスチックで形成された硬質部を有し、
    前記電線が前記硬質部に接着されている、ワイヤーハーネス。
  3. 請求項2に記載のワイヤーハーネスであって、
    前記電線と前記硬質部との線膨張係数の違いに起因する熱応力によって電線の傷つきを防ぐ熱応力対策構造部をさらに備える、ワイヤーハーネス。
  4. 請求項3に記載のワイヤーハーネスであって、
    前記電線と前記硬質部との間に介在し弾性を有する弾性接着層をさらに備え、
    前記弾性接着層が、前記熱応力対策構造部を兼ねている、ワイヤーハーネス。
  5. 請求項3又は請求項4に記載のワイヤーハーネスであって、
    前記熱応力対策構造部として、前記電線と前記硬質部との接着箇所が、前記電線の長手方向に沿って間隔をあけて複数設けられた断続接着部が形成されている、ワイヤーハーネス。
  6. 請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスであって、
    前記熱応力対策構造部として、前記電線の接着領域に前記電線が蛇行する蛇行部が形成されている、ワイヤーハーネス。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスであって、
    前記電線と、前記車両搭載部品とが接着層を介して接着されている、ワイヤーハーネス。
  8. 請求項7に記載のワイヤーハーネスであって、
    前記接着層が前記車両搭載部品の表面に設けられている、ワイヤーハーネス。
  9. 請求項7又は請求項8に記載のワイヤーハーネスであって、
    前記接着層が前記電線の外周に設けられている、ワイヤーハーネス。
  10. 請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスであって、
    前記接着層は、熱可塑性樹脂を含む、ワイヤーハーネス。
  11. 請求項7から請求項9のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスであって、
    前記接着層は、反応硬化性樹脂を含む、ワイヤーハーネス。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のワイヤーハーネスであって、
    前記車両搭載部品は、露出する意匠面を有する内装部材であり、
    前記電線が前記意匠面の裏側の面に接着されている、ワイヤーハーネス。
  13. (a)車両に搭載される車両搭載部品に対して、電線の長手方向に沿った少なくとも一部を沿わせて接着させてワイヤーハーネスを形成する工程と、
    (b)前記工程(a)の後で、前記ワイヤーハーネスを車両に組付ける工程と、
    を備える、ワイヤーハーネスの組付方法。
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