JP2019084675A - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明なフィルム基材上にシングルパス方式で印字する際の液寄りを防止でき、且つ印字物の色の濁りを防止して鮮やかな色調を表現できるインクジェット記録方法を提供すること。【解決手段】透明なフィルム基材上に、樹脂及び有機酸を少なくとも含むプレコート液を塗布し、乾燥させて、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量が5重量部以上50重量部以下の範囲であるプレコート層を形成し、次いで、プレコート層上に、顔料、顔料分散剤、水、水溶性有機溶剤及び界面活性剤を少なくとも含むインクをインクジェット法によりシングルパス方式で印字する。【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット記録方法に関し、より詳しくは、透明なフィルム基材上にシングルパス方式で印字する際の液寄りを防止でき、且つ印字物の色の濁りを防止して鮮やかな色調を表現できるインクジェット記録方法に関する。
特許文献1には、プラスチックフィルムにインクジェット法で印字する際の滲みを防止するために、予め該プラスチックフィルムにカチオン性ポリウレタン樹脂を塗布しておき、この上に、ヒドロキシ基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂を含有するインクを印字することが開示されている。
一方、特許文献2には、予め印刷用紙にインク組成物を凝集させる成分として有機酸を塗布しておくことが記載されている。
しかし、特許文献1の技術では、インクジェット法によりインクを印字する際にシングルパス方式を用いると、着弾したインクドット同士が引き寄せ合う所謂液寄りが生じてしまい、画像が不鮮明になることがわかった。
また、特許文献2の技術では、透明なプラスチックフィルム上に有機酸を塗布すると、有機酸が析出したり、有機酸による顔料の凝集が不均一になって大きな凝集物が形成されたりするため、透過光の拡散が生じて白濁化し、印字物の色調が鮮やかさを欠くことがわかった。
そこで本発明の課題は、透明なフィルム基材上にシングルパス方式で印字する際の液寄りを防止でき、且つ印字物の色の濁りを防止して鮮やかな色調を表現できるインクジェット記録方法を提供することにある。
また本発明の他の課題は、以下の記載によって明らかとなる。
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
1.
透明なフィルム基材上に、樹脂及び有機酸を少なくとも含むプレコート液を塗布し、乾燥させて、前記樹脂100重量部に対する前記有機酸の含有量が5重量部以上50重量部以下の範囲であるプレコート層を形成し、
次いで、前記プレコート層上に、顔料、顔料分散剤、水、水溶性有機溶剤及び界面活性剤を少なくとも含むインクをインクジェット法によりシングルパス方式で印字することを特徴とするインクジェット記録方法。
2.
前記プレコート層における前記樹脂の付量を0.5g/m2以上5g/m2以下の範囲にすることを特徴とする前記1記載のインクジェット記録方法。
3.
前記プレコート層における前記有機酸の付量を0.1g/m2以上1g/m2以下の範囲にすることを特徴とする前記1又は2記載のインクジェット記録方法。
4.
前記プレコート層における前記樹脂100重量部に対する前記有機酸の含有量を10重量部以上30重量部以下の範囲にすることを特徴とする前記1〜3の何れかに記載のインクジェット記録方法。
5.
前記樹脂は、ウレタン樹脂を含むことを特徴とする前記1〜4の何れかに記載のインクジェット記録方法。
6.
前記有機酸の第一解離定数pKa1が1.5以上4.5以下の範囲であることを特徴とする前記1〜5の何れかに記載のインクジェット記録方法。
7.
前記顔料分散剤は、50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の酸価を有する高分子分散剤を含むことを特徴とする前記1〜6の何れかに記載のインクジェット記録方法。
透明なフィルム基材上に、樹脂及び有機酸を少なくとも含むプレコート液を塗布し、乾燥させて、前記樹脂100重量部に対する前記有機酸の含有量が5重量部以上50重量部以下の範囲であるプレコート層を形成し、
次いで、前記プレコート層上に、顔料、顔料分散剤、水、水溶性有機溶剤及び界面活性剤を少なくとも含むインクをインクジェット法によりシングルパス方式で印字することを特徴とするインクジェット記録方法。
2.
前記プレコート層における前記樹脂の付量を0.5g/m2以上5g/m2以下の範囲にすることを特徴とする前記1記載のインクジェット記録方法。
3.
前記プレコート層における前記有機酸の付量を0.1g/m2以上1g/m2以下の範囲にすることを特徴とする前記1又は2記載のインクジェット記録方法。
4.
前記プレコート層における前記樹脂100重量部に対する前記有機酸の含有量を10重量部以上30重量部以下の範囲にすることを特徴とする前記1〜3の何れかに記載のインクジェット記録方法。
5.
前記樹脂は、ウレタン樹脂を含むことを特徴とする前記1〜4の何れかに記載のインクジェット記録方法。
6.
前記有機酸の第一解離定数pKa1が1.5以上4.5以下の範囲であることを特徴とする前記1〜5の何れかに記載のインクジェット記録方法。
7.
前記顔料分散剤は、50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の酸価を有する高分子分散剤を含むことを特徴とする前記1〜6の何れかに記載のインクジェット記録方法。
本発明によれば、透明なフィルム基材上にシングルパス方式で印字する際の液寄りを防止でき、且つ印字物の色の濁りを防止して鮮やかな色調を表現できるインクジェット記録方法を提供することができる。
以下に、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明のインクジェット記録方法は、フィルム基材上に、インクジェット法により印字する際に好適に用いることができ、前記インクジェット法としてシングルパス方式で印字する場合に特に好適に用いることができる。また、前記フィルム基材として、透明なフィルム基材を特に好ましく適用することができる。
まず、透明なフィルム基材上に、樹脂及び有機酸を少なくとも含むプレコート液を塗布し、乾燥させて、前記樹脂100重量部に対する前記有機酸の含有量が5重量部以上50重量部以下の範囲であるプレコート層を形成する。
次いで、前記プレコート層上に、顔料、顔料分散剤、水、水溶性有機溶剤及び界面活性剤を少なくとも含むインクをインクジェット法によりシングルパス方式で印字する。
これにより、透明なフィルム基材上にシングルパス方式で印字する際の液寄りを防止でき、且つ印字物の色の濁りを防止して鮮やかな色調を表現できる効果が得られる。
以下に、本発明を実施するための形態について更に詳しく説明する。
まず、インクジェット法による印字対象となる記録媒体を用意する。記録媒体は、フィルム基材上に、樹脂及び有機酸を少なくとも含むプレコート液を塗布してなるプレコート層を有する。
フィルム基材を構成する樹脂は格別限定されないが、例えばポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド等のようなプラスチックを好ましく挙げることができる。フィルム基材は、未延伸フィルム又は延伸フィルムの何れであってもよい。フィルム基材としては、インク非吸収性あるいはインク微吸収性のものを好適に用いることができる。また、フィルム基材の表面は、コロナ処理等の表面処理がなされていてもよい。本発明の効果を顕著に発揮する観点で、フィルム基材として透明なものを用いることができる。透明なフィルム基材における「透明」とは、JIS−K−7136により測定されたヘイズ値が20以下であるフィルム基材のことを指す。本発明において用いるフィルム基材のヘイズ値は10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。この条件を満たすものであれば、着色があるものも透明なフィルム基材に含まれる。
かかるフィルム基材上に塗布されるプレコート液は、樹脂及び有機酸を少なくとも含む。
樹脂は格別限定されないが、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂などを挙げることができ、特にウレタン樹脂が好適である。樹脂がウレタン樹脂を含むことによって、後のインクジェット法によって印字される画像の密着性を向上することができ、更に、印字後のフィルム基材の柔軟性を向上することができる。
樹脂としては、有機酸の分散性を向上させる等の観点で、カチオン性又はノニオン性の樹脂を好ましく用いることができ、特にカチオン性の樹脂が好適である。
以下に、カチオン性又はノニオン性のウレタン樹脂の具体例を挙げる。カチオン性のウレタン樹脂としては、例えば、第一工業製薬株式会社製の「スーパーフレックス620」及び「スーパーフレックス650」(「スーパーフレックス」は同社の登録商標)、三洋化成工業株式会社製の「パーマリンUC−20」(「パーマリン」は同社の登録商標)、大原パラヂウム化学株式会社製の「パラサーフUP−22」などを挙げることができる。ノニオン性のウレタン樹脂としては、例えば、第一工業製薬株式会社製の「スーパーフレックス500M」及び「スーパーフレックスE−2000」などを挙げることができる。
樹脂は、樹脂微粒子としてプレコート液に含有されることが好ましい。樹脂微粒子の体積平均粒子径は、10nm以上10μm以下の範囲であることが好ましい。体積平均粒子径の測定は、動的光散乱法、電気泳動法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができるが、動的光散乱法による測定が簡便で、且つ該粒子径領域を精度よく測定できる。
プレコート液における樹脂の含有量は、プレコート液の重量に対して5重量%〜40重量%の範囲とすることが好ましく、10重量%〜30重量%の範囲とすることが更に好ましい。
プレコート液に含有させる有機酸は、pH変動によってインク中の樹脂などの凝集や増粘を起こして、顔料を凝集することができる。
有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、シュウ酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、安息香酸、2−ピロリドン−5−カルボン酸、乳酸、アクリル酸又はその誘導体、メタクリル酸又はその誘導体、アクリルアミド又はその誘導体、スルホン酸誘導体等を好ましく挙げることができる。
有機酸を用いることによって、プレコート液を構成する樹脂等の他の成分との相溶性を向上でき、更に、プレコート液により形成されるプレコート層が乾燥しても塩になりにくいため、透明性に優れる効果も得られる。
有機酸の第一解離定数pKa1は、1.5以上4.5以下の範囲であることが好ましい。これにより、本発明の効果が更に顕著に奏される。
また、プレコート液のpHは、該プレコート液に含有させる有機酸の第一解離定数pKa1未満であることが好ましい。
プレコート液は溶媒を含有することができる。溶媒は格別限定されないが、例えば、水や有機溶剤等を用いることができる。溶媒は塗布後の乾燥により除去することができる。
また、プレコート液は界面活性剤を含有することができる。これにより、各種塗布方法への適合性を高めることができる。
プレコート液には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他、架橋剤、防黴剤、殺菌剤等、他の成分を適宜配合することができる。
フィルム基材上へのプレコート液の塗布方法は格別限定されないが、例えば、ローラー塗布法、カーテン塗布法、スプレー塗布法、インクジェット法等を好ましく挙げることができる。
フィルム基材上にプレコート液を塗布することによって、プレコート液に由来する樹脂及び有機酸を少なくとも含むプレコート層が設けられた記録媒体が得られる。
このとき、プレコート層における樹脂100重量部に対する有機酸の含有量が5重量部以上50重量部以下の範囲、好ましくは10重量部以上30重量部以下の範囲であることによって、透明なフィルム基材上にシングルパス方式で印字する際の液寄りを防止でき、且つ印字物の色の濁りを防止して鮮やかな色調を表現できる効果が得られる。
樹脂及び有機酸を含むプレコート層にインクが着弾すると、インクの溶媒により樹脂が膨潤して、プレコート層中の有機酸がインク中に溶け出す。溶け出した有機酸によって、インク中の顔料分散体が凝集、固定化することで、画像が形成される。このとき、プレコート層における樹脂100重量部に対する有機酸の含有量が5重量部以上50重量部以下の範囲であることによって、透明なフィルム基材上にシングルパス方式で印字する際の液寄りを防止でき、且つ印字物の色の濁りを防止して鮮やかな色調を表現できる効果が得られる。
これに対して、プレコート層における樹脂100重量部に対する有機酸の含有量が5重量部に満たない場合は、樹脂の膨潤に時間がかかるため、印字速度の早いシングルパス方式では、十分な量の有機酸がインク中に溶け出す前に液寄りが発生し、画像が不鮮明になる。また、プレコート層における樹脂100重量部に対する有機酸の含有量が50重量部を超える場合は、有機酸が析出したり、有機酸による凝集が不均一になって大きな凝集物が形成されたりするため、透明なフィルム基材を透過する透過光の拡散が生じて白濁化し、印字物の色調が鮮やかさを欠く。
プレコート層における樹脂の付量は、0.5g/m2以上5g/m2以下の範囲にすることが好ましい。これにより、本発明の効果が更に顕著に発揮される。
まt、プレコート層における有機酸の付量は、0.1g/m2以上1g/m2以下の範囲にすることが好ましい。これにより、本発明の効果が更に顕著に発揮される。
乾燥後のプレコート層の厚さは格別限定されないが、例えば、0.1μm以上4μm以下の範囲であることが好ましい。これにより、フィルム基材の質感が変化することを好適に防止でき、また、該プレコート層中に十分な量の有機酸を含有させることができる。
次に、記録媒体のプレコート層上にインクジェット法により印字する際に用いるインク(インクジェットインクともいう)について説明する。
インクは、顔料、顔料分散剤、水、水溶性有機溶剤及び界面活性剤を少なくとも含む。
顔料分散剤は、酸価を有する高分子分散剤(樹脂分散剤ともいう)を含むことが好ましく、特に50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の酸価を有する高分子分散剤を含むことが好ましい。これにより、液寄りを防止する効果を更に向上できる。
顔料分散剤は、アルカリ中和されたアニオン性基を有することが好ましい。アルカリ中和されたアニオン性基としては、アルカリ中和されたカルボキシル基、スルホン酸基等を好ましく例示でき、特に顔料凝集剤を作用させた際に速やかな凝集を実現する観点で、アルカリ中和されたカルボキシル基が好適である。
アニオン性基を中和するアルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム等の金属塩基化合物や、アンモニアや、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミンや、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン等を好ましく挙げることができる。
顔料分散剤として、例えば、アクリル系分散剤を好ましく用いることができる。アクリル系分散剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸共重合体から選択される一種又は複数種を好適に用いることができる。
アクリル系分散剤は、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸を含む。アクリル系分散剤として、(メタ)アクリル酸の重合体(即ち、ポリ(メタ)アクリル酸)、あるいは必要に応じてスチレンなどの他のモノマー成分を共重合した共重合体(即ち、(メタ)アクリル酸共重合体)を好適に用いることができる。
アクリル系分散剤として、例えば、BASF社製「ジョンクリル819」(酸価75mgKOH/g)、「ジョンクリル67」(酸価213mgKOH/g)等の市販品を用いることができる。
顔料分散剤は、1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
インク中における顔料分散剤の含有量は、顔料100重量部に対して10重量部以上100重量部以下の範囲であることが好ましく、10重量部以上50重量部以下の範囲であることが更に好ましい。
インクに含有させる顔料としては、従来公知のものを特に制限なく使用でき、水分散性顔料、溶剤分散性顔料等何れも使用可能であり、例えば、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料、あるいは酸化チタンやカーボンブラック等の無機顔料を好ましく用いることができる。これらの顔料は、インク中に上述した顔料分散剤により分散させた状態で存在させて、使用することができる。
不溶性顔料は格別限定されないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
有機顔料は格別限定されないが、例えば以下のものを好ましく例示できる。
イエロー又はオレンジ等に用いる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー155等が挙げられる。
マゼンタ又はレッド等に用いる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
シアン又はグリーン等に用いる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック等に用いる顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
インク中における顔料の分散状態の重量平均粒子径は、50nm〜200nmの範囲であることが好ましい。これにより、顔料の分散安定性を向上でき、インクの保存安定性を向上できる。顔料の粒子径測定は、動的光散乱法、電気泳動法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができるが、動的光散乱法による測定が簡便で、且つ該粒子径領域を精度よく測定できる。
顔料は、顔料分散剤およびその他所望する諸目的に応じて必要な添加物と共に、分散機により分散して用いることができる。
分散機としては、従来公知のボールミル、サンドミル、ラインミル、高圧ホモジナイザー等を使用できる。中でもサンドミルによって顔料を分散させると、粒度分布がシャープとなるため好ましい。また、サンドミル分散に使用するビーズの材質は、格別限定されないが、ビーズ破片の生成やイオン成分のコンタミネーションを防止する観点から、ジルコニアまたはジルコンであることが好ましい。さらに、このビーズ径は、0.3mm〜3mmであることが好ましい。
インクにおける顔料の含有量は格別限定されないが、例えば、無機顔料については7重量%〜18重量%の範囲であることが好ましく、有機顔料については0.5重量%〜7重量%の範囲であることが好ましい。
インクに含有させる水溶性有機溶剤としては、例えば、1価アルコール類、グリコール類(2価アルコール類)、3価アルコール類、グリコールエーテル類、アセテート類、アミン類、アミド類等を好ましく例示できる。
1価アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等を好ましく例示できる。
グリコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、エチレンオキサイド基の数が5以上のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、プロピレンオキサイド基の数が4以上のポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、チオジグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、3−メチル−2,4−ペンタンジオール等を好ましく例示できる。
3価アルコール類としては、例えば、グリセリン、ヘキサントリオール等を好ましく例示できる。
グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等を好ましく例示できる。
アセテート類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート等を好ましく例示できる。
アミン類としては、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等を好ましく例示できる。
アミド類としては、例えば、2−ピロリジノン、ジメチルイミダゾリジノン、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等を好ましく例示できる。
これらの溶剤は1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。
本発明においては、水溶性有機溶剤として、グリコール類又はグリコールエーテル類を少なくとも含有することが特に好ましい。これにより、インクジェット法におけるインク吐出安定性を更に向上できる。
インク中におけるグリコール類及びグリコールエーテル類の総含有量は、該インクの総重量に対して10重量%以上40重量%以下の範囲であることが好ましい。これにより、インク吐出安定性を向上でき、更に、記録媒体上に付与された後のインクの乾燥が好適に進行し、インク塗膜のにじみ防止とひび割れ防止を、より好適に両立できる。
インクは、吐出性向上や濡れ性向上のため、界面活性剤を含んでいることが好ましい。界面活性剤は格別限定されず、例えば、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等を好ましく例示できる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等を好ましく例示できる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等を好ましく例示できる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等を好ましく例示できる。
低表面張力化の観点から、これらの界面活性剤の一部はフッ素原子あるいは珪素原子に置換されていることが好ましい。
これらの界面活性剤は1種を単独で用いてもよいし、複数種を併用してもよい。インクにおける界面活性剤の含有量は、格別限定されないが、0.1重量%〜5.0重量%の範囲であることが好ましい。
インクには、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を適宜配合することができる。
以上に説明したインクを記録媒体に付与する際に用いるインクジェット法は格別限定されず、インクを装填したインクジェットヘッドを備えるプリンターを用いることができる。具体的には、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドのノズルからインクを液滴として吐出させ、これを記録媒体のプレコート層上に着弾させて印字を行うことができる。
インクジェットヘッドは、オンデマンド方式、コンティニュアス方式の何れであってもよい。インクジェットヘッドの液滴吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)等、何れの方式を用いてもよい。
特に、電気−機械変換方式に用いられる電気−機械変換素子として圧電素子を用いたインクジェットヘッド(ピエゾ型インクジェットヘッドともいう)が好適である。
一般的なフィルムの多くがロール形態で流通していることに鑑みて、シングルパス方式のインクジェット記録方法を用いることが好ましい。本発明の効果は、特にシングルパス方式のインクジェット記録方法において特に顕著になる。即ち、シングルパス方式のインクジェット記録方法を用いた場合、通常は上述したひび割れが発生し易くなるが、本発明によれば、このような場合においても高精細な画像を形成できる。
シングルパス方式のインクジェット記録方法とは、記録媒体が一つのインクジェットヘッドユニットの下を通過した際に、一度の通過でドットの形成されるべきすべての画素にインク滴を付与するものである。
シングルパス方式のインクジェット記録方法を達成する手段として、ラインヘッド型のインクジェットヘッドを使用することが好ましい。
ラインヘッド型のインクジェットヘッドとは、印字範囲の幅以上の長さを持つインクジェットヘッドのことを指す。ラインヘッド型のインクジェットヘッドとしては、一つのヘッドで印字範囲の幅以上であるものを用いてもよいし、複数のヘッドを組み合わせて印字範囲の幅以上となるように構成してもよい。
また、複数のヘッドを、互いのノズルが千鳥配列となるように並設して、これらヘッド全体としての解像度を高くすることも好ましい。
シングルパス方式のインクジェット記録方法、あるいは、複数のヘッドを並設して解像度を高くしたインクジェットヘッドを用いたインクジェット記録方法では、記録媒体上に付与されるインク付与量が比較的大きくなり易いが、本発明によれば、このような場合においても、にじみ防止やひび割れ防止の効果が発揮され、高精細な画像を形成できる効果が得られる。
本発明のインクジェット記録方法は、フィルム基材からなる記録媒体上にインクジェット法で印字する種々の用途に好適に用いることができる。本発明のインクジェット記録方法によって印字が成された記録媒体の用途は格別限定されない。印字済み記録媒体の用途の具体例としては、例えば、食品や飲料等を包装する包装用フィルム等を好ましく挙げることができる。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はかかる実施例により限定されない。
(実施例1)
<プレコート液の調製>
樹脂としてウレタン樹脂(カチオン性カーボネート系ポリウレタン樹脂微粒子のエマルジョン;第一工業製薬社製「スーパーフレックス650」)23重量%と、有機酸としてマロン酸(第一解離定数pKa1=2.8)2.2重量%と、イオン交換水(残量;全量が100重量%となる量)とを、撹拌しながら順次添加した後、5.0μmのフィルターにより濾過してプレコート液を得た。濾過前後で実質的な組成変化はなかった。
<プレコート液の調製>
樹脂としてウレタン樹脂(カチオン性カーボネート系ポリウレタン樹脂微粒子のエマルジョン;第一工業製薬社製「スーパーフレックス650」)23重量%と、有機酸としてマロン酸(第一解離定数pKa1=2.8)2.2重量%と、イオン交換水(残量;全量が100重量%となる量)とを、撹拌しながら順次添加した後、5.0μmのフィルターにより濾過してプレコート液を得た。濾過前後で実質的な組成変化はなかった。
<プレコート層の形成>
得られたプレコート液を、フィルム基材(二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学社製「FOS#60」))上に、膜厚(乾燥前)が7μmとなる塗布量で、ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃の熱風ドライヤーで乾燥させてプレコート層を形成した。プレコート層におけるウレタン樹脂の付量は0.4g/m2であり、マロン酸の付量は0.15g/m2であり、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量は、37.5重量部である。なお、プレコート層における樹脂及び有機酸の付量及び配合比(含有量の比)は、固形分ベースの値である。
得られたプレコート液を、フィルム基材(二軸延伸ポリプロピレンフィルム(フタムラ化学社製「FOS#60」))上に、膜厚(乾燥前)が7μmとなる塗布量で、ワイヤーバーを用いて塗布し、80℃の熱風ドライヤーで乾燥させてプレコート層を形成した。プレコート層におけるウレタン樹脂の付量は0.4g/m2であり、マロン酸の付量は0.15g/m2であり、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量は、37.5重量部である。なお、プレコート層における樹脂及び有機酸の付量及び配合比(含有量の比)は、固形分ベースの値である。
<インクの調製>
顔料としてピグメントブルー15:3を18重量%に、顔料分散剤として下記樹脂分散剤1を31.5重量%と、エチレングリコール20重量%と、イオン交換水(残量;全量が100重量%となる量)を加えた混合液をプレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、顔料の含有量が18重量%の顔料分散液を調製した。
顔料としてピグメントブルー15:3を18重量%に、顔料分散剤として下記樹脂分散剤1を31.5重量%と、エチレングリコール20重量%と、イオン交換水(残量;全量が100重量%となる量)を加えた混合液をプレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、顔料の含有量が18重量%の顔料分散液を調製した。
・樹脂分散剤1:アルカリ(水酸化ナトリウム)中和されたカルボキシル基を有する樹脂分散剤1(BASF社製「ジョンクリル819」、酸価75mgKOH/g、固形分20重量%)
この顔料分散液に含まれる顔料粒子の平均粒子径は109nmであった。なお、平均粒子径の測定はマルバルーン社製「ゼータサイザ1000HS」により行った。
上記顔料分散液27.8重量%に、エチレングリコール24.4重量%、界面活性剤(DIC社製「メガファックF−444」)0.2重量%及びイオン交換水(残量;全量が100重量%となる量)を撹拌しながら添加し、得られた混合液を1μmのフィルターにより濾過してインクを得た。濾過前後で実質的な組成変化はなかった。
<インクジェット印刷>
コニカミノルタ社製ピエゾ型インクジェットヘッド(360dpi、吐出量14pL)の独立駆動ヘッド2つをノズルが互い違いになるように配置し、720dpi×720dpiのヘッドモジュールを作成し、ステージ搬送機上に、搬送方向にノズル列が直交するように設置した。
コニカミノルタ社製ピエゾ型インクジェットヘッド(360dpi、吐出量14pL)の独立駆動ヘッド2つをノズルが互い違いになるように配置し、720dpi×720dpiのヘッドモジュールを作成し、ステージ搬送機上に、搬送方向にノズル列が直交するように設置した。
ヘッドモジュールのインクジェットに、上記により得られたインクを充填し、ステージ搬送機によって搬送されるフィルム基材のプレコート層上にシングルパス方式で15cc/m2のインク付与量でベタ印字できるようにインクジェット記録装置を構成した。
上記インクジェット記録装置を用いて、ステージ搬送機の搬送速度を20m/分の速度で搬送しながら、フィルム基材のプレコート層上の縦横5cmの正方形領域に対して、インクをインク付与量15cc/m2でベタ印字した後、ホットプレート上にて60℃で15分間乾燥し、ベタ画像を形成した。
<評価方法>
1.プレコート層の評価方法
プレコート液をフィルム基材上に塗布し、乾燥して形成されたプレコート層について、透明であるか、白濁しているかを目視で観察した。
1.プレコート層の評価方法
プレコート液をフィルム基材上に塗布し、乾燥して形成されたプレコート層について、透明であるか、白濁しているかを目視で観察した。
なお、比較例5においては、樹脂が含まれないプレコート液をフィルム基材に塗布して乾燥したところ、フィルム基材上にマロン酸の結晶がまばらに析出した。
2.印刷画像の評価方法
ベタ画像が形成されたフィルム基材について下記項目について評価した。
なお、比較例5においては、印字後のインクが均一にならず、まだらな状態になってしまい、評価が不可能であった。
(1)色調
ベタ画像の色調を目視で観察して下記評価基準で評価した。
[評価基準]
A:鮮やかなシアンの色を呈している。
B:シアンの色がわずかにくすんでいるが、問題ない。
C:シアンの色がくすんで黒っぽく見える。
ベタ画像の色調を目視で観察して下記評価基準で評価した。
[評価基準]
A:鮮やかなシアンの色を呈している。
B:シアンの色がわずかにくすんでいるが、問題ない。
C:シアンの色がくすんで黒っぽく見える。
(2)液寄り防止性
ベタ画像を目視で観察して液寄り防止性を下記評価基準で評価した。
[評価基準]
A:ベタ画像に液寄りは無く、濃度が均一になっている。
B:注視すると僅かに液寄りが発生しているが、ほぼ濃度が均一になっていて問題ない。
C:ベタ画像が液寄りによって不均一であり、濃度ばらつきがある。
ベタ画像を目視で観察して液寄り防止性を下記評価基準で評価した。
[評価基準]
A:ベタ画像に液寄りは無く、濃度が均一になっている。
B:注視すると僅かに液寄りが発生しているが、ほぼ濃度が均一になっていて問題ない。
C:ベタ画像が液寄りによって不均一であり、濃度ばらつきがある。
(3)密着性
ベタ画像部分にセロファンテープを圧着させ、テープの端を45°の角度で引き剥がしたあとの状態を観察し、下記評価基準で評価した。
[評価基準]
A:ベタ画像が剥がれず、試験前と変わらない。
B:テープ側にわずかな色移りがあるが、ベタ画像は均一に見える。
C:ベタ画像の一部が剥がれてしまい、まだらになっている。
ベタ画像部分にセロファンテープを圧着させ、テープの端を45°の角度で引き剥がしたあとの状態を観察し、下記評価基準で評価した。
[評価基準]
A:ベタ画像が剥がれず、試験前と変わらない。
B:テープ側にわずかな色移りがあるが、ベタ画像は均一に見える。
C:ベタ画像の一部が剥がれてしまい、まだらになっている。
(4)柔軟性
ベタ画像が形成されたフィルムの触感を、元のフィルム(プレコート層の塗布する前のフィルム)と比較し、下記評価基準で評価した。
[評価基準]
A:フィルムの硬さ、コシは変わらない。
B:同時に比較すると、ベタ画像が形成されたフィルムがやや硬く感じられるが、ほとんど触感は変わらない。
C:ベタ画像が形成されたフィルムが明らかに硬く、触感の違いがある。
ベタ画像が形成されたフィルムの触感を、元のフィルム(プレコート層の塗布する前のフィルム)と比較し、下記評価基準で評価した。
[評価基準]
A:フィルムの硬さ、コシは変わらない。
B:同時に比較すると、ベタ画像が形成されたフィルムがやや硬く感じられるが、ほとんど触感は変わらない。
C:ベタ画像が形成されたフィルムが明らかに硬く、触感の違いがある。
以上の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を1g/m2とし、マロン酸の付量を0.1g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を10重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を1g/m2とし、マロン酸の付量を0.1g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を10重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、プレコート液の有機酸としてマロン酸に代えてクエン酸(第一解離定数pKa1=3.1)を用い、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びクエン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を1g/m2とし、クエン酸の付量を0.2g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を20重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液の有機酸としてマロン酸に代えてクエン酸(第一解離定数pKa1=3.1)を用い、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びクエン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を1g/m2とし、クエン酸の付量を0.2g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を20重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を1.5g/m2とし、マロン酸の付量を0.1g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を6.7重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を1.5g/m2とし、マロン酸の付量を0.1g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を6.7重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を1.5g/m2とし、マロン酸の付量を0.7g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を46.7重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を1.5g/m2とし、マロン酸の付量を0.7g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を46.7重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を2g/m2とし、マロン酸の付量を0.2g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を10.0重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を2g/m2とし、マロン酸の付量を0.2g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を10.0重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1において、プレコート液の有機酸としてマロン酸に代えてコハク酸(第一解離定数pKa1=4.1)を用い、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びコハク酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を2g/m2とし、コハク酸の付量を0.5g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を25.0重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液の有機酸としてマロン酸に代えてコハク酸(第一解離定数pKa1=4.1)を用い、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びコハク酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を2g/m2とし、コハク酸の付量を0.5g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を25.0重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1において、プレコート液の樹脂としてウレタン樹脂とアクリル樹脂(アクリル樹脂微粒子のエマルジョン;日信化学工業社製「ビニブラン2687」)を併用し、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度、アクリル樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を2g/m2とし、アクリル樹脂の付量を2g/m2とし、マロン酸の付量を0.3g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を7.5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液の樹脂としてウレタン樹脂とアクリル樹脂(アクリル樹脂微粒子のエマルジョン;日信化学工業社製「ビニブラン2687」)を併用し、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度、アクリル樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を2g/m2とし、アクリル樹脂の付量を2g/m2とし、マロン酸の付量を0.3g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を7.5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(実施例9)
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を4g/m2とし、マロン酸の付量を2g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を50.0重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を4g/m2とし、マロン酸の付量を2g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を50.0重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(実施例10)
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を6g/m2とし、マロン酸の付量を0.5g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を8.3重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を6g/m2とし、マロン酸の付量を0.5g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を8.3重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(実施例11)
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を6g/m2とし、マロン酸の付量を2g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を33.3重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を6g/m2とし、マロン酸の付量を2g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を33.3重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(実施例12)
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を2g/m2とし、マロン酸の付量を0.5g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を25.0重量部とし、更に、インクの顔料分散剤として樹脂分散剤1に代えて下記樹脂分散剤2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を2g/m2とし、マロン酸の付量を0.5g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を25.0重量部とし、更に、インクの顔料分散剤として樹脂分散剤1に代えて下記樹脂分散剤2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
・樹脂分散剤2:アルカリ(水酸化ナトリウム)中和されたカルボキシル基を有する樹脂分散剤(BASF社製「ジョンクリル67」、酸価213mgKOH/g、固形分20重量%)
(実施例13)
実施例1において、プレコート液の樹脂としてウレタン樹脂に代えてアクリル樹脂を用い、プレコート液におけるアクリル樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるアクリル樹脂の付量を4g/m2とし、マロン酸の付量を0.3g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を7.5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液の樹脂としてウレタン樹脂に代えてアクリル樹脂を用い、プレコート液におけるアクリル樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるアクリル樹脂の付量を4g/m2とし、マロン酸の付量を0.3g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を7.5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(実施例14)
実施例1において、プレコート液の有機酸としてマロン酸に代えてプロピオン酸(第一解離定数pKa1=4.9)を用い、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びプロピオン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を2g/m2とし、プロピオン酸の付量を0.2g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を10重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液の有機酸としてマロン酸に代えてプロピオン酸(第一解離定数pKa1=4.9)を用い、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びプロピオン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を2g/m2とし、プロピオン酸の付量を0.2g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を10重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を2g/m2とし、マロン酸の付量を1.5g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を75.0重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を2g/m2とし、マロン酸の付量を1.5g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を75.0重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を4g/m2とし、マロン酸の付量を0.1g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を2.5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を4g/m2とし、マロン酸の付量を0.1g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を2.5重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を6g/m2とし、マロン酸の付量を0.2g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を3.3重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度及びマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を6g/m2とし、マロン酸の付量を0.2g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を3.3重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1において、プレコート液におけるマロン酸の配合を省略し、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を4g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を0.0重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液におけるマロン酸の配合を省略し、プレコート液におけるウレタン樹脂濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるウレタン樹脂の付量を4g/m2とし、樹脂100重量部に対する有機酸の含有量を0.0重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂の配合を省略し、プレコート液におけるマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるマロン酸の付量を0.2g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
実施例1において、プレコート液におけるウレタン樹脂の配合を省略し、プレコート液におけるマロン酸濃度、並びに、プレコート液の塗布量を調整することによって、プレコート層におけるマロン酸の付量を0.2g/m2としたこと以外は、実施例1と同様にして、ベタ画像を形成した。実施例1と同様に評価した結果を表1に示す。
<評価>
実施例と比較例の対比より、透明なフィルム基材上に、樹脂及び有機酸を少なくとも含むプレコート液を塗布し、乾燥させて、前記樹脂100重量部に対する前記有機酸の含有量が5重量部以上50重量部以下の範囲、好ましくは10重量部以上30重量部以下の範囲であるプレコート層を形成し、次いで、前記プレコート層上に、顔料、顔料分散剤、水、水溶性有機溶剤及び界面活性剤を少なくとも含むインクをインクジェット法によりシングルパス方式で印字するインクジェット記録方法によって、透明なフィルム基材上にシングルパス方式で印字する際の液寄りを防止でき、且つ印字物の色の濁りを防止して鮮やかな色調を表現できることがわかる。
実施例と比較例の対比より、透明なフィルム基材上に、樹脂及び有機酸を少なくとも含むプレコート液を塗布し、乾燥させて、前記樹脂100重量部に対する前記有機酸の含有量が5重量部以上50重量部以下の範囲、好ましくは10重量部以上30重量部以下の範囲であるプレコート層を形成し、次いで、前記プレコート層上に、顔料、顔料分散剤、水、水溶性有機溶剤及び界面活性剤を少なくとも含むインクをインクジェット法によりシングルパス方式で印字するインクジェット記録方法によって、透明なフィルム基材上にシングルパス方式で印字する際の液寄りを防止でき、且つ印字物の色の濁りを防止して鮮やかな色調を表現できることがわかる。
また、かかる効果は、プレコート層における樹脂の付量を0.5g/m2以上5g/m2以下の範囲にした場合、及び、プレコート層における有機酸の付量を0.1g/m2以上1g/m2以下の範囲にした場合に更に顕著に発揮されることがわかる。
また、実施例1〜12及び14と実施例13の対比より、プレコート層の樹脂が、ウレタン樹脂を含むことによって、密着性及び柔軟性を更に向上できることがわかる。
また、実施例1〜13と実施例14の対比より、有機酸の第一解離定数pKa1が1.5以上4.5以下の範囲であることによって、色調及び液寄り防止性を更に向上できることがわかる。
また、実施例1〜11、13及び14と実施例12の対比より、顔料分散剤が、50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の酸価を有する高分子分散剤を含むことによって、液寄り防止性を更に向上できることがわかる。
Claims (7)
- 透明なフィルム基材上に、樹脂及び有機酸を少なくとも含むプレコート液を塗布し、乾燥させて、前記樹脂100重量部に対する前記有機酸の含有量が5重量部以上50重量部以下の範囲であるプレコート層を形成し、
次いで、前記プレコート層上に、顔料、顔料分散剤、水、水溶性有機溶剤及び界面活性剤を少なくとも含むインクをインクジェット法によりシングルパス方式で印字することを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記プレコート層における前記樹脂の付量を0.5g/m2以上5g/m2以下の範囲にすることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録方法。
- 前記プレコート層における前記有機酸の付量を0.1g/m2以上1g/m2以下の範囲にすることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録方法。
- 前記プレコート層における前記樹脂100重量部に対する前記有機酸の含有量を10重量部以上30重量部以下の範囲にすることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のインクジェット記録方法。
- 前記樹脂は、ウレタン樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のインクジェット記録方法。
- 前記有機酸の第一解離定数pKa1が1.5以上4.5以下の範囲であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のインクジェット記録方法。
- 前記顔料分散剤は、50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下の酸価を有する高分子分散剤を含むことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のインクジェット記録方法。
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