JP2019080524A - 乾燥食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】クリスピー性に優れる食感を有し、吸湿が少なく、吸湿しても固結しにくい乾燥食品を提供する。【解決手段】本発明に係る乾燥食品は、乾燥した多糖類(A)に、液状食品及び20℃の水100gに対する溶解度が100g以下である糖類又は糖アルコール(B)が含浸され、乾燥されることにより得られる乾燥食品であって、前記多糖類(A)は、寒天、カッパカラギーナン、脱アシルジェランガムのカルシウム体、ネイティブジェランガム、LMペクチンのカルシウム体、アルギン酸カルシウム、カードラン、セルロース、デンプンのいずれか1以上であり、前記糖類又は糖アルコール(B)は、グルコース、トレハロース、ラクトース、パラチノース、エリスリトールのいずれか1以上であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ふりかけや顆粒エキス、粉末飲料などの乾燥食品に関する。
醤油などの液体調味料、果汁、飲料、食物の抽出物(エキス)といった液状食品を乾燥して粉末化し、ふりかけ、乾燥果汁、乾燥飲料、顆粒エキスとした乾燥食品が数多く市販されている。
このような乾燥食品は、吸湿性や潮解性が高く、高湿度条件下において短時間で固結して塊状になってしまう。吸湿して固結した乾燥食品は、加水分解による経時変化が著しく、味や品質が悪化するという問題がある。また、従来の乾燥食品は固結しやすいため、ガラス製や金属製の密閉容器、アルミ袋などに保管しなくてはならなかった。
以上のような問題から、従来、乾燥食品の固結を防止するために、種々の検討がなされている。例えば特許文献1には、馬鈴薯澱粉やタピオカ澱粉、ワキシーコーンスターチなどの澱粉部分分解物を添加して、顆粒状調味料の固結を防止する方法が記載されている。
また、特許文献2には、粉末調味料に大豆粉を混合することにより固結を防止する方法が記載されている。
特許文献3には、高分岐環状デキストリンを含有させることにより固結を防止する方法が記載されている。
特許文献4には、賦形剤として馬鈴薯澱粉及びデキストリンを含有し、賦形剤の割合と全窒素分の割合を調整することにより固結を抑制した醤油含有調味料が記載されている。
特許文献5には、粒子径が1〜50μmであり、且つ、かさ密度0.10〜0.5g/mlであるセルロース粉末を含有する固結防止剤が記載されている。
特許文献6には、寒天に調味エキス等で味付けをし、乾燥させてなることを特徴とする味付け寒天が記載されている。
特開平7−213250号公報 特開2015−123001号公報 特開2003−47430号公報 特開2013−188189号公報 特開2006−28452号公報 特開平5−161479号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法においては、固結の速度を遅くすることは可能であるが、経時的に固結してしまうという問題は解決に至っていない。
また、特許文献2に記載の方法においては、大豆粉を混合するため、大豆の味が出てしまったり、大豆に含まれる油分の酸化により経時的に味が変化したりしてしまうという問題がある。
特許文献3に記載の方法においては、デキストリンの中でも吸湿性が少ない高分岐環状デキストリンを使用しているが、高湿度の雰囲気では吸湿して固結してしまうという問題がある。
特許文献4に記載の方法においては、賦形剤として使用される馬鈴薯澱粉、デキストリンが吸湿しやすく、一定の条件を満たす使用量でしか固結防止効果を発揮できないという問題がある。
特許文献5に記載の方法においては、調味料粉末にセルロース粉末を混合しているだけであるため、調味料自体はそのままであり、吸湿により経時的に固結してしまうという問題がある。
特許文献6に記載の方法においては、原料として寒天を使用することにより、食物繊維を多く含む味付け寒天を得ることはできるが、クリスピー性に劣り、食感が硬くなり、さらに調味料の吸湿により経時的にクリスピー性が失われるという問題がある。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、クリスピー性に優れる食感を有し、吸湿が少なく、吸湿しても固結しにくい乾燥食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の多糖類に対し、液状食品と、特定の糖類又は糖アルコールとを含浸させて乾燥させることで、クリスピー性に優れる食感を有し、吸湿が少なく固結しにくい乾燥食品が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る乾燥食品は、乾燥した多糖類(A)に、液状食品及び20℃の水100gに対する溶解度が100g以下である糖類又は糖アルコール(B)が含浸され、乾燥されることにより得られる乾燥食品であって、前記多糖類(A)は、寒天、カッパカラギーナン、脱アシルジェランガムのカルシウム体、ネイティブジェランガム、LMペクチンのカルシウム体、アルギン酸カルシウム、カードラン、セルロース、デンプンのいずれか1以上であり、前記糖類又は糖アルコール(B)は、グルコース、トレハロース、ラクトース、パラチノース、エリスリトールのいずれか1以上であることを特徴とする。
以上のように、本発明によれば、クリスピー性に優れる食感を有し、吸湿が少なく、吸湿しても固結しにくい乾燥食品を提供することができる。
本発明において「乾燥食品」とは、乾燥食品全体の含水率が30%以下である食品をいう。本発明の乾燥食品において、含水率は25%以下であることが好ましい。乾燥食品全体の含水率が30%より大きくなると、味や品質の経時変化が生じる虞があるため好ましくない。
また、本発明に係る乾燥食品の原料として用いられる「液状食品」とは、常温(20℃)で液状である食品を示し、例えば液体調味料、果汁、飲料、エキス等をいう。ここで、「液状」とは、常温(20℃)で流動性を有していることを意味し、完全に液体である必要はなく、粘性のある性状、例えば一般にスープ状、ペースト状と呼ばれるものも含まれる。
液体調味料として、例えば薄口醤油、濃口醤油、たまり醤油、魚醤、ポン酢、ソース類、液体味噌類、カレールー、タバスコ、ケチャップなどが挙げられるが澱粉等で粘性を付けていない調味料が好ましい。
果汁として、例えばオレンジ、ブドウ、リンゴ、梅、メロン、マンゴーなどのように一般的に使用されている果実や、トマト、ニンジン、ホウレンソウなどのように一般的に使用されている野菜から得られる果汁、これら果汁を濃縮した濃縮果汁などが挙げられる。
飲料として、紅茶、緑茶、麦茶、ウーロン茶、ハーブティなどのお茶類、コーヒー、スポーツドリンクなどが挙げられる。
エキスとして、例えば各種生薬、各種茶などの植物抽出エキス、ブイヨンなどのような肉エキス、ホタテ、エビ、カニ、鰹などから得られる魚介エキス、昆布や椎茸などから得られる出汁等が挙げられる。
液状食品として、上記の液体調味料、果汁、飲料又はエキス等のうち1種を単独で含有していても、2種以上を含有していてもよい。また、液状食品は、本発明の効果を阻害しない程度に、スクロース、マルトースなどの糖類、食塩などの塩類、甘味料、アミノ酸、タンパク質、酸味料、脂質及びその乳化物等を含有していてもよい。
本発明に係る乾燥食品は、上記の液状食品と、糖類又は糖アルコール(B)とを乾燥した多糖類(A)に含浸させ、これを乾燥することにより得られるものである。原料として用いられる乾燥した多糖類(A)の含水率は、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましい。多糖類(A)は、賦形剤としての機能を果たし、高湿度条件下において多糖類(A)が吸湿することで、乾燥した液状食品の吸湿を抑制して固結を防止し、経時的な味の変化も抑制することができる。また、乾燥した多糖類(A)の形状として、特に限定はないが、粉末状、顆粒状又はフレーク状のものを使用することが好ましい。
本発明に係る多糖類(A)は、寒天、カッパカラギーナン、脱アシルジェランガムのカルシウム体、ネイティブジェランガム、LMペクチンのカルシウム体、アルギン酸カルシウム、カードラン、セルロース、デンプンのいずれか1以上の多糖類である。中でも、寒天は、イオン基の含有が少ない中性多糖類であり、塩、酸、糖などとの反応性が低く、乾燥食品の物性への影響が少ないため、好ましい。なお、これらの多糖類(A)のうち、1種を単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。2種以上の多糖類(A)を用いる場合、各多糖類(A)の分子が複雑に絡み合った複合体とすることができる。
上記多糖類(A)のうち、脱アシルジェランガム、アルギン酸塩及びLMペクチンは、カルシウムなどの2価カチオンと結合し、水に難溶性になっていることが好ましい。
セルロースとして、セルロース粉末、繊維状セルロース、結晶セルロースなどが挙げられる。これらのセルロースとして、パルプ由来のものや、小麦、アップル、シトラス、豆、キビ、ポテトなどの天然物由来のものを使用することができる。
多糖類(A)は、20℃,相対湿度80%における平衡含水率が30%以下であることが好ましい。これにより、乾燥食品の固結を防止することができる。20℃,相対湿度80%における平衡含水率は、28%以下であることがより好ましい。20℃,相対湿度80%における平衡含水率が30%より大きくとなると、乾燥食品が固結しやすくなる。
多糖類(A)は、20℃,相対湿度80%における平衡含水率と、20℃,相対湿度20%における平衡含水率との差が20%以下であることが好ましい。該平衡含水率の差は、吸湿性を表す指標であり、該平衡含水率の差が20%以下であることで、吸湿性が低く乾燥食品の固結を防止することができる。上記平衡含水率の差は、15%以下であることがより好ましい。上記平衡含水率の差が20%より大きくなると、吸湿性が高くなりすぎてしまい、固結防止の効果が得られないため好ましくない。
多糖類(A)は、40℃,相対湿度100%の条件下において潮解や固結しないことが好ましい。ここで、多糖類(A)の「潮解」とは、一部が水分に溶解している状態をいう。多糖類(A)の「固結」とは、多糖類(A)が凝集しており、スパテラで持ち上げても凝集物が壊れない状態をいう。
本発明に係る多糖類(A)は、20℃の水にほとんど溶解しないため、吸湿性が少なく、乾燥食品としたときの固結を防止することができる。
なお、多糖類(A)として、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、ゼラチンは、吸湿した際に水に溶解して粘質状態になってしまい、固結を防止することができず、食感も悪化してしまうため好ましくない。
さらに、多糖類(A)は、その網目構造中にローカストビーンガム、カシアガム又はグルコマンナン(C)が混在する複合体であっても良い。ローカストビーンガム、カシアガム又はグルコマンナン(C)のうち、1種を単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。これらローカストビーンガム、カシアガム又はグルコマンナン(C)は、単独で使用すると吸湿してしまい、乾燥食品の固結を防止することはできないが、多糖類(A)と共に使用することにより、乾燥食品の固結を防止することができる。
多糖類(A)と、ローカストビーンガム、カシアガム又はグルコマンナン(C)との複合体を得る方法として特に限定はなく、例えば、多糖類(A)の水溶液に、ローカストビーンガム、カシアガム又はグルコマンナン(C)の水溶液を混合して撹拌後、脱水乾燥し、粉末化する方法などが挙げられる。このような複合体が得られる方法であれば、混合や脱水、乾燥する方法は特に限定されない。
また、本発明の乾燥食品は、本発明の効果に影響を与えない程度に、他の多糖類(D)を含有することもできる。他の多糖類(D)として、例えばキサンタンガム、グアーガム、タラガム、タマリンドガム、アラビアガム、イオタカラギーナン、ラムダカラギーナンなどが挙げられる。
本発明の乾燥食品における多糖類(A)の含有量は、5〜95重量%であることが好ましく、10〜80重量%であることがより好ましい。多糖類(A)の含有量が5%重量未満となると、固結防止の作用が弱くなってしまう。また、95重量%より多いと、乾燥食品のうち多糖類(A)が大部分を占め、液状食品の割合が少なくなり味が薄くなってしまうため、好ましくない。
本発明の乾燥食品中の多糖類(A)の含有量は、製造時の添加量を調節することにより、上記範囲内に調節できる。乾燥食品中の多糖類(A)の含有量(重量%)は、以下の数式1にて算出することができる。
Figure 2019080524
本発明の乾燥食品において、原料として用いられる液状食品及び多糖類(A)の配合比は、質量基準における液状食品:多糖類(A)=1:0.05〜1:50であることが好ましく、1:0.3〜1:40であることがより好ましく、1:0.5〜1:30であることが特に好ましい。液状食品及び多糖類(A)の配合比が1:0.05〜1:50の範囲外となると、多糖類(A)に液状食品を含浸させることができなくなったり、液状食品の味が感じられなくなったりするため好ましくない。
多糖類(A)に液状食品を含浸させる方法として特に限定はなく、多糖類(A)と液状食品とを混合すればよい。多糖類(A)に液状食品を含浸させる際、水や食塩水などの溶媒を適宜用いてもよい。溶媒を使用する場合、液状食品を含浸しやすくするために、予め多糖類(A)に溶媒を含浸させた後、液状食品を添加することができる。
また、多糖類(A)に液状食品を含浸させる工程において、原料を一度に全量使用せず、一部の量を使用して、乾燥し、その後、残量を添加して再度乾燥させてもよい。
多糖類(A)に液状食品を含浸させ、吸液された多糖類(A)を得た後、当該吸液された多糖類(A)を乾燥することで、本発明に係る乾燥食品を得ることができる。乾燥処理は、乾燥後に得られる乾燥食品の含水量が30%以下、好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下になるまで行う。乾燥方法として、例えば熱風乾燥、ドラムドライ、フリーズドライ、真空乾燥などが挙げられる。乾燥条件として、乾燥温度は、30〜120℃が好ましく、50〜90℃がより好ましい。また、乾燥時間は、10分〜48時間が好ましく、20分〜24時間がより好ましい。
本発明に係る乾燥食品の形状は、例えば粉末状、顆粒状、粒子状又はフレーク状等とすることができる。粉末状とは、平均粒子径が5μm〜500μmであるものをいう。また、顆粒状とは、粉末状の乾燥食品が造粒機等により造粒されたものをいう。顆粒を造粒する方法は、流動層、押し出し、撹拌、など公知の方法で作製できる。粒子状とは、平均粒子径が500μmより大きいものをいう。フレーク状とは、鱗片状のものや、多孔質に加工されて比重が0.3以下になっているものなど、一般的にフレーク状と呼ばれるものをいう。
本発明に係る乾燥食品を粉末状、顆粒状又はフレーク状とする方法として、例えば、原料として用いる多糖類(A)として粉末状、顆粒状又はフレーク状のものを使用する方法、吸液された多糖類(A)の乾燥後に常法により粉砕や造粒を行う方法などが挙げられる。
原料として用いる多糖類(A)を粉末状、顆粒状又はフレーク状とする方法としては、予め目的の形状で市販されている多糖類(A)を使用する方法、粉末状の多糖類(A)を水に溶解してゲル化し、乾燥した後、目的の形状や大きさに粉砕する方法、粉末状の多糖類(A)を水に溶解してゲル化し、成形した後、乾燥する方法などが挙げられる。
本発明に係る糖類又は糖アルコール(B)は、グルコース、トレハロース、ラクトース、パラチノース、エリスリトールのいずれか1以上の糖類又は糖アルコールである。なお、糖類又は糖アルコール(B)として、原料の液状食品に予め含まれているものは考慮しないものとする。
本発明に係る糖類又は糖アルコール(B)は、結晶化して緻密な結晶構造をとるため、水蒸気や酸素の進入を防止し、それにより、乾燥した液状食品が吸湿により固結したり、酸化や水蒸気により劣化したりすることを防止できる。また、糖類又は糖アルコール(B)は、乾燥食品にサクサク感、クリスピー性を与え、食味に優れるという特長がある。
糖類又は糖アルコール(B)は、20℃の水100gに対する溶解度が100g以下であることが好ましく、70gであることがより好ましく、50gであることが特に好ましい。20℃の水に対する溶解度が100gより大きくなると、結晶化しにくく固結防止の効果が弱くなるため好ましくない。
本発明の乾燥食品における糖類又は糖アルコール(B)の含有量は、1〜50重量%であることが好ましく、3〜40重量%であることがより好ましい。糖類又は糖アルコール(B)の含有量が1重量%より少ないと固結防止や食感改良、経時変化防止の効果が少なくなり、50重量%より多いと食感が固くなりすぎてしまうため好ましくない。
本発明の乾燥食品における糖類又は糖アルコール(B)の含有量は、製造時の添加量を調節することにより、上記の範囲にすることができる。乾燥食品中の糖類又は糖アルコール(B)の含有量(重量%)は、上記多糖類(A)の含有量と同様に算出することができる。
本発明の乾燥食品は、多糖類(A)及び糖類又は糖アルコール(B)の配合比が、1:50〜1:0.01であることが好ましく、1:30〜1:0.05であることがより好ましく、1:20〜1:0.1であることがさらに好ましい。
糖類又は糖アルコール(B)は、例えばマルトース、スクロース等、上記糖類又は糖アルコール(B)以外の他の糖類又は糖アルコール(E)との混合物であってもよい。この場合、糖類又は糖アルコール(B)の含有量は、糖類又は糖アルコール(B)と他の糖類又は糖アルコール(E)との合計を100重量%として、20重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましく、50重量%以上であることがさらに好ましい。
糖類又は糖アルコール(B)を添加する方法として、原料の混合の順序や方法に限定はなく、例えば、液状食品に糖類又は糖アルコール(B)を溶解し、この溶液に多糖類(A)を添加する方法、糖類又は糖アルコール(B)を水に溶解し、さらに多糖類(A)を添加したものを、液状食品に添加する方法、多糖類(A)を液状食品に添加した後、糖類又は糖アルコール(B)を添加する方法などが挙げられる。また、予め乾燥させた液状食品に水や食塩水などの溶媒を添加し、その後多糖類(A)、糖類又は糖アルコール(B)を添加する方法を採用することもできる。
以上のように、本発明の乾燥食品は、高湿度条件下においても上記の多糖類(A)が吸湿するため、固結が防止され、味や品質の経時変化も少ない。また、本発明の乾燥食品は、上記の糖類又は糖アルコール(B)を含有するため、含水量を下げるごとにクリスピー性を有する食感を有し、食味に優れる。
また、本発明の乾燥食品は、本発明の効果に影響を与えない程度に、ごま、フライドガーリック、フライドオニオン、乾燥ネギなどといった液状食品以外の食材や、酸味料、香料、香辛料、保存料、着色料などの食品に通常用いられる添加物を含有していてもよい。これらの食材や添加物は、完成後の乾燥食品に混合してもよいし、多糖類(A)を液状食品に含浸させる際に添加してもよい。
本発明の乾燥食品は、従来の乾燥食品と同様に使用することができる。また、本発明の乾燥食品は、原料である液状食品の代わりに使用してもよい。
また、本発明に係る乾燥食品の製造方法は、乾燥した多糖類(A)に液状食品及び糖類又は糖アルコール(B)を含浸する工程と、前記液状食品及び糖類又は糖アルコール(B)が含浸された前記多糖類(A)を乾燥する工程と、を備え、前記多糖類(A)は、寒天、カッパカラギーナン、脱アシルジェランガムのカルシウム体、ネイティブジェランガム、LMペクチンのカルシウム体、アルギン酸カルシウム、カードラン、セルロース、デンプンのいずれか1以上であり、前記糖類又は糖アルコール(B)は、グルコース、トレハロース、ラクトース、パラチノース、エリスリトールのいずれか1以上であることを特徴とする。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
なお、以下において、%表示は特に指定がない場合は重量%を示す。
[多糖類(A)の用意又は調製]
実施例又は比較例において使用した多糖類(A)は、以下の通りである。
寒天1(粉末状):伊那寒天(登録商標)S−7(伊那食品工業社製)
寒天2(粉末状):伊那寒天ZR(伊那食品工業社製)
寒天3(顆粒状):100gの寒天1に、予め1gの寒天1を水50gに沸騰溶解した液を60℃にて加え、混錬した。これを直径1mmのメッシュから押し出して90℃で乾燥することで円柱状の顆粒を作製し、寒天3とした。
寒天4(フレーク状):寒天2を2重量%になるよう水に溶解し、冷却してゲル化後、1cm×2cm×1cmに切断した。これを冷凍庫に入れて凍らせた後、解凍して寒天分を分離して90℃で乾燥し、フレーク状の寒天4を作製した。
カッパカラギーナン(粉末状):イナゲル(登録商標)E−150(伊那食品工業社製)
脱アシルジェランガム(粉末状):CPケルコ社製
脱アシルジェランガムCa体(粉末状):水100gに脱アシルジェランガム2gを溶解後、10%乳酸カルシウム溶液を10g添加して冷却ゲル化した。これを90℃で乾燥し、粉砕後300μmの篩でふるって粉末状にした。
ネイティブジェランガム(粉末状):CPケルコ社製
アルギン酸カルシウム(粉末状):キミカ社製
LMペクチンCa体(粉末状):水100gにLMペクチン(イナゲルJP−20、伊那食品工業社製)2gを溶解後、10%乳酸カルシウム溶液を10g添加して冷却ゲル化した。これを90℃で乾燥し、粉砕後300μmの篩でふるって粉末状にした。
カードラン(粉末状):武田キリン食品社製
寒天−アルギン酸複合体(粒子状):5gの寒天1と、アルギン酸ナトリウム(イナゲルGS−80、伊那食品工業社製)5gとを水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した(作製量1000g)。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、キューブ状(10mm角×10mm角)に切断した。このキューブ状ゲル500gを0.18重量%濃度の塩化カルシウム溶液1000gに5時間浸漬した。浸漬後、キューブ状ゲルを取り出し、0.2%塩化ナトリウム溶液1000gに5時間浸漬した。その後、キューブ状ゲルを取り出し、40℃にて真空凍結乾燥して乾燥物とし、この乾燥物を、粉砕機(ハンマーミル、不二パウダル社製)を用いて平均粒子径2mmの粒子状に調整した。
寒天−カラギーナン複合体(粒子状):5gの寒天2と、カッパカラギーナン(イナゲルE−150、伊那食品工業社製)3gとを水に分散溶解後、加温し沸騰溶解した(作製量1000g)。これを容器に充填し冷却凝固させた後に、キューブ状(10mm角×10mm角)に切断した。その後、ゲルを取り出し40℃にて真空凍結乾燥して乾燥物とし、この乾燥物を、粉砕機(ハンマーミル、不二パウダル社製)を用いて平均粒子径1.5mmの粒子状に調整した。
寒天−グルコマンナン複合体(粉末状):20gの寒天1を500gの水に沸騰溶解させた液と、グルコマンナン(イナゲルマンナン100:伊那食品工業社製)2gを水100gに溶解させた液とを混合し、冷却してゲル化後にフリーズドライにより乾燥し、粉末化した。
寒天−ローカストビーンガム複合体(粉末状):寒天1の20gを500gの水に沸騰溶解させた液と、ローカストビーンガム(イナゲルL−15:伊那食品工業社製)2gを水100gに溶解させた液とを混合し、冷却してゲル化後にフリーズドライにより乾燥し、粉末化した。
寒天−カシアガム複合体(粉末状):寒天1の20gを水500gに沸騰溶解させた液と、カシアガム(伊那食品工業社製)2gを水100gに溶解させた液とを混合し、冷却してゲル化後にフリーズドライにより乾燥し、粉末化した。
カッパカラギーナン−ローカストビーンガム複合体(粉末状):カッパカラギーナン(イナゲルE−150)20gを水500gに沸騰溶解させた液と、ローカストビーンガム(イナゲルL−15:伊那食品工業社製)2gを水100gに溶解させた液とを混合し、冷却してゲル化後にフリーズドライにより乾燥し、粉末化した。
グアーガム:イナゲルGR−10(伊那食品工業社製)
タラガム:タラガムA(伊那食品工業社製)
ローカストビーンガム:イナゲルL−15(伊那食品工業社製)
タマリンドガム:イナゲルV−250(伊那食品工業社製)
馬鈴薯デンプン:精製乾燥殺菌馬澱(松谷化学工業社製)
アラビアガム:アラビアガムA(伊那食品工業社製)
キサンタンガム:イナゲルV−10(伊那食品工業社製)
結晶セルロース(粉末状):セオラス(登録商標)FD−101(旭化成ケミカルズ社製)
小麦ファイバー(粉末状):ビタセルWF−600(FIニュートリション社製)
[糖類又は糖アルコール(B)]
実施例又は比較例において使用した糖類又は糖アルコール(B)は、以下の通りである。
グルコース:日本食品化工社製
トレハロース:林原商事社製
ラクトース:ラクトジャパン社製
パラチノース:三井製糖社製
エリスリトール:物産フードサイエンス社製
[多糖類(A)の平衡含水率の測定]
各種多糖類(A)の20℃,相対湿度80%における平衡含水率と、20℃,相対湿度20%における平衡含水率とを測定した。具体的には、7cm×10cmの重量既知のステンレスバットに、多糖類(A)を30g入れ、90℃で24時間乾燥させて、水分を蒸発させて水分値を統一した。この乾燥物を恒温恒湿機(エスペック社製、LH−114)に入れ、20℃,相対湿度80%で24時間保ち、重量を測定して平衡含水率を求めた。また、上記乾燥物をインキュベーター(ヤマト科学社製、IN602)に入れ、20℃,相対湿度20%に24時間保ち、恒量になったことを確認し、重量を測定して平衡含水率を求めた。さらに、これらの平衡含水率の差を求め、結果を表1に示した。
[多糖類(A)の水への溶解性]
多糖類(A)の20℃の水100gに対する溶解性を評価した。多糖類であるため溶解度が正式に数値として表せないため、以下の5段階で評価した。結果を表1に示す。
◎:非常によく溶ける
〇:溶解する
△:若干溶解する
×:ほとんど溶解しない
××:溶解しない
[多糖類(A)の潮解・固結の評価]
40℃,相対湿度100%の条件下において、多糖類(A)の潮解や固結状態を下記の3段階で評価した。潮解は一部が溶解している状態であり、固結とは、多糖類(A)が凝集しており、スパテラで持ち上げても凝集物が壊れない状態である。
〇:潮解も固結もしていない
△:固結している
×:潮解している
Figure 2019080524
[乾燥食品の評価]
作成した乾燥食品の食味、固結及び経時変化の評価方法は以下の通りである。
1.食味
作製直後の乾燥食品0.5gを食して食感を調べ、以下の3段階で評価した。
A:サクサク感、クリスピー感があり、食味に優れる
B:原料の液状食品と同様な食味である
C:原料の液状食品に比べ味立ちが悪く食味に劣る
2.固結
乾燥食品100gを直径10mmのシャーレに入れ(蓋はしない)、30℃,相対湿度80%で24時間放置後、30℃,相対湿度30%で24時間放置する工程を1サイクルとするサイクルテストを7サイクル実施して固結状況を確認し、以下の4段階で評価した。
◎:固結なし
〇:若干固結があるが、軽く撹拌すると壊れて問題ない程度
△:固結があり使用が難しい
×:固結が激しく一部潮解している
3.経時変化
乾燥食品100gをポリエチレン製の袋に入れて40℃にて1か月保管した。比較品として、乾燥食品を4℃(冷蔵庫)で保管したものと味を比較し、以下の4段階で評価した。
◎:比較品と同一の味である
〇:◎より劣るが問題のない程度
△:劣る
×:△より劣り風味や味の劣化が激しい
[実験例1:乾燥醤油の作製(多糖類(A)を変更)]
(実施例1〜20及び比較例1〜6:グルコース使用)
表2に示した多糖類(A)100gを、グルコースを5%溶解させた濃口醤油(食塩含量14.5%)280gに添加して、グルコースを含有する濃口醤油を多糖類に含浸させた後、真空乾燥機にて乾燥し、実施例1〜20及び比較例1〜6に係る乾燥醤油を作製した。得られた乾燥醤油における多糖類(A)の含有量は77%であり、グルコースの含有量は4%であった。
(比較例7〜10:マルトース使用)
グルコースの替わりにマルトースを使用したこと以外は実施例1〜4と同様にして、比較例7〜10に係る乾燥醤油を作製した。
乾燥醤油の食味、固結及び経時変化を上記方法により評価し、結果を表3に示した。
Figure 2019080524
Figure 2019080524
以上のように、実施例1〜20に係る乾燥醤油は、食味に優れ、吸湿による固結が少なく、経時変化も少なかったことがわかる。比較例7〜10は、糖類又は糖アルコール(B)としてマルトースを使用しているため、クリスピー性に劣り、食味が劣った。
[実験例2:乾燥醤油の作製(多糖類(A)(寒天4)の割合を変更)]
(実施例21〜25:寒天4及びトレハロース使用)
表4に示した配合にて、実施例21〜25に係る乾燥醤油を作製した。具体的には、糖類又は糖アルコール(B)としてトレハロースを使用し、トレハロースを加熱溶解させた濃口醤油(食塩含量14.5%)に対し、100gの寒天4を含浸させた後、送風乾燥機を使用して50℃で乾燥し、乾燥醤油を得た。実施例21及び22においては、濃口醤油のうち一部の量及び糖を寒天4に含浸させたものを一旦乾燥し、残りの濃口醤油を添加して再度乾燥し、これを繰り返すことにより乾燥醤油を作製した。得られた乾燥醤油における寒天4の含有量を測定し、表4に示した。また、実験例1と同様に、作製した乾燥醤油の評価を行い、結果を表6に示した。
(比較例11〜15:寒天4、スクロース及びマルトース使用)
表5に示した配合にて、比較例11〜15に係る乾燥醤油を作製した。具体的には、トレハロースの代わりにスクロース50%及びマルトース50%の混合物を用いたこと以外は実施例21〜25とそれぞれ同様にして、比較例11〜15に係る乾燥醤油を作製した。得られた乾燥醤油における寒天4の含有量を測定し、表5に示した。また、実験例1と同様に、作製した乾燥醤油の評価を行い、結果を表6に示した。
Figure 2019080524
Figure 2019080524
Figure 2019080524
以上のように、実施例21〜25に係る乾燥醤油は、寒天4の割合が5〜95%であり、食味に優れ、吸湿による固結が少なく、経時変化も少なかったことがわかる。
[実験例3:各種乾燥食品の作製(液状食品を変更)]
(実施例26〜35:寒天−カラギーナン複合体及びエリスリトール使用)
表7に示した配合にて、寒天−カラギーナン複合体100gに対し、エリスリトールを添加した液状食品をそれぞれ含浸し、真空凍結乾燥機で乾燥し、実施例26〜35に係る各種乾燥食品を作製した。1回で含浸しきれなかったものについては、乾燥後さらに残りを含浸させ、再度乾燥した。実験例1と同様に、作製した乾燥食品の評価を行い、結果を表8に示した。
Figure 2019080524
Figure 2019080524
以上のように、実施例26〜35に係る乾燥食品は、いずれもクリスピー性に優れ、固結が少なく経時変化も少なかったことがわかる。
[実験例4:乾燥寒天リンゴの作製(寒天4使用)]
(実施例36〜39:糖類又は糖アルコール(B)を変更)
表9に示した配合にて乾燥寒天リンゴを作製した。具体的には、リンゴ果汁(5倍濃縮、糖度30)に対し、予め糖類又は糖アルコール(B)としてトレハロース、エリスリトール、パラチノース又はラクトースをそれぞれ水に溶解したものを混ぜ合わせた。この溶液を寒天4に含浸させた後、80℃にて送風乾燥し、実施例36〜39に係る乾燥寒天リンゴを作製した。実験例1と同様に、作製した乾燥寒天リンゴの評価を行い、結果を表10に示した。
(比較例16:糖類又は糖アルコール(B)無添加)
表9に示すように、糖類又は糖アルコール(B)を添加しなかったこと以外は実施例36〜39と同様にして、比較例16に係る乾燥寒天リンゴを作製した。実験例1と同様に、作製した乾燥寒天リンゴの評価を行い、結果を表10に示した。
Figure 2019080524
Figure 2019080524
以上のように、実施例36〜39に係る乾燥寒天リンゴは、クリスピー性を有する食感であり、固結が少なく経時変化も少なかったことがわかる。また、比較例16に係る乾燥寒天リンゴは、糖類又は糖アルコール(B)を含有しないため、食感にクリスピー性がなく、食味が原料と同様であり、固結や経時変化があった。
[実験例5:乾燥寒天梅の作製(寒天4使用)]
(実施例40〜43:糖類又は糖アルコール(B)を変更)
表11に示した配合にて乾燥寒天梅を作製した。具体的には、梅果汁(5倍濃縮、糖度31)に対し、予め糖類又は糖アルコール(B)としてトレハロース、エリスリトール、パラチノース又はラクトースをそれぞれ水に溶解したものを混ぜ合わせた。この溶液を寒天4に含浸させた後、80℃にて送風乾燥し、実施例40〜43に係る乾燥寒天梅を作製した。実験例1と同様に、作製した乾燥寒天梅の評価を行い、結果を表12に示した。
(比較例17:糖類又は糖アルコール(B)無添加)
表11に示すように、糖類又は糖アルコール(B)を添加しなかったこと以外は実施例40〜43と同様にして、比較例17に係る乾燥寒天梅を作製した。実験例1と同様に、作製した乾燥寒天梅の評価を行い、結果を表10に示した。
Figure 2019080524
Figure 2019080524
以上のように、実施例40〜43に係る乾燥寒天梅は、クリスピー性を有する食感であり、固結が少なく経時変化も少なかったことがわかる。また、従来の梅肉乾燥物のように高塩分にならずに塩分のコントロールのできる梅チップ状の乾燥寒天梅となった。比較例17に係る乾燥寒天梅は、糖類又は糖アルコール(B)を含有しないため、食感にクリスピー性がなく、食味が原料と同様であり、固結や経時変化があった。

Claims (3)

  1. 乾燥した多糖類(A)に、液状食品及び20℃の水100gに対する溶解度が100g以下である糖類又は糖アルコール(B)が含浸され、乾燥されることにより得られる乾燥食品であって、
    前記多糖類(A)は、寒天、カッパカラギーナン、脱アシルジェランガムのカルシウム体、ネイティブジェランガム、LMペクチンのカルシウム体、アルギン酸カルシウム、カードラン、セルロース、デンプンのいずれか1以上であり、
    前記糖類又は糖アルコール(B)は、グルコース、トレハロース、ラクトース、パラチノース、エリスリトールのいずれか1以上であることを特徴とする乾燥食品。
  2. 前記多糖類(A)は、その網目構造中にローカストビーンガム、カシアガム、グルコマンナンのいずれか1以上(C)が混在することを特徴とする請求項1記載の乾燥食品。
  3. 粉末状、顆粒状、粒子状又はフレーク状であることを特徴とする請求項1又は2記載の乾燥食品。
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