JP2011102257A - 乾燥ゲルシートおよびその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】破断強度および吸水性に優れた乾燥ゲルシートであって、使用時に水性溶液を含浸させることで、速やかに水膨潤ゲルシートに復元し、破断強度、伸展性、付着性に優れた水膨潤ゲルシートを調整することができる乾燥ゲルシートを提供する。
【解決手段】ゲル化剤としてキサンタンガム、並びにグルコマンナン及びガラクトマンナンからなる群から選択される少なくとも1種のマンナン類を含有することを特徴とする乾燥ゲルシートであって、キサンタンガム及びマンナン類を含む水溶液をシート状に成形した後に乾燥処理し、水分活性値が0.6以下になるように調整されてなることを特徴とする、乾燥ゲルシート。
【選択図】なし

Description

本発明は、乾燥ゲルシートに関する。より詳細には、本発明は水分活性値が0.6以下になるように調整された乾燥ゲルシートであって、使用時に水性溶液を含浸させることで、水膨潤ゲルシートに復元して使用に供されることを特徴とする乾燥ゲルシートに関する。
従来から、化粧品、日用品、食料品、医療用品等の分野において、シート状に加工されたゲル状物が利用されている。例えば、化粧品であれば保湿成分を含むパック剤として、日用品であれば保冷剤や冷却剤として、食料品であればゼリー菓子や加熱時に溶解する調味料として、医療用品としては殺菌剤等を含有したゼリー剤や殺菌剤を含有した殺菌シート等が挙げられ、その用途は多岐にわたっている。
具体的には、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸などからなるシート状基材に薬剤又は化粧剤を含浸させてなる皮膚浸透性シート(特許文献1);コンニャクを原料とする、化粧用、スキンケア用、医療用等に使用するコンニャクシート(特許文献2);プルラン、ゼラチン、キトサン、セルロース誘導体等からなる水溶性フィルムからなるパック化粧料(特許文献3);生理活性物質を含有した水溶性高分子をゲル化して基材に吸収させた後、乾燥して形成される化粧用パックシート(特許文献4);水溶性高分子により形成され、特定の圧縮変形率を有する外用ゲル状組成物(特許文献5);少なくとも1種の有用薬剤及び少なくとも1種のポリマー性ゲル形成剤を含む予備成型単層シート状部材(特許文献6);ポリアクリル酸系ハイドロゲル粘着基材とヒノキチオールと保湿成分を含有してなるスキンケア用貼付剤(特許文献7);薬効成分とカルボキシビニルポリマー及び多糖類系高分子からなる群から選ばれた水溶性高分子の1種又は2種以上と特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを含有したシート状化粧料用液状組成物(特許文献8)、カラギーナンおよび/またはマンナン、並びに単独で融点が80℃以上のゲルを形成し得る増粘多糖類を含有する、外用ゲル組成物(特許文献9);粘剤(水との親和性がより高く、増粘する性質を有しており、水溶液が透明かほぼ透明で、ほとんど着色されていないもの、例えばアクリルアミドと架橋性単量体との共重合体、カラギーナン、ジェランガム、寒天など)と湿潤剤及び水を含有し、外観が無色又は有色透明なゲル状シートからなり、かつシートの内部又は表面に開口率に大きい編織布又は不織布を厚み方向に内在又は積層させてある透明シート状パック化粧品(特許文献10);支持層を有さない一層の含水ゲルのシートからなり、厚さ1mmのシートにおける光透過率が70%以上であるシート状化粧料(特許文献11);水相中にi)ゲランゴム、ii)キサンタンガム等より選択される少なくとも一の他の親水コロイド、及びiii)少なくとも一の脂肪鎖及び少なくとも一の親水性ユニットを含む少なくとも一の両親媒性ポリマーを含むゲル化システムを含有する固体組成物(特許文献12);セルロース誘導体およびキサンタンゴムから選択される少なくとも1つのヒドロコロイド、および、組成物の全重量に対して少なくとも2重量%のカッパーカラギーナンの組み合わせを含有する親水性ゲル化システムの組成物を、組成物の全重量に対して20重量%よりも少ない量で、水相中に含有する、充填剤を含有しない固体化粧品組成物(特許文献13);ゲルランゴムと少なくとも2つのヒドロゲルコロイドの組み合わせを含有する親水性ゲル化システムの組成物を含有する固体化粧品組成物(特許文献14);粘剤(アクリルアミドと架橋性単量体との共重合体、カラギーナン等)と湿潤剤と生理活性成分及び水とを含有し、外観が無色透明又は有色透明なゲル状シート(特許文献15);合成繊維を含有する不織布基布上に水溶性高分子及び水分を含有する貼付剤組成物を含浸又は塗布することによって構成されるシート状パック(特許文献16);、海藻から抽出された多糖体を含有する溶液またはゲルをシート状に乾燥させて得られた皮膚貼付用シート(特許文献17);海藻から抽出された多糖体を0.1〜10%量含有する溶液またはゲルをシート状に乾燥させて得られた皮膚貼付用シート(特許文献18);ネイティブ型ジェランガム及び水を含有するゲル状保冷性組成物からなる、被着体に貼付して用いられるシート状冷却剤(特許文献19);次亜塩素酸水及びネイティブ型ジェランガムを組み合わせて、ヒドロゲル状にした経皮投与用医薬組成物(特許文献20);ポリアクリル酸類、多価金属類及び水を含有する組成物であって、含水率が該組成物100重量部あたり75〜95重量部であり、気泡成分を実質的に含有しないことを特徴とする粘着性冷却組成物(特許文献21);カルボキシル基及び/又はスルホン酸基を有する構成単位を必須構成単位とする高分子の特定の架橋体及びモノオールからなるゲル化層、及び支持体からなる冷却ゲルシート(特許文献22);澱粉を主成分とする可食性フィルム(特許文献23);温水に溶解しかつゲル化能を有する多糖類とアラビアガム、プルラン、澱粉及びゼラチンより選ばれた物質とが積層されていることを特徴とするフィルム状成形物(特許文献24)などが従来より提案されている。
特開2005−263759号公報 特開2005−133018号公報 特開2005−97191号公報 特開2005−22980号公報 特開2004−231516号公報 特表2003−518009号公報 特開2002−249422号公報 特開2002−226355号公報 特開2002−87993号公報 特開2001−213725号公報 特開2000−226325号公報 特開2000−53527号公報 特開平11−246353号公報 特開平11−246352号公報 特開平11−269031号公報 特開平11−130664号公報 特開平8−40882号公報 特開平08−40882号公報 特開平10−158635号公報 再公表公報WO2007/094413パンフレット 特開平10−258078号公報 特開2004−41712号公報 特開2004−248665号公報 特開昭60−76336号公報
上記特許文献に記載されているシートは、いずれも製造段階から様々な成分(化粧剤、薬剤、または食品などにおける有効成分)が添加され、ゲル化して調製されてなるものであるため、調製されたゲルシートは、添加された成分によってその用途は最初から限定されており、他の用途への転用や応用が利かないものである。また、含水した状態で供されるものであるため、重く持ち運びが不便で、また保存中に乾燥しないように密封包装が必要である。
そこで本発明は、使用者の目的に応じて、使用時に所望の水性溶液を含浸させて水膨潤ゲルシートとして用いられる乾燥ゲルシートを提供することを目的とする。特に本発明は、含浸させる水性溶液の種類によって、化粧分野、食品分野および日用品分野などの多岐に亘る分野で汎用的に使用することができるように、安全性の高い成分から構成される乾燥ゲルシートを提供することを目的とする。
より具体的には、本発明は、乾燥ゲルシートの状態では水分含量が低く軽くて持ち運びが便利である一方、使用時に所望の成分を配合した水性溶液に含浸することで、速やかに吸水して、付着性および強度(破断強度)に優れた水膨潤ゲルシートになる乾燥ゲルシートを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、様々な多糖類を選び組み合わせて乾燥ゲルシートを調製し、これを水に浸漬したときの吸水性、並びに生成した水膨潤ゲルシートの付着性および強度(破断強度)について、種々検討を重ねていたところ、ゲル化剤としてキサンタンガムとマンナン類(グルコマンナン及びガラクトマンナンの総称)を組み合わせて調製したゲル化シートの乾燥物、並びに上記ゲル化剤にさらに脱アシル型ジェランガムを組み合わせて調製したゲル化シートの乾燥物が、上記目的に適った特性を備えていることを見出した。また、かかる成分から作成した乾燥ゲルシートは、化粧分野、食品分野および日用品分野などの多岐に亘る分野で、水膨潤ゲルシートを調製する基材として、汎用的に使用することができることを確認した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、以下の態様を有する乾燥ゲルシートおよび水膨潤ゲルシートに関する。
(I)乾燥ゲルシート
(I-1)ゲル化剤として、キサンタンガム、並びにグルコマンナン及びガラクトマンナンからなる群から選択される少なくとも1種のマンナン類を含有することを特徴とする乾燥ゲルシートであって、キサンタンガム及びマンナン類を含有する水溶液をシート状に成形した後に乾燥処理し、水分活性値が0.6以下になるように調整されてなることを特徴とする、乾燥ゲルシート。
(I-2)キサンタンガムとマンナン類の配合割合が1:9〜9:1(質量比)である(I-1)に記載の乾燥ゲルシート。
(I-3)ガラクトマンナンが、カシアガム、ローカストビーンガムおよびタラガムからなる群から選択されるいずれか少なくとも1種である(I-1)又は(I-2)に記載する乾燥ゲルシート。
(I-4)さらに脱アシル型ジェランガムを含有する(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載の乾燥ゲルシート。
(I-5)脱アシル型ジェランガムの含有量が、キサンタンガムとマンナン類の合計量100質量部に対して2〜50質量部である、(I-4)に記載の乾燥ゲルシート。
(I-6)使用時に水性溶液を含浸させて、水膨潤ゲルシートとして使用されるものである(I-1)乃至(I-5)のいずれかに記載する乾燥ゲルシート。
(I-7)含浸させる水性溶液が、保湿作用を有する成分、冷却作用を有する成分、鎮痛作用を有する成分、消炎作用を有する成分、栄養成分、および調味成分からなる群から選択される少なくとも1種を含む水性溶液である、(I-6)に記載の乾燥ゲルシート。
(II)水膨潤ゲルシート及びその調製方法
(II-1)(I-1)乃至(I-5)のいずれかに記載する乾燥ゲルシートに、水性溶液を含浸させる工程を有する水膨潤ゲルシートの調製方法。
(II-2)含浸させる水性溶液が、保湿作用を有する成分、冷却作用を有する成分、鎮痛作用を有する成分、消炎作用を有する成分、栄養成分、および調味成分からなる群から選択される少なくとも1種を含む水性溶液である、(II-1)に記載する水膨潤ゲルシートの調製方法。
(II-3)(II-1)または(II-2)に記載する方法で調製される水膨潤ゲルシート。
(II-4)水膨潤ゲルシートが、冷却シート、調味料シート、化粧シート、細菌検査用シート、である(II-3)に記載する水膨潤ゲルシート。
本発明にあげた構成、即ちゲル化剤としてキサンタンガム及びマンナン類、またはこれらのゲル化剤に加えて脱アシル型ジェランガムを用いて調製したゲル化シートを乾燥することで作成される本発明の乾燥状態のゲルシート(乾燥ゲルシート)は、軽量で所定の破断強度などを備えているため取扱いやすく、しかも嵩張らないため収納場所も少なくて済むという特徴を備える。また当該乾燥ゲルシートの水分含量を調整することで(好ましくは水分活性値が0.6以下、より好ましくは0.3〜0.6程度になるように水分含量を調整)、雑菌等の繁殖がおこらず、常に衛生的な状態で長期間保存することができる。なお、水分活性値が0.6以下であればほとんどの雑菌等は、繁殖することができない。
当該本発明の乾燥ゲルシートは、使用時に所望の成分を配合した水性溶液を含浸させることで、短時間で水性溶液を吸収して水膨潤ゲルシートに復元する。当該水膨潤ゲルシートは、強度(破断強度)が良好であるため、不織布のような基材を用いなくても、そのままの状態で、後述する冷却シートや化粧パックシートなどとして好適に使用することができる。また付着性および伸展性に優れているために、剥がれることなく付着対象物の動きに追随できる。このため、例えば冷却シートや化粧パックシートとして使用する場合でも肌に密着し、使用時に剥がれるという不都合は生じにくい。
ところで、ゲルシートの強度を高くする方法として、ゲルの調製に使用するゲル化剤の配合を増やしてゲル化剤濃度を高めるという方法がある。しかし、ゲル化剤濃度を高くしてゲルシートを調製しようとすると、ゲル化剤を溶解する際にダマが生じたり、粘度が上昇して撹拌しにくくなるなど問題が多い。しかし、本発明のようにゲルシートを一旦乾燥させて乾燥ゲルシートとした後に、これに水を吸水させて水膨潤ゲルシートを調製する方法であれば、吸水させる水量を少なくすることで、元のゲルシート(乾燥前のゲルシート)よりも丈夫な(破断強度の高い)ゲルシートを容易に調製することができる。
すなわち、本発明の乾燥ゲルシートは、所望の水性溶媒を含浸させて、破断強度の高い丈夫な水膨潤ゲルシートを調製するための基材として有用である。また本発明の乾燥ゲルシートは、含浸させる水性溶媒の種類に応じて、食品、化粧品、農業および日用品などのあらゆる分野において、水膨潤ゲルシートを調製するための汎用性基材として有用である。つまり、本発明の乾燥ゲルシートによれば、含浸させる水性溶媒の制限がないため、使用者の目的や好みに応じて、食品、化粧品、医薬品、農業および日用品分野における各種成分を含む水性溶液を含浸させることで、食品、化粧品、医薬品、農業および日用品などのあらゆる分野において所望の水膨潤ゲルシートを作成することができる。
(I)乾燥ゲルシート
本発明の乾燥ゲルシートは、ゲル化剤としてキサンタンガムとマンナン類を含有するものであって、キサンタンガムとマンナン類を含有する水溶液(ゲルシート調製液)をシート状に成形した後に乾燥処理して、水分活性値が0.6以下に調整されてなるものであることを特徴とする。
本発明において「乾燥ゲルシート」は、水にゲル化剤を加えて加熱溶解した後、シート状に薄く広げたものを乾燥して調製されるものであって、水分活性値が0.6以下であるシートをいう。ここで乾燥ゲルシートの「水分活性値」は、水分活性計(芝浦電子株式会社製 水分活性計WA-360)を用いて測定することができる。
雑菌の繁殖を抑制する点から、とりわけ乾燥ゲルシートの水分活性値が0.55以下になるように調整することが好ましい。
本発明で使用するキサンタンガムは、微生物Xanthomonas campestrisが産出する発酵多糖類であり、β-1,4-D-グルカンの主鎖骨格に、D-マンノース、D-グルクロン酸、D-マンノースからなる側鎖が結合したアニオン性の多糖類である。主鎖に結合したD-マンノースのC6位はアセチル化され、末端のD-マンノースはピルビン酸とアセタールで結合している。
本発明で用いられるマンナン類としては、グルコマンナン、ならびにガラクトマンナンに分類されるカシアガム、ローカストビーンガム、タラガム、グァーガムおよびフェヌグリークガムなどを挙げることができる。好ましくはグルコマンナン、並びにガラクトマンナンとしてはローカストビーンガムおよびタラガムを挙げることができる。これらは1種単独、又は2種以上を任意に組み合わせて使用することができる。
ローカストビーンガムは、食品の分野で一般的に用いられているものであり、豆科の多年生の常緑樹であるカロブ樹の種子の胚乳から得られる。その構造は、マンノースの主鎖にガラクトースが結合しており、ガラクトースとマンノースの比率は約1:4である。増粘剤、安定剤の目的で食品や飼料に幅広く利用されている。
タラガムは、多年生のマメ科植物のタラ(Caesalpina spinosa)の種子から得られる多糖類である。その構造は、マンノースの主鎖にガラクトースが結合しており、ガラクトースとマンノースの比率は約1:3である。増粘剤、安定剤の目的で食品に幅広く利用されている。
グルコマンナンは、コンニャクイモに含まれる貯蔵性多糖類で、ガラクトースとマンノースがおよそ2:3の割合でβ-1,4-結合したものである。19個に1個の割合でアセチル化、糖50〜60個に1個の割合で分枝を有する。食品分野ではゲル化剤のほか食感改良や保水性の向上を目的として利用されている。
これらの使用量としては、キサンタンガムとマンナン類を水に加熱溶解した場合に、当該溶液に流動性があり、シート状ゲル(ゲル化シート)に成形加工できる量であればよい。好ましくは、当該ゲル化シートを乾燥して調製した乾燥ゲルシートを再び水性溶媒に含浸させたときに、水膨潤ゲルシートが復元でき、しかもこれが手にとっても崩れず、良好な破断強度、伸展性、付着性を備えるようなものが調製できるような量である。例えば、先述するゲル化剤含有水溶液(ゲルシート調製液)100重量%中に含まれるキサンタンガムとマンナン類の総量としては、0.1〜3質量%を挙げることができる。好ましくは0.5〜3質量%、より好ましくは1〜2質量%である。
なお、キサンタンガムとマンナン類の配合割合としては、制限されないものの、好ましくは、質量比で1:9〜9:1を挙げることができる。好ましくは8:2〜2:8、より好ましくは7:3〜3:7である。
このようにゲル化剤としてキサンタンガムとマンナン類を併用することで、後述する実験例1に示すように、所望の強度および優れた吸水性と復元性を備えた乾燥ゲルシートを調製することができる。また、これに水を含浸させることで調製される水膨潤ゲルシートは、強度(破断強度)、伸展性、付着性に優れるという特徴を有している。
ここで、制限はされないが、乾燥ゲルシートは少なくとも35N/cmの破断強度を有することが好ましい。より好ましくは少なくとも55N/cm、特に好ましくは少なくとも75N/cm破断強度を有する乾燥ゲルシートである。ここで破断強度の数値は、乾燥ゲルシートの破損しにくさの指標となり、その値が高いほど破損しにくいことを意味する。
また乾燥ゲルシートの室温下での吸水1時間後の復元率(質量%)としては、50質量%以上、好ましくは50〜400質量%である。より好ましくは100〜300質量%、特に好ましくは100〜200質量%を挙げることができる。なお、かかる復元率は、吸収させる水としてイオン交換水を用いて、下記式によって求めることができる。
Figure 2011102257
さらに、本発明の乾燥ゲルシートは、ゲル化剤として、上記キサンタンガムとマンナン類に加えて、脱アシル型ジェランガムを用いることができる。
ここで脱アシル型ジェランガムは、Sphingomonas elodeaが菌体外に産出する発酵多糖類であり、1−3結合したグルコース、1−4結合したグルクロン酸、1−4結合したグルコース及び1−4結合したラムノースの4分子を構成単位とする直鎖状の高分子多糖類であり、1構成単位辺りカルボキシル基1残基を有する。なお、ネイティブ型ジェランガムは、この1−3結合したグルコースに1構成単位当たりグリセリル基1残基とアセチル基が平均1/2残基結合したものであり、脱アシル型ジェランガムとは別個のジェランガムである。
脱アシル型ジェランガムは商業的に入手することができ、かかる製品として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のゲルアップ(商標)K−S、およびCPケルコ社製のケルコゲルを挙げることができる。
キサンタンガム及びマンナン類に対する脱アシル型ジェランガムの使用割合として、本発明の効果を奏するものである限り特に制限されないが、キサンタンガム及びマンナン類の合計量100質量部に対して、通常2〜50質量部を挙げることができる。好ましくは3〜40質量部、より好ましくは5〜20質量部を挙げることができる。
このように、ゲル化剤としてキサンタンガム及びマンナン類に加えて脱アシル型ジェランガムを用いることで、後述する実験例1(実施例2〜5)に示すように、所望の強度および優れた吸水性と復元性を備えた乾燥ゲルシートを調製することができる。また、これに水を含浸させることで調製される水膨潤ゲルシートは、強度(破断強度)、伸展性、付着性に優れるという特徴を有している。
また、本発明の乾燥ゲルシートは、シートに柔軟性を付与する目的で、上記ゲル化剤以外の成分として可塑剤を配合することもできる。ここで可塑剤としては、制限されないが、例えばグリセリン、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコール等の多価アルコール;グルコース、フルクトース、マルトース、ソルビトールおよびオリゴ糖等の糖;グリセリン脂肪酸エステルおよびショ糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル誘導体を挙げることができる。
可塑剤の配合割合としては、本発明の効果を妨げない範囲の割合であればよく、特に制限されないが、乾燥ゲルシートの固形分100質量%中、通常10〜85質量%程度を挙げることができる。好ましくは15〜80質量%、より好ましくは20〜75質量%である。
さらに、本発明の乾燥ゲルシートは、本発明の効果を妨げない限り、上記ゲル化剤に加えて、所望により他の添加物を含有させてもよい。かかる添加物としては、乾燥ゲルシートの使用目的、すなわち、乾燥ゲルシートに水性溶液を含浸させて調製する水膨潤ゲルシートの使用目的に応じて選択することができ、例えば公知の化粧品添加物や食品添加物の他、油溶性・水溶性を問わず添加することができる。このような添加物の例としては、高分子多糖類(例:アラビアガム、アルギン酸塩、タマリンドシードガム、可溶性澱粉、デキストリン、シクロデキストリン、ペクチン、水溶性ヘミセルロース等)、タンパク質分解物(例:カゼイン、ゼラチン等)、ビタミン、色素(例:α−カロチン、β−カロチン、リコペン、アントシアニン系色素等)、香料、甘味料、塩類、不飽和脂肪酸(例:α−リノレン酸、γ−リノレン酸、リノール酸、DHA等)等が挙げられる。これらの添加物の使用量は、使用目的に応じて適宜決定される。また、防腐や抗菌を目的に、防腐剤(例えば、ブチルヒドロキシトルエン、安息香酸ナトリウム、パラベン(パラオキシ安息香酸エステル類)、グルコン酸クロルヘキシジン等)や抗菌剤を、また酸化防止を目的に抗酸化剤(例えば、トコフェロールおよびその誘導体)を配合することもできる。しかし、本発明の乾燥ゲルシートは、水分活性値が0.6以下と低いため、保存時における防腐や細菌類の増加によるリスクが抑えられている。このため、防腐や抗菌を目的に、通常使用される防腐剤や抗菌剤の添加量を抑えたり、或いは無添加とすることも可能である。
本発明における乾燥ゲルシートを調製する方法としては、まず水道水、蒸留水、天然水、イオン交換水、清水等に所望量のゲル化剤(キサンタンガム及びマンナン類、またはキサンタンガム、マンナン類および脱アシル型ジェランガム)を添加し、90℃程度に加熱溶解し、ゲル化剤含有水溶液(ゲルシート調製液)を調製し、次いでこれを既知の方法にてシート状に成形する。シート状への成形は、例えば所望の厚さになるようにゲル化剤含有水溶液をバット(トレイ)に注ぎ、冷却してゲル化させる方法、ゲル化剤含有水溶液をブロック状にゲル化成形した後に、これを薄くシート状に切り出す方法などを例示することができる。次いで、このシートを乾燥処理する。
乾燥処理は、既存の乾燥装置である温風乾燥機やプレート加温機の他、天日干しや陰干しなどによって行うことができ、最終的に乾燥ゲルシートの水分活性値が0.6以下、好ましくは0.55以下、より好ましくは0.5以下になるまで行えばよい。乾燥が不十分であると雑菌の繁殖が問題となるため衛生面での問題が生じたり、べたつきが生じ取扱性が悪くなる。一方、過度に乾燥しすぎると乾燥ゲルシートが割れやすくなるため、保存や取扱いに不適当なものになる。
斯くして本発明の乾燥ゲルシートを得ることができる。
かかる乾燥ゲルシートに、様々な成分を含有する水性溶液を含浸させることにより、速やかに水を吸収して膨潤し、付着性、伸展性、強度および透明性に優れた水膨潤ゲルシートを調製することができる。かかる水膨潤ゲルシートは、含浸させる水性溶液の種類に応じて、食品分野、化粧品分野、医療分野、日用品の分野で広く使用することができる。
(II)水膨潤ゲルシート
本発明の水膨潤ゲルシートは、前述するように、上記本発明の乾燥ゲルシートを基材とし、これに水性溶液を含浸させ、水で膨潤させることによって調製される。前述する本発明の乾燥ゲルシートによれば、水性溶液を速やかに吸収し、所望の強度、伸展性および付着性を有する水膨潤ゲルシートを復元することができる。
強度や伸展性に優れた水膨潤ゲルシートを調製するためには、ゲルの調製に使用するゲル化剤の配合量を増やしてゲル化剤濃度を高める必要がある。しかし、ゲル化剤は溶解時に高い粘度を発現するため、単純にその濃度を高めることは作業上の問題から制限がある。そこで、本発明のようにゲルシートを一旦乾燥させて乾燥ゲルシートとした後に、これに水を吸水させて水膨潤ゲルシートを調製することにより、吸水させる水量を調整することで、乾燥前のゲルシートよりも丈夫な(破断強度の高い)水膨潤ゲルシートを調製することができる。すなわち、乾燥ゲルシートに含浸させる水性溶液の量を適宜調整することで、所望の破断強度や伸展性を有する水膨潤ゲルシートを調製することができる。
また、乾燥ゲルシートに含浸させる水性溶液を適宜選択することで、各種用途の水膨潤ゲルシートを調製することができる。
具体的な用途として、例えば化粧分野において、上記「水性溶液」に配合する成分としては、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;エタノール、プロパノール等の低級アルコール類;キシリトール、マンニトール、ソルビトールなどの糖アルコール類;パラアミノ安息香酸類、ベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤;ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸等の保湿成分;ビタミンCおよびその誘導体、コウジ酸等の美白成分;尿素、乳酸、クエン酸等の角質除去成分等、化粧品用途で使用できるものであれば制限無く用いることが可能である。
より具体的には、「水性溶液」として保湿成分を含有する水性溶液を乾燥ゲルシートに含浸させた場合、得られる「保湿成分含有水膨潤ゲルシート」は、保湿用のフェイスパックとして供することが可能となる。また、保湿成分に代えて美白成分または皺取り成分(アンチエイジング成分)を含有する水性溶液を乾燥ゲルシートに含浸させた場合、得られる「美白成分含有水膨潤ゲルシート」や「皺取り成分含有水膨潤ゲルシート」は、それぞれ美白用若しくは日焼けトリートメント用のフェイスパック、または皺取り用(アンチエイジェント用)のフェイスパックとして供することが可能となる。
また、日常品分野において、水を乾燥ゲルシートに含浸させた場合、得られる「水膨潤ゲルシート」は、冷湿布や発熱時に貼付する冷感ゲル状シートとして利用することができる。さらに、メントールのような冷却・冷感効果を有する成分を含む水性溶液を乾燥ゲルシートに含浸させることも可能である。
さらに、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、リン酸二水素カリウム等の栄養成分を含浸させた植物の発芽シート;ラベンダーやカモミール等の芳香成分を添加した芳香・消臭剤とすることも可能である。
この他、本発明で使用するキサンタンガム、マンナン類及び脱アシル型ジェランガムはいずれも食品添加物としても利用されており、食品添加物のキサンタンガム、マンナン類及び脱アシル型ジェランガムを用いれば、可食性ゲルシートとしての用途も提示できる。例えば果汁を含浸させて果汁ゼリーとしたり、糖類等の甘味料、食塩、醤油または出汁等の調味料を配合した水性溶液を含浸させることでゲル状調味料とすることも可能である。
このように、本発明にかかる乾燥ゲルシートは、使用しない時は乾燥した衛生的に良好な状態で長期間保存が可能であり、使用する際に、使用目的に応じた成分を含有する水性溶液に適量含浸させるだけで、所望の水膨潤ゲルシートを調製することができる。
乾燥ゲルシートに含ませる水性溶液に添加する成分を適宜変更することで、その用途を際限なく広げることが可能となる。
以下、本発明の内容を以下の実験例、実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、処方中、特に記載がない限り、「%」は「質量%」、「部」は「質量部」を意味するものとする。
実験例(実施例1〜5、比較例1〜14)
表1の配合割合に従って、乾燥ゲルシートを調製した。
Figure 2011102257
<乾燥ゲルシートの調製方法>
90℃のイオン交換水を攪拌しながら、ゲル化剤を少量ずつ投入し、90℃で10分間攪拌溶解した。実施例2〜5並びに比較例1〜4、9及び10については少量の90℃のイオン交換水に溶解した乳酸カルシウム・五水和物を投入して攪拌混合した後、また比較例14については少量の90℃のイオン交換水に溶解した塩化カリウムを投入して攪拌混合した後、プロピレングリコールを少量ずつ投入してさらに攪拌混合した。他の実施例及び比較例については、上記で調製したゲル化剤の水溶液に、プロピレングリコールを少量ずつ投入してさらに攪拌混合した。
蒸発水を補うため、90℃のイオン交換水にて全量を補正し、溶液をステンレス製のトレイ(36cm×28cm)に液厚が0.4cmになるまで流し入れ、室温で1時間静置してゲル化させた(ゲル化シート)。ただし、比較例11については、70〜80℃でゲル化し、溶液を流し入れる途中でゲル化してしまったり、あるいは、流し入れた直後にゲル化してシートの厚さが不均一になってしまうため、溶液を90℃を保ちつつ予め80℃以上に加温したトレイに80℃以上の液温を保ち溶液を流し入れた。
次いで、ゲル化シートを乾燥減量が(105℃、10分)が約20%になるまで60℃で乾燥し、乾燥状態のゲルシート(乾燥ゲルシート)を得た。
<乾燥ゲルシートの評価>
上記方法で調製した乾燥ゲルシート(実施例1〜5、比較例1〜14)について、下記1)〜4)に示す項目について評価を行った。これらの結果を表2に示す。
評価1)乾燥ゲルシートの破断強度(N/cm 2
評価方法:乾燥ゲルシートを乾燥状態のままテクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製Texture analyzer, TA-XT2i)を用いて、貫入試験を行い、シートの破断強度(破れにくさ)を測定した。具体的には直径10mmの穴空きプラットフォームに、乾燥ゲルシート(50mm×50mm)を置き、ステンレス製で直径6mmの円柱状プランジャーを垂直に押し込み、乾燥ゲルシートが破断した時の強度(破断強度:N/cm)を測定した。
評価2)吸水性(復元率)
評価方法:乾燥ゲルシートを室温でイオン交換水に60分間含浸した時の重量を測定した。
予め測定しておいた乾燥前のゲル化シートの重量を基準として(100重量%)、これに対する相対比(重量%)を算出した。100%以上を○、50〜100%を△、50%未満×として評価した。
評価3)水膨潤ゲルシートの破断強度(N/cm 2 )と破断距離(mm)(伸展性)
評価方法:乾燥ゲルシートを室温でイオン交換水に5分間浸漬して水膨潤ゲルシートを調製した後、テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製Texture analyzer, TA-XT2i)を用いて、貫入試験を行い、水膨潤ゲルシートの破断強度と破断距離を次の手順により測定した。
試験方法:直径10mmの穴空きプラットフォームに、水膨潤ゲルシート(50mm×50mm)を置き、ステンレス製で直径6mmの円柱状プランジャーを垂直に押し込み、水膨潤ゲルシートが破断した時の強度(破断強度:N/cm)と距離(破断距離:mm)を測定した。
評価4)水膨潤ゲルシートの付着性
評価方法:乾燥ゲルシートを室温でイオン交換水に5分間浸漬して水膨潤ゲルシートを調製した後、テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製Texture analyzer, TA-XT2i)を用いて次のような付着試験を行い、水膨潤ゲルシートの付着性を評価した。
試験方法:直径10mmの穴空きプラットフォームに、水膨潤ゲルシート(50mm×50mm)を置き、アルミニウム製で直径20mmの円柱状プランジャーを0.314Nの力で水膨潤ゲルシートに5秒間押し付けてから、速度1.0mm/sの速度で引き上げた。その際に生じる応力と距離により生じる負の面積の絶対値(N・mm)を、水膨潤ゲルシートの付着性とした。
評価基準:付着性0.05N・mm以上を○、0.05N・mm未満のものを×とした。水膨潤ゲルシート(50mm×50mm)を手の甲に貼り付け、貼り付けた面を下にして手を握る・広げるの動作を1分間に30回繰り返した際に、1分間剥がれることがなかったものの最小の付着率が0.05N・mmであったことからこの基準を設定した。
Figure 2011102257
<結果>
表2に示す評価結果から分かるように、本発明に係る乾燥ゲルシート(実施例1:キサンタンガムとマンナン類含有、実施例2〜5:キサンタンガムとマンナン類と脱アシル型ジェランガム含有)は、評価1〜4の全ての項目で評価が高かった。具体的には、乾燥ゲルシートの破断強度(評価1)はいずれも80N/cm以上と強く、また評価2の結果から、乾燥前のゲル化シートの含水率(100%)よりも多くの水を吸収し、吸水性に優れていることが判明した。また、乾燥ゲルシートを水に浸漬して作成した水膨潤ゲルシートは、破断強度(1.5N/cm以上)と破断距離(伸展性)(5mm以上)(評価3)、および付着性(評価4)のすべてにおいて優れていることが確認された。
また実施例1と実施例2および3との対比から、キサンタンガムとマンナン類に脱アシル型ジェランガムを併用することで、乾燥ゲルシートが必要以上に吸水しゲルが膨らみすぎることを抑制し、一定量まで吸水した後は大きさが変らないゲルシートとなった。したがって、吸水時間を長く取りすぎた場合でも使い勝手の良い膨潤状態を保つことが可能となる。 一方、ゲル化剤としてキサンタンガム単独またはキサンタンガムと脱アシル型ジェランガムとを併用して調製した乾燥ゲルシート(比較例5〜6および比較例1〜2)は、いずれも破断強度は低く(評価1)、またこれをイオン交換水に含浸すると、乾燥ゲルシートが溶けてしまい(評価2)、本発明が目的とする水膨潤ゲルシートが得られないことがわかった。また、ゲル化剤としてマンナン類(ローカストビーンガム)を単独で用いて調製した乾燥ゲルシート(比較例7〜8)も上記と同様に、破断強度は低く(評価1)、またイオン交換水に溶解してしまい(評価2)、本発明が目的とする水膨潤ゲルシートが得られないことがわかった。
ゲル化剤としてマンナン類(ローカストビーンガム)と脱アシル型ジェランガムを併用して調製した乾燥ゲルシート(比較例3と4)は、イオン交換水に含浸しても充分に吸水せず(吸水率50%未満)(評価2)、水膨潤ゲルシートとして使用できる状態までに復元しなかった。
ゲル化剤として脱アシル型ジェランガムを単独で用いて調製した乾燥ゲルシート(比較例9、10)は、脱アシル型ジェランガムの添加量の大小に関わらず充分な強度の乾燥ゲルシートが形成されなかった(評価1)。
ゲル化剤としてネイティブ型ジェランガム単独を用いて調製した乾燥ゲルシート(比較例11)は、評価1〜4について満足のできる結果が得られたが、ゲル化温度が他のゲル化剤に比べて高く、70〜80℃でゲル化するため、調製時の溶液を流し入れる途中でゲル化してしまったり、あるいは、流し入れた直後にゲル化して厚さが不均一になるなど、製造時の温度管理を厳密にしなければならないといった、製造工程上の問題があった。
ゲル化剤として寒天単独、κ−カラギナン単独、またはκ−カラギナンとローカストビーンガムを併用して調製した比較例12〜14の乾燥ゲルシートは、いずれも吸水性が劣っており、また水に浸漬して調製した水膨潤ゲルシートは付着性に欠けていた。
以上の結果より、ゲル化剤として、キサンタンガムとマンナン類を併用するか、またはこれにさらに脱アシル型ジェランガムを併用して乾燥ゲルシートを調製することにより、乾燥ゲルシートの破断強度、吸水性(水膨潤による復元率)、水膨潤ゲルシートの破断強度、付着性において、他のゲル化剤を用いて調製した乾燥ゲルシートよりも優れた乾燥ゲルシートが得られることが確認された。
評価5)乾燥ゲルシートの水分含量および水分活性値
(1)水分含量の測定方法:
乾燥ゲルシート(処理前質量:約3g)を、加熱乾燥式水分計((株)エー・アンド・ディ社製、加熱乾燥式水分計MX-50)を用いて、ヒーター温度105℃にて10分間加熱乾燥させた前後の質量(g)から、下記の式に従って水分含量を算出する。
Figure 2011102257
(2)水分活性値の測定方法:
水分活性計(芝浦電子株式会社製 水分活性計WA-360)を用いて測定する。
結果を表3に示す。
Figure 2011102257
以下に、上記で調製された実施例1〜5の乾燥ゲルシートの応用例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例6 冷却シート(1)
水に上記実施例1で得られた乾燥ゲルシートを5分間浸し、水を含有したゲルシート(水膨潤ゲルシート)を得た。
この水膨潤ゲルシートを肌に貼り付けることにより肌を冷却することができた。従って、本発明の乾燥ゲルシートは、水を吸収させて膨潤させることにより冷却シートとして、発熱時やスポーツ後など体を冷やしたいときに、冷やしたい部位に貼って使用することができる。またこの水膨潤ゲルシートは肌への付着性に優れながらも、剥がした後がべたついたりすることは無く、また伸展性に富むため、肘や膝などに貼り付けても体の動きにある程度追従し、容易には剥がれることはないことも確認された。
実施例7 ゲルシート調味料
市販の出汁醤油に、上記実施例2で得られた乾燥ゲルシートを30分間浸し、醤油を含有したゲルシート醤油(醤油膨潤ゲルシート)を得た。
この醤油膨潤ゲルシートをにぎり寿司に乗せて、共に食した。にぎり寿司から醤油が垂れたりせず、例えばこれを弁当などに利用すれば、醤油が周囲の食材にかかったり、流れたりすることが避けられるので、非常に利便性の高い調味料になると考えられる。また一定量を確実に食品に添えることが可能となる。
実施例8 化粧水シート
上記実施例3で得られた乾燥ゲルシート(大きさ:縦50mm×横50mm×厚み0.1mm)を、市販の柔軟化粧水10ml中に5分間浸し、化粧水を含むゲル状シート(化粧水膨潤ゲルシート)を得た。
このゲルシートを目元に貼り付けて10分間使用したところ、化粧水を紙や不織布などのシートに含浸させたものに比べて、肌への密着性に優れており、使用する間中、肌から剥がれて落ちるようなことはなかった。また肌へのべたつきもなく、シートの柔軟性や使用感のいずれも満足のできるものであった。さらに使用前に比べて使用後は肌の潤いが増したと感じられた。また、化粧水に浸漬して膨潤させる前の乾燥ゲルシートは、ハサミ等で容易に切れるため、目元などの使用部位に合わせて切り抜き使用できる。また、透明な化粧水を用いた場合には透明な膨潤ゲルシートが得られるため、顔に貼り付けた後もシートが目立つことがない。
実施例9 冷却シート(2)
上記実施例4で得られた乾燥ゲルシート(大きさ:縦50mm×横50mm×厚み0.1mm)を、メントール系香料を含む水溶液10ml中に10分間浸し、メントール系香料を含むゲル状シート(メントール系香料含有水膨潤ゲルシート)を得た。
このゲルシートは柔軟性に富み、また肌への密着性に優れており、額に貼り付けて30分間使用しても肌から剥がれて落ちるようなことはなかった。しかもべたつきがなく、使用中はひんやりとした冷涼感が持続して使用感において満足のできるものであった。また、水に浸漬して膨潤させる前の乾燥ゲルシートは、ハサミ等で容易に切れるため、額や首元などの使用部位に合わせて切り抜いて使用できる。
実施例10 細菌検査用シート
上記実施例5で得られた乾燥ゲルシート(大きさ:縦50mm×横50mm×厚み0.1mm)をガンマ線照射(25kgy)して滅菌した後、オートクレーブ滅菌(121℃、20分間)したソイビーンカゼインダイジェスト溶液(カゼイン製ペプトン1.5%、大豆製ペプトン0.5%、塩化ナトリウム0.5%)に10分間浸漬してゲル状シート(細菌検査用のゲルシート)を得た。
このゲルシート上に黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の標準菌溶液を塗沫し、滅菌シャーレに入れて37℃で2日間培養を行ったところ、市販の細菌検査用培地のぺたんチェックSCD寒天培地(栄研化学)を用いた場合と同様に、ゲルシート上に黄色ブドウ球菌特有の光沢のある球状の黄色コロニーが形成された。

Claims (8)

  1. ゲル化剤としてキサンタンガム、並びにグルコマンナン及びガラクトマンナンからなる群から選択される少なくとも1種のマンナン類を含有することを特徴とする乾燥ゲルシートであって、キサンタンガム及びマンナン類を含む水溶液をシート状に成形した後に乾燥処理し、水分活性値が0.6以下になるように調整されてなることを特徴とする、乾燥ゲルシート。
  2. キサンタンガムとマンナン類の配合割合が1:9〜9:1(質量比)である請求項1に記載の乾燥ゲルシート。
  3. ガラクトマンナンが、ローカストビーンガムおよびタラガムからなる群から選択されるいずれか少なくとも1種である請求項1又は2に記載の乾燥ゲルシート。
  4. さらに脱アシル型ジェランガムを含有する、請求項1乃至3のいずれかに記載の乾燥ゲルシート。
  5. 脱アシル型ジェランガムの含有量が、キサンタンガムとマンナン類の合計量100質量部に対して2〜50質量部である、請求項4に記載の乾燥ゲルシート。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載する乾燥ゲルシートに、水性溶液を含浸させる工程を有する水膨潤ゲルシートの調製方法。
  7. 乾燥ゲルシートに含浸させる水性溶液が、保湿作用を有する成分、冷却作用を有する成分、鎮痛作用を有する成分、消炎作用を有する成分、栄養成分、および調味成分からなる群から選択される少なくとも1種を含む水溶液である、請求項6に記載する水膨潤ゲルシートの調製方法。
  8. 請求項6または7に記載する方法で調製される水膨潤ゲルシート。
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