JP2019077793A - 手塗り用速硬化性ウレタン防水材組成物、キットおよび施工方法 - Google Patents
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Abstract
Description
手塗り用2液型ウレタン防水材は、冬季の施工と夏季の施工では外気温が大幅に異なるため、夏季の30℃前後での施工に適した夏用配合と、冬季の5℃前後の施工に適した冬用配合が用意されているのが一般的であり、平場用防水材においては、各季節の施工温度において、可使時間が30分以上となるよう工夫されている。塗布作業において可使時間は長いほど好ましいが、一般的には可使時間を長くしようとすると硬化性が悪くなり、次工程を施工するために塗膜上に作業員が乗れるまでに時間(以下、「施工可能時間」と称す。)も長くなってしまう。通常の作業では、ウレタン防水材を夕方に塗布し終わり、翌朝には施工可能状態となることが望まれており、施工可能時間は年間を通して冬期でも18時間程度以内に調整できることが好ましいとされている。
また、2−エチルヘキサン酸のようなカルボン酸を促進剤として用いれば、MOCAとイソシアナートとの反応を促進するが、併用するポリオールとの反応は促進しないため、低温硬化性を改善するには限界がある。
また、主剤に用いられているTDIも特定化学物質に指定されており、汎用品の主剤には遊離TDIが上限値の1%を超えて存在するため、主剤も特化則該当品となってしまい、製造時および施工時に種々の制約を受けることとなる。さらに、促進剤として用いるカルボン酸鉛化合物は、世界的に使用が厳しく制限されている材料であり、化学物質排出把握管理法(通称「化管法」)の特定第1種指定化学物質に指定されており、環境面からは使用を避けたい材料である。
また、比較的大面積の無機質系下地に対しては、各種通気緩衝シートを施工し、その上にウレタン防水材を塗布し、その後トップコートを塗布するという通気緩衝工法が普及している。
いずれの工法においても、ウレタン防水層は塗膜の欠陥を補い均一性を確保するために2回に分けて塗布し、最終的に2〜3mmの膜厚にするのが一般的であるが、ウレタン防水層を1回で1〜2mm施工した後にトップコートを塗布するという簡易工法もベランダ、庇、幅木といった施工部位に対してある程度普及している。
現状手塗り用ウレタン防水材を1層塗布すると、当日中には硬化しないため、翌日に2層目のウレタン防水材の塗布あるいはトップコートの塗布を行うのが通例であり、完成までの工期が長くなってしまうのが手塗り用ウレタン防水材の欠点とされている。さらに近年、気候の変動が激しくなる傾向があり、ウレタン防水材塗布後数時間で降雨に見舞われ未硬化のウレタン防水層が損傷を受けるという問題も多発している。
さらに、夜間に降雨が予想される場合は日中が好天であってもウレタン防水材を塗布することができず、また無理して降雨前に施工したため降雨により塗膜が損傷してしまい、補修に多大な時間と労力を費やしてしまうという問題もある。
本件第2発明は、ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤パーツと、ジエチルトルエンジアミンを含む芳香族ポリアミン、脂肪族または脂環族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤パーツと、酸無水物を含む硬化促進剤パーツとからなる手塗り用ウレタン防水材組成物キットである。
本件第3発明は、トリレンジイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、芳香族ポリアミン、脂肪族または脂環族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤とからなる手塗り用ウレタン防水材組成物の施工方法であって、芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含み、硬化促進剤として酸無水物を含む第3成分を主剤にまたは主剤と硬化剤を混合するときに添加することを特徴とする。
[1]ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーおよび硬化促進剤として酸無水物を含む主剤と、芳香族ポリアミン、脂肪族または脂環族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤とからなる手塗り用ウレタン防水材組成物であって、芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含む、手塗り用ウレタン防水材組成物。
[2]芳香族ポリアミンの50当量%以上がジエチルトルエンジアミンであり、芳香族ポリアミンと脂肪族または脂環族ポリアミンの当量比が60/40〜98/2である、[1]に記載の手塗り用ウレタン防水材組成物。
[3]脂肪族または脂環族ポリアミンのアミノ基数が3以上である、[1]または[2]に記載の手塗り用ウレタン防水材組成物。
[4]ポリイソシアナートがイソホロンジイソシアナートまたはトリレンジイソシアナートを含む、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の手塗り用ウレタン防水材組成物。
[5]ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤パーツと、ジエチルトルエンジアミンを含む芳香族ポリアミン、脂肪族または脂環族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤パーツと、酸無水物を含む硬化促進剤パーツとからなる手塗り用ウレタン防水材組成物キット。
[6]芳香族ポリアミンの50当量%以上がジエチルトルエンジアミンであり、芳香族ポリアミンと脂肪族または脂環族ポリアミンの当量比が60/40〜98/2である、[5]に記載の手塗り用ウレタン防水材組成物キット。
[7]脂肪族または脂環族ポリアミンのアミノ基数が3以上である、[5]または[6]に記載の手塗り用ウレタン防水材組成物キット。
[8]ポリイソシアナートがイソホロンジイソシアナートまたはトリレンジイソシアナートを含む、[5]〜[7]のいずれか1つに記載の手塗り用ウレタン防水材組成物キット。
[9]ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、芳香族ポリアミン、脂肪族または脂環族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤とからなる手塗り用ウレタン防水材組成物の施工方法であって、芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含み、硬化促進剤として酸無水物を含む第3成分を主剤にまたは主剤と硬化剤を混合するときに添加することを特徴とする、手塗り用ウレタン防水材組成物の施工方法。
[10]芳香族ポリアミンの50当量%以上がジエチルトルエンジアミンであり、芳香族ポリアミンと脂肪族または脂環族ポリアミンの当量比が60/40〜98/2である、[9]に記載の手塗り用ウレタン防水材組成物の施工方法。
[11]脂肪族または脂環族ポリアミンのアミノ基数が3以上である、[9]または[10]に記載の手塗り用ウレタン防水材組成物の施工方法。
[12]ポリイソシアナートがイソホロンジイソシアナートまたはトリレンジイソシアナートを含む、[9]〜[11]のいずれか1つに記載の手塗り用ウレタン防水材組成物の施工方法。
主剤に用いるポリイソシアナートとしてはトリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ナフタレンジイソシアナートなどの芳香族ポリイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、ノルボルナンジイソシアナート、水添化キシリレンジイソシアナート、水添加ジフェニルメタンジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナートなどの脂肪族または脂環族ポリイソシアナートなどが挙げられる。なかでも比較的反応性が低く可使時間を確保しやすいイソホロンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、テトラメチルキシリレンジイソシアナートなどが好ましく用いられる。なお、これらのポリイソシアナートは単独で用いても二種以上を併用してもよい。
主剤に用いるポリオールとしては、通常ウレタン防水材の主剤に用いられるポリオールを用いることができるが、低粘度で施工性のよい主剤とするためには、分子量が300〜8000のポリオキシプロピレンポリオールやポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオールといったポリエーテル系ポリオールを用いることが好ましい。また、ポリエステル系などその他の高分子量ポリオールも一部であれば使用することができる。
さらに、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールといった短鎖ポリオールも使用することができる。
次に、主剤の製造方法であるが、NCO基とOH基との比率が1.5〜2.2の範囲となるようにポリイソシアナートとポリオールを配合することが好ましく、70〜110℃で3〜10時間程度加温することで製造することができる。また場合によっては、溶剤や可塑剤を一部配合することもできる。
最終的なNCO含有量は、1.5〜6.0質量%であることが好ましい。NCO含有量が1.5質量%未満ではウレタン防水材に必要な物性が得られにくく、6.0質量%超となると可使時間を確保することが難しくなる。
硬化剤は、芳香族ジアミンであるDETDAを含み、速硬化性を達成するためには、DETDAの使用量は芳香族ポリアミンの50当量%超であることが好ましく、60当量%以上であることがより好ましい。DETDAには、3,5−ジエチル−2,4−トルエンジアミン、3,5−ジエチル−2,6−トルエンジアミンなどの異性体が存在するが、本願ではいずれの異性体を用いてもよく、またそれらの混合物を用いてもよく、工業製品としては例えばEthacure(登録商標)100(2,4−異性体/2,6−異性体の質量比80/20)などが入手できる。
硬化剤には脂肪族または脂環族ポリアミンを含み、施工性と速硬化性および塗膜の機械強度と耐久性を確保するためには、芳香族ポリアミンと脂肪族または脂環族ポリアミン当量比が60/40〜98/2であることが好ましく、65/35〜95/5であることがより好ましく、さらには70/30〜92/8であることが最も好ましい。脂肪族または脂環族ポリアミンが40当量%超では可使時間の確保が難しくなり、2当量%未満では十分な塗膜強度や耐久性が得られない。
また、本願は可使時間を確保するために可塑剤を用いる必要がある。可塑剤なしでは常温はもとより低温においても作業に必要とされる可使時間を確保することは難しい。可塑剤の使用量は、主剤中のプレポリマー成分100質量部に対し、15〜90質量部であることが好ましい。15質量部未満では可使時間の確保が難しくなり、90質量部超では速硬化性を保持することおよびJIS規格に適した物性を保持することが難しくなる。さらに、良好な作業性と物性のためには、可塑剤量が20〜80質量部であることがより好ましい。可塑剤は主に硬化剤に配合することが好ましいが、一部主剤側に配合することもできる。
さらに、本願では無機系充填剤も必要となる。無機系充填剤を配合することで、可使時間を有した速硬化性防水材をJIS規格に適合した物性にすることができる。充填剤は、硬化剤中に配合することが好ましいが、一部主剤側にも配合することができる。無機充填剤の配合量は主剤中のプレポリマー成分100質量部に対し、20〜160質量部であることが好ましい。充填剤が20質量部以下では補強効果が不十分になりやすく、160質量部超では樹脂分が少なくなることによる物性低下や高粘度化が起こってしまう。
次に、硬化剤中の活性水素成分としてのポリオールであるが、ポリオールはDETDAよりもかなり反応性が遅く、しかも酸系硬化促進剤により硬化促進されないため、本願では特に必要とはしないが、可使時間の調整や粘度調整、湿潤調整、物性調整、接着性向上などのために一部使用することはできる。速硬化性を保持するためにはポリオールの使用量は30当量%以下とすることが好ましく、20当量%以下であることがより好ましい。
本願では、酸無水物を用いる必要がある。酸無水物そのものには硬化促進効果はないが、酸無水物と水、アミノ基、水酸基とが付加反応することにより発生するカルボン酸が触媒活性を示すと思われる(潜在性触媒)。
本願では、有機第2錫系化合物、3級アミン、カルボン酸金属塩、カルボン酸などが硬化促進剤として併用できる。有機第2錫系化合物としては、例えばジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジ2−エチルへキサノエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジメルカプタイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトネート、ジブチル錫オキシラウレート、ジオクチル錫ジネオデカネート、ジブチル錫ビスブチルマレート、ジオクチル錫2−エチルヘキシルマレートなどが挙げられ、中でもジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレートが好ましい。有機第2錫系化合物は硬化剤中に0.001〜0.1質量%使用することが好ましい。
3級アミンとしては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ビス(2−モルホリノエチル)エーテル、ジアザビシクロウンデセンなどの一般的な3級アミンを使用することができるが、特殊な3級アミンであるイミダゾール化合物が好ましく、イミダゾール化合物としては、例えば1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールのような1位と2位に置換基を有する化合物や、1−メチルイミダゾール、1−アリルイミダゾールのような1位に置換基を有する化合物が使用できる。中でも、1位と2位に置換基を有するイミダゾール化合物が好ましい。3級アミンは、硬化剤中に0.01〜2.0質量%使用することが好ましい。
主剤と硬化剤の混合においては、主剤中のNCO基と硬化剤中の活性水素成分であるアミノ基との比率であるNCO基/アミノ基が0.8〜1.5の範囲にすることが好ましい。0.8以下になると硬化物の高分子量化が不十分となり物性低下が顕著となり、1.5を超えると活性水素成分が不十分なことにより物性低下や硬化不十分となる。
その他、硬化剤には、湿潤剤、消泡剤、顔料、耐候性付与剤などの添加剤類を必要に応じて配合することができる。
主剤と硬化剤の配合比は特に限定はされないが、質量比で1/1〜1/3の範囲であることが好ましく、1/1〜1/2であることがより好ましい。
また、本発明のウレタン防水材は、コンクリート等の無機系下地に対し直接塗布することはできない。無機系下地の場合はウレタン防水材とは接着しないため、下地の水分をある程度遮蔽し接着性を確保することのできるプライマーを塗布した後に、施工することができる。また改修時を含め、既存ウレタン防水層の上に場合によっては仲介プライマーを施し施工することができる。また、無機系下地に対し通気緩衝シート、塩ビシート等高分子系シート、ゴムシート、不織布シートをプライマー、接着剤、機械固定、置き敷き等で固定した上に施工することができる。さらに、金属系下地の場合も直接本願のウレタン防水材を塗布しても接着性は確保できないため、専用のプライマーを塗布した後に塗布することができる。
本発明は、アスファルト系防水層の改修を目的とはしておらず、コンクリート等の無機下地、金属系下地、高分子系樹脂下地、ゴム下地の防水および保護を目的としたものである。また、本発明のウレタン防水材は日光が直接当たるような部分に使用する場合はトップコートを塗布することが原則となる。
以下の実施例および比較例で用いた原材料は、次のとおりである。
(ポリイソシアナート)
イソホロンジイソシアナート: VESTANAT(登録商標)IPDI、イソホロンジイソシアナート単体、NCO含有量37.8質量%、NCO官能基数約2.0、エボニック・ジャパン株式会社製
コロネート(登録商標)T−80: 2,4−トリレンジイソシアナート/2,6−トリレンジイソシアナート=80/20(質量比)の混合物、NCO含有量48.3質量%、東ソー株式会社製
(ポリオール)
サンニックスPP−2000: ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量2000、OH価56.1mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
サンニックスGH−3000: ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量3000、OH価:56.1mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
サンニックスGH−5000: ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量5000、OH価:33.7mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
(溶剤)
MC−2000ソルベント: ノルマルパラフィン、イソパラフィン混合物、三協化学株式会社製
(芳香族ポリアミン)
DETDA: エタキュア100、ジエチルトルエンジアミン、アルベマール日本株式会社製
Ethacure(登録商標)420: 4,4′−メチレンビス(N−sec−ブチルアニリン)、芳香族二級ジアミン、アルベマール社製
(脂肪族または脂環族ポリアミン)
ヘキサメチレンジアミン: HMDA、ヘキサメチレンジアミン、東レ株式会社製
ノルボルナンジアミン: NBDA、ノルボルナンジアミン、2,5−(2,6)ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、三井化学株式会社製
JEFFAMINE(登録商標)D−230:ポリ(プロピレングリコール)ジアミン、平均分子量230、ハンツマン社製
ジエチレントリアミン: DETA、ジエチレントリアミン、ハンツマン社製
トリス(2−アミノエチル)アミン: TAEA、トリス(2−アミノエチル)アミン、東京化成工業株式会社製
JEFFAMINE(登録商標)T−403: トリメチロールプロパンポリ(オキシプロピレン)トリアミン、平均分子量440、ハンツマン社製
(脂肪族モノアミン)
2−エチルヘキシルアミン: 2−エチルヘキシルアミン、東京化成工業株式会社製
(無機充填剤)
炭酸カルシウム: NS#100、炭酸カルシウム、日東粉化工業株式会社製
(可塑剤)
DINP: サンソサイザー(登録商標)DINP、ジイソノニルフタレート、新日本理化株式会社製
(添加剤)
添加剤類: 楠本化成株式会社製
(促進剤)
ジオクチル錫ジラウレート: KS−1200A−1,共同薬品株式会社製
HN−2200:3−または4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、日立化成株式会社製
2−エチルヘキサン酸: オクチル酸、東洋合成工業株式会社製
MHAC−P: メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、日立化成株式会社製
リカシッド(登録商標)MH−700: 4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30(質量比)の混合物、新日本理化株式会社製
DSA: テトラプロペニル無水コハク酸、三洋化成工業株式会社製
表1〜11の配合に従って、四つ口フラスコにポリオールと溶剤を仕込み、次いでポリイソシアナート化合物を仕込んだ。その後攪拌しながら90〜100℃で3〜7時間反応させ各主剤を得た。
表1〜11の配合に従って、金属容器に液物を仕込み、攪拌機(ディゾルバー羽根)で低速混合し均一にした後、炭酸カルシウムを配合し1500rpmで15分間混合して各硬化剤を得た。
硬化促進剤および脂肪族または脂環族ポリアミンを使用しない例である。良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しているものの、硬化性が悪く23℃、5℃いずれの条件でも翌日に次工程の施工ができなかった。
硬化促進剤として2−エチルヘキサン酸0.20質量%を硬化剤に添加した比較例2は、23℃での施工可能時間は10時間、5℃での施工可能時間は23時間となり、23℃での翌日施工は可能であったが、当日2層施工および5℃での翌日施工いずれも困難であった。比較例3、4は潜在性硬化促進剤である酸無水物HN−2200を主剤に各々0.50、1.50質量%添加し脂肪族または脂環族ポリアミンは使用しない例である。0.50質量%添加した比較例3は、23℃での施工可能時間は9時間、5℃での施工可能時間は20時間となり、23℃での当日2回施工および5℃での翌日施工いずれも困難であった。HN−2200を1.50質量%に増量した比較例4は、23℃での施工可能時間は4時間、5℃での施工可能時間は16時間となり、23℃での当日2回施工および5℃での翌日施工がいずれも可能となったが、塗膜の引張強さ、耐久性が不十分であった。
比較例4の硬化剤に脂肪族トリアミンであるJEFFAMINE(登録商標)T−403を併用した例である。DETDAに対してJEFFAMINE(登録商標)T−403を各々90/10、85/15、80/20(当量比)併用した実施例1、2、3は、比較例4に比べて23℃、5℃での施工可能時間はやや遅くなるものの、23℃での当日2回施工および5℃での翌日施工いずれも可能であった。また、塗膜の引張強さ、耐久性はポリアミンを併用しない比較例4に比べて顕著に改善され塗膜防水層として十分な性能を示した。
実施例2と同じ硬化剤配合で主剤NCO基/硬化剤アミノ基比を1.10から1.00に代えた例である。実施例2に比べてやや可使時間は短くなるものの、23℃、5℃での施工可能時間は早くなり、23℃での当日2回施工および5℃での翌日施工いずれも十分に可能であった。また、塗膜の引張強さ、耐久性は実施例2に比べてさらに改善され塗膜防水層として十分な性能を示した。
実施例5、6は実施例4のJEFFAMINE(登録商標)T−403を、おのおのジエチレントリアミンまたはトリス(2−アミノエチル)アミンに代えた例である。実施例5、6の可使時間はそれぞれ31分、41分であり、硬化性は23℃での当日2回施工および5℃での翌日施工いずれも可能であった。また、塗膜の引張強さ、耐久性は実施例4と同様に比較例4に比べて顕著に改善され塗膜防水層として十分な性能を示した。
実施例7〜9は実施例4の脂肪族トリアミンであるJEFFAMINE(登録商標)T−403を、脂肪族または脂環族ジアミンであるJEFFAMINE(登録商標)D−230、ヘキサメチレンジアミンまたはノルボルナンジアミンに代えた例である。実施例7〜9の可使時間はいずれも30分以上を確保し、硬化性は23℃での当日2回施工および5℃での翌日施工いずれも可能であった。また、塗膜の引張強さ、耐久性は実施例4に比べるとやや劣るが、ポリアミンを併用しない比較例4に比べて明らかに改善され塗膜防水層として十分な性能を示した。
比較例5は実施例4の脂肪族トリアミンであるJEFFAMINE(登録商標)T−403を、脂肪族モノアミンである2−エチルヘキシルアミンに代えた例である。可使時間は31分を確保し、硬化性は23℃での当日2回施工および5℃での翌日施工いずれも可能であった。しかしながら、塗膜物性、耐久性は実施例4に比べると明らかに劣り、ポリアミンを併用しない比較例4に比べても改善傾向は見られず、塗膜防水層として不適当であった。
実施例10〜12は実施例4の酸無水物促進剤であるHN−2200を、MHAC−P、リカシッド(登録商標)MH−700またはDSAに代えた例である。実施例10〜12の可使時間はいずれも30分以上を確保し、硬化性は23℃での当日2回施工および5℃での翌日施工いずれも可能であった。また、塗膜の引張強さ、耐久性は塗膜防水層として十分な性能を示した。
実施例13は硬化促進剤のHN−2200を主剤・硬化剤混合時に添加した例である。可使時間・硬化性・塗膜物性・耐久性は、同じ配合でHN−2200を主剤に添加した実施例2と同等であり塗膜防水層として十分な性能を示した。
比較例6は硬化促進剤のHN−2200を硬化剤に0.20質量%配合した例である。HN−2200を主剤に1.50質量%添加した実施例2と比較すると、可使時間が20分と半分になっているにもかかわらず、23℃または5℃での施工可能時間は大幅に遅くなり、23℃での当日2回施工および5℃での翌日施工いずれも不可能であった。
比較例7は汎用の硬化促進剤である2−エチルヘキサン酸を硬化剤に0.20質量%配合した例である。潜在性硬化促進剤であるHN−2200を主剤に1.50質量%添加した実施例2と比較すると、可使時間が35分と短くなっているにもかかわらず、23℃または5℃での施工可能時間は大幅に遅くなり、23℃での当日2回施工および5℃での翌日施工いずれも不可能であった。
主剤のポリイソシアナートにTDI(コロネート(登録商標)T−80)を使用した例である。硬化促進剤および脂肪族または脂環族ポリアミンを使用しない比較例8は良好な塗膜物性を示しかつ十分な可使時間を確保しているものの、硬化性が悪く23℃での当日2回施工および5℃での翌日施工いずれも困難であった。比較例9は潜在性硬化促進剤である酸無水物HN−2200を主剤に0.50質量%添加し脂肪族または脂環族ポリアミンを使用していない例である。23℃での施工可能時間は6時間、5℃での施工可能時間は15時間となり、23℃での当日2回施工および5℃での翌日施工がいずれも可能となったが、塗膜の耐久性が不十分であった。
比較例9の硬化剤に脂肪族トリアミンであるJEFFAMINE(登録商標)T−403を併用した例である。DETDAに対してJEFFAMINE(登録商標)T−403を各々95/5、90/10(当量比)併用した実施例14、15の可使時間はいずれも30分以上を確保し、硬化性は23℃での当日2回施工および5℃での翌日施工いずれも可能であった。また、塗膜の耐久性はポリアミンを併用しない比較例9に比べて顕著に改善され塗膜防水層として十分な性能を示した。
200mLの三角フラスコに主剤約1gを精秤し、これに0.5Nジ−n−ブチルアミン(トルエン溶液)10mL、トルエン10mLおよび適量のブロムフェノールブルーを加えた後メタノール約100mLを加え溶解する。この混合液を0.25N塩酸溶液で滴定する。NCO(質量%)は以下の式によって求められる。
NCO(質量%)=(ブランク滴定値−0.5N塩酸溶液滴定値)×4.202×0.25N塩酸溶液のファクター×0.25÷サンプル重量
23℃、湿度50%の空気循環型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合開始から、BH型粘度計で2rpmにおける粘度が60,000mPa・sになるまでの時間を測定した。
23℃または5℃、湿度50%の空気循環式型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を2kg/m2塗布し、完全には硬化していないが、塗膜上を靴で歩行が可能となり、次工程の作業を開始できる時間を測定した。
養生条件を23℃で7日とした試験片について、JIS A 6021に基づいて測定を行った(JIS A 6021のウレタンゴム系高伸長形(旧1類)では引張強さは2.3N/mm2以上)。
養生条件を23℃で7日とした試験片について、JIS A 6021に基づいて測定を行った(JIS A 6021のウレタンゴム系高伸長形(旧1類)では破断時の伸び率は450%以上)。
養生条件を23℃で7日とした試験片について、JIS A 6021に基づいて測定を行った(JIS A 6021のウレタンゴム系高伸長形(旧1類)では引裂き強さは14N/mm以上)。
80℃の乾燥機に28日(JIS A 6021では80℃で7日)入れて加熱処理した試験片について、JIS A 6021に基づいて行い、処理前に対する引張強さ比(%)を求めた。
処理条件を60℃、4週間(JIS A 6021では23℃で1週間)に変えた以外は、JIS A 6021に基づいて行い、処理前に対する引張強さ比(%)を求めた。
Claims (12)
- ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーおよび硬化促進剤として酸無水物を含む主剤と、芳香族ポリアミン、脂肪族または脂環族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤とからなる手塗り用ウレタン防水材組成物であって、芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含む、手塗り用ウレタン防水材組成物。
- 芳香族ポリアミンの50当量%以上がジエチルトルエンジアミンであり、芳香族ポリアミンと脂肪族または脂環族ポリアミンの当量比が60/40〜98/2である、請求項1に記載の手塗り用ウレタン防水材組成物。
- 脂肪族または脂環族ポリアミンのアミノ基数が3以上である、請求項1または2に記載の手塗り用ウレタン防水材組成物。
- ポリイソシアナートがイソホロンジイソシアナートまたはトリレンジイソシアナートを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の手塗り用ウレタン防水材組成物。
- ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤パーツと、ジエチルトルエンジアミンを含む芳香族ポリアミン、脂肪族または脂環族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤パーツと、酸無水物を含む硬化促進剤パーツとからなる手塗り用ウレタン防水材組成物キット。
- 芳香族ポリアミンの50当量%以上がジエチルトルエンジアミンであり、芳香族ポリアミンと脂肪族または脂環族ポリアミンの当量比が60/40〜98/2である、請求項5に記載の手塗り用ウレタン防水材組成物キット。
- 脂肪族または脂環族ポリアミンのアミノ基数が3以上である、請求項5または6に記載の手塗り用ウレタン防水材組成物キット。
- ポリイソシアナートがイソホロンジイソシアナートまたはトリレンジイソシアナートを含む、請求項5〜7のいずれか1項に記載の手塗り用ウレタン防水材組成物キット。
- ポリイソシアナートとポリオールからなるイソシアナート基末端プレポリマーを含む主剤と、芳香族ポリアミン、脂肪族または脂環族ポリアミン、可塑剤および無機充填剤を含む硬化剤とからなる手塗り用ウレタン防水材組成物の施工方法であって、芳香族ポリアミンがジエチルトルエンジアミンを含み、硬化促進剤として酸無水物を含む第3成分を主剤にまたは主剤と硬化剤を混合するときに添加することを特徴とする、手塗り用ウレタン防水材組成物の施工方法。
- 芳香族ポリアミンの50当量%以上がジエチルトルエンジアミンであり、芳香族ポリアミンと脂肪族または脂環族ポリアミンの当量比が60/40〜98/2である、請求項9に記載の手塗り用ウレタン防水材組成物の施工方法。
- 脂肪族または脂環族ポリアミンのアミノ基数が3以上である、請求項9または10に記載の手塗り用ウレタン防水材組成物の施工方法。
- ポリイソシアナートがイソホロンジイソシアナートまたはトリレンジイソシアナートを含む、請求項9〜11のいずれか1項に記載の手塗り用ウレタン防水材組成物の施工方法。
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