JPH10251370A - 皮膜形成性組成物および皮膜の形成方法 - Google Patents

皮膜形成性組成物および皮膜の形成方法

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JPH10251370A JP9062813A JP6281397A JPH10251370A JP H10251370 A JPH10251370 A JP H10251370A JP 9062813 A JP9062813 A JP 9062813A JP 6281397 A JP6281397 A JP 6281397A JP H10251370 A JPH10251370 A JP H10251370A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】セメントモルタル、セメントコンクリート、
木、合板、織布、不織布等の多孔質基材の表面にピンホ
ールのない皮膜を形成することができる皮膜形成性組成
物、その皮膜を形成する方法、およびその皮膜を有する
構造体の提供。 【解決手段】芳香族ポリイソシアネートを含む液(A)
と、ポリオキシプロピレンポリアミン(B−1)および
鎖長延長剤(B−2)を含む液(B)とを含む皮膜形成
性組成物であって、前記鎖長延長剤(B−2)が、芳香
族環に電子吸引性基を有しない芳香族ポリアミンから選
ばれる少なくとも1種(B−2−i)と、ジアミンから
選ばれる少なくとも1種の化合物とを含むものである皮
膜形成性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、皮膜形成性組成
物、皮膜の形成方法および該方法によって形成された皮
膜を有する構造体に関し、特に、セメントモルタル、セ
メントコンクリート、木、合板、織布、不織布等の多孔
質基材の表面にピンホールのない防食・防水皮膜を形成
することができる皮膜形成性組成物、その皮膜を形成す
る方法、およびその皮膜を有する構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリ尿素エラストマーは、床、屋根等の
構造体の表面に防食・防水皮膜をスプレー塗装により形
成したり、RIM成型またはスプレーによる成形に用い
られ、高速硬化性を有するため、成型時間、成型サイク
ル等を短縮するためには、極めて有効なものである。こ
のポリ尿素エラストマーとして、特開平2−18741
7号公報には、(1)芳香性ポリイソシアネートと
(2)ポリアルキレンポリオールの分子末端第二級ヒド
ロキシル基が還元アミノ化された分子量が1500を超
えるポリオキシアルキレンアミン、および連鎖延長剤を
含むエラストマーが開示されている。この特開平2−1
87417号公報には、用いられる連鎖延長剤として、
具体的に、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジ
アミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,
6−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,
6−ジアミノベンゼン、3,5,3,5−テトラエチル
−4,4−ジアミノジフェニルメタンまたは1−メチル
−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼンと1−
メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン
の混合物、トリメチロールプロパンを開始剤とする1分
子中の末端に存在する3個の第二級ヒドロキシル基をア
ミノ化した平均アミン当量67のポリアルキレンエーテ
ルトリアミン、またはエチレングリコールを開始剤とす
る1分子中の末端に存在する2個の第二級ヒドロキシル
基をアミノ化した平均アミン当量57〜100のポリア
ルキレンエーテルジアミンが例示されている。また、特
開平3−185020号公報には、連鎖延長剤として、
ジ(メチルチオ)トルエンジアミンを含むポリ尿素エラ
ストマーが開示されている。さらに、特開平4−175
326号公報には、イソシアネート成分と、アミノ基を
末端基とするポリテトラヒドロフランおよび鎖長延長剤
を含む成分とを反応させて得ることができるポリ尿素エ
ラストマーが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のポリ尿素エラストマーは、被塗装対象物にスプレー
塗装して皮膜を形成した場合、特に−5℃以下の低温下
でスプレー塗装した場合、皮膜の硬化時の硬化収縮によ
りひび割れが発生する問題があった。また、このひび割
れを回避するために、高い柔軟性を有し、伸びが大きい
皮膜を形成する組成物を使用すると、一般に耐薬品性が
低下するとともに硬化速度が遅くなるため、被塗装対象
物のコンクリートの内部に含まれる空気等のガスが硬化
途中の皮膜中を貫通してピンホールを生じさせるという
問題があった。そこで、ガス成分の噴出を予め抑制する
目的で、コンクリート表面にポリマーセメント等からな
る下地調整剤をこて塗りする、あるいは皮膜形成性材料
をピンホールが解消するまで、例えば、3mm以上と厚
く塗布する対策を施す必要があった。しかし、これらの
対策は、費用が掛るだけではなく、工程管理要因の増加
を招き、また、厚膜化によって硬化収縮に伴う内部応力
の増大につながり接着力の低下の要因になるという問題
がある。
【0004】そこで、本発明の第1の目的は、前記問題
を解決し、高い柔軟性を有し、かつ伸びが大きいため、
低温時においてもひび割れやピンホールが発生せず、ま
た、耐薬品性に優れる皮膜を、高い硬化速度で得ること
ができる皮膜形成性組成物を提供することにある。
【0005】また、本発明の第2の目的は、前記皮膜形
成性組成物を用いて、皮膜を形成することができる方法
を提供することにある。
【0006】さらに、本発明の第3の目的は、前記皮膜
形成性組成物からなる皮膜を有する構造体を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決するため、皮膜の形成における各種の現象につい
て研究を進めた。まず、皮膜のひび割れの発生に関して
は、皮膜の硬化収縮による内部応力の発現速度と、形成
される皮膜の物理的強度の発現速度は比例関係にあるた
め、皮膜を形成する成分中に柔軟な分子鎖を増加させる
ことにより、皮膜の内部応力を緩和させ、破断伸び率
(JIS K6301)が200%以上、好ましくは3
00%以上とした皮膜が、前記課題の解決に有効である
ことを見出した。しかし、従来の方法または組成物によ
っては、破断伸び率を200%以上である皮膜を形成す
ると、得られる皮膜の硬化速度が低下してピンホール発
生の原因となる。そのため、破断伸び率を200%以
上、好ましくは300%以上に維持しかつ硬化速度をピ
ンホールの発生しない速度にする方法およびその方法に
有効な組成物について検討した。その結果、スプレー塗
布によって形成される皮膜の伸び特性、耐薬品性および
硬化速度のバランスが重要であることを見出した。そこ
で、従来、反応が速過ぎてスプレー法によっては皮膜の
形成が困難とされてきた特定のポリアミンを含み、かつ
ゲルタイムが2秒以上4秒未満の皮膜形成性組成物をス
プレー塗布することにより、ピンホールのない皮膜を形
成することを見出し、本発明を想到するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、芳香族ポリイソシア
ネートを含む液(A)と、ポリオキシプロピレンポリア
ミン(B−1)および鎖長延長剤(B−2)を含む液
(B)とを含む皮膜形成性組成物であって、前記鎖長延
長剤(B−2)が、芳香族環に電子吸引性基を有しない
芳香族ポリアミンから選ばれる少なくとも1種(B−2
−i)と、下記式(1)、(2)および(3)で表され
るジアミンから選ばれる少なくとも1種の化合物(B−
2−ii)とを含むものである皮膜形成性組成物を提供
するものである。 H2 N〔(CH2 ) m O〕n ( CH2 ) k NH2 (1) H2 N(CH2 p −R1 (2) H2 N−R2 (3) 〔R1 はアミノ基、アミノアルキル基、アミノアルキル
キシリレン基、アミノシクロヘキシル基、アミノアルキ
ルビシクロヘプチル基、N−アミノアルキルピペラジニ
ル基、ピペラジニル基、または(アミノアルキル)−
2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウン
デシル基であり、R2 はアミノシクロヘキシル基または
アミノシクロヘキシルアルキル基であり、mは1〜4の
整数であり、nは2または3であり、kは1〜4の整数
であり、pは1〜10の整数である〕
【0009】また、本発明は、前記皮膜形成性組成物を
用いて、防食・防水皮膜を形成する方法として、ゲルタ
イムが2秒以上4秒未満の皮膜形成性組成物を多孔質基
材にスプレー塗布する工程を有するピンホールのない皮
膜の形成方法を提供するものである。
【0010】さらに、本発明は、前記の皮膜の形成方法
で形成した皮膜を有する構造体を提供するものである。
【0011】
【発明の具体的な説明】以下、本発明の皮膜形成性組成
物(以下、「本発明の組成物」という)、皮膜の形成方
法(以下、「本発明の方法」という)および構造体につ
いて詳細に説明する。
【0012】本発明の組成物は、前記芳香族ポリイソシ
アネートを含む液(A)と、ポリオキシプロピレンポリ
アミン(B−1)、および鎖長延長剤(B−2)を含む
液(B)とを必須成分とするものである。
【0013】本発明の組成物の必須成分である液(A)
は、イソシアネート基の一部が活性水素化合物と反応し
た、末端にイソシアネート基を有する芳香族ポリイソシ
アネートを含むものである。芳香族ポリイソシアネート
としては、例えば、 4,4−ジフェニルプロパンジイソ
シアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,
6−トルエンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−
ジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートフェニ
ル)メタン、ビス(3−メチル−3−イソシアネートフ
ェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−イソシアネー
トフェニル)メタン、p−フェニレンジイソシアネー
ト、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、粗
製トリレンジイソシアネート等、およびこれらのカルボ
ジイミド変性品、ビューレット変性品などを例示でき
る。特に、ビス(4−イソシアネートフェニル)メタ
ン、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートおよ
びこれらのカルボジイミド変性品、ビューレット変性品
が好適である。
【0014】本発明の組成物において、液(A)に含ま
れ、芳香族ポリイソシアネートと反応される活性水素含
有化合物は、第一級および/または第二級ヒドロキシル
基を1分子中に2以上有するポリオール類、または第二
級ヒドロキシル基をアミノ化したアミノ基を1分子中に
2以上有するポリアミン類である。
【0015】第一級および/または第二級ヒドロキシル
基を1分子中に2以上有するポリオール類としては、例
えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グ
リセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリト
ール等の多価アルコール、前記多価アルコールにエチレ
ンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサ
イド等の低分子アルキレンオキサイドの1種以上を付加
重合して得られるポリアルキレンエーテルポリオール;
ビスフェノール−A、テトラブロムビスフェノール−A
等の多価フェノールにエチレンオキサイド、プロピレン
オキサイド、ブチレンオキサイド等の低分子アルキレン
オキサイドの1種以上を付加重合して得られるポリアル
キレンエーテルポリオール;テトラヒドロフランを開環
重合して得られるポリテトラメチレンエーテルポリオー
ル等のポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジペー
トグリコール、ポリエチレンプロピレンアジペートグリ
コール、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリヘキ
サメチレンアジペートグリコール、カプロラクトン等の
重合によって得られるポリオール等のポリエステルポリ
オール;アクリルポリオール、ひまし油ポリオール、ポ
リカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオー
ル、エタノールアミン等のアミノアルコール類が例示さ
れる。また、第二級ヒドロキシル基をアミノ化したアミ
ノ基を1分子中に2以上有するポリアミン類としては、
後述する、液(B)に含まれる化合物(1)と同じもの
が好適である。
【0016】本発明において、これらの活性水素含有化
合物は、反応物の粘度やスプレー皮膜の目標特性に応じ
て、官能基数、分子量、化合物の種類が選択される。
【0017】本発明の組成物の液(A)において、芳香
族ポリイソシアネートと活性水素含有化合物との反応生
成物に含まれるイソシアネート残基の含有量は13〜1
5重量%、好ましくは14〜14.8重量%である。ま
た、25℃における粘度は5Pa・s以下である。イソ
シアネート残基の含有量が上記の範囲であると、液
(A)の粘度が適正な粘度となり、スプレーシステムへ
の液の供給に支障が生じることなく、得られる皮膜の耐
薬品性が悪化する等の弊害も生じないため好ましく、皮
膜の伸び特性も悪化しない。
【0018】本発明の組成物の必須成分である液(B)
は、ポリオキシプロピレンポリアミン(B−1)、およ
び鎖長延長剤(B−2)を含むものである。
【0019】液(B)の成分であるポリオキシプロピレ
ンポリアミン(B−1)は、エチレングリコール等にプ
ロピレンオキシドを付加させてなる、2つの末端のそれ
ぞれに1個の第2級ヒドロキシル基を有するポリプロピ
レングリコールのヒドロキシル基をアミノ化してなる、
分子量200〜4000のジアミン、またはグリセリン
もしくはトリメチロールプロパンにプロピレンオキシド
を付加させてなる、3つの末端のそれぞれに1個の第2
級ヒドロキシル基を有するポリプロピレングリコールを
アミノ化してなる、分子量400〜5000のトリアミ
ンである。本発明において、これらのポリオキシプロピ
レンポリアミンは、1種単独でも2種以上を組み合わせ
ても用いられる。このポリオキシプロピレンポリアミン
の具体例としては、ハンツマン社からJEFFAMIN
E DまたはTなる商標で供給されているものが挙げら
れる。JEFFAMINE Dは、分子量230〜40
00のジアミンであり、D−230、D−400、D−
2000およびD−4000の銘柄名で市販されている
ものがある。また、JEFFAMINE Tは、分子量
430〜5000のトリアミンであり、T−430、T
−3000、T−5000の銘柄名で市販されているも
のがある。これらの中でも、良好な伸び特性を有する皮
膜が得られる点で、JEFFAMINE D−200
0、D−4000等の分子量1800〜4500のポリ
オキシアルキレンジアミン、JEFFAMINE T−
3000、T−5000等の分子量2500〜5500
のポリオキシアルキレントリアミンが好ましい。
【0020】本発明の組成物の液(B)における鎖長延
長剤(B−2)は、芳香族環に電子吸引性基を有しない
芳香族ポリアミンから選ばれる少なくとも1種(B−2
−i)と、前記式(1)、(2)および(3)で表され
るジアミンから選ばれる少なくとも1種の化合物(B−
2−ii)とを含むものである。
【0021】鎖長延長剤(B−2)の成分である、芳香
環に電子吸引性基を有しない芳香族ポリアミンとして
は、例えば、4,4−ジアミノジフェニル、4,4−ジ
アミノジフェニルエーテル、2,3−ジアミノトルエ
ン、3,4−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノトル
エン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノジ
フェニルメタン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、
ポリメチレンポリフェニルポリアミン、1,3−ジメチ
ル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−
2,5−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4
ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,5−ジアミ
ノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミ
ノベンゼン、2, 4−ジアミノメシチレン、1,3,5
−トリエチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,3,5
−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−
メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼ
ン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノ
ベンゼン、3,5,3,5−テトラメチル−4,4−ジ
アミノジフェニルメタンが例示される。これらは1種単
独でも2種以上を組合せても用いられる。これらの中で
も、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノ
ベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジ
アミノベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,6−ジ
アミノベンゼン、3,5,3,5−テトラメチル−4,
4−ジアミノジフェニルメタンが、室温下で液体であ
り、蒸気圧が低く、取扱いが容易であることから、好適
である。
【0022】また、鎖長延長剤の必須成分であるジアミ
ンを示す前記式(1)、(2)または(3)において、
1 はアミノ基、アミノアルキル基、アミノアルキルキ
シリレン基、アミノシクロヘキシル基、アミノアルキル
ビシクロヘプチル基、N−アミノアルキルピペラジニル
基、ピペラジニル基、または(アミノアルキル)−2,
4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデシ
ル基である。また、mは1〜4の整数であり、nは2ま
たは3であり、kは1〜4の整数であり、pは1〜10
の整数である。
【0023】式(1)で表されるジアミンの具体例とし
ては、ポリエチレングリコールジアミン類、ポリテトラ
メチレングリコールジアミン類等が挙げられる。本発明
においては、特に、式(1)で表されるジアミンとし
て、ジエチレングリコールジアミン、トリエチレングリ
コールジアミン、テトラエチレングリコールジアミンか
ら選ばれる1種以上を用いることが好ましい。
【0024】式(2)で表されるアミノ基を1分子中に
1以上有する化合物の具体例としては、1,6−ヘキサ
メチレンジアミン、トリエチレンテトラミン等のポリア
ルキレンポリアミン類;2−メチル−1,5−ペンタメ
チレンジアミン、1,3−ペンタンジアミン、2,4,
4−トリメチル−1,6−ヘプタンジアミン等の鎖状脂
肪族ポリアミン;ビスアミノメチルシクロヘキサン、1
−アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチル
シクロヘキサン、2,5−ジアミノメチル−ビシクロ
〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ジアミノメチル−ビ
シクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,5−ジアミノエチ
ル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ジアミ
ノエチル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,5−
ジアミノプロピル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、
2,6−ジアミノプロピル−ビシクロ〔2.2.1〕ヘ
プタン、N−アミノエチルピペラジン、N,N−ビスア
ミノエチルピペラジン、N,N−ビスアミノプロピルピ
ペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,
4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカ
ン等の脂環式ポリアミン;キシリレンジアミン等の芳香
環含有脂肪族ポリアミンなどの多様な化合物が挙げられ
る。これらの中でも、2,4,4−トリメチル−1,6
−ヘプタンジアミン、1−アミノ−3,3,5−トリメ
チル−5−アミノメチルシクロヘキサン、2,5−ジア
ミノメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプタン、2,6
−ジアミノメチル−ビシクロ[ 2.2.1] ヘプタン、
1,3−ジアミノメチルシクロヘキサン等のビスアミノ
メチルシクロヘキサン、キシリレンジアミンが好適であ
る。
【0025】また、式(3)で表されるアミノ基を1分
子中に1以上有する化合物としては、1,2−ジアミノ
シクロヘキサン、p−アミノシクロヘキシル−メタン、
3,3−ジメチル−4,4−ジアミノシクロヘキシル−
メタンが好適に用いられる。
【0026】本発明の組成物の液(B)において、式
(1)、(2)および(3)で表されるジアミンが有す
るアミノ基の数が、液(B)に含まれる全アミン化合物
中のアミノ基およびイミノ基の総数の12〜30%、好
ましくは12〜25%に調整される。アミノ基の数が、
上記の範囲であれば、皮膜のピンホールの発生が低減さ
れるため、有効であり、また、良好な外観を有する皮膜
の形成が容易である。
【0027】また、本発明においては、前記(B−2)
以外の鎖長延長剤として、公知のアルキル置換ポリアミ
ン、ジ(メチルチオ)トルエンジアミン等も用いること
ができる。
【0028】本発明の組成物において、液(A)と液
(B)の混合比率は、液(A)に含まれるイソシアネー
ト基と液(B)に含まれるポリアミンのアミノ基および
イミノ基に基づいて、液(B)に含まれるポリアミンが
有するアミノ基およびイミノ基の合計数を1とした場
合、液(A)に含まれる芳香族ポリイソシアネートのイ
ソシアネート基が0.8〜1.3となる割合であり、安
定した伸び特性を有する皮膜を得ることができる点で、
特に好ましくは1.0〜1.05となる割合である。
【0029】本発明の組成物において、液(A)と液
(B)が前記の混合比率で混合され、スプレー塗布によ
り形成される皮膜中の芳香族化合物の含有量は、皮膜特
性に影響し、液(A)と液(B)中の反応性化合物中に
含まれるベンゼン核として18〜25重量%となる量で
あるのが好ましく、特に好ましくは22〜25重量%と
なる量である。皮膜中の芳香族化合物の含有量が、上記
の範囲であれば、耐薬品性、皮膜の強度、および皮膜の
伸び特性が低下せず、低温でのひび割れの問題も発生し
ないため好ましい。本発明において、皮膜中の反応性化
合物中のベンゼン核の分析は、皮膜中の非反応性の可塑
剤を抽出除去した後、例えば、GP−1018型熱分解
装置(熱分解温度600℃)、5890SERIESII
GC装置、5971A型MS装置(いずれもヒュ−レッ
トパッカ−ド社製)からなる熱分解ガスクロマトグラフ
ィーによって定量することができる。
【0030】また、本発明の組成物には、前記液(A)
および液(B)以外に、本発明の目的を損なわない範囲
で、着色剤、体質顔料(充填剤)、難燃剤、安定剤、消
泡剤、可塑剤等を必要に応じ配合することができる。
【0031】用いられる着色剤としては、例えば、亜鉛
華、ウルトラマリーン、カーボンブラック、カドミウム
レッド、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、コ
バルトブルー、酸化クロムグリーン、酸化チタン、セル
リアンブルー、チタニウムイエロー、プルッシャンブル
ー、マルスバイオレット、ベンガラ、パーマネントレッ
ド、ハンザエロー、フタロシアニングリーン、フタロシ
アニンブルー、ベンジジンエロー、レーキレッド等が挙
げられる。
【0032】また、体質顔料(充填剤)としては、例え
ば、アルミナ、カオリン、活性炭、活性白土、ガラスバ
ルーン、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉末、
グラファイト、珪藻土、酸性白土、シリカ、ジルコニ
ア、水酸化アルミニウム、スラグ、ゼオライト、タル
ク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタニア、ド
ロマイト、ベントナイト、マイカ、マグネシア、モンモ
リナイト、硫酸バリウムが挙げられる。
【0033】難燃剤としては、例えば、トリス−ジクロ
ロプロピルフォスフェート、トリス−クロロエチルフォ
スフェート(大八化学社製)等の燐酸エステル類、ジブ
ロモネオペンチルグリコール、トリブロモネオペンチル
アルコール等のブロム化合物などが挙げられる。
【0034】安定剤としては、例えば、ヒンダートフェ
ノール類(チバガイギー社製イルガノックス1010、
イルガノックス1072、吉富製薬社製GSY−930
等)、ヒンダートアミン類(チバガイギー社製チヌビン
144等)、ベンゾフェノン類(吉富製薬社製トミソー
プ800等)、ベンゾトリアゾール類(チバガイギー社
製チヌビンP、チヌビン327、チヌビン328等)な
どが挙げられる。
【0035】消泡剤としては、例えば、シリコン系、ポ
リアクリル酸エステル系のものが開けられる。また、可
塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸
ジブチル等のフタル酸エステル類、その他アジピン酸ジ
オクチル、燐酸トリクレジル、塩素化パラフィン等があ
るが、可塑剤の使用量は最小限に止めることが好まし
い。
【0036】また、本発明の方法は、ゲルタイムが2秒
以上4秒未満、好ましくは2〜3秒の本発明の皮膜成形
性組成物を、多孔質基材にスプレーすることにより、ピ
ンホールのない皮膜を形成する方法である。ゲルタイム
が上記範囲の皮膜形成性組成物では、スプレーされた皮
膜形成性組成物のダスト化、すなわち、反応が早過ぎて
スプレーの噴霧中で硬化が始まり、粉末を吹き付けるよ
うになる現象、また、糸引き現象、すなわち、硬化反応
が早くなり、スプレーノズルから噴霧を形成せずに、糸
状に飛び出す現象を生じることなく、平滑な面の皮膜が
得られ、さらにピンホールの抑止に効果がある。本発明
において、ゲルタイムとは、23℃の環境下、垂直面の
一点に吐出量毎分5リットルのスプレー装置で3秒間ス
プレーし、これを止めてから皮膜形成性組成物が固化し
て垂下が止まる迄の時間を言う。
【0037】本発明の方法において、ゲルタイムが2秒
以上4秒未満の皮膜形成性組成物は、前記式(1)、
(2)および(3)で表されるジアミンから選ばれる少
なくとも1種の化合物の配合量を、これらのジアミンの
有するアミノ基が、液(B)中に含まれる全アミン化合
物中のアミノ基およびイミノ基の総数の12〜30%と
なる範囲内で調製することができる。
【0038】本発明の方法において、本発明の組成物を
用いて、スプレーにより皮膜を形成する対象は、特に限
定されない。特に、本発明の方法は、セメントモルタ
ル、セメントコンクリート、木、合板、織布、不織布等
の多孔質基材に適用して、ピンホール抑止効果が高く発
揮されるため、好適である。
【0039】また、本発明の方法において、形成される
皮膜が、破断伸び率が200%以上、好ましくは300
%以上である皮膜であると、下地コンクリートにひび割
れが発生しても、割れや亀裂を生じないため、好まし
い。
【0040】本発明の方法において、皮膜形成性組成物
をスプレーするために用いられるスプレー装置として
は、通常、吐出圧力7MPa以上、好ましくは20MP
a以上、かつ、ホットホースとスプレーガンを含めた各
部の温度、すなわち吐出温度を60℃以上、好ましくは
70℃に調節可能であり、吐出量が毎分1〜15リット
ルである調圧調温計量装置と、ミキシング部品を備えた
スプレーガンからなる。この調圧調温計量装置の具体例
としては、ガスマー社製H−2000またはH−Vが挙
げられ、スプレーガンとしては、2液を直接衝突させる
特開平7−144122号公報に記載の混合部品(サン
テクノケミカル社製)を装着したGX−7(ガスマー社
製)等が挙げられる。
【0041】本発明の方法は、各種の建築・土木構造
物、あるいは各種の構造体等に適用して、本発明の組成
物からなる皮膜を形成することができる。例えば、コン
クリート水槽、地下室、カルバート(共同溝)、トンネ
ル、高架道路、道路、橋、地下鉄駅舎、水路、ビル、蓄
熱水槽、下水処理場、駐車場、ビル屋上、テニスコート
等のスポーツ施設、工場等の床、あるいは各種型枠、自
動車の天床などに適用して、本発明の組成物からなる皮
膜を形成することができる。
【0042】
【実施例】以下、本発明の実施例および比較例を示し、
本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの
実施例に何ら限定されるものではない。
【0043】(実施例) 液(A1)の調製 窒素ガス雰囲気下、カルボジイミド変性メチレンジフェ
ニルイソシアネート(MDI)100重量部に対し、平
均分子量2250のポリプロピレングリコール78.4
重量部を滴下し、激しく攪拌しながら、80℃で6時間
反応させ、イソシアネート基含有量14.6重量%の芳
香族ポリイソシアネートを含む液(A1)を得た。 液(A2)の調製 液(A1)と同様にして、MDI100重量部に対し、
平均分子量2000のポリプロピレングリコール66.
7重量部を滴下し、激しく攪拌しながら、80℃で6時
間反応させ、イソシアネート基含有量15.7重量%の
芳香族ポリイソシアネートを含む液(A2)を得た。 液(A3)の調製 液(A1)と同様にして、MDI100重量部に対し、
平均分子量2500のポリプロピレングリコール90.
5重量部を滴下し、イソシアネート含有量13.6重量
%の芳香族ポリイソシアネートを含む液(A2)を得
た。
【0044】液(B1)の調製 分子量約2000のポリプロピレングリコールアミン1
00重量部、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−
ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−
2,6−ジアミノベンゼンの混合物(ジエチルトルエン
ジアミン)26.7重量部、およびトリエチレングリコ
ールジアミン6.7重量部を混合して、前記式(1)に
示されるジアミンのアミノ基が(B1)に含まれるポリ
アミンのアミノ基の総数に対して18.4%のポリアミ
ンを含む液(B1)を得た。 液(B2)の調製 分子量約2000のポリプロピレングリコールアミン1
00重量部、ジエチルトルエンジアミン28.5重量
部、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン6.1重
量部、および二酸化チタン8.0重量部を混合して、前
記式(2)に示されるジアミンのアミノ基が(B2)に
含まれるポリアミンのアミノ基の総数に対して17.2
%のポリアミンを含む液(B2)を得た。 液(B3)の調製 分子量約2000のポリプロピレングリコールアミン1
00重量部、ジエチルトルエンジアミン32.6重量
部、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン7.4重
量部、および二酸化チタン8.3重量部を混合して、前
記式(3)に示されるジアミンのアミノ基が(B3)に
含まれるポリアミンのアミノ基の総数に対して13.2
%のポリアミンを含む液(B3)を得た。
【0045】液(B4)の調製 分子量約2000のポリプロピレングリコールアミン1
00重量部、ジエチルトルエンジアミン25.2重量
部、1,2−ジアミノシクロヘキサン7.0重量部、お
よび二酸化チタン7.9重量部を混合して、前記式
(3)に示されるジアミンのアミノ基が(B4)に含ま
れるポリアミンのアミノ基の総数に対して含有量24.
6%のポリアミンを含む液(B4)を得た。 液(B5)の調製 分子量約2000のポリプロピレングリコールアミン1
00重量部、ジエチルトルエンジアミン20.6重量
部、およびトリエチレングリコールジアミン13.8重
量部を混合して、前記式(1)に示されるジアミンのア
ミノ基が(B5)含まれるアミノ基の総数に対して3
6.0%のポリアミンを含む液(B5)を得た。 液(B6)の調製 分子量約2000のポリプロピレングリコールアミン1
00重量部、ジエチルトルエンジアミン28.9重量
部、トリエチレングリコールジアミン4.2重量部およ
び酸化チタン7.9重量部を混合して、 前記式(1)に
示されるジアミンのアミノ基が(B6)に含まれるポリ
アミンのアミノ基の総数に対して11.8%のポリアミ
ンを含む液(B6)を得た。
【0046】液(B7)の調製 分子量約5000のポリプロピレングリコールアミン1
00重量部、分子量約2000のポリプロピレングリコ
ールアミン66.7重量部、およびジエチルトルエンジ
アミン74.9重量部を混合してポリアミン液(B7)
を得た。 液(B8)の調製 分子量約2000のポリプロピレングリコールアミン1
00重量部、およびジエチルトルエンジアミン31.2
重量部を混合してポリアミン液(B8)を得た。
【0047】液(B9)の調製 分子量約2000のポリプロピレングリコールアミン1
00重量部、ジエチルトルエンジアミン58.63重量
部、トリエチレングリコールジアミン8.87重量部お
よび酸化チタン9.95重量部を混合して、 前記式
(1)に示されるジアミンのアミノ基が(B9)に含ま
れるポリアミンのアミノ基の総数に対して13.6%の
ポリアミンを含む液(B9)を得た。
【0048】液(B10)の調製 分子量約2000のポリプロピレングリコールアミン1
00重量部、ジエチルトルエンジアミン14.8重量
部、トリエチレングリコールジアミン6.42重量部お
よび二酸化チタン7.2重量部を混合して、 前記式
(1)に示されるジアミンのアミノ基が(B10)に含
まれるポリアミンのアミノ基の総数に対して24.6%
のポリアミンを含む液(B10)を得た。
【0049】以下の実施例および比較例における皮膜の
形成は、下記のスプレーシステムおよびスプレー条件に
より、液(A)と液(B)の混合容積比率(A)/
(B)を1に調整して行った。 スプレーシステム:ガスマー社製H−2000、ホース
長18m、GX−7スプレーガン スプレー条件:吐出圧力:約12MPa 液(A)および液(B)の吐出温度:71℃
【0050】(実施例1)液(A1)と液(B1)を用
いて以下の試験を行った。 (1)シリコンコンパウンドで離型処理した約500m
m×500mm×5mmtのステンレス鋼板上に、液
(A1)と液(B1)とからなる組成物をスプレー塗装
して厚さ約2mmの皮膜を形成した。スプレー状態およ
び皮膜の状態を目視で観察した。この皮膜の状態を下記
の基準で評価した。 ○ スプレー時にダスト化および糸引きがなく、良好な
皮膜状態を示す × 糸引きまたはダスト化を生じ、皮膜が形成されない 次に、1分後に皮膜をはがし、25℃で7日間放置して
から、皮膜からJISK 6301に規定の3号ダンベ
ル形試験片を作成し、引張り強さと破断伸び率を測定し
た。 (2)呼び強度300およびスランプ18のコンクリー
トを約500mm×500mm×200mmの型枠に打
設し、24時間後に型枠を外し、得られたコンクリート
固化体の表面をサンドブラスト処理した。この面に、液
(A1)と液(B1)とからなる組成物をスプレー塗装
して、厚さ2mmの皮膜を形成した。得られた皮膜につ
いて、ピンホールの発生の有無を目視で観察した。 (3)約500mm×500mm×10mmの合板の表
面に、液(A1)と液(B1)とからなる組成物をスプ
レー塗装して厚さ約2mmの皮膜を形成した。 得られた
皮膜について、ピンホールの発生の有無を目視で観察
し、下記の基準で評価した。 ○ ピンホールの発生なし × ピンホールが発生 (4)シリコンコンパウンドで離型処理した約500m
m×500mm×5mmtのステンレス鋼板上に、液
(A1)と液(B1)とからなる組成物をスプレー塗装
し約150mm×100mm×2mmtの皮膜を形成し
た。指触乾燥後、直ちに皮膜をはがし、−10℃で30
分間放置した。−10℃で直径100mmの円柱の外周
に沿うように曲げてクラック発生の有無を調べ、下記の
基準で評価した。 ○ クラックの発生なし × クラックが発生 結果を表1に示す。
【0051】(実施例2)液(A1)と液(B2)を用
いて、実施例1と同様に各種の皮膜を形成し、皮膜の状
態、引張り強さと破断伸び率の測定、ピンホールの有無
およびクラック発生の有無を調べた。結果を表1に示
す。 (実施例3)液(A1)と液(B3)を用いて、実施例
1と同様に各種の皮膜を形成し、皮膜の状態、引張り強
さと破断伸び率の測定、ピンホールの有無およびクラッ
ク発生の有無を調べた。結果を表1に示す。 (実施例4)液(A1)と液(B4)を用いて、実施例
1と同様に各種の皮膜を形成し、皮膜の状態、引張り強
さと破断伸び率の測定、ピンホールの有無およびクラッ
ク発生の有無を調べた。結果を表1に示す。
【0052】(比較例1)液(A1)と液(B5)を用
いて、実施例1と同様に各種の皮膜を形成し、皮膜の状
態、引張り強さと破断伸び率の測定、ピンホールの有無
およびクラック発生の有無を調べた。結果を表1に示
す。 (比較例2)液(A1)と液(B6)を用いて、実施例
1と同様に各種の皮膜を形成し、皮膜の状態、引張り強
さと破断伸び率の測定、ピンホールの有無およびクラッ
ク発生の有無を調べた。結果を表1に示す。 (比較例3)液(A2)と液(B7)を用いて、実施例
1と同様に各種の皮膜を形成し、皮膜の状態、引張り強
さと破断伸び率の測定、ピンホールの有無およびクラッ
ク発生の有無を調べた。結果を表1に示す。 (比較例4)液(A3)と液(B8)を用いて、実施例
1と同様に各種の皮膜を形成し、皮膜の状態、引張り強
さと破断伸び率の測定、ピンホールの有無およびクラッ
ク発生の有無を調べた。結果を表1に示す。
【0053】(比較例5)液(A1)と液(B9)を用
いて、実施例1と同様に各種の皮膜を形成し、皮膜の状
態、引張り強さと破断伸び率の測定、ピンホールの有無
およびクラック発生の有無を調べた。結果を表1に示
す。
【0054】(比較例6)液(A1)と液(B10)を
用いて、実施例1と同様に各種の皮膜を形成し、皮膜の
状態、引張り強さと破断伸び率の測定、ピンホールの有
無およびクラック発生の有無を調べた。結果を表1に示
す。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】本発明の皮膜形成性組成物は、高い柔軟
性を有し、かつ伸びが大きいため、低温時においてもひ
び割れやピンホールが発生せず、また、耐薬品性に優れ
る皮膜を、高い硬化速度で得ることができるものであ
る。
【0057】また、本発明の皮膜の形成方法によれば、
前記皮膜形成性組成物を用いて、高い柔軟性を有し、か
つ伸びが大きいため、低温時においてもひび割れやピン
ホールが発生せず、また、耐薬品性に優れる皮膜を、高
い硬化速度で形成することができる。特に、本発明の方
法は、コンクリート、モルタル、木材、紙、織布、不織
布などの多孔性物質の表面に、直接スプレーすることに
よってピンホールのない強靭で耐薬品性の優れた皮膜を
2mm以下の膜厚で形成することができる。これによっ
て、多孔性物質の表面に対して、ピンホール発生防止の
目的で従来より行われている予め下地調整材を施工する
工程を省略することができるため、産業上の実用価値が
高い。
【0058】また、本発明の構造体は、高い柔軟性を有
し、かつ伸びが大きいため、低温時においてもひび割れ
やピンホールが発生せず、また、耐薬品性に優れる皮膜
を有するものである。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族ポリイソシアネートを含む液(A)
    と、ポリオキシプロピレンポリアミン(B−1)および
    鎖長延長剤(B−2)を含む液(B)とを含む皮膜形成
    性組成物であって、前記鎖長延長剤(B−2)が、芳香
    族環に電子吸引性基を有しない芳香族ポリアミンから選
    ばれる少なくとも1種(B−2−i)と、下記式
    (1)、(2)および(3)で表されるジアミンから選
    ばれる少なくとも1種の化合物(B−2−ii)とを含
    むものである皮膜形成性組成物。 H2 N〔(CH2 ) m O〕n ( CH2 ) k NH2 (1) H2 N(CH2 p −R1 (2) H2 N−R2 (3) 〔R1 はアミノ基、アミノアルキル基、アミノアルキル
    キシリレン基、アミノシクロヘキシル基、アミノアルキ
    ルビシクロヘプチル基、N−アミノアルキルピペラジニ
    ル基、ピペラジニル基、または(アミノアルキル)−
    2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウン
    デシル基であり、R2 はアミノシクロヘキシル基または
    アミノシクロヘキシルアルキル基であり、mは1〜4の
    整数であり、nは2または3であり、kは1〜4の整数
    であり、pは1〜10の整数である〕
  2. 【請求項2】前記式(1)、(2)および(3)で表さ
    れるジアミンが有するアミノ基の数が、液(B)に含ま
    れる全アミン化合物中のアミノ基およびイミノ基の総数
    の12〜30%である請求項1に記載の皮膜形成性組成
    物。
  3. 【請求項3】前記式(1)で表されるジアミンが、ジエ
    チレングリコールジアミン、トリエチレングリコールジ
    アミン、テトラエチレングリコールジアミンから選ばれ
    る少なくとも1種である請求項1または2に記載の皮膜
    形成性組成物。
  4. 【請求項4】前記式(2)で表されるジアミンが、2,
    4,4−トリメチル−1,6−ヘプタンジアミン、キシ
    リレンジアミン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、1
    −アミノ−3,3,5−トリメチル−5−アミノメチル
    シクロヘキサン、2,5−ジアミノメチル−ビシクロ[
    2,2,1] ヘプタン、2,6−ジアミノメチル−ビシ
    クロ[ 2,2,1] ヘプタン、および3,9−ビス(3
    −アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサス
    ピロ(5,5)ウンデカンから選ばれる少なくとも1種
    である請求項1〜3のいずれかに記載の皮膜形成性組成
    物。
  5. 【請求項5】前記式(3)で表されるジアミンが、1,
    2−ジアミノシクロヘキサン、p−アミノシクロヘキシ
    ル−メタン、および3,3−ジメチル−4,4−ジアミ
    ノシクロヘキシル−メタンから選ばれる少なくとも1種
    である請求項1〜4のいずれかに記載の皮膜形成性組成
    物。
  6. 【請求項6】前記の芳香環に電子吸引性基を有しない芳
    香族ポリアミンが、1−メチル−3,5−ジエチル−
    2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエ
    チル−2,6−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリエ
    チル−2,6−ジアミノベンゼン、および3,5,3,
    5−テトラメチル−4,4−ジアミノジフェニルメタン
    から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいず
    れかに記載の皮膜形成性組成物。
  7. 【請求項7】液(A)と液(B)の混合比率が、液
    (B)に含まれるポリアミンが有するアミノ基およびイ
    ミノ基の合計数を1とした場合、液(A)に含まれる芳
    香族ポリイソシアネートのイソシアネート基が0.8〜
    1.3となる割合である請求項1〜6のいずれかに記載
    の皮膜形成性組成物。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の皮膜形成
    性組成物であって、ゲルタイムが2秒以上4秒未満の皮
    膜形成性組成物を多孔質基材にスプレーする工程を有す
    るピンホールのない皮膜の形成方法。
  9. 【請求項9】前記多孔質基材が、セメントモルタル、セ
    メントコンクリート、木、合板、織布、または不織布で
    ある請求項8に記載の皮膜の形成方法。
  10. 【請求項10】破断伸び率が200%以上である皮膜を
    形成する請求項8または9に記載の皮膜の形成方法。
  11. 【請求項11】請求項8〜10のいずれかに記載の皮膜
    の形成方法で形成した皮膜を有する構造体。
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