JP2019077177A - 軟質ウレタン廃材の処理方法、固形燃料の製造方法、固形燃料及び2軸破砕機 - Google Patents
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Abstract
Description
古くは埋め立て処理されたが、埋め立て処理場の確保が難しくなってきたため、現在は焼却処理が主流となっている。
ウレタンフォームは、石油由来製品であるため、原油資源の枯渇問題を考慮すると、埋め立てや焼却ではなく、有効な二次利用が求められる。
特許文献1の技術は、ウレタンフォームを10mm以下に破砕する工程と、得られた破砕粉を負圧雰囲気中でリング状ダイに投入しプレスロールで押すことでダイ孔から押し出して燃料ペレットを得る圧縮工程とを備える(特許文献1、請求項1)。
先ず、負圧雰囲気中で圧縮工程を実施するため、圧縮設備を囲う真空容器(気密カバー)と、真空ポンプが必要になる。真空容器や真空ポンプは高価である。加えて、真空ポンプを運転するため電気代が嵩む。結果、圧縮設備がコストアップになり、運転コストが嵩む。
一方、ベッド、ソファー、マット、座布団などの生活用品又は工業製品に使用されるウレタンフォームは、弾力性に富む軟質ウレタンフォーム(以下、軟質ウレタンと略記する。)である。
対策として、10mm以下の粒径の破砕粉を、より細粒化することが考えられる。
そこで、本発明者らは、特許文献2の技術で軟質ウレタンの細粒化の実験を実施した。
このような破砕機に、敢えて軟質ウレタンを投入してみた。
投入された軟質ウレタンは、スクリューで回転刃盤へ送られ圧縮される。送られてきた軟質ウレタンは、固定刃盤と回転刃盤との間で切断され、擂り潰される。結果、十分に小径の軟質ウレタン粉が得られる。
このことから、軟質ウレタンを刃で切断したことが、軟質ウレタン粉の粒径に影響していると推定される。加えて、軟質ウレタンが、軟らかいため刃から逃げてしまい、切断にむらが発生する。このことが、軟質ウレタン粉の粒径のばらつきを誘発していると推定される。
すなわち、特許文献2の破砕機は、得られる軟質ウレタン粉の粒径が、不可避的にばらつく。ばらつきが大きいため、軟質ウレタンの処理には、このままでは適用できない。
一方の前記破砕スクリューに対して他方の前記破砕スクリューを逆回転させるようにした2軸破砕機を準備する設備準備工程と、
低反発性ウレタン又は低硬度ウレタンを主とする軟質ウレタン廃材を準備する原料準備工程と、
前記軟質ウレタン廃材を、前記2軸破砕機に投入し、前記ノーマル羽根で前記軟質ウレタン廃材を破砕しつつ圧縮し、
得られた小径破砕物を、前記カウンター羽根でせき止めつつ前記小径破砕物同士を摺り合わせて、平均粒径が1.0mmを下廻る軟質微粉末を得る破砕粉末化工程と、からなる軟質ウレタン廃材の処理方法を提供する。
前記軟質ウレタン廃材は、ウレタン製品製造者から提供される端材又は介護業者から提供される古マットであることを特徴とする。
ウレタン製品製造者は、化学原料からウレタンマットを製造する者と、ウレタンマットを仕入れて切断して製品を製造する者の双方を指す。
請求項1又は請求項2記載の軟質ウレタン廃材の処理方法で得られた軟質微粉末と、熱可塑性廃プラスチックの破砕物と、圧縮・整粒装置とを準備する工程と、
5質量%〜80質量%の前記軟質微粉末と20質量%〜95質量%の前記破砕物とを前記圧縮・整粒装置に投入し、この圧縮・整粒装置で混合物を混合し、圧縮し、押し出し、一定の長さに切断することで固形燃料を得る工程と、からなることを特徴とする。
請求項1又は請求項2記載の軟質ウレタン廃材の処理方法で得られた前記軟質微粉末と、熱可塑性廃プラスチックの破砕物と、圧縮・整粒装置とを準備する工程と、
50質量%〜80質量%の前記軟質微粉末と20質量%〜50質量%の前記破砕物とを前記圧縮・整粒装置に投入し、この圧縮・整粒装置で混合物を混合し、圧縮し、押し出し、一定の長さに切断することで固形燃料を得る工程と、からなることを特徴とする。
この固形燃料は、前記軟質ウレタンからなり平均粒径が1.0mmを下廻る軟質微粉末と、前記熱可塑性プラスチックからなる破砕物とを主成分とし、
前記軟質微粉末の比率は、5質量%〜80質量%であり、
前記破砕物の比率は、20質量%〜95質量%であることを特徴とする。
この固形燃料は、前記軟質ウレタンからなり平均粒径が1.0mmを下廻る軟質微粉末と、前記熱可塑性プラスチックからなる破砕物とを主成分とし、
前記軟質微粉末の比率は、50質量%〜80質量%であり、
前記破砕物の比率は、20質量%〜50質量%であることを特徴とする。
この2軸破砕機は、前記2本の破砕スクリューを回転自在に収納する主ケースを備え、
この主ケースは、前記主軸の基部側に、前記軟質ウレタン廃材を投入するホッパーを備え、
このホッパーの開口は、前記主軸に沿った長さが、シングルサイズのマットレスの幅を超えており、
前記主ケースの全長は、前記ホッパー開口の主軸に沿った長さの2倍未満であることを特徴とする。
従来はスクリーンによる分級が必要であったが、本発明によれば、スクリーンが不要となり、設備コストの低減が図れる。
よって、本発明によれば、固形燃料の外観性を良好にすることができるような軟質ウレタン(低反発性ウレタン又は低硬度ウレタン)の微粉化技術を提供することができる。
この点、請求項1によれば、減容により、保管コストを下げることができ、運賃を下げることができる。減容しているため、別の生産設備に供給する場合も、供給が容易になる。
従来は焼却処分していたが、本発明によれば、燃料等に再利用可能となる。
20質量%以上の熱可塑性廃プラスチックの破砕物がバインダーの役割を果たすため、固形燃料の形状が良好に維持される。
20質量%以上の熱可塑性廃プラスチックの破砕物がバインダーの役割を果たすため、固形燃料の形状が良好に維持される。
50質量%以上の軟質ウレタン廃材が、固形燃料として再利用される。
本発明により、市場に大量に出回る軟質ウレタン廃材が、棄てられることなく、有効活用される。
請求項3と同様に、20質量%以上の熱可塑性プラスチックの破砕物がバインダーの役割を果たすため、固形燃料の形状が良好に維持される。
請求項4と同様に、20質量%以上の熱可塑性プラスチックの破砕物がバインダーの役割を果たすため、固形燃料の形状が良好に維持される。
50質量%以上の軟質ウレタン廃材が、固形燃料として再利用される。
本発明により、市場に大量に出回る軟質ウレタン廃材が、棄てられることなく、有効活用される。
一方の破砕スクリュー20は、主軸21と、この主軸21に固定され主軸21の基部から先端に向かって連続的にピッチが小さくなるノーマル羽根22と、このノーマル羽根22のリード角θ1が正の場合にリード角θ2が負となるようなカウンター羽根23と、からなる。
カウンター羽根23は、ノーマル羽根22の先端に連続すると共に主軸21に固定される。
主ケース11は、基部にホッパー17を有し、先端に排出口18を有する。
図2(a)に示すように、軟質ウレタン廃材40をホッパー17から主ケース11内へ投入する。便宜的に直方体で示したが、軟質ウレタン廃材40は、ホッパー17に投入可能の大きさであればよく、形状は任意である。
そこで、軟質ウレタンと硬質ウレタンの性質等を、詳しく説明する。
本発明は、硬質ウレタンより処理が難しい軟質ウレタンを効率よく処理することを主たる目的とする。
また、ノーマル羽根22は連続的にピッチが小さくなっているため、中径破砕物42同士が圧縮され、圧壊される。結果、先端では小径破砕物44が得られる。
この小径破砕物44は、先端のノーマル羽根22により前進し、このノーマル羽根22に続くカウンター羽根23で押し戻される。
先ず、固形燃料に混入した場合に、固形燃料の形状品質が低下する心配がない。これの詳細は後述する。
次に、軟質ウレタン廃材40は、重量の割に容積(容積)が大きい。このままでは、保管コストが上がると共に運賃が嵩む。
一方、軟質微粉末46であれば、容積が大幅に小さくなり、保管コストが小さくなると共に運送効率が良くなり運賃を下げることができる。
また、他の生産設備(例えば、図6(d)圧縮・整粒装置70)へ供給する場合に、供給が容易になる。
ホッパー17への軟質ウレタン廃材40の投入が断続的であっても、小径破砕物44は連続的に主ケース11内を移動する。結果、排出口18から軟質微粉末46は連続的に排出される。
軟質ウレタン廃材40の具体例は、図3で詳しく説明する。
よって、2軸破砕機10は、先端においてノーマル羽根22に続いてカウンター羽根23を備えていればよく、構成は実施例に限定されるものではない。
図3(a)において、ウレタン製品製造者は、低反発性ウレタン又は低硬度ウレタンからなる板状素材48から、図3(b)に示すようなウレタン製品49を切り出す。縁材は図3(c)に示すような端材51となる。この端材51が軟質ウレタン廃材40に相当する。
また、介護業者は、寝たきり老人(又は患者)宅などから汚れたり傷んだりした古マット52を引き取り、替わりに老人(又は患者)宅に新品のマットを補充する。
高齢化の時代に、大量の古マット52が排出される。従来は、この古マット52を焼却処分していた。
図3(e)に示すマット芯53が、軟質ウレタン廃材40に相当する。
また、軟質ウレタン廃材40は、マーブルと称する軟質ウレタン小片の集合体であってもよい。
ただし、端材51や古マット52の提供量が格段に大きいため、端材51や古マット52の処理が重要となる。
図4に示すように、軟質ウレタン廃材の処理方法は、設備準備工程(ST01)と、原料準備工程(ST02)と、破砕粉末化工程(ST03)とからなる。なお、ST01で原料準備工程を実施し、ST02で設備準備工程を実施してもよい。
原料準備工程(ST02)では、図3で説明したような端材51やマット芯53などからなる軟質ウレタン廃材40を準備する。
破砕粉末化工程(ST03)では、図2で説明したように、軟質ウレタン廃材40を2軸破砕機10に投入し、2軸破砕機10で摺り合わせ処理して、1.0mm以下の平均粒径の軟質微粉末46を得る。
先ず、図5(b)に示す破砕装置60を準備する。この破砕装置60は、ホッパー61と、このホッパー61の下に配置される固定刃62及び回転刃63と、この回転刃63を囲うスクリーン64とを備える。
以上により、図5(c)に示す破砕物68を得る。
回転ドラム状のダイ71には、内外に貫通するダイ孔77が設けられている。
図6(e)は圧縮・整粒装置70の作用説明図であり、便宜上、ダイ71を平坦にした。
対して、破砕物68は、熱可塑性プラスチックであるため、圧縮に伴って発生する摩擦熱で軟らかくなり、粘着性が発揮される。いわゆる、バインダーの役割を果たす。
第1に、軟質微粉末46の粒径について検討した。
軟質微粉末46は低反発性ウレタン又は低硬度ウレタンを主とするため、スポンジの形態を呈する。弾力性を有するため、固形燃料80が局部的に膨れる心配がある。
平均粒径が5.0mm、2.0mm、1.0mm、0.5mm、0.2mmの軟質微粉末46を準備し、固形燃料80を作製した。
一方、平均粒径が1.0mm、0.5mm、0.2mmの軟質微粉末46で作製した固形燃料80は、膨れがゼロ又は許容できる程度に微小であった。
よって、固形燃料80では、平均粒径が1.0mmを下回る軟質微粉末46が必要となる。
軟質微粉末46を出来るだけ処理したいので、破砕物68は50質量%に留める。この場合は、50質量%の軟質微粉末46と50質量%の破砕物68とを混合することとなる。
また、熱可塑性廃プラスチックは、物性的には熱可塑性プラスチックと同じであるため、熱可塑性プラスチックと読み替えることができる。
固形燃料80の内容物を論じる場合には、軟質ウレタンと熱可塑性プラスチックの用語を使用することにする。
自由度を持たせた場合でも、熱可塑性プラスチックの比率は20質量%以上としたので、固形燃料の形状は良好に保たれる。
雌臼部93と雄臼部94の対向面は、粗面にする。
分級スクリーン97の目を通って落下した物が、1.0mm以下の軟質微粉末46となる。
分級スクリーン97上に残った1.0mmを超える粉末99は、ホッパー91に戻す。
この点、図1に示す2軸破砕機10であれば、分級が不要であるため、軟質微粉末46の製造コストを下げることができる。
この点、図1に示す2軸破砕機10であれば、主たる摩耗現象は、小径破砕物44と小径破砕物44との間で発生する。そのため、主ケース11内面の摩耗が軽微となり、ノーマル羽根22及びカウンター羽根23の摩耗が軽微となる。結果、2軸破砕機10での点検コストや修理コストが臼型破砕機90に対して格段に小さくなる。
本発明で得た軟質微粉末をウレタンフォームの増量材とすれば、ウレタンフォームの原料となる石油由来原料が節約できる。断熱材に混入すれば、同様に、石油由来原料が節約できる。燃焼器に供給すると、燃料器に供給する重油、軽油、灯油、ガス、石炭の使用量を減らすことができる。
何れにおいても、貴重な石油資源の節約が図れる。
軟質ウレタン廃材40にシングルサイズのマットレスが少なからず含まれる場合に、好適な2軸破砕機10を、図8に基づいて説明する。
図8に示すように、2軸破砕機10は、2本の破砕スクリュー20、30を回転自在に収納する主ケース11を備え、この主ケース11は、主軸21の基部側に、軟質ウレタン廃材40を投入するホッパー17を備えている。
そして、ホッパー17の開口は、主軸21に沿った長さL2が、シングルサイズのマットレスの幅Wを超えている。
その上で、主ケース11の全長(内寸法)L1は、ホッパー開口の主軸に沿った長さL2の2倍未満である。
ホッパー17の開口長さL2が、幅Wより大きいので、軟質ウレタン廃材40を丸々投入することができ、マットレスを切断する作業が不要となる。
この点、本実施例では、主ケース11の長さ(内寸法)L1をホッパー開口の長さL2の2倍未満にしたので、ホッパー17の開口が大きい割りに、主ケース11は長くならないため、2軸破砕機10のコンパクト化が図れる。
Claims (7)
- 主軸と、この主軸に固定され前記主軸の基部から先端に向かって連続的又は段階的にピッチが小さくなるノーマル羽根と、このノーマル羽根に対してリード角が負とされ前記ノーマル羽根の先端に連続するようにして前記主軸に固定されるカウンター羽根と、からなる破砕スクリューを平行に2本備え、
一方の前記破砕スクリューに対して他方の前記破砕スクリューを逆回転させるようにした2軸破砕機を準備する設備準備工程と、
低反発性ウレタン又は低硬度ウレタンを主とする軟質ウレタン廃材を準備する原料準備工程と、
前記軟質ウレタン廃材を、前記2軸破砕機に投入し、前記ノーマル羽根で前記軟質ウレタン廃材を破砕しつつ圧縮し、
得られた小径破砕物を、前記カウンター羽根でせき止めつつ前記小径破砕物同士を摺り合わせて、平均粒径が1.0mmを下廻る軟質微粉末を得る破砕粉末化工程と、からなる軟質ウレタン廃材の処理方法。 - 請求項1記載の軟質ウレタン廃材の処理方法において、
前記軟質ウレタン廃材は、ウレタン製品製造者から提供される端材又は介護業者から提供される古マットであることを特徴とする軟質ウレタン廃材の処理方法。 - 廃プラスチックを主成分とする固形燃料の製造方法であって、
請求項1又は請求項2記載の軟質ウレタン廃材の処理方法で得られた軟質微粉末と、熱可塑性廃プラスチックの破砕物と、圧縮・整粒装置とを準備する工程と、
5質量%〜80質量%の前記軟質微粉末と20質量%〜95質量%の前記破砕物とを前記圧縮・整粒装置に投入し、この圧縮・整粒装置で混合物を混合し、圧縮し、押し出し、一定の長さに切断することで固形燃料を得る工程と、からなることを特徴とする固形燃料の製造方法。 - 廃プラスチックを主成分とする固形燃料の製造方法であって、
請求項1又は請求項2記載の軟質ウレタン廃材の処理方法で得られた前記軟質微粉末と、熱可塑性廃プラスチックの破砕物と、圧縮・整粒装置とを準備する工程と、
50質量%〜80質量%の前記軟質微粉末と20質量%〜50質量%の前記破砕物とを前記圧縮・整粒装置に投入し、この圧縮・整粒装置で混合物を混合し、圧縮し、押し出し、一定の長さに切断することで固形燃料を得る工程と、からなることを特徴とする固形燃料の製造方法。 - 軟質ウレタンと熱可塑性プラスチックを主成分とする固形燃料であって、
この固形燃料は、前記軟質ウレタンからなり平均粒径が1.0mmを下廻る軟質微粉末と、前記熱可塑性プラスチックからなる破砕物とを主成分とし、
前記軟質微粉末の比率は、5質量%〜80質量%であり、
前記破砕物の比率は、20質量%〜95質量%であることを特徴とする固形燃料。 - 軟質ウレタンと熱可塑性プラスチックを主成分とする固形燃料であって、
この固形燃料は、前記軟質ウレタンからなり平均粒径が1.0mmを下廻る軟質微粉末と、前記熱可塑性プラスチックからなる破砕物とを主成分とし、
前記軟質微粉末の比率は、50質量%〜80質量%であり、
前記破砕物の比率は、20質量%〜50質量%であることを特徴とする固形燃料。 - 請求項1又は請求項2記載の設備準備工程で準備される2軸破砕機であって、
この2軸破砕機は、前記2本の破砕スクリューを回転自在に収納する主ケースを備え、
この主ケースは、前記主軸の基部側に、前記軟質ウレタン廃材を投入するホッパーを備え、
このホッパーの開口は、前記主軸に沿った長さが、シングルサイズのマットレスの幅を超えており、
前記主ケースの全長は、前記ホッパー開口の主軸に沿った長さの2倍未満であることを特徴とする2軸破砕機。
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