JP2019071798A - ブルーム抑制油脂 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献3は、「ファットブルーム防止剤を含有する油脂組成物並びにこれを含有するチョコレート類」と称する出願であり、ファットブルーム防止剤として「グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン飽和脂肪酸エステル、及びソルビタン飽和脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有させる」旨、記載されている。
特許文献1に記載されている抗ブルーム剤は、実施例によると、所定の油脂をエステル交換したのち、更にヘキサンを用いて分別して調製する必要があり、製造が煩雑であった。
特許文献2には、USUトリグリセリドを20〜99質量%、SSSトリグリセリドを1〜20%含有することを特徴とするチョコレート様油脂組成物について記載があり(請求項1)、また、SSUトリグリセリドの含量が5%未満であることを特徴とする旨についても記載がある(請求項3)。特許文献2においても、実施例によるとUSU脂の調製においては分別操作が必要であり、調製が煩雑であった。
特許文献3には、ファットブルーム防止剤として複数の乳化剤名が記載されているが、いずれも、種類が非常に多く、実質的にどの乳化剤が高い効果を示すかについて、十分な開示がされていない。
(1)ハイエルシン酸菜種極度硬化油を1質量%以上含有し、かつ、ハイエルシン酸菜種極度硬化油とSSU型トリグリセリドを5:95〜40:60の間のいずれかの比率で含有する、チョコレート様食品におけるブルーム抑制用油脂、ただしSは炭素数16〜22の飽和脂肪酸を、Uは炭素数16〜22の不飽和脂肪酸を示す、
(2)更に、ソルビタン脂肪酸エステルを0.5〜5質量%含有する、(1)に記載の、チョコレート様食品におけるブルーム抑制用油脂、
(3)(1)又は(2)記載のブルーム抑制用油脂を、チョコレート様食品中、1〜10質量%含有する、チョコレート様食品、
(4)SSU型トリグリセリドを0.1〜10質量%および、ハイエルシン酸菜種極度硬化油を0.01〜3質量%含有する、チョコレート様食品、ただしSは炭素数16〜22の飽和脂肪酸を、Uは炭素数16〜22の不飽和脂肪酸を示す、
(5)更に、ソルビタン脂肪酸エステルを0.01〜0.3質量%含有する、(4)に記載の、チョコレート様食品、
(6)SSU型トリグリセリドを0.1〜10質量%および、ハイエルシン酸菜種極度硬化油を0.01〜3質量%含有するように、(1)又は(2)に記載のブルーム抑制用油脂を配合する、ブルームの発生が抑制されたチョコレート様食品の製造法、
に関するものである。
チョコレート類の代表的な例としては、スイートチョコレート、ミルクチョコレート、またホワイトチョコレートを列挙できる。また、これらに果実成分を加えたような、イチゴチョコレート等も含まれる。
なお、ブルーム抑制用油脂は、チョコレート様食品中に1〜10質量%含有することが望ましい。この量は、より望ましくは1〜8質量%であり、更に望ましくは1.5〜6質量%である。ブルーム抑制用油脂がチョコレート様食品に適当な量含まれることにより、チョコレート様食品におけるブルームの発生を効率的に抑制することができる。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタン飽和脂肪酸エステルであることが望ましい。より望ましくは、ソルビタントリステアレート、ソルビタントリベヘネートから選ばれる1以上であり、さらに望ましくは、ソルビタントリステアレートである。
適当なソルビタン脂肪酸エステルを適当な量添加することにより、ブルーム抑制効果が飛躍的に高くなる。
チョコレート様食品において、ハイエルシン酸菜種極度硬化油とSSU型トリグリセリドを適当な量含むことで、チョコレート様食品におけるブルームの発生を効率的に抑制することができる。
ソルビタン脂肪酸エステルの種類は、ブルーム抑制油脂におけるそれと同じである。
適当なソルビタン脂肪酸エステルを適当な量添加することで、チョコレート様食品において、ブルームが効果的に抑制される。
以下に実施例を示す。
表1の配合に従いサンプルを調製した。調製方法は、「○ブルーム抑制用油脂サンプルの調製法」に従った。
得られたサンプルの、ブルーム発生抑制効果を評価した。方法は「○ブルーム発生抑制効果評価法」に従った。
得られた結果を表2に示した。また、得られたサンプル(チョコレート様食品)中の、SSU型トリグリセリド及びハイエルシン菜種極度硬化油の量(計算値)を表3に示した。
・カカオバターには、不二製油社製カカオバター「ココアバター201」を使用した。
・油脂1には、不二製油社製「メラノNT-R」を使用した。この油脂は、パームを主成分とするエステル交換分別油からなるノーテンパーハードバターであって、SSUを多く含む油脂であった。
・油脂2は、ハイオレイックひまわり油90質量%と菜種極度硬化油10質量%からなる配合油を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行い、エステル交換したものであって、SSUを所定量含む油脂であった。
・油脂3には、テンパリング型ハードバターである不二製油社製の「メラノSS−400」を使用した。
・油脂4には、ハイオレイックひまわり油を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行い、エステル交換したものであって、SSUを所定量含む油脂を使用した。
・油脂1のSSU量は、「○SSU量の測定法1」で測定した。
・油脂2,3、4のSSU量は、「○SSU量の測定法2」で測定した。
1 配合に従い、使用するパーツ油脂及び乳化剤を50〜60℃で融解した。
2 各パーツ油脂を配合に従い混合し、緩やかに攪拌して均一化した。
1) 不二製油株式会社製チョコレート生地「スイートチョコレートE」、97質量%に、サンプル油脂3質量%を添加し、50〜60℃で融解、混合した。なお、「スイートチョコレートE」には、SSU及びハイエルシン菜種極度硬化油は含まれていなかった。
2) 31℃に温調した。
3) 不二製油株式会社製「チョコシードA」を対チョコレート0.2質量%添加し、テンパリングした。
4) モールドに充填し、10℃、30分間冷却した後、デモールドした。
5) 20℃にて1週間エージング後、1日毎に温度サイクル(17〜30.5℃)下で保管した。
(17℃まで降温2h→17℃で10h→30.5℃まで昇温2h→30.5℃で10h→)
6) 毎日、チョコレート表面のブルーム発生状況を確認し、ブルームの発生が確認されるまでの日数を記録した。ブルームの発生が確認されるまでの日数が、温度サイクル開始後26日以上であったものを合格とした。
HPLCを用い、以下の条件で測定した。
装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック社製「アルティメット3000」
カラム:ワイエムシィ社製「Meteoriccore C18」を使用した。
カラムオーブン温度:5℃
検出器:荷電粒子検出器(CAD)
移動相:アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン
流速:0.4mL/分
HPLCを用い、以下の条件で測定した。
装置:島津製作所社製高速液体クロマトグラフ
カラム:ODS ケムコプラス社製「LICHROSORB RP18-5」を使用した。
カラム温度:25℃
検出器:示差屈折計
溶離液:アセトン/アセトニトリル=80/20、
液量:0.9ml/分
・従来、ブルーム発生抑制効果が知られていたSSUを32.6質量%含む比較例2は、ブルームが確認されるまでの日数は比較的長かったが、合格には至らなかった。
・本発明に係る実施例1は、SSUの量は比較例1と同程度であるにもかかわらず、ハイエルシン酸菜種極度硬化油を併用することで、ブルームの発生が確認されるまでの日数を大きく延長することができた。
・なお、カカオバターにハイエルシン酸菜種極度硬化油を単純に添加したものではブルームの発生が確認されるまでの日数を合格レベルまで延長することはできなかった(比較例4)。
乳化剤の併用効果についての検証を行った。
表4の配合に従いサンプルを調製した。調製方法は、「○ブルーム抑制用油脂サンプルの調製法」に従った。
得られたサンプルの、ブルーム発生抑制効果を評価した。方法は「○ブルーム発生抑制効果評価法2」に従った。
得られた結果を表5に示した。また、得られたサンプル(チョコレート様食品)中の、SSU型トリグリセリド及びハイエルシン菜種極度硬化油の量(計算値)を表6に示した。
・カカオバターには、不二製油社製カカオバター「ココアバター201」を使用した。
・油脂2は、ハイオレイックひまわり油90質量%と菜種極度硬化油10質量%からなる配合油を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行い、エステル交換したものであって、SSUを所定量含む油脂であった。
・油脂3には、テンパリング型ハードバターである不二製油社製の「メラノSS−400」を使用した。
・油脂4には、ハイオレイックひまわり油を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行い、エステル交換したものであって、SSUを所定量含む油脂を使用した。
・ソルビタントリステアレートには、理研ビタミン株式会社製「ポエムS−65V」を使用した。
・ソルビタントリベヘネートには、理研ビタミン株式会社製「ポエムB−150」を使用した。
1) 不二製油株式会社製チョコレート生地「スイートチョコレートE」、97質量%に、サンプル油脂3質量%を添加し、50〜60℃で融解、混合した。なお、「スイートチョコレートE」には、SSU及びハイエルシン菜種極度硬化油は含まれていなかった。
2) 31℃に温調した。
3) 不二製油株式会社製「チョコシードA」を対チョコレート0.2質量%添加し、テンパリングした。
4) モールドに充填し、10℃、30分間冷却した後、デモールドした。
5) 20℃にて1週間エージング後、1日毎に温度サイクル(20〜32℃)下で保管した。
(20℃まで降温2h→20℃で10h→32℃まで昇温2h→32℃で10h→)
6) 毎日、チョコレート表面のブルーム発生状況を確認し、ブルームの発生が確認されるまでの日数を記録した。ブルームの発生が確認されるまでの日数が、温度サイクル開始後17日以上であったものを合格とした。
表5,6に示すとおり、ソルビタン脂肪酸エステルを添加した系では、ブルームが確認されるまでの日数が更に延長され、ブルーム発生抑制効果がより高いことが示された。
Claims (6)
- ハイエルシン酸菜種極度硬化油を1質量%以上含有し、かつ、ハイエルシン酸菜種極度硬化油とSSU型トリグリセリドを5:95〜40:60の間のいずれかの比率で含有する、チョコレート様食品におけるブルーム抑制用油脂。ただしSは炭素数16〜22の飽和脂肪酸を、Uは炭素数16〜22の不飽和脂肪酸を示す。
- 更に、ソルビタン脂肪酸エステルを0.5〜5質量%含有する、請求項1に記載の、チョコレート様食品におけるブルーム抑制用油脂。
- 請求項1又は2記載のブルーム抑制用油脂を、チョコレート様食品中、1〜10質量%含有する、チョコレート様食品。
- SSU型トリグリセリドを0.1〜10質量%および、ハイエルシン酸菜種極度硬化油を0.01〜3質量%含有する、チョコレート様食品。ただしSは炭素数16〜22の飽和脂肪酸を、Uは炭素数16〜22の不飽和脂肪酸を示す。
- 更に、ソルビタン脂肪酸エステルを0.01〜0.3質量%含有する、請求項4に記載の、チョコレート様食品。
- SSU型トリグリセリドを0.1〜10質量%および、ハイエルシン酸菜種極度硬化油を0.01〜3質量%含有するように、請求項1又は2に記載のブルーム抑制用油脂を配合する、ブルームの発生が抑制されたチョコレート様食品の製造法。
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