JP2019059919A - 塗料用配合剤 - Google Patents
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Abstract
Description
前記ポリプロピレンワックスは、前記無機酸化物粒子100質量部当り1〜15質量部の量で含まれており、
ハンター白色度が90%以上であることを特徴とする塗料用配合剤が提供される。
(1)前記無機酸化物粒子は、0.1〜1.5g/cm3の嵩密度を有していること、
(2)前記無機酸化物粒子がシリカであること、
(3)FT−IR測定により算出されるカルボニル基(>C=O、Wavenumbers 1701cm−1)・・・(i)、カルボン酸塩中のカルボキシレート(―COO−、Wavenumbers 1558cm−1)・・・(ii)、水(H2O、Wavenumbers 1630cm−1)・・・(iii)、ポリプロピレン(PP、Wavenumbers 1461cm−1)・・・(iv)からなるピーク強度比(i×ii/iii/iv)が0.25以下にあること、
(4)平均粒径が1〜50μmに粒度調整されていること、
(5)硬化型塗料用配合剤として用いられる平均粒径が1〜50μmに粒度調整されていること、
が好ましい。
しかるに、本発明では、上記のように、高融点のポリプロピレンワックスを用いて表面処理されているため、上記のようなブリーディングの問題は有効に解決されている。
即ち、水性エマルジョンを用いての表面処理であるため、溶融混練のような複雑な設備を使用することなく、しかも溶剤除去のための排気設備等が不要であり、環境に悪影響を与えることがなく、しかも製造コストを増大させることもない。
表面処理される無機酸化物粒子としては、特に制限されず、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、或いはこれらの無機酸化物の2種以上からなる混合物、或いは2種以上が複合化している複合無機酸化物(例えばアルミノシリケート、チタノシリケート)など、それ自体公知のものであってよいが、特に化学的、熱的に安定であり、塗料用配合剤として好適に使用されるシリカ、アルミナ、酸化チタン等が好適であり、シリカが最も好適である。
例えば、高純度の無機酸化物粒子は、電気抵抗が高く、不純物含量の多いものは電気抵抗が小さいことから、5%水性懸濁液で測定した20℃での比抵抗が1kΩ・cm以上、特に40kΩ・cm以上となるように、不純物含量を低減させておくことが好適である。
かかるゲル法シリカは、例えば、前述した特許文献2の二重構造非晶質シリカ粒子のコアに相当する緻密な構造を有するものであり、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液とをpH2〜10の条件下で中和することにより得られる。また、他のシリカとしては、所謂沈降法も知られており、かかる方法で得られる非晶質シリカも表面処理される無機酸化物粒子として好適に使用される。
本発明において、表面処理剤として使用され、上述した無機酸化物粒子の表面を覆っているポリプロピレンワックスは、融点が140℃以上、特に160℃以上のものである。この融点は、所謂示差熱分析(DSC)により測定されるピークトップの値であるが、融点が上記範囲よりも低融点のもの或いはポリエチレンワックスなどを用いた場合には、例えば塗料や樹脂などに配合したとき、塗膜やフィルム形成時等の加熱により熱履歴を受けたときにブリーディングを生じ易くなってしまい、例えば滑り性が高められ、塗膜特性やフィルム物性等が損なわれ、その用途が大きく制限されてしまうため、本発明には不適当である。
本発明の塗料用配合剤として使用される表面処理無機酸化物粒子は、エマルジョン形成のために共重合変性されているポリプロピレンのワックスが上記のような量で無機酸化物粒子の表面に添着していると共に、ハンター白色度が90%以上、好ましくは93以上、特に好ましくは96%以上と、極めて高い白色度を有している。
カルボニル基(>C=O、Wavenumbers 1701cm−1)・・・(i)
カルボン酸塩中のカルボキシレート(―COO−、Wavenumbers 1558cm−1)・・・(ii)
水(H2O、Wavenumbers 1630cm−1)・・・(iii)
ポリプロピレン(PP、Wavenumbers 1461cm−1)・・・(iv)
カルボニル基(>C=O)を含むピーク強度比は、下記式より求めた。
(i)×(ii)/(iii)/(iv)
上記式においては、熱履歴等の外的要因によりポリプロピレン鎖が切断し、当該部分が酸化されカルボニル基を生成する事で(i)が増加、更に、先述の水性エマルジョンに含有される金属成分とカルボニル基の間でカルボン酸塩を生成し(ii)が増加する。一方、熱履歴により水の蒸発が促進される事で(iii)は減少し、また、ポリプロピレン鎖の切断により(iv)も減少する。以上より、上記式はポリプロピレンワックスの水性エマルジョンで表面処理された無機酸化物粒子の酸化の程度を示すパラメータである。
FT−IRの測定で算出されるこれらのピークは、Thermo Fisher Scientific社製FT−IR(Nicolet iS50)、Harrick Scientific社製拡散反射用アタッチメント(Seagull)、および検出器DLaTGSを用いる場合の測定条件を、例えば、入射角15度、積算回数128回、分解能4cm−1としたときは、上記のWavenumberに観察することができる(図2を参照)。このようなカルボニル基含量は、黄変がポリプロピレンの酸化によるものであることを示していると本発明者等は考えている。即ち、ポリエチレンのワックスにより表面処理されている無機酸化物粒子では、表面処理に際してポリプロピレンほど酸化されないため、そのカルボニル基含量は、本発明に比して小さい。また、ポリプロピレンワックスを用いたとしても、溶融混練や有機溶剤を用いての表面処理がなされているものでも、そのカルボニル基含量は、本発明に比して小さい。
このことから理解されるように、本発明において、カルボニル基含量が上記範囲にあることは、少なくとも、ポリプロピレンの水性エマルジョンを用いて表面処理がされていることを意味している。
上述したように、本発明の塗料用配合剤は、高融点ポリプロピレンワックスの水性エマルジョンを用いての表面処理により得られるものであるが、黄変を有効に抑制するために、酸化を極力防止するように、極めて厳密に管理された状態でエマルジョン法による表面処理が行われる。
尚、ゲル法或いは沈降法などで得られたシリカの濾過水洗ケーキに、上記のワックスエマルジョンを混合撹拌することによっても表面処理を行うことができるが、この場合には、シリカとワックスエマルジョンを混合攪拌する大型設備や処理工程の増加が避けられないばかりか、乾燥を必要以上高温且つ長時間行わなければならず、この結果、黄変を抑制することが困難となってしまい、目的とする高白色度の表面処理粒子を得ることができない。従って、本発明の表面処理粒子を得るためには、上記のようにスプレー噴霧により表面処理を行うことが好ましく、特に、表面処理後の乾燥をできるだけ低温且つ短時間で行い得るように、適宜乾燥され、例えば、含水率が10質量%以下のレベルまで乾燥された無機酸化物粒子について、スプレー噴霧による表面処理を行うことが最適である。
また、スプレー噴霧に際しての混合機内の温度(スプレー噴霧温度)及びその後の乾燥温度(スプレー後の混合機内温度)は、低すぎると、乾燥に長時間要することとなり、結局、目的とするハンター白色度を有する表面処理粒子を得ることが困難となってしまう。また、この温度が高すぎると、ワックスの酸化が促進されてしまい、やはり、高いハンター白色度を有する表面処理粒子を得ることが困難となってしまう。
スプレー噴霧時間は、短い程、処理効率はよいが、反面、噴霧圧力が高く、ワックスが空気(酸素)と接触する頻度が高くなり、酸化を抑制することが困難となるため、適度な範囲に設定しなければならない。
さらに、乾燥時間も同様に、適度な範囲に設定することが必要である。この時間が短くなると、処理効率は向上するとしても、乾燥温度を高くすることが必要となり、乾燥温度の上昇は、酸化を促進し、ハンター白色度の低下(即ち、黄変)を招いてしまうからである。
因みに、60〜100kgの無機粒子をヘンシェルミキサーに投入し、所定量のポリプリプロピレンワックスが添着された本発明の表面処理無機酸化物粒子を得るときの好適な条件は、以下の通りであることを実験的に確認している。
エマルジョン濃度(ワックス濃度):15〜20質量%
スプレー噴霧温度(噴霧室内温度):130〜140℃
スプレー噴霧時間:60〜120分
乾燥温度:130〜140℃
乾燥時間:0〜30分
尚、乾燥自体は、スプレー噴霧と同時に始まっているが、上記の乾燥時間は、スプレー噴霧終了後からの時間である。
また、ポリプロピレンワックスのエマルジョンは市販されているものを一般に使うことができ、エマルジョン濃度の調整は、例えば、水での希釈により行われる。
さらに、上記媒体に配合した時の加熱時の水分による発泡を抑制する等の観点から、含水率が9%以下、特に5%以下に乾燥されて使用されることが好ましい。
本発明の塗料用配合剤は、これを塗料に配合することにより、塗膜の艶消し性や低滑り性を付与することができる。
塗料としては、樹脂の種類からいって、油性塗料、ニトロセルロース塗料、アルキッド樹脂塗料、アミノアルキッド塗料、ビニル樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料、塩化ゴム系塗料等の慣用のそれ自体公知の塗料の他に、ロジン、エステルガム、ペンタレジン、クマロン・インデンレジン、フェノール系レジン、変性フェノール系レジン、マレイン系レジン、アルキド系レジン、アミノ系レジン、ビニル系レジン、石油レジン、エポキシ系レジン、ポリエステル系レジン、スチレン系レジン、アクリル系レジン、シリコーン系レジン、ゴムベース系レジン、塩素化物系レジン、ウレタン系レジン、ポリアミド系レジン、ポリイミド系レジン、フッ素系レジン、天然或いは合成の漆等の1種或いは2種以上を含有する塗料が挙げられる。
即ち、硬化型の塗料は、例えば熱硬化型或いはUV硬化型のアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等を樹脂成分として含んでおり、熱或いは光照射(UV)により硬化して塗膜を形成するのであるが、ワックスで表面処理されている酸化物粒子では、硬化時の発熱によってワックスが溶融し、表面にブリードし、この結果、塗膜の滑り性が増大してしまったり或いは艶消し性が損なわれてしまうこともある。しかるに、本発明の表面処理酸化物粒子では、ワックスの融点が高いため、硬化時の昇温によるブリーディングが有効に抑制され、上記のような不都合を生じることはない。
体積基準のメジアン径はMalvern社製Mastersizer 3000を使用して、レーザー回折散乱法で測定した。
嵩密度はJIS K 6220−1 7.8.2:2015に準拠して、鉄シリンダー法により測定した。
含水率は試料の110℃乾燥水分量から算出した。
試料の5%水懸濁液を、JIS K 5101−17−1:2004に準拠して調製した。この懸濁液の20℃における比抵抗を(株)堀場製作所製電気伝導度計(DS−8F)で測定した。
1050℃強熱減量により、無機酸化物粒子100質量部当りのポリプロピレンワックス量を測定した。
日本電色工業(株)製測色色差計カラーメーターZE−2000を用いて測定を行った。
Thermo Fisher Scientific社製FT−IR(Nicolet iS50)、Harrick Scientific社製拡散反射用アタッチメント(Seagull)、および検出器DLaTGSを用い、入射角15度、積算回数128回、分解能4cm−1としたときの下記Wavenumberのピーク強度を測定した。
カルボニル基(>C=O、Wavenumbers 1701cm−1)・・(i)
カルボン酸塩中のカルボキシレート(―COO−、Wavenumbers 155
8cm−1)・・・(ii)
水(H2O、Wavenumbers 1630cm−1)・・(iii)
ポリプロピレン(PP、Wavenumbers 1461cm−1)・・(iv)
カルボニル基(>C=O)を含むピーク強度比は、下記式より求めた。
(i)×(ii)/(iii)/(iv)
本実験例で用いた無機酸化物粒子を示す。
(A)シリカ:水澤化学工業株式会社製ゲル法シリカ ミズカシル P−757C
(B)アルミノシリケート:水澤化学工業株式会社製ソジウムカルシウムアルミノシリ
ケート シルトンJC−30
なお、「ミズカシル」および「シルトン」は水澤化学工業株式会社の登録商標である。
上記無機酸化物粒子(A)および(B)の各物性値を表1に示す。
本実験例で用いたポリプロピレンワックスの水性エマルジョン(表面処理剤)を示す。
(C)BYK社製ポリプロピレンワックスの水性エマルジョン AQUACER 59
3(融点160℃)
(D)東邦化学社製ポリプロピレンワックスの水性エマルジョン P−9018(融点
156℃)
(E)丸芳化学社製ポリプロピレンワックスの水性エマルジョン MGP−1650
(融点140℃)
また、比較例2では、無機酸化物粒子(A)を水分散した後のろ過ケーキ(含水率64%)と表面処理剤(C)(ワックス濃度30%)を用いた他は、特開平11−60231の実施例6と同様の条件にて処理を行い、塗料用配合剤を得た。
塗料は、共栄社化学(株)製ウレタンアクリレートUA−306T、ライトアクリレート1.9ND−A、同P−200Aを配合した塗料90質量部に対し、共栄社化学(株)製フローレンDOPA−100、及びBASFジャパン(株)製IRGACURE 1173をそれぞれ5質量部添加した紫外線(UV)硬化型塗料を使用した。無機酸化物粒子配合条件は、上記UV硬化型塗料100質量部に対し無機酸化物粒子10質量部配合とした。分散条件は、プライミクス(株)製T.K.HOMODISPER(Model 2.5)を使用し、回転数1500rpmにて5分とした。塗布条件は、BYK―Gardner社製Cat.No.2120アプリケーターを使用し、日本テストパネル(株)製標準試験板(ガラス)に塗布した。硬化条件は、アイグラフィックス(株)製UVコンベア装置(アイminiグランデージ ECS−1511U)を使用し、積算光量115〜130mJ/cm2とした。
粘度は東機産業(株)製VISCOMETER TVB−10(CORD NO.21)を使用し、回転数6、30、60rpm(40℃)として測定した。粘度を図3に示す。60°グロスは日本電色工業(株)製Gloss Meter VG2000を使用し測定した。膜厚は(株)東洋精機製作所製THICKNESS METER B1を使用し測定した。60°グロス、膜厚を表4に示す。
Claims (6)
- 融点140℃以上のポリプロピレンワックスの水性エマルジョンで表面処理された無機酸化物粒子からなる塗料用配合剤において、
前記ポリプロピレンワックスは、前記無機酸化物粒子100質量部当り1〜15質量部の量で含まれており、
ハンター白色度が90%以上であることを特徴とする塗料用配合剤。 - 前記無機酸化物粒子は、0.1〜1.5g/cm3の嵩密度を有している請求項1に記載の塗料用配合剤。
- 前記無機酸化物粒子がシリカである請求項1または2に記載の塗料用配合剤。
- FT−IR測定により算出されるカルボニル基(>C=O、Wavenumbers 1701cm−1)・・・(i)、カルボン酸塩中のカルボキシレート(―COO−、Wavenumbers 1558cm−1)・・・(ii)、水(H2O、Wavenumbers 1630cm−1)・・・(iii)、ポリプロピレン(PP、Wavenumbers 1461cm−1)・・・(iv)からなるピーク強度比((i)×(ii)/(iii)/(iv))が0.25以下にある請求項1〜3の何れかに記載の塗料用配合剤。
- 平均粒径が1〜50μmに粒度調整されている請求項1〜4の何れかに記載の塗料用配合剤。
- 硬化型塗料用配合剤として用いられる請求項1〜5の何れかに記載の塗料用配合剤。
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