以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図9は、本実施の形態による貨幣釣銭機やこのような貨幣釣銭機に設けられた紙幣処理装置を示す図である。
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の商業施設の店舗において、顧客が立ち入ることができるフロント領域には様々な商品が陳列された商品棚が設置されているとともに、このフロント領域の精算所(具体的には、対面式レジカウンター)には、図1に示すような貨幣釣銭機1およびPOSレジスタ60からなる貨幣処理システムが設置されている。ここで、フロント領域に複数の精算所が設けられる場合には、各精算所にそれぞれ貨幣処理システムが設置されるようになる。顧客がこのような精算所で精算処理を行う際に、店員は、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣を貨幣釣銭機1に入金したり、釣銭としての貨幣を貨幣釣銭機1から出金して顧客に返却したりするようになっている。また、POSレジスタ60は貨幣釣銭機1に対して通信可能となっており、当該POSレジスタ60により、顧客が購入した商品に係る情報や貨幣釣銭機1に収納されている貨幣に係る情報等の管理が行われるようになっている。
次に、貨幣釣銭機1の構成の詳細について以下に説明する。図1に示すように、貨幣釣銭機1は、左右並ぶよう配置された硬貨処理装置10および紙幣処理装置20を有しており、これらの硬貨処理装置10および紙幣処理装置20の上面にPOSレジスタ60が載置されるようになっている。硬貨処理装置10は、硬貨を外部から受け入れる硬貨受入部12aと、筐体の内部で硬貨を搬送する搬送部(図示せず)と、搬送部に設けられ、当該搬送部により搬送される硬貨の金種、真偽、正損、搬送状態等の識別を行う識別部(図示せず)と、搬送部に接続され、当該搬送部から送られた硬貨を金種毎に収納するとともに収納されている硬貨を搬送部に繰り出し可能な複数の収納繰出部14(図4参照)と、搬送部に接続され、当該搬送部により搬送される硬貨を筐体の外部に出す硬貨出口部12bとを有している。ここで、本実施の形態では、硬貨受入部12a、搬送部、識別部、硬貨出口部12b等により、硬貨の処理を行う硬貨処理部12(図4参照)が構成されている。このような硬貨処理装置10の構成の詳細については説明を省略する。
図1および図2に示すように、紙幣処理装置20は、紙幣を外部から受け入れる紙幣受入部22と、筐体の内部で紙幣を搬送する搬送部30と、搬送部30に設けられ、当該搬送部により搬送される紙幣の金種、真偽、正損、搬送状態等の識別を行う識別部32と、搬送部30に接続され、当該搬送部30から送られた紙幣を金種毎に収納するとともに収納されている紙幣を搬送部30に繰り出し可能な複数(図2に示す例では3つ)の収納繰出部40、42、44と、搬送部30に接続され、当該搬送部30により搬送される紙幣を筐体の外部に出す紙幣出口部24とを有している。また、紙幣処理装置20には、紙幣の出金処理が行われる際に正常な紙幣ではないと識別部32により識別された紙幣が搬送部30から送られる出金リジェクト部26が設けられている。また、紙幣処理装置20には紙幣収納カセット28が着脱自在に装着されるようになっており、紙幣処理装置20に紙幣収納カセット28が装着されると、当該紙幣収納カセット28に収納されている紙幣を搬送部30に繰り出すとともに搬送部30から紙幣収納カセット28に紙幣を送って当該紙幣収納カセット28に収納させることができるようになっている。以下、このような紙幣処理装置20の各構成要素の詳細について説明する。
図2に示すように、搬送部30は、周回搬送部分30aと、周回搬送部分30aから放射状に延びる複数の接続搬送部分30bとを有している。また、周回搬送部分30aには識別部32が設けられており、当該周回搬送部分30aにおいて周回移動している紙幣の金種、真偽、正損、搬送状態等が識別部32により識別されるようになっている。また、複数の接続搬送部分30bは、周回搬送部分30aと、紙幣受入部22、紙幣出口部24、出金リジェクト部26、紙幣収納カセット28、各収納繰出部40、42、44の各々とをそれぞれ接続するようになっている。
各収納繰出部40、42、44には、搬送部30から送られた紙幣が金種毎に収納されるようになっている。具体的には、収納繰出部40には千円札が収納され、収納繰出部42には五千円札および二千円札が混合状態で収納され、収納繰出部44には一万円札が収納されるようになっている。また、各収納繰出部40、42、44には、それぞれ、収納されている紙幣を1枚ずつ搬送部30に繰り出す紙幣繰出機構(図示せず)が設けられている。
紙幣出口部24は搬送部30から送られた紙幣を一時的に保留するようになっている。また、紙幣処理装置20の筐体の前面には紙幣放出口24aが設けられており、紙幣の出金処理において出金されるべき枚数の紙幣が搬送部30から紙幣出口部24に送られて当該紙幣出口部24に保留されると、この紙幣出口部24に保留されている紙幣が紙幣放出機構(図示せず)により紙幣放出口24aから筐体の外部に放出されるようになっている。このとき、出金されるべき枚数の紙幣が複数であった場合には、それらの紙幣は紙幣出口部24に重なった状態で保留され、紙幣放出機構(図示せず)により紙幣放出口24aから筐体の外部にまとめて放出される。このことにより、操作者は筐体の外部へ出金紙幣を取り出すことができるようになる。
また、図2に示すように、搬送部30の周回搬送部分30aや接続搬送部分30bに、複数の搬送検知センサ30cや識別部32が設けられている。これらの搬送検知センサ30cや識別部32は、それぞれ、発光素子および受光素子を有するフォトセンサ等から構成されており、それぞれ、搬送部30により搬送される紙幣の幅方向(すなわち、図2の紙面に直交する方向)において並ぶよう複数配置されている。これらの複数の発光素子と受光素子との間の光路が紙幣により遮られると当該紙幣が各センサ30cにより検知されるようになっている。搬送部30による紙幣の搬送状態については、複数の搬送検知センサ30cや識別部32に基づいて、紙幣の搬送状態(具体的には、搬送部30により搬送される紙幣が斜行しているか否かや、搬送部30により搬送される紙幣間の間隔の大きさ等)が検知手段46により検知されるようになる。このことにより、紙幣が一方のフォトセンサにより検知されたときに当該紙幣が他方のフォトセンサにより検知されなかった場合は、紙幣が斜行していることが検知されるようになる。このような検知手段46の機能の詳細については後述する。
紙幣繰出機構23の構成の詳細について図3を参照して説明する。図3は、図2に示す紙幣処理装置20の紙幣受入部22を上から下方向に見たときの構成の詳細を示す断面図である。紙幣受入部22には紙幣受入口22aが設けられており、紙幣処理装置20の筐体の前面に配置されている。操作者はこの紙幣受入口22aを介して1または複数の紙幣を重ねた状態で筐体の外部から紙幣受入部22に挿入することができるようになっている。この際に、操作者は筐体の外部から1または複数の紙幣をその長手方向に沿った方向で紙幣受入口22aに挿入する。また、紙幣受入部22には、当該紙幣受入部22に重なった状態で受け入れられた紙幣を1枚ずつ搬送部30に繰り出す紙幣繰出機構23が設けられている。
図3に示すように、紙幣繰出機構23は、紙幣受入口22aを介して紙幣受入部22に重なった状態で受け入れられた複数の紙幣を1枚ずつ取り込む取込ベルト23aと、取込ベルト23aにより取り込まれた紙幣を搬送部30に繰り出す繰出ベルト23bと、繰出ベルト23bに対してわずかな大きさの隙間を隔てて設けられた逆転ローラ23cと、逆転ローラ23cに対向する位置に設けられた押さえローラ23dと、繰出ベルト23bの下流側端部に接するよう設けられたピンチローラ23eとを有している。ここで、取込ベルト23aおよび繰出ベルト23bは、それぞれ、図3における反時計回りの方向に循環移動するようになっている。また、逆転ローラ23cは図3における反時計回りの方向に回転するようになっており、もし仮に逆転ローラ23cと繰出ベルト23bとの間の隙間に2枚以上の紙幣が重なった状態で送られても逆転ローラ23cによって紙幣が1枚ずつに分離されるようになっている。また、図3に示すように、繰出ベルト23bの下流側には一対の搬送ローラ23fが設けられており、この一対の搬送ローラ23fの間のニップ部を通過した紙幣が搬送部30に送られるようになっている。
そして、紙幣処理装置20において、紙幣受入口22aに受け入れられた紙幣の受入状態および搬送部30による紙幣の搬送状態のうち少なくともいずれかを検知する検知手段46(図4参照)が設けられている。
より詳細に説明すると、紙幣受入部22には、紙幣受入口22aを介して筐体の外部から紙幣受入部22に送られる紙幣を検知する受入検知センサ22b、および取込ベルト23aと札押さえ部材23hとの間に位置する紙幣を検知する残留検知センサ22cがそれぞれ設けられている。さらに、紙幣繰出機構23の繰出ベルト23bにより紙幣受入部22から繰り出された紙幣を検知する繰出検知センサ22dがピンチローラ23eと搬送ローラ23fとの間に設けられている。受入検知センサ22b、残留検知センサ22cおよび繰出検知センサ22dは、それぞれ、発光素子および受光素子を有するフォトセンサ等から構成されており、それぞれ、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の幅方向(すなわち、図3の紙面に直交する方向)において並ぶよう、複数設けられている(図9参照)。そして、これらの複数の発光素子と受光素子との間の光路が紙幣により遮られると当該紙幣が各センサ22b、22c、22cにより検知されるようになっている。また、これらの受入検知センサ22b、残留検知センサ22c、繰出検知センサ22dの検知結果に基づいて、紙幣の受入状態(具体的には、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣が斜行しているか否かや、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣間の間隔の大きさ等)が検知手段46により検知されるようになる。
次に、本実施の形態による貨幣釣銭機1における制御系の構成について図4を用いて説明する。図4に示すように、貨幣釣銭機1にはCPU(中央演算処理ユニット)等の制御部70が設けられており、硬貨処理装置10および紙幣処理装置20の各構成部材がそれぞれ当該制御部70に接続されている。具体的には、紙幣処理装置20の紙幣繰出機構23、紙幣出口部24(具体的には、紙幣放出機構)、搬送部30、識別部32、収納繰出部40、42、44、検知手段46等がそれぞれ制御部70に接続されている。そして、識別部32による紙幣の識別結果や、検知手段46による検知結果が制御部70に送られるようになっている。また、制御部70は、紙幣処理装置20の紙幣繰出機構23、紙幣出口部24、搬送部30、収納繰出部40、42、44等の各構成部材に指令を送ることによりこれらの構成部材の制御を行うことができるようになっている。また、硬貨処理装置10の硬貨処理部12、収納繰出部14等も制御部70に接続されており、制御部70は、硬貨処理装置10の硬貨処理部12、収納繰出部14等の各構成部材に指令を送ることによりこれらの構成部材の制御を行うことができるようになっている。
また、図1に示すように、紙幣処理装置20および硬貨処理装置10の上面前部にはそれぞれタッチパネル等の操作表示部50、52が設けられており、各操作表示部50、52は制御部70に接続されている。各操作表示部50、52には、紙幣処理装置20や硬貨処理装置10に収納されている紙幣や硬貨の在高等に関する情報や、紙幣や硬貨の処理状況に係る情報等が表示されるようになっている。なお、これらの情報は操作表示部50、52の両方に表示される代わりに操作表示部50、52のうち何れか一方に表示されるようになっていてもよい。以下の記載において、「操作表示部50、52に表示される」とは、操作表示部50、52の両方に表示される態様、および操作表示部50、52のうち何れか一方に表示される態様の両方を含むものとする。また、操作者は各操作表示部50、52のうち何れか一方により制御部70に様々な指令を入力することができるようになっている。また、図4に示すように、制御部70には、記憶部72、切替手段74、発光部76および通信部78がそれぞれ接続されている。記憶部72には、紙幣処理装置20や硬貨処理装置10に収納されている紙幣や硬貨の在高等に関する情報や、紙幣や硬貨の処理履歴に係る情報等が記憶されるようになっている。また、後述するように、記憶部72は、紙幣処理装置20の検知手段46による検知結果と、操作者をトレーニングするためのガイダンス情報とを関連付けて記憶するようになっている。このような記憶部72における記憶内容の詳細については後述する。
また、切替手段74は、紙幣処理装置20において制御部70による制御に基づいて行われる紙幣の処理モードを、通常処理モードおよびトレーニングモードのうち何れかの処理モードに切り替えるようになっている。このような切替手段74の構成の詳細については後述する。また、発光部76は例えば紙幣処理装置20の筐体の前面や上面に設けられた1または複数のLED等から構成されており、後述する操作者をトレーニングするためのガイダンス情報が少なくとも発光部76の発光色および発光位置のいずれかにより示されるようになっている。このような発光部76の構成の詳細についても後述する。また、制御部70は通信部78によりPOSレジスタ60等の外部装置に対して信号の送受信を行うことができるようになっている。
次に、このような貨幣釣銭機1の動作について以下に説明する。なお、以下に説明するような貨幣釣銭機1の動作は、制御部70が紙幣処理装置20や硬貨処理装置10の各構成部材を制御することによって行われるようになっている。
まず、貨幣釣銭機1の紙幣処理装置20において紙幣の入金処理が行われる際の動作について図2を用いて説明する。操作者が紙幣受入口22aを介して紙幣受入部22に1または複数の紙幣を重ねた状態で挿入すると、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣は1枚ずつ紙幣繰出機構23により搬送部30に繰り出される。搬送部30に繰り出された紙幣は周回搬送部分30aを少なくとも1周分だけ周回移動し、その際に識別部32によって当該紙幣の金種、真偽、正損、搬送状態等の識別が行われる。ここで、識別部32により正常な紙幣であると識別された紙幣は搬送部30から各収納繰出部40、42、44に金種毎に送られ、これらの収納繰出部40、42、44に収納される。一方、識別部32により正常な紙幣ではないと識別された紙幣や、識別部32により識別することができなかった紙幣はリジェクト紙幣として搬送部30から紙幣出口部24に送られ、紙幣放出口24aから筐体の外部に放出される。このことにより、操作者は紙幣放出口24aから筐体の外部に放出されたリジェクト紙幣を紙幣受入口22aを介して紙幣受入部22に再び入れることができるようになる。そして、紙幣受入部22から紙幣が全て搬送部30に繰り出されて各収納繰出部40、42、44等に送られると、紙幣の入金処理が完了する。
次に、貨幣釣銭機1の紙幣処理装置20において紙幣の出金処理が行われる際の動作について説明する。操作者によって操作表示部50、52により紙幣の出金処理の指令が制御部70に入力されたり、POSレジスタ60等の外部装置から通信部78を介して制御部70に紙幣の出金処理の指令が送られたりすると、出金されるべき紙幣が1枚ずつ各収納繰出部40、42、44から搬送部30に繰り出される。搬送部30に繰り出された紙幣は周回搬送部分30aを少なくとも1周分だけ周回移動し、その際に識別部32によって当該紙幣の金種、搬送状態等の識別が行われる。ここで、識別部32により正常な紙幣であると識別された紙幣は搬送部30から紙幣出口部24に送られ、この紙幣出口部24で一時的に保留される。一方、識別部32により正常な紙幣ではないと識別された紙幣(具体的には、例えば搬送異常の紙幣)は搬送部30から出金リジェクト部26に送られ、この出金リジェクト部26に集積される。そして、出金されるべき紙幣が紙幣出口部24に送られてこの紙幣出口部24に保留されると、紙幣出口部24に重なった状態で保留されている1または複数の紙幣が紙幣放出機構(図示せず)により紙幣放出口24aから筐体の外部にまとめて放出される。このことにより、操作者は筐体の外部から出金紙幣を取ることができるようになる。そして、紙幣放出口24aから出金紙幣が全て取り出されると紙幣処理装置20における紙幣の出金処理が完了する。
また、本実施の形態の貨幣釣銭機1では、紙幣処理装置20において操作者が筐体の外部から紙幣受入口22aを介して紙幣受入部22に1または複数の紙幣を重ねた状態で挿入する動作をトレーニングするトレーニングモードを行うことができるようになっている。このようなトレーニングモードの詳細について以下に説明する。
図4に示すように、本実施の形態では、上述したように、紙幣処理装置20において、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の受入状態および搬送部30による紙幣の搬送状態のうち少なくともいずれかが検知手段46により検知されるようになっている。そして、このような検知手段46による検知結果に基づいて、操作者による紙幣受入部22への紙幣の挿入方法が悪いと判断された場合には、操作者をトレーニングするためのガイダンス情報が制御部70から出力され、この出力された情報が操作表示部50、52に文字や画像により表示されたり、制御部70から出力された情報が通信部78を介してPOSレジスタ60等の外部装置に送信されたりするようになる。ここで、制御部70から出力された情報がPOSレジスタ60に送信されると、操作者をトレーニングするためのガイダンス情報がPOSレジスタ60のモニタに表示されるようになる。
より詳細に説明すると、記憶部72は、紙幣処理装置20の検知手段46による検知結果と、操作者をトレーニングするためのガイダンス情報とを関連付けて記憶するようになっている。具体的には、検知手段46により検知が行われる際に、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の受入状態や搬送部30による紙幣の搬送状態において紙幣が斜行状態にあるか否か、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣が多過ぎないか、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の間隔がばらついていないか、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の間隔が短すぎたり長すぎたりしないか、等の情報が検知される。そして、これらの様々な検知結果に対応して、操作者をトレーニングするためのガイダンス情報が予め設定されており、各検知結果に対応する設定情報が記憶部72に記憶されている。このようなガイダンス情報が操作表示部50、52に文字や画像により表示されたときの表示画面を図6(a)〜(g)に示す。
更に詳しく説明すると、貨幣釣銭機1においてトレーニングモードを行おうとする操作者は、操作表示部50、52に待機画面が表示されているときにトレーニングモードを行うことを操作表示部50、52により選択し、トレーニングモードを行う旨の指令を制御部70に入力する。あるいは、POSレジスタ60により貨幣釣銭機1においてトレーニングモードを行うことを操作者が選択し、このPOSレジスタ60から通信部78を介して制御部70にトレーニングモードを行う旨の指令が送られるようになっていてもよい。このようにしてトレーニングモードを行う旨の指令が制御部70に入力されると、切替手段74は紙幣処理装置20の処理モードを通常処理モードからトレーニングモードに切り替える。紙幣処理装置20の処理モードがトレーニングモードである場合、紙幣受入部22から紙幣繰出機構23により搬送部30に繰り出された紙幣は識別部32によりその金種等の識別が行われることなく搬送部30により紙幣出口部24に送られる。そして、トレーニングモードが終了すると、紙幣出口部24に重なった状態で保留されている1または複数の紙幣が紙幣放出機構(図示せず)により紙幣放出口24aから筐体の外部に放出される。このようにして、トレーニングモードにおいて紙幣受入部22に受け入れられた紙幣が各収納繰出部40、42、44に送られてこれらの収納繰出部40、42、44に収納されてしまうことを防止することができるようになる。
なお、切替手段74により紙幣処理装置20の処理モードが通常処理モードからトレーニングモードに切り替えられると操作表示部50、52には図5(a)に示すようなトレーニング画面が表示される。このようなトレーニング画面において、操作者によって紙幣受入口22aを介して紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の枚数、検知手段46による検知結果に基づいて正常に紙幣受入部22に受け入れられたと判断された紙幣の枚数および検知手段46による検知結果に基づいて斜行状態で紙幣受入部22に受け入れられたと判断された紙幣の枚数がそれぞれ上から順に操作表示部50、52に表示される。また、図5(a)に示すような操作表示部50、52の画面において操作者が「詳細」ボタンを押下すると、操作表示部50、52の画面が図5(c)に示すような画面に切り替えられる。このような画面では、検知手段46による検知結果の詳細を表示することができるようになる。
ここで、操作者が筐体の外部から紙幣受入口22aを介して紙幣受入部22に紙幣を正しく挿入した場合には、紙幣受入部22に設けられた受入検知センサ22b、残留検知センサ22cおよび繰出検知センサ22dによる検知結果に基づいて、紙幣の受入状態が正常であることが検知手段46により検知される。その後、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣が紙幣繰出機構23により搬送部30に繰り出され、当該搬送部30により搬送されると、搬送部30に設けられた搬送検知センサ30cに基づいて、紙幣の搬送状態が正常であることが検知手段46により検知される。この場合には、紙幣受入部22に紙幣が正しく挿入されたと制御部70により判断され、操作表示部50、52には図5(b)に示すような画面が表示されるようになる。
一方、操作者が筐体の外部から紙幣受入口22aを介して紙幣受入部22に紙幣を斜行した状態で挿入した場合には、紙幣受入部22に設けられた受入検知センサ22b等による検知結果に基づいて、紙幣の受入状態として紙幣が斜行していることが検知手段46により検知される。この場合には、紙幣受入部22に紙幣が斜行状態で挿入されたと制御部70により判断され、操作者をトレーニングするためのガイダンス情報として紙幣の斜行状態を直すことを操作者に指示する旨の情報が制御部70から出力される。制御部70から出力された情報は、図6(a)〜(c)に示すような画面で操作表示部50、52に文字や画像により表示されるようになる。具体的には、紙幣が上下どちらの向きに斜行しているかが検知手段46により検知された場合には、図6(b)(c)に示すように斜行状態から正常な状態に紙幣を直す向きが操作表示部50、52に矢印で表示されるようになる。一方、紙幣が上下どちらの向きに斜行しているかが検知手段46により検知されなかった場合には、操作表示部50、52には図6(a)に示す画面が表示されるようになる。
また、操作者が筐体の外部から紙幣受入口22aを介して紙幣受入部22に挿入した紙幣の枚数が多過ぎた場合には、紙幣受入部22に設けられた受入検知センサ22b等による検知結果に基づいて、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣が多過ぎることが検知手段46により検知される。この場合には、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣が多過ぎると制御部70により判断され、操作者をトレーニングするためのガイダンス情報として紙幣受入部22に挿入する紙幣の枚数を減らすことを操作者に指示する旨の情報が制御部70から出力される。制御部70から出力された情報は、図6(d)に示すような画面で操作表示部50、52に文字や画像により表示されるようになる。
また、操作者が筐体の外部から紙幣受入口22aを介して紙幣受入部22に挿入した紙幣の間隔がばらついている場合には、紙幣受入部22に設けられた受入検知センサ22b等による検知結果に基づいて、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の間隔がばらついていることが検知手段46により検知される。この場合には、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の間隔がばらついていると制御部70により判断され、操作者をトレーニングするためのガイダンス情報として紙幣受入部22に挿入する紙幣の先端を揃えることを操作者に指示する旨の情報が制御部70から出力される。制御部70から出力された情報は、図6(e)に示すような画面で操作表示部50、52に文字や画像により表示されるようになる。
また、操作者が筐体の外部から紙幣受入口22aを介して紙幣受入部22に挿入した紙幣の間隔が短すぎたり長すぎたりしている場合には、紙幣受入部22に設けられた受入検知センサ22b等による検知結果に基づいて、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の間隔と予め設定されている基準値との差が所定値よりも大きいことが検知手段46により検知される。この場合には、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の間隔が短すぎたり長すぎたりすると制御部70により判断され、操作者をトレーニングするためのガイダンス情報として紙幣受入部22に挿入する紙幣の間隔を適切な大きさにすることを操作者に指示する旨の情報が制御部70から出力される。具体的には、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の間隔が短すぎる場合には、図6(f)に示すように紙幣を紙幣受入部22に押し込みすぎないことを操作者に指示する旨の指令が操作表示部50、52に文字や画像により表示されるようになる。一方、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の間隔が長すぎる場合には、図6(g)に示すように紙幣を紙幣受入部22に押し込むことで紙幣の計数時間を短くすることができる旨の指令が操作表示部50、52に文字や画像により表示されるようになる。
また、紙幣受入部22には、紙幣受入口22aを介して紙幣受入部22に重なった状態で受け入れられた複数の紙幣を取込ベルト23aに向かって押さえる札押さえ部材23hが設けられている。このような札押さえ部材23hの構成の詳細について図7および図8を参照して説明する。図7および図8に示すように、紙幣受入部22には位置固定で受け部材23iが設けられており、この受け部材23iにバネ23jの一端が接続されている。また、バネ23jの他端は札押さえ部材23hに接続されており、バネ23jの圧縮状態からの反発力によって札押さえ部材23hは取込ベルト23a側に押圧されるようになっている。このため、紙幣受入口22aを介して紙幣受入部22に重なった状態で受け入れられた複数の紙幣は札押さえ部材23hによって取込ベルト23aに向かって押さえられるようになる。
また、札押さえ部材23hには、当該札押さえ部材23hの一端(具体的には、図7および図8における右端)を取込ベルト23aから離間する方向に押動する押動部材23kが設けられている。ここで、押動部材23kは軸23pを中心として揺動可能となっている。紙幣が札押さえ部材23hによって、取込ベルト23aに向かって押圧される場合には、札押さえ部材23hがバネ23jにより押圧されるとともに、押動部材23kが軸23pを中心として時計回りに回転し、札押さえ部材23hを押動する。このとき、当該押動部材23kは図7に示す箇所に位置するようになる。一方、紙幣が札押さえ部材23hによって、取込ベルト23aに向かって押圧されない場合には、当該押動部材23kは軸23pを中心として反時計回りの方向に回転させられる。このときに、バネ23jによる押圧力に抗して、札押さえ部材23hの一端(具体的には、図7および図8における右端)が押動部材23kによって取込ベルト23aから離間する方向に押動される。このことにより、札押さえ部材23hが取込ベルト23aに対して傾斜するようになり、札押さえ部材23hによって取込ベルト23aに向かって押されていた紙幣は当該札押さえ部材23hにより押圧されない状態となる。
なお、紙幣受入口22aを介して筐体の外部から紙幣受入部22に送られた紙幣が斜行していることが受入検知センサ22bや残留検知センサ22c等により検知された場合には、札押さえ部材23hを揺動させることで斜行状態を修正することもできる。
具体的には、図9(a)に示すように、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣が斜行していることが受入検知センサ22bや残留検知センサ22c等により検知されると、押動部材23kは軸23pを中心として図7や図8における反時計回りの方向に回転させられる(なお、図9(a)〜(c)において紙幣受入部22に受け入れられた紙幣を参照符合Pで示している)。このことにより、バネ23jによる押圧力に抗して、札押さえ部材23hの一端(具体的には、図7および図8における右端)が押動部材23kによって取込ベルト23aから離間する方向に押動される。この場合には、札押さえ部材23hが取込ベルト23aに対して傾斜するようになり、札押さえ部材23hと取込ベルト23aとの間に空間が形成されるようになるため、札押さえ部材23hによって取込ベルト23aに向かって押されていた紙幣は当該札押さえ部材23hにより押圧されない状態となる。また、札押さえ部材23hと取込ベルト23aとの間に空間が形成されると、紙幣自身の復元力(図9(b)の矢印参照)により、紙幣受入部22に存在する斜行状態の紙幣は正常な状態に戻るようになる(図9(c)参照)。このようにして、紙幣受入部22において斜行状態の紙幣を自動的に簡易な方法で正常な状態に戻すことができるようになる。
なお、図7および図8では、押動部材23kとして、札押さえ部材23hの一端(具体的には、図7および図8における右端)を取込ベルト23aから離間する方向に押動することによって当該札押さえ部材23hを取込ベルト23aに対して傾斜させるタイプのものを用いたが、札押さえ部材23hを取込ベルト23aから離間する方向に押動する押動部材はこのような構成のものに限定されることはない。押動部材として、札押さえ部材23hを取込ベルト23aと平行な状態を保ったまま当該取込ベルト23aから離間する方向に押動するものが用いられてもよい。
以上のような構成からなる本実施の形態の貨幣釣銭機1やこのような貨幣釣銭機1による貨幣処理方法によれば、紙幣処理装置20の紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の受入状態および搬送部30による紙幣の搬送状態のうち少なくともいずれかを検知する検知手段46が設けられており、このような検知手段46による検知結果に基づいて、操作者をトレーニングするためのガイダンス情報が制御部70により出力されるようになっている。ここで、制御部70は、検知手段46による検知結果を出力する出力部としても機能するようになる。このような貨幣釣銭機1や貨幣処理方法によれば、貨幣釣銭機1の取り扱いを店員等の操作者が習熟する際に、紙幣処理装置20における紙幣受入部22への紙幣の挿入方法の善し悪しを自動で判定することにより、習熟にかかる期間を短縮することができる。
より詳細に説明すると、従来の貨幣釣銭機の紙幣処理装置においては、店員等の操作者によって紙幣が紙幣受入口を介して紙幣受入部に挿入される際に、紙幣受入口への紙幣の挿入方法が悪いと、紙幣受入口から装置内に受け入れられた紙幣が、識別部にて受け入れることができない紙幣として識別され大量にリジェクト(返却)されたり、紙幣受入部や搬送部において紙幣が詰まったりする等のトラブルが生じるおそれがあった。このようなトラブルは、特に、店員等の操作者が紙幣処理装置の取り扱いに不慣れな場合に多く発生していた。このように、紙幣処置装置において紙幣受入口を介して紙幣受入部に紙幣を挿入する操作者は勘に頼って紙幣処置装置の取り扱いを習熟していかなければならず、習熟に時間がかかってしまっていた。これに対し、本実施の形態では、貨幣釣銭機1の取り扱いを店員等の操作者が習熟する際に、紙幣処理装置20における紙幣受入部22への紙幣の挿入方法の善し悪しを自動で判定することにより、習熟にかかる期間を短縮することができる。
ここで、本実施の形態では、検知手段46は、紙幣処理装置20の紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の受入状態および搬送部30による紙幣の搬送状態の両方を検知するようになっており、このような検知手段46による両方の検知結果に基づいて、操作者をトレーニングするためのガイダンス情報が制御部70により出力されるようになっていてもよい。あるいは、検知手段46は、紙幣処理装置20の紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の受入状態および搬送部30による紙幣の搬送状態のうちいずれか一方のみを検知するようになっており、このような検知手段46によるいずれか一方のみの検知結果に基づいて、操作者をトレーニングするためのガイダンス情報が制御部70により出力されるようになっていてもよい。
また、本実施の形態の貨幣釣銭機1においては、上述したように、検知手段46による検知結果と、ガイダンス情報とを関連付けて記憶する記憶部72が設けられている。そして、出力部として機能する制御部70は、記憶部72に記憶されている情報に基づいて、検知手段46による検知結果に対応するガイダンス情報を出力するようになっている。
また、本実施の形態の貨幣釣銭機1においては、上述したように、制御部70は、紙幣処理装置20において通常処理モードおよびトレーニングモードのうち何れかの処理モードで紙幣の処理を行うよう制御を行うようになっている。また、制御部70による制御に基づいて行われる紙幣の処理モードを、通常処理モードおよびトレーニングモードのうち何れかの処理モードに切り替える切替手段74が設けられている。そして、切替手段74により、制御部70による制御に基づいて行われる紙幣の処理モードがトレーニングモードに切り替えられた場合においてのみ、当該制御部70は、検知手段46による検知結果に基づいてガイダンス情報を出力するようになっている。
また、本実施の形態の貨幣釣銭機1においては、上述したように、切替手段74により、制御部70による制御に基づいて行われる紙幣の処理モードがトレーニングモードに切り替えられた場合に、制御部70は、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣を紙幣出口部24に搬送するよう搬送部30を制御するようになっている。
また、本実施の形態の貨幣釣銭機1においては、上述したように、検知手段46は、紙幣受入部22または搬送部30に配置された紙幣検知センサ(具体的には、受入検知センサ22b、残留検知センサ22c、繰出検知センサ22d、各搬送検知センサ30c等)を含み、これらの紙幣検知センサによる紙幣の検知結果に基づいて、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の受入状態および搬送部30による紙幣の搬送状態のうち少なくともいずれかを検知するようになっている。なお、本実施の形態はこのような態様に限定されることはない。他の例として、検知手段46は、紙幣繰出機構23における取込ベルト23aや繰出ベルト23bを駆動する駆動モータ(図示せず)や、搬送部30の搬送ローラや搬送ベルト(図示せず)を駆動する駆動モータ(図示せず)による駆動状態に基づいて、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の受入状態および搬送部30による紙幣の搬送状態のうち少なくともいずれかを検知するようになっていてもよい。この場合でも、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の受入状態や搬送部30による紙幣の搬送状態が正常ではない場合には、紙幣繰出機構23における取込ベルト23aや繰出ベルト23bを駆動する駆動モータや、搬送部30の搬送ローラや搬送ベルトを駆動する駆動モータによる駆動状態が所定の状態とは異なるようになるため、紙幣受入部22に受け入れられた紙幣の受入状態や搬送部30による紙幣の搬送状態が正常ではないことを検知手段46は検知することができるようになる。
また、本実施の形態の貨幣釣銭機1においては、上述したように、出力部としての制御部70により出力されたガイダンス情報が操作表示部50、52に文字や画像により表示されるようになっている。なお、制御部70により出力されたガイダンス情報が操作表示部50、52に文字や画像により表示される代わりに、当該ガイダンス情報が映像により操作表示部50、52に表示されるようになっていてもよい。また、制御部70により出力されたガイダンス情報が操作表示部50、52に文字や画像により表示されることに加えて、または制御部70により出力されたガイダンス情報が操作表示部50、52に文字や画像により表示される代わりに、少なくとも1つのLED等の発光部76において、制御部70により出力されたガイダンス情報が少なくとも発光色および発光位置のいずれかにより示されるようになっていてもよい。また、本実施の形態では、制御部70により出力されたガイダンス情報が視覚的に操作者に報知されることに加えて、または制御部70により出力されたガイダンス情報が視覚的に操作者に報知される代わりに、制御部70により出力されたガイダンス情報が音声メッセージ等によって聴覚的に操作者に報知されるようになっていてもよい。
また、本実施の形態の貨幣釣銭機1においては、出力部としての制御部70により出力されたガイダンス情報が通信部78によりPOSレジスタ60等の外部装置に送信されるようになっていてもよい。この場合には、POSレジスタ60のモニタ等に、制御部70により出力されたガイダンス情報が表示されるようになる。このことにより、操作者はPOSレジスタ60のモニタを見ることによってガイダンス情報を認識することができるようになる。
なお、本実施の形態による貨幣釣銭機1は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
上記の説明では本実施の形態による貨幣釣銭機1として紙幣処理装置20および硬貨処理装置10を有するものを用いたが、このような態様に限定されることはない。本実施の形態による貨幣釣銭機1として紙幣処理装置20のみが単体で使用されるものが用いられてもよい。この場合には、上述した制御部70、操作表示部50、記憶部72、切替手段74、発光部76および通信部78等が紙幣処理装置20に設けられるようになる。
また、本実施の形態による貨幣釣銭機1においてトレーニングモードにより操作者のトレーニングを行う際に、実際の紙幣を用いる代わりにダミー券(例えば、紙幣と略同一の大きさの紙)を用いてもよい。この場合でも、貨幣釣銭機1の取り扱いを店員等が習熟する際に、紙幣処理装置20における紙幣受入部22へのダミー券の挿入方法の善し悪しを自動で判定することにより、習熟にかかる期間を短縮することができる。
また、上記の説明では、紙幣処理装置20として、操作者は筐体の外部から1または複数の紙幣をその長手方向に沿った方向で紙幣受入口22aに挿入するタイプのものを用いたが、このような態様に限定されることはない。変形例に係る紙幣処理装置として、操作者は筐体の外部から1または複数の紙幣をその短手方向に沿った方向で紙幣受入口に挿入するタイプのものが用いられてもよい。この場合でも、図2、図3、図7および図8に示す紙幣受入部22や紙幣繰出機構23と同様の構成の紙幣受入部や紙幣繰出機構が変形例に係る紙幣処理装置に設けられるようになる。また、このような変形例に係る紙幣処理装置において、紙幣受入口を介して筐体の外部から紙幣受入部に送られた紙幣が斜行していることが当該紙幣受入部に設けられた受入検知センサや残留検知センサ等により検知された場合には、出力部として機能する制御部70は、記憶部72に記憶されている情報に基づいて、検知手段46による検知結果に対応するガイダンス情報を出力し、当該ガイダンス情報が操作表示部50、52に文字や画像により表示される。
また、紙幣受入部に設けられた札押さえ部材は、取込ベルトから離間するよう押動部材により札押さえ部材が押動される。このことにより、札押さえ部材が取込ベルトから離間するようになり、札押さえ部材と取込ベルトとの間に空間が形成されるようになるため、札押さえ部材によって取込ベルトに向かって押されていた紙幣は当該札押さえ部材により押圧されない状態となる。また、札押さえ部材と取込ベルトとの間に空間が形成されると、紙幣自身の復元力により、紙幣受入部に存在する斜行状態の紙幣は正常な状態に戻るようになる。このようにして、変形例に係る紙幣処理装置でも、紙幣受入部において斜行状態を自動的に簡易な方法で正常な状態に戻すことができるようになる。
また、上記の説明では、紙幣処理装置20として、操作者は筐体の外部から1または複数の紙幣を縦向きで(すなわち、鉛直方向に沿って)紙幣受入口22aに挿入するタイプのものを用いたが、このような態様に限定されることはない。変形例に係る紙幣処理装置として、操作者は筐体の外部から1または複数の紙幣を横向きで(すなわち、水平方向に沿って)紙幣受入口に挿入するタイプのものが用いられてもよい。また、更に別の変形例に係る紙幣処理装置として、操作者は筐体の外部から1または複数の紙幣を立位状態で(すなわち、縦向きで)紙幣受入口に挿入するタイプのものが用いられてもよい。
また、上記の説明では、紙幣処理装置20の検知手段46による検知結果に基づいて操作者をトレーニングするためのガイダンス情報を出力することができる出力部(具体的には、制御部70)や、紙幣処理装置20において制御部70による制御に基づいて行われる紙幣の処理モードを、通常処理モードおよびトレーニングモードのうち何れかの処理モードに切り替える切替手段、出力部により出力されたガイダンス情報を表示する表示部(具体的には、操作表示部50、52)等が貨幣釣銭機1に設けられているような態様について述べたが、このような態様に限定されることはない。貨幣釣銭機1およびPOSレジスタ60等の外部装置が組み合わせられて貨幣処理システムとして用いられるようになっている場合に、上述した出力部、切替手段、表示部のうち少なくとも何れか1つまたは全部が貨幣釣銭機1ではなくPOSレジスタ60等の外部装置に設けられるようになっていてもよい。また、外部装置として、POSレジスタ60以外に、操作者が携帯する携帯端末(例えば、タブレットPCやスマートフォン等)が用いられてもよい。
また、更に別の変形例に係る紙幣処理装置として、紙幣の処理モードをトレーニングモードに切り替えなくても、通常処理モードにおいて操作表示部によりトレーニングを行うメニューを選択することで、専用のモード(すなわち、トレーニングモード)に移行しなくても操作者のトレーニングを行うことができるようになっていてもよい。また、通常モード時においてトレーニング機能を有効とするか否かの設定を行うことができるようになっていてもよい。この場合、トレーニング機能を有効とするような設定を行ったときには、通常処理モードであっても検知手段の検知結果に基づいて操作者をトレーニングするためのガイダンス情報が出力されるようになる。
また、本発明に係る紙葉類処理機は、紙幣の処理を行う紙幣処理装置20を備えた貨幣釣銭機1に限定されることはない。本発明に係る紙葉類処理機として、紙幣以外の紙葉類(例えば、商品券や小切手等)の処理を行うものが用いられてもよい。
また、紙幣の処理を行う紙幣処理装置20ではなく硬貨処理を行う硬貨処理装置10でも本発明の原理が適用されるようになっていてもよい。具体的には、硬貨処理装置10において、硬貨を外部から受け入れる硬貨受入部12aにオーバーフローセンサが設けられており、操作者により筐体の外部から硬貨受入部12aに入れられた硬貨の量が多過ぎる場合にはオーバーフローセンサにより硬貨が検知されるようになる。また、操作者により筐体の外部から硬貨受入部12aに入れられた硬貨の量が多過ぎる場合には、硬貨受入部12aから筐体の内部に繰り出された硬貨が識別部により計数される際に硬貨計数速度が低下してしまうおそれがある。このため、オーバーフローセンサにより硬貨が検知された場合や、識別部による硬貨計数速度が低下した場合には、操作者をトレーニングするためのガイダンス情報が制御部70から出力され、この出力されたガイダンス情報が操作表示部50、52に表示されるようになる。具体的には、操作表示部50、52には、操作者をトレーニングするためのガイダンス情報として硬貨受入部12aに入れる硬貨の枚数を減らすことを操作者に指示する旨の情報が文字や画像により表示されるようになる。