JP2019048322A - 連続鋳造機の2次冷却制御装置、連続鋳造機の2次冷却制御方法、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1では、鋳片中心部の温度が液相線温度を下回る位置、すなわち固相率が0(ゼロ)を超え始める位置から流動限界固相率までの範囲では1.0〜2.0mm/minの圧下速度で圧下し、以降鋳片が完全に凝固するまでの範囲では0.3mm/min未満の圧下速度で圧下することで中心偏析を防止するだけでなく、V偏析や逆V偏析などの欠陥を防止できることが示されている。特許文献1に記載されているように、V偏析は、V字状の偏析であり、鋳片の厚み方向の中心部付近から鋳造方向に向かって鋳片の厚み方向の両側にV字状に延びる形態の偏析である。逆V偏析は、鋳造方向とは逆方向(メニスカスの方向)に向かうV偏析である。
(連続鋳造機の概略構成)
図1は、本実施形態の連続鋳造機の2次冷却制御装置と、その適用例である連続鋳造機の構成の一例を示す図である。尚、連続鋳造機自体は、公知の技術で実現することができるので、図1では、本実施形態の説明に必要な部分のみを簡略化して示す。また、以下の説明では、連続鋳造機の2次冷却制御装置を必要に応じて冷却制御装置と称する。
2次冷却帯の予め定められた温度測定位置には、鋳造中の鋳片5の表面の温度を測定する温度計7が配置される。また、温度計7の数は、1つであっても複数であってもよい。本実施形態では、後述する図3に示すように、複数の温度計7a〜7fが、複数の温度測定位置に配置される場合を例に挙げて説明する。
次に、本実施形態の冷却制御装置100で用いる伝熱凝固モデルの一例を説明する。伝熱凝固モデルは、熱伝導方程式に基づき、鋳片5の鋳造方向に垂直な断面の内部の温度である鋳片断面内温度と、前記断面における鋳片5の表面の温度である鋳片断面表面温度と、前記断面内の固相率の分布である鋳片断面内固相率分布と、を少なくとも算出する計算式である。
本実施形態では、鋳片5の計算対象断面は矩形とする。また、鋳片5の面のうち、計算対象断面の長辺側に当たる面を必要に応じて鋳片長辺面と称し、短辺側に当たる面を必要に応じて鋳片短辺面と称する。図2は、計算対象断面の一例を概念的に示す図である。各計算対象断面においては、鋳片長辺面に当たる辺に沿う方向を幅方向と称し、鋳片短辺面に当たる辺に沿う方向を厚み方向と称する。計算対象断面内の座標は、鋳片5の或る1つの頂点を原点0として幅方向の軸をx軸、厚み方向の軸をy軸とする。鋳片5の幅をX、厚みをYとする。また、鋳片5の引き抜き方向(即ち、鋳造方向)をz軸とする。尚、図2において、○の中に×を付しているものは、紙面の手前側から奥側に向かうことを示す。また、図2において、鋳片長辺面は、x−z平面であり、鋳片短辺面は、y−z平面である。
エンタルピー:H(x、y、t)
温度:T(x、y、t)
固相率:fs(x、y、t)
固液界面における液相側の溶質成分濃度:CLμ(x、y、t)
また、伝熱凝固モデルにおける物性パラメータは、以下の通りである。
熱伝導率(温度に依存):λ(x、y、t)=λ(T(x、y、t))
鋼の比熱(温度に依存):c(x、y、t)=c(T(x、y、t))
凝固潜熱:Lh
液相線温度:TL
密度:ρ
エンタルピーは、凝固潜熱を含めた計算対象断面内の各計算点におけるエネルギーなので、各計算点における熱収支を表す熱伝導方程式である以下の式(1)により、その時間変化を表すことができる。
計算対象断面の、鋳片5の表面に対応する断面境界、即ち、x=xB(xB=0またはX)の鋳片短辺面では以下の式(5)で熱流束が表され、y=yB(yB=0またはY)の鋳片長辺面では以下の式(6)で熱流束が表されるものとする。
合金である鋼の凝固では、温度が成分濃度で定まる液相線温度TLを下回ると凝固が始まって固相率fs>0となり、凝固が完了して固相率fs=1となるまでの間に温度が低下する。固相率fsが0≦fs≦1であることを考慮して、エンタルピーと温度との関係は、以下の式(9)で表される。
<エンタルピーを変数とする熱伝導方程式>
式(9)の両辺に対して、xにより偏微分すると以下の式(10)になるので、x軸方向の熱流束qxは、以下の式(11)で表される。同様に、式(9)の両辺に対して、yにより偏微分することにより、y軸方向の熱流束qyは、以下の式(12)で表される。
固液共存領域内では、固相と液相との界面での液相側溶質濃度により温度が定まるので、状態図から、温度Tと固相率fsとの関係を表す別のモデルとして、以下の溶質成分濃度と温度との関係を表す関数θを用いた式(15)のモデルおよび固相率と液相側溶質濃度の関係を表す関数γLμを用いた式(16)のように表されるモデルを用いてもよい。ここで、μmaxは、伝熱凝固モデルで考慮する溶質成分の最大個数である。
本実施形態では、式(14)式と、式(15)および式(16)との何れを用いてもよい。式(15)および式(16)を用いれば、固液界面の液相側溶質濃度CLμ(x、y、t)を求めることができるが、計算負荷が増大する。計算負荷が増大しても固液界面の液相側溶質濃度CLμ(x、y、t)を求める場合には、式(15)および式(16)を用い、そうでない場合には、式(14)を用いればよい。
本実施形態では、以上の偏微分方程式を空間および時間で離散化することにより数値解を得る。即ち、本実施形態では、式(13)の微分方程式を、計算対象断面内および計算対象断面の境界線上で空間的に離散化し、鋳片5の表面における境界条件を組み込んだ形で、離散化した時間t=0,1,2,・・・において更新するモデルを用いる。
前述した伝熱凝固モデルの計算を実施する計算対象断面の位置は、一定距離間隔Δzで設定されるものとする。計算対象断面の番号nは、鋳型1内湯面位置(溶鋼メニスカス4の位置)をn=0とし、以下、引き抜き方向(鋳造方向)にn=1、2、…、nmaxとする。各計算対象断面では、計算対象断面の内部および境界上に計算点を共通に設定する。計算対象断面nから計算対象断面n+1に状態変数を更新する場合、時刻の離散化刻みΔtを、以下の式(17)で表す。
前述したように本実施形態では、計算対象断面のうち、鋳片5のコーナーから鋳片5の中央までのいわゆる四分の一断面を計算対象領域とする。即ち、図2の斜線で示す領域のように、計算対象断面の左下のコーナーを原点0とし、原点0から、鋳片5の幅方向の中央x=X/2および鋳片5の厚み方向の中央y=Y/2までの範囲を計算対象領域とする。計算対象断面の計算点の座標(xi、yj)は、i=0,1,2,・・・,I、および、j=0,1,2,・・・,Jについて、x0=0およびxI=X/2、ならびに、y0=0およびyJ=Y/2とする。x軸方向の計算点の座標の最小間隔およびy軸方向の計算点の座標の最小間隔が、常に偏微分方程式の数値解法における安定性の条件を満たすように、計算点の座標を適切な位置に配置する。安定性の条件には解くべき方程式の係数から解析的に導く方法が知られているが、本実施形態では事前のシミュレーションで得られる解が数値的に安定になることを確認して、x軸方向の計算点およびy軸方向の計算点の座標の最小間隔を決定する。
以下では、i=0,1,2,・・・,I−1、および、j=0,1,2,・・・,J−1について、以下の式(18)〜式(21)が成り立つものとする。
以下の説明において、座標以外の変数について、添字のi+1/2は、x軸方向の計算点iおよびi+1の中間位置における量であることを意味する。実際の計算において、関数の引数として与える場合には、添字i+1/2に対応する値として、添字iおよびi+1に対応する値の平均値を採用する。本実施形態では、計算点(xi,yj)において離散化したモデルを、エンタルピー、温度、固相率、および、当該計算点に隣接する計算点におけるエンタルピーおよび固相率を用いて、以下の式(22)、式(23)のように表すことができる。ここで、座標(i、j)の計算点に隣接する計算点は、座標(i+1、j)、座標(i、j+1)、座標(i−1、j)、および座標(i、j−1)の計算点である。
本実施形態では、鋳造速度および冷却水量の指示値の変更に対応するために、鋳片5が一定距離引き抜かれるたびに、鋳型1内の湯面位置(z=0)で計算対象断面を新たに発生させる。そして、各々の計算対象断面について、伝熱凝固モデルによる計算を、鋳型1内の湯面(溶鋼メニスカス4)から、少なくとも2次冷却帯の出口の位置まで行う。以下の説明では、この計算対象断面のことを必要に応じてトラッキング面と称する。また、トラッキング面の発生間隔をΔztpで表す。トラッキング面の発生間隔Δztpは、前述したΔzを整数倍(L倍)した値であり、以下の式(26)で表される。
次に、本実施形態の冷却制御装置の一例を説明する。図5は、冷却制御装置100の機能的な構成の一例を示す図である。図6は、連続鋳造機の2次冷却制御方法の一例を説明するフローチャートである。図6のフローチャートは、例えば、鋳造を開始してから鋳片を連続鋳造機から完全に引き抜くまでの全てまたは一部の時間において、鋳造がトラッキング面の発生間隔Δztpだけ進むごとに繰り返し実施される(式(26)を参照)。また、前述した伝熱凝固モデルは、予め伝熱凝固モデル記憶部500に記憶されているものとする。尚、冷却制御装置100のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備えた情報処理装置、または専用のハードウェアを用いることにより実現される。
鋳片表面温度取得部501は、温度計7a〜7fで測定された鋳造中の鋳片5の表面温度の測定値を取得する(図3を参照)。鋳片表面温度取得部501は、例えば、不図示のデータ処理装置から、鋳片5の表面温度の測定値のデータを受信することにより、温度計7a〜7fで測定された鋳片5の表面温度の測定値を取得することができる。
操業データ取得部502は、連続鋳造機の操業データを取得する。連続鋳造機の操業データには、例えば、鋳造方向に垂直な方向の鋳片5の大きさ、鋳造速度vc、鋳型1内の溶鋼の温度、溶鋼中の溶質成分の濃度、該溶質成分の濃度を用いて算出される溶鋼の液相線温度TL、および、2次冷却帯の各冷却ゾーンに配置された冷却スプレー2a〜2tから噴射された冷却水の流量、および鋳片5の表面の各点における冷却条件が含まれる。操業データ取得部502は、例えば、不図示の上位プロコンまたは下位計装装置から、連続鋳造機の操業データを受信することにより、連続鋳造機の操業データを取得することができる。
温度評価位置設定部503は、鋳型1内の湯面位置をz=0として、鋳片5の鋳造方向の位置zが、トラッキング面の発生間隔Δztpの整数倍となる鋳造方向の位置を温度評価位置ztpとして設定する。温度評価位置ztpの鋳造方向の間隔は、予め定められた一定の間隔である。
熱伝達係数推定部504は、操業データ取得部502で取得された冷却条件と、鋳片表面温度取得部501で取得された鋳片5の表面温度の測定値とを用いて、鋳片5の表面の各計算点における熱伝達係数を推定する。
本実施形態では、熱伝達係数推定部504は、鋳片方向の位置z=0、・・・、zmaxの各々において、冷却水が衝突する部分と、その他の部分とに分割する。熱伝達係数推定部504は、各々の部分に属するトラッキング面の境界上の計算点における熱伝達係数を、冷却水が衝突する部分においては衝突するスプレー水の流量密度wdと、冷却スプレー2a〜2tの空気流速vaと、衝突部分の鋳片5の表面温度Tsとを用いて、予め定めたモデル式に基づき算出する。本実施形態では、このモデル式として、以下の式(29)および式(30)を用いる場合を例に挙げて示す。
温度固相率分布算出部505は、温度評価位置の各々において、鋳片5の鋳造方向に垂直な断面の内部の温度である鋳片断面内温度、前記断面における鋳片5の表面の温度である鋳片表面温度、および前記断面内の固相率の分布である鋳片断面内固相率分布を含む第1の計算値を、前記温度評価位置間の間隔だけ進むごとに、伝熱凝固モデルを用いて算出する。
本実施形態では、温度固相率分布算出部505は、操業データ取得部502で取得された操業データと、熱伝達係数推定部504で算出された補正後の熱伝達係数熱伝達係数Kx(0,y,z,t)、Ky(x,0,z,t)とを用いて、鋳片5の表面温度の分布と、鋳片5の内部温度の分布と、鋳片5の内部における固相率fsの分布とを導出する。
熱伝達係数補正部506は、温度測定位置における鋳片5の表面の温度の測定値と、該温度測定位置における鋳片5の表面の温度の推定値であって、前記第1の計算値に基づいて算出される鋳片5の表面の温度の推定値とを用いて、熱伝達係数補正パラメータを導出する。
本実施形態では、熱伝達係数補正部506は、鋳片表面温度取得部501で取得された鋳片5の表面温度の測定値と、温度測定位置における鋳片5の表面温度の推定値とを用いて、熱伝達係数補正パラメータを導出する。温度測定点における鋳片5の表面温度の推定値は、温度固相率分布算出部505で導出された温度評価位置における鋳片5の温度の計算値に基づいて算出される。本実施形態では、温度評価位置の鋳造方向の間隔を、最も長い冷却ゾーンの鋳造方向の長さの2分の1以下とする。従って、1つの冷却ゾーン内では複数の位置で熱伝達係数補正パラメータを算出できる。そのため、1つの冷却ゾーン内における熱伝達係数補正パラメータの鋳造方向の変動を推定することが可能となり、鋳片5の中心部温度をより正確に推定することが可能となる。
以下の式(36)から式(38)では、非特許文献1の記法に従い、式(33)から式(35)における各変数の添え字tを、時刻t−1における計算結果を元に伝熱凝固モデルに基づき時刻tについて予測した結果であることを意味するt|t−1にして表す。また、式(33)から式(35)における各変数の添え字のt−1を、時刻t−1における伝熱凝固モデルによる予測計算の結果を、時刻t−1の温度測定の結果に基づいて修正したことを意味するt−1|t−1にして表す。
まず、鋳造中の鋳片5内の全トラッキング面k内のエンタルピー、温度、および固相率の、伝熱凝固モデルによる推定値を算出する。各トラッキング面kの周方向測温位置の計算点について、hk t|t-1、τk t|t-1を算出する。
次に、式(42)の関係を用いて、式(40)からΔτk t-1|t-1を消去して、Δhk t|t-1、Δεtp t|t-1、をカルマンフィルタアルゴリズムにより、温度測定点での鋳片5の表面温度の測定値と計算値との差を用いて修正する。ここで、モデル推定偏差状態変数を、各トラッキング面kのΔhk t|t-1および各温度評価位置ztpのΔεtp t|t-1を並べた以下の式(43)で定義する。
各トラッキング面kが温度評価位置に到達する時刻においては、以下の処理が行われる。
(1) 式(40)および式(41)による伝熱凝固モデルによる予測誤差の共分散行列Vt|t-1を、時刻t−1における共分散行列の推定結果Vt-1|t-1を用いて、以下の式(46)により更新して算出する。
(2) [カルマンゲインの計算]
表面温度測定値と表面温度計算値から、式(45)で求めたモデル推定偏差状態変数Xt|t-1を修正するカルマンゲインΨtは、以下の式(47)により計算される。ここで、Cy、tは、式(42)の係数ck Tを、kについて式(44)と同じ順序で列方向に並べた行列である。Ryは、鋳片5の表面温度の測定誤差が、平均が0(ゼロ)であり、共分散行列Ryの多次元正規分布に従うとした場合の共分散行列である。
時刻tにおけるモデル推定偏差状態変数の推定結果Xt|tを、式(43)によるモデル推定偏差状態変数の予測結果Xt|t-1と、温度測定点での鋳片5の表面温度の測定値Utと推定値Yt|t-1との偏差と、カルマンゲインΨtとを用いて、以下の式(48)で更新して算出する。
式(46)による予測誤差共分散行列Vt|t-1を、カルマンゲインΨtを用いて、以下の式(49)により更新して、予測誤差共分散行列Vt|tを算出する。
式(36)、式(37)、式(38)における、各トラッキング面kの周方向測温位置でのエンタルピーの計算値、各温度評価位置ztpでの熱伝達係数補正パラメータ、および各トラッキング面kの周方向測温位置での鋳片5の表面温度の計算値を、モデル推定偏差状態変数Xt|tの推定結果の対応する値を用いて、以下の式(50)〜式(53)により補正する。
一方、各トラッキング面kが温度評価位置の中間位置に到達する時刻においては、以下の処理が行われる。
(1) [予測誤差共分散行列の更新]
式(40)および式(41)による伝熱凝固モデルによる予測誤差の共分散行列Vt|t-1を、時刻t−1における共分散行列の推定結果Vt-1|t-1を用いて、以下の式(54)により更新して算出する。
温度評価位置の中間位置に到達する時刻では、温度測定点で温度を算出する観測行列は0(ゼロ)とするので、以下の式(55)のように、カルマンゲインΨtは全て0(ゼロ)である。
カルマンゲインΨtが0(ゼロ)なので、モデル推定偏差状態変数の予測結果は更新されず、時刻tにおけるモデル推定偏差状態変数の推定結果Xt|tは、以下の式(56)のようになる。
カルマンゲインΨtが0(ゼロ)なので、モデル推定偏差状態変数の予測結果の共分散行列は更新されず、予測誤差共分散行列Vt|tは、以下の式(57)のようになる。
モデル推定偏差状態変数Xt|tが更新されないので、以下の式(58)〜式(60)のように、各トラッキング面kの周方向測温位置でのエンタルピーの計算値、各温度評価位置ztpでの熱伝達係数補正パラメータ、および各トラッキング面kの周方向測温位置での鋳片5の表面温度の計算値の補正も行われない。
鋳片中心部目標温度設定部507は、鋳片5の中心部の目標温度を、温度評価位置の各々について設定する。以下の説明では、鋳片5の中心部の目標温度を、必要に応じて鋳片中心部目標温度と称する。本実施形態では、鋳片中心部目標温度は、鋳造する鋼種、鋳型1のサイズ,および鋳造速度の代表値から定まる操業条件区分ごとに設定される。また、鋳造方向においては、鋳片中心部目標温度は、温度評価位置ごとに設定される。鋳片中心部目標温度は、少なくとも、鋳片5の幅方向(図2のx軸方向)および厚み方向(図2のy軸方向)の中央の位置に設定される。尚、鋳片中心部目標温度設定部507は、鋳片5の幅方向の中央以外の厚み方向の中央の位置に、鋳片中心部目標温度を複数点設定してもよい。温度評価位置ztpにおける鋳片中心部目標温度rc tpは、例えば、前述した操業条件区分ごとの鋼種、鋳型1のサイズ、鋳造速度の代表値に基づく伝熱凝固モデルによるシミュレーション計算で導出された鋳片5の温度の計算結果に基づいて設定される。尚、以下の説明では、鋳片中心部目標温度が設定される鋳片5の位置を、必要に応じて鋳片中心部と称する。
将来予測部508は、温度評価位置の各々について、該温度評価位置から、該温度評価位置よりも鋳造方向で下流側の予め定めた位置までの範囲を、該温度評価位置の将来予測範囲として設定する。また、将来予測部508は、該温度評価位置の各々について、該温度評価位置に対する該将来予測範囲内にある温度評価位置の各々を鋳造方向に基づいて順序づけた位置を、該温度評価位置に対する将来予測位置として設定する。そして、将来予測部508は、温度評価位置の各々が、現在時刻から将来予測位置の各々に進んだ時点での該将来予測位置における前記鋳片断面内温度、前記鋳片断面表面温度、および前記鋳片断面内固相率分布を含む第2の計算値を、伝熱凝固モデルを用いて算出する。このとき将来予測部508は、鋳造速度vcおよび冷却水の水量が現在時刻における値から変化しないと仮定する。また、将来予測部508は、伝熱凝固モデルを用いて計算した、温度評価位置の各々における現在時刻での鋳片断面内温度、鋳片断面表面温度、および鋳片断面内固相率分布を初期値とする。
鋳片中心部参照温度算出部509は、温度評価位置設定部503で設定された温度評価位置の各々について、鋳片中心部目標温度設定部507で設定された鋳片中心部目標温度と、前記第1の計算値に基づいて算出される現在時刻における鋳片5の中心部の温度の計算値とを用いて、該鋳片5の中心部の温度の計算値と、鋳片中心部目標温度との間の温度であって、鋳造方向で下流側にある将来予測位置の温度であるほど、鋳片中心部目標温度に近づく温度である鋳片中心部参照温度を算出する。
冷却水量変更量指示値算出部510は、目的関数の値を最大または最小にする決定変数を求める最適化問題を解くことで、冷却水量変更量指示値を算出する。決定変数は、現在時刻における冷却水の水量の実績値からの冷却水の水量の変更量の指示値である冷却水量変更量指示値であって、冷却ゾーンの各々に対する冷却水量変更量指示値である。目的関数は、冷却水量変更量指示値に従って冷却水の水量が変更された場合の、将来予測位置の各々における鋳片中心部の温度と、将来予測位置の各々における鋳片中心部参照温度と、の差を表す項を含む。この差は、将来予測位置の各々における鋳片中心部の温度の予測値と、該将来予測位置の各々における鋳片中心部参照温度と、該将来予測位置における将来温度影響係数である鋳片中心部温度影響係数と、前記冷却水量変更量指示値とを用いて表される。また、将来予測位置の各々における鋳片中心部の温度の予測値は、温度評価位置に対する将来予測位置の各々における前記第2の計算値に基づいて算出される。また、目的関数は、将来予測位置の各々における鋳片中心部の温度と、将来予測位置の各々における鋳片中心部参照温度との差の2乗を含む項を有する。
式(65)は、2次計画問題である。そこで、冷却水量変更量指示値算出部510は、目的関数Jの値が最小になるときの冷却水量変更量指示値Δuxmに対する係数行列を算出して数値的に求解する。2次計画問題の解法として、有効制約法やラグランジュ未定乗数法等、公知の技術を用いることができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。
冷却水量変更指示部511は、冷却水量変更指示部511により導出された、各冷却ゾーンにおける冷却水量変更量指示値Δuxmの最適値を、当該冷却ゾーンの冷却水の水量の現在時刻tの実績値uxm,tに加えた値を、次回の制御周期の水量指示値として導出し、導出したい水量指示値を、上位のプロセス計算機経由または直接、各冷却ゾーンの冷却水の水量を制御する計装装置に送信する。
本実施形態では、温度評価位置の鋳造方向の間隔を、最も長い冷却ゾーンの鋳造方向の長さの2分の1以下とする。このようにすることにより、冷却ゾーンのそれぞれに温度評価位置が少なくとも2つ存在させることができ、1つの冷却ゾーン内において、複数の位置で鋳片中心部の温度の目標値(本実施形態では、鋳片中心部目標温度)を設定し、1つの冷却ゾーン内における鋳片中心部の温度の鋳造方向のプロフィールを制御することができる。よって、1つの冷却ゾーン内における鋳片中心部の温度を正確に制御することが可能となる。
以上のように本実施形態では、鋳造速度vcに応じてトラッキング面を発生させ、鋳造方向におけるトラッキング面の発生間隔の整数倍の位置で温度評価位置を設定する。温度評価位置の現在時刻におけるエントロピー、鋳片5の温度、および固相率を、熱伝導方程式に基づく伝熱凝固モデルを用いて導出する。温度評価位置のそれぞれについて、当該温度評価位置が、鋳造方向において下流側の将来予測位置に移動したときの将来時刻におけるエントロピー、鋳片5の温度、および固相率を、伝熱凝固モデルを用いて導出する。このとき、伝熱凝固モデルに基づいて、冷却水量変更量指示値に対する鋳片中心部の温度の偏微分係数を、鋳片中心部の温度に対する冷却水量変更量指示値の影響係数として導出する。また、現在時刻の鋳片中心部の温度を起点とし、下流側の将来予測位置であるほど鋳片中心部目標温度に近くなる鋳片中心部参照温度を導出する。そして、各温度評価位置における各将来予測位置での鋳片中心部温度と、当該将来予測値に対応する影響係数と、冷却水量変更量指示値とに基づいて、冷却水の水量を変更した場合の各温度評価位置における各将来予測位置での鋳片中心部の温度を定式化する。冷却水の水量を変更した場合の各温度評価位置における各将来予測位置での鋳片中心部の温度と、当該将来予測位置に対応する鋳片中心部参照温度との偏差が小さいほど小さな値をとる目的関数Jの値が最小になるときの冷却水量変更量指示値を求める。
本実施形態では、図2に示したように、計算対象断面のうち、鋳片5のコーナーから鋳片5の中央までのいわゆる四分の一断面を計算対象領域とする場合を例に挙げて説明した。しかしながら、計算対象領域は、これに限定されない。例えば、鋳片短辺面(x=0またはx=Xの面)から鋳片5の幅方向の中心(x=X/2)までのいわゆる半断面、鋳片5の上鋳片長辺面(y=0またはy=Yの面)から厚み方向の中心(y=Y/2)までの半断面、または、計算対象領域全体であってもよい。鉄道軌条用あるいはH形鋼用の鋳片を製造する、いわゆるニアネットシェイプ鋳造を行う場合でも、対称性を利用して対称線を設定して計算対象領域を設定することにより、本実施形態と同様の手法を適用することができる。また、鋳片の断面の形状が遠景である場合には、厚み方向の一次元を計算対象としてもよい。
また、本実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本実施例では、本実施形態の冷却制御装置100を、図1に示した連続鋳造機(スラブ連鋳機)に適用し、シミュレーション計算を行った。本実施例で想定した鋼種と鋳片サイズでは、本実施例の対象とする連続鋳造機は、鋳造速度1.1m/minで鋳造する。しかしながら、連々鋳で鋳造する後続の溶鋼取鍋の到着が遅れる等の理由で鋳造速度を減速する場合がある。そこで、発明例として、本実施形態の方法による2次冷却制御を示し、2次冷却帯の各冷却ゾーンにおける冷却水の水量を制御することにより、鋳造速度の変更前後でも鋳片全体の鋳片の厚み方向中央の幅方向中央と1/4幅位置における中心部の温度を目標値に保つことで鋳片の圧下量の変更が不要になることを確認する。また、比較例として、鋳片の表面の温度制御を目的とした特許文献3の方法による2次冷却制御方法を示す。
比較例および発明例とも、鋳造速度の変更後の鋳片全体が同じ鋳造速度で鋳造されるものとし、その状態での、鋳片中心部の温度および固相率を調べた。
図7A〜図7Cに、比較例の結果を示す。具体的に図7Aは、鋳造速度の変更前後における、鋳片中心部の温度(中心部温度)と、鋳型内の溶鋼の湯面からの鋳造方向の距離(湯面からの距離)との関係を示す。図7Bは、鋳造速度の変更前後における、鋳片中心部の温度と目標値との偏差(中心部温度目標値偏差)と、鋳型内の溶鋼の湯面からの鋳造方向の距離(湯面からの距離)との関係を示す。図7Cは、鋳片中心部の固相率(中心部固相率)と、鋳型内の溶鋼の湯面からの鋳造方向の距離(湯面からの距離)との関係を示す。
図9A〜図9Cに、発明例の結果を示す。図9A、図9B、図9Cは、それぞれ、図7A、図7B、図7Cに対応する図である。具体的に図9Aは、鋳造速度の変更前後における、鋳片中心部の温度(中心部温度)と、鋳型内の溶鋼の湯面からの鋳造方向の距離(湯面からの距離)との関係を示す。図9Bは、鋳造速度の変更前後における、鋳片中心部の温度と目標値との偏差(中心部温度目標値偏差)と、鋳型内の溶鋼の湯面からの鋳造方向の距離(湯面からの距離)との関係を示す。図9Cは、鋳片中心部の固相率(中心部固相率)と、鋳型内の溶鋼の湯面からの鋳造方向の距離(湯面からの距離)との関係を示す。
Claims (10)
- 連続鋳造機の鋳型から引き抜かれた鋳片を冷却する2次冷却帯を、前記鋳片の鋳造方向に複数の冷却ゾーンへと分割し、各冷却ゾーンに含まれる冷却スプレーから噴射される冷却水の流量を制御することにより、前記鋳片の温度を制御する連続鋳造機の2次冷却制御装置であって、
熱伝導方程式に基づき、前記鋳片の前記鋳造方向に垂直な断面の内部の温度である鋳片断面内温度と、前記断面における前記鋳片の表面の温度である鋳片断面表面温度と、前記断面内の固相率の分布である鋳片断面内固相率分布と、を少なくとも算出する計算式である伝熱凝固モデルを記憶するモデル記憶手段と、
予め定められた温度測定位置において前記鋳片の鋳造中に測定された前記鋳片の表面の温度の測定値を取得する鋳片表面温度取得手段と、
前記連続鋳造機の鋳造速度と前記冷却水の流量とを含む操業データを取得する操業データ取得手段と、
前記鋳片断面内温度、前記鋳片断面表面温度、および前記鋳片断面内固相率分布を評価する位置であって、前記鋳片の鋳造方向の位置である温度評価位置を、前記鋳型内の湯面の位置から、機端出口の位置までの領域に対し、予め定めた一定の間隔で設定する温度評価位置設定手段と、
前記伝熱凝固モデルの計算に用いる前記鋳片の表面の熱伝達係数を、前記操業データに含まれる前記冷却水の水量と、前記温度測定位置における前記鋳片の表面の温度の測定値と、前記熱伝達係数を補正するための熱伝達係数補正パラメータとを用いて算出する熱伝達係数推定手段と、
前記温度評価位置の各々における前記鋳片断面内温度、前記鋳片断面表面温度、および前記鋳片断面内固相率分布を含む第1の計算値を、鋳造が前記温度評価位置間の間隔だけ進むごとに、前記伝熱凝固モデルを用いて算出する温度固相率分布算出手段と、
前記温度測定位置における前記鋳片の表面の温度の測定値と、該温度測定位置における前記鋳片の表面の温度の推定値であって、前記温度固相率分布算出手段で算出された前記第1の計算値に基づいて算出される前記鋳片の表面の温度の推定値とを用いて、前記熱伝達係数補正パラメータを導出する熱伝達係数補正手段と、
前記鋳片の中心部の温度である鋳片中心部温度の目標値である鋳片中心部目標温度を、前記温度評価位置の各々について設定する鋳片中心部目標温度設定手段と、
前記温度評価位置の各々について、該温度評価位置から、該温度評価位置よりも鋳造方向で下流側の予め定めた位置までの範囲を、該温度評価位置の将来予測範囲として設定することと、該温度評価位置の各々について、該温度評価位置に対する該将来予測範囲内にある前記温度評価位置の各々を、該温度評価位置に対する将来予測位置として設定することとを行ったうえで、前記鋳造速度および前記冷却水の水量が現在時刻における値から変化しないと仮定すると共に、前記伝熱凝固モデルを用いて計算した、前記温度評価位置の各々における現在時刻での前記鋳片断面内温度、前記鋳片断面表面温度、および前記鋳片断面内固相率分布を初期値として、前記温度評価位置の各々が、現在時刻から前記将来予測位置の各々に進んだ時点での該将来予測位置における前記鋳片断面内温度、前記鋳片断面表面温度、および前記鋳片断面内固相率分布を含む第2の計算値を、前記伝熱凝固モデルを用いて算出する将来予測手段と、
現在時刻における前記冷却水の水量の実績値からの前記冷却水の水量の変更量の指示値である冷却水量変更量指示値であって、前記冷却ゾーンの各々に対する前記冷却水量変更量指示値を決定変数とし、前記冷却水量変更量指示値に従って前記冷却水の水量が変更された場合の、前記将来予測位置の各々における前記鋳片中心部温度と、前記将来予測位置の各々における前記鋳片中心部目標温度と、の差を表す項を含む目的関数の値を最大または最小にする前記冷却水量変更量指示値を求める最適化問題を解くことで、前記冷却水量変更量指示値を算出する冷却水量変更量指示値算出手段と、
前記冷却水量変更量指示値算出手段により算出された前記冷却ゾーンの各々に対する前記冷却水量変更量指示値と、現在時刻における前記冷却ゾーンの各々の前記冷却水の水量の実績値とに基づいて、前記冷却ゾーンの各々の前記冷却水の水量を変更する冷却水量変更手段と、を有し、
前記目的関数は、前記温度評価位置に対する前記将来予測位置の各々における前記第2の計算値に基づいて算出される、前記将来予測位置の各々における前記鋳片中心部温度の予測値と、前記鋳片中心部目標温度設定手段により設定された、該将来予測位置の各々における前記鋳片中心部目標温度と、前記冷却水量変更量指示値とを用いて表され、
鋳造が少なくとも前記温度評価位置間の間隔だけ進むごとに、前記鋳片表面温度取得手段、前記操業データ取得手段、前記温度評価位置設定手段、前記熱伝達係数推定手段、前記温度固相率分布算出手段、前記熱伝達係数補正手段、前記鋳片中心部目標温度設定手段、前記将来予測手段、前記却水量変更量指示値算出手段、および前記冷却水量変更手段が繰り返し実行されることにより、鋳造中の任意の時刻での前記将来予測位置における前記鋳片中心部温度を、前記鋳片中心部目標温度に近づけることを特徴とする連続鋳造機の2次冷却制御装置。 - 前記温度評価位置設定手段で設定された前記温度評価位置の各々について、前記鋳片中心部目標温度設定手段で設定された前記鋳片中心部目標温度と、前記温度固相率分布算出手段で算出された前記第1の計算値に基づいて算出される現在時刻における前記鋳片中心部温度の計算値とを用いて、該鋳片中心部温度の計算値と、前記鋳片中心部目標温度との間の温度であって、前記鋳造方向で下流側にある前記将来予測位置の温度であるほど、前記鋳片中心部目標温度に近づく温度である鋳片中心部参照温度を算出する鋳片中心部参照温度算出手段を更に有し、
前記目的関数は、前記鋳片中心部目標温度に替えて、前記鋳片中心部参照温度算出手段で算出された前記鋳片中心部参照温度を用いて表されることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造機の2次冷却制御装置。 - 前記将来予測手段は、前記伝熱凝固モデルを用いて、前記温度評価位置の各々と該温度評価位置に対する前記将来予測位置とにおける前記鋳片断面内温度および前記鋳片表面温度を計算すると共に、前記温度評価位置の各々について、該温度評価位置に対する前記将来予測範囲内にある前記将来予測位置に対応する前記冷却ゾーンにおける、前記冷却水の水量に対する前記鋳片断面内温度の偏微分係数を、前記鋳片中心部温度に対する前記冷却水の水量の影響を表す係数である鋳片中心部温度影響係数として算出し、
前記目的関数は、前記温度評価位置の各々に対する前記将来予測範囲内にある前記将来予測位置での前記鋳片中心部温度の予測値と、該将来予測位置における前記鋳片中心部目標温度と、該将来予測位置に対応する前記冷却ゾーンにおける前記鋳片中心部温度影響係数と、前記冷却水量変更量指示値とを用いて表されることを特徴とする請求項1または2に記載の連続鋳造機の2次冷却制御装置。 - 前記最適化問題は、前記将来予測位置の各々での前記鋳片中心部温度の予測値と、前記鋳片中心部目標温度と、前記鋳片中心部温度影響係数と、前記冷却水量変更量指示値とを用いて表現される項であって、前記冷却水量変更量指示値に従って前記冷却水の水量が変更された場合の、前記将来予測位置の各々における前記鋳片中心部温度と、前記将来予測位置の各々における前記鋳片中心部目標温度との差の2乗を含む項と、前記決定変数である前記冷却水量変更量指示値の各々の2乗を含む項とを有する目的関数を前記目的関数として用いた2次計画問題であり、
前記冷却水量変更量指示値算出手段は、前記2次計画問題における前記決定変数に対する係数行列を算出して数値的に求解することにより、前記目的関数の値が最小になるときの前記決定変数の値を、前記冷却ゾーンの各々に対する前記冷却水量変更量指示値の最適値として算出することを特徴とする請求項3に記載の連続鋳造機の2次冷却制御装置。 - 前記熱伝達係数補正パラメータは、前記熱伝達係数推定手段により算出される前記熱伝達係数に乗じられるものであり、
前記熱伝達係数補正手段は、前記温度測定位置における前記鋳片の表面の温度の測定値と、前記温度固相率分布算出手段で算出された前記第1の計算値に基づいて算出される前記鋳片の表面の温度の推定値であって、前記温度測定位置における前記鋳片の表面の温度の推定値と、の差を最小にする最適化計算を行うことにより、前記熱伝達係数補正パラメータの最適解を算出することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の連続鋳造機の2次冷却制御装置。 - 前記熱伝達係数補正手段は、前記温度測定位置における前記鋳片の表面の温度の測定値と、前記温度固相率分布算出手段で算出された前記第1の計算値に基づいて算出される前記鋳片の表面の温度の推定値であって、前記温度測定位置における前記鋳片の表面の温度の推定値と、を用いた拡張カルマンフィルタにより、該測定値と該推定値との誤差分散が最小になるときの前記熱伝達係数補正パラメータを、前記熱伝達係数補正パラメータの最適解として算出することを特徴とする請求項5に記載の連続鋳造機の2次冷却制御装置。
- 前記温度評価位置間の前記鋳造方向の間隔は、前記複数の冷却ゾーンのうち、少なくとも、前記鋳造方向における長さが最も長い前記冷却ゾーンの前記鋳造方向の長さの2分の1以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の連続鋳造機の2次冷却制御装置。
- 前記鋳造速度は、前記鋳片の鋳造中に変化することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の連続鋳造機の2次冷却制御装置。
- 連続鋳造機の鋳型から引き抜かれた鋳片を冷却する2次冷却帯を、前記鋳片の鋳造方向に複数の冷却ゾーンへと分割し、各冷却ゾーンに含まれる冷却スプレーから噴射される冷却水の流量を制御することにより、前記鋳片の温度を制御する連続鋳造機の2次冷却制御方法であって、
熱伝導方程式に基づき、前記鋳片の前記鋳造方向に垂直な断面の内部の温度である鋳片断面内温度と、前記断面における前記鋳片の表面の温度である鋳片断面表面温度と、前記断面内の固相率の分布である鋳片断面内固相率分布と、を少なくとも算出する計算式である伝熱凝固モデルを記憶するモデル記憶工程と、
予め定められた温度測定位置において前記鋳片の鋳造中に測定された前記鋳片の表面の温度の測定値を取得する鋳片表面温度取得工程と、
前記連続鋳造機の鋳造速度と前記冷却水の流量とを含む操業データを取得する操業データ取得工程と、
前記鋳片断面内温度、前記鋳片断面表面温度、および前記鋳片断面内固相率分布を評価する位置であって、前記鋳片の鋳造方向の位置である温度評価位置を、前記鋳型内の湯面の位置から、機端出口の位置までの領域に対し、予め定めた一定の間隔で設定する温度評価位置設定工程と、
前記伝熱凝固モデルの計算に用いる前記鋳片の表面の熱伝達係数を、前記操業データに含まれる前記冷却水の水量と、前記温度測定位置における前記鋳片の表面の温度の測定値と、前記熱伝達係数を補正するための熱伝達係数補正パラメータとを用いて算出する熱伝達係数推定工程と、
前記温度評価位置の各々における前記鋳片断面内温度、前記鋳片断面表面温度、および前記鋳片断面内固相率分布を含む第1の計算値を、鋳造が前記温度評価位置間の間隔だけ進むごとに、前記伝熱凝固モデルを用いて算出する温度固相率分布算出工程と、
前記温度測定位置における前記鋳片の表面の温度の測定値と、該温度測定位置における前記鋳片の表面の温度の推定値であって、前記温度固相率分布算出工程で算出された前記第1の計算値に基づいて算出される前記鋳片の表面の温度の推定値とを用いて、前記熱伝達係数補正パラメータを導出する熱伝達係数補正工程と、
前記鋳片の中心部の温度である鋳片中心部温度の目標値である鋳片中心部目標温度を、前記温度評価位置の各々について設定する鋳片中心部目標温度設定工程と、
前記温度評価位置の各々について、該温度評価位置から、該温度評価位置よりも鋳造方向で下流側の予め定めた位置までの範囲を、該温度評価位置の将来予測範囲として設定することと、該温度評価位置の各々について、該温度評価位置に対する該将来予測範囲内にある前記温度評価位置の各々を、該温度評価位置に対する将来予測位置として設定することとを行ったうえで、前記鋳造速度および前記冷却水の水量が現在時刻における値から変化しないと仮定すると共に、前記伝熱凝固モデルを用いて計算した、前記温度評価位置の各々における現在時刻での前記鋳片断面内温度、前記鋳片断面表面温度、および前記鋳片断面内固相率分布を初期値として、前記温度評価位置の各々が、現在時刻から前記将来予測位置の各々に進んだ時点での該将来予測位置における前記鋳片断面内温度、前記鋳片断面表面温度、および前記鋳片断面内固相率分布を含む第2の計算値を、前記伝熱凝固モデルを用いて算出する将来予測工程と、
現在時刻における前記冷却水の水量の実績値からの前記冷却水の水量の変更量の指示値である冷却水量変更量指示値であって、前記冷却ゾーンの各々に対する前記冷却水量変更量指示値を決定変数とし、前記冷却水量変更量指示値に従って前記冷却水の水量が変更された場合の、前記将来予測位置の各々における前記鋳片中心部温度と、前記将来予測位置の各々における前記鋳片中心部目標温度と、の差を表す項を含む目的関数の値を最大または最小にする前記冷却水量変更量指示値を求める最適化問題を解くことで、前記冷却水量変更量指示値を算出する冷却水量変更量指示値算出工程と、
前記冷却水量変更量指示値算出工程により算出された前記冷却ゾーンの各々に対する前記冷却水量変更量指示値と、現在時刻における前記冷却ゾーンの各々の前記冷却水の水量の実績値とに基づいて、前記冷却ゾーンの各々の前記冷却水の水量を変更する冷却水量変更工程と、を有し、
前記目的関数は、前記温度評価位置に対する前記将来予測位置の各々における前記第2の計算値に基づいて算出される、前記将来予測位置の各々における前記鋳片中心部温度の予測値と、前記鋳片中心部目標温度設定工程により設定された、該将来予測位置の各々における前記鋳片中心部目標温度と、前記冷却水量変更量指示値とを用いて表され、
鋳造が少なくとも前記温度評価位置間の間隔だけ進むごとに、前記鋳片表面温度取得工程、前記操業データ取得工程、前記温度評価位置設定工程、前記熱伝達係数推定工程、前記温度固相率分布算出工程、前記熱伝達係数補正工程、前記鋳片中心部目標温度設定工程、前記将来予測工程、前記却水量変更量指示値算出工程、および前記冷却水量変更工程が繰り返し実行されることにより、鋳造中の任意の時刻での前記将来予測位置における前記鋳片中心部温度を、前記鋳片中心部目標温度に近づけることを特徴とする連続鋳造機の2次冷却制御方法。 - 請求項1〜8の何れか1項に記載の連続鋳造機の2次冷却制御装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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