JP4474772B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続鋳造方法に係り、鋳造中のストランドの最終凝固位置が常に連続鋳造機内にあるようにしつつ、最も高速の引抜き速度での鋼の鋳造あるいは最も高温の鋳片の鋳造を可能にする連続鋳造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に連続鋳造機では、図2に示す如く、タンディッシュ1の底部に設けられた浸漬ノズル2から鋳型3内に溶湯4を供給し、水冷された鋳型壁との接触によって一次冷却することにより、その周囲に凝固シェルが形成されたストランド5とし、それを前記鋳型3から引抜きながら、サポートロール群6を形成する各ロール間隙に設けられたスプレーノズル(図示せず)からスプレーされる冷却水(場合によっては一部の範囲についてはスプレーなしの空冷を併用しつつ)による二次冷却を行って内部まで完全に凝固させた後、前記サポートロール群6の後方に離隔して設けられたトーチカッタ7により所要長毎に切断して、複数の鋳片を連続的に製造している。
【0003】
このような連続鋳造機の操業においては、ストランド5内の溶鋼が凝固を完了する位置(これを最終凝固位置という)が連続鋳造機の最終サポートロール8の位置(これを連続鋳造機の機端Eという)よりも上流側にあることが必要である。これは、最終凝固位置が機端Eの外に出た条件で鋳造を行うと、未凝固の溶鋼に鋳型内湯面位置からの高さ分に相当する溶鋼の静圧が作用するために、ストランドがバルジングし、鋳片形状が著しく変形する他、鋳片の中心部に中心偏析、センターポロシティあるいは内部割れ等の欠陥が発生してしまうからである。
【0004】
そこで、従来からストランドの最終凝固位置が、確実に機端Eよりも上流側、即ち連続鋳造機内にあるように操業条件を定めて鋳造するのが常であった。一般に連続鋳造機においては、下記(1)式で示すように、ストランドの凝固シェルの厚みd(mm)は大略、経過時間t(min)の1/2乗に比例することが知られており、その比例係数k(mm・min-1/2)を凝固定数と呼んでいる。この凝固係数は,鋼種毎に決定される鋳造溶鋼の温度、二次冷却水量、二次冷却水温度、スラブ巾そして二次冷却水の水量配分パターン等の鋳造条件によってそれぞれ異なる値である。
【0005】
d=k(t)1/2 …(1)
【0006】
従って、鋳造速度Vc(m/min)で鋳造した場合の鋳型内湯面から最終凝固位置までの長さl′(m)は、鋳片の厚さをD(mm)とすると、D=2dの関係から
l′=Vc・(D/2k)2 …(2)
で与えられる。
【0007】
前述した如く、この最終凝固位置l′が湯面から機端Eまでの距離(これを連続鋳造機の機長という)lよりも小さいという条件で鋳造を行う必要があるのであるが、現実の鋳造に際しては鋳造中の上記鋳造条件の変化やその他の要因によって最終凝固位置が変化することがあり得るため、上記の方法で計算されるl′はlに対して余裕代α(m)だけ小さい値となるように、つまり
l′=l−α …(3)
となるように鋳造速度Vcを決めていた。
【0008】
このような余裕代を設定する方法によれば、最終凝固位置が常に連続鋳造機内にあるようにできることから、上述した鋳片欠陥が生じないようにすることは担保される。しかし、近年、連続鋳造された鋳片を熱間圧延の加熱炉に直送したり、あるいは直接熱間圧延してエネルギー原単位を削減したりする操業が行われるようになり、そのために連続鋳造機出側での鋳片温度をできるだけ高温となるようにする鋳造が望まれるようになっている。又、連続鋳造機の生産性を向上させる意味からも、可能な限り高速で鋳造することも必要とされている。このような要求から、上記のような大雑把な計算で最終凝固位置を割り出すのではなく、より現実の操業条件に対応した、正確な最終凝固位置を把握して、それに基づいて可能な限り高速な鋳造を行うことが望まれることとなった。
【0009】
連続鋳造における最終凝固位置を直接測定する方法が過去にいくつか提案されているが、現実の使用に耐えるものはない。そこで、鋳片の鋳込み方向に垂直な断面について、その鋳片が鋳造中に経験する外部からの冷却条件を境界条件として与え、当該断面内での凝固現象を考慮した二次元非定常の伝熱計算(これを一般に凝固計算という)を行い、当該断面全体が鋼の固相線温度以下となる時間を鋳型内湯面からの鋳片の移動距離に換算して最終凝固位置を推定することが提案された。
【0010】
このような伝熱計算はコンピュータを用いた数値計算によって行われるが、計算量が膨大となるため、計算に多大な時間を要し、到底その結果をオンラインでリアルタイムに連続鋳造に反映させることは困難である。
【0011】
そこで、特開平5−123842、特開平8−276258あるいは特開平10−109151においては、計算負荷を軽減した最終凝固位置の推定方法が提案されている。
【0012】
即ち、特開平5−123842には、凝固初期の鋳型部分では差分計算を行いながら、二次冷却帯以降では、固液界面での熱バランス式と固相部温度を2次方程式近似する積分プロファイル法とを適用することにより、鋳片未凝固部分の温度を予測することが記載されている。
【0013】
又、特開平8−276258には、設定鋳造速度と鋳込み方向における所定の位置での凝固シェル厚みとの関係を、複数の設定鋳造速度について予めオフラインで伝熱モデルによって求めて、設定鋳造速度と鋳込み方向における所定の位置での凝固シェル厚みとの関係曲線(テーブル)を予めオフラインで作成しておき、鋳込み中にオンラインで、一定時間毎の鋳込み長さと鋳込み方向での所定の位置における鋳片の平均到達時間から履歴鋳造速度を求め、この履歴鋳造速度を現時点における鋳造速度(鋳込中にオンラインでサンプリングされる現時刻の実績鋳造速度)に応じて修正し、この修正鋳造速度と前記関係曲線を用いて、鋳込方向における所定の位置での凝固シェル厚みをオンラインで算出する凝固シェル厚推定方法が記載されている。
【0014】
更に、特開平10−109151には、連続鋳造機の引抜き方向の適宜位置におけるストランドの凝固部分の厚さと鋳造速度との関係を伝熱モデルを用いてオフラインで求めておき、鋳型から引き抜かれたストランドの長さを所定時間毎に計測し、得られた各長さに基づいてストランドが前記位置に達するに要した時間を算出し、算出した時間を用いて前記位置における履歴鋳造速度を求め、この履歴鋳造速度を用いて実績鋳造速度を補正した補正履歴鋳造速度を演算し、前記位置における凝固部分の厚さを定め、更に、該厚さを鋳型内の溶湯温度の変化及び冷却水温度の変化によって補正して、ストランドの凝固厚さを算定する方法が記載されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記各公報に開示されている方法によっても、オンラインで鋳造条件の制御に反映可能なリアルタイムでの最終凝固位置の推定計算は困難であり、従って連続鋳造機の機端間近の位置に最終凝固位置を制御する連続鋳造方法は事実上存在しなかった。
【0016】
本発明は、前記従来の問題点を解決するためになされたもので、連続鋳造中のストランドの最終凝固位置を迅速且つ精度良く推定し、その位置を可及的に連続鋳造機の機端位置に近付ける操業を可能にすることを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、連続鋳造機の鋳型直下から機端までの二次冷却帯に対して鋳込み方向に連続する複数のゾーンを計算単位として設定すると共に、連続鋳造中のストランド内に所定長さの鋳込みが進行する毎に鋳込み方向に垂直な計算面を発生させ、該計算面が前記各ゾーンを通過し、次のゾーン入側境界に到達した時点で、該計算面が直前に通過したゾーンの平均冷却条件に基づいて該計算面内の2次元凝固計算を行い、その結果得られた該計算面内の温度分布を、前記次のゾーンを通過し、更に次のゾーン入側境界に到達した時点で行う前記凝固計算の初期値として与える如く、順次前記計算面内の凝固計算を行うことにより、最終ゾーン入側境界における計算面内の温度分布を求め、該最終ゾーン入側境界における計算面が全て固相線温度以下の場合は鋳造速度を増速する指示を出し、該最終ゾーン入側境界における計算面が固相線を越える温度を示す場合は、該境界に前記計算面が到達した時点での最終ゾーンの冷却条件を用いて、該計算面について最終ゾーン内の凝固計算を行ってストランドの最終凝固位置を推定し、該最終凝固位置が前記連続鋳造機の機端から0.3〜2mの範囲の余裕距離だけ内側に位置するように鋳造速度を制御することにより、前記課題を解決したものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
まず、本発明を実施するに当たっての好ましい形態について説明する。本発明の連続鋳造方法は、凝固温度区間の広い合金等の連続鋳造を対象としており、その中でもとりわけ高生産性と高品質が要求される鋼の連続鋳造に好ましく適用できる。
【0019】
又、一般的な連続鋳造機としては、鋳型断面の形状によりスラブ、ブルーム、ビレット、丸鋼片、ビームブランク等の製造に用いられる各種連続鋳造機があるが、本発明はそのいずれに適用してもよい。又、連続鋳造機としては、ストランドの湾曲、矯正の方式により、垂直型連続鋳造機、垂直曲げ型連続鋳造機、全湾曲型連続鋳造機等の形式があるが、そのいずれの形式であっても構わない。
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ここでは、代表例としてスラブを垂直曲げ型連続鋳造機によって連続鋳造する場合を採り挙げる。
【0021】
本発明に係る一実施形態に適用される連続鋳造機について、便宜上、全体の概略を示した前記図2を用いて説明すると、前述した如くこの鋳造機では、タンディッシュ1から浸漬ノズル2を介して水冷鋳型3内に注入された溶鋼4は、鋳型3内においてその表層が凝固し内部は溶融状態のまま、ストランド5として引き抜かれ、該ストランド5は、鋳型3の下から連続鋳造機の機端Eに至るまでの範囲(これを「二次冷却帯」という)において、図示しないスプレー冷却とサポートロール群6による接触冷却によって次第にその凝固殻の厚みを増し、連続鋳造機機端Eを出る以前に全厚みに亘って凝固を完了するように制御が行われる。
【0022】
その際、二次冷却帯ではストランド5はサポートロール群6によって保持されつつ、ピンチロール(サポートロール群6に含まれる)によって所定の鋳造速度にて引抜かれる。この垂直曲げ型連続鋳造機にあっては、図示のように鋳型3の下に所定長さの垂直部が続いた後、曲げ部において所定の曲率にまで曲げられる。その後、ストランド5の移動方向が水平方向となる位置で矯正ロール(サポートロール群6に含まれる)によって曲げ延ばされて水平となり連続鋳造機機端Eへと導かれる。その後、連続鋳造機機端Eから機外へ出たストランド5は、トーチカッタ7によって所定の長さに切断され、個々のスラブとされる。
【0023】
本実施形態では、前記図2に併せて示したように、凝固計算を行うために、この二次冷却帯を鋳込み方向に複数のゾーン11〜20に分割する。なお、図示の例では二次冷却帯を10個のゾーンに分割しているが、必ずしも10個である必要はない。このゾーンは、通常二次冷却のスプレー条件(冷却条件)を管理するために設けてあるスプレーゾーン(冷却ゾーン)に一致させることが好ましい。その理由は、各スプレーゾーン内ではスプレー条件が一定であるのでゾーン境界で行う凝固計算の精度が高まるからである。但し、計算が煩雑になるが、必ずしも一致させなくともよい。
【0024】
本実施形態の最も重要で且つ先進的な点は、ストランド5内の溶鋼の最終凝固位置を見出すに当たり、あくまでもその位置を機端Eから上流側に設定した所定の距離に近付ける操業を行うという目的に合致する情報が得られればよいという点に着目し、ストランド全長に亘る詳細な凝固計算プロセス(言い換えればストランドの全長に亘る凝固プロファイルを計算すること)という、時間はかかるものの従来最も正確な予測が可能と思われていた方法を敢えて放棄し、迅速でしかも正確な最終凝固位置の予測を可能にしたことにある。
【0025】
本実施形態における凝固計算の手法を図1を参照して説明する。この図1で、鋳型3内とそれに続くストランド部分に1〜10の番号を付した範囲は、前記図2で鋳型3内と符号11〜20を付したゾーンに当り、以下これらの番号に合わせて第1ゾーン〜第10ゾーンと呼ぶ。
【0026】
図中“計算断面発生”と示すように、まず鋳型内湯面に計算面(計算断面)を設定する(発生させる)。その後、図示しないメジャーリングロール又はその他の測長手段による測定結果から鋳込みが所定長さ進行したと判定された時点で新たな計算面を同じく鋳型内湯面に設定する。同様の方法で新たな計算面を順次設定する。ここで、計算面を設定する所定長さとしては、あまりに短いと計算負荷が増大して計算結果をリアルタイムに操業条件に反映するのが困難となり、逆に、余りに長いと最終凝固位置の計算結果の更新頻度が長くなるために操業条件の変更アクションを取るのが遅れる恐れがあり、最悪の場合は現実の最終凝固位置が連続鋳造機機端Eを超えてしまう恐れがある。このような事態を回避するために本出願人が行った詳細な検討によれば、上記の所定長さとしては1〜5mの範囲を設定するのが好ましいことが判明した。
【0027】
上述のようにして順次新たな計算面を発生させる。計算面内は適当なメッシュに区切って各メッシュの交点に温度を計算する計算ポイントを設定しておく。計算ポイントの初期値としてはタンディッシュ内溶鋼温度の実測値から推測した鋳型内の溶鋼温度を与える。
【0028】
図中、計算断面A〜Eを付した矢印でそれぞれ位置を示すように、計算面(断面)は鋳込みの進行に従って前進する。そしてそれが前述のように設定した各ゾーンの境界に到達した際に計算面内の凝固計算を行う。凝固計算は第1ゾーンと第2ゾーンの境界においては、初期値として前述した鋳型内溶鋼温度を用い、境界条件としては鋳型3及び第1ゾーンの冷却条件の平均値を用いて計算面の境界から外への抜熱速度を与える。計算面に設定した前記各計算ポイントには鋳造中の溶鋼組成に応じた液相線温度、固相線温度、凝固潜熱、熱伝導度等の物性を与え、2次元の非定常伝熱の式を差分化することによって鋳型内湯面から第1ゾーン/第2ゾーン境界(第2ゾーン入側境界)に至る時間経過後の各計算ポイントの温度を数値計算する。
【0029】
ここで、冷却条件の平均値は冷却水量と冷却水温を所定周期で測定し、これを上記の経過時間で平均化する。測定周期をあまりに短くすると測定データを多数格納するために計算機のメモリを費やし、計算速度が低下する。一方、あまりに長いと冷却条件の時間変化に十分に追随できず、凝固計算の精度が低下する。好ましい測定周期は1秒から30秒程度である。
【0030】
なお、ここで実行する2次元非定常の凝固計算には、従来公知の手法を適用できる。例えば、第94・95回、西山記念技術講座「鉄鋼生産プロセスにおける数値計算方法の適用」(昭和58年10月20日発行、(社)日本鉄鋼協会編)第178〜179頁に紹介されているSarjantらの解析手法が好ましく使用できる。
【0031】
すなわち、鋳造方向に垂直な計算断面について、直行するx方向とy方向(通常は鋳片の短辺に平行な方向と、長辺に平行な方向)をとり、このx−y座標上の任意の点についての非定常の熱伝動方程式
【数1】
Figure 0004474772
(ここで、C:比熱、ρ:密度、k:熱伝導率、T:温度、t:時間、x、y:座標)
を、差分法を用いて近似計算するのである。
【0032】
上記(4)式においては熱伝動率k、比熱Cが温度Tの関数であるから、次に示す変換温度φおよびエンタルピーHを導入し、この(4)式を類似的に線形化する。すなわち、ある基準温度Tdにおける熱伝動率をkdとし、φを(5)式で定義する。
【0033】
【数2】
Figure 0004474772
これより、(6)式の関係が得られる。
【0034】
【数3】
Figure 0004474772
【0035】
また、比熱C(T)は、(7)式で与えられるため、(6)式および(7)式を(4)式に代入すると、(8)式が得られる。
【0036】
【数4】
Figure 0004474772
【0037】
(8)式を任意区間に分割した矩形要素の網目点について書き換えると、(9)式を得る。
【0038】
m,n,r+1=Hm,n,r+C1{Δx1φm-1,n,r+Δx2φm+1,n,r−(Δx1
+Δx2)φm,n,r}+C2{Δy1φm,n-1,r+Δy2φm,n+1,r
−(Δy1+Δy2)φm,n,r} …(9)
(ここで、m:x方向の網目点の番号、n:y方向の網目点の番号、Δx1:m−1とmの距離、Δx2:mとm+1の距離、Δy1:n−1とnの距離、Δy2:nとn+1の距離、r:時間分割においてtの進行方向へとった番号
1=2kdΔt/{ρΔx1Δx2(Δx1+Δx2)}
2=2kdΔt/{ρΔy1Δy2(Δy1+Δy2)}
Δt:rとr+1の時間間隔)
【0039】
したがって、初期条件により、t=0における全網目点での温度を設定し、周縁での境界条件を用い、(9)式により時間分割の1ステップごとに温度計算をすすめる。
【0040】
このようにして第1ゾーン/第2ゾーン境界を通過した時点での計算面内の温度分布が得られると、これを第2ゾーンにおける当該計算面の初期値データとして格納し直し、当該計算面が第2ゾーン/第3ゾーンの境界(第3ゾーン入側境界)に到達した際に行う凝固計算の初期値として使用する。この第3ゾーン入側境界での凝固計算に際しては、境界条件として、第2ゾーンでの冷却条件の平均値を用いて計算面の境界から外への抜熱速度を与える。計算面内の計算ポイントの温度分布の計算は、上述した第1ゾーン/第2ゾーン境界での計算方法と同様である。又、第2ゾーンでの冷却条件の平均化手法も同様である。
【0041】
以下同様に、各計算面について、第(n−1)ゾーンと第nゾーンの境界での凝固計算結果を初期値として使用し、第nゾーンでの冷却条件の平均値を境界条件に使用することによって第nゾーンと第(n+1)ゾーンの境界における凝固計算を行い、計算面内の温度分布を推定する。このようにして計算面が最終ゾーン入側境界にきたときの計算面内の温度分布まで推定する。
【0042】
ここで、前記図1に示した各計算断面(計算面)について図示の時点での処理の特徴を説明すると、計算断面Aに関しては、第2ゾーンを移動中であるため、第1ゾーン出側、即ち第2ゾーン入側境界到達時点の計算方法を次の計算の初期値としてホールドすると共に、第2ゾーンの冷却データを10秒周期で収集している。計算断面Bに関しては、第4ゾーン/第5ゾーン境界に一致しているため、第3ゾーン出側における計算結果を初期値として第4ゾーン移動中に収集した冷却データを用いて凝固計算の解析中である。
【0043】
計算断面C、Dに関しては、それぞれ第6、第8の各ゾーンを移動中であるため、前記計算断面Aの場合と同様に、1つ上流のゾーン出側の計算結果をホールドすると共に、移動中のゾーンの冷却データを収集している。計算断面Eに関しては、第9ゾーンを移動中であるため、図示の時点では計算断面A、C、Dの場合と同様であるが、第10ゾーンが最終であるため、第10ゾーン入側境界に到達するとゾーン境界における最後の凝固計算(推定計算)が実行される。
【0044】
前記のように、最終ゾーン入側における計算面内の温度分布について推定計算が実行されると、その結果に基づいて以下のような最終ゾーンにおける処理が行われる。
【0045】
通常、二次冷却帯の最終ゾーンは、数m〜十数mの長さを有しており、前記推定計算からこのゾーンよりも上流側でストランドが完全凝固している場合は、最終ゾーン内での最終凝固位置計算は無意味であるので、本発明においては、そのような場合は最終ゾーン内での最終凝固位置の計算を省略する。そしてそのような場合は鋳造速度を増速して最終凝固位置が最終ゾーン内に入るように鋳造速度を制御する。
【0046】
一方、最終ゾーン入側境界における計算面内の一部に鋳造中の鋼種の固相線温度を上回る部分がある場合は、ストランドはその位置ではまだ未凝固部分を有することを意味するから、最終ゾーン内での凝固位置の推定計算を行う。
【0047】
その際の方法は次のとおりである。計算面が現時点(境界到達時点)の鋳造速度によって引抜かれ、最終ゾーン内の冷却条件も現時点の冷却条件と変わらないと仮定し、当該鋳造速度で計算面が最終ゾーン入側境界から連続鋳造機端Eに到ると想定される時間を複数の時間刻みに分割し、各時間刻み経過後の計算面内の温度分布を計算する。そして計算面内で初めて全ての計算ポイントの温度が鋳造中の鋼種の固相線を下回った時間を最終凝固時とみなし、この時間を逆に最終ゾーン入側境界からの距離に換算することにより最終凝固位置を推定すると共に、このように計算して得られた最終凝固位置が、連続鋳造機機端Eよりも所定の余裕距離α(m)だけ上流側にあるように鋳造速度を制御する。その余裕距離α(m)は、最終凝固位置の推定誤差及び、鋳造速度の変更から実際の最終凝固位置の変化までの応答遅れを考慮して、現実の最終凝固位置が連続鋳造機機端Eより外に出ないようにする最低限度の距離である。αとしては0.3〜2m程度とするのがよい。αが0.3m未満では最終凝固位置が連続鋳造機機端Eを超える危険性がある。又、αが2m超えとしたのでは、連続鋳造機を可能な限り高速で操業するという本願発明の目的を十分に達成できないからである。
【0048】
上記のようにして推定したストランドの最終凝固位置が連続鋳造機機端Eから上流0.3〜2mの範囲にある間は、鋳造速度を現状の値に固定するかあるいは最終凝固位置の変化傾向を見て適宜加・減速してもよい。しかし、最終凝固位置がαの下限である0.3mを割り込む場合は、上記範囲内になるように直ちに鋳造速度を減速する。
【0049】
このようにすることにより、最終凝固位置が連続鋳造機機端Eを超えないようにしつつ最高の鋳造速度をもって鋳造を行うことができ、連続鋳造機の生産性を著しく向上させることができる。
【0050】
【実施例】
前記図2に示した垂直曲げ型連続鋳造機(機長40.8m、低炭素普通鋼における凝固係数k=26.8mm/min1/2)を用いて、C(炭素)を0.1質量%含有する低炭素鋼を、スラブ厚260mm、スラブ幅900〜1800mmのサイズで鋳造する際に、本発明の方法を実施すると共に、比較例として、凝固係数を使用する前記(1)〜(3)式の計算に基づいて、最終凝固位置が連続鋳造機機端Eから2m上流、即ち余裕代α=2mとなるようにして鋳造する方法を実施した。
【0051】
本発明の実施に当たっては、連続鋳造機内をスプレー冷却のゾーン分けに従って前記図2に示すような10ゾーン(但し、第1ゾーンは鋳型とその直下のフットロール部)に分割し、計算面の発生頻度は鋳込み長さが3m増す毎に1つずつ発生させた。計算面がストランドの引抜きに同期して進行し、各ゾーンの境界に到った時点で、上流側のゾーン内での冷却条件の平均値に基づいて計算面外周の冷却条件を境界条件として設定し、計算面内の凝固計算を行った。なお、各ゾーン内の冷却条件の平均値は、二次冷却水の水量と水温を10秒周期で測定し、これを時間平均した値を使用して算出した。
【0052】
このようにして第9ゾーン/第10ゾーン境界(最終ゾーン入側境界)まで計算面内の温度分布を計算し、その後最終境界到達時点の第10ゾーン内の冷却条件と鋳造速度に基づいて、第10ゾーン内の凝固計算を行って最終凝固位置を求めた。得られた最終凝固位置が機端Eから0.3〜2mの範囲にあるように鋳造速度の制御を行って鋳造したところ、1チャージの平均鋳造速度は1.95m/minで鋳造することができた。又、このようにして得られたスラブの連続鋳造機機端Eでの平均表面温度は950℃であった。又、得られたスラブの断面を観察したが、全てのスラブについて内部割れやセンターポロシティの発生はなく、又、バルジングによる鋳片の変形も認められなかった。
【0053】
一方、従来法に従って鋳造した場合の平均鋳造速度は1.6m/minであり、得られたスラブの連続鋳造機機端Eでの平均表面温度は875℃であった。又、得られたスラブの断面を観察したが、全てのスラブについて内部割れやセンターポロシティの発生はなく、又、バルジングによる鋳片の変形も認められなかった。
【0054】
以上のように本発明例によれば、比較例に較べて平均で0.35m/minの鋳造速度の増速が可能となったことから連続鋳造機の生産性が向上するうえ、得られる鋳片の温度を比較例よりも75℃も高めることができたために、熱間圧延の際のスラブ再加熱のエネルギーを低減することが可能になった。又、本発明によって得られたスラブは内部割れ、センターポロシティあるいは鋳片の変形といった品質トラブルがなく、比較例と遜色のない高品質スラブであった。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、内部割れ、センターポロシティあるいは鋳片の変形といった品質トラブルを伴うことなく、連続鋳造機での鋳造速度の増大を可能とし、しかも高温の連続鋳造鋳片を得ることができるので、連続鋳造機の生産性の向上のみならず、熱間圧延における加熱炉エネルギー原単位の削減を可能にするという著しく優れた効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における最終凝固位置の推定計算方法を示す線図
【図2】連続鋳造機の概略構成図
【符号の説明】
1…タンディッシュ
2…浸漬ノズル
3…鋳型
4…溶鋼
5…ストランド
6…サポートロール群
7…トーチカッタ
8…最終サポートロール
11〜20…冷却ゾーン
E…機端

Claims (5)

  1. 連続鋳造機の鋳型直下から機端までの二次冷却帯に対して鋳込み方向に連続する複数のゾーンを計算単位として設定すると共に、連続鋳造中のストランド内に所定長さの鋳込みが進行する毎に鋳込み方向に垂直な計算面を発生させ、該計算面が前記各ゾーンを通過し、次のゾーン入側境界に到達した時点で、該計算面が直前に通過したゾーンの平均冷却条件に基づいて該計算面内の2次元凝固計算を行い、その結果得られた該計算面内の温度分布を、前記次のゾーンを通過し、更に次のゾーン入側境界に到達した時点で行う前記凝固計算の初期値として与える如く、順次前記計算面内の凝固計算を行うことにより、最終ゾーン入側境界における計算面内の温度分布を求め、該最終ゾーン入側境界における計算面が全て固相線温度以下の場合は鋳造速度を増速する指示を出し、該最終ゾーン入側境界における計算面が固相線を越える温度を示す場合は、該境界に前記計算面が到達した時点での最終ゾーンの冷却条件を用いて、該計算面について最終ゾーン内の凝固計算を行ってストランドの最終凝固位置を推定し、該最終凝固位置が前記連続鋳造機の機端から0.3〜2mの範囲の余裕距離だけ内側に位置するように鋳造速度を制御することを特徴とする連続鋳造方法。
  2. 前記各ゾーン内の平均冷却条件は、任意のゾーンについて所定時間周期で採取された冷却条件を蓄積し、計算面が該ゾーンを通過するに要した時間により、蓄積された冷却条件を平均化して得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造方法。
  3. 前記ストランドの最終凝固位置が、連続鋳造機の機端から内側に設定された前記余裕距離よりも機端側にあると推定された場合は、鋳造速度を減速することを特徴とする請求項1又は2に記載の連続鋳造方法。
  4. 前記ゾーンを、前記連続鋳造機に沿って設置されている二次冷却帯における冷却条件を管理する冷却ゾーンに一致させることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の連続鋳造方法。
  5. 前記最終ゾーン内におけるストランドの最終凝固位置を、前記計算面が最終ゾーン入側境界に到達した時点での鋳造速度から、該計算面が最終ゾーン入側境界から前記機端に到ると想定される時間を複数分割した時間刻み毎に、同計算面内の凝固計算を行なって推定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の連続鋳造方法。
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