JP5954043B2 - 連続鋳造鋳片の品質判定方法及び鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、連続鋳造プロセスの2次冷却制御における、鋳片の凝固状態(鋳片温度状態)を推定して連続鋳造鋳片の品質判定する技術に係り、連続鋳造中の機内(ストランド内)の最終凝固位置・形状を正確に把握し、最終凝固位置が常時、圧下帯位置、もしくは機内位置にあるようにするとともに、鋳片内部品質と相関の高い最終凝固形状を制御しつつ連続鋳造鋳片の品質をオンラインで判定を行うのに好適な技術に関する。
連続鋳造における鋳片の凝固状態のオンライン推定計算は、従来から様々な方法が提案されている。例えば特許文献1には次の計算方法が記載されている。すなわち、連続鋳造中のストランド内に所定長さの鋳込みが進行する毎に鋳込み方向(鋳片長手方向)に垂直な計算(断)面を発生させる。そして、発生させた各計算面が、鋳込み方向に連続して設定された複数のゾーンをそれぞれ通過し、さらに次のゾーン入側境界に到達した時点で、計算面が直前に通過したゾーンの平均冷却条件を基に該計算面内の2次元凝固計算を行う。更に、計算面内の温度分布を、次のゾーン以降で行う凝固計算の初期値として与え、順次計算面内の凝固計算を行って、最終ゾーン入側境界での計算面内の温度分布を求める。
また特許文献2には、連続鋳造における凝固状態をシミュレートする演算手段において、少なくとも1点の鋳片表面温度を測定する手段を用いて、表面温度の計算値とその測定温度とが一致するように熱流束分布を修正する演算手段を有する凝固計算方法が開示されている。
ここで、最終凝固位置を常時把握することは、鋼種によって偏析などの品質異常防止のため、また鋳片長手方向の適切な位置において適切な鋳片圧下を行うために必要とされている。また生産性向上のため、機端位置の手前ぎりぎりで鋳造を行っている鋼種においては、機端抜けによる鋳片膨らみなどのトラブルを防止出来る最終凝固位置を機内に収めるために、最終凝固位置の把握が必要である。
また最終凝固形状は鋳片内部の成分偏析などの品質異常と相関が強いと考えられ、例えば鋳片幅方向の凝固形状の凹凸が大きいほど成分偏析が大きいとされている。そのため、品質異常防止・品質管理のため、鋳片幅方向の凝固形状の常時把握が求められている。
また鋼の凝固過程における最終凝固部では、炭素、リン、硫黄などの溶質元素が未凝固相に濃縮される。この濃縮された溶鋼が流動し、集積して凝固すると、初期濃度に比べて格段に高濃度となった成分偏析部が生成される。鋼が凝固すると体積収縮が起こり、この体積収縮に伴って溶鋼は吸引され、連続鋳造の場合には鋳片の引抜き方向下流側へ吸引されて流動する。連続鋳造鋳片の凝固末期の未凝固相には十分な量の溶鋼が存在しないので、最終凝固部であるデンドライト樹間の濃化溶鋼が流動を起こし、それが鋳片中心部に集積して凝固し、中心偏析が生成される。
上記の鋳片の中心偏析を低減する手段として、凝固末期に未凝固鋳片を鋳片の凝固収縮量に見合った圧下量で徐々に圧下する方法(以下、「軽圧下」と呼ぶ)が提案されている。この軽圧下では、凝固収縮量に見合った軽圧下量で鋳片を徐々に圧下して未凝固相の体積を減少させ、デンドライト樹間の濃化溶鋼の流動を起こさないようにして中心偏析を防止しており、従って、鋳片の最終凝固位置を軽圧下帯の範囲内に制御して鋳造している。ここで、軽圧下帯とは、軽圧下を実施するためのロール群を指す。
実際の操業で製造される鋳片においては、その断面が扁平形状であるため、最終凝固形状は幅方向で均一でなく、且つ時間によってもその形状が変動することが知られている。最終凝固形状が鋳片幅方向で異なると、軽圧下帯における軽圧下量が鋳片幅方向の各位置で異なってしまうため、軽圧下量の少ない位置即ち最終凝固形状が伸張した位置では十分な中心偏析改善効果を得ることができず、軽圧下を実施しても中心偏析を抑制できない場合も発生する。
このように、鋳片の中心偏析は、軽圧下を実施しても鋳造方向及び幅方向で一定ではなく、鋳造条件が大幅に変化した部位では目標水準を外れることさえも発生する。そのため、中心偏析の程度を判定すべく、鋳片或いは圧延された鋼材から検査用の試料を採取し、マクロ試験、成分分析試験などを行ない、鋳片の中心偏析の程度を検査し判定している。
これらの試験方法はオフラインの検査方法であり、判定結果のフィードバックが遅れる欠点があるため、オンラインで判定する方法も提案されている。例えば特許文献3には、軽圧下されながら鋳造される鋳片の厚みを連続的に測定し、鋳片厚みの変動に基づいて鋳片の中心偏析程度をオンラインで判定する方法が提案され、又、特許文献4には、鋳片引抜き速度の変更に起因して軽圧帯で軽圧下される時点の鋳片中心固相率が変動することを利用して、この軽圧下される時点の鋳片中心部の固相率に基づいて鋳片の中心偏析程度をオンラインで判定する方法が提案されている。
特開2002−178117号公報 特開平10−291060号公報 特開平5−84555号公報 特開平5−220554号公報
最終凝固位置や凝固形状の推定を目的として、連続鋳造(以下、CCとも略記する)中の鋳片の内部温度計測の方法としては様々提案されているものの、使用環境が高温多湿であるがゆえに、操業中に常時使用できるものは未だない。このため、特許文献1に記載のような凝固計算によってしか内部状態を推定できないのが現状である。このような凝固計算の調整においては、鋳片に鋲打ちなどして、凝固位置を確認して現実との一致性を補償したり、一時的に超音波などによる断面平均温度計測を実施したりして調整が実施される。そして、一旦調整が行われると、計算結果を信用した実操業を行う。
しかしながら、鋳造条件の変更や冷却機器の変更、あるいは経年劣化、一時的な故障など、計算調整が行われた時点と異なる状態が発生し、計算による凝固状態の推定結果が実際の凝固状態と異なる状況が発生するという問題がある。
ここで特許文献2には、上記のように計算により推定した凝固状態と実際の凝固状態とのずれを表面温度計測値によって修正する方法が記載されている。しかし、この特許文献2には、冷却による熱流束を温度誤差に基づいて直接修正する方法が記載されているものの、特許文献2に記載の方法では、最終凝固位置や形状の推定はできない。
また2次冷却制御においては、凝固位置で最終凝固形状がフラットになる、つまり長手方向の最終凝固位置が幅方向で凹凸なく均一になるように設計、設定を行っているが、実際の操業においては、鋳型内で発生する幅方向むらやスプレーつまり、ロール間の流れ水の影響などにより長手方向、幅方向の冷却むらが発生し、最終凝固位置や形状が変化する。最終凝固位置・形状は鋳片品質に関わる指標であり、その常時把握は、品質管理や品質向上のための最終凝固位置・形状の管理制御に必要である。
一方、特許文献3及び特許文献4には以下の問題点がある。
最終凝固位置の幅方向の変動は、鋳片引抜き速度や二次冷却強度などの鋳造条件が一定であり、鋳片厚みが変動しない条件下でも発生するため、鋳片厚みの変動に基づいて判定する特許文献3では、最終凝固位置の幅方向の変動に起因して変化する中心偏析を判定することができない。
また、特許文献4では、判定基準となる鋳片中心部の固相率を、鋳片引抜き速度及び二次冷却強度などの鋳造条件に基づき、単なる伝熱計算のみから求めており、換言すれば、最終凝固位置は鋳片幅方向で平坦状であるとの前提から判定しているので、特許文献3と同様に、最終凝固位置の幅方向の変動に起因して変化する中心偏析を判定することができない。単なる伝熱計算だけでは、幅方向の最終凝固位置を考慮した計算をすることはできない。
以上のように、従来の中心偏析判定方法では、鋳片引抜き速度及び二次冷却強度などの鋳造条件が一定の条件下でも変化する中心偏析を判定することができず、従って、その判定結果は的確ではない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鋳造中、連続鋳造鋳片の幅方向で空間的且つ時間的に変動する最終凝固形状に連動して変化する中心偏析の程度を、オンラインで的確に判定することが可能な品質判定方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の連続鋳造鋳片の品質判定方法の一態様は、連続鋳造機の操業条件を用いて凝固状態を推定計算して、最終凝固位置および形状を予測する際に、
鋳片幅方向の表面温度分布を計測し、この計測された表面温度実測値と上記凝固状態推定計算結果の上記表面温度分布計測位置における表面温度推定値との誤差が最小となるように、鋳片断面温度分布の計算値を修正し再推定計算することにより、最終凝固位置および形状の予測精度を向上させ、
上記予測した最終凝固位置および形状に基づき最短最終凝固位置と最長最終凝固位置を求め、求めた最短最終凝固位置と最長最終凝固位置との差と、鋼製品別に定めた閾値とを対比して鋳片の中心偏析の程度を判定することを特徴とする。
このとき、鋳片断面温度分布の計算値を修正し再推定計算するにあたっては、
上記表面温度分布計測位置より上流で、かつ最終凝固位置より上流である位置を定め、該定めた上流位置での断面の温度分布を最適化手法を用い修正し、該修正された上流位置での断面の温度分布を用いて再推定計算するようにしても良い。
また、本発明の連続鋳造鋳片の品質判定方法の一態様は、鋳型に注入された溶鋼を、引き抜きながら2次冷却を行うことで凝固させて連続して鋳片を製造する連続鋳造における、上記鋳片の凝固状態を推定する際に、
少なくとも上記2次冷却の冷却条件に基づく熱流束を使用した熱伝達モデルによって上記鋳片の凝固状態を推定すると共に、鋳片長手方向における予め設定した計測位置での鋳片幅方向の温度分布を計測し、
上記計測位置における上記熱伝達モデルで推定した推定温度と上記計測した鋳片幅方向の温度分布とが一致するように、上記熱流束の鋳片幅方向の熱流束分布を補正することで、上記熱伝達モデルの出力を修正し、
上記推定した凝固状態に基づき最短最終凝固位置と最長最終凝固位置を求め、求めた最短最終凝固位置と最長最終凝固位置との差と、鋼製品別に定めた閾値とを対比して鋳片の中心偏析の程度を判定することを特徴とする。
ここで、「計測位置での推定温度と、上記温度分布計測手段で計測した鋳片幅方向の温度分布とが一致するように、」とは当該一致の状態を目標として処理、つまり一致する状態に近付くように処理を行うことを指す。
また、「一致する」とは、熱伝達モデルで推定した上記計算位置での推定温度と、上記温度分布計測手段で計測した鋳片幅方向の温度分布との差が、例えば、鋳片の幅方向端部50mmを除いて±10℃以内の状態、好ましくは±5℃以内となっている状態である。
このとき、鋳片長手方向に沿って上記計測位置を2箇所以上設定し、その各計測位置でそれぞれ鋳片幅方向の温度分布を計測すると共に、各計測位置毎に、上記熱伝達モデルで推定した推定温度と上記計測した鋳片幅方向の温度分布とが一致するように、上記熱流束の鋳片幅方向の熱流束分布の補正を繰り返しても良い。
更に、上記2次冷却は、複数の冷却ゾーンによって実施され、
上記熱流束分布を補正するための熱流束分布の補正係数を上記各冷却ゾーン毎に個別に設定するが好ましい。
また、上記鋳片の中心偏析の程度を判定する品質判定を行い、当該品質判定に基づいて鋳片若しくは鋼材における検査実施の有無を決定しても良い。
また、鋼の連続鋳造方法において、上記の品質判定方法を用いてスラブの品質判定を行うようにしても良い。
本発明によれば、連続鋳造鋳片を製造する際に、鋳片幅方向における最終凝固形状の山谷差に基づいて鋳片の中心偏析をオンラインで判定するため、鋳造中に最終凝固形状の山谷差が変動して鋳片偏析が変化しても、偏析の悪化している部分を見逃すことなく、精度良く、中心偏析を判定することが可能となる。
又、この判定結果に基づいて鋳片及び当該鋳片から圧延される鋼材における検査位置を特定することが可能となり、検査する個数も大幅に削減でき、検査コストも大幅に削減される同時に、安定した品質の鋼製品を供給することが達成される。
その結果、鋳片の中心偏析の低減並びに鋳片引抜き速度上限値までの増速による生産性の向上などが可能となり、工業上有益な効果がもたらされる。
本発明が適用される第1実施形態の垂直曲げ型連鋳機の構成例を示す図である。 第1実施形態に係る連続鋳造の最終凝固予測方法の考え方を示す図である。 最適化計算およびCEの位置・形状を予測する処理の流れを示す図である。 機端の放射温度計計測位置の表面温度の予測値と実測値との比較図である。 第1実施形態に係る最終凝固予測方法を適用した予測値と実測値との比較図である。 クレータエンド位置・形状の変化を示す図である。 本発明に基づく第2及び第3実施形態に係る連鋳機の構成を説明する概要図である。 本発明に基づく第2実施形態に係る凝固状態推定部での補正処理を説明するフロー図である。 メッシュ分割の例を示す図である。 補正を実施しない場合における温度計4bでの計算結果と実測値とを比較する図である。 本発明に基づく第2実施形態に係る温度計4bでの計算結果と実測値とを比較する図である。 補正係数dの補正例を示す図である。 補正しない場合における最終凝固位置及び形状を示す図である。 本発明に基づく第2実施形態に係る補正を実施した場合における最終凝固位置及び形状を示す図である。 本発明に基づく第2実施形態に係るゾーン毎に熱伝達係数の補正係数を設けた場合と、全ゾーン共通の熱伝達係数の補正係数を設けた場合での同一幅方向温度を使用時での最終凝固位置及び形状の違いを示す図である。 本発明に基づく第3実施形態に係る凝固状態推定部での補正処理を説明するフロー図である。 温度計4aの計測位置での補正後の計算断面温度分布を示す図である。 温度計4aの計測値位置で補正した場合における温度計4bの計測位置でのモデル計算温度と実測温度とを比較した図である。 本発明に基づく第3実施形態に係る温度計4bでの計算結果と実測値とを比較する図である。 温度計計測結果に基づく補正を行わない場合における最終凝固位置及び形状を示す図である。 本発明に基づく第3実施形態に係る補正を実施した場合における最終凝固位置及び形状を示す図である。 最終凝固形状の山谷差と最長最終凝固位置での偏析度との関係を示す図である。 最終凝固形状の例、および最終凝固形状の山谷差の例を示す図である。
本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明が適用される垂直曲げ型連鋳機の構成例を示す図である。図中、1はタンディッシュ、2は鋳型、3は浸漬ノズル、4は表面温度分布計測器、5は鋳片、6はサポートロール、および7〜13は冷却ゾーンをそれぞれ表す。
垂直曲げ型連鋳機では、タンディッシュ1の下方に鋳型2が設けられ、タンディッシュ1の底部に鋳型2への溶鋼供給口となる浸漬ノズル3が設けられている。そして、鋳型2の下方には、サポートロール6が設置されている。冷却ゾーン7〜13は、それぞれ分割された2次冷却帯を構成している。
各冷却ゾーンには、複数のスプレーまたはエアミストスプレー用のノズルが配置されており、スプレーノズルから鋳片の表面に2次冷却水が噴霧される。なお、冷却ゾーンにおいて、反基準面側(上面側)の冷却ゾーンをaで表示し、基準面側(下面側)をbで表示している。
また、図1では合計7つの冷却ゾーンを示しているが、これは概念図であり、実際の連鋳機のゾーン数は機長などによりいくつに分割されるかは様々である。さらに、連鋳機によっては鋳片5を軽圧下するための、圧下ロール(軽圧下ロール)が設置されている場合もあるが、本発明は軽圧下の有無には左右されない。
スラブ表面温度分布計測器4は、機端におけるスラブの幅方向表面温度分布を計測する温度計である。これに用いる温度計は、直接温度分布を計測できる放射温度計でも部分計測の温度計をスキャンする方法でも、さらに縦波超音波や横波超音波を用いた超音波透過時間の温度依存性を利用した鋼板内部温度計であっても、幅方向の温度分布を計測できるものであれば、計測方式は問わない。
CCの2次冷却計算は、例えば、単位長さ(鋳造方向)にスライスされた鋳片断面を考え、鋳造中のストランド内の場所に応じて、水冷、空冷、ミスト冷却、ロール抜熱などで様々な状況での境界条件の熱流束を与えて、以下の式(1)に示す2次元伝熱方程式を解くことで実施される。
Figure 0005954043
このとき、スライスされた単位長さの断面を連続的に次々と発生させ、計算することによって、非定常温度計算も実現することができる。現在、計算機能力が飛躍的に向上しており、水冷実績データ、鋳造速度、タンディッシュ(T/D)溶鋼温度などの操業条件をオンラインで取り込み、リアルタイムで2次冷却計算を実施することが可能となっている。この計算により、鋳片の最終凝固位置がどこにあるかを、固相線温度を用いることで算出することが可能である。
本実施形態では、この2次冷却計算の温度推定値と実測した温度を用いて2次冷却計算を修正する方法を先ず提供する。図2は、本発明に基づく実施形態に係る連続鋳造の最終凝固予測方法の考え方を示す図である。ここでは、機端に近い位置の鋳片表面温度として温度計測個所を記述してあるが、機内の温度計測であっても構わない。
計算は、まず鋳造方向単位長さの2次元断面スライス1枚ごとをメニスカスから機端まで連続して温度計算を行う。すなわち、2次冷却計算全体を一度実行し、上流境界条件・機端表面温度分布を計算する。
次に、機内あるいは機端部温度計により、幅方向表面温度分布を計測する。
そして、表面温度観測位置における鋳片表面温度計算値と表面温度実測値の差を誤差面積などで評価関数とし、その値を用いて評価する。その評価関数値が小さくなるように温度計測位置より上流で、最終凝固すなわちクレータエンド(以下、CEとも略記する)の位置よりも上流の適当な位置を定め、その断面の温度分布を修正する。 この断面の温度
分布修正と温度誤差の評価関数による評価の繰り返しにより、評価関数が最小となる温度分布を算出(最適化計算)し、その温度分布に基づいて再計算した結果を、もっとも誤差の少ない温度とする。
このようにして、評価関数を最小にする上流位置の断面温度分布が得られたならば、その位置から下流へ向かって操業条件に沿った冷却計算を再度実施して最終凝固位置・形状を算出する。
図3は、最適化計算およびCEの位置・形状を予測し、その予測に基づく連続鋳造鋳片の品質判定を行う処理の流れを示す図である。
Step100では、CE位置より上流の位置を定め温度分布を仮定して与える。そして、Step101で、温度モデルによる機端表面温度分布を推定計算する。推定計算した表面温度分布と実測した表面温度分布と比較し、その誤差を評価関数を用いて評価する(Step102)。
そして、評価関数の収束性を判断し、収束と判断されない場合には、上流温度分布を修正する(Step103)。
修正後は、Step101へ戻り、Step102で収束と判断されるまで繰り返す。収束と判断されれば、収束した温度条件で再計算して、最終的にCEの位置・形状予測を終了する(Step104)。このようにして、制約を満足して評価関数を最小にする上流位置の断面温度分布が得られたならば、その位置から下流へ向かって操業条件に沿った冷却計算を再度実施して、最終凝固位置・形状の予測精度を上げることができる。
Step103における、上流位置の断面温度分布の具体的修正方法の一例を以下に示す。
まず、幅方向を計算メッシュより粗い指定した数で分割し、分割区間は一定温度として近似する方法で幅方向表面温度を与え、これを求める変数とする。
次に、厚み方向の分布は最初に計算した鋳片温度の、指定された上流位置の厚み方向の分布を2次関数近似した関数を用いて厚み方向中央部までの温度を決定するものとした。なお、ここでは2次関数近似をしているが、厚み方向の温度分布は、表面冷却の状況に応じて計算で得られた分布形状をそのまま利用しても良いし、適切な修正を行って用いても良い(具体的方法として、厚み方向のメッシュ間の温度比率を保存する方法などが考えられる)。
また、用いる最適化手法は、非線形最適化手法ならばどんな手法でもかまわない。例えば、逐次2次計画法などが考えられる。そして、評価関数には、機端指定場所の幅方向温度分布実測データと、同じ位置の表面温度計算結果の誤差面積を用いたり、分割した幅方向の温度誤差の二乗和などが考えられる。このほか収束条件に温度制約を与えて、観測データと計算データの誤差が適切に温度範囲に入ることを制約として与えることも可能である。さらに、変数である上流位置の表面温度や厚み方向の中心温度にも上下限制約を入れることもできる。
更に、Step104で最終的にCEの位置・形状の予測が完了した後、Step105に移行して、鋳片の中心偏析に関する品質判定をオンラインで実施する。すなわち、上記予測したCEの位置・形状から、最短最終凝固位置及び最長最終凝固位置を求める。続いて、最長最終凝固位置と最短最終凝固位置との差(最終凝固山谷差と呼ぶ)に基づいて、この鋳片の中心偏析に関する品質判定をオンラインで実施する。
(実施例)
本発明に基づく第1実施形態を適用した具体例を次に説明する。
図4は、機端の放射温度計計測位置の表面温度の予測値と実測値との比較図である。
この例は、最適化計算すなわち上流温度分布の修正を行っていない例であり、表面温度の実測と計算で温度の値に差が生じており、幅方向の分布の仕方も異なっていることが分かる。このような状況では計算結果からCE位置形状を予測しても実態と合っているという保証はない。
これに対して、図5は、本発明に係る最終凝固予測方法を適用した予測値と実測値との比較図である。前述のアルゴリズムに従い、幅方向の変数を15点にして、最適化計算(逐次2次計画法)を行い実測値と計算値の誤差最小となるように、上流境界でのスラブ断面温度分布を修正したものである。
ここで、温度合わせこみに用いる幅方向の変数(幅方向メッシュ)については、点の間隔が50〜100mmであれば良い。本例では、半幅1000mmに対して15点としたので、点の間隔が約70mmである。これは、内部での幅方向伝熱があるため、表面に現れる計測温度も幅方向において50〜100mm以下のピッチとすると、極端な差が発生しないためである。一方、細かいピッチに設定すると、計算負荷が増大し、所望の計算時間内に計算が終了しないケースが発生するといった問題がある。
表面温度の計算結果は全般に上昇し、温度計測点のある部分では数値計算結果と一致する温度計算が実現されている。評価関数で指定した表面温度の差が着実に小さくなるような計算が、非線形最適化計算で実現できることが分かる。
そして、図6は、クレータエンド位置・形状の変化を示す図である。図6(a)は、図4に対応する最適化前、図6(b)は、図5に対応する最適化後のCE位置をそれぞれ示すものであり、横軸はメニスカスからの距離、そして縦軸は幅方向位置で凝固完了位置を示している。
最初の計算温度が実測表面温度より低いため、最適化計算によって温度を修正することで計算温度が上昇し、その結果クレータエンド位置も下流に伸びる結果となっている。このように、表面温度計測位置での計算結果と実測値が一致するならば、スラブ内部の温度状態によってきまるCE位置・形状の予測の妥当性が期待される。
このように、高精度にCE位置・形状が予測できるならば、鋳造条件(スプレー条件、軽圧下条件、鋳造速度、モールド電磁攪拌強度など)を様々変更し、この形状がどのように変化していくかを把握することができる。これによって、クレータエンド形状がフラットで中心偏析の少ない鋳片製造条件を定めることができ、優れた品質のスラブを提供することが可能になる。
更に、上記予測したCEの位置・形状から求めた、最長最終凝固位置と最短最終凝固位置との差(最終凝固山谷差と呼ぶ)から、この鋳片の中心偏析に関する品質判定をオンラインで実施する。
最終凝固山谷差に基づく合格−不合格の判定、例えば検査を実施するか否かの判定は、基本的には実績を積んで閾値を決定する。図22は、最終凝固山谷差と最長最終凝固位置での炭素の偏析度(C/C0 )との関係を示す図であり、図22に示すように、最終凝固山谷差が大きくなるほど偏析度(C/C0 )は悪化する。偏析度(C/C0 )は、最終凝固部より採取した厚み中心部分の炭素の分析値Cを、厚み1/4の位置より採取した試料の炭素分析値C0で除した値である。
通常の中心偏析基準の付された鋳片の場合には、最終凝固山谷差が2m以内であれば偏析度(C/C0 )は1.3以下であり、合格として問題ない。合格の場合には、1/2幅のみの検査にするか、場合によっては検査を実施しないなどの運用を行なう。一方、2mを越えて不合格となった場合には、1/2幅に加えて、最長最終凝固位置、又は、2番目に最終凝固位置が長い部位についてサンプルを採取し検査を実施するなどの運用を行なう。勿論、更に厳格且つ高度な品質レベルが要求されている製品に対しては、合否の判定基準を、最終凝固山谷差が1m以内であることなどに変更してもよい。要は、要求される品質レベルを満足する偏析度(C/C0)を決定し、その偏析度(C/C0 )を満たす最終凝固山谷差を判定基準とすればよい。
最終凝固形状の山谷差を求める際には、最終凝固形状から過冷却された端部100mmを除き、山谷差を求める。具体的には、まず端部(コーナー)から100mmを除いた最終凝固形状値において、図23に示すような極大値(山)、極小値(谷)を探索する。極大・極小を見つけるには、その微分値の正負の変化点を探せばよい。次に隣り合う極大、極小値の差分を求め、その差分値を山谷差とする。品質の判定にはこれら山谷差を使用する。図23においてはL1、L2が山谷差となる。
(第2実施形態)
次に、本発明に基づく第2実施形態について図面を参照して説明する。
図7は、本発明に基づく鋳片5の凝固状態推定装置が適用される連鋳機の一例を示す概要図である。図7では、連鋳機として垂直曲げ型連鋳機を例示している。但し、図1と同じものには同一の符号を使用している。
(連鋳機の構成)
図7に示すように連鋳機では、タンディッシュ1の下方に鋳型2が設けられ、タンディッシュ1の底部に鋳型2への溶鋼供給口となる浸漬ノズル3が設けられている。鋳型2の下方には、複数のサポートロール6が設置され、その複数のサポートロール6に沿って鋳片5が所定の引抜き速度で引き抜かれる。符号7〜15は、それぞれ分割された冷却ゾーンであり2次冷却ゾーンを構成する。その各冷却ゾーンには複数のスプレーまたはエアミストスプレー用ノズルなどの冷却ノズル(不図示)が配置されており、各冷却ノズルから鋳片5の表面に2次冷却水が噴霧されることで、目標とする鋳片5の2次冷却が実施される。なお、図7では、反基準面側(上面側)の冷却ゾーンをaで表示し、基準面側(下面側)をbで表示している。また図7では冷却ゾーンが合計9ゾーンの場合を例示しているが、ゾーン数はこれに限定されない。実際の連鋳機のゾーン数は、機長などによって、いくつに分割されるかは様々である。
また連鋳機によっては鋳片5を軽圧下するための、圧下ロール(軽圧下ロール)が設置されている場合もあるが、本発明は軽圧下の有無には左右されない。
また、鋳片長手方向における予め設定した1箇所に対し、温度分布計測手段を構成する温度計4bが配置されている。温度計4bは、機内における鋳片5の幅方向表面温度分布を計測する。温度計4bとしては、直接温度分布を計測できる放射温度計やサーモグラフィが例示でき、幅方向温度分布が計測可能であればどのような計器でも構わない。
なお、図7においては、鋳片長手方向に沿った2箇所に対し、それぞれ温度分布計測手段を構成する温度計4a、4bが配置されている場合を例示している。これは、後述の第3実施形態で用いる2つの温度計4a、4bを図7に併せて図示しているためである。もちろん、本第1実施形態で使用する温度計が符号4aの温度計であっても良い。
符号20は、連鋳制御部である。
連鋳制御部20は、2次冷却制御部20Aと、凝固状態推定部20Bと、品質判定部20Cと、を備える。
2次冷却制御部20Aは、製造管理用制御部21からの指令に基づき、上記各冷却ゾーンでの2次冷却を制御する。例えば各冷却ゾーンでの出側温度がその位置での目標温度となるように冷却条件が設定される。この冷却条件は、凝固状態推定部20Bにも入力される。
凝固状態推定部20Bは、凝固状態推定部本体20Baと熱流束分布補正部20Bbとを備える。
凝固状態推定部本体20Baは、少なくとも2次冷却の冷却条件に基づき熱流束を求めつつ、その求めた熱流束を使用した熱伝達モデルによって、鋳片5の凝固状態(温度状態)を推定する。
また、熱流束分布補正部20Bbは、凝固状態推定部本体20Baで使用する熱流束の幅方向分布を補正する。具体的には、上記温度計4bの計測位置における上記熱伝達モデルによって計算した鋳片表面の推定温度と、上記温度計4bで計測した鋳片幅方向の表面温度分布とが一致するように、上記熱流束の鋳片幅方向の熱流束分布を補正する。
なお、上記凝固状態推定部本体20Baは、上記熱流束分布補正部20Bbで補正係数が変更される度に、再度作動して、再計算を実施することで出力値を修正する。
ここで、通常の連続鋳造の2次冷却計算は、例えば、鋳片長手方向(鋳造方向)に沿って単位長さでスライスされた鋳片断面を考え、鋳造中のストランド内の場所に応じて、水冷、空冷、ミスト冷却、ロール抜熱などからなる2次冷却条件によるスラブ表面での境界条件を示す式(2)に基づき熱流束を求め、その求めた熱流束を使用して、式(4)の2次元伝熱方程式を解くことで実施される。
Figure 0005954043
ただし、式(2)中の温度に関する値であるφは、下記の式(3)で表すことが出来る。このため、式(2)を後述の式(4)に適用する際に、温度は式(3)のような置き換えを行っている。
Figure 0005954043
ここで、
Q :熱流束
κ :熱伝導率
κ:基準温度での熱伝導率
h :熱伝達係数
T :モデル表面温度
Ta:雰囲気温度
である。
Figure 0005954043
ここで、
c:比熱
ρ:密度
κ:熱伝導率
T:温度
t:時間
x、y:座標
である。
そして、式(2)における熱伝達係数hは、水冷、空冷、ミスト冷却などの冷却方式、冷却操作量、ロール抜熱量などの2次冷却条件によって決定される。上記(2)式に基づく(4)式による2次冷却計算によって、鋳片5の内部温度分布を求め、更にその内部温度分布と溶鋼成分で決定される固相線温度から完全凝固位置を算出する。
また、上記(2)〜(4)式を用いて、スライスされた単位長さの断面を鋳片長手方向に沿って連続的に次々と発生させ、計算することによって、鋳造速度変化時などの非定常における温度計算も実現することができる。現在計算機能力が飛躍的に向上しており、水冷実績データ、鋳造速度、タンディッシュ溶鋼温度などの操業条件をオンラインで取り込み、リアルタイムで2次冷却計算、最終凝固計算が可能である。
本実施形態では、上記2次冷却条件による境界条件による熱流束の式として、(2)式の代わりに下記(5)式を使用する。
ij =dh(T −Ta) ・・・(5)
ここで、
:熱伝達係数の補正係数(初期値は「1」)
i :幅方向補正位置
j :長手方向位置
である
次に、上記凝固状態推定部20Bの処理について、図8を参照して説明する。
本実施形態においては、前述の2次冷却モデル(熱伝達モデル)の表面温度計算値と幅方向の表面温度実測値を用いて、2次冷却計算に用いるパラメータを調整することで鋳片5の温度分布を推定し、最終凝固位置・形状を推定する。具体的には2次冷却位置での幅方向の熱流束分布、もしくは熱伝達係数分布を補正するパラメータである補正係数dの修正を行う。
本実施形態に用いる実測する温度計4bの位置は機内最終凝固位置に近い位置の鋳片表面温度であるのが、より望ましいが、原理的には長手方向位置のどの位置でも構わない。
先ずステップS10にて、凝固状態推定部本体20Baは、上述のような処理によって、2次冷却計算を行う。上記補正係数dは、初期値として「1」が設定されている。
2次冷却計算は、上記(5)式及び(4)式を用いて、まず鋳造方向単位長さの2次元断面スライス1枚について、そのときの鋳造履歴に応じた鋳造速度で温度を計算する。そのスライスされた単位長さの断面を鋳片長手方向に沿って連続的に次々と発生させ、計算する。
次に、ステップS20にて、温度計4bによる表面温度観測の計測位置における鋳片表面温度(幅方向の温度分布)を、ステップS10による2次冷却計算による計算から求める。
次に、ステップS30では、連続的に入力する温度計4bの計測値から計測位置における実測した鋳片幅方向の温度分布を求める。例えば予め設定した時間間隔における計測値の平均値を、実測した鋳片幅方向の温度分布とする。
次に、ステップS40では、熱流束分布補正部20Bbが、ステップS20で求めた鋳片表面温度の計算値(推定温度)と、ステップS30で求めた温度計4bが計測した表面温度実測値との差が予め設定した閾値以上か否かを判定する、閾値以上の場合にはステップS50に移行する。閾値未満の場合には、ステップS60に移行して、2次冷却計算の再計算を終了して、補正後の2次冷却計算に基づき最終凝固位置及び最終凝固形状(プロフィール)を求める。
ここで、鋳片幅方向の補正点nを複数、例えば20点(n=20)に設定し、その各補正点位置において、推定温度と実測値との偏差を求め、その偏差の最大値が上記閾値以下か否かを判定する。
一方、ステップS50では、熱流束分布補正部20Bbが、ステップS20で求めた鋳片表面温度の計算値と、ステップS30で求めた温度計4bが計測した表面温度実測値との差が小さく若しくはゼロとなるように、上記補正係数d(i=1〜n)を変更する。上記補正係数dを変更したらステップS10に移行して、2次冷却計算の再計算を実施する。
なお、幅方向熱伝達係数hの補正係数dの変更は、長手方向の冷却ゾーンでは一律でされるものとする。これは幅方向に計測可能な温度計4bが長手方向の一箇所のみに設置するとして、便宜的に長手方向で一律変更としている。
具体的な計算方法としては、指定場所の幅方向温度分布実測データと、同じ位置の表面温度計算結果の誤差面積を評価関数として、その評価関数値が小さくなるように、つまり誤差面積が最小になるように計算を行えばよい。手法としては一般的な最適化手法を用いれば良い。また補正係数に制約を設ける場合には、例えば逐次二次計画法などの非線形最適化手法を用いると良い。
(2次冷却計算について)
上述の2次冷却計算について、以下に補足説明を行う。
通常の連続鋳造の2次冷却計算は、例えば、鋳片長手方向(鋳造方向)に沿って単位長さでスライスされた鋳片断面を考え、鋳造中のストランド内の場所に応じて、水冷、空冷、ミスト冷却、ロール抜熱などからなる2次冷却条件によるスラブ表面での境界条件を示す上記式(2)に基づき熱流束を求め、その求めた熱流束を使用して、上記式(4)の2次元伝熱方程式を解くことで実施される。
ここで、式(4)で示される2次元熱伝導方程式は、鋳片断面において、スラブの鋳造方向には熱伝導が無いものと仮定した式である。
一般に比熱、密度、熱伝導率の物性値は鋳片の温度変化とともに変化するので、物性値を温度の関数として変化させて、式(4)を解く必要がある。物性値に温度依存性がある場合、式(4)はこのままでは差分式に展開できない。
そこで、実際の計算では公知の手法である「含温度-変換温度法」を用いて、温度を以下のように置き換えて線形化している。
Figure 0005954043
そして、式(6)、(7)を式(4)に代入すると、下記式(8)となる。
Figure 0005954043
この(8)式を差分化することにより、スライス毎の伝熱計算が数値解析可能となる。
ここで、スライスの内部点と表面点で差分式が異なる。
スラブ表面では、下記(9)式で表されるとし、
Figure 0005954043
Figure 0005954043
これら式(9)(10)を踏まえ、式(8)を内部点、表面点のそれぞれで差分化(離散化)すると、下記式となる。
Figure 0005954043
また、上記式では、lは計算時間ステップを表し、lの各値から、次の計算ステップ(時間)の(l+1)の値を求めている。
これら(11)、(12)の差分化式を用いて差分化法により実際の伝熱計算を行う。
この実際の計算過程では、以下のような(1)〜(9)の手続きを踏んで3次元計算をトレースしている。
(1)解析開始とともに1枚の2次元シートがモールドに入り進んでいく。
(2)このシートが外部の境界条件と2次元内部の熱伝導のみで計算されていく。(進行方向の熱伝導は考えない。)
(3)途中で、速度のデータにより各時刻で速度が変化していく。
(4)途中で、外部冷却パターンデータにより、スプレーパターンが切り替わる。
(5)この1枚のシートが、解析時間の終了時刻まで計算される。
(6)次のシートに移ったとき、入力に合わせ物性値、初期温度を変える。
(7)1枚のシートの計算が終了したら、タイムステップの時間だけ離れて次のシートの計算を開始し解析時間終了時刻まで計算する。
(8)以上の計算を各シートにつき、引き抜き終了時刻まで行う。
(9)途中必要に応じてファイル出力を行う。
[メッシュ分割について]
上記伝熱計算の演算は、スラブ内の熱伝導を差分法を用いて解析しており、また、構造的対象性より厚み方向1/2の部分を解析対象としている。例えば、短辺、長辺を、m分割、n分割した場合には、メッシュは図9のようになる。
[使用する熱伝達係数について]
また式(9)における熱伝達係数hは、水冷、空冷、ミスト冷却などの冷却方式、冷却操作量、ロール抜熱量などの2次冷却条件によって決定される。また熱伝達係数hは冷却方法(水のみ、水と空気、空気のみ、およびそれぞれの流量)に従い、計算式を変更する。
実際に使用する抜熱は、これらと放射冷却を比較して、より大きい値を採用している。
[固相率について]
固相率の計算は、各セルの温度が、液相線温度よりも下に有る時は固相率=1、固相線温度よりも上に有る時は固相率=0、液相線温度と固相線温度の間にある時は、下記式としている。
Figure 0005954043
[モールド内での抜熱計算について]
モールド内ではスライスのモールド通過時間により表面抜熱量を決定している。
なお、抜熱は長辺、短辺ともに均一として決定する。
[計算条件の例について]
計算条件は例えば次のように設定する。
・シミュレーション時間刻み:0.02sec
・鋳造速度:1.4mpm
・解析厚:125mm(半厚、全厚250mm)
・解析幅:1050mm(半幅、全幅2100mm)
・雰囲気温度:30℃
・二次冷却水温度:28℃
・溶鋼温度:1555℃
・基準温度での熱伝導率:対象とする材の成分に基づき決定
・上記成分から求めた液相温度、固層温度:実験その他で決定
・変換温度φ−温度の関係:実験その他で決定
・含熱量H−温度の関係:実験その他で決定
・密度ρ−温度の関係:実験その他で決定
・メッシュ幅方向分割数の例
幅(n)=66
厚(n)=25
(動作その他)
図10は本実施形態による幅方向の熱流束分布の補正を実施することなく、表面温度計測時の操業条件を取り込んだ上で、2次冷却計算のみを用いて、温度計設置位置(計測位置)でのモデル計算温度と実測温度を比較した図である。図10では、鋳片5の幅方向中央から片側の状態を図示している。後述の図11〜14等においても同様である。
この図10に示すように計算温度(推定温度)の温度分布は鋳片幅方向にフラットであり、また表面温度実測値との間に差が生じている、このため、計算温度と実測温度とでは、幅方向の分布の仕方も異なっている。このような状況では計算結果から最終凝固位置形状を予測しても実態と合っているという保証はない。
これに対する本実施形態を適用した場合の例を図11に示す。図11は、幅方向補正点を20メッシュ(n=20)として、最適化計算を行い実測値と計算値の誤差が小さくなるように、幅方向の熱伝達係数の倍率を修正(dを調整)したときの表面温度の計算結果の例を示す図である。またこのときの、補正前後の熱伝達係数の補正倍率(補正係数dの値)を図12に示す。
演算においては、メッシュ毎にモデルによる温度計測と実測の温度平均とをそれぞれ算出して、演算に用いている。結果、図12のように熱伝達係数の補正倍率を鋳片幅方向で変更することで、温度計測点のある部分では数値計算結果と一致する温度計算が実現されている。評価関数で指定した表面温度の差が着実に小さくなるような計算が最適化計算で実現できることが分かる。
この2つの場合(図10及び図11参照)における、最終凝固の位置(CE位置)および形状を求めたものが図13(比較例)及び図14(実施例)である。図13及び図14は、縦軸が鋳型2からの鋳片長手方向の距離、横軸が鋳片幅方向位置における凝固完了位置を示している。
図13(比較例)では、幅方向温度分布がフラットな計算温度に基づいているため、最終凝固形状は端部を除いて凹凸がなく、フラットになっている。一方、図14(実施例)の幅方向の表面実測温度を用いて幅方向の熱伝達係数を補正した場合では、幅方向の凹凸を表現できており、かつ表面温度分布が一致しているため、現実に近い最終凝固状態を表現できていると考えられる。このように、表面温度計測位置での計算結果と実測値が一致するならば、スラブ内部の温度状態によって決まる最終凝固位置および形状の推定精度向上が期待される。
このように、表面温度計測位置での計算結果と実測値が一致するならば、鋳片内部の温度状態によって決まる最終凝固位置・形状の推定値の妥当性がより向上する。
以上のように、温度計4bによる計測位置における幅方向のモデル表面温度を、実測表面温度に基づき熱伝達係数の分布を補正することで、実測表面温度に一致若しくは近づける。この結果、より実際の操業状態を反映することが可能となり、最終凝固位置・形状の推定精度を上げることが実現できる。
ここで、上記実施形態では、熱伝達係数を調整することで熱流束の分布を補正しているが、他のパラメータを調整することで、熱流束の幅方向分布を補正しても良い。
また、上記求めた最終凝固位置・形状の予測結果に基づき、2次冷却条件、軽圧下条件、鋳造速度、鋳型電磁攪拌強度を操作して、最終凝固位置や形状を、予め設定した目標位置や目標形状に近づくように制御して、能率や品質の向上を図っても良い。
(変形例)
上述の図11〜図14においては、また熱伝達係数の補正係数dの値(補正倍率)は、複数の冷却ゾーンの各ゾーンに対し一律に変更している。
具体的には、式(20)に基づき補正係数dの計算を行っている。
補正係数更新値
=(モデル温度-実測温度)×ゲイン+補正係数前回値 ・・・(20)
更にこれを拡張して、式(21)に示すように、長手方向の冷却ゾーン毎に個別に調整可能(設定変更可能)としても良い。
冷却ゾーンnの補正係数更新値
=(モデル温度-実測温度)×ゲインn+(冷却ゾーンnの補正係数前回値)
・・・(21)
ここでnは冷却ゾーンの番号を示す。
式(21)では、冷却ゾーンによってゲインnを変更している。
ゲインnは、例えば、基準として設定したゾーンに対するゲインを基準ゲインとし、その基準として設定したゾーンよりも冷却が強いゾーンでは、基準ゲインよりも大きな値にゲインnを設定すると共に、基準として設定したゾーンよりも冷却が弱いゾーンでは、基準ゲインよりも小さな値にゲインnを設定する。
このように冷却ゾーン毎に個別に調整する場合には、冷却ゾーン毎に冷却ムラがある場合などがあっても、精度良く最終凝固位置・形状の予測結果を求めることが可能となる。
次に、本変形例の冷却ゾーン毎の個別の調整例について具体的に説明する。
本例では、温度計4aを使用するケース場合を示す。
式(20)を用いた補正では、表1に示すように冷却ゾーンの全ゾーン共通のゲインnを用いている。
一方、式(21)を用いた補正では、表2に示すようにゾーン毎のゲインnの調整を実施している。例としての表2でのゲインの数値は、冷却の強い7a−8aのゾーンでは冷却による温度ムラの発生が大きいとしてゲインnを大きく、また冷却が弱めの9a−13aのゾーンでは冷却による温度ムラの発生が小さいとして補正用ゲインを小さく設定する。また温度計設置位置以降の14a−15aのゾーンでは、補正用ゲインを0として、温度計による補正を実施しないとしている。
Figure 0005954043
Figure 0005954043
これらのゲインn、および温度計4aの同じ温度計測値を用いて、最終凝固位置の推定を行った結果を図15に示す。
図15に示されるように、同じ温度計値を使用した場合でも、変形例に基づき表2のようにゾーン毎に個別のゲインnを使用した場合の方が最終凝固形状の山谷差が大きくなっている。これは温度計から遠く、かつ冷却の強いゾーンで強く表面温度の補正したためである。このように式(20)のケースと比べ、調整の自由度が向上したことがわかる。これにより、更に実際に即した調整が可能となる。
(品質判定部)
次に、品質判定部20Cについて説明する。
品質判定部20Cは、凝固状態推定部20Bの情報から最終凝固形状の山谷差を計算して、品質を判断する。品質判断結果や山谷差情報は、鋳造長さに紐付けて、製造管理用制御装置21に出力され、記録される。それら情報に基づき、一定大きさに鋳片5を切断したスラブ毎の品質判断に使用する。
品質判定部20Cでの判定処理は、例えば次のようにして実施される。
凝固状態推定部20Bで予測された鋳片幅方向の最終凝固形状から、最短最終凝固位置及び最長最終凝固位置を求め、その最長最終凝固位置と最短最終凝固位置との差(最終凝固山谷差)に基づいて、この鋳片の中心偏析に関する品質判定をオンラインで実施する。
最終凝固山谷差に基づく合格−不合格の判定、例えば検査を実施するか否かの判定は、基本的には実績を積んで閾値を決定する。図22は、最終凝固山谷差と最長最終凝固位置での炭素の偏析度(C/C0 )との関係を示す図であり、図22に示すように、最終凝固山谷差が大きくなるほど偏析度(C/C0 )は悪化する。
通常の中心偏析基準の付された鋳片の場合には、最終凝固山谷差が2m以内であれば偏析度(C/C0 )は1.3以下であり、合格として問題ない。合格の場合には、1/2幅のみの検査にするか、場合によっては検査を実施しないなどの運用を行なう。一方、不合格となった場合には、1/2幅に加えて、最長最終凝固位置、又は、2番目に最終凝固位置が長い部位について検査を実施するなどの運用を行なう。勿論、更に厳格且つ高度な品質レベルが要求されている製品に対しては、合否の判定基準を、最終凝固山谷差が1m以内であることなどに変更してもよい。要は、要求される品質レベルを満足する偏析度(C/C0)を決定し、その偏析度(C/C0 )を満たす最終凝固山谷差を判定基準とすればよい。
最終凝固形状の山谷差を求める際には、最終凝固形状から過冷却された端部100mmを除き、山谷差を求める。具体的には、まず端部(コーナー)から100mmを除いた最終凝固形状値において、図23に示すような極大値(山)、極小値(谷)を探索する。極大・極小を見つけるには、その微分値の正負の変化点を探せばよい。次に隣り合う極大、極小値の差分を求め、その差分値を山谷差とする。品質の判定にはこれら山谷差を使用する。図23においてはL1、L2が山谷差となる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、上記第2実施形態と同様な構成には同一の符号を付して説明する。
本実施形態の基本構成は、上記第2実施形態と同様である。
ただし、鋳片長手方向に沿って上記計測位置を2箇所以上設定し、その各計測位置でそれぞれ鋳片幅方向の表面温度分布を計測すると共に、各計測位置毎に、上記熱伝達モデルで推定した推定温度と上記計測した鋳片幅方向の温度分布とが一致するように、上記熱流束の鋳片幅方向の熱流束分布の補正を繰り返し、補正する度に、凝固状態推定部本体20Baによる2次冷却計算を再度実施する。
本実施形態では、上記計測位置の設定を2箇所とした場合で説明するが、計測位置を3箇所以上としても良い。
本実施形態では、鋳片長手方向に沿って各計測位置を境界として区分し、計測位置を、上流側から第1の計測位置、第2の計測位置とした場合に、最上流から第1の計測位置までの計測区間、第1計測位位置から第2の計測位置までの計測区間・・のように、計測位置に基づき複数の計測区間に区分する。そして、各計測区間毎に熱伝達モデルの鋳造幅方向の熱流束分布を修正し、修正する毎にモデルを使用した計算をやり直す。
このとき、2つ目以降の計測区間では、直前の計測区間で求めた熱流束分布を初期値として使用する。
本実施形態の凝固状態推定部20Bでの熱伝達係数の補正処理について、図16を参照して説明する。
図16中のステップS10〜S50、S60は、上記第1実施形態(図8)におけるステップS10〜S50、S60と同じ処理を行う。なお、ステップS30では、温度計4aを採用し、温度計4aの計測位置を温度比較位置とする。
なお、本実施形態にあっては、補正係数dの変更は、温度計設置間毎に、鋳片長手方向で一律でされるものとする。
また、図16中のステップS110〜ステップS150は、上記第1実施形態(図8)におけるステップS10〜S50と同じ処理を行う。なお、ステップS130では、温度計4bを採用し、温度計4bの計測位置を温度比較位置とする。
但し、ステップS110の計算における熱流束分布の初期値である補正係数d(i=1〜n)は、ステップS10〜ステップS50で補正した値とする。
また、ステップS110の計算において、第1の計測位置〜第2の計測位置までの計測区間に対し、ステップS150で調整した補正係数d(i=1〜n)を反映する。
すなわち、ステップS110の計算においては、第1の計測位置までの範囲においては、補正係数dとしてステップS50で求めた値を使用し、第1の計測位置〜第2の計測位置までの計測区間に対し、ステップS150で調整した補正係数d(i=n)を使用する。
(動作その他)
第1の計測位置(温度計4aの位置)までに対して、本実施形態を採用した場合の作用については、上記第1実施形態と同様である(図10〜図12を参照)。
また、図17は、ステップS10〜50の処理による、温度計4aの計測位置に基づく補正後の温度計4aの計測位置における、スライス断面温度分布の例である。
この図18に示すスライス断面温度分布に基づいて計算した温度計4bの計測位置での幅方向表面温度と、温度計4bの計測位置における実測温度とを比較すると、図18に示すような結果となる。この図18のように、温度計4aの計測位置で幅方向温度分布を補正した場合でも若干のずれが生じている場合がある。
このずれを解消するため、前述温度計4aの計測結果に基づく補正と同様に、温度計4a〜4bの計測位置間の区間内における幅方向の熱伝達係数の倍率(補正係数dの値)を温度計4bの計測結果に基づき修正することで、温度計4bの計測位置においては、図19に示すような表面温度の計算結果を得ることが出来る。
次に、温度計による計測値によって全く補正しない場合と2箇所の温度計4a,4bの各計測値によって本実施形態に基づき補正した場合とで、最終凝固の位置、および形状がどのように変わったかを求めてみたところ、それぞれ図20(比較例)及び図21(実施例)の結果を得た。
この図20,図21は、縦軸が鋳型2からの長手方向距離、横軸が幅方向位置で凝固完了位置を示している。ここでは、2箇所の温度計値を用いて2度のモデル温度補正を行うことで、計算温度が上昇し、その結果、最終凝固位置も機端側に伸びる結果となっている。このように、2箇所の表面温度計測位置での計算結果と実測値が一致するならば、スラブ内部の温度状態によって決まる最終凝固位置・形状の推定値の精度確保が期待できる。また温度計を3箇所以上設置して同様の手法を適用することにより更なる精度向上も期待できる。
すなわち、鋳造条件の変更などの非定常な操作が発生した場合、冷却条件がダイナミックに変化するため、冷却履歴による鋳片5の温度分布変化をモデルで正確には表現するのは難しい。そして、上記のような非定常な操作が発生した場合、モデルと実際の鋳片温度分布との間にはずれが発生する可能性が高い。途中に幅方向温度計を設置してその値を用いることで、モデルのずれ分を補正はできるが、冷却条件変更が複数回繰り返された場合、鋳片長手方向一箇所の温度計の値での補正の場合には、温度計での計測位置より下流での冷却条件によるずれ分の補正ができず、最終凝固位置・形状の推定精度がその分だけ低下する可能性がある。また最終凝固位置より下流の一箇所に温度計を設置したとしても、温度計の位置よりも上流で発生した冷却条件の変動によるずれを十分には補正できない可能性がある。
これに対し、本実施形態にあっては、以上の不都合を低減若しくは解消することが可能となる。
なお、以上の考えからすると、複数のゾーン毎に2次冷却制御が異なる場合には、その境界値位置に温度計を設置して、上記補正を実施することが好ましい。
また前述のように従来計算と比べ、高精度に最終凝固位置・形状が観測できるから、シミュレーションにより鋳造条件(冷却条件、軽圧下条件、鋳造速度、鋳型電磁攪拌強度など)を様々変更し、この形状がどのように変化するかを把握することができる。これによって、最終凝固形状がフラットで中心偏析の少ない鋳片製造条件を定めることができる。例えば表面温度に基づいて計算した最終凝固位置・形状に応じて、幅方向に複数設置されたスプレー流量をスプレーごとに変更するなど2次冷却条件を変更することで、最終凝固位置や形状を、予め設定した目標位置や目標形状(最終凝固形状のフラット化など)に近づくように制御して、能率や品質の向上を図っても良い。
そして、上記のように高精度に最終凝固位置・形状を求めたら、第2実施形態で説明したように、品質判定部20Cは、凝固状態推定部20Bの情報から最終凝固状態の山谷差を計算して、品質を判断する。品質判断結果や山谷差情報は、鋳造長さに紐付けて、製造管理用制御装置41に出力され、記録される。それら情報に基づき、一定大きさに鋳片5を切断したスラブ毎の品質判断に使用する。これによって、より精度良く、品質を判断するこことが可能となる。
その他の構成や効果等については上記第2実施形態と同様である。
4,4a、4b温度計
5 鋳片
20 連鋳制御部
20A 次冷却制御部
20B 凝固状態推定部
20Ba 凝固状態推定部本体
20Bb 熱流束分布補正部
20C 品質判定部
補正係数
h 熱伝達係数

Claims (4)

  1. 鋳型に注入された溶鋼を、引き抜きながら2次冷却を行うことで凝固させて連続して鋳片を製造する連続鋳造における、上記鋳片の凝固状態を推定する際に、
    少なくとも上記2次冷却の冷却条件に基づく熱流束を使用した熱伝達モデルによって上記鋳片の凝固状態を推定すると共に、鋳片長手方向における予め設定した計測位置での鋳片幅方向の温度分布を計測し、
    上記計測位置における上記熱伝達モデルで推定した推定温度と上記計測した鋳片幅方向の温度分布とが一致するように、上記熱流束の鋳片幅方向の熱流束分布を補正することで、上記熱伝達モデルの出力を修正し、
    上記推定した凝固状態に基づき最短最終凝固位置と最長最終凝固位置を求め、求めた最短最終凝固位置と最長最終凝固位置との差と、鋼製品別に定めた閾値とを対比して鋳片の中心偏析の程度を判定し、
    上記2次冷却は、複数の冷却ゾーンによって実施され、
    上記熱流束分布の倍率を補正するための熱流束分布の補正係数di(i:幅方向補正位置)を上記各冷却ゾーン毎に個別に設定し、
    上記補正係数diは、上記熱流束の熱伝達係数に乗算する係数であって該乗算することで熱流束の倍率を補正し、且つ上記幅方向補正位置iを2以上設定することで、上記熱流束分布の倍率が補正されることを特徴とする連続鋳造鋳片の品質判定方法。
  2. 鋳片長手方向に沿って上記計測位置を2箇所以上設定し、その各計測位置でそれぞれ鋳片幅方向の温度分布を計測すると共に、各計測位置毎に、上記熱伝達モデルで推定した推定温度と上記計測した鋳片幅方向の温度分布とが一致するように、上記熱流束の鋳片幅方向の熱流束分布の補正を繰り返すことを特徴とする請求項に記載した連続鋳造鋳片の品質判定方法。
  3. 上記鋳片の中心偏析の程度を判定する品質判定を行い、当該品質判定に基づいて鋳片若しくは鋼材における検査実施の有無を決定することを特徴とする請求項1又は請求項のいずれか1項に記載した連続鋳造鋳片の品質判定方法。
  4. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の品質判定方法を用いてスラブの品質判定を行うことを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
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