JP4407353B2 - 金属シートの製造装置と製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に開示された連続鋳造システムは、鋳造される金属製品の断面寸法、鋳造温度、鋳造速度、鋳造される金属製品表面からの熱流束(金属製品からの抜熱量)等の操業条件に基づいて凝固状態をシミュレートする演算装置を備える。演算装置は、予め与えられた操業条件に基づいて凝固状態をシミュレートし、製造される金属製品の表面温度を算出する。一方、製造設備には予め設定された温度測定点に温度センサが配され、この温度センサによって金属製品の表面温度が測定される。そして、演算装置で計算された温度測定点の表面温度と実際に測定された表面温度との差に基づいて、演算装置における計算条件(すなわち、金属製品からの抜熱量)を修正する。この計算条件の修正は、計算された表面温度と測定された表面温度が一致するまで繰り返される。これによって、演算装置の計算条件が実際の操業条件に応じたものとなり、実操業中の金属製品の凝固状態を把握することができる。
例えば、1対の冷却ローラを利用して金属シートを製造する場合、冷却ローラの間隙に供給された金属溶湯は、冷却ローラの表面に接触してから間隙に送り込まれる間に徐々に冷却され、その間に凝固シェルも成長し厚くなってゆく。凝固シェルの厚みが変化すると、金属溶湯から冷却ローラに流れる熱量(すなわち、冷却ローラによる抜熱量)も変化する。したがって、冷却ローラによる抜熱量は冷却ローラの位置によって異なることとなる。このため、金属溶湯の凝固状態を正確に把握するためには、冷却ローラの位置に応じてその抜熱量を修正して凝固状態を計算する必要がある。
しかしながら、金属溶湯が冷却ローラの間隙を通過する間はその表面温度を測定することはできない。このため、特許文献1の技術では、冷却ローラを通過した後の金属シートの表面温度を測定し、その測定した表面温度に基づいて冷却ローラ全体の抜熱量を修正することしかできない。したがって、特許文献1の技術では、冷却ローラの位置による抜熱量の相違を反映して凝固状態を計算することができず、その結果、金属溶湯の凝固状態を正確に把握することができない。
また、このような構成では、金属溶湯の凝固状態が板厚方向の温度分布により評価される。このため、凝固点のみによって金属溶湯の凝固状態を評価する場合と比較して、金属溶湯の凝固状態をより精密に評価することができる。
なお、推定器によって板幅方向の温度分布をさらに推定するよう構成することができ、この場合は板厚方向、板排出方向及び板幅方向の3次元温度分布を推定することとなる。
また、このような構成では、金属溶湯の温度分布が理想の温度分布(基準温度分布)となるように運転条件が調整されるため、冷却ローラによる金属溶湯の圧下率等が略一定の値に精度良く制御することができる。これによって、高品質の金属シートを安定して製造することができる。
また、このような構成では、推定温度分布と基準温度分布の評価を固相率が所定の割合(例えば、100%,70%,40%等)となる点を結んだ凝固ラインによって行う。したがって、板厚方向及び板排出方向の温度分布の相違が客観的に評価され、運転条件の調整に反映することができる。また、凝固ラインの相違を板厚方向と板排出方向のそれぞれについて求め、それぞれの相違に基づいて運転条件を調整するため、木目細やかな制御を行うことができる。
なお、凝固モデルから状態方程式を得る方法としては、例えば、凝固モデルを表す微分方程式(通常、非線形偏微分方程式)を式変形する手法(解析的手法)を用いることができ、あるいは、部分空間同定法等のシステム同定手法を用いることができる。
このような構成では、推定凝固ラインと基準凝固ラインの相違を、2つの凝固ラインの長さによって数値として表すことができる。したがって、より客観的に凝固状態を評価し、運転条件の調整を行うことができる。
すなわち、1対の冷却ローラの間隙及びその近傍に設定されたモデル化領域から所定の物理量を計測する物理量計測工程と、計測された物理量を用いて金属溶湯の凝固状態を推定する推定工程と、推定された凝固状態に基づいて、冷却ローラの回転速度、冷却ローラの冷却能力、冷却ローラへの離型剤の塗布量、冷却ローラの圧下荷重、金属溶湯の温度、金属溶湯の供給量のうちの少なくとも一つを調整する調整工程と、を有する。そして、前記推定工程は、前記モデル化領域をモデル化した凝固モデルに基づいて金属溶湯の凝固状態を推定する工程であって、その凝固モデルには、モデル化領域内の金属溶湯部分を複数のセルに分割した溶湯セル群と、モデル化領域内の冷却ローラ部分を複数のセルに分割したローラセル群とが含まれている。前記推定工程では、計測工程で得られた物理量を用いて凝固モデルを構成する各セルの温度を数値計算することで、金属溶湯の板厚方向及び板排出方向の温度分布を推定する。前記調整行程では、推定工程で推定された推定温度分布から得られる固相率が所定値となる推定凝固ラインと基準温度分布から得られる凝固率が所定の割合となる基準凝固ラインの板厚方向のずれと板排出方向のずれのそれぞれに基づいて、推定工程で推定された推定温度分布が基準温度分布となるように、冷却ローラの回転速度、冷却ローラの冷却能力、冷却ローラへの離型剤の塗布量、冷却ローラの圧下荷重、金属溶湯の温度、金属溶湯の供給量のうちの少なくとも一つを調整する。そして、金属シートの製造中に、物理量計測工程と、推定工程と、調整工程を、順番に繰り返し実行することを特徴とする。
この製造方法によっても、金属溶湯から冷却ローラへの熱流束が実際の凝固現象に応じて計算されるため、金属溶湯の凝固状態を精度良く推定することができる。このため、高品質の金属シートを安定して製造することができる。
(形態1)1対の冷却ローラが平行に配置される。冷却ローラ間には所定の間隙が設けられる。冷却ローラ間の間隙に近接してタンディシュのノズル先端が配置され、そのノズル先端から金属溶湯が供給される。供給された金属溶湯は、冷却ローラの回転によって冷却ローラ間の間隙に送込まれる。
(形態2)冷却ローラの内部には冷却水通路が設けられる。冷却水通路にはバルブが設けられていて、冷却水通路を流れる冷却水の単位時間当りの流量が制御できる。冷却水の流量によって冷却ローラの冷却能力が調整される。
(形態3)冷却ローラの間隙及びその近傍にはモデル化領域が設定される。モデル化領域の上流側の端部はタンデッシュのノズルの略先端とされ、モデル化領域の下流側の端部は冷却ローラの略回転中心とされる。モデル化領域には、金属溶湯の他に冷却ローラの一部(外郭部分)が含まれる。
(形態4)モデル化領域は複数のセルに分割され、物質収支と熱収支の関係から凝固モデルを作成する。凝固モデルは、金属シートの板幅方向の温度分布は均一であると仮定して、板厚方向及び板排出方向についての2次元モデルで作成する。また、金属シートの板厚方向の温度分布はその中心に対して対称であるとして、金属シートの板厚方向中心から一方の表面側だけについて凝固モデルを作成する。
(形態5)凝固モデルは、金属溶湯をモデル化した金属溶湯部と、冷却ローラの外郭をモデル化した冷却ローラ部から構成される。冷却ローラ部は、さらに外郭部、冷却水部、冷却水コア部とで構成される。金属溶湯部及び冷却ローラ部(外郭部、冷却水部、冷却水コア部)はそれぞれ複数のセルで構成される。
(形態6)凝固モデルに基づいて各セルの温度を数値計算するシミュレータ(FEM等)を構築する。シミュレータにはランダムな入力信号uを入力し、そのときの出力信号yを観測する。入力信号uと出力信号yに対して部分空間同定法を適用して、凝固の動特性を表す状態空間方程式を作成する。状態空間方程式の状態変数xは、冷却水温度Tw、ローラ温度Tr、金属シート温度Ts、ローラ回転トルクTorq、凝固点位置Lmoとすることができる。状態空間方程式の制御入力uは、金属溶湯温度Ta、冷却水流量Fw、ローラ回転速度Vrとすることができる。
(形態7)凝固の動特性を表す状態空間方程式に対してカルマンフィルタを構成する。カルマンフィルタの観測出力には、冷却水温度Tw、ローラ温度Tr、金属シート温度Ts、ローラ回転トルクTorqを用いることができる。実操業中の製造設備から観測出力(冷却水温度Tw、ローラ温度Tr、金属シート温度Ts、ローラ回転トルクTorq)をセンサで観測する。カルマンフィルタは、それら観測値から状態空間方程式の状態変数の値を推定する。
(形態8)カルマンフィルタによって推定された凝固状態(例えば、凝固点位置Lmo)に基づいて運転条件(金属溶湯温度Ta、冷却水流量Fw、ローラ回転速度Vr等)を制御する。例えば、カルマンフィルタで推定された凝固点位置Lmo^が目標凝固点位置Lmo*となるように制御する。目標凝固点位置Lmo*は、冷却ローラの回転速度又は冷却ローラの温度に基づいて決定することができる。また、制御則には、PID制御、LQ制御、H∞制御等を用いることができる。
(形態9)シミュレータによる計算結果(すなわち、各セルの温度)を用いて、運転条件(金属溶湯温度Ta、冷却水流量Fw、ローラ回転速度Vr等)を調整することもできる。シミュレータはオンラインで各セルの温度を計算し、金属溶湯の板厚方向及び板排出方向の温度分布を算出する。そして、算出された温度分布が目標温度分布となるように運転条件が調整される。
(形態10)シミュレータによって算出された各セルの温度に基づいて、固相率が所定の割合(例えば、100、70,40%)となる点を特定し、その点を結ぶことで凝固ラインを取得する。取得した凝固ラインと目標凝固ラインの差(板厚方向と板排出方向のそれぞれの差)に基づいて運転条件を制御する。例えば、計算によって得られた凝固ラインの板厚方向と板排出方向の長さを数値化し、目標凝固ラインの板厚方向と板排出方向の長さを数値化する。そして、凝固ラインと目標凝固ラインの板厚方向と板排出方向のそれぞれの長さの差をなくすように運転条件を制御する。制御則には、PI制御、PID制御、LQ制御、H∞制御等を用いることができる。
(第1実施例) 図1は本発明の実施例に係わる金属シート製造装置の構成を模式的に示している。本実施例の金属シート製造装置10では、一対の冷却ローラ12、14が水平に配置されている。冷却ローラ12と冷却ローラ14の間には、所定の距離の間隙が設けられている。冷却ローラ12内には冷却水通路12aが設けられており、冷却ローラ14内には冷却水通路14aが設けられている。冷却水通路12a,14aはそれぞれ外部冷却水通路32と接続されており、外部冷却水通路32にはバルブ34が設けられている。バルブ34を調整することで、冷却水通路12a,14aに流れる冷却水の流量が調整される。冷却水通通路12a,14a内には温度センサ38(図1では冷却水通路14a内に配された温度センサのみを図示)が配されており、温度センサ38によって冷却水通路12a,14a内を流れる冷却水の温度が測定される。温度センサ38の出力はコントローラ40に入力される。
また、冷却ローラ12,14の外周面近傍には、冷却ローラ12,14の表面温度を測定するための温度センサ39(図1では冷却ローラ14の近傍に配された温度センサのみを図示)が配されている。温度センサ39には接触式又は非接触式の温度センサを用いることができる。温度センサ39の出力もコントローラ40に入力される。
ノズル16aの先端開口から冷却ローラ12,14の間隙に向けて送出された金属溶湯28は、表面張力によって冷却ローラ12,14の外周面に向けて広がり、冷却ローラ12,14の回転によって間隙に送り込まれる。間隙に送り込まれた金属溶湯28は、冷却ローラ12,14に接する部分から固化が始まり、中心部まで固化することによって金属シート30となって冷却ローラ12,14の間隙から送出される。なお、冷却ローラ12,14の間隙から送出された直後の金属シート30の表面温度は温度センサ31により測定される。温度センサ31には接触式又は非接触式の温度センサを用いることができる。温度センサ31の出力はコントローラ40に入力される。
また、溶湯保持炉18にはノズル20が設けられ、溶湯保持炉18内の金属溶湯28はノズル20からタンディシュ16内に供給される。ノズル20内には流量調整バルブ22が配されており、流量調整バルブ22によって溶湯保持炉18からタンディシュ16への溶湯供給量が調整される。
本実施例の状態推定器42は、(1)金属溶湯28の凝固状態を計算するための凝固モデルを作成し、(2)凝固モデルに基づいて各セルの温度を数値計算するシミュレータを構築し、(3)シミュレータを利用して凝固の動特性を表す状態空間方程式を取得し、(4)この状態空間方程式に基づいて設計される。上記(1)〜(4)のステップを順に説明する。
本実施例の凝固モデルは、冷却ローラ12,14の間隙及びその近傍の領域(図1の二点鎖線で囲まれた領域50(以下、モデル化領域という))をモデル化したものである。モデル化領域50の上端はタンデッシュ16のノズル16aの略先端に設定され、モデル化領域50の下端は冷却ローラ12,14の略回転中心に設定される。また、モデル化領域50の左端は金属溶湯28(金属シート30)の板厚方向中心に設定され、モデル化領域50の右端は冷却ローラ14内に設定される。したがって、モデル化領域50には金属溶湯28の他に冷却ローラ14の一部が含まれる。
なお、本実施例では、金属溶湯28(金属シート30)の板幅方向の温度分布は均一であると仮定して、モデル化領域50は板厚方向及び板排出方向についての2次元領域としている。また、金属溶湯28(金属シート30)の板厚方向の温度分布はその中心に対して対称であるとして、モデル化領域50は金属溶湯28(金属シート30)の板厚方向中心から一方向(すなわち、冷却ローラ14側)についてのみとしている。
本実施例のシミュレータは、上述した凝固モデル(モデル化領域50)の熱収支と物質収支の関係から各セルの温度を算出する。図4は凝固モデルの溶湯部についての熱収支と物質収支の関係を模式的に示している。
図4に示すように凝固モデルの溶湯部には、タンディシュ16のノズル16a(開口面積Ain)から金属溶湯28(温度Tin)が流速vinで流入する。したがって、溶湯部に流入する金属溶湯28の体積はAin×vinとなる。また、溶湯部に流入する金属溶湯28の熱量Qinは、溶湯部に流入する金属溶湯28の体積(Ain×vin)とその温度(Tin)によって決まる。ここで、ノズル16aの開口面積Ainは、(ノズル16aの板厚方向の間隔)×(1セルの板幅方向の長さ)×(1/2)である。
また、凝固モデルの溶湯部では、冷却ローラ12,14の間隙(開口面積Aout)から金属シート30(温度Tout)が速度(vout)で流出する。したがって、溶湯部から流出する金属シート30の体積はAout×voutとなる。また、金属シート30によって溶湯部から運び出される熱量Q1outは、金属シート30の体積(Aout×vout)とその温度(Tout)によって決まる。ここで、冷却ローラ12,14の間隙の開口面積Aoutは、(冷却ローラ12,14の間隙の板厚方向の間隔)×(1セルの板幅方向の長さ)×(1/2)である。
さらに、金属溶湯28は冷却ローラ14によって冷却されることから、溶湯部からローラ部に熱が移動する。溶湯部からローラ部に流れる熱量をQ2outとすると、溶湯部における熱収支ΔQは、Qin−(Q1out+Q2out)となる。すなわち、溶湯部全体の熱収支は次の式で表される。
ΔQ=Qin−(Q1out+Q2out)
隣接するセルの間の熱流束q1(すなわち、i番目のセルから(i+1)番目のセルへの熱流束)は、S×h×(Ti−Ti+1)となる(S;接触面積,h;熱伝達係数,Ti;i番目のセルの温度,Ti+1;(i+1)番目のセルの温度)。
また、金属溶湯28の移動に伴う熱移動量q2は、qn×Ss/Snとなる(qn;移動元セルの熱量,Ss;移動面積,Sn;移動元セルの面積)。各セルの移動面積Ssの和は、凝固による溶湯金属の収縮等を考慮しないと、流入した金属溶湯の総面積(総体積Ain×vin)となる。
ここで、溶湯部を構成する各セルの熱収支(q1+q2)から各セルの温度変化率(dT/dt)が決まり、また、溶湯部を構成する各セルの熱収支の和Σ(q1+q2)は、上述した溶湯部全体の熱収支ΔQと等しくなる。すなわち、Σ(q1+q2)=ΔQ=Qin−(Q1out+Q2out)となる。
図5に示すようにシミュレータは、まず、数値シミュレーションに必要な定数を計算する(S10)。ステップS10で計算する定数には、凝固モデルを構成する各セルの大きさ、熱伝達係数、熱容量等である。
次に、数値シミュレーションに必要な境界条件を設定する(S12)。境界条件としては、冷却水温度(ローラ冷却水部の温度)、ローラ外郭層温度(ローラ外郭部の温度)、金属溶湯温度(タンディシュから溶湯部に流入する金属溶湯の温度)等を設定する。
ステップS12で境界条件が設定されると、次に、動的に変化する可能性のあるデータを更新する(S14)。すなわち、直前のステップの計算によって変化したデータ(例えば、セルの温度上昇)に応じて、今回のステップの計算条件を変化させる。動的に変化する可能性のあるデータとしては、ロール間隙の変動に関する溶湯部のセルのデータや、各セルの温度に応じた固相率・熱伝達係数等のデータがある、
ステップS12、S14によって計算に必要なデータが整うと、次に、隣接するセル間の熱流量(熱移動量)を計算する(S16)。熱流量の計算は、金属溶湯28内の熱流量(溶湯部内のセル間の熱流量)、金属溶湯28と冷却ローラ14との間の熱流量(溶湯部のセルとローラ外郭部のセルとの間の熱流量)並びに冷却ローラ14と冷却水との間の熱流量(ローラ外郭部・ローラ冷却水コア部とローラ冷却水部との間の熱流量)について行う。
ステップS16で熱流量が計算されると、その算出された熱流量から各セルの温度変化率(dT/dt)を計算する(S18)。すなわち、凝固モデルのセル毎に、当該セルの総熱流量と熱容量から当該セルの温度変化率(dT/dt)(=総熱流量/熱容量)を算出する。
各セルの温度変化率(dT/dt)を算出すると、その温度変化率(dT/dt)から当該セルの次回ステップの温度を算出する(S20)。すなわち、現在の温度Tnに温度変化量(温度変化率×dt)を加算して、次回ステップの温度を算出する。
各セルの温度が算出されると、次に、計算終了条件(例えば、計算開始からの経過時間等)を満足するか否かを判定する(S22)。計算終了条件を満足するとそのまま処理を終了し、計算終了条件を満足しない場合はステップS12に戻って、ステップS12からの処理を繰り返す。
上述のようにしてシミュレータが構築されると、このシミュレータを利用して凝固の動特性を表す状態空間方程式を導出する。ここでは、部分空間同定法によって状態空間方程式を導出する手法について説明する。
まず、シミュレータへの入力データuと出力データyを決定する。本実施例では入力データuと出力データyを下記の通りに設定した。
u=[Ta Fw Vr]^T (^Tは転置を表す)
y=[y1 y2]^T
y1=[Tw Tr Ts Torq Lmo]^T
y2=[Lmo]^T
ここで、入力データuの各記号の意味は下記の通りである。Taはタンディシュ16から溶湯部へ流入する金属溶湯の温度(以下、金属溶湯温度という)、Fwは冷却ローラ14内を流れる冷却水の流量(以下、冷却水流量という)、Vrは冷却ローラ14の回転速度(以下、ローラ速度という)を表している。
また、出力データyの各記号の意味は以下の通りである。Twは冷却ローラ14内を流れる冷却水の冷却水温度(以下、冷却水温度という)、Trは冷却ローラ14の表面温度(以下、ローラ温度という)、Tsは金属シート30の表面温度(以下、金属シート温度という)、Torqは冷却ローラ14の回転トルク(以下、ローラ回転トルクという)、Lmoは凝固点位置を表している。
なお、出力データyとしてy1の他にy2を設定しているのは、下記の理由による。すなわち、部分空間同定法を用いた場合、状態推定器で得られる状態変数xが物理的に何を表しているのか不明となる。このため、出力y1の他に最終的に推定したい状態量(本実施例では凝固点位置Lmo)を出力y2として追加し、状態推定器によって凝固点位置の推定値のみが直接推定されるようにしている。
シミュレータでの具体的な計算手順としては、まず、入力データuとして定常運転状態の値を入力し、シミュレータから出力される出力データyが定常状態となったか否かを判定する。出力データyが定常状態となったと判定すると、次に、入力データuとしてランダム信号usを入力し、そのときの出力データysを観測する。
次に、上述の手順で得られた入力信号usと出力信号ysを所定のサンプリング時間(例えば、10ms)で離散化する。例えば、入力信号usを次に示すような行列データに離散化する。
us=[Ta(1) Ta(2) ・・・Ta(n)
Fw(1) Fw(2) ・・・Fw(n)
Vr(1) Vr(2) ・・・Vr(n)]^T
同様に、出力信号ysについても離散化し、行列データを作成する。
dx/dt=Ax+Bu
y=Cx+Du
ここで、xは状態変数であり、yは出力であり、uは制御入力である。状態変数x及び制御入力uは、例えば、下記のように設定することができる。
x=[Tw Tr Ts Torq Lmo]
u=[Ta Fw Vr]
なお、凝固モデルから状態空間方程式を求める方法としては、上述した部分空間同定法の他、部分空間同定法以外の同定手法を用いることができ、また、凝固モデルを表す微分方程式から直接、簡略化や線形化を行って解析的に求めることもできる。
凝固の動特性を表す状態空間方程式が得られると、この状態空間方程式に対して状態推定器42を構築する。状態推定器42としては、例えば、カルマンフィルタ(状態推定器の一種)を用いることができる。カルマンフィルタを用いた場合、カルマンゲインをL、観測出力をy、状態変数の推定値をx^とすると、次の式が成立する。
dx^/dt=Ax^+Bu+L(y−Cx^)
また、観測出力yとしては、金属シート製造装置10において計測可能な物理量を用いる。本実施例では、観測出力yに[Tw Tr Ts Torq]が設定され、これらの値が金属シート製造装置10で計測される。すなわち、冷却水温度Twは温度センサ38で計測され、ローラ温度Trは温度センサ39で計測され、シート温度Tsは温度センサ31で計測され、ローラ回転トルクTorqは冷却ローラ14を回転させるモータの負荷から計測される。状態推定器42は、計測された観測出力yの値と既知の制御入力uを用いて状態変数の推定値x^を算出する。状態変数の推定値x^に推定凝固点位置Lmo^が含まれていることから、状態推定器42によって推定凝固点位置Lmo^が算出される。
目標値算出器44は、ローラ温度Tr(冷却ローラ12,14の表面温度)又はローラ速度Vr(冷却ローラ12,14の回転速度)等に応じて目標となる凝固点位置Lmo*を算出する。例えば、図7に示すマップを用いて目標凝固点位置Lmo*を算出することができる。図7に示す例では、ローラ速度Vrに応じて目標凝固点位置が(+)方向又は(−)方向に移動する。図7において目標凝固点位置「0」は冷却ローラ12,14の回転中心であり、(+)方向は金属シート30の排出方向を(−)方向はタンディシュ16の方向である。したがって、図7に示すマップを用いると、ローラ速度Vrが速いほど目標凝固点位置Lmo*は金属シート30の排出方向に移動し、ローラ速度Vrが遅いほど目標凝固点位置Lmo*はタンディシュ16の方向に移動する。
なお、目標凝固点位置Lmo*は、ローラ速度Vrやローラ温度Tr以外の計測値やそれらの組合せに基づいて決定することもできる。
制御器46は、状態推定器42で得られる推定凝固点位置Lmo^が目標値算出器44で得られる目標凝固点位置Lmo*となるように、金属シート製造設備10への制御入力(金属溶湯温度Ta、冷却水流量Fw、ローラ回転速度Vr等)を調整する。例えば、制御器46は、目標凝固点位置Lmo*と推定凝固点位置Lmo^(現在値)の偏差eに所定のゲインを乗じることで制御入力ucを算出することができる。PID制御を適用した場合は、下記の式で制御入力が算出される。式中、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲイン、Kdは微分ゲインを表している。
uc=Kp×e+Ki×∫edt+Kd×(de/dt)
e=Lmo*−Lmo^
そして、上記の式によって算出された制御入力ucに応じて運転条件(金属溶湯温度Ta、冷却水流量Fw、ローラ回転速度Vr等)が調整される。例えば、金属溶湯温度Taを制御する場合、基準となる金属溶湯温度をTa0とすると、金属溶湯温度はTa0×(1+uc)に調整される。すなわち、制御器46は、温度センサ36で計測される温度に基づいてヒータ24を調整することで、溶湯保持炉18内の金属溶湯28を温度Ta0×(1+uc)に調整する。
なお、制御器46は、上述した凝固点位置をフィードバックするだけではなく、他の状態変数の推定値や、他のセンサ出力値(例えば、タンディシュ16内の金属溶湯28の液面高さ、金属シート30の板厚等)も併せてフィードバックする多入出力系として構成してもよい。また、制御則には、上述したPID制御の他、LQ制御、H∞制御等の現代制御を用いることもできる。
次いで、冷却ローラ12,14の回転速度Vrから目標凝固点位置Lmo*を算出する(S26)。具体的には、冷却ローラ12,14を回転させるモータの回転数から冷却ローラ12,14の回転速度Vrを算出し、その算出した回転速度Vrに応じて目標凝固点位置Lmo*を決定する(図7参照)。
ステップS28では、上述した状態推定器42によって推定凝固点位置Lmo^を算出する。すなわち、温度センサ38によって計測された冷却水温度Twと、温度センサ39によって計測されたローラ温度Trと、温度センサ31によって計測されたシート温度Tsと、モータの負荷から決定されたローラ回転トルクTorqを用いて、状態変数の推定値x^を演算する。そして、その演算で得られた推定値x^から推定凝固点位置Lmo^を決定する。
次に、ステップS26で算出された目標凝固点位置Lmo*とステップS28で算出された推定凝固点位置Lmo^の偏差に基づいて制御出力usを算出する(S30)。そして、ステップS30で算出された制御出力usに基づいて運転条件(金属溶湯温度Ta、冷却水流量Fw又はローラ回転速度Vr)を調整する(S32)。
ステップS34に進むと、コントローラ40は、金属シート製造装置10の停止命令が入力されているか否かを確認する。装置の停止命令が入力されているときには処理を終了する。装置の停止命令が入力されていないときは、ステップS24に戻って、ステップS24からの処理を繰り返す。
特に、金属溶湯の凝固状態を算出するための凝固モデルは、冷却ローラ12,14の外郭まで含んで構成されているため、金属溶湯28の凝固状態を精度よく推定することができる。このため、金属シート30の品質を高く保つことができる。
なお、第1実施例の説明から明らかなようにシミュレータは、板厚方向の温度分布がその中心に対して対称であるとして凝固状態を計算しているため、図10に示す温度分布も中心線に対して対象となっている。
まず、セル境界線100〜106(すなわち、隣接するセルの境界線)上の温度をそれぞれ決定する。セル境界線上の温度は、例えば、当該境界線近傍の各セルの温度を線形補間することで決定することができる。線形補間することで得られた温度は、図中、各境界線100〜106上の枠内に記載されている。
セル境界線上の温度を決定すると、次に、隣接するセル境界線上の温度の間に所望の温度(すなわち、500℃)の点が存在するか否かを判定する。図11に示す場合、例えば、境界線105は温度535℃であり、境界線103は温度485℃であり、境界線105と境界線103の間に500℃の点が存在する。同様に、境界線106と境界線101の間、境界線100と境界線102の間にも500℃の点が存在する。
所望の温度の点が存在する場合は、それら両境界線の温度と所望の温度との温度差に応じた位置を所望の温度の点とする。例えば、境界線105は535℃で境界線103は485℃であることから、境界線105との温度差は35℃で境界線103との温度差は15℃となる。したがって、境界線105の中心からの距離と境界線103の中心からの距離の比が7:3となる位置に500℃の点をプロットする。同様の手順で、境界線106と境界線101の間、境界線100と境界線102の間にも、500℃の点をプロットする。500℃の点がプロットできると、これらプロットした点を結ぶことで同一温度線を引くことができる。
凝固ラインの縦方向(板排出方向)の差を比較するためには、縦基準線1〜5のそれぞれについて、当該縦基準線上における基準位置(冷却ローラ12,41の回転中心)から凝固ラインまでの距離Dl(i)(i=1〜5)を測定する。推定凝固ラインと目標凝固ラインのそれぞれについて距離Dl(i)を測定すると、それら測定値に基づいて縦方向の評価値D1を算出する。推定凝固ラインについて測定された距離をDle(i)とし、目標凝固ラインについて測定された距離をDlr(i)とすると、評価値D1は下記の式で算出することができる。
D1=(1/n)×Σ[(Dle(i)−Dlr(i))/Dlr(i)](n=5)
評価値D1は凝固ラインL100,L67,L40のそれぞれについて算出し、それらの和を総合評価値D1’とする。なお、評価値D1は、凝固ラインL100,L67,L40に応じてそれぞれ重み付けを行い、重み付け後の数値を用いて総合評価値D1’を算出してもよい。
D2=(1/m)×Σ[(Dwe(j)−Dwr(j))/Dwr(j)](m=7)
評価値D2は凝固ラインL100,L67,L40のそれぞれについて算出し、それらの和を総合評価値D2’とする。評価値D2についても、凝固ラインL100,L67,L40に応じてそれぞれ重み付けを行い、重み付け後の数値を用いて総合評価値D2’を算出してもよい。
Vr=Vff+kp×D1’+ki×∫D1’dt
なお、制御則には、PI制御の他、PID制御、LQ制御、H∞制御等の公知の制御則を用いることができる。
なお、複数の凝固ラインについてそれぞれ評価する場合は、凝固ライン(すなわち、凝固率)に応じて制御対象(運転条件)を変えるようにしてもよい。例えば、凝固率が低い凝固ライン(例えば、凝固ラインL40)に基づいて時定数の大きな運転条件(例えば、金属溶湯28の温度)を調整し、逆に、凝固率の高い凝固ライン(例えば、凝固ラインL100)に基づいて時定数の小さな運転条件(冷却ローラ12,14の回転速度)を調整するようにしてもよい。
次いで、ステップS36で算出した凝固状態(推定凝固状態)と基準となる凝固状態(基準凝固状態)を比較する(S38)。具体的には、シミュレータで算出した推定凝固状態から得られた推定凝固ラインと基準凝固状態から得られた目標凝固ラインとを比較し、板排出方向と板厚方向の総合評価値D1’,D2’を算出する。
ステップS40では、推定凝固状態が基準凝固状態に対して上下方向にずれているか否か、すなわち、板排出方向の総合評価値D1’が「0」か否かを判定する(S40)。凝固状態が上下方向にずれている場合(ステップS40でYES)はステップS42に進んで、冷却ローラ12,14の回転速度Vrを調整する。具体的には、推定凝固状態が基準凝固状態に対して下方向にずれている場合は冷却ローラ12,14の回転速度Vrを下げ、推定凝固状態が基準凝固状態に対して上方向にずれている場合は冷却ローラ12,14の回転速度Vrを上げる。
ステップS44に進むと、次に、推定凝固状態が基準凝固状態に対して横方向にずれているか否か、すなわち、板厚方向の総合評価値D2’が「0」か否かを判定する(S44)。凝固状態が横方向にずれている場合(ステップS44でYES)はステップS44に進む。ステップS44では、冷却ローラ12,14内を流れる冷却水の温度の調整、その冷却水の流量の調整、冷却ローラ12,14の表面に塗布する離型剤の塗布量の調整、タンディシュ16から冷却ローラ12,14の間隙に供給される金属溶湯の温度の調整の少なくとも一つを実行する。
ステップS48では、金属シート製造装置10の停止命令が出されているか否かを確認する。装置停止命令が出されているときは処理を終了し、装置停止命令が出されていないときはステップS36に戻って、ステップS36からの処理を繰り返す。
また、金属溶湯部全体の横方向のずれを調整する場合は、冷却水の流量及び/又は離型剤の塗布量の調整を行う。かかる場合においては、全体のずれが小さく微調整でよいときは、時定数の大きな冷却水の流量調整で対応することができる。逆に、全体のずれが大きく微調整ですまないときは、時定数の小さい離型剤の塗布量調整で対応することができる。金属溶湯部全体のずれは、複数本の凝固ラインについての総合評価値D2’を算出することで判断することができる。
さらに、金属溶湯部の下部(金属シート30の排出口側)における横方向のずれを調整する場合は、冷却ローラ12,14の圧下荷重の調整を行う。かかる場合は、任意の時定数で対応することができる。なお、なお、金属溶湯部の下部における横方向のずれは、凝固率が高い凝固ライン(例えば、凝固ラインL100)を用いて判断することができる(図12参照)。
なお、第2実施例において金属溶湯の温度分布を算出するためのシミュレータは、第1実施例に記載した構成に限定されるものではなく、例えば、簡易的に金属溶湯部分のみをセル分割した凝固モデルに基づくシミュレータによって算出することもできる。
例えば、上述した各実施例では1対の冷却ローラが水平に配置された例であったが、例えば、冷却ローラを上下に並んで配置し、冷却ローラの側方に配置したノズル(タンディシュ)から冷却ローラの間隙に金属溶湯を直接送り出すような装置についても本技術は適用可能である。また、1対の冷却ローラを水平に配置し、冷却ローラの上方に金属溶湯の湯溜りを形成するような装置についても適用することができる。さらに、本発明の技術は、鉄、アルミ等の種々の金属を金属シートとする場合に適用することができる。
なお、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
12,14・・冷却ローラ
12a,14a・・冷却水通路
16・・タンディシュ
18・・溶湯保持炉
24・・ヒータ
28・・金属溶湯
30・・金属シート
40・・コントローラ
Claims (3)
- 対向して配置された回転する1対の冷却ローラの間隙に金属溶湯が供給され、供給された金属溶湯が冷却ローラの間隙を通過する間に冷却されて固化することで金属シートを製造する装置であり、
1対の冷却ローラの間隙及びその近傍に設定されたモデル化領域から所定の物理量を計測する物理量計測手段と、
計測された物理量を用いて金属溶湯の凝固状態を推定する推定器と、
推定器で得られた凝固状態に基づいて、冷却ローラの回転速度、冷却ローラの冷却能力、冷却ローラへの離型剤の塗布量、冷却ローラの圧下荷重、金属溶湯の温度、金属溶湯の供給量のうちの少なくとも一つを調整する制御器と、を有し、
前記推定器は、前記モデル化領域をモデル化した凝固モデルに基づいて金属溶湯の凝固状態を推定するものであって、その凝固モデルには、モデル化領域内の金属溶湯部分を複数のセルに分割した溶湯セル群と、モデル化領域内の冷却ローラ部分を複数のセルに分割したローラセル群とが含まれており、
前記推定器は、計測手段で得られた物理量を用いて凝固モデルを構成する各セルの温度を数値計算することで、金属溶湯の板厚方向及び板排出方向の温度分布を推定し、
前記制御器は、推定器で推定された推定温度分布から得られる固相率が所定値となる推定凝固ラインと基準温度分布から得られる凝固率が所定の割合となる基準凝固ラインの板厚方向のずれと板排出方向のずれのそれぞれに基づいて、推定器で推定された推定温度分布が基準温度分布となるように、冷却ローラの回転速度、冷却ローラの冷却能力、冷却ローラへの離型剤の塗布量、冷却ローラの圧下荷重、金属溶湯の温度、金属溶湯の供給量のうちの少なくとも一つを調整し、
金属シートの製造中に、物理量計測手段による計測値の読込みと、推定器による推定と、制御器による調整を、順番に繰り返し実行することを特徴とする金属シート製造装置。 - 前記制御器は、推定凝固ラインの板厚方向及び板排出方向の長さと基準凝固ラインの板厚方向及び板排出方向の基準長さとのそれぞれの差に基づいて、冷却ローラの回転速度、冷却ローラの冷却能力、冷却ローラへの離型剤の塗布量、冷却ローラの圧下荷重、金属溶湯の温度、金属溶湯の供給量のうちの少なくとも一つを調整することを特徴とする請求項1に記載の金属シート製造装置。
- 対向して配置された回転する1対の冷却ローラの間隙に金属溶湯を供給し、供給した金属溶湯が冷却ローラの間隙を通過する間に冷却されて固化することで金属シートを製造する方法であり、
1対の冷却ローラの間隙及びその近傍に設定されたモデル化領域から所定の物理量を計測する物理量計測工程と、
計測された物理量を用いて金属溶湯の凝固状態を推定する推定工程と、
推定された凝固状態に基づいて、冷却ローラの回転速度、冷却ローラの冷却能力、冷却ローラへの離型剤の塗布量、冷却ローラの圧下荷重、金属溶湯の温度、金属溶湯の供給量のうちの少なくとも一つを調整する調整工程と、を有し、
前記推定工程は、前記モデル化領域をモデル化した凝固モデルに基づいて金属溶湯の凝固状態を推定する工程であって、その凝固モデルには、モデル化領域内の金属溶湯部分を複数のセルに分割した溶湯セル群と、モデル化領域内の冷却ローラ部分を複数のセルに分割したローラセル群とが含まれており、
前記推定工程では、計測された物理量を用いて凝固モデルを構成する各セルの温度を数値計算することで金属溶湯の板厚方向及び板排出方向の温度分布を推定し、
前記調整行程では、推定された推定温度分布から得られる固相率が所定値となる推定凝固ラインと基準温度分布から得られる凝固率が所定の割合となる基準凝固ラインの板厚方向のずれと板排出方向のずれのそれぞれに基づいて、推定された推定温度分布が基準温度分布となるように、冷却ローラの回転速度、冷却ローラの冷却能力、冷却ローラへの離型剤の塗布量、冷却ローラの圧下荷重、金属溶湯の温度、金属溶湯の供給量のうちの少なくとも一つを調整し、
金属シートの製造中に、物理量計測工程と、推定工程と、調整工程を、順番に繰り返し実行することを特徴とする金属シート製造方法。
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