JP2019044293A - 不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚み内部における通気性に優れた不織布を提供する。
【解決手段】熱可塑性繊維を有し、第1面側Z1と第2面側Z2とを有する不織布10であって、第1面側Z1の外面繊維層1、第2面側Z2の外面繊維層2、第1面側Z1の外面繊維層1と第2面側Z2の外面繊維層2との間の複数の連結部3、及び連結部3間の中空部4を有し、中空部4は不織布10の平面方向に連続している不織布。
【選択図】図1

Description

本発明は不織布に関する。
生理用ナプキンやおむつなどの吸収性物品には不織布が用いられることが多い。この不織布について種々の機能を持たせる技術が知られている。
例えば、特許文献1には、両面を凹凸にした不織布が記載されている。前記両面の凹凸は、互いに反対方向に突出する第1突出部及び第2突出部を、環状の壁部を介して平面視交差する異なる方向のそれぞれに交互に配して形成されている。第1突出部及び第2突出部は、それぞれの反対面側に開口する内部空間を有し、内部空間同士は尾根部を介して隔てられており連続しない。
特許文献2には、第1層と第2層とを積層し、両層の接合部と非接合部とを交互に配した不織布が記載されている。該不織布は、前記非接合部において第1層が突出して内部が空洞とされた凸部、凸部の間の接合部に凹部を備える。凸部と凹部とは交互に且つ一方向に列をなすように配置されて、該列が多列に配置されている。この配列においては、互いの凸部の空洞部分は繋がっておらず閉ざされた構造とされている。
特開2012−136792号公報 特開2006−341455号公報
おむつや生理用ナプキン等の吸収性物品の内部は、身体に装着した状態において、肌からの汗や排泄物からの水蒸気等によって湿度が上がる。湿度が高すぎると、皮膚の赤みやかゆみ等の発生に繋がって肌に悪影響を与えてしまう。
不織布は、一般的にシート状にされた繊維集合体であるため空気の通り道が少なく、通気性を改善するために種々の検討がなされてきた。例えば、開孔を備えた不織布が挙げられる。しかし、これは厚み方向の開孔でしかなく、開孔部以外の不織布の内部は通気性が低い。吸収性物品内部における湿気を換気する程の通気性を得るためには、このような不織布にもさらに改善の余地がある。また、特許文献1や2のように内部空間を伴う凹凸形状によって厚みを持たせた不織布であっても、内部空間同士が隔てられているため、空気の移動性を高めて内部の湿度を十分低下させるには改善の余地がある。一方で、従来の不織布においては、無加圧下で内部空間同士が繋がっていても、押圧等によって該内部空間に潰れが生じ、却って通気性を阻害する。
本発明は、上記の問題点に鑑み、厚み内部における通気性に優れた不織布に関する。
本発明は、熱可塑性繊維を有し、第1面側と該第1面側の反対面側である第2面側とを有する不織布であって、前記第1面側の外面繊維層、前記第2面側の外面繊維層、前記第1面側の外面繊維層と前記第2面側の外面繊維層との間の複数の連結部、及び該連結部間の中空部を有し、該中空部は前記不織布の平面方向に連続している不織布を提供する。
本発明の不織布は、厚み内部における通気性に優れる。
本発明に係る不織布の好ましい一実施形態を模式的に示す一部断面斜視図である。 図1の不織布を表面シートとして用いた場合の具体例を模式的に示す一部切欠き斜視図である。 図1に示す不織布のA−A線断面図である。 図1に示す不織布のB−B線断面図である。 本実施形態の不織布の好ましい製造方法の一例を模式的に示す説明図であり、(A)は支持体雄材上に繊維ウエブを配し、支持体雌材を前記繊維ウエブ上から支持体雄材に押し込む工程を示す説明図であり、(B)は支持体雌材の上方から第1の熱風を吹き付けて繊維ウエブを賦形する工程を示す説明図であり、(C)は支持体雌材を取り除いて、賦形された繊維ウエブの上方から第2の熱風を吹き付けて繊維同士を融着させる工程を示す説明図である。 図5(B)の工程において、支持体雄材の突起、支持体雌材の突起、及び繊維が厚み方向に配向される予定の繊維の平面方向の配置を示す断面図である。
本発明に係る不織布の好ましい一実施形態について、図面を参照しながら、以下に説明する。
図1は、本実施形態の不織布10を示している。不織布10は第1面側Z1と、該第1面側Z1の反対面側である第2面側Z2とを有する。第1面側Z1と第2面側Z2とは、不織布10の表裏の面側である。
不織布10は、例えば生理用ナプキンや使い捨ておむつなどの吸収性物品の表面シート等に適用することができる。表面シートとして用いる場合、どちらの面を着用者の肌面に向けて用いてもよい。ただし、優れた通気性と柔らかな肌触りの観点からは、製造時において熱風があたる面とは反対側の面側である第1面側Z1を着用者の肌面側に向けて用いることが、繊維の融着点が比較的少なく風合いが滑らかなため好ましい。図2は、不織布10を、第1面側Z1を着用者の肌面側に向けて表面シート201として配したおむつ200の例を示している。すなわち、この例においては第1面側Z1の外面繊維層1が着用者の肌面側に向けられている。このおむつ200は、表面シート201のほか、着衣側の裏面シート202、表面シート201及び裏面シート202に挟まれた吸収体203を有する。さらに本例においては、サイドシートがなす横漏れ防止ギャザー207が設けられている。おむつ200は、背側Rのファスニングテープ206を腹側Fに固定して装着するテープタイプを示しているが、これに限定されずパンツタイプのものであってもよい。また、おむつ以外の例えば生理用ナプキン等、種々の吸収性物品に適用できる。なお、本実施形態においては、製造時に熱風があてられた面が第2面側Z2であるとしているが、不織布10と同一の形状を有していても、第1面側Z1から熱風をあて、第1面側Z1の繊維同士の融着点が多くなるようにしてもよい。また、後述するように、不織布10は第1不織布層5と第2不織布層6が積層された構造を有しているが、第2不織布層6を有しない第1不織布層5のみからなっていてもよい。
以下、図1に示した不織布10の第1面側Z1を肌面に向けて用いる実施態様を考慮して説明する。ただし、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。
本実施形態の不織布10は、熱可塑性繊維を有する。熱可塑性繊維は少なくとも一部の繊維同士が互いに交点で融着してなる。不織布10は、以下に示すように、従来のシート状の不織布とは異なる形状に賦形された厚みを有する。
具体的には図1、3及び4に示すように、不織布10は、第1面側Z1の外面繊維層1、第2面側Z2の外面繊維層2、第1面側Z1の外面繊維層1と第2面側Z2の外面繊維層2との間に配された複数の連結部3を備える(以下、第1面側Z1の外面繊維層1、第2面側Z2の外面繊維層2をそれぞれ、単に外面繊維層1、外面繊維層2ともいう。)。外面繊維層1及び外面繊維層2と連結部3とは相互に、少なくとも一部の繊維同士が融着して継ぎ目なく一体化している。不織布10は、連結部3が第1面側Z1の外面繊維層1と第2面側Z2の外面繊維層2とを連結して支えることで嵩高く厚みのあるものとなっている。不織布10の厚みとは、外面繊維層1、2や連結部3のみの局所の厚みではなく、不織布全体の賦形された形状における見掛け厚みを指すものである。本実施形態においては、第1面側Z1の表面と第2面側Z2の表面との間の厚みである。この厚みを不織布10の見掛け厚みともいう。
なお、不織布10において、外面繊維層1、2と連結部3と接続部分以外の各部位においても、熱可塑性繊維同士が少なくとも一部の繊維同士の交点で融着している。不織布10には熱可塑性繊維同士が融着しない交点があってもよい。また、不織布10は熱可塑性繊維以外の繊維を含んでもよく、熱可塑性繊維がそれ以外の繊維との交点で融着する場合を含む。
不織布10において、外面繊維層1及び2は、不織布10の両面の平坦面をなす。また、連結部3は、不織布10の厚み方向に起立した状態にある。連結部3は、柱のように外面繊維層1及び2に対して垂直に連結されていることが好ましい。
不織布10は、連結部3、3間に中空部4を有する。中空部4は不織布10内部において連結部3で区画された空間である。また、中空部4の表裏すなわち第1面Z1側及び第2面Z2側は、外面繊維層1、2で覆われており、厚み方向には開孔していないことが好ましい。
ここで言う「中空部」とは、実質的に不織布の繊維で満たされていない空間である。具体的には、中空部4は、不織布10の内部にあって、繊維量が20本/mm以下であることを言い、通気性の観点から繊維が配されない空間であることが好ましい。
(繊維量の測定方法)
上記の繊維量は以下のように測定される。
不織布10について測定対象の部位(例えば連結部間)を通るように厚み方向に切断する。走査電子顕微鏡を使用して切断面を拡大観察し、一定面積あたりの切断面中の切断されている繊維の断面を数える。拡大観察は、繊維断面が30本から60本程度計測できる倍率(150倍以上500倍以下)に調節する。次に1mmあたりの繊維の断面数に換算し、これを繊維密度(本/mm)とする。測定は、それぞれ3ヶ所行い、平均してそのサンプルの繊維密度とした。上記走査電子顕微鏡には、日本電子株式会社製のJCM−5100(商品名)を用いる。
中空部4は不織布10の平面方向に連続している。この「連続」とは、中空部4の、連結部3で区画された個々の領域が平面方向に繋がった状態ということができ、又は、1つの中空部が平面方向に延在している状態ということもできる。この連続により中空部4は貫通した通気路を形成している。中空部4がなす通気路においては、不織布の厚み内部(第1面側Z1の外面繊維層1と第2面側Z2の外面繊維層2の間)において、不織布の平面方向外方への排気がされ得る。排気の際、外面繊維層1、2を介した中空部4への吸気が生じ得る。これらにより不織布10の周辺及び内部における空気の代謝が行われる。この作用は、不織布10の厚み方向の押圧が契機となってより効果的に発現される。
このように不織布10は、外面繊維層1、2に挟まれた中空部4において、平面方向に空気が抜ける構造を備え、これにより不織布厚み内部の水平後方への通気性に優れる。そして、不織布10を吸収性物品の構成部材(例えば肌に当接する表面シート、表面シートと液保持性の吸収体との間の中間シート)として組み込むと、使用時の吸収性物品内の湿度を効果的に低減することができる。
中空部4は、不織布10における前記通気性をより優れたものとする観点から、平面視交差する異なる複数の方向に沿って連続していることが好ましい。
また不織布10は、中空部4を区画する連結部3、3が、外面繊維層1、2の平面を厚み方向に支える構造を有する。これにより、不織布10の立体構造が潰れ難く、押圧後の形状が回復しやすくされている。その結果、不織布10は、中空部4による不織布10内部の通気性が保たれ、不織布10を組み込んだ吸収性物品における湿度の低減作用を持続させて肌に優しい効果をもたらすことができる。
また、連結部3は、前述した立体構造を潰れ難くして中空部4の空間を保持する観点から、不織布10の厚み方向の高さと、外面繊維層1、2の延出方向に沿う不織布10の平面方向の延出長さ(幅)とを備えた壁面を有することが好ましい。さらに同様の観点から、連結部3の前記壁面が、前記不織布の平面視交差する異なる複数の方向に沿って配されていることが好ましい。
不織布10において、中空部4は、空気の移動を遮る障壁を有さず連なっていることが好ましく、直線状に連なっていることがより好ましい。これは、障害物や流路によって、空気の流れが曲げられることによる損失を減らし、前述した内部における通気を効果的に発現させるためである。同様に、障害物による損失を減らすため、中空部4がなす通気路は、不織布10の内部を平面方向に這う管状の空間であることが好ましい。また、前記通気路は、不織布10の端部にまで達していることが好ましい。
不織布10は、外面繊維層1、2と連結部3との厚み方向の立体構造によって、繊維量を増加させずに、通気路を確保するのに十分な厚み(嵩高さ)を備えるものとなる。そのため、不織布10は、単に繊維量を増やして厚みを持たせたものよりも、不織布を曲げた際抵抗なく曲がるため柔軟性を有する。
不織布10は、通気性を優れたものとする観点から、厚み及び坪量について次の範囲であることが好ましい。
不織布全体の見掛け厚みは、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、4mm以上が更に好ましい。また、見掛け厚みの上限は特に制限されるものでは無いが、吸収性物品の表面シートとして使用する場合、携帯性を良好なものとする観点から、10mm以下が好ましく、9mm以下がより好ましく、8mm以下が更に好ましい。
前記見掛け厚みを有する不織布10全体の坪量は、80g/m以下が好ましく、70g/m以下がより好ましく、60g/m以下が更に好ましい。また、坪量の下限は特に制限されるものでは無いが、不織布の地合を良好にし、空気の流路を首尾よく形成する観点から、8g/m以上が好ましく、10g/m以上がより好ましく、15g/m以上が更に好ましい。
(不織布10の見掛け厚み、坪量の測定方法)
(1)不織布の見掛け厚み測定方法:
測定対象の不織布を10cm×10cmに切る。10cm×10cmがとれない場合はできるだけ大きな面積に切る。レーザー厚み計(オムロン株式会社製ZSLD80)を使用し、50Paの荷重時の厚みを測定する。三箇所測定し、平均値を不織布10の見掛け厚みとする。
(2)不織布の坪量測定方法:
測定対象の不織布を15cm×15cmに切る。10cm×10cmがとれない場合はできるだけ大きな面積に切る。天秤を用いて、重さを測定、面積で割り坪量とする。
(3)なお上記(1)及び(2)の測定において、市販の吸収性物品を使用する場合は、コールドスプレー等の冷却手段で吸収性物品に用いられている接着剤を固化させ、測定対象の不織布を丁寧に剥がして測定する。この際、接着剤は有機溶媒を用いて取り除く。この手段は、本願明細書における他の不織布の測定に関して、すべて同様である。
次に、本実施形態における不織布10のより具体的な構造について図1、3及び4を参照して説明する。
本実施形態において、不織布10は、第1面Z1側の第1不織布層5と第2面Z2側の第2不織布層6との積層体である。不織布10は、具体的には以下の立体構造を有し、一方の面側に凹凸面を有する。
すなわち、第1不織布層5は、前述した第1面Z1側の外面繊維層1と連結部3とを備え、第2不織布6は、前述した第2面Z2側の外面繊維層2をなしている。第1不織布層5は、第1面Z1側に開口する凹部7を有し、凹部7と外面繊維層1とによって第1面Z1側の凹凸面8を備える。これに対し、第2不織布6は、略平坦な形状であり、不織布10の第2面Z2側の外面繊維層2として、第2面Z2側全体に亘って面状に連続的に配されている。第2不織布6は、完全に平坦でもよく、若干の高低差を有していてもよい。空気の流路確保の観点から平坦な方が好ましい。第2不織布6の高低差は、第1外面繊維層11及び凹部底部71の高低差よりも、小さいものである。ここ言う前記「略平坦」とは、凹凸の高低差が、第1外面繊維層11及び凹部底部71の高低差よりも小さいことである。
このように不織布10において、凹凸面8は、一方の面側である第1面側Z1に開口した凹部7が配されていることが好ましい。凹部7において吸気を可能にし、前述の通気性を高めることができる。また、不織布10の立体構造を維持しながら、凹部7における部分的な沈み込みを生じる特有のクッション性を発現させることができる。また、凹部7は、前述した連結部3がなす壁面に囲まれていることが圧縮時の形状回復性の観点から好ましい。凹部7と、連結部3を介した中空部4と関係については後述する。
さらに第1不織布層5において、凹部7は、第2面側Z2に、第1不織布5の繊維層からなる凹部底部71を有する。凹部底部71は、第2不織布層6に当接し接合されて、外面繊維層2の一部を構成している。すなわち、本実施形態における、第2面Z2側の外面繊維層2は、凹部7の配される位置で部分的に2層構造とされている。この2層構造は、第2面Z2側の平面方向に複数配されて、不織布10の第2面Z2側の強度を高め、第2面Z2側の変形を抑制する。該2層構造による支えよって、不織布10の立体構造の全体的な潰れが生じ難くされている。凹部7の空間は、凹部底部71を底部とし、連結部3を壁部として区画されている。連結部3は、外面繊維層1の端部と凹部底部71の端部とを連結している。
第1不織布層5と第2不織布層6との間に、前述した中空部4を有する。具体的には、中空部4は、第1不織布層5の外面繊維層1、連結部3、及び第2不織布層6がなす外面繊維層2とで囲まれる領域にある。中空部4は、凹部7とは異なり、前述のとおり表裏を外面繊維層1及び外面繊維層2で覆われて厚み方向の開口を有さない。中空部4は、凹部7とは、連結部3を共通の壁部として介在させて隣接している。この点については後で更に詳述する。
本実施形態の第1不織布層5において、第1面側Z1の外面繊維層1は2種の部分を有する。該2種の部分は、第1面側Z1に配される、第1外面繊維層11と第2外面繊維層12である。これらは、不織布10の平面視交差する異なる方向のそれぞれに沿って延出する長さを有する。延出する方向は、不織布10の辺に沿う互いに直交するX方向とY方向である。Y方向は不織布10の長手方向であり、X方向は不織布10の幅方向である。
前記2種の部分のうち、一方の第1外面繊維層11は、不織布10の平面視において、Y方向に連続して延出し、不織布10の長さ全体に亘って連続している。Y方向に延出した第1外面繊維層11は、Y方向と直交するX方向について、複数互いに離間して配されている。
他方の第2外面繊維層12は、X方向に延出しており、X方向に離間して並列する第1外面繊維層11、11の間を繋いで配されている。「第1外面繊維層11、11間を繋いで」いるとは、第1外面繊維層11を挟んで隣り合う第2外面繊維層12同士が直線状に並んでいることをいう。具体的には、第2外面繊維層12のX方向に延びる幅中心線と、第1外面繊維層11を挟んで隣り合った第2外面繊維層12のX方向に延びる幅中心線とのズレが、第2外面繊維層12の幅(Y方向の長さ)の範囲であることをいい、例えば5mm以内であることをいう。第2外面繊維層12は、第1外面繊維層11よりも第1面側Z1の位置が若干低く形成されている。そのため第2外面繊維層12は、第1外面繊維層11の介在によりX方向の長さが分断され、複数互いに離間しながらX方向に列をなしている。また、第2外面繊維層12の幅(Y方向の幅)は、第1外面繊維層11の幅(X方向の幅)よりも狭くされている。このような第2外面繊維層12のX方向の列は、更にY方向について複数互いに離間して配されている。なお、第2外面繊維層の形状は本実施形態のものに限定されず、例えば、前記第1面側Z1の位置や幅を第1外面繊維層11と同様にしてもよい。ただし、第2外面繊維層12を本実施形態のものとすることにより、押圧力の平面方向への波及を抑えることができ好ましい。
なお、上記のように外面繊維層1が延出方向の異なる複数種の部分を具備するとき、延出方向とされる「平面視交差する異なる方向」はX方向及びY方向に限定されない。不織布10の平面方向における交差する方向であれば種々の態様をとり得る。後述のように、不織布10の圧縮変形後の圧縮回復性ないしクッション性をより優れたものとする観点及び連結部の縦配向繊維が作成しやすい観点から、「平面視交差する異なる方向」の交差角度は、不織布を表面繊維の機械流れ(Machine Direction;MD)方向とこれに直交する幅方向(Cross Direction)との交差角度(90°)が最も好ましい。
第1不織布層5において、凹部底部71は、複数互いに離間して配されている。具体的には、凹部底部71は、第2面側Z2において、第1面側Z1の第1外面繊維層11、11の離間空間を覆い、外面繊維層11の延出方向(Y方向)に沿って複数互いに離間して列をなしている。さらに、凹部底部71のY方向の列は、Y方向と直交するX方向について、複数互いに離間して配されている。すなわち、凹部底部71はX方向にも配列されている。このように凹部底部71の配列方向は、外面繊維層1の延出方向に一致している。そのため、外面繊維層1の延出方向が上記X方向及びY方向と異なる方向を取る場合、外面繊維層2の配列方向もこれに応じて上記X方向及びY方向と異なる方向となる。
加えて、連結部3は2種の部分を有する。1つは、第1面側Z1の第1外面繊維層11と第2面側Z2の凹部底部71とを厚み方向に繋ぐ第1連結部31である。もう1つは、第1面側Z1の第2外面繊維層12と第2面側Z2の凹部底部71とを厚み方向に繋ぐ第2連結部32である。連結部3(第1連結部31及び第2連結部32)は、外面繊維層1及び凹部底部71の離間配置に合わせて、不織布10の平面方向に複数互いに離間して配されている。
連結部3は、外面繊維層1及び凹部底部71の端部同士を繋ぐ。より詳細には、第1連結部31は、第1外面繊維層11の端部11A及び凹部底部71の端部71Aを繋いでいる。一方、第2連結部32は、第2外面繊維層12の端部12A及び凹部底部71の端部71Aを繋いでいる。
連結部3は、前述のとおり厚み方向の高さと平面方向に延出する幅を有する壁面を有し、面で外面繊維層1と凹部底部71とを繋いでいる。連結部3がなす壁面は、不織布10の立体構造の維持、部分的な沈み込み及び良好な圧縮回復性の観点から、以下に示すように不織布10の平面視交差する異なる複数の方向に沿って配されていることが好ましい。
具体的には、第1連結部31は、第2面側Z2の凹部底部71のY方向の辺に一致する長さ(幅)を有し、第1面側Z1の第1外面繊維層11の延出方向に沿った壁面を備える。すなわち、第1連結部31の壁面はY方向に沿って配されている。一方、第2連結部32は、第2面側Z2の凹部底部71のX方向の辺に一致する長さ(幅)を有し、第1面側Z1の第2外面繊維層12の延出方向に沿った壁面を備える。すなわち、第2連結部32の壁面はX方向に沿って配されている。このように連結部3(第1連結部31及び第2連結部32)の壁面の沿う方向は、外面繊維層1の延出に一致している。そのため、外面繊維層1の延出方向が上記X方向及びY方向と異なる方向を取る場合、連結部3の壁面の沿う方向もこれに応じて上記X方向及びY方向と異なる方向となる。
第1連結部31と第2連結部32とは、前述のように交差した組み立て構造であるため、外面繊維層1、2を支える柱としての強度が高められている。これにより、不織布10は立体構造の形状保持性が高く、中空部4による高い通気性が保持される。
中空部4もまた2種の部分を有する。中空部4の1つは、第1外面繊維層11、第1連結部31及び外面繊維層2とで囲まれる領域にある第1中空部41である。もう1つは、第2外面繊維層12、第2連結部32及び外面繊維層2とで囲まれる領域にある第2中空部42である。
中空部4は、前述のとおり、通気性の観点から、不織布10の平面視交差する異なる複数の方向に沿って連続していることが好ましい。
本実施形態においては、第1中空部41は、第1外面繊維層11及び第1連結部31の延出方向(Y方向)に沿って延出し、Y方向に連続している。これにより第1中空部41は、Y方向に貫通した通気路41Aを形成している。一方、第2中空部42は、第2外面繊維層12及び第2連結部32の延出方向(X方向)に沿って延出し、前記Y方向と交差するX方向に連続している。これにより第2中空部42は、X方向に貫通した通気路42Aを形成している。これらの通気路41A及び通気路42Aはそれぞれ複数列、配されている。各々の通気路41Aと通気路42Aとは、交差する領域において互いに繋がり、連通する空間を形成している。このように第1中空部41及び第2中空部42からなる中空部4は、不織布10内部において、不織布10の平面方向の互いに交差する異なる方向(X方向とY方向)に繋がっている。
このように中空部4は、不織布10の平面方向の互いに交差する異なる方向(X方向とY方向)に連続するものを複数備えて、網目状に繋がっている。網目状に繋がった中空部4は、不織布10の繊維層(例えば、外面繊維層1、2、連結部3)による障壁がなく、通気路41A及び42Aの管状空間を通じて、縦横無尽に空気の移動が可能となっている。このように、中空部4が網目状に繋がっていることで、複数ある通気路の一部が潰れても、他の通気路と連携して空気の代謝を持続的に行うことができる。中空部4による通気の持続性は、中空部4を区画する連結部3が面で、外面繊維層1、2の平面を支える構造によって更に高められる。
なお、中空部4が繋がる方向は、不織布10の平面方向において、互い交差する異なる方向である限り、上記X方向及びY方向の2方向に限定されず種々の方向をとり得る。また、互いに交差する異なる方向が2方向に限らず3方向以上であってもよい。
中空部4がなす通気路の流路面積は、断面において、上記の作用を効果的に発現する観点から次の範囲とすることが好ましい。
第1中空部41がなす通気路41Aの流路面積は、断面において、流路ひとつ当たり1.5mm以上が好ましく、2.3mm以上がより好ましく、3mm以上が更に好ましい。また、通気路41Aの流路面積は、不織布の強度を担保する観点から、断面において、流路ひとつ当たり7.8mm以下が好ましく、7mm以下がより好ましく、6.2mm以下が更に好ましい。具体的には、通気路41Aの流路面積は、流路ひとつ当たり1.5mm以上7.8mm以下が好ましく、2.3mm以上7mm以下がより好ましく、3mm以上6.2mm以下が更に好ましい。
同様に、第1中空部42がなす通気路42Aの流路面積は、断面において、流路ひとつ当たり2.3mm以上が好ましく、3.5mm以上がより好ましく、4.5mm以上が更に好ましい。また、通気路42Aの流路面積は、不織布の強度を担保する観点から、断面において、流路ひとつ当たり11.6mm以下が好ましく、10.5mm以下がより好ましく、9.3mm以下が更に好ましい。具体的には、通気路42Aの流路面積は、2.3mm以上11.6mm以下が好ましく、3.5mm以上10.5mm以下がより好ましく、4.5mm以上9.3mm以下が更に好ましい。
また、通気路41Aの流路面積は、通気路42Aの流路面積より小さいことが好ましい。
(中空部4の通気路の流路面積の測定方法)
測定対象の不織布を、中空部が延びる方向に対して直角に切断し、中空部の切断面を得る。株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ(商品名:VHX−1000)で切断面が十分に視野に入り測定できる大きさ(10〜100倍)に拡大し、中空部4の面積、即ち通気路面積を測定する。
連結部3は、中空部4の空間を保持する観点から、繊維が不織布10の厚み方向に配向した部分であることが好ましい。
ここで、連結部3の繊維が不織布10の厚み方向に配向しているとは、後述する測定方法によって得られる、繊維の縦配向率が60%以上であることを意味する。連結部3が、この範囲の繊維の縦配向率を有することによって、不織布10の厚み方向において垂直に配置されていると言える。
連結部3は、繊維の縦配向率を60%以上とし、かつ繊維同士の一部融着を有していることによって、まるで柱のような状態で起立し、不織布10の厚み方向に適度な弾力を付与する。これに対し、従来の不織布の繊維においては本実施形態の連結部3のような繊維の縦配向率を有しないため、厚み方向に押圧した際に、作用した力に合わせて不織布は繊維間を埋めるように変形し、力に合わせて変形量は増加する。しかし、本実施形態では、連結部3は柱のようにして外面繊維層1及び2を支え、また厚み方向に垂直にあるため同方向からのわずかな力には耐えることができる。さらに本実施形態においては、大きな力を加えると柱が折れるように変形をする。つまり従来の不織布にはない、いわゆる座屈現象に近い変形が生じる(以下、座屈変形ともいう。)。ただし、不織布10は、座屈現象のように連結部が屈曲した場合でも、構成繊維による弾性力によって元の厚みを回復し得る。
上記で定義される連結部3の繊維の縦配向率は、クッション性の観点から、63%以上が好ましく、65%以上がより好ましく。68%以上が更に好ましい。その上限には特に制限は無いが、繊維同士の交点を作って融着点を形成し、繊維同士で柱状になって、力に耐える構造を作る観点から、縦配向率は90%以下が好ましく、85%以下がより好ましく、80%以下が更に好ましい。具体的には、連結部3の縦配向率は、63%以上90%以下が好ましく、65%以上85%以下がより好ましく、68%以上80%以下が更に好ましい。
本実施形態において、外面繊維層1及び外面繊維層2は、それぞれ不織布10の表裏(第1面側Z1、第2面側Z2)において、繊維が平面方向に配向した部分である。
ここで、「繊維が平面方向に配向している」とは、後述する測定方法によって得られる、繊維の縦配向率が45%未満であることを意味する。繊維の縦配向率を45%未満とすることで、繊維が平面方向に十分に並び、フラットな形状を保つことができる。平面方向に配向している外面繊維層は、不織布の形状保持や強度保持の観点から、繊維の縦配向率を0%以上とすることが好ましく、30%以上とすることがより好ましい。また、外面繊維層1及び外面繊維層2の繊維の縦配向率を40%未満とすることが通常のフラット不織布と同様平面と接地しやすいので好ましく、38%以下とすることがより好ましく、37%以下とすることが更に好ましい。
なお、連結部3は、繊維が平面方向に配向している外面繊維層1及び2と端部において継ぎ目なく接続されているため、その部分においては、平面方向に配向した繊維と厚み方向に配向した繊維とが混在する。この部分において上記の範囲の定義に該当する部分までを連結部3とする。なお、平面方向に配向した繊維と厚み方向に配向した繊維とが混在する部分においては、繊維の縦配向率が45%以上60%以上の斜め配向を示すようにされていることが好ましく、繊維の縦配向率が45%から少しずつ縦配向していき60%以上の十分な縦配向に移行していくことがより好ましい。
(連結部3並びに外面繊維層1及び2の繊維の縦配向率の測定方法)
(1)不織布の断面の作製
第1面側の外面繊維層1及び第2面側の外面繊維層2を通る、不織布の断面(縦断面)であって、連結部3が平面方向に延出する方向に直交し、該延出する長さの中央を通る位置における厚み方向の断面を作製する。または、不織布10が後述のように空間部4を有する場合は、第1面側の外面繊維層1及び第2面側の外面繊維層2を通る、不織布の断面(縦断面)であって、空間部4の中心を通る位置における厚み方向の断面を作製する。例えば、図1におけるA−A線、B―B線を通る厚み方向の断面(図3及び4)を作製する。図3に示すA−A線を通る厚み方向の断面は、第1連結部31が延出する不織布の長手方向(Y方向)に直交する断面である。図4に示すB―B線を通る厚み方向の断面は、第2連結部32が延出する不織布の幅方向(X方向)に直交する断面である。なお、上記断面は、測定対象の不織布を5mm×5mm以上切り取るものとする。
(2)連結部3並びに外面繊維層1及び2の繊維の縦配向率の測定
上記の厚み方向の断面をSEM(日本電子株式会社製JCM−5100)で35倍に拡大して観察する。観察画像に基準線として0.5mm×0.5mmの正方形の線を作製する。正方形の各辺(基準線)は、不織布断面における厚み方向及び平面方向それぞれと直交する辺とする。正方形の各辺からなる基準線に繊維が通過する延べ本数をそれぞれ数える。不織布の平面方向に直交する正方形の基準線を通る繊維を「横繊維本数」、不織布の厚み方向に直交する正方形の基準線を通る繊維を「縦繊維本数」と定義する。縦配向率として、(縦繊維本数)/(横繊維本数+縦繊維本数)×100=縦配向率(%)として算出する。それらを各4点測定し、平均したものを縦配向率の値とする。外面繊維層および連結部をそれぞれ切出し測定する。
連結部3は、上記の繊維の配向性を有することにより、中空部4の空間を区画する繊維層として、厚み方向の押圧力に対して潰れ難い。例え強い押圧力によって座屈変形しても、連結部3は、形状回復性が高いものとなる。すなわち、厚み方向に押し込む押圧力に対しては、連結部3の繊維の配向性により弾性を保持しつつ座屈変形して不織布10が沈み込み、圧縮変形が解かれると連結部3の繊維の弾性によって不織布10は元の見掛け厚みを回復する。これにより、不織布10は繰り返し触っても、クッション性が戻り、該クッション性の持続力の高いものとすることができる。
さらに、連結部3における上記の繊維配向により、不織布10の厚み方向の押圧力が加わったときに、該押圧力は、力点付近から平面方向に分散するよりも厚み方向に集中して作用しやすくなる。そのため、押圧力は平面方向への波及が抑えられ、不織布10は力点付近での部分的な沈み込みとなる。
このように連結部3における繊維の厚み方向の配向が、前述した連結部3の面によって外面繊維層1、2の平面を厚み方向に支える構造、中空部4が網目状に連結された構造と相俟って、不織布10の高い通気性を保持し、空気の代謝をより持続的に発現させることができる。
連結部3における繊維の厚み方向の配向は、前述した面の向きが異なる第1連結部31及び第2連結部32の少なくとも一方において備えることが好ましく、第1連結部31及び第2連結部32の両方において備えることがより好ましい。
本実施形態においては、面の向きが異なる第1連結部31及び第2連結部32のいずれにおいても、繊維が不織布10の厚み方向に配向している。これは、連結部3が不織布10の長手方向及び幅方向に関係なく、いずれの方向に向いていても繊維が厚み方向に配向していることを意味する。従来の不織布のように基本的にランダムに繊維が配向し融着された不織布を凹凸に賦形するだけでは、このように異なる複数の方向に向いた連結部3を厚み方向に配向したものとすることはできない。仮に配向があったとしても不織布製造時の機械流れ(MD)方向の1方向のみとなる。これに対し、本実施形態の不織布10は、どの方向に向く連結部3(本実施形態においては互いに直交する面を持つ連結部31及び32)においても上記で定義する、厚み方向の繊維配向を有する。
これにより、押圧力が垂直に加わる場合に限らず、傾斜した方向に加わる場合や多方向のせん断力として加わる場合でも、連結部3における前述した座屈変形が好適に生じて不織布10の適度な弾力性を伴う優れたクッション性が発現するのである。
次に、凹部7と、連結部3を介した中空部4と関係について説明する。
不織布10において、中空部4が配されない領域に、第1面Z1側に開口する凹部7が配されている。中空部4と凹部7とは、前述のとおり、連結部3を共通の壁部として介在させて隣接している。凹部7は、下記に示すような構成により、第1中空部41及び第2中空部42の両方に隣接する位置に配置されている。
凹部7は、平面方向の周囲を凹部底部71の四辺から立設された4つの連結部3の壁面に囲まれてなる。このような構成の凹部7は、X方向及びY方向に、複数互いに離間して配列されている。この配列において、凹部7同士は互いに連通することなく独立している。本実施形態において、凹部7を囲む4つの連結部3と凹部底部71とがなす形状は角柱体又は錐台の形状とされている。ただし、凹部7の形状はこれに限定されることなく、後述の作用を奏する限り種々の形状とすることができる。
凹部7を区画する前記4つの連結部3とは、2つの第1連結部31と2つの第2連結部32である。第1連結部31はY方向に沿う面を対向させて配置し、第2連結部32はX方向に沿う面を対向させて配置しており、これらが互いに交差して組み合わさっている。
凹部7は、1つの構成において、第1連結部31を介して第1中空部41と隣接し、第2連結部32を介して第2中空部42と隣接する。これにより、凹部7において、取り込んだ空気を、第1中空部41及び第2中空部42の両方へ同時に供給することができる。しかも、第1連結部31及び第2連結部32を介して、第1中空部41及び第2中空部42に側方から空気を送り込むことができる。これにより、不織布10において厚み方向の押圧があった場合でも、中空部4への吸気を継続的に行うことができる。
凹部7の存在は、前述の連結部3の繊維配向と相俟って、押圧力の不織布10の平面方向への波及を抑える作用をする。すなわち、凹部7の介在により、第1面Z1側の外面繊維層1は全体が沈み込み難くされている。これにより、不織布10において、前述した押圧力の力点付近に限定された圧縮変形(座屈変形)をより効果的に発現させることができる。このとき、凹部7を囲む連結部3同士の交差部分があることで、前記で定義される厚み方向の繊維配向と相俟って、不織布10全体の立体構造が維持されやすい。これにより連結部3の交差部分以外で座屈変形が生じた後の形状回復性が高く、クッション性を更に高めることができる。
さらに、凹部7が第1面側Z1に開口していることにより、押圧する人の身体、例えば指の肌表面が部分的に入ることができる。これにより、第1面側Z1から不織布10を押したときに、連結部3の座屈変形に伴う外面繊維層1の沈み込みのクッション感とともに、凹部7の部分において、よりふんわりとした感触を得ることができ好ましい。また、身体の肌表面が凹部7に重なると、凹部7の縁にある連結部3に応力が集中して連結部3の屈曲変形がより生じやすくなる。これにより、不織布10のクッション性がより好ましいものとなる。
本実施形態において、複数の独立した凹部7は、互いに離間しながら第1外面繊維層11によってY方向に連接されている。これにより、不織布10の第1面側Z1の面の形状が保持されやすく、押圧後の形状回復性がより優れたものとなり好ましい。また、第1外面繊維層11と第2外面繊維層12とが第1面側Z1における高さを異ならせていることにより、押圧力の不織布10の平面方向への波及が抑えられて好ましい。
凹部7は、上記の作用を効果的に発現する観点から、不織布10の第1面側Z1の面に占める面積率としては、5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上が更に好ましい。また、凹部7の前記面積率は、不織布強度並びに空気の通気路を確保する観点から、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下が更に好ましい。具体的には、凹部7の前記面積率は、5%以上90%以下が好ましく、10%以上80%以下がより好ましく、15%以上70%以下が更に好ましい。
(凹部7の面積率の測定方法)
株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ(商品名:VHX−1000)で上面から測定する部位が十分に視野に入り測定できる大きさ(10倍以上100倍以下)に拡大し、凹部7の面積を測定、全体から割合を算出して面積率とする。
次に、本実施形態の不織布10の製造方法の好ましい一実施形態について、図5を参照して以下に説明する。
本実施形態の不織布10の製造方法においては、不織布化する前の繊維ウエブ110を賦形するための支持体雄材120と支持体雌材130とを用いる。図5(A)に示すように、支持体雄材120の上に繊維ウエブ110を載置し、繊維ウエブ110の上から支持材雌材130で抑えて挟み込んで賦形する。なお、繊維ウエブ110は最終的に第1不織布層5となる。
支持体雄材120は、第1不織布層5の凹部7を囲む4つの連結部3及び第2面側Z2の凹部底部71が賦形される位置に対応して複数の突起121を有する。支持体雄材120の突起121、121間は、第1不織布層5の第1面側Z1の外面繊維層1が賦形される位置に対応する凹部122とされている。これにより、支持体雄材120は凹凸形状を有しており、突起121と凹部122とが平面視異なる方向に交互に配されている。支持体雄材120の凹部122の底部123は熱風が吹き抜ける構造となっており、例えば複数の孔が配されている(図示せず)。なお、前記「異なる方向」は、不織布10を製造する支持体としては、不織布10におけるY方向(長手方向)とX方向(幅方向)に一致する方向であることが好ましい。Y方向は本製造方法における機械流れ方向に相当し、X方向は機械流れ方向に直交する幅方向に相当する。ただし「異なる方向」は、本発明の不織布の凹凸構造によって異なるものであり、Y方向及びX方向に限定されない。
支持体雌材130は、支持体雄材120の凹部122に対応する格子状の突起131を有する。支持体雌材130の突起131、131間は、支持体雄材120の突起121に対応する凹部132とされている。これにより、支持体雌材130は凹凸形状を有しており、突起131と凹部132とが平面視異なる方向に交互に配されている。支持体雌材130の凹部132の底部133は熱風が吹き抜ける構造となっており、例えば複数の孔が配されている。支持体雌材130の突起131、131間の距離は、支持体雄材120の突起121の幅よりも広くされている。その距離は、支持体雄材120の突起121と支持体雌材130の突起131とで繊維ウエブ110を挟み込んで繊維が厚み方向に配向する連結部3を好適に賦形できるよう適宜設定される。
まず、本実施形態においては、融着する前の繊維ウエブ110を所定の厚みとなるようカード機(図示せず)からウエブを賦形する装置に供給する。繊維ウエブ110は、最終的に第1不織布層5となる原料である。
次いで、図5(A)に示すように、支持体雄材120上に、熱可塑性繊維を含む繊維ウエブ110を配し、繊維ウエブ110上から、支持体雌材130を支持体雄材120に押し込む。このとき、支持体雄材120の突起121と支持体雌材130の凹部132とが嵌合する。また、支持体雄材120の凹部122と支持体雌材130の突起131とが嵌合する。これにより繊維が厚み方向と平面方向に配向された形状を作る。
この状態で、図5(B)に示すように支持体雌材130の側から繊維ウエブ110に対し第1の熱風W1を吹き付ける。すなわち、不織布10における第2面となる側から第1の熱風W1を吹き付ける。これにより、繊維ウエブ110は不織布10の凹凸形状を保持可能な程度に融着される。繊維ウエブ110においては、繊維同士が極めて緩く融着している状態となっている。
繊維ウエブ110においては、不織布とは異なり、繊維の移動の自由度が高い。そのため、支持体雄材120の突起121の周囲のいずれの方向に向いた面においても繊維が厚み方向(縦方向)に配向しやすくされている。
より具体的には、繊維ウエブ110に向けて支持体雌材130側から第1の熱風W1を吹き付けると、支持体雄材120の突起121の壁面と支持体雌材130の突起131の壁面との間に繊維が厚み方向に配向する、第1不織布層5の連結部3が賦形される。このとき、繊維ウエブ110では繊維同士の交点の融着が形成されていないので、繊維の移動性が高く、繊維の向きを第1の熱風W1の吹き抜け方向に揃えることができる。より具体的には、図5(B)及び図6に示すように、支持体雄材120の突起121の四方の壁面とこれを囲む支持体雌材130の突起131の壁面とに挟まれた領域で、繊維ウエブ110の繊維が揃えられる。すなわち、突起121の機械流れ方向(Y方向)に沿う壁面131A、幅方向(X方向)に沿う壁面131Bのいずれにおいても、面の向きに関係なく、繊維が第1の熱風W1の吹き抜け方向に揃えられる。これにより、不織布10の連結部3における繊維が厚み方向に配向した構成を形成することができる。
さらに、突起121の頂部と凹部132の底部との間では、第1の熱風W1の吹き抜けが抑えられ、繊維が平面方向で融着される。これにより、第2面側Z2の外面繊維層2に相当する繊維層が賦形される。また、凹部122の底部と突起部131の頂部との間で、繊維が平面方向に配向する。突起部131は熱風を阻害しているので、形成される繊維層には融着が少なく、滑らかな繊維層が得られる。これにより、第1面側Z1の外面繊維層1に相当する繊維層が賦形される。このとき厚み方向に配向している連結部の形状も保持される。
なお、図面矢印は第1の熱風W1の流れを模式的に示している。
第1の熱風W1の温度は、熱可塑性繊維が縦配向形状に保持できる温度に設定される。この種の製品に用いられる一般的な繊維材料を考慮すると、繊維ウエブ110を構成する熱可塑性繊維の融点に対して0℃以上70℃以下高いことが好ましく、5℃以上50℃以下高いことがより好ましい。
第1の熱風W1の風速は、効果的に融着させる観点から、2m/s以上が好ましく、3m/s以上がより好ましい。また、第1の熱風W1の風速は、装置規模をコンパクトにできる観点から、100m/s以下が好ましく、80m/s以下がより好ましい。
このようにして、繊維ウエブ110を仮融着させて凹凸形状に保持する(以下、この繊維ウエブ110を凹凸繊維ウエブ111という。)。
なお、支持体雄材120の突起121の高さ及び支持体雄材130の突起131の高さは、製造する不織布10の見掛け厚み等によって適宜決定される。例えば、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上が更に好ましく、また、15mm以下が好ましく、10mm以下がより好ましく、9以下が更に好ましい。具体的には、2mm以上15mmが好ましく、3mm以上10mm以下がより好ましく、5mm以上9mm以下が更に好ましい。
次に、支持体雌材130を取り外し、図5(C)に示すように、凹凸繊維ウエブ111を支持体雄材120に沿わせた状態のまま、凹凸繊維ウエブ111の露出面(支持体雄材120とは反対側の面)に、第2不織布層6となる別の繊維ウエブ140を載置する。次いで、凹凸繊維ウエブ111及び繊維ウエブ140の各繊維が適度に融着可能な温度の第2の熱風W2を吹きつけて、繊維同士をさらに融着させる。この場合も第1の熱風W1と同様に、凹凸繊維ウエブ111及び繊維ウエブ140に対し、不織布10における第2面となる側から第2の熱風W2を吹き付ける。このときの第2の熱風W2の温度は、この種の製品に用いられる一般的な繊維材料を考慮すると、繊維ウエブ110を構成する熱可塑性繊維の融点に対して0℃以上70℃以下高いことが好ましく、5℃以上50℃以下高いことがより好ましい。
第2の熱風W2の風速は、支持体雄材120の突起121の高さにもよるが、2m/s以上が好ましく、3m/s以上がより好ましい。これにより、繊維への熱伝達を十分なものとして繊維同士を融着させ、凹凸形状の固定を十分なものとすることができる。また、第2の熱風W2の風速は、100m/s以下が好ましく、80m/s以下がより好ましい。これにより、繊維へ過度な熱伝達を抑えて、不織布10の風合いを良好なものとすることができる。
なお、支持体雌材の表面粗さを小さくすることで、第1の熱風W1の吹き付けの工程を省略することが可能である。表面粗さを小さくすることで、融着していない繊維をまとわりつかせることがなく、第2の熱風W2の吹き付けの工程での支持体雌材取り外しが可能である。つまりウエブを作製後、支持体雄材と雌材を嵌合し、そのまま雌材を取り外し、熱風W2で処理をすることが可能である。これにより、より簡便な加工となる。
熱可塑性繊維としては、不織布の素材として通常用いられるものを特に制限なく採用できる。例えば、単一の樹脂成分からなる繊維や、複数の樹脂成分からなる複合繊維などであってもよい。複合繊維としては、例えば芯鞘型、サイドバイサイド型などがある。
熱可塑性繊維として低融点成分及び高融点成分を含む複合繊維(例えば鞘が低融点成分、芯が高融点成分の芯鞘型複合繊維)を用いる場合、繊維ウエブ110、凹凸繊維ウエブ110及び繊維ウエブ140に吹き付ける熱風の温度は、低融点成分の融点以上で、かつ高融点成分の融点未満であることが好ましい。より好ましくは、低融点成分の融点以上高融点成分の融点より10℃低い温度であり、さらに好ましくは、低融点成分の融点より5℃以上高く高融点成分の融点より20℃以上低い温度である。また弾力性の観点から、芯鞘型複合繊維の中でも、高融点成分である芯が多いほど弾力性が高い。そのため断面面積比で芯成分が大きいほうが好ましい。
以上説明したようにして、不織布10が作製される。支持体雄材120の突起122と支持体雌材130の突起131との間においては、繊維ウエブ110の繊維が揃って厚み方向に配向し、第1不織布層5の連結部3が形成される。このとき突起121の周囲のいずれの方向に向いた面においても、繊維が厚み方向(縦方向)に配向した連結部3が形成される。これにより、第1不織布層5が有する、4つの連結部3に囲まれた凹部7が形成される。加えて、突起121の頂部と凹部132の底部との間で、第1不織布層5の凹部底部71が形成される。また、凹部122の底部と突起部131の頂部との間に繊維が平面方向に配向する、第1不織布層5の第1面側Z1の外面繊維層1が形成される。繊維ウエブ140は平坦なまま繊維同士が融着して、第2不織布層6からなる第2外面繊維層2が形成される。これにより、第1不織布層5の外面繊維層1、連結部3、第2不織布層6(外面繊維層2)に囲まれた中空部4が形成される。
得られた不織布10は、図5(C)における下側の面が第1面側Z1であり、その反対側の面が第2面側Z2となる。つまり、不織布10における第1面側Z1は支持体雄材120が配された側であり、第2面側Z2は第1の熱風W1及び第2の熱風W2が吹き付けられた側である。そのため、第1の熱風W1の吹き付け量の相違から、第1面側Z1の外面繊維層1よりも、第2面側Z2の外面繊維層2の繊維量が少なくなる。また、第1面側Z1の外面繊維層1よりも、第2面側Z2の外面繊維層2の繊維同士の融着点が多くなる。さらに、熱量の相違から、第2面側Z2の外面繊維層2の表面よりも、第1面側Z1の外面繊維層1の表面が、ざらつき感が少なく肌触りがよいものとなる。第1の熱風W1の吹き付けの工程を省略しても、第2の熱風W2からの距離により同様の効果が得られる。また、支持体を嵌合することで、支持体雌材130側の繊維(不織布10における第2面側Z2の外面繊維層2となる繊維)は引っ張られてより支持体雄材120へと向かう。そのため支持体雄材120の凹部122の底部に賦形された第1面側Z1の外面繊維層1よりも、支持体雄材120の突起121の頂部に賦形された第2面側Z2の外面繊維層2の繊維量が少なくなる。
本実施形態の製造方法においては、不織布10の厚みは、支持体雄材120の突起121及び支持体雌材130の突起131の高さによって、適宜決定される。例えば、突起の高さを高くするとシートの見掛け厚みが厚くなり、低くするとシートの見掛け厚みが薄くなる。一方、風速を速くするとシートの見掛け厚みが厚くなり、遅くするとシートの見掛け厚みが薄くなる。また、突起の高さを高くすると不織布10の繊維密度が低くなり、低くするとシートの不織布10が高くなる。一方、風速を速くすると不織布10の繊維密度が低くなり、遅くすると不織布10の繊維密度が高くなる。
本発明の不織布は各種用途に用いることができる。例えば、成人用や乳幼児用の使い捨ておむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー、尿取りパッド等の吸収性物品の表面シートとして好適に使用することができる。さらに押圧力時の変形特性に優れていることから、おむつや生理用品等の表面シートと吸収体との間に介在させるサブレイヤー、吸収体の被覆シート(コアラップシート)などとして用いることもできる。その他、吸収性物品の表面シート、ギャザー、外装シート、ウイングとして利用する形態も挙げられる。さらに、おしり拭きシート、清掃シート、フィルター、温熱具の被覆シートとして利用する形態も挙げられる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の不織布を開示する。
<1>
熱可塑性繊維を有し、第1面側と該第1面側の反対面側である第2面側とを有する不織布であって、前記第1面側の外面繊維層、前記第2面側の外面繊維層、前記第1面側の外面繊維層と前記第2面側の外面繊維層との間の複数の連結部、及び該連結部間の中空部を有し、該中空部は前記不織布の平面方向に連続している不織布。
<2>
前記中空部は、前記不織布の平面視交差する異なる複数の方向に沿って連続している前記<1>に記載の不織布。
<3>
前記不織布の平面視交差する異なる複数の方向のうち不織布の長手方向において、前記中空部が連続してなる通気路の流路面積は、断面において、流路ひとつ当たり1.5mm以上7.8mm以下であり、好ましくは2.3mm以上、より好ましくは3mm以上であり、また、好ましくは7mm以下、より好ましくは6.2mm以下である前記<2>に記載の不織布。
<4>
前記不織布の平面視交差する異なる複数の方向のうち不織布の幅方向において、前記中空部が連続してなる通気路の流路面積は、断面において、流路ひとつ当たり2.3mm以上11.6mm以下であり、好ましくは3.5mm以上、より好ましくは4.5mm以上であり、また、好ましくは、10.5mm以下、より好ましくは9.3mm以下である前記<2>又は<3>に記載の不織布。
<5>
前記長手方向において前記中空部が連続してなる通気路の流路面積は、前記幅方向において前記中空部が連続してなる通気路の流路面積より小さい前記<4>記載の不織布。
<6>
前記連結部の繊維が前記不織布の厚み方向に配向している前記<1>〜<5>のいずれか1に記載の不織布。
<7>
前記連結部の繊維の縦配向率が60%以上90%以下であり、好ましくは63%以上、より好ましくは65%以上であり、また、好ましくは85%以下、より好ましくは80%以下である前記<6>に記載の不織布。
<8>
前記連結部の繊維の縦配向率が65%以上80%以下である前記<6>に記載の不織布。
<9>
前記連結部が、前記不織布の厚み方向の高さと、前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層の延出方向に沿う不織布の平面方向の幅とを備えた壁面を有し、該壁面が、前記不織布の平面視交差する異なる複数の方向に沿って配されている前記<1>〜<8>のいずれか1に記載の不織布。
<10>
前記不織布の前記第1面側に凹凸面を有する前記<1>〜<9>のいずれか1に記載の不織布。
<11>
前記不織布の前記第1面側の外面繊維層が、前記不織布の平面視交差する異なる方向のそれぞれに沿って延出する長さを有する2種を有する前記<10>に記載の不織布。
<12>
前記第1面側における前記2種の外面繊維層のうちの一方の外面繊維層は、前記不織布の平面視において長手方向に連続して延出し、前記長手方向と直交する幅方向について、複数互いに離間して配されている前記<11>記載の不織布。
<13>
前記第1面側における前記2種の外面繊維層のうちの他方の外面繊維層は、前記不織布の平面視において前記幅方向に延出して前記一方の外面繊維層の間を繋いで配されている前記<12>に記載の不織布。
<14>
前記第1面側において、前記他方の外面繊維層は、前記一方の外面繊維層よりも前記不織布の一方の面側の位置が低くされている前記<13>に記載の不織布。
<15>
前記第1面側において、前記他方の外面繊維層の前記長手方向における幅は、前記一方の外面繊維層の前記幅方向の幅よりも狭くされている前記<13>又は<14>に記載の不織布。
<16>
前記連結部が、前記不織布の厚み方向の高さと、前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層の延出方向に沿う不織布の平面方向の幅とを備えた壁面を有し、
前記凹凸面には、前記壁面に囲まれ、前記第1面側に開口する凹部が配されている前記<10>〜<15>のいずれか1に記載の不織布。
<17>
前記凹部は前記第2面側に凹部底部を有し、
前記凹部底部は、前記第2面側において、前記第1面側の外面繊維層の離間空間を覆い、前記第1面側の外面繊維層の延出方向である前記不織布の長手方向に沿って複数互いに離間して列をなしている、前記<16>に記載の不織布。
<18>
前記凹部底部がなす長手方向の列は、該長手方向と直交する幅方向に、複数互いに離間して配されている前記<17>に記載の不織布。
<19>
前記凹部同士は互いに連通することなく独立している前記<16>〜<18>のいずれか1に記載の不織布。
<20>
前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層が、前記中空部の表裏を覆っている前記<1>〜<19>のいずれか1に記載の不織布。
<21>
前記中空部は、前記不織布内部において前記連結部で区画された空間である前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の不織布。
<22>
前記中空部の表裏が前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層で覆われており、前記中空部が厚み方向には開孔していない前記<1>〜<21>のいずれか1に記載の不織布。
<23>
前記中空部は、繊維量が20本/mm以下であり、好ましくは繊維が配されない空間である前記<1>〜<22>のいずれか1に記載の不織布。
<24>
前記中空部は、前記不織布の平面視交差する異なる複数の方向に沿って連続して通気路をなしており、
前記通気路は、不織布の端部にまで達している前記<1>〜<23>のいずれか1に記載の不織布。
<25>
前記不織布の見掛け厚みが、2mm以上10mm以下であり、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上であり、また、好ましくは9mm以下、より好ましくは8mm以下である前記<1>〜<24>のいずれか1に記載の不織布。
<26>
前記不織布の見掛け厚みが、4mm以上8mm以下である前記<1>〜<24>のいずれか1に記載の不織布。
<27>
前記不織布全体の坪量は、8g/m以上80g/m以下であり、好ましくは70g/m以下、より好ましくは60g/m以下であり、また、好ましくは10g/m以上、より好ましくは15g/m以上である前記<1>〜<26>のいずれか1に記載の不織布。
<28>
前記不織布は、前記第1面側の外面繊維層と前記連結部とを有する第1不織布層と、前記第2面側の外面繊維層をなす第2不織布層との積層体である前記<1>〜<27>のいずれか1に記載の不織布。
<29>
前記第1不織布層は、前記第1面側に開口する凹部を有し、前記凹部と前記第1面側の外面繊維層とによって前記第1面側の凹凸面を備える前記<28>記載の不織布。
<30>
前記第2不織布は、略平坦な形状であり、前記第2面側全体に亘って面状に連続的に配されている前記<28>又は<29>記載の不織布。
<31>
前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層において、繊維が平面方向に配向している前記<1>〜<30>記載の不織布。
<32>
前記<1>〜<31>のいずれか1に記載の不織布を有する吸収性物品。
<33>
前記<1>〜<31>のいずれか1に記載の不織布の、製造時において熱風があたる面とは反対側の面である一方の面側を着用者の肌面側に向けて表面シートとして有する吸収性物品。
<34>
前記<1>〜<31>のいずれか1に記載の不織布の、製造時において熱風があたる面である他方の面側を着用者の肌面側に向けて表面シートとして有する吸収性物品。
<35>
複数の突起と該複数の突起の間に配された複数の凹部を有する支持体雄材の上に、繊維ウエブを載置し、該繊維ウエブの上から、前記支持体雄材の突起及び凹部に対応する凹部及び突起を有する支持体雌材で抑え込んで賦形する工程を有する不織布の製造方法。
<36>
前記支持体雄材及び前記支持体雌材の凹部の底部は熱風が吹き抜ける構造になっており、前記繊維ウエブを挟んで、前記支持体雄材及び前記支持体雌材が嵌合した状態で、熱風を吹きつける工程を有する前記<35>記載の不織布の製造方法。
<37>
前記支持体雌材を取り外し、
前記繊維ウエブを前記支持体雄材に沿わせた状態のまま、前記繊維ウエブの支持体雄材とは反対側の面に、別の繊維ウエブを載置し、
両方の繊維ウエブに熱風を吹きつけて、繊維同士をさらに融着させる前記<35>又は<36>記載の不織布の製造方法。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」は、特に断らない限りいずれも質量基準である。
(実施例1)
図1に示す不織布を、繊維径1.2dtexの芯鞘型(ポリエチレンテレフタレート(PET)/ポリエチレン(PE)=5:5)の熱可塑性繊維を用い、図5に示す工程を含むエアスルー製造方法によって作製した。これを実施例1の不織布試料とした。第1の熱風W1による吹き付け処理は、温度160℃、風速54m/s、吹き付け時間3秒の条件で行った。第2の熱風による吹き付け処理は、温度160℃、風速6m/s、吹き付け時間3秒の条件で行った。
実施例1の不織布試料S1は、図1に示す網目状に繋がった中空部4を有していた。具体的には、第1中空部41が不織布試料S1の長手方向であるY方向に連続し、第2中空部42が不織布試料S1の長手方向と直交する幅方向であるX方向に連続していた。第1中空部41と第2中空部42とは交差する部分で繋がり、不織布試料S1全体として中空部4が網目状に繋がっていた。
また、実施例1の不織布試料は、前述の定義に該当する連結部3を備えていた。
さらに、実施例1の不織布試料は、第1面Z1側に開口した凹部7を有していた。
(実施例2)
図1に示す不織布を、繊維径2.9dtexの熱可塑性繊維を用い、図5に示す工程を含むエアスルー製造方法によって作製した。これを実施例2の不織布試料とした。第1の熱風W1による吹き付け処理は、温度160℃、風速54m/s、吹き付け時間3s条件で行った。第2の熱風による吹き付け処理は、温度160℃、風速6m/s、吹き付け時間3s条件で行った。
実施例2の不織布試料において、実施例1と同様に、第1中空部41と第2中空部42とが網目状に繋がっていた。
(比較例)
繊維径1.2dtexの熱可塑性繊維を用い、エアスルー製造方法によって凹凸賦形しないフラットな不織布を作製し、比較例の不織布試料とした。
(参考例)
前述した特許文献1の図1に示す形状の凹凸不織布を、繊維径1.2dtexの熱可塑性繊維を用い、同文献の明細書の段落[0031]に記載の製造工程を含むエアスルー製造方法によって作製した。これを参考例の不織布試料とした。第1の熱風W1による吹き付け処理は、温度160℃、風速54m/s、吹き付け時間3秒の条件で行った。第2の熱風による吹き付け処理は、温度160℃、風速6m/s、吹き付け時間3秒の条件で行った。
参考例の不織布試料では、第1面側の第1突出部及び第2面側の第2突出部はともに、頂部に丸みのある円錐台形状又は半球状であった。この頂部について前述の(連結部3の繊維の縦配向率の測定方法)に準じた測定を行ったところ、頂部の繊維の縦配向率は35%であり、頂部から厚み方向に向かって放射状に配向していた。参考例の不織布試料においては、実施例1、2のような中空部は有さなかった。
上記実施例、比較例及び参考例について下記の試験を行った。
(横通気性試験)
各不織布試料について、中央に一辺10mmの円筒状の開口部を有する正方形状の第1アクリル板(寸法:50mm×50mm×3mm)と、開口部を有しない以外は第1アクリル板と同じ第2アクリル板との間に、第1面Z1面を第1アクリル板側にして挟んだ。第1アクリル板の開口部にガーレー試験機を取り付け、JIS P8117試験方法に則り、ストップウォッチを用いて、0から100mLまでの目盛りの空気が外筒の縁を通過するのに必要な時間(秒)を測定し、1秒あたりの透気量を算出した。測定は、3回行い、平均してそのサンプルの通気度とした。
この横通気性試験は、不織布試料の厚み内部を空気が流れる際の通気抵抗を評価することができる。この評価において通気度が大きいほど、不織布の厚み内部における通気性は良くなる。
Figure 2019044293
表1に示す通り、実施例1及び2は、比較例に対し3倍以上の通気度を有し、通気性に優れることが分かった。
1 第1面側の外面繊維層
11 第1外面繊維層
12 第2外面繊維層
2 第2面側の外面繊維層
3 連結部
31 第1連結部
32 第2連結部
39 連結部の端部
4 中空部
41 第1中空部
42 第2中空部
41A、42A 通気路
5 第1不織布層
6 第2不織布層
7 凹部
71 凹部底部
10 不織布
Z1 第1面側
Z2 第2面側

Claims (8)

  1. 熱可塑性繊維を有し、第1面側と該第1面側の反対面側である第2面側とを有する不織布であって、前記第1面側の外面繊維層、前記第2面側の外面繊維層、前記第1面側の外面繊維層と前記第2面側の外面繊維層との間の複数の連結部、及び該連結部間の中空部を有し、該中空部は前記不織布の平面方向に連続している不織布。
  2. 前記中空部は、前記不織布の平面視交差する異なる複数の方向に沿って連続している請求項1記載の不織布。
  3. 前記連結部の繊維が前記不織布の厚み方向に配向している請求項1又は2記載の不織布。
  4. 前記連結部が、前記不織布の厚み方向の高さと、前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層の延出方向に沿う不織布の平面方向の幅とを備えた壁面を有し、該壁面が、前記不織布の平面視交差する異なる複数の方向に沿って配されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の不織布。
  5. 前記不織布の前記第1面側に凹凸面を有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の不織布。
  6. 前記連結部が、前記不織布の厚み方向の高さと、前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層の延出方向に沿う不織布の平面方向の幅とを備えた壁面を有し、
    前記凹凸面には、前記壁面に囲まれ、前記第1面側に開口する凹部が配されている請求項5記載の不織布。
  7. 前記第1面側の外面繊維層及び前記第2面側の外面繊維層が、前記中空部の表裏を覆っている請求項1〜6のいずれか1項に記載の不織布。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の不織布を有する吸収性物品。
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