JP2019038221A - ミシン目入り積層フィルム、積層ラミネートフィルムそれを用いた包装材料および製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
押出ラミネート法の場合、インキ層が形成されたミシン目入りフィルムに接着剤を塗布、乾燥して形成した接着層面に熱溶融樹脂を押出機から押出して積層フィルムを形成した。
一方、従来から用いられている接着剤の一つであるポリエチレンイミン系接着剤は、光が長時間照射されることで、経時的に接着強度が低下することがあった。
(1)ミシン目入り基材フィルムに酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着層が積層されてなることを特徴とするミシン目入り積層フィルム。
(2)ミシン目入り基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム、またはポリエチレンフィルムであることを特徴とする(1)記載のミシン目入り積層フィルム。
(3)(1)または(2)に記載のミシン目入り積層フィルムの接着層面に、ポリオレフィン樹脂層が積層されてなることを特徴とする積層ラミネートフィルム。
(4)(3)に記載された積層ラミネートフィルムにおいて、ミシン目入り基材フィルムが最外層であることを特徴とする包装材料。
(5)ミシン目入り基材フィルムに酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着剤を塗布、乾燥して接着層を積層することを特徴とする(1)または(2)に記載の積層フィルムの製造方法。
(6)ミシン目入り基材フィルムに酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着剤をインライン工程で塗布し、ガイドロールでテンションをかけながら乾燥し接着層を積層することを特徴とする(1)または(2)に記載の積層フィルムの製造方法。
(7)ミシン目入り積層フィルムの接着層面上に、溶融したポリオレフィン樹脂を押出ラミネートして積層することを特徴とする(3)に記載の積層ラミネートフィルムの製造方法。
本発明のミシン目入り積層フィルムは、ミシン目入り基材フィルムの少なくとも一方の面に接着層が形成されたものである。
酸変性ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン成分としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のアルケンや、ノルボルネン等のシクロアルケンが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。中でもエチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素数2〜6のアルケンが好ましく、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2〜4のアルケンが特に好ましい。また、2種類以上のオレフィン成分が共重合されていてもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂におけるオレフィン成分の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。オレフィン成分の含有量が50質量%未満では、ポリオレフィン樹脂との密着性を損なうことがある。
酸変性ポリオレフィン樹脂における不飽和カルボン酸成分の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.1〜25質量%であることがより好ましく、0.5〜15質量%であることがさらに好ましく、1〜8質量%であることが特に好ましく、1〜5質量%であることが最も好ましい。
不飽和カルボン酸成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、アクリル酸、無水マレイン酸がより好ましい。
不飽和カルボン酸成分は、酸変性ポリオレフィン樹脂中に共重合されていればよく、その形態は限定されず、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン樹脂における(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量は、40質量%以下であることが好ましく、良好な密着性を持たせるために、35質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらに好ましく、25質量%以下であることが最も好ましい。(メタ)アクリル酸エステル成分の含有量が40質量%を超えると、オレフィン由来の樹脂の性質が失われ、ポリオレフィン樹脂との密着性が低下することがある。
(メタ)アクリル酸エステル成分としては、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜30のアルコールとのエステル化物が挙げられ、中でも入手のし易さの点から、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル化物が好ましい。そのような化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの混合物を用いてもよい。この中で、ポリオレフィン樹脂層との密着性の点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチルがより好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルがより好ましく、アクリル酸エチルが特に好ましい。(なお、「(メタ)アクリル酸〜」とは、「アクリル酸〜またはメタクリル酸〜」を意味する。)
プロピレン(a2)−ブテン(a3)−無水マレイン酸(a5)共重合体である場合、質量比(a2/a3/a5)は、95/4/1〜53/40/7であることが好ましく、94/5/1〜60/34/6であることがより好ましく、92/7/1〜62/33/5であることが特に好ましい。
プロピレン(a2)−エチレン(a1)−ブテン(a3)−無水マレイン酸(a5)共重合体である場合、質量比(a2/a1/a3/a5)は、95/3/1/1〜50/15/28/7であることが好ましい。
エチレン(a1)−プロピレン(a2)−無水マレイン酸(a5)共重合体である場合、質量比(a1/a2/a5)は、1/98/1〜50/40/10であることが好ましい。
中でも、水溶性高分子は、基材フィルムとポリオレフィン樹脂層との接着性と滑り性とを両立する観点から、ポリビニルアルコールまたはポリエチレングリコールが好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
ビニルエステルとしては、ぎ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどが挙げられる。中でも酢酸ビニルが工業的に最も好ましい。
ポリビニルアルコールのケン化度としては、滑り性向上の観点から、80〜99.9モル%が好ましく、90〜99.9モル%がより好ましく、95〜99.9モル%がさらに好ましい。80モル%未満であると、滑り性が低下し、積層フィルムをロール状に巻き取る際にシワが発生しやすくなることがある。
また、ポリビニルアルコールの重量平均分子量は、前記平均重合度にビニルアルコールの分子量44を乗じることで算出され、2500以上が好ましく、2500〜300000がより好ましく、20000〜200000がさらに好ましく、22000〜110000が特に好ましく、22000〜44000が最も好ましい。重量平均分子量が2500未満であると滑り性が低下する場合がある。また、重量平均分子量が300000を超えると水性分散体とした場合の粘度が高くなりすぎる傾向がある。
本発明において好適に使用できるポリウレタン樹脂には、ポリエーテル型、ポリエステル型、ポリカーボネート型が挙げられ、耐薬品性を改善するため、架橋剤と反応できるカルボン酸やヒドロキシル基を含有していてもよい。
また、ポリウレタン樹脂のTgについても特に限定されるものではないが、接着性の観点から、−40〜30℃の範囲内で選択すればよい。
前記塗布液は、酸変性ポリオレフィン樹脂が、溶媒に溶解および/または分散したものであり、その溶解および/または分散方法は特に限定されない。
本発明における接着剤は、酸変性ポリオレフィン樹脂を含む水性分散体であることが好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂は、水性媒体中に分散し水性分散体に加工することが可能である。分散させる方法としては、自己乳化法や強制乳化法など公知の分散方法を採用すればよい。なお、上述したように、酸変性ポリオレフィン樹脂の分散の際に、予め不揮発性水性化助剤を原料として特定量仕込み、酸変性ポリオレフィン樹脂と一括して水性分散化させる方法を採用してもよい。
酸変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体は、水性媒体中で酸変性ポリオレフィン樹脂の不飽和カルボン酸成分を塩基性化合物によって中和することで得られるアニオン性の水性分散体を使用することが、接着性の観点から好ましい。
本発明の積層フィルムは、ミシン目加工が施されたミシン目入り基材フィルムに接着剤を塗布、乾燥して接着層を積層する製造方法で製造できるものであり、ミシン目を付与する前の基材フィルムに接着剤を塗布、乾燥して接着層を積層し、その後ミシン目加工を施してミシン目入り積層フィルムにする方法でも製造できる。
具体的には、ミシン目入りの基材フィルムに酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着剤をインライン工程で塗布した後、ガイドロールでフィルムにテンションをかけながら乾燥することでミシン目入り基材フィルムに接着層を積層した本発明の積層フィルムを形成することができる。
接着剤を基材フィルム面に均一に塗布し、媒体の一部または全てを乾燥し、均一な塗膜、即ち接着層を基材フィルム表面に密着させて形成する際、媒体の全てを乾燥させることが、接着性を良好にする観点から好ましい。乾燥のための加熱処理の条件としては、温度は、50℃以上であることが必要であり、50〜110℃が好ましく、80〜105℃がより好ましく、90〜100℃がさらに好ましく、時間は、0.5秒以上であることが必要であり、0.5〜10秒が好ましく、0.7〜8秒がより好ましく、1〜5秒がさらに好ましい。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)などのポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーなどのポリオレフィン樹脂などが挙げられる。ポリオレフィン樹脂の低温シール性の観点からポリエチレン系樹脂が好ましく、安価であることからポリエチレンが特に好ましい。
また、ポリオレフィン樹脂層に高低差が5〜20μmの凸凹を設けることで、ポリオレフィン樹脂層の滑り性や包装材料の引き裂き性を付与することが可能である。
ポリオレフィン樹脂層に前記他の層を設ける方法は特に限定されるものではないが、例えばサンドラミネート法が好適に用いることができる。
ポリオレフィン樹脂層は、本発明のミシン目入り積層フィルムの製造直後にインラインで、ポリオレフィン樹脂を溶融押出して接着層上に積層してもよく、また、製造した本発明のミシン目入り積層フィルムを一旦ロール状に巻き取って保管や輸送したのち、オフラインで接着層上に積層してもよい。本発明の積層フィルムは耐ブロッキング性に優れているため、ロール状で保管するだけでなく枚葉で幾枚も重ねて保管や輸送したのち、オフラインで接着層上に積層してもよい。
バリア層を構成する金属箔や蒸着層が挙げられ、アルミニウム、銅またはステンレス鋼などの金属が好ましい。バリア層の厚みは、特に限定されないが、経済的な面から3〜50μmであることが好ましい。
バリア層表面は、酸化膜が形成されていてもよい。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂の構成
1H−NMR分析装置(日本電子社製、ECA500、500MHz)より求めた。テトラクロロエタン(d2)を溶媒とし、120℃で測定した。
JIS K7210:1999記載の方法に準じて行った。
酸変性ポリオレフィン樹脂A−1(ボンダインHX−8290)、A−4(プリマコール)については190℃、2160g荷重で測定し、酸変性ポリオレフィン樹脂A−2、A−3については160℃、2160g荷重で測定した。
酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、GPC分析(東ソー社製HLC−8020、カラムはSHODEX社製KF−804L2本、KF805L1本を連結して用いた。)を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、流速1ml/min、40℃の条件で測定した。約10mgのポリオレフィン樹脂をテトラヒドロフラン5.5mLに溶解し、PTFEメンブランフィルターでろ過したものを測定用試料とした。ポリスチレン標準試料で作成した検量線から重量平均分子量を求めた。テトラヒドロフランに溶解し難い場合は、オルトジクロロベンゼンで溶解した。
マイクロトラック粒度分布計(日機装社製、UPA150、MODEL No.9340、動的光散乱法)を用いて求めた。粒子径算出に用いる樹脂の屈折率は1.50とした。
JIS K6726:1994記載の方法に準じて測定した。
ポリビニルアルコールの平均重合度とビニルアルコールの分子量44とから、次式でポリビニルアルコールの重量平均分子量を算出した。
重量平均分子量=平均重合度×44
(1)ポリオレフィン樹脂層との密着性
実施例、比較例で得られた水性分散体のうち、オレフィン成分の主成分がプロピレンである酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体は、延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ社製、OPU−1、厚み50μm(以下、PP))の未処理面上に、また、オレフィン成分の主成分がエチレンである酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する水性分散体は、ポリエチレンフィルム(タマポリ社製、V−1、厚み30μm(以下、PE))の未処理面上に、乾燥後の塗布量が約2g/m2になるように、それぞれメイヤーバーで塗工して塗膜を得た。100℃で60秒間乾燥した後、塗膜面に粘着テープ(ニチバン社製TF−12)を貼り付けた後、勢いよくテープを剥離した。塗膜面の状態を目視で観察して、以下のように評価した。
○:塗膜に全く剥がれがなかった。
△:塗膜の一部に剥がれが生じた。
×:塗膜の全て剥がれた。
本発明においては、○であるものを実用に耐えうるものとした。
JIS K7125記載の方法に準じて、実施例、比較例で作製した積層フィルムについて、接着層面同士の動摩擦係数(μD)を測定した。
積層フィルムをロール状に巻き取る際の巻き取りやすさおよび巻き出しやすさの観点から、動摩擦係数(μD)は実用的には0.2〜0.7であることが求められており、0.25〜0.5であることが好ましく、0.3〜0.45であることがより好ましく、0.3〜0.4 であることがさらに好ましい。
PETフィルム(ユニチカ社製 エンブレット 12μm)に乾燥後厚みが1μmになるようにコートを行い、90℃/30秒で乾燥を行った。その後、未コートPETフィルムをコート面に置いて、40℃/3kg・f/cm2の条件で3日間放置して、未コートPETフィルムを持ち上げて、ブロッキング評価を行った。
○:コートフィルムが持ち上がらず、簡単に剥離
△:1cm程度持ち上げるとコートフィルムから剥離
×:コートフィルムが剥離しない
ミシン目入り積層フィルムのミシン目孔を通り抜けた接着剤が金属板に付着し、付着した接着剤がミシン目入り積層フィルムと貼りつかず加工適性を有するかを試験した。
金属板の上にミシン目入りPETフィルムを重ね、ミシン目入りPETフィルムに接着剤を乾燥後の塗布量が約0.5g/m2になるようにメイヤーバーでコートし、50℃、60秒乾燥した。その後、ミシン目入りPETフィルムを金属板から剥がし、ミシン目部分が切れずに金属板から剥がせるかどうかを確認した。なお、n数は10点で行った。
なお、ミシン目入りPETフィルムは、PETフィルム(ユニチカ社製 エンブレット 12μm)にOLFA ミシン目カッター28にてミシン目をTD方向で付けて作製した。
○:ミシン目で切れることなく積層フィルムが金属板から剥がすことができる
×:金属板から剥がす際に1回でもミシン目で切れて剥がせなかった
(1)接着性評価(初期)
ミシン目入りPETフィルム/接着層/ポリオレフィン樹脂層(PEまたはPPフィルム)の構成を有する包装材料を、15mm幅で切り出し、1日後、引張り試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、20℃、65%RHの雰囲気中、引張り速度100mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定することで、ミシン目入りPETフィルムと、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムからなるポリオレフィン樹脂層との接着性を評価した。
本発明においては、ミシン目入りPETフィルムとポリオレフィン樹脂層との剥離強度が、10N/15mm以上であるものが、実用に耐えうるものである。
ミシン目入りPETフィルム/接着層/ポリオレフィン樹脂層(PEまたはPPフィルム)の構成を有する包装材料を作製し、ミシン目に沿って手で引き裂き易カット性を確認した。
○:ミシン目に沿って、簡単にカット
△:ミシン目に沿ってカットできるが、時々ポリオレフィン樹脂層の伸びが発生
×:ポリオレフィン樹脂層の伸びが発生して、カットできない
ミシン目入りPETフィルム/接着層/ポリオレフィン樹脂層(PEまたはPPフィルム)の構成を有する積層ラミネートフィルムを15mm幅で切り出し、20℃、65%RH環境下の室内にて基材フィルムであるミシン目入りPETフィルム側の真上1mの高さから40Wの白色蛍光灯(1000ルクスの照度)を30日間照射し続けた。その後、引張り試験機(インテスコ社製、精密万能材料試験機2020型)を用い、20℃、65%RHの雰囲気中、引張り速度100mm/分、引張り角度180度で塗膜の剥離強度を測定することで、ミシン目入りPETフィルムと、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムからなるポリオレフィン樹脂層との接着強度を測定した。評価は、光照射前である前記(1)接着性評価(初期)からの強度保持率を算出して評価した。なお、強度保持率が100%を超えた場合(耐光試験後に強度向上した場合)も100%と記載する。
光照射後強度保持率(%)=(光照射後の剥離強度)/(光照射前の剥離強度)×100
本発明において、ミシン目入りPETフィルムとポリオレフィン樹脂層との剥離強度が、光照射後においても90%の強度保持率を有するものが、実用的に耐えうるものである。
ミシン目入りPETフィルム/接着層/ポリオレフィン樹脂層(PEまたはPPフィルム)の構成を有する積層ラミネートフィルムを2枚用い、ポリオレフィン樹脂層を内側としシール幅10mmで三方をヒートシールした。内容物として水、50%エタノールをそれぞれ5gずつ入れ、残り一方をシール幅10mmでヒートシールすることで、内容物が密封された包装袋を作製した。60℃で2週間保持した後開封し、密封に使用した包装材料の剥離強度を上記(1)と同様にして測定し、耐内容物性を評価した。
1.酸変性ポリオレフィン樹脂
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂A−1
アルケマ社製、ボンダインHX−8290(エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸=80/18/2(質量%))を用いた。
(2)酸変性ポリオレフィン樹脂A−2
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン社製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3(質量%))280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って撹拌下、酸成分として無水マレイン酸32.0g、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド6.0gをそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらにアセトンで数回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して酸変性ポリオレフィン樹脂A−2(プロピレン/ブテン/エチレン/無水マレイン酸=60.7/22.4/10.6/6.3(質量%))を得た。
(3)酸変性ポリオレフィン樹脂A−3
プロピレン−ブテン共重合体(質量比:プロピレン/1−ブテン=80/20)280gを4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下でキシレン470gに加熱溶解させた後、系内温度を140℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸40.0gとラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド28.0gをそれぞれ2時間かけて加え、その後6時間反応させた。反応終了後、得られた反応物を多量のアセトン中に投入し、樹脂を析出させた。析出させた樹脂を、トリエチルアミンのアセトン溶液(質量比:トリエチルアミン/アセトン=1/4)で1回洗浄し、その後アセトンで洗浄することで未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥して、酸変性ポリオレフィン樹脂A−3を得た。
(4)酸変性ポリオレフィン樹脂A−4
ダウ・ケミカル社製、プリマコール5980I(エチレン/アクリル酸=80/20(質量%))を用いた。
(1)酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂A−1、60.0gのイソプロパノール、4.5g(樹脂中の無水マレイン酸のカルボキシル基に対して1.8倍当量)のトリエチルアミンおよび175.5gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂A−2、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテル、6.9gのN,N−ジメチルエタノールアミンおよび188.1gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白黄色の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−2を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂A−3、45.0gのエチレングリコール−n−ブチルエーテル、8.0gのN,N−ジメチルエタノールアミン(DMEA)および137.0gの蒸留水を、ガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を160℃に保ってさらに60分間撹拌した。
その後、空冷にて内温が40℃になるまで冷却し、開封して、40.0gのイソプロパノール、5.0gのトルエンおよび30.0gの蒸留水を添加した。その後、密閉し、撹拌翼の回転速度を300rpmとして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。
そして、空冷にて回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白濁の均一な酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−3を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gの酸変性ポリオレフィン樹脂A−4、16.8gのTEA、および223.2gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を130℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、微白色の酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−4を得た。この際、フィルター上に樹脂はほとんど残っていなかった。
スーパーフレックス550(Tg:−15℃ 平均粒子径:0.13μm 固形分濃度:45質量% 第一工業製薬製、以下550)
水溶性高分子としてポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール社製VC−10、重合度1000、重量平均分子量44000、ケン化度99.5モル%)を用い、水を加えて加熱、攪拌によって8質量%ポリビニルアルコール水溶液を得た。
日本曹達社製の『チタボンド』T−100を使用した。固形分濃度:10%、
日本曹達社製の『チタボンド』T−180Eを使用した。固形分濃度:10%
DIC社製の主剤『ディックドライ』LX−401A(固形分濃度60%)、硬化剤SP−60(固形分濃度60%)を使用した。
主剤/硬化剤=1/1(液重量比)で混合後に、酢酸エチルにて10%まで希釈をして使用した。
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1に、固形分濃度が10質量%となるようにアルコールを加え攪拌して接着剤を調製した。
(ミシン目入りPETフィルム/接着層からなる積層フィルムの作製)
得られた接着剤を、ミシン目入りPETフィルムに乾燥後の塗布量が約0.5g/m2になるようにメイヤーバーでコートし、90℃で5秒間乾燥して、ミシン目入りPETフィルム上に接着層が形成された積層フィルムを得た。
(ミシン目入りPETフィルム/接着層/ポリオレフィン樹脂層からなる積層ラミネートフィルムの作製)
得られた積層フィルムの接着層面に、ポリエチレン樹脂を押出ラミネートし、積層ラミネートフィルムを得た。
(包装材料の作製)
得られた2枚の積層ラミネートフィルムを用い、ポリオレフィン樹脂層同士を重ね合わせてヒートシールすることで、ミシン目入りPETフィルム/接着層/ポリオレフィン樹脂層からなる構成の包装材料を得た。
酸変性ポリオレフィン樹脂水性分散体E−1の固形分100質量部にポリウレタン樹脂水性分散体U−1を固形分で10質量部添加し、固形分濃度が10質量%となるようにアルコールを加え攪拌して接着剤を調製した。それ以外は、実施例1と同様に積層フィルム、積層ラミネートフィルム、包装材料を得た。
酸変性ポリオレフィン樹脂の種類とポリウレタン樹脂の含有量、水溶性高分子の含有量とが表2に示すものとなるように、混合して接着剤を得た以外は、実施例1と同様にして積層フィルム、積層ラミネートフィルム、包装材料を得た。
なお、酸変性ポリオレフィン樹脂として、オレフィン成分の主成分がプロピレンである樹脂A−2、A−3を含有する水性分散体(E−2、E−3)を使用した実施例では、ポリプロピレン樹脂を接着層の上に押出ラミネートしてポリオレフィン樹脂層を形成した。
接着層の種類をポリエチレンイミン系接着剤、ポリブタジエン系接着剤、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリウレタン系接着剤にした以外は、実施例1と同様にして積層フィルム、積層ラミネートフィルム、包装材料を得た。
なお、ポリエチレンイミン、ポリブタジエンは、メタノール/水=1/1の混合溶媒で、2液硬化型ウレタン系接着剤は、酢酸エチルを使用して固形分濃度を10質量%まで希釈を行った。
実施例2〜5、9、11〜14、18では、ポリウレタン樹脂を含有していたため、接着性 や耐内容物性に特に優れるものであった。
実施例6〜9、15〜18では、水溶性高分子であるポリビニルアルコールを含有していたため、特に滑り性 に優れるものであった。
一方、比較例1〜4では、酸変性ポリオレフィン樹脂以外の接着剤を用いて積層フィルムを形成しており、特に、比較例1のポリエチレンイミン系接着剤は、耐光性に劣っていた。また、比較例2〜4のポリブタジエン系接着剤、ウレタン系接着剤は加工適性、滑り性、耐ブロッキング性に劣っていた。
Claims (7)
- ミシン目入り基材フィルムに酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着層が積層されてなることを特徴とするミシン目入り積層フィルム。
- ミシン目入り基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム、またはポリエチレンフィルムであることを特徴とする請求項1記載のミシン目入り積層フィルム。
- 請求項1または2に記載のミシン目入り積層フィルムの接着層面に、ポリオレフィン樹脂層が積層されてなることを特徴とする積層ラミネートフィルム。
- 請求項3に記載された積層ラミネートフィルムにおいて、ミシン目入り基材フィルムが最外層であることを特徴とする包装材料。
- ミシン目入り基材フィルムに酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着剤を塗布、乾燥して接着層を積層することを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルムの製造方法。
- ミシン目入り基材フィルムに酸変性ポリオレフィン樹脂を含む接着剤をインライン工程で塗布し、ガイドロールでテンションをかけながら乾燥し接着層を積層することを特徴とする請求項1または2に記載の積層フィルムの製造方法。
- ミシン目入り積層フィルムの接着層面上に、溶融したポリオレフィン樹脂を押出ラミネートして積層することを特徴とする請求項3に記載の積層ラミネートフィルムの製造方法。
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