JP2010005803A - 包装材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 バリア層、接着層およびシーラント層がこの順に積層されてなる包装材料であって、前記接着層が酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)とを含有し、(A)と(B)の質量比(A/B)が99.9/0.1〜50/50であり、(A)が不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有し、(B)が多価オキサゾリン化合物(b1)および/または多価ヒドラジド化合物(b2)であることを特徴とする包装材料。
【選択図】 なし
Description
このような構成の包装材料からなる袋に、内容物としてメントールやナフタレンなどの揮発性を有する物質や、香り成分や薬効成分を含有している内容物や、電池の電解液などを包装した場合には、保存している間に、それらの物質や成分がバリア層とシーラント層の間の接着層を膨潤化させたり溶解させたりするため、バリア層とシーラント層の間の接着強度が経時的に低下したり、両層が剥がれてしまう(デラミ)といった問題があった。
また食品用包装材料として用いた場合には、食品が内封された包装材料の形態のまま熱湯で加熱する(ボイル処理)ケースがあるが、その様な場合でも、内容物や積層体の構成によっては、両層の接着強度の低下やデラミといった問題があった。
また特許文献2では、耐ボイル性には優れるものの使用する水性接着剤の貯蔵安定性(ポットライフ)が低いことがあり、酸変性ポリオレフィン樹脂と多価イソシアネート化合物を混合した後、場合によっては1時間後には増粘、固化してしまい、その様な状態になっては、接着層を形成するための塗布ができないため利用が制限されることがあった。また、耐内容物性について検討がなされていなかった。
なお、特許文献1には、酸変性ポリオレフィン樹脂に対して種々の架橋剤を添加することが記載されているものの、その添加の目的や効果については述べられておらず、架橋剤の種類や添加量についての具体的な検討がなされていなかった。
すなわち、本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)バリア層、接着層およびシーラント層がこの順に積層されてなる包装材料であって、前記接着層が酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)とを含有し、(A)と(B)の質量比(A/B)が99.9/0.1〜50/50であり、(A)が不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有し、(B)が多価オキサゾリン化合物(b1)および/または多価ヒドラジド化合物(b2)であることを特徴とする包装材料。
(2)多価オキサゾリン化合物(b1)が、数平均分子量が1000〜80000の重合体であることを特徴とする(1)記載の包装材料。
(3)多価オキサゾリン化合物(b1)が水溶性であることを特徴とする(1)または(2)に記載の包装材料。
(4)酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が(メタ)アクリル酸成分を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の包装材料。
(5)接着層の量が0.001〜5g/m2であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の包装材料。
(6)バリア層がアルミニウムであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の包装材料。
(7)シーラント層がポリオレフィン樹脂層であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の包装材料。
(8)ポリオレフィン樹脂層が、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンを主成分とすることを特徴とする(7)記載の包装材料。
(9)バリア層の上に、接着層を介して、溶融したシーラント樹脂を押出ラミネーションによって積層する包装材料の製造方法であって、前記接着層が酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)とを含有し、(A)と(B)の質量比(A/B)が99.9/0.1〜50/50であり、(A)が不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有し、(B)が多価オキサゾリン化合物(b1)および/または多価ヒドラジド化合物(b2)であることを特徴とする包装材料の製造方法。
(10)バリア層の上に、接着層を介して、溶融したシーラント樹脂を押出ラミネーションによって積層する包装材料の製造方法であって、前記接着層が水性接着剤を塗布し、乾燥することにより形成された層であり、前記水性接着剤が酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)とを含有し、(A)と(B)の質量比(A/B)が99.9/0.1〜50/50であり、(A)が不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有し、(B)が多価オキサゾリン化合物(b1)および/または多価ヒドラジド化合物(b2)であることを特徴とする包装材料の製造方法。
本発明の包装材料は、バリア層、接着層およびシーラント層がこの順に積層されてなる包装材料である。
この様な蒸着フィルムを用いた場合は、蒸着面はもちろんのこと、非蒸着面であっても、後述する接着層とシーラント層を積層させることができる。非蒸着面には、コロナ放電処理、フレームプラズマ処理、大気圧プラズマ処理、低圧プラズマ処理、オゾン処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、薬品処理、溶剤処理などの表面活性か処理がなされていることが好ましい。
ここで水性媒体とは、水または水と水溶性の有機溶媒の混合液のことを意味し、不揮発性水性化助剤とは、樹脂の分散や安定化に寄与する不揮発性の化合物のことを意味する。
不揮発性水性化助剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性(非イオン性)界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、反応性界面活性剤、水溶性高分子などが挙げられ、一般に乳化重合に用いられるもののほか、乳化剤類も含まれる。例えば、アニオン性界面活性剤としては、高級アルコールの硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸およびその塩、アルキルベンゼンスルホン酸およびその塩、ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート塩、ビニルスルホサクシネート等が挙げられ、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体等やポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のソルビタン誘導体等が挙げられ、両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。反応性界面活性剤としては、アルキルプロペニルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩、アリルジアルキルフェノールポリエチレンオキサイド付加物やこれらの硫酸エステル塩等の反応性2重結合を有する化合物が挙げられる。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、変性デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびその塩等が挙げられる。
付加重合性オキサゾリンとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリンおよび2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンなどが挙げられ、これらは単独でも2種類以上を併用して使用してもかまわない。これらの中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが入手の容易さや耐内容物性を良好にするために好ましい。これら付加重合性オキサゾリンの使用量は、特に限定されないが、モノマー成分中5質量%以上とすることが好ましく、5〜90質量%がより好ましく、10〜60質量%がさらに好ましく、30〜60質量%が特に好ましい。
付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体としては、オキサゾリン基と反応しないものから選ぶことが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリル酸のカプロラクトン変性物、(メタ)アクリル酸−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよび(メタ)アクリル酸−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウムおよび(メタ)アクリル酸アンモニウム等の(メタ)アクリル酸塩;アクリロニトリルおよびメタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドおよびN−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド;酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテルおよびエチルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチレンおよびプロピレン等のα−オレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデンおよびフッ化ビニル等のハロゲン含有・α,β−不飽和脂肪族炭化水素;スチレン、α−メチルスチレンおよびスチレンスルホン酸ナトリウム等のα,β−不飽和芳香族炭化水素などが挙げられ、これらは単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
多価ヒドラジド化合物(b2)は、分子中に2個以上のヒドラジド基を有するものであり、低分子化合物であっても重合体であってもよいが、接着性、耐内容物性、耐ボイル性に優れる点から低分子化合物であることが好ましい。また、接着性、耐内容物性、耐ボイル性を良好にするために、多価ヒドラジド化合物(b2)は、水溶性または水分散性などの水性であることが好ましく、水溶性が最も好ましい。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)とを、質量比(A/B)が99.9/0.1〜50/50の範囲で混合することにより、本発明の効果が得られる詳細な理由は不明であるが、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)含有のカルボキシル基と、架橋剤(B)含有のオキサゾリン基またはヒドラジド基とが、後述する乾燥時の加熱処理によって反応し、架橋構造が形成され、より凝集力が高まったり、耐溶剤性や耐熱性が付与されたためと考えられる。両者の反応は、常温の温度域(例えば50℃以下)では穏やかであるため、保存期間を含め、使用して乾燥時の加熱処理がなされるまでの期間においては、架橋構造が形成されることが少ない。したがってこれらを含有する水性接着剤は、ポットライフに優れている。
これらの方法でバリア層に塗布した後に、必要に応じて室温付近でセッティングし、乾燥処理することにより、均一な接着層をバリア層の表面に密着させて形成することができる。乾燥処理する方法としては加熱処理する方法が好ましい。乾燥温度は、50〜250℃が好ましく、70〜200℃がより好ましく、80〜150℃がさらに好ましく、90〜120℃が特に好ましい。乾燥温度が50℃未満では、乾燥効果が不十分であったり、接着性、耐内容物性、耐ボイル性が悪化する傾向がある。乾燥温度が250℃を超えた場合は、バリア層が変形や変質する場合がある。
前記熱可塑性樹脂フィルムとしては、例えば、PET、ポリエチレンナフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、Ny6、ポリ−p−キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)等のポリアミド樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリアクリルニトリル樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、これらの複層体(例えば、Ny6/MXD/Ny6、Ny6/エチレン−ビニルアルコール共重合体/Ny6)や混合体等が用いられ、機械的強度や寸法安定性を有するものがよい。特に、これらの中で二軸方向に任意に延伸されたフィルムが好ましく用いられる。また、前記熱可塑性樹脂フィルムが公知の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、可塑剤、滑剤、酸化防止剤などを含んでいてもよく、その他の材料と積層する場合の密着性を良くするために、フィルムの表面に、前処理としてコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理等を施しておいてもよい。
バリア層の外側に別の層を積層する方法は特に限定されないが、例えば、水酸基やカルボキシル基を有する主剤とイソシアネート化合物とを混合した二液混合型接着剤のような公知の接着剤を用いることができる。また、バリア層と別の層とを予め積層しておいてから、バリア層面に接着層、シーラント層を積層してもかまわない。
1H−NMR分析(バリアン社製、300MHz)より求めた。オルトジクロロベンゼン(d4)を溶媒とし、120℃で測定した。
JIS 6730記載(190℃、2160g荷重)の方法で測定した。
示差屈折率検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置を用い、アセトニトリル/50mM−NaCl水溶液の20/80容積比の混合液を溶出液として40℃で測定した。分子量検量線は、標準ポリエチレンオキサイドを用いた。
30gの水性接着剤を透明なガラス容器(内容積50ml)に入れ、室温で静置保存し、24時間後の状態を目視で評価した。
○:全く変化なし。
△:凝集物が確認される。
×:ゲル化し流動性がない。
あらかじめ、バリア層の面積当たりの質量を計測しておき、そのフィルムに接着剤を塗布、乾燥した後に、得られた積層体の面積当たりの質量を測定し、塗布前のフィルムの面積当たりの質量を差し引くことで接着層の質量を求めた。接着層の質量と塗布面積から単位面積当りの層量(g/m2)を計算した。
積層体から幅15mmの試験片を採取し、引張り試験機(インテスコ社製精密万能材料試験機2020型)を用い、Tピール法により試験片の端部からバリア層とシーラント層の界面を剥離して強度を測定した。測定は20℃、65%RHの雰囲気中、引張速度200mm/分で行った。
10cm角の積層体を2枚用い、積層体のシーラント層を内側とし、内容物として、酢酸1gを染み込ませた脱脂綿を入れ、シール幅10mmで四方をヒートシールして密封し、これを50℃で2週間保存した。内容物の酢酸1gに代えて、灯油(ケロシン)1g、工業用ガソリン1gとしたものについても、それぞれ同様に密封、保存した。その後、密封した各包装材を開封し、前記(6)と同様にして、包装材の積層体から試験片を採取して、剥離強度を測定した。
10cm角の積層体を2枚用い、積層体のシーラント層を内側とし、予め三方をヒートシールして口の空いた袋状にした。その袋の中に35gの水を入れた後、残りの一方を包装材の中にできるだけ空気が入らないようにヒートシールし、水の入った密封された包装材を得た。シール幅は四方とも10mmとした。この水の入った包装材を、98℃の熱水に30分間浸漬した。浸漬後、包装材を取り出し室温まで冷却してから、開封し、前記(6)と同様にして、包装材の積層体から試験片を採取して、剥離強度を測定した。
前記(7)の工業用ガソリンの耐内容物試験、および前記(8)の耐ボイル試験後の袋を開封する際、切り目を入れて手で引き裂いた場合の状況を目視で評価した。
○:直線的に引き裂くことができ、引裂きによるバリア層とシーラント層の層間の剥離なし
△:直線的に引き裂くことがやや困難で、引裂きによるバリア層とシーラント層の層間にやや剥離あり
×:直線的に引き裂くことができず、引裂きによるバリア層とシーラント層の層間の剥離あり
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、60.0gのTX−8030またはHX−8290、90.0gのイソプロパノール、3.0gのトリエチルアミンおよび147.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なTX−8030またはHX−8290の水性分散体を得た。得られたTX−8030の水性分散体の固形分濃度は20質量%で、数平均粒子径は0.07μmであった。HX−8290の水性分散体の固形分濃度は20質量%で、数平均粒子径は0.07μmであった。なお粒子径は、日機装株式会社製、マイクロトラック粒度分布計UPA150(MODEL No.9340、動的光散乱法)を用い、屈折率は1.50で求めた。
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、45.0gのA210K、105.0gのノルマルプロパノール、10.0gのトリエチルアミンおよび140.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を170℃に保ってさらに30分間撹拌した。その後、ヒーターの電源を切り、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ徐冷した。室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、半透明の均一なA210Kの水性分散体を得た。得られたA210Kの水性分散体の固形分濃度は15質量%で、数平均粒子径は0.06μmであった。
撹拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計及び滴下ロートを備えたフラスコに、117gのイオン交換水、および3gの2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬社製、重合開始剤V−50)を仕込み、ゆるやかに窒素ガスを流しながら65℃に加熱した。そこへ予め調製しておいた、4gのメトキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学社製、NKエステルAM−90G)、59gのメトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学社製、NKエステルM−90G)、および17gの2−イソプロペニル−2−オキサゾリンを滴下ロートより1時間で滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を65℃に保った。滴下終了後も9時間同じ温度に保った後冷却し、多価オキサゾリン化合物の水溶液(以下、OX−1と略す)を得た。得られたOX−1の固形分濃度は40質量%であり、数平均分子量は約6000であった。
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計及び滴下ロートを備えたフラスコに、58gのイオン交換水、59gのイソプロパノール、および3gの2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩を仕込み、ゆるやかに窒素ガスを流しながら65℃に加熱した。そこへ予め調製しておいた、32gのメトキシポリエチレングリコールアクリレート、31gのメタクリル酸メチル、および17gの2−イソプロペニル−2−オキサゾリンを滴下ロートより1時間で滴下した。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を65℃に保った。滴下終了後も10時間同じ温度に保った後冷却し、多価オキサゾリン化合物の水溶液(以下、OX−2と略す)を得た。得られたOX−2の固形分濃度は40質量%であり、数平均分子量は約1100であった。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体としてTX−8030の水性分散体を用い、架橋剤(B)の水溶液としてエポクロスWS−500(日本触媒社製、多価オキサゾリン化合物水溶液、固形分濃度39質量%、数平均分子量約20000)を用いて、固形分質量比(A/B)が99.8/0.2となるように混合し、水性接着剤を得た。
バリア層として、PETフィルムとアルミニウム箔の積層体(厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムと厚さ7μmのアルミニウム箔とを、二液硬化型のポリウレタン系接着剤で積層した積層体)を用い、このアルミニウム箔面に、水性接着剤を、乾燥後の塗布量が0.3g/m2となるように塗布し、100℃で2分間、乾燥させ接着層を形成させた。
次いで、押出機を備えたラミネート装置を用いて、接着層の表面にシーラント樹脂LDPE(住友化学社製、スミカセンL211)を、ダイス温度320℃で溶融押出して、40μmのLDPEからなるシーラント層を形成し、バリア層、接着層およびシーラント層からなる積層体を得た。
表2、4に示すような固形分質量比となるように、TX8030の水性分散体とエポクロスWS−500との混合比を変えた以外は、実施例1と同様の操作を行って積層体を得た。
架橋剤(B)の水溶液としてOX−1、OX−2を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行って積層体を得た。
架橋剤(B)として、2,2′−(1,3−フェニレン)−ビス−(2−オキサゾリン)(三國製薬工業社製、分子量216、以下、1,3−PBOと略す)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行って積層体を得た。
架橋剤(B)の分散体として、エポクロスK−2030E〔日本触媒社製、多価オキサゾリン重合体水性分散体、分子量不明(各種溶媒に不溶のため測定不可)、以下、K−2030Eと略す〕を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行って積層体を得た。
架橋剤(B)として、アジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製、分子量174、以下、ADHと略す)を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行って積層体を得た。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体として、HX−8290の水性分散体を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行って積層体を得た。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体として、A210Kの水性分散体を用いた以外は、実施例2と同様の操作を行って積層体を得た。
バリア層として、アルミニウム蒸着PETフィルム(東セロ社製、メタラインPET)を用い、水性接着剤をアルミニウム蒸着PETフィルムのアルミニウム蒸着面に塗布した以外は、実施例2と同様の操作を行って積層体を得た。
バリア層として、アルミニウム蒸着PETフィルム(東セロ社製、メタラインPET、PET面にコロナ処理あり)を用い、水性接着剤をアルミニウム蒸着PETフィルムのPET面に塗布した以外は、実施例2と同様の操作を行って積層体を得た。
バリア層として、アルミナ蒸着PETフィルム(麗光社製、ファインバリア)を用い、水性接着剤をアルミナ蒸着PETフィルムの蒸着面に塗布した以外は、実施例2と同様の操作を行って積層体を得た。
バリア層として、シリカ蒸着PETフィルム(尾池工業社製、MOS)を用い、水性接着剤をシリカ蒸着PETフィルムの蒸着面に塗布した以外は、実施例2と同様の操作を行って積層体を得た。
水性接着剤としてHX−8290の水性分散体、A210Kの水性分散体をそれぞれ単独で用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って積層体を得た。
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)の水性分散体としてTX8030の水性分散体を用い、添加剤1としてサイメル327(三井サイテック社製、多価メラミン化合物、以下、C327と略す)を用いて、固形分質量比(A/添加剤1)が95/5となるように混合し、水性接着剤を得た。この水性接着剤を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行って積層体を得た。
添加剤1として、比較例6では、アデカレジンEM−051R(アデカ社製、多価エポキシ化合物、以下、EM−051Rと略す)を用い、比較例7では、カルボジライトE−02(日清紡社製、多価カルボジイミド化合物、以下、E−02と略す)を用い、比較例8では、デスモジュールDN(住友バイエルウレタン社製、非ブロック型の多価イソシアネート化合物、以下、DNと略す)を用いた以外は、それぞれ比較例5と同様の操作を行って積層体を得た。
水性接着剤としてTX−8030の水性分散体を単独で用いた以外は、実施例13と同様の操作を行って積層体を得た。
水性接着剤としてTX−8030の水性分散体を単独で用いた以外は、実施例14と同様の操作を行って積層体を得た。
実施例1〜5と比較例1、4とに示すように、(A)と(B)の質量比を本発明で規定する範囲とすることにより、各種性能に優れる包装材料を得ることができた。
実施例2、6〜8の結果から、多価オキサゾリン化合物(b1)は重合体である方が各種性能に優れ、重合体の分子量が高い方が試験前後の剥離強度は良好に保たれる傾向があることが確認された。
実施例2と9の比較から、多価オキサゾリン化合物としては水性分散体のものより水溶性のものの方が、耐内容物性、耐ボイル性に優れることが確認された。これは、架橋剤(B)が水溶性であることで含有するオキサゾリン基が、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)のカルボキシル基に接触する頻度が良好に保たれるためと考えられる。
実施例10に示すように、架橋剤(B)として多価ヒドラジド化合物であるADHを用いても、多価オキサゾリン化合物を用いた場合と同様に各種性能が優れた包装材料が得られた。
実施例2と11に示すように、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)のメルトフローレートが小さく、分子量が高い方が、耐内容物性、耐ボイル性に優っていた。
実施例2と12に示すように、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)がアクリル酸エステルを含有する方が各種性能に優っていた。
実施例13〜16では、バリア層として各種蒸着フィルムを用いたが、各種性能は良好であった。特に実施例14では、非蒸着面であるPET面に対して、接着層、シーラント層を積層しているが、蒸着面に対して積層したものと同様に各種性能が良好であることが確認された。
比較例5〜8において、各種架橋剤や各種添加剤を検討したが、添加による顕著な効果は認められなかった。
Claims (10)
- バリア層、接着層およびシーラント層がこの順に積層されてなる包装材料であって、前記接着層が酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)とを含有し、(A)と(B)の質量比(A/B)が99.9/0.1〜50/50であり、(A)が不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有し、(B)が多価オキサゾリン化合物(b1)および/または多価ヒドラジド化合物(b2)であることを特徴とする包装材料。
- 多価オキサゾリン化合物(b1)が、数平均分子量が1000〜80000の重合体であることを特徴とする請求項1記載の包装材料。
- 多価オキサゾリン化合物(b1)が水溶性であることを特徴とする請求項1または2に記載の包装材料。
- 酸変性ポリオレフィン樹脂(A)が(メタ)アクリル酸成分を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の包装材料。
- 接着層の量が0.001〜5g/m2であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の包装材料。
- バリア層がアルミニウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の包装材料。
- シーラント層がポリオレフィン樹脂層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の包装材料。
- ポリオレフィン樹脂層が、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンを主成分とすることを特徴とする請求項7記載の包装材料。
- バリア層の上に、接着層を介して、溶融したシーラント樹脂を押出ラミネーションによって積層する包装材料の製造方法であって、前記接着層が酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)とを含有し、(A)と(B)の質量比(A/B)が99.9/0.1〜50/50であり、(A)が不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有し、(B)が多価オキサゾリン化合物(b1)および/または多価ヒドラジド化合物(b2)であることを特徴とする包装材料の製造方法。
- バリア層の上に、接着層を介して、溶融したシーラント樹脂を押出ラミネーションによって積層する包装材料の製造方法であって、前記接着層が水性接着剤を塗布し、乾燥することにより形成された層であり、前記水性接着剤が酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と架橋剤(B)とを含有し、(A)と(B)の質量比(A/B)が99.9/0.1〜50/50であり、(A)が不飽和カルボン酸成分を0.1〜10質量%含有し、(B)が多価オキサゾリン化合物(b1)および/または多価ヒドラジド化合物(b2)であることを特徴とする包装材料の製造方法。
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